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ENVIRONMENTAL FACTORS CONTROLLINGTHE DISTRIBUTION OF FOREST PLANTS WITHSPECIAL REFERENCE TO FLORAL MIXTURE IN THE BOREO-NEIVIORAL ECOTONE, HOKKAIDO ISLAND

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(環境科学)植村 学位 論文題 名

 ENVIRONMENTAL FACTORS CONTROLLING THE DISTRIBUTION OF FOREST PLANTS WITH SPECIAL REFERENCE TO FLORAL MIXTURE      IN THE BOREO‑NEIVIORAL ECOTONE,        HOKKAIDO ISLAND

(森林植物の分布と環境要因,特に北海道の森林フロラの 混在様式に関する生態学的研究)

学位論文内容の要旨

  針広混 交林の フ口 ラの混 在様式 を定量 的に 分析し ,個々 の森林 植物の 分布と気候環境,生活様 式 , 森 林 構 造 と の 関 係 か ら , 北 海 道 に お け る 温 帯 ・ 北 方 植 物 種 の 混 在 様 式 を 考 察し た 。   (1)主要 な気候 要因で ある 積算温 度,積 雪日数 ,積 算降雨量の各傾度に対する個々の維管束植     物の 分布様 式を, 直接環 境傾度 分析 法によ って解 析した 。地 理的な 隔離機構など,気候以外     の要 因も植 物の分 布に関 与していると考えられることから,北海道との共通種が多く生育し,

    かつ 広い温 度領域 と多様 な降水 環境 条件下 で森林 植生帯 の垂 直的な 発達が顕著に見られる本     州中 部地方 におい ても同 様の解 析を 行い, 両地域 での結 果を 比較検 討した。中部地方での解     析の 結果, 森林植 物の分 布には 温度 要因以 外に, 積雪要 因が 特に重 大な影響を及ぼしている     こと が示さ れ,分 布が積 雪条件 のみ に強く 依存し ている 種も いくっ か認められた。積雪の影     響は 広域種 よりも 固有種 の,夏 緑種 よりも 常緑植 物の, っる 植物や 草本類よりも低木類の分     布に 対して 顕著で あった 。多雪 環境 に耐性 を示す 常緑低 木類 には, 照葉樹林を構成する母種     から 派生し たとさ れる分 類群が 多く 含まれ ており ,それ らは 積雪に より同化器官の凍害から     の保 護と融 雪直後 の効果 的な光 合成 によっ て,寒 冷な地 域の 森林内 に生育立地を獲得できた     もの と考え られた 。

  (2)北海 道の森 林植物 の分 布には ,温度 ,積雪 要因 に加えて降雨要因もかなり多くの種に対し     て影 響を与 えてお り,ま た中部 地方 との共 通種の 多くで 温度 的な分 布モードにシフトが見ら

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  れた。 積雪傾 度に対 する 分布に 関して は,北 方種 よりも 温帯種 の分布 により 強い 偏りが見ら   れるこ とから ,北限 地域 への温 帯植物 の分布 域の 拡散に 対して ,積雪 環境が 大き な影響を与   えたも のと推 定され た。 針広混 交林を 構成す る高 木樹種 の中で ,代表 的な落 葉広 葉樹である     ミズナ ラ, イタヤ カエデ ,シナ ノキは 温度 条件によってのみ分布頻度が制限され,積雪や降   雨条件 には無 関係で ある のに対 して, 常緑針 葉樹 のトド マツ, エゾマ ツ,ア カエ ゾマツはい   ずれも ,寒冷 で少雨 な立 地での 分布頻 度が高 いこ とから ,針広 混交林 は潜在 的に は少降雨域     ,

  でより 広い温 度領域 に成 立しう ること が明ら かに なった 。また ,過去 の北海 道と 本州との地   理的な 関係か ら,現 在の 温帯植 物の分 布は本 州からの後氷期の移入とともに,局所的なレフュ   ジアか らの拡 散にも 依存 してい ること が推定 され た。す なわち ,積雪 耐性植 物の 多くは渡島   半島か ら拡散 し,積 雪に 対して 非耐性 的な植 物や少雨な立地に分布のモードを示す種の中の,

