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保育所に子どもを預けて働くということ

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Academic year: 2021

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保育所に子どもを預けて働くということ

一事例研究をとおしてー

学校教育専攻 幼年発達支援コース 岩崎順江

〔目的〕少子化を背景に保育所の入所児童数は 減少傾向にあったが、 1995年を境に増加に転 じている。殊に0歳児等低年齢児の入所児童数 の伸長が著しいことが最近の特徴である。

徳島県でも共働きの家庭の増加などもあっ て、減少している子どもの数に反して入所希望 は年々増加し入所希望は、低年齢児保育や長時 間保育をしている保育所に集中し、待機児の解 消が現在の課題となっている。

しかし、少子化、核家族化、都市化の進むな かで、子育て中の母親の地域で、の孤立化も問題と してあり、長時間保育や低年齢児保育などの 保育所の通常業務の充実と共に、子育てに不安 を感じている母親の相談に応じ、助言するなど の社会的役割が保育所には求めらるようになっ てきている。

また母親の育児不安は三歳までは母親が育て るべきであるといういわゆる「三歳児神話jや 育児は母親がすべきだとする母性観が、影響を 及ぼしていると考えられる。

こうした社会的背景や、子育て観があるなか で、実際に保育所に子どもを預けて働く母親た ちはどのような思いで仕事をし、子どもを預け、

保育所に何を期待しているのか、母親からのイ ンタピ、ュ一等をとおして探っていくことを目的 とする。

〔方法〕子育てに不安を持ちその解消のために 保育所に子どもを預けて働く:事例 A、仕事を

指導教官 佐々木宏子

続ける為に保育所に子どもを預ける:事例 B、

の二つの事例から子育て不安の要因や、安定し て子育てが出来仕事を続けられる為の要因を探 っていくo

その要因を分析する為に、対象者のインタビ ュー、対象者の夫へのインタビュー、担任保育 士、関長のインタピ、ューを行うと共に子どもの 保育記録や、連絡帳も併せて分析対象とした。

〔結果及び考察] 1 , 育児不安から子どもを預 ける:事例 A について

主に、対象者と対象者の夫からのインタビュー をもとに検証したが、対象者の育児不安の要因 は、①妊娠するまでの育児経験の不足から母と なる自覚の欠如、②夫の育児への参加、協力が 得られない、③密室の育児で、話し相手がいな い、③対象者、夫、周りの親戚などに、育児は 母親がするべきであるという「母性観Jがある こと、などで、あった。対象者は、子どもを保育 所に預けることで、同じ年頃の子どもを持つ母 親と話することが出来たり、子どもと離れる時 聞が持てたことによって、育児不安を解消する 事が出来ている。夫の育児への参加、協力度は ほとんど変化はなく家庭環境に変化はみられな いが、同じ立場の母親と話しをすることで、育 児に対する悩みはみんな同じようにある。自分 だけではない。と考えられるようになり母親だ から子育てに専念しなければならない、母親な ら子どもはかわいいはず、といったような子育

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ての重圧感から解放されている。保育所に子ど もを預ける母親の中には、働く為に預けるので はなく、このような育児不安があり、その解消 の為に子どもを預ける、というケースも見られ るようになってきている。保育所の役割として、

母親が社会とつながる場を作り、育児の悩みの 開き役となり、密室の育児から解放する事も必 要とされている。

2、 職業維持の為に保育所に子どもを預ける :事例Bについて

対象者、対象者の夫、保育士、園長のインタビ ュー 連絡帳から、働きながら安定した子育て が出来るためには、どのようなプラスの要因が 必要なのか探ってきた。その結果として①対象 者、対象者の夫共に勤務条件が安定しているこ と、②夫が育児や家事に参加、協力しているこ と、③家族の協力体制が出来ていること、④保 育園と連絡帳などをとおして連絡が取れ子ども の状況がよくわかること、⑤保育園に対して信 頼度が高いことなどがあげられる。このような 要因があり、対象者は、安心して保育園に子ど もを預け働くことが出来、家庭においても夫や 家族と共に子育てを楽しむことが出来ている。

このケースにおいては、両親が子どもの生活リ ズムに合わせられる職場に勤務していることに 注目したい。延長保育、夜間保育と保育時間は 長くなり、それを利用しなければ働く事を続け られない家庭も多いが、子どもにあわせられる 勤務条件である事は、親子の生活を心身共に安 定したものにしている。また、子どもを預けて いる保育園の要因も大きい。連絡帳が卒園する まで書き続けられ、親がみることの出来ない保 育園での子どもの様子を知ることが出来る。空 白の時間を連絡帳によって埋めることが出来る 事で、親が親として育ってし、く。

また連絡帳は、親のためだけではなく、保育

士が毎日の自分の保育を確かめるためにも必要 であることも考察できた。

〔結論〕子どもが健康、安全で、情緒の安定した 生活を保障していくためには、子どもを育てる 親がどれだけ子育てに喜びを持ち、安定した子 育てが出来ているかが課題となる。子育てと同 時に親育ても必要とされ、一人ひとりに合わせ た子育て支援が必要となってくる。

その為には働く親たちのための、長時間保育 や、低年齢児保育の充実はもちろんであるが、

子どもや親を取り巻く環境の変化に対応して、

育児不安を持ち、子育てに喜びを感じられない 母親たちの心情を理解し、話を聞き、相談に応 じることも保育所の役割として必要とされてき ている。

今、保育所に求められているものは、多様化 していると言える。その多様化に伴い、保育現 場において様々な取り組みがなされてきている が、それを運用していくのは保育者自身である。

母親や地域のニーズに応える為には、保育者自 身の保育観や、生き方が問われ、保育の専門性

と共に、親や子どもの立場に立ち、相手を理解 し、育ち合っていこうとする姿勢が必要とされ る。

〔課題〕保育所に子どもを預けて働くというテ ーマで研究してきたが、保育所が地域における 子育てセンターの役割を果たしていくには、こ の2つの事例だけではなく家庭で育児をしてい る母親たちの調査や、研究も必要であると考え る。また、父親の育児参加についてはほとんど 触れることが出来ておらず、このこともこれか

らの課題である。

重ねて保育所が求められる様々なニーズに応 えていくためには保育者自身の、保育に対す る姿勢や、人間性が問われることになり、今後 の研究課題である。

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参照

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