高齢者を考慮した交通施設の改善について(高齢化 社会の交通計画に関する研究その3)
著者 本多 義明, 村本 清美
雑誌名 福井大学工学部研究報告
巻 32
号 2
ページ 285‑307
発行年 1984‑09
URL http://hdl.handle.net/10098/4344
第
3 2
巻 第2
号 昭 和59年9月高齢者を考慮した交通施設の改善について
(高齢化社会の交通計画に関する研究 その 3)
本 多 義 明 * 村 本 清 美On
工rnprovemen
七of
七he Transporata
七ion Faci1i
七ies in
七he Aging Socie
七Y
* * *
Yoshiaki HONDA , Kiyomi MURAMOTO (Received Aug. 1 , 1984)
Today
, 七he
七raffic environrnen
七surrounding the aged is de
七ereora
七ing. Then
,in
七his study
,some surveys are implemented to improve
七raffic faci1ities for the aged.
First1y , driving 1icence re
七en
七ion and traffic accident for the agedare s
七udied. Second1y , behavior charactaris
七ic of
七he aged in
七he centra1 distric
七is surveyed , whi1e wa1king speed of
七he aged and the signa1 time are measured. Third1y
, 七he quetionaire for the aged driver is implemented. Lastly , some
considerations for implovement of traffic facilities are carried ou
七.1 は じ め に
高齢化社会の進展は,予想以上に急激なものであり,近年では,国家的な政策にも地方自治体の 政策にも高齢者問題は掲げられている。とうした状況にあって,高齢者の交通問題は重視されては いるが,それは交通環境の改善といった概念的なζとや交通費の補助といった一時的な乙とに偏り がちである。
そ乙で,著者らは,一連の研究1)2)で明らかになった問題について,実際に調査を行い,交通計画 上の具体的な課題を呈示する。
*
建設工学科料 R & A総合計画研究所
本 研 究 は , 以 下 の 点 に つ い て 考 察 を 行 う 。 第 1Il.,高齢者の免許保有と交通事故の状況を統計資 料 よ り 把 握 し , 今 後 の 傾 向 を 概 観 す る 。 第21乙 , 高 齢 者 の 行 動 特 性 を 把 握 す る た め , 福 井 市 中 心 部 で 調 査 を 行 い , そ の 結 果 か ら , 歩 行 環 境 上 の 問 題 点 を 明 ら か に す る 。 第31[" 高 齢 ド ラ イ パ ー を 対 象 と し た ア ン ケ ー ト 調 査 を 行 い , そ の 意 識 と 自 動 車 運 転 に 関 す る 問 題 点 を 明 ら か に す る 。 最 後 に , 以上より明らかになった問題点の総合的な検討を行い,福井市を対象とした具体的な改善策を示す。
高 齢 ド ラ イ パ ー と 交 通 事 故 2
高 齢 者 の 免 許 保 有 状 況 (1)
わ が 国 で は , 自 動 車 免 許 保 有 者 は 表 一 1に み ら れ る よ う に , 経 年 的 な 伸 び を 示 し て い る 。 そ の 中 で も , 特 に 高 齢 者 の 増 加 率 は め ぎ ま し い 。 昭 和57年 に は , 総 免 許 保 有 者4,698万 人 中 , 約2.5 %の 119万 人 が 高 齢 者 で 占 め ら れ て い る ? 図 ‑1は 免 許 保 有 者 の 増 加 率 を 指 数 で 表 し た も の で あ る が , 総 免 許 保 有 指 数 が 比 較 的 緩 や か に 伸 び て い る の に 対 し て .65歳 以 上 の 免 許 保 有 指 数 は , か な り 急 に
‑‑‑‑'=コー免許保有者数
』 一 一 一 ー . . . .
65歳以上人口対比』ーーーー→総免許保有者 対比
(何歳以上免許保有者)
(万 人) 叩
ω
加 国 間 山 川 町 却
(臼歳以上人口対比)司司
H 4 4 同 司
6 5
引 司
2 1
(総免許保有者対比)川
1
市1
l H
川ーーパ│什
m w f 4 i
; ] 290
一 五 竺
4300
200
t
56 5755 54 53 52 51 50 S49
‑L‑
57 56 55 54 53 52 51 50 S49
65歳 以 上 免 許 保 有 人 口 の 推 移 ( 全 国 ) 図 ‑2
免 許 保 有 者 指 数 ( 全 国 ) 図 ‑
1
免 許 保 有 人 口 の 推 移 ( 全 国 )
年 度 S 49 50 51 52 53 54 55 56 57 総 免 許 人 数 32,143,688 33,482,514 35,148,742 37,022,922 39,174,099 41,042,876 43,0,3叩83 44,973,064 46,97,5877 保 有 者 伸 び 率 4.2 5.0 5.3 5.8 4.8 4.8 4.6 4.5 65歳 以 上 人 数 410,395 468,757 563,156 647,699 738,043 833,863 949,248 1,佃7,955 1,1叩,607 免許保有者伸び率 14.2 20.1 15.0 14.0 13.0 13.8 12.5 11. 5
構 成 比 1.3 1.4 1.6 1.7 1.9 2.0 2.2 2.4 2.5 表 ‑1
免 許 保 有 人 口 の 推 移 ( 福 井 県 )
年 度 S44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 総 免 許 人 数 190,570 200,834 209,田7218,351 228,696 237,914 247,085 260,228 274,176 287,939 299,437 310,608 322,567 335,140 344,944 保有者仲E障 5.4 4.5 4.0 4.7 4.0 3.9 5.3 5.4 5.0 4.0 3.7 3.9 3.9 2.9
65歳以上人数 933 1,538 1,837 2,242 2,771 3,251 3,841 4,549 5,216 5.867 6,663 7,637 8,575 9,509 10,228 免許保有者伸E障 64.8 19.4 22.0 23.6 17.3 18.1 18.4 14.7 12.5 13.6 14.6 12.3 10.9 7.6
構 成 比 0.5 0.8 0.9 1.0 1.2 1.4 1.6 1.7 1.9 2.0 2.2 2.5 2.7 2.8 3.0
表 2
伸びているのがわかる。また,図
2は
,6 5
歳 以上の免許保有状況を示しているO 昭和49
年か ら5 7
年l e
,実数では約3
倍,総免許保有者に対 する占有率は約2
倍に,6 5
歳以上人口対比も2 0
人に1人から10人に1人へと大きな伸びを示し ている。乙こでは,高齢者の免許保有率の急激な増加 が把握されたが,
6 5
歳以上で新たに免許を取得 することはほとんどないと思われるので,乙の 増加数は以前の取得者の移行を示しているとい えるo 図 3は乙の移行状態を把握するため,昭和5
2
年と5 7
年の5
歳毎の免許保有率を表した ものである。各年齢層とも増加しているが,高 齢者についてみると,6 5 ‑ ‑ ‑ 6 9
歳で6
%,7 0
歳以 上では2 %
が5
年前に比べ増加している。また,各年齢層の5年後の比率に対するベクトルの方 向をみると
5 4
歳までは上昇方向にあるが,それ 以後は下降方向になっている。乙れは,免許取 得者より免許放棄者の方が多いζ とを示してい る。しかしながら,免許継続者の比率も相当高 く,死亡率をそのまま適用した免許継続率は,6 0 ‑ ‑ ‑ 6 4
歳では5年間で 9 5 . 0
%,6 5
歳以上は9
1.4
%である。
300 65歳以上
200
一 ̲ ̲ L 主 体
ー....・
1100
γ
S49 50 51 52 53 54 55 56 57
図
4
免 許 保 有 者 指 数 ( 福 井 県 )80i開
70
60
50
40
30
20
10
図 ‑
3
年齢別免許保有率の変化(全国)(何歳以上免許所持者
) F 3 (千 人) 叩
(防蔵以上人口対比
) a
(総免許所持者対比)
一 工 二
L
免許保有者数』一一一一65歳以上人口対比l
←ー一一→総免許保有者対比
~-+ .‑.