‐ 少 な く と も 一 部 は 日 高 地 方 の 残 存 個 体 群 か ら 拡 散 し た と 考 え ら れ た 。

(3) 温帯・ 北方 植物種 の混在 現象を 森林 構造と の関係 から見 ると, これらの混在はブナ林を除   く各夕 イプの 森林に おい て顕著 に見ら れ,ま た林 冠層よ りも林 床にお いて著 しい 。生活形と   の関係 にっい ては, 北方 針葉樹 林内に おける 温帯 系の常 緑低木 類と, 温帯落 葉広 葉樹林内に   おける 北方系 の夏緑 草本 類によ る混交 が特に 目立 っ。針 葉樹林 内での 常緑性 温帯 植物の生育   は,こ れらの 種の耐 陰性 が低温 多雪環 境に対 する 前適応 となり ,結果 的に寒 冷域 に成立する   針葉樹 林内へ の生育 を可 能にし たもの と考え られ る。逆 に,落 葉広葉 樹林内 での 夏緑性北方   植物の 生育は ,最終 氷期 の北海 道に成 立して いた といわ れる落 葉性の グイマ ツ林 内に生育し   ていた 種が, 後氷期 にな って成 立した 落葉広 葉樹 林内に 生育立 地をス ライド させ たものと考   えられ る。す なわち ,北 海道に おける 温帯植 物と 北方植 物の混 在現象 は,完 新世 以降の気候   の変動 にとも なう積 雪や 上層木 の種組 成の変 化に 対する 林床フ ロラの 生活形 と季 節的な着葉   様式に 基づく 適応性 によ って生 じたも のと考 えら れた。

(4)林 床 に生 育 す る 植物に とって ,林冠 の構造 によ って決 まる林 内の光 環境 は,分 布や生 活様   式を制 限する 最も重 要な 要因で あると 考えら れることから,林床植物の季節的ナょ着葉の動態   を類別 し,そ れらの 分布 と上層 木の種 組成や 構造 および 林内の 光環境 の季節 変化 との関係を   解析し た。多 年葉植 物は ,光資 源が乏 しく競 争の 少ない 立地で 優占度 が高く ,こ れに対して   春植物 と夏緑 葉植物 は, 光資源 が豊富 で競争 的な 立地に おいて 優占し ていた 。夏 緑葉植物に   とって は,特 に夏の 光条 件が優 占度を 支配す る主 要因で あるこ とが示 された 。こ れらのこと   は,着 葉期間 と立地 の光 資源量 との間 に負の 相関 関係が 存在す るとい われて いる ことから予   想され たとお りの結 果で ある。 しかし ,二年 藁植 物は多 年葉植 物と同 様に越 冬葉 をもっにも

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(3)

  拘らず ,春と 秋の 光資源 の豊富 な立地 での 優占度 が高い 。その 解釈と しては,二年葉植物で   は上層 木の落 葉後 の効率 的な光 合成と ,同 化産物 の効果 的な転 流によ る短期間の開葉によっ   て,春 先の競 争の 激しい 立地に おいて 有利 となる ことが 考えら れる。 越冬葉と夏緑葉の両方   を同時 にもつ ヘテ 口プト シス( 異型落 葉) と,落 葉樹林 内では 秋と春 の落葉期での同化作用   に よ っ て 有利 で あ ると いわ れてい る冬緑 葉植物 は, いずれ の環境 要因と も相関 が見 られな   かった 。これ は, 前者が ニまた がけ戦 略( ベット ヘッジ ング) である ことと,後者では,積   雪によ る越冬 葉の 保護が ない立 地で, 越冬 に要す るコス トが秋 や春の 光合成により利得をう   わまわ った結 果で あると 推定さ れる。

(5) 以上 のよう に,積 雪期間 や林 冠構成 種の着 葉動態に起因する林床の光環境の季節変化は,

  高木種 の椎樹 を含 む林床 植物の 葉の生 存様 式や林 床の生 活形構 造を多 様化させ,同時にそれ   らは北 海道の 森林 植生に おける 温帯・ 北方 植物種 の混交 を促進 させた 重要な要因のひとっで   あると 結論づ けら れた。

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教 授

伊 藤 筒 井 五 十 嵐 福 田

浩 司     澄 恒 夫 弘 巳

  森 林植物 の分布 に対す る気 候環境 を,冷 温帯か ら亜 寒帯へ の移行 部に位 置する北海道と,それ らの 森林 植生帯 の垂直 的な分 化が 顕著に 見られ る本州 中部地 方に おいて 解析し,森林群落の種組 成, 生活 形およ び植物 地理学 的分 布要素 との関 係を明 らかに した 。また 森林植物の葉の季節的な 生存 様式 によっ て類別 し,そ れら の分布 と積雪 や森林 構造と の関 係から 北海道における森林フ口 ラの混在様式とその成立過程にっいて考察した。

  は じ め に 序 論 が あ り , 上 述 の 趣 旨 の に も と 本 研 究 の 目 的 が 述 べ ら れ て い る 。   っいで方法および用語の定義の説明があり,ここでは゛寒さ。,゛暖さ。,゛多雪。 ゛多雨いなど の用語にっいて定量的に定義されている。

