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規格化された白金表面での電極反応におよぼす

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) 田 口    哲

学 位 論 文 題 名

規格化された白金表面での電極反応におよぼす    電極表面構造・電極/溶液界面構造の影響

〜吸着アニオンによって制御される亜鉛イオンのアンダーポテンシャル    析出と電極表面原子配列によって制御されるニ酸化炭素の還元吸着

学位論文内容の要旨

    電 気 化 学系 で は 、 化学 ・ 電 気 ・光 エ ネル ギ一間 のエネ ルギ一 形態相 互変換 を高効率 で避め る こと が可能 である 。その 反応場 である 電極は電解質溶液中にあり、電極/溶液界面には電気二重屈が 形成 されて いる。 反応種 は溶液 バルク 側からこの電気二重眉に入り電子移行を起こすが、電極反応の 全容を理解するためには、電極表面の原子配列構造・電極に吸着している溶媒分子や電解質イオン柚・

電極 /溶液 界面の 電位勾 配など の影響 を考慮する必要がある。しかしながら、これまでの研究では、

これらの影響について総合的に検討された事はほとんどなかった。

    本 研究で は、電 極表面構造および電極/溶液界面構造が電極反応に与える影響をIリ]らかにする 為に、白金単結晶電極への亜鉛イオンのアンダーポテンシャル析出(Undcrpotcntial dcposition;UI D) と白金単結晶電極上の吸着水素.により二酸化炭素が還元されて吸着一酸化炭素が生成する反応とにつ いて 電位走 査法に より検 討した 。単結 晶電極 上への 亜鉛イオ ンのUPDを扱った研究はこれが最初であ る。

    本論文は九章から構成されている。

    第 一 章 では 本 研 究 の概 要 を 述 べ、 第 二章 では本 研究の 背景を 述べた 。第三 章から第 七章ま で で白 金単結 晶電極 への亜 鉛イオ ンのUPDに ついて調べた結果を述べた。第八章では白金!ii結ImE極へ の 二 酸 化 炭 素 の 還 元 吸 着 に つ い て 述 べ た 。 第 九 章 で は 、 全 体 の 結 諭 を 述 べ た 。     UPDと は 、 金属 イ オ ンM /金 属M間 の 熱 力学 的 平 衡 電位 よ り もプ ラス側 でMn゛が 電子を 受け 取っ て異種 下地金 属M.上 に単原 子眉以 下で電 析する 現象で ある。第 三章から第六章では、亜鉛イオ ンが 白金単 結晶電 極上にUPDする際 に、白 金表面 に吸着 してい た特異 吸着ア ニオンが このUPD過程に 及ぼす影響を検討した。電極表面原子配列(白金(111)面・(100)面・(110)面).溶液pH(pH=1〜5).

溶液 中のア ニオン 種(過 塩素酸 イオン ・硫酸イオン・燐酸イオン・塩素イオン・臭素イオン・沃素イ オン )を系 統的に 変化さ せるこ とでUPD直 前の吸 着アニ オンの 量および二次元構造を変化させてこの Ul'Dに対する効果を総合的に調べた。その結果、次の事を明らかにした。

(1)  UPD直 前 ま で 白金 表 面 に 吸着 し て い たアニ オンの 量が増加 すると 、亜鉛 析出量 も増加 した。

す な わ ち 、 下 地 金 属 上 の 特 異 吸 着 ア ニ オ ン は 亜 鉛 析出 を 促 進 する 効 果 を 持つ 事 が わ かっ た 。

‑ 990 ‑

(2)

UPD直 前 の 吸 着 ア ニ オ ン の 量 が 比 較的 多 く 吸 着ア ニ オ ン と白 金 電 極 との 結 合 カ はそ れ ほ ど 高 く ない場合 、吸着 アニオ ンは亜 鉛UPDに対 してエ ネルギ ー的に 有利に 働く、すなわち亜鉛析出電位は よ り正にな ること が明ら かにな った。 さらに この場合、析出波・脱離波の可逆度は向上する、すなわ ち 亜鉛UPD述 度は上 昇した 。この事 と(1)と は、多 くの場合 に見ら れる特 異吸着 アニオ ンの反 応阻害 種 としての 働きと は全く 正反対 であり 、電極 /溶液界面構造が電極反応に与える影響を考える上で特 筆 すべき事 である 。また 、0.1M KH2POヰ中の 白金(111)面では、電位を負に走査すると吸着リン酸柚 は ランダム に脱離 してい くと考 えられ るが、 このりン酸種の脱離に引き続いて起こる亜鉛析出の機構 も ランダム 析出モ デルで 説明で きるこ とが電 流電位曲線の電位走査速度依存性から明らかになった。