̲ ̲ ‑ t ‑ ・ ‑
53 54 55 56 57
図 ‑5 6
5
歳以上免許保有人口の推移(福井県) つぎに,福井県の高齢者の免許保有状況をみると,全国とほぼ同様のととがいえる,昭和58
年の 総免許保有者は34.5万人,その中で高齢者は約3 %のI万 人 で あ る せ 表 ‑2は福井県の総免許保有 者と6 5
歳 以 上 免 許 保 有 者 の 推 移 を 示 し , 図 ‑4は そ の 指 数 を 示 し て い る 。 ま た , 図 ‑5は,福井県 の高齢者の免許保有状況を示している。昭和49
年から5 7
年までの聞に,実数では約3
倍,総免許保 有者に対する占有率は約2
倍に,6 5
歳以上人口対比は2 5
人にl
人から1 0
人に1
人へと増加を示してL可る。
以上より,今後も高齢者の免許保有率は増加傾向が続くと予想されるが,今後の高齢ドライパー を考慮した計画立案のためには,その推計が重要な課題である。
( 2 )
高齢者の交通事故高齢者の交通事故は,最近まで一万的な被害者としてのイメージが強かったが,前節でも示した ように高齢の免許保有者の増加により,加害者としての可能性も増加しつつあるo いっぽう,高齢 者は若い年代と比べて,事故にあった場合の致死率は高く,被害も大きい。したがって,高齢者の 交通事故は,加害者・被害者の両側面により深刻な問題を包含しているといえる。
乙乙では,まず,全国の高齢者の交通事故の状況についてみていく。昭和5
7
年の交通事故による 死者は9
,073
人で,6 0
歳 以 上 の 死 者 は , 約24%の2
,198人を占めている。事故時の状態は,歩行中
が5 4 . 9
%と最も高く,ついで車両乗車中が26.2%
,自転車乗車中が18.9%
であるoい っ ぽ う , 第 一 当 事 者 の 交 通 手 段 別 の 構 成 比 を み る と , 図 ‑
6
のようになり,自動車による事故 の比率は加齢とともに減少するが,自動二輪,原付,自転車,歩行者による比率はいずれも増加し ている。つぎに,交通事故の死傷者数を遭偶時の状態別・年齢別にみていく。歩行中の事故は,図‑71
乙示すように,死者は圧倒的に60
歳以上に多く,全体の43.5%
を占め,中でも7 0
歳以上の死者率が高20‑59歳
全 体
60‑64歳
60‑69歳
65‑69歳
70歳以上
70歳
1. 信号無視 2. 定行事の直前直後横断 3. 駐停車の直前直後横断
1. 自 動 車 2. 自 動 二 輪 4 その他の横断違反
3.原 付 4 自 転 車 5. 飛び出し 6. そ の 他 5.歩 行 者 & そ の 他
図
6
第1当事者の手段別構成比( 857
,全国) 図8
歩 行 者 の 違 反 事 故 (857, 全 国 )負傷者(10万人当り) 死者(10万人当り) 負傷者(10万人当り〉
死者(10万人当り)
ω 6 5 4 3 2 1 20 40 60 80 100 120 140160凶 ω 2 20 40 60 80 100 120 140 160凶
241.1人
図
7
歩 行 中 の 死 傷 者 (857
, 全 国 ) 図 ‑9
自転車乗車中の死傷者(857
, 全 国 )全 体
60‑64歳
65‑69歳
558
1. 安全運転義務違反 2. 一時不停止 3, 信号無視 4. 右左折違反 5. そ の 他
図 ‑
1 0
自転車乗用者の違反事故( 8 5 7
, 全 国 )傷者 死者
図
‑11 6 0
歳以上死傷者の年別推移(福井県)開 傷者
50
545 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58
図 ‑
1 2 6 0
歳 以 上 の 死 傷 者 の 構 成 比 ( 福 井 県 ) 5 61. 19歳 未 満 2. 20‑29歳 3. 30‑39歳 4. 40‑49歳 5. 50‑59歳 6. 60歳以上 図←
1 3
年 齢 別 第 一 当 事 者 の 構 成 比 ( 福 井 県 )234 20‑59歳
60歳 1
. 自動車 2. 自動二輪 3. 原 付 4. その他
図
1 4
第一当事者の手段別構成比(857
,福井県) くなっている。傷者は1 2
歳以上の子どもに多く,6 0
歳 以 上 は 全 体 の15.3%
で あ る 。 ま た , 図 ‑8
は, 歩 行 者 の 違 反 事 故 を 示 し た も の で あ る が ? 高 齢 者 の 違 反 は 全 体 と 比 べ , か な り の 差 異 が み ら れ , 信 号 無 視 , 走 行 者 の 直 前 直 後 の 横 断 と い っ た 自 分 の 能 力 の 過 信 や 不 注 意 に よ る 違 反 が め だ っ 。 自 転 車 乗 車 中 の 事 故 の 死 傷 者 を 年 齢 層 別 に 示 す と 図 ‑9
の よ う に な る 。 や は り , 死 者 は6 0
歳 以 上 が 最 も 高 い比率で45.9%
壱占めている。傷者は7' " 1 9
歳が最も多く,6 0
歳以上は1 4 . 2
悦 で あ る 。 自 転 車 の 違 反 事 故 は , 図 ‑1 0
11:示すように年齢による大きな差はみられない。つ ぎ に , 福 井 県 に お け る 高 齢 者 の 交 通 事 故 の 状 況 に つ い て み て い く 。 図 ‑
1 1
11:6 0
歳 以 上 の 死 傷 者 の 経 年 的 な 推 移 を 示 す 。 昭 和5 0
年 代 前 半 に は 死 傷 者 は 一 時 的 に 減 少 し て い る が , 近 年 再 び 上 昇 傾 向 に あ り , 昭和5 7
年 の 福 井 県 の 事 故 件 数 は4)1 0
,3 0 2
件,死者は9 5
人,傷者は3
,8 6 7
人,その中で,それ死 者 (10万人当り〉 傷 者 歩 行 中 (10万人当り〉 自転車乗車中(10万人当り〉
凶
ω ω ω
30 25 20 15 10 15 1
∞ a x J
3∞
4∞
fill6∞
7∞阻叩
10c0 160140120100 80 60 40 20 20 40 60 80 1∞
120 140図 ‑15(a) 全 事 故 の 死 傷 者 図‑15似 歩 行 中 ・ 自 転 車 運 転 中 の 死 傷 者
( S
57,福井県) ( S 57,福井県)ぞれ, 423件 (4. 1 % ) , 34人 (35. 7 % ), 3 99人 (10.3弘 ) が 高 齢 者 で あ る 。 ま た , 死 者 の 事 故 時 の 状 態 は , 歩 行 中 が50%,自転車乗車中が26.5%,車両乗車中が23.5%である。図‑12は, 60歳 以 上 の 死 者 と 傷 者 の 全 体 に 占 め る 割 合 の 推 移 を 示 し て い る が , 高 齢 者 の 致 死 率 は 傷 者 率 に 比 べ て 高 いといえる。