  結 果 は4っ の パ ー ト に 分 か れ て 論 議 さ れ て い る が , っ ぎ の3点 に 要 約 さ れ る 。

(4)

  1. 気 候環境 に対す る分 布頻度 の解析 から, 森林 植物の 分布に は温度 以外に 積雪 要因が 重大な     影響 を及 ぼして いるこ とが示 された 。中 でもチ シマザ サ,シ ョウ ジョウ バカマ,ツルリンド     ウな どの 分布は ,温度 条件よ りも積 雪条 件に強 く依存 してい た。 積雪の 影響は固有種,常緑     植物 ,高 木類, 低木類 の分布 に対して顕著であった。多雪環境に耐性を示す常緑低木類には,

    照葉 樹林 を構成 する母 種から 派生し た分 類群が 多く含 まれて おり ,それ らは積雪により同化     器官 の凍 害から の保護 と融雪 直後の 効果 的な光 合成に よって ,夏 緑樹林 内に生育立地を獲得     でき たも のと考 えられ た。

  2. 北 海道に おける 森林 フ口ラ の混在 様式に っい ては, 針広混 交林を 構成す る高 木種の 分布特     性か ら, 混交林 は潜在 的に少 降雨条 件下 でより 広い温 度領域 に成 立する ことが示された。し     かし ,北 方植物 と温帯 植物の 混在現 象は むしろ 林床に おいて 顕著 であり ,特に北方針葉樹林     内に おけ る温帯 系の常 緑低木 類・草 本類 と,温 帯落葉 樹林内 にお ける北 方系の夏緑草本類に     よる 混交 が著し い。こ のよう な現象 は, 完新世 以降の 気候の 変動 にとも なう積雪や上層木の     種組 成の 変化に 対する 林床フ 口ラの 生活 形と葉 の季節 特性の 適応 性によ り生じたものと考え     られ た。 過去の 北海道 と本州 との地 理的 な関係 から, 現在の 温帯 植物の 分布は本州からの後     氷期 の移 入より も,む しろ局 所的な レフ ュジア からの 拡散に 強く 依存し ていることが推定さ     れた 。す なわち ,積雪 耐性植 物の多 くは 渡島半 島を, また非 耐性 植物は 日高地方をそれぞれ     中心 とす る地域 から拡 散した と考え られ た。

  3. 林 床に生 育する 植物 を季節 的な着 葉の動 態か ら類別 し,そ れらの 分布と 上層 木の種 組成や     構造 およ び林内 の光環 境の季 節変化 との 関係を 明らか にした 。そ の結果 ,夏緑葉植物は高い     光合 成機 能によ って, 光資源 が豊富 で競 争的な 立地に おいて 有利 であり ,これに対して多年     葉植 物は 耐陰性 が高く ,光資 源が乏しく競争の少ナょい立地で有利であることが示された。ま     た, 耐陰 性は多 雪環境 に対す る耐性 の獲 得にお ける前 適応で ある と考え られた。多年葉植物     と同 様に 越冬葉 をもつ 二年葉 植物は ,春 と秋の 光資源 の豊富 な立 地での 優占度が高い。それ     ら は 上 層木 の 落 葉 後 の効 率的 な光合 成と ,同化 産物の 効果的 な転 流によ る短期 間の開 葉に     よっ て, 春先の 競争に おいて 有利で ある と考え られた 。

  以上 の結果 をふま えて ,雪と 植物分 布,南 北両 要素の 混在お よび温 帯―亜 寒帯森林移行帯にお ける 植物種 の混在 に関与 する 主要因 として の葉の 変動な どに っいて 論議を 行い, 積雪期間や林冠 構成 種の着 葉動態 に起因 する 林床の 光環境 の季節 変化が ,高 木種の 稚樹を 含む林 床植物の葉の生 存様 式や林 床の生 活型構 造を 多様化 させ, 同時に 北海道 の森 林植生 におけ る南北 要素の混交を促 進さ せた重 要な要 因のひ とっ である と結論 づけら れた。

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  このように,これまで北海道における針広混交林の種構成が主に高木―林冠層の樹種の,しか も主として地理的分布からのみ考察されていたのに対し,申請者は林床構成種にまで研究の対象 をひろげ,雪あるいは降雨による乾湿,および葉の季節的動態などに着目して,針広混交林フ口 ラの混在様式の一般化を導いた。

  以上により,審査員一同は,申請者が博士の学位を受けるにふさわしい資格を有するものと認 めた。

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