一方、亜鉛脱離機構は核発生−成長‐衝突モデルで説明できた。

(3)  臭素 イ オ ン や沃 素イ オンの ように 、吸着カ が強く しかも 強固な 二次元 規則構 造をと るアニ オ ン が白金(111)而に 吸着し ている 場合、亜 鉛析出は電位的(エネルギー的)に阻害される、すなわち 亜 鉛析出電 位はよ り負に なった 。この 場合の 亜鉛析 出・脱 離は、白 金(111)面に吸着したアニオンが 二 次元相転 移を起 こす電 位付近 で突然 ・急激 に進行しUPD波は鋭くなり、更に、析出・脱離ピークf川 に はヒステ リシス が観測 された 。これ は、二 次元相転移で特徴的に見られる現象である。この典型で あ るO.lM KH2P04中 に臭素イオンを含む溶液中では、亜鉛析出・脱離機構は核発生・成長・衝突モデル で 説明でき ること が電流 電位曲 線の電 位走査 速度依存性から明らかになった。以上より、亜鉛析出機 キ 冓 は 、UPD直 前 ま で 吸 着 し て い た ア ニ オ ン の 挙 動 に 支 配 さ れ て い る 事 が わ か っ た 。     第七章では、UPD一般に関係する検討を行った。金属イオンM /金属M闘の熱力学『|´、Jjl′ニ衡 電 位 か らUPDが 起 こ る電 位までの 電位差 、いわ ゆるUPDシ フトと 、UPD金 属と下地 金属と の岡の 仕求 関数差との間には直線関係があることが経験的には知られていたが、正しい定式化はなされていなかっ た 。そこで 、UPDシ フトに 関する熱 力学的 理論式 の導出 をBorn‑Habcrサ イクルを用いて行い、u Dシ フトを表す式には仕事関数差だけでなく外部電位(outer potential)の項も必要であることを初めて1リ亅 ら かにした 。さら に、こ れまで に報告 されて きた他 金属のUPD系と白 金単結品電極上の亜鉛イオンの UPDを 比較検 討して 、UPD全般 にたい する吸 着アニ オンの影 響につ いて総 括した 。その 結果、 亜鉛以 外のUPDでも上記(1)ヤ)に示した「吸着アニオンとUPDとの関係」は成立していることを見いだした。

こ れまで報 告され てきた 他金属 のUPDの実 験結果 だけで は、デ ータが 断片的であったり、限定された 系 のみを取 り扱っ てきた りしていたために、以上述べたようなUPDに対する吸着アニオンの影轡をIリJ 確にすることが困難であったと思われる。

    こ れ ま で の貴 金 属 単 結晶 電 極 へ の各 種 金 属 イオ ン のUPDの研 究 で は、主 に、非 常に限 定され た表面の静的な二次元呪刪構造を原子レペルで明らかにすることに主眼が置ぬれていた。本研究では、

吸 着アニオ ンの量 および 二次元 構造に 影響す る各種因子を系統的に変化させることにより、これまで 必 ずしも明 確には なって いなか った「 吸着ア ニオンがUPDの動的挙動に与える影響」を総合的にI川ら か にする事 に初め て成功 した。 白金単 結晶電 極への 亜鉛イ オンのUPDはこのことに関レて調ぺるのに 最も適した系であった。

    第 八 章 で は、 白 金 単 結晶 電 極 上 の吸 着 水素 によっ て二酸 化炭素 を還元 し吸着 ―酸化 炭索を 生 成 する反応 につい て検討 し、電 極表面 の原子 配列構造によって二酸化炭素還元活性が大きく変化する ことを明らかにした。低指数面に関しては、(111)面く(100)面く(110)面の順で二酸化炭素還元活性が増 大し、特に(111)面にはほとんど活性がなかった。さらに、(100)テラスをもち(100)‑(111)ステップをも

‑ 991 ‑

(3)

つ高指数面である(11,1,1)面についても検討し、(100)面の結果とも併せて検討したところ、(100)‑(111) ステップはニ酸化炭素還元活性がきわめて低いことを明らかにした。これは、(111) ‑(111)のステップ から成る(110)面の活性が極めて高いことと対照的であった。