い っ ぽ う , 加 害 者 の 立 場 と し て の 高 齢 者 を み た 場 合 , 図 ‑131とみられるように,若い年齢層の第 一 当 事 者 の 構 成 比 が 減 少 し て い る の に 対 し て , 高 齢 者 の 構 成 比 は 増 加 傾 向 に あ る 。 昭 和48年から58 年 比 全 体 の 第 一 当 事 者 は5,289人から 3,427人に減少しているが, 50'"'‑59歳は239人(5.3%)か
ら354人 (10.3弘)に増加し, 60歳以上は89人 ( 1.7%)から 152人(4.4%)に増加しているo
図 ‑14は , 第 一 当 事 者 の 交 通 手 段 別 の 構 成 比 を 示 し た も の で , デ ー タ 数 の 関 係 に よ り 多 少 偏 っ た 結 果になっているが,自動車による60歳以上の第一当事者は87人(全体の 3.2%) ,原付による第l
当事者は30人(全体の22.6%)と高齢者では比較的原付による事故の比率が高いことを示している。
つ ぎ に , 交 通 事 故 の 死 傷 者 数 を 状 態 別 ・ 年 齢 別 に 図 15 (a)(b)に示す。図‑15(a)にみられるように,
全 事 故 に つ い て は , 死 者 は 高 齢 者 , つ い で16...29歳 の 若 者 が 多 い が , 傷 者 は16...29歳 の 若 者 に 圧 倒 的に多い。また,図一15(b)1(示す歩行中,自転車乗車中の事故では,高齢者と子どもの事故が顕著 である。歩行中の事故に60歳 以 上 の 死 傷 者 が 占 め る 割 合 は24.8悦,自転車乗車中では20.1%である。
本章では,高齢ドライパーの経年的な増加が明らかになり,乙の傾向が今後も続く ζと,それに
と も な っ て 高 齢 者 が 加 害 者 と な る 可 能 性 も 増 す と と が 予 想 さ れ た 。 い っ ぽ う , 高 齢 者 の 事 故 遭 遇 率 は,歩行中・自転車乗車中に高く,しかもそれが致死に直結するζとが把握されたo高 齢 者 の 利 用 可 能 な 交 通 手 段 は 限 定 さ れ て い る の に 加 え て , 身 体 的 能 力 の 低 下 や 交 通 事 故 の 危 険 性 は , 高 齢 者 の 外出行動をより困難なものにしている。とうした状況にあって,自動車は高齢者にとっての利便性,
自由度がともに高い手段であるが,一方では,免許を放棄させるといった提案も出されている。ま た , 他 の 交 通 手 段 利 用 者 に つ い て み て も , 現 在 の 状 態 が 続 け ば , 危 険 を 回 避 す る た め に 外 出 頻 度 を
減らし,一層生活圏を狭脳化する ζとになりかねない。そこで,今後,高齢者の行動を活性化する
た め に は , 自 動 車 利 用 者 に も 他 の 手 段 の 利 用 者 に も 適 応 で き る 総 合 的 な 交 通 環 境 の 整 備 改 善 が 必 要 である。
3
高 齢 者 の 都 心 地 区 に お 町 る 行 動 特 性 (1) 経 路 追 跡 調 査今 日 , ど の 地 域 に お い て も 都 心 は , モ ー タ リ ゼ ー シ ョ ン の 波 に よ る 交 通 集 中 , あ る い は , 商 業 を 目 的 と し た 表 面 的 な ア メ ニ テ ィ の 追 求 等 に よ っ て , 高 齢 者 に と っ て は , 危 険 で 不 便 な 場 所 と な っ て
~'\る o
そ乙で, ζの調査は,現在の都心地区における高齢者の主経路と行動特性を把握する乙とにより,
そ の 問 題 点 と 問 題 箇 所 を 明 確 に す る と と を 目 標 に 実 施 さ れ た 。 対 象 地 区 は 福 井 市 で 最 も 歩 行 者 通 行 量 の 多 い 福 井 駅 前 附 近 と し , 調 査 方 法 は 個 別 追 跡 , 調 査 対 象 人 数 は
6 4
名とした。天候は曇り時々雨,調査日時は昭和 59年 5月3日の午前 9時45分 よ り 午 後 3時 と し た 。 な お , 調 査 対 象 地 区 外 へ 出 た 場 合 3分 以 上 盾 か ら 出 て と な い 場 合 , お よ び , 交 通 機 関 に 乗 車 し た 場 合 は そ の 時 点 で 調 査 を 打 ち 切 った。
⑧
N図
‑16
高 齢 者 の 行 動 経 路まず,図
‑161
乙高齢者の行動経路を示す。 ζれより,高齢者の経路は,駅前通りと旧駅前通りに,起 終 点 は , 駅 ・ パ ス タ ー ミ ナ ル と い っ た 交 通 結 節 点 , お よ び , デ パ ー ト に 集 中 し て い るζとがわか る 。 な お , 主 要 な 起 点 ・ 終 点 の 数 は , そ れ ぞ れ , パ ス の 乗 降 場 で
1 2
と7
,福井駅で9
と6
,パスタ ー ミ ナ ル で4
と9
, だ る ま や 西 武 デ パ ー ト で2
と6
,放送会館デ:>I‑eートでは5
と1
であった。また,経 路 追 跡 調 査 の 状 況 を 表 ‑3 1<:.示 す が , 高 齢 者 独 自 の 行 動 が 随 所 に み ら れ , そ れ が 問 題 点 に つ な が っ て い る 。 そ の 中 で 特 に 顕 著 な も の を あ げ る と , 無 目 的 の
U
ターン1 6
名 , 歩 行 者 停 号 を 赤 で 平 然 と 渡る1 0
名 , 左 右 を き ょ ろ き ょ ろ 見 な が ら 歩 く8
名 , 途 中 立 ち 止 ま る5
名となっている。すなわち,高 齢 者 自 身 の 問 題 点 と し て は , 低 下 し た 身 体 的 能 力 , 散 慢 し た 注 意 力 , 回 り の 状 況 を 考 慮 に 入 れ な い 自 己 中 心 的 行 為 , 無 目 的 な ひ ま つ ぶ し 的 行 為 と い っ た 乙 と が あ り , 環 境 面 の 問 題 点 と し て は , 安 全 ・ 補 助 ・ 休 憩 施 設 や 案 内 標 識 の 不 足 , 交 通 シ ス テ ム の 不 適 当 さ と い っ た 乙 と が あ げ ら れ るo
表 3 高 齢 者 の 行 動 状 況
番 号 観 測 時 間 性 別 歩 行 場 所 途 中 の 行 動 問 題 行 動
9 : 4 8 . . . . . . . . .
男 歩 道 中 央 途 中 小 走 り 赤信号で半分渡る。
9 : 5 1
小 走 り の 時 l乙転びそうになる。2 1 0 0 8 . . . . . . . . .
女 歩 道 右 側 途 中 立 ち 止 ま る 階 段 の 昇 降 が つ ら そ う で あ るo
1 0 : 1 2
近くのベンチで休む。3 1 0 : 1 2 . . . . . . . . .
男 歩 道 両 側 杖左右をつをみき歩て歩行軌プく。跡昇がふらつ間く。
1 0 : 1 4
パスのステッ の 降 に 時 が か か る 。4 1 0 : 1 5 . . . . . . . . .
男 歩 道 両 側 物 を 拾 う た め に 需言をつが毒き官し拾ていはながにせら歩ず横く。断 歩 道 で な
1 0 : 1 8
よく立ち止まる い を る 。信
信走う号が赤渡侍 に な り か け で 渡 り 始 め 半 分 赤 で
5 1 0 : 3 4 . . . . . . . . .
女 歩 道 中 央 号って る。
1 0 : 4 0
を っ て い る 時 自 転 車 と ぶ つ か り そ になる。6
1 0 : 4 0 . . . . . . . . .
男 歩 道 中 央 本 屋 で 立 ち 読 み 歩行者信号赤で平然と渡る。
1 0 : 5 0
よく立ち止まる 杖 を と り に 家i乙戻る。1 1
・3 0. . . . . . . . .
赤駅ゆっ号階く り歩平を然手き時と 々立ち止まる。7
1 1 : 4 0
男 歩 道 中 央 商 屈 を の ぞ く 信の 段で す横り断に。つ か ま っ て 一 段 づ っ 上る。1 3 : 2 5 . . . . . . . . .
横左らを み な が ら 横 断 す る た め , 横 断 歩 道 か8 1 3 : 3 0
男 歩 道 左 側 途中立ち止まる 右はみをみだすな。がらゆっくり歩行。両地
何う手
ι
荷 物 壱 持 ち , 通 行 人 と ぶ つ か り そ9 1 3 : 4 0 . . . . . . . . .
女 歩 道 中 央 途中道を尋ねる に道食なる。
1 4 : 0 0
下か でべはな手がすら歩りにく つかまって歩くo1 4 : 0 9 . . . . . . . . .
商 屈 で 立 ち 止 ま 信傘号壱杖ががわ変歩りにして歩動る き〈1 0 1 4 : 2 5
女 歩 道 両 側 る にゆっ赤くにり い てわ り 渡, 出 す 車 も い る の1 4 : 3 5 . . . . . . . . .
横歩横行断断歩 道 が 近 く に あ る の に 無 視 し て 斜 め1 1 1 4
・3 8
女 歩 道 両 側者用信号点滅しでもあわてず。
1 2 1 4 : 5 0 . . . . . . . . .
男 歩 道 両 側 突 然U タ ー ン , 後 か ら 自 転 車 が き て ぶ つ
1 4 : 5 4
かりそうになるが,よけてくれる。つぎに,経路追跡調査による高齢者の平均歩 行時間・距離・時速を表
4に示す。標準で、は?
通常の成人の歩行速度は,時速
4 .3 k m
,高齢者 は時速3 . 5k m
という乙とであり,乙の調査は休 憩時間も含めたため,乙れより遅くなっている が,高齢化すると歩行速度がかなり低下する乙 とがわかる。また,男女別にみた場合,歩行距 離は男性が,歩行時間は女性が長い。(2) 交 差 点 横 断 調 査
道路を横断する場合,大別すると,立体交差
表
4
高齢者の行動実態(昭和5
9
年5月 3日実施)
男 女 全 体 人 数2 8
人3 6
人6 4
人 業時間 平 均5 . 7 8 . 1 7 . 6
(分) 標 準 偏 差
3 . 3 4 . 7 4 . 6
距 離 平 均258 240 248
(m) 標 準 偏 差1 7 1 144 152
策時速 平 均3 . 0 2 . 0 2 . 4 ( k m / h )
標準偏差 1.7
1.5
1.6
業休憩時聞を含む。
と平面交差があるが,立体交差は通常の成人でも体力を要し,高齢者にはより不向きであると思わ れる。先のアンケート調査2)の結果でも約38%の高齢者が危険を感じると答えている。ところが,
若い年代と比較した調査7)では,高齢者の万が歩道橋を多く利用しているという結果がでている。
乙れは,高齢者の方が,体力・時聞を消費しでも,危険の回避を選釈する傾向にあるζとを示して いる。また,先の調査にも現在の横断歩道に対する不満が強く表れていて,信号機の無い交差点で の横断,横断歩道が無い所での横断,青信号現示時聞に関して危険性壱強く感じている乙とが明ら かになっている。そζで,今後は,立体交差箇所を減らし,平面交差の安全かっ快適な改善が望ま れる。
乙ζでは,前節でも問題点としてあげられている高齢者の歩行速度と信号時間の適否に焦点を当 てた調査を実施したo 対象交差点は,図
‑17
1L.示すように五文路で交通量はかなり多いO 調査方法 は,ストップウォッチでの横断時聞の測定とし,調査対象人数は各年代(2 0 ‑ ‑ ‑ ‑ 3 9
歳,4 0 . . . . . . . . 5 9
歳,6 0
歳‑‑‑‑) ,男女別に約20
名づっ,天候は晴れ,調査日時は,昭和58
年5
月24日午前1 0
時より1 2
時とし た。なお,対象者は,歩行者信号が青になる以前に横断スタート地点にいる人,大きな荷物を持っ ていない人としたo‑ ‑ ‑ ‑
ー 一 一 ‑ ‑ ‑ ‑
j
~ ....