    以上 のよ う に、 荷電 種で ある 金属イオンが 電極反応を起こす際に電極/ 溶液界面構造が与える 影響と含炭素小分子であ る二酸化炭素が電極反応で還元される反応に対し て電極表面原子配列枇辻が 与える影響を明らかにし た。今後、原子・分子レペル で進歩して譲た電極表面科 学が、再び、巨視的 視 点 か ら も 見 直 さ れ る よ う に な り 、 電 極謄 液界 面に お ける 反応 のよ り深 い 理解 が期 待さ れる 。

992―

(4)

学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査

教授 教授 助教授

大澤 長谷部 荒又

学 位 論 文 題 名

雅俊

    

清 明子

規 格化さ れた白金 表面での電極反応におよぼす    電 極 表 面 構造 ・ 電 極/ 溶 液 界 面構 造 の 影響

〜 吸 着 ア ニ オ ン によ っ て 制御 さ れる 亜 鉛 イオ ン の アン ダ ーポ テ ン シャ ル

  

析 出 と 電 極 表 面 原 子 配 列 に よ っ て 制 御 さ れ る 二 酸 化 炭 素 の 還 元 吸 着

  

規格化された電極表面の上での電着や吸着現象は理論的に取り扱いうること、これらの現 象は電極表面構造に敏感であること、溶液中に共存するアニオンの種類や濃度に敏感である ことが知られている。更に電極界面を制御することによって新しい現象が最近見出されてき ている。特に、電着あるいは吸着した際の表面状態がSTM(scanning tunneling microscope) により電位をかけた状態でその場観測され、電極表面および界面構造が明らかになろうと している。

  

こ のような 背景にあ って、本 論文では白 金単結晶 への亜鉛イオンの

1

原子層以下析出

(underpotential deposition)

過程と二酸化炭素の還元吸着過程を詳細に検討している。

  

本 論文 は

9

章 から な り 、

1

2

章 では本研究 の背景な ど、3 章か ら

7

章まで はunderpo‑

tential deposition

について、

8

章では二酸化炭素の還元吸着について、9 章では結論を述 べている。

underpotential depostion

,これは金属イオンがその金属上に析出するよりもプ ラ スの電位で異種金属上に

1

原子層以下だけ析出する現象をいうが、本論文では、この現 象を白金上への亜鉛イオンの析出について色々な条件の下で観測し総合的に解析している。

更にこの解析から、

underpotential deposition

現象一般にまで広げて議論が出来るのでは ないかと考察している。二酸化炭素の還元吸着については、結晶面構造依存性が高く、室 温 において

Pt(ll0)

では平衡吸着量にほばすぐに達するが、

Pt(100)

では約1 時間ほど掛か り 、

Pt(lll

) で は さ ら に 長 時 間 掛 か る こ と を 観 測 し 解 析 し て い る 。

  

この論文で新たに見出したことは以下のように要約できる。

 pHl

付近では 、

Zn

underpotential deposition

の電極表面構造依存性が大きく、

  Pt(ll0)

上で

Zn

underpotential deposition

は観測されたが、

Pt(lll)

上と

Pt(100)   

上ではほば観測されなかった。

●これを

pH

やアニオ ンの種類を変えて詳細に調べたところ、pH2 以上のりン酸溶液で

  

Pt(lll)

上 で も

Zn

underpotential deposition

が 明 瞭 に 観 測 さ れ た 。

(5)

●この現象を説明するために、アニオンの種類や結晶面構造を変えるなどの検討を更に

  

加える事により、吸着アニオンがunderpotential deposition の挙動に決定的な影響を

  

与えていることを明らかにすることができた。

●その1 っは、underpotential deposition の反応機構がアニオンの種類によって変化す

    I

  

ることであった。

・白金上への亜鉛のunderpotential deposition では亜鉛上への電析電位よりも1V もプ

  

ラス電位で電析が起こるが、これは熱力学的にも受け入れられ得ることをBorn 一Haber

  cycle

を使って考察した。

・白金電極上の吸着水素による二酸化炭素の還元吸着活性は電極表面構造に敏感で、

  Pt(ll0)

冫Pt(100) 冫Pt(lll) の順であることなどを詳細に検討し、更にPt(100) 船

  

よびこれに関係した高指数面についても詳細な実験を行い、ステップサイトがこの反

  

応におよばす影響を検討した。

  

審査員一同はこれらの成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心であり、大学

院課程における研鑽や取得単位なども併せ申請者が博士(地球環境科学)の学位を受けるの

に十分な資格を有するものと判定した。

参照

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