¥ ¥
図ー
1 7
50m
表
5
交差点の横断時間男 性
2 0 ‑ ‑ ‑ ‑ 3 9
歳 平 ( 秒y均)2 5 . 1
標準偏差
2 . 4
平 (秒均)2 6 . 8 4 0 ‑ ‑ ‑ ‑ 5 9
歳標 準 偏 差
2 . 5
平 (秒均)3
1.0 6 0
歳以上標 準 偏 差
3 . 7
平 (秒均)2 7 . 7
全 体標準偏差
3 . 9
女 性 全 体
2 6 . 9 2 6 . 0
3 . 1 2 . 9 2 9 . 0 2 7 . 9 2 . 8 2 . 9 3 5 . 0 3 2 . 9 5 . 2 4 . 9 3 0 . 3 2 9 . 0
5 . 0 4 . 7 '
図
‑ 1 8 ( a ) (
司は,男女別に年代別の横断時間の分布を示したもので,表5はその平均を示したも
その差は年齢の上昇に伴って のである。平均横断時聞を比較すると,男女別には女性の万が長く,その差も大きくなる。標準偏差についても,男性より女性,
増す。年代別には,高い年代ほど高く,
高い年代ほど高く,図
‑18
にも示されるように,高齢者ほど個人差が大きいことがわかる。つぎに,高齢者の歩行速度と信号現示時間の適否についての検討をする。調査地点の距離は
39m
, 青信号現示時間は4 3
秒であり,青時間内に横断を完了するためには,歩行速度は秒速0 . 9 1
mを要求この調査では,
6 0
歳以上の平均歩行速度は1.2m/
秒で時間内の横断は可能で あるが,標準的な高齢者の歩行速度は1
m /秒であり?青時間内での横断は相当困難を要すると思 される乙とになる。われる。また,
6 0
歳以上の女性の中で2
名が横断するために4 2
秒を費しているが,信号が青になる 時点にスタート地点にいて何とか横断可能な歩行速度であるO 他lζ3
地点で青信号現示時間の測定 を行ったが,いずれも2 4 m
の道路幅にかかわらず,青信号現示時間は36
秒,2 7
秒,2 4
秒と差がみら この地点は横断歩道 れた。中でも2 4
秒というのは,標準的高齢者にとっても困難な時間であるが,橋と隣接していて選択の余地があるためと思われる。
本章では,高齢者の行動実態と特性が明らかになったが,高齢者の問題行動は交通環境の不備に 起因していると ζろが大きい乙とが,高齢者の赤信号横断と信号現示時間の不足という関係からも 把握された。他にも同様の例は多く,早急の改善が必要で、ある。また,先の調査では?歩行環境に 関するものでパス停のベンチ,階段の手すり,横断歩道,信号機等の施設に対する要望が強くみら れたが,乙のような高齢者の直接の意見を反映させる乙とも重要であると思われる。乙れらの対策 が実現すれば,全体的に歩行者を取り巻く交通環境はレベルアップし,終局的 l乙,本質的なアメニ ティの向上につながると思われる。
凶
ω
10 女 性
性 ll!¥γ20‑39歳
! れ
40‑59歳l f ¥ ミ
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男
制
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交差点横断時間の分布 図
‑18
高齢ドライパーの意識調査
4
調査の概要と単純集計
) 4 E
E A
(
調査の概要
①
2
章で示したように,高齢の第l
当事者は増加傾向にあるが,その原因を高齢ドライパー自身の 意識から探ることを目的に乙の調査を実施し,実際の施策 l乙要望,不満を生かすための情報づくりを 最 終 的 な 目 標 と し た 。 ア ン ケ ー ト の 質 問 事 項 は , 基 本 属 性 , 心 身 能 力 , 運 転 状 況 , 交 通 施 設 の 危 険 性 ・ 利 便 性 に つ い て で あ る 。 調 査 対 象 は
6 0
歳 以 上 の 免 許 保 有 者 で , 運 転 教 育 セ ン タ ー に 免許更新のため訪れた者である。調 査 は 昭 和
5 9
年5
月に行い,1 0 0
名 に 対 し て 面 接 方 式 で 行 っ た 。 な お , 乙 の 人 数 は 福 井 県 の6 5
歳 以 上 の 免 許 保 有 者 の 約1%
に相当するO② 基 本 属 性
図
‑19
に 示 す よ う に , 年 齢 別 で は6 5 " ‑ ' 6 9
歳 が 約半数を占め, 70 "‑'74歳 が31%, 75歳 以 上 が9% で あ る 。 居 住 地 は 福 井 市 外 が64.3%,有職者 は約70%で あ る ( 以 前 の 一 般 の 高 齢 者 に 対 す る ア ン ケ ー ト で は , 有 職 者 は28%)。自分の専用 車 は 二 輪 車 を 含 め 約80%の 人 が 所 有 し て い る 。 免 許 保 有 年 数 は
3 0
年未満,2 0
年未満という 順 で 多 く , 運 転 経 験 の 長 さ を 示 し て い るo③ 心 身 能 力 1 . 視 力
( 9 9 )
2 1
!
ふ つ う に 見 え る ;
や や 見 に く い 129.3 か な り 見 に く いh2.0
]68.7
2 .
聴 力 (99) ふつうに聞こえるlやや聞こえにく
J
一一‑:=J31.3m
聞 こ え に く い ド 「 一1
67.7a
平 地 歩 行 能 力( 9 9 )
ふ つ う に 歩 け る 亡 二 やや歩きにくいにコ日仏1 ゆっくりなら歩ける口6.1 4. 昇 降 能 力(98)
ふつうに昇り降り「一一一一 滑 り 降 り し に 』 コ22.4 ゆっくりなら昇り」ー‑‑... 降りできる トー...JlZ孟
] 65.3
5. 判 断 能 力(97) す ぐ 判 断 で き る
l
や や 聞 が あ る ト ‑ ‑ ‑ = : J38.1 か な り 聞 が あ る
h
2.1図 ‑20 心 身 能 力
1 . 年 齢 ( 100) 64
歳以下ドコ
9.065 ‑ 69歳r‑‑‑‑‑‑‑‑‑,I51.0 70 ‑ 74巌 l 131.0 75 歳
仁 コ ω
2. 居 住 地(98)
開寸寸寸ゴ
福 井 市 内 ‑ ‑ ‑'135.7
福 井 市 外 ト ー 一 一 一 ] 64.3 業(99)
3 .
職あ
な L
t=二二弓
30.3 4. 自 分 専 用 車(97)ア ( 二 輪 車 : 巳 r
E 免 許 保 有 年 数(97) 10年 未 満
20 年 未 満
τ
ゴ2ω30年 未 満 1 151.5 30年 以 上
1 69.7
性属本
ω
基) 一一 一一 コ一 一
nhu‑
一一 一一 一一 一
nHU‑‑
一一 一一 一一
n H υ /
t︑
一一 一一 一一 一一
噌E
A
‑
‑
一 一 一
‑ 一
nU
一
一一 力一 一一 一一 一一 山一 図 鳴 る し
古 車 き 乞 酔 る
運 で 葺 れ 車 転 り 疲
動ーはハリ刈
自 動 加 わ い
γ
普 状 に た
2 .
自動車運転頻度(96)
1日に 2回 以 上 1日 に l回 週 に 2. 3回 週 に I 回01.0
1週間以上に1回 仁J5.2
]75.0
49.0
3 .
自 動 車 事 故( 9 2 )
事 故 に あ っ た 事故にあいそうに なった 両 方 あ り 両 方 な し
4. 運 転 予 定 年 齢(87)
70 歳 未 満 江 70 ‑ 74 歳 75 ‑ 80 歳 80 ‑ 85 歳
48.9
47.1
図 ‑
2 1
自 動 車 運 転 状 祝図 ‑
2 0
は 心 身 能 力 に つ い て 示 し て い る 。 視 力 に つ い て は 約30%
の人が「見づらいJ
と回答してい る。視力の低下は,運転中の視点や視界に関連しているので,とうした乙との把握は重要である。聴力は,運転能力とは直接の関係はないと思われるが,
32%
の人が「聞きづらい」としていて,回 りの状況判断の障害の一因となっていると思われる。体力については,歩行時には約85%
の人が「ふつうに歩ける」と答えているが,階段昇降時には,
I
ふ つ う に 昇 降 で き る 」 と 答 え た 人 は65%
に減少している。判断力の低下を訴える人は最も多く,
I
判断してから行動に移すまでに聞があるJ
と答えた人は約
40%
あ る 。 自 動 車 運 転 の 際 に は , と っ さ の 判 断 が し ば し ば 要 求 さ れ る の で , こ のζ とは,安全性の問題に強く関連している。④ 運 転 状 況
図 ‑
2 1
は,運転実態や事故の経験等について示している。運転能力については,I
自転車,歩行 者 が 多 い と 運 転 し づ ら い 」 と す る 人 は24%
で , 高 齢 者 の 場 合 は 特 に こ う し た 運 転 時 の 障 害 が 負 担 に なっていると思われる。運転頻度は1
日に2
回 以 上 と い う 人 が 約50%
を 占 め 日 に1
固という人 を合わせると75%
になるo 以 前 の 調 査 で は ? 全 交 通 手 段 で の 1日の外出率は63%
であり,乙のとと か ら も マ ス ・ ト ラ ン ジ ッ 卜 が 不 足 し て い る 地 方 都 市 に お い て は , 自 動 車 は モ ビ リ テ ィ の 確 保 の た め には必要な手段であるといえる。事故の経験については,
I
あったことがあるJ
,あるいは「あいそうになった乙とがある」とす る人は,全体の50%
以上を占め,安全対策の必要性を示しているo運転予定年齢については,7 5 . . . . . . . . . 8 0
歳 が47%
と最も多く,8 0
歳以上を予定している人も2 5
%ある。乙の乙とより,今後,高齢のドライ パ ー が 一 層 増 加 す る 乙 と が 予 想 さ れ る 。 ま た , 運 転 予 定 年 齢 の 高 き は , い っ ぽ う で は 代 替 交 通 手 段の可能性の低さを表しているといえるO
(2) 交 通 環 境 に 対 す る 意 識
前 節 で基 本 属 性 ,心身能力 , 運 転 状 況 等 が 明 ら か に な っ た が , 乙ζで は , 交 通 環 境 に 対 す る 意 識 とζれ ら の 関 連 の 検 討 , お よ び , 意 識 の 詳 細 な 分 析 を 行 い , 高 齢 者 ド ラ イ パ ー の 潜 在 要 因 を 把 握 す るo
① 運 転 状 況 と 個 人 特 性
図 ‑
2 2 ( a ) ( b )
は,それぞれ,運転能力を基本属性別,心身能力別に表したものである。( a )
で、は,顕 著な差はみられないが,免許保有年数による若干の差がみられる。 (b)で は , 判 断 , お よ び , 平 地 歩 行 能 力 と の 関 連 が み ら れ , 知 覚 と 動 作 の ギ ャ ッ プ , 体 力 の 低 下 は 運 転 能 力 に 大 き く 影 響 し て い る と いえる。図
2 3 ( a ) (
闘は,それぞれ,運転頻度を基本属性別,心身能力別に表したものである。( a )
では,職 業 の 有 無 に よ る 差 が 最 も 顕 著 で , 仕 事 の た め の 利 用 が 多 い と い え るo また,免許保有年数による差 もみられる(データ数が少ない1 0
年未満のものを除く。)0 (引については,聴力に差がみられるが強 い関連があるとは思われない。図
2 4 ( a ) (
司は,事故の経験と基本属性,心身能力との関連をみたものであるo( a )
では,年齢が若 いほど,あるいは,免許保有年数が短いほど事故の経験が多いことが示されている。 (b)については,明確な差はみられない。
以 上 よ り , 自 動 車 運 転 能 力 は 判 断 と , 運 転 頻 度 は 職 業 の 有 無 と , 事 故 の 経 験 は 年 齢 , お よ び , 免 許 保 有 年 数 と の 関 連 が 強 い と と が 明 ら か に な っ たO
⑥ 視 力 1
ふ つ う に 見 え る 童 三 三 三 三 三 二 二 三 見 え に く い
E
三 三 三 三 三 三 三聴 力
ふ聴
⑥
齢 下 以 年 64歳
①
69 歳 65 ‑
74 歳 70 ‑
iと る
vつ ・
てコ え
75歳 乙
聴 き ζl く い 業
② 職 あ
⑦ り
平 地 歩 行 時 ふつうに歩ける し
な
歩 き に く い
⑥ 階 段 ・ 坂 昇 降 時 ふ つ う ζI 昇 降 で き る 車
り 用専
あ
③
昇 降 し に く い 断 すぐ判断できる 判@
し 免 許 保 有 年 数 な
④
未 満 10年
満 満 未 未 20年 30年
判断するまでに 聞 が あ る 上
30年 以
ふつうに運転できる 状況により運転しづらい
2
.
1. ふつうに運転できる2. 状況により運転しづらい
4 自動車運転能力(心身能力別)
視 力 ふつうに見える 図 ‑22(目
⑤
見 え ζl く い 力 に
‑ つ る
っと ・ え
⑥ 聴 ふ 聴
自動車運転能力(属性別)
齢 下
図 ‑22(a)
以 年 64歳
①
65 ‑ 歳 歳 69 74 70 ‑ 75歳
聴 き に く い 業
り 職
あ
②
平 地 歩 行 時
⑦
ふつうに歩ける り
あ
歩 き に く い
⑧ 階 段 ・ 坂 昇 降 時 ふ つ う lと 昇 降 で き る 車
り 専 用
あ
③
昇 降 し に く い 断 すぐ判断できる
*
,
J
@ し
免 許 保 有 年 数 な
④
満 10年 未
満 満 未 未 20年 30年
自断芸るまで
2
1 . 日tζ2回以上 3. 週iζ2,3回 以 上
30年
2 .
日に1
回 4. 週間以上κ 1回運転頻度(心身能力別) 図 ‑23(副
2
. 日iζl回 1週間以上にl回
運 転 頻 度 ( 属 性 別 ) 1日IC.2回以上
週に2,3回 4. 図 23(a)
3.
① 年 齢 2 64歳 以 下
6 5 ‑ 6 9
歳 70 ‑ 74 歳 75歳② 職 業
あ り な し
③ 専 用 車
あ り
な し
④ 免許保有年数 10年 未 満 20年 未 満 30年 未 満 30年 以 上
1. 事故にあった 2
. 事 故 に あ い そ う に な っ た 3. どちらもない
図 ‑24(a) 事 故 の 経 験 ( 属 性 別 )
⑤ 視 力 2
ふつうに見える 見 え に く い
⑥ 聴 力
ふ つ う に 聴 と え る 聴 き に く い
⑦ 平 地 歩 行 時 ふつうに歩ける 歩 き に く い
⑥ 階段・坂昇降時 ふ つ う に 昇 降 で き る 昇 降 しKくい
@ 判 断 すぐ判断できる 判断するまでに 聞 が あ る
1. 事故にあった
2. 事故にあいそうになった 3. どちらもない
図 ‑24(bl 事 故 の 経 験 ( 心 身 能 力 別 )
② 運 転 時 の 危 険 性
ま ず , 表 ‑6のクラマーのV係数により,各説明要因にはどのような危険性が大きく作用している の か を み て い く 。 特 に 高 い も の は , 専 用 車 の 有 無 別 , 免 許 保 有 年 数 別 の 「 雪 の た め 視 界 が 悪 い
J
, 運 転 能 力 別 の 「 歩 道 と 車 道 が 分 れ て い な いJ
,判断力別の「横断歩道以外の歩行者横断J
,r
自転 車 の 前 後 の 走 行 」 で あ る 。 乙 こ で , 特 に 問 題 点 と レ て あ げ ら れ る も の は , 判 断 力 に 関 す る も の で あり,上記の二項目はいずれもとっ注のブレーキ,ハンドル操作を必要とするものである。
また,運転時の危険性が強く表れている質問事項を単純集計の結果からみると,
r
雪のため滑り やすいJ
(98.9%),r
雪 の た め 視 界 が 悪 いJ
(94.8 % ),r
制限速度以上で走行する車が多い」( 93.7% ),
r
路 上 駐 車 が 多 いJ
93.7%であり,特に3番目の他車との速度の隔りによるものは,高齢者特有の問題と思われる。
つ ぎ に , 図 ‑25(a)(目(c)に 危 険 性 の 総 合 評 価 を 各 説 明 要 因 別 に 示 す 。 基 本 属 性 に つ い て は , 年 齢 の 比 較 的 低 い 者 , 免 許 保 有 年 数 が 短 い 者 は 危 険 意 識 が 弱 く , 有 職 の 者 は 強 い 。 心 身 能 力 で は , 大 き な 差 は み ら れ な い が , 運 転 能 力 が 劣 る 者 で は100%危険と感じているo 運 転 頻 度 で は , 最 も 頻 度 が 少 ない者が 100勃 危 険 と 感 じ 日 2回以上という者にも危険意識は強い。
表 ‑
7
は,数量化理論E
類 を 用 い た 危 険 性 の 総 合 評 価 に 対 す る 要 因 分 析 の 結 果 ( 相 関 比0.49)で ある。レンジが高い順応「路上駐車が多いJ ( 3 . 1 2
,)r
雪 の た め 滑 り や す いJ (2.16)
,r
制 限 速 度 以 上 で 走 行 す る 車 が 多 いJ
(1.6 7
)であり,偏相関係数の順位とは若干の差がみられるが,両者 の 相 関 は 比 較 的 高 い 。 し た が っ て , 総 合 評 価 に 対 す る 強 い 要 因 は 上 の3
つに編相関係数の順位が高 い「自運車の前後の走行」を加えたものである。表 ‑6 クラマーの
V
係 数 ( 運 転 時 の 危 険 性 )質 閲 年 餅
交悪差 点 で の 見 通 し が し
、 0.169 歩 道 と 車 道 が 分 か れて い な い 0.118
横歩断行歩道者以の外横で断の 0.162 自 転 車 の 前 後 の 定 行 0.198 雪 の た め 滑 り や す い 0.100 雪 の た め 視 界 が 悪 い 0.106 走制行限す速る度車以が上多でい 0.153 路 上 駐 車 が 多 い O 0.208 方規定向通指り出示窓器なをい 0.115 総 l口h、 評 価 0.211
① 年 齢
E
64歳 以 下 65 ‑ 69 歳 70 ‑ 74 歳 75才
② 職 業
あ り
な し
③ 専 用 車
あ り
な し
④ 免 許 保 有 年 数 10年 未 満 20年 未 満 30年 未 満 30年 以 上
⑤ 全 体
職 業 専 用 車 保免 許有 視 力 年 数 O 0.201 0.137 0.116 0.169
0.072 0.196 0.158 0.137 O O.泊7 0.116 0.191 O 0.239 0.172 0.099 O 0.222 0.056 0.067 0.167 0.073 0.149
。 。
0.1510.261 0.294 0.090 O.凹6 0.152 0.119 0.096 0.196 O 0.228 0.054 0.142 0.085 O 0.219 0.136 0.237 0.191 0.282 0.108
1. そう思う 2. 思 わ な い 3. ど ち ら と も い え な い
図 ‑25(剖 危 険 性 の 総 合 評 価 ( 属 性 別 )
平 地 階段・
聴 力 歩 行 坂 昇 降 能 力 能 力 0.106 0.100 O 0.202 0.135 0.153 0.088 0.0臼 0.086 0.089 0.038 0.099 0.089 0.075 0.040 0.074 0.1C泡 0.066 0.120 0.074 0.071 0.082 0.165 0.104 0.135 0.102 0.107 0.131 0.087 0.211 0.146
@ 視 力 ふ つ う に 見 え る 見 え に く い
⑦ 聴 力 ふ つ う に 聴 こ え る 聴 き に く い
⑧ 平 地 歩 行 時 ふ つ う ゆ け る ! 歩 き に く い
⑨ 階段・坂昇降時 ふ つ う に 昇 降 で き る 昇 降 しlと く い
⑩ 判 断
す ぐ 判 断 で き る 判 断 す る ま で にl 聞 が あ る !
運 転 判 断 力
能 力 0.168 O 0.233 0.141
。
0.283
。
0.1510.302
。
0.1閃0.254 0.088 0.061 0.080 0.099 0.120 0.051 0.058 0.107 0.128 0.108 0.134 0.296
運 転 事 故 頻 度 経 験
O O
0.219 0.229 0.138 0.209 0.194 0.212
O O
0.217 0.247 0.182 0.171 0.157 0.177 0.147 0.093 O 0.2回 0.241 0.091 0.126 0.234 0.159
。
0.250以 上o
0.200以 上2 3 1. そう思う 2. 思 わ な い 3. ど ち ら と も い え な い
図 ‑25(目 危 険 性 の 総 合 評 価 ( 心 身 能 力 別 )
因 カテゴリ サンプ カテゴリ・
レンジ !耐偏係相数関順位
要 Jレ数 ス コ ア
交し差カ事点いでの郎通 21思そわう思な うい 3527 ‑ 00..00587183 0.1391 8 0.0331 I 8 歩道と車道地1分 lそう思う 66 0.0155 0.0600 9 0.0126 I 9 かれていない Z思わない 23 ‑0.0445
樹の新新槌者以の外櫛で 21.思そわう思ないう 7118 一00..50177380 0.5908 6 0.0842 I 6 自転車の臓の l恩そわう思な う 78 ‑0.1519
1
.2291 4 0.l691 3 走行 2 い 11 1.0772
雪のた耐骨りや Z1.思そわう思ないう 87 0.0486 2.l630 2 0.1504 4 すい 2 ‑2.1144
雪のため視界が 2l,.思そわう思ないう 部 0.0154 0.3428 7 I 0.0366 7 悪い 4 ‑0.3274
制お民軒盤以多い上で 2l.思そわう思ないう 827 一10.1.5337102 .16682 3 I 0.2337 2 路上底車が多い Z lそう思う 836 ‑2 0..29010510 3.1151 1 10.3632 加出可直り旨示出器きをな規い l2.そ思tうえ思いう 7118 ‑00..17201127 0.8229 5 I 0.1418 5 総 合 評 価 z1思そわう思ないう 75
14
数 量 化 理 論 第
E
類 ( 運 転 時 の 危 険 性 )η=
0.494 表一7
月一
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@ 運 転 能 力 ふ つ う に 運 転 で き る
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状 況 に よ りi
運転しにくし叶 自動車運転頻度 1 日 tζl 2回 以 上l 1 日 IL:1
回 !
週lζ1‑3回
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1週間以上乗 l らな L、ととがi
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⑫
事 故 あ っ た と と がl
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全
3.
危 険 性 の 総 合 評 価 ( 運 転 実 態 別 ) 図 ‑25(c)
運 転 時 の 利 便 性
③
表
8
は , 各 説 明 要 因 別 に ど の よ う な 不 便 き が 大 き く 作 用 す る か を ク ラ マ ー のV
係数により表し た も の で あ る 。 特 に 高 い も の は , 年 齢 別 の 「 左 折 時 の 歩 行 者 飛 び 出 しJ
,職業別,免許保有年数別 の「一方通行が少ないJ
, 運 転 頻 度 別 の 「 標 識 , 信 号 機 が み づ ら いJ
,1
夜 間 照 明 が 少 な いJ
,事故 経 験 別 , 視 力 別 の 「 案 内 標 識 が 少 な いJ
, 歩 行 能 力 別 の 「 右 折 時 に 矢 印 信 号 が 出 な いJ
である。と の 中 で 特 に 注 目 す べ き も の は , 職 業 と 一 万 通 行 , 運 転 能 力 と 右 折 矢 印 信 号 , 運 転 頻 度 と 標 識 ・ 信 号 機 , お よ び , 夜 間 照 明 の 関 係 で あ る 。 ま た , 説 明 要 因 別 に つ い てV
係数が高いものをあげると, 免 許保有年数,視力,運転頻度である。運 転 時 の 利 便 性 に 関 す る 質 問 事 項 を 単 純 集 計 の 結 果 か ら み る と , 不 便 で あ る と い う 意 識 が 強 い も
「駐車場が少ない
J
(80.9%
)であり,前者は「左折時の歩行者の飛び出し
J
(89.2% )
, のは,判断力の低下した高齢者で特に強いと思われる。
図 26(a)倒 (c)は,利便性の総合評価を各説明要因別に示したものである。基本属性では,データ 数 が 少 な い75歳 以 上 を 除 け ば , 加 齢 に 伴 っ て 不 便 さ の 意 識 が 強 く な っ て い る 。 心 身 能 力 で は , 聴 力
との関連が強く,運転状況では顕著なものはみられない。
表 ‑9は,数量化理論
E
類 に よ る 利 便 性 の 総 合 評 価 に 対 す る 要 因 分 析 の 結 果 ( 相 関 比0.60)を レンジが高い順 Ir.,I
夜間照明が少ないJ
(1.31),1
休 憩 施 設 ・ 便 所 が 足 り な い 」 表している。したがって,
「駐車場が少ない
J
(1.05)で偏相関係数の順位もほぼ乙れに一致する。強い要因となっているのは付帯施設の不足によるものといえる。
(1.18),
表
8
クラマーのV
係 数 ( 運 転 時 の 利 便 性 )免 許 平 地 階段・ 運 転 運 転 事 故
質 問 年 齢 職 業 専 用 車 保 有 視 力 聴 力 歩 行 坂 昇 降 判 断 力
年 数 能 力 能 力 能 力 頻 度 経 験
車 道 が 狭 い 0.168 0.153 0.082 O 0.215 0.198 0.113 0.126 0.118 0.138 0.141 0.118 0 0.204 標見識・信号ら 機 がづ L、 0.118 O 0.209 0.162 0.178 O 0.215 0.095 0.151 0.188 O 0.202 O 0.212
。
0.281 O 0.221 右折時に矢な印 信 号 が 0.127 0.111 0.188 O O 0.201 0.116O
0.282 0.160 0.126O
0.269 0.152 o.鴎2で い 0.224
左飛折び時の歩出行者し
。
0.274 0.120 0.102 0.105 0.091 O 0.214 0.100 0.093 0.122 0.043 0.197 0.165夜 間 照 明 が 少 な い O 0.233 0.042 0.123 0.150 O 0.228 0.150 0.159 0.186 0.113 0.085
。
0.321 0.064案 内 標 識 が 少 な い 0.121 0.128 0.107 O 0.231
。
0.302 0.127 0.163 0.199 0.197 0.173 0.140。
0.2田一 方 通 行 が 少 な い 0.171
。
0.386 0.148。
0.261 0.137 0.068 O 0.204 0.167 0.114 Oa
210 O 0.236 0.169 便休所憩が施少設な い 0.153 0.107 0.173 0.164 0.154 0.186 0.007 0.106 0.170 0.086 0.147 O 0.228 駐 車 場 が 少 な い 0.181 0.098 O 0.246 0 0.233 O 0.214 0.105 0.132 0.080 0.099 o.出9 0.128 0.175 総 メ口、台 評 価 0.205 0.132 0.074 0.137 0.087 0.152 o.ω8 0.127 0.124 0.119 0.231 0.162」 一 一
①
70 ‑ 74歳 75歳
② 職 業
あ り
な
③ 専 用 車
あ り
な し
④ 免 許 保 有 年 数 10年 未 満 20年 未 満 30年 未 満 30年 以 上
⑤ 全 体
1. そう思う 2. 思 わ な い 3. ど ち ら と も い え な い 図 26(a) 利 便 性 の 総 合 評 価 ( 属 性 別 )
。 . o
おO以 上o
0.200以上⑥ 視 力 ふ つ う に 見 え る 見 え に く い
⑦ 聴 力 ふ つ う に 聴 ζ え る 聴 き に く い
⑧ 平地歩行時 ふ つ う に 歩 け る 歩 き に く い
⑨ 階 段 ・ 坂 昇 降 時 ふ つ う に 昇 降 で き る 昇 降 し に く い
⑩ 判 断
す ぐ 判 断 で き る 判 断 す る ま で に 聞 が あ る
2 1. そう思う 2. 思 わ な い 3. ど ち ら と も い え な い
図 ‑26(b) 利 便 性 の 総 合 評 価 ( 心 身 能 力 別 )