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心電 図同期心筋

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 久 保 直 樹

学 位 論 文 題 名

心電 図同期心筋 SPECT から算出される左心室機能の 精度と再現性に関する心筋動態ファントムによる研究

学位論文内容の要旨

  左 心 室機 能お よび 左心 室 容積 は, 心疾 患 の診 断や 予後 評価 に 重要 な情 報を 与え る .心 電 図 同 期 心 筋 シ ン グ ル フ ォ ト ン エ ミ ッ シ ョ ンCT  (Single Photon Emission Computed Tomography: SPECT)と 専 用 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム の 処 理 か ら 左 心 室 容 積 や 駆 出 率 (Ejection fraction: EF), 壁 運 動 距 離(Wall motion: wrvDお よ び 壁 厚 増 加 率(Wall thickening: WT)を 算出 する こと は 既に 広く 行わ れて い る, この 手法 は1回の 検査 で ,心 筋 血 流 の 情報 と同 時に 左心 室 機能 の情 報も 得 るこ とが でき る. し かし なが ら, この 検 査か ら 得 ら れ る左 心室 機能 の精 度 評価 は, 他の 検 査法 から 得ら れる 値 との 比較 で報 告さ れ てい た に 過ぎ ない . 今回 ,我 々は心筋動態ファントム【End diastolic volume (EDV),143 mL; End systolic volume (ESV),107 mL; Ejection fraction (EF),25%]を開発した.このファントム を 使 用 する こと で, 撮像 装 置, 収集 ・処 理 条件 およ び解 析ア ル ゴリ ズム の種 類と 算 出さ れ る心機能の 精度と再現性について検証 した.

  収 集 条 件 の 違 い と し て は 心 電 図 同 期 に お け るR一R間 隔 の 分 割 数 と し た . 条 件は8分 割 お よ び16分 割 の2種 類 と し た , 次 に , 処 理 条 件 の 検 討 と し て は 前 処 理 フ イ ル タ で ある バ タ ー ワ ー ス フ イ ル タ の 遮 断 周波 数 を変 化さ せた .撮 像 装置 の違 いはAnger型 シン チ レー シ ヨ ン カ メラ と半 導体 素子 接 続シ ンチ レー タ 型カ メラ を比 較し た .ア ルゴ リズ ムの 違 いと し て は ,Quantitative Gated SPECT (QGS)ア ル ゴ リ ズ ム とMirage perfusion SPECTア ル ゴ リ ズ ム の2種 類 を 比 較 し た . 半 導 体 素 子 接 続 シ ン チ レ ー タ 型 カ メ ラ のSPECTデ ー タ にMirage perfusion SPECTア ル ゴ リ ズ ム を 施 し た も の(study1) , 半 導 体 素 子 接 続シ ン チ レ ー タ 型 カ メ ラ にQGSア ル ゴ リ ズ ム を 施 し た も の(study2) ,Anger型 シ ン チ レ ー シ ヨンカメラ にQGSアルゴリズムを施した もの(study3)とした.

  収 集 条 件 を 変 え た 場 合 , 測 定 さ れ た 左 心 室 容 積 と 真 の 容 積 と の 間 に は8分 割 お よび16 分割とも非 常に良い相関であった.RーR間隔16分割においてはy‑ニ ニ13十0.63x,r二二二0.99, SEE=1.3 mL,8分 割に おいてfまy二二ニ23十0.54x,r二ニ0.95,SEE=2.4 mLで あった,しか し 両 方 の 分 割 数 と も 過 小 評 価 し て い た . こ の フ ァ ン ト ム の 真 のEFは25% で あ る が ,16 分 割 に お い て は22% ,8分 割 に おい ては19%で あっ た. 処理 条 件を 変え た場 合, 左 心室 容 積 は 遮 断 周 波 数0.54 cycles/cmで プ ラ ト ー に 達 し た . しか し プラ トー にお いて もED時 で 17% ,ES時 で8% 過 小 評 価 さ れ た . 左 心 室 容 積 の5回 測 定に お ける 標準 偏差 は, す べて の 遮 断 周 波 数 に お い て2.2 mL未 満 で あ っ た . 遮 断 周 波 数0.39 cycles/cm以 上 で は ,WMお よ びWTは ほ と ん ど 変 化 し な か っ た . 標 準 偏 差 は ,WMで0.6 mm未 満 ,WTで8.7% 未 満 と 非 常 に 低 い 値 で あ っ た , 撮 像 装 置 お よ び ア ル ゴ リ ズム の 違い の結 果と して は ,ED時 の 容 積110土8mL (study1) ,112土2mL (study2) ,111土lmL (study3)で あっ た .一 方 ES時 の 容 積 は86土8mL (study1) ,93土4mL (study2) ,91土2mL (study3) で あ った .

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EFにおいては23土3%(study1),17土2%(study2),18土1%(study3)であった.これら,

ど の 条 件 に お け るEFも 真 の 値 に 近 く , そ れ ぞ れ に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た .   左心室容積が過小評価された理由は空間分解能劣化によるボケのため心筋厚が実際より 厚 く 描出 さ れ たた め で あっ た ,R−R間 隔8分 割 の ほう が16分 割 よ りEFを過 小評価し た理 由は, 時間方向 のスムージングが掛かったためであった.処理条件において,EFは 遮断 周波数 にあまり 依存しな かった .理由は 左心室 容積がED時ES時の両 方において同 程度 の空間 的ボケの 影響により相殺されたためと考えられた.測定されたWMも遮断周波 数に あまり 依存しな かった.この理由は,測定されるED時の心内膜はボケのため内腔側 にシ フトす るが,同 様に測定されるES時の心内膜も内腔側にシフトし,同程度の空間的 ボケ である ため相殺 され,WMとしてはあまり変化しなぃ結果となった.半導体素子接続 シ ン チレ ー タ 型カ メ ラ にお け る 心 電図 同 期 心筋SPECTか らの 左 心 室容 積お よびEFは Anger型シンチレーションカメラと同程度であった.これは半導体素子接続シンチレータ 型カメラに低エネルギー汎用型コリメータを使用したため,両カメラとも同程度の空間分 解能となり空間的ボケが同等で心内膜の内側へのシフトが等しくなったためと考えられた,

  結語 として 心電図同 期心筋SPECTを用 いて左 心室容積を測定することは妥当であると いえ た.駆 出率,壁 運動距離および壁厚増加率の値は,極端に低い遮断周波数(く0.39 cycles/cm)による処理条件以外ではあまり変化しなかった.そして高い再現性が認められ た . 半導 体 素 子接 続シン チレータ 型カメ ラにおけ る心電図 同期心 筋SPECTに おいて も Anger型シンチレーションカメラと同程度の精度で左心室機能と容積を求めることができ た.また2種類の左心室機能解析アルゴリズムを使用した場合においても同程度の精度で 算出することが可能であった.

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    玉木長良 副査   教授    櫻井恒太郎 副 査    教授    宮坂和男

学 位 論 文 題 名

心電 図同期心 筋 SPECT から算出される左心室機能の 精度と再現性に関する心筋動態フんントムによる研究

  左 心 室 機 能 お よ び 左 心 室 容 積 は , 心 疾 患 の 診 断 や 予 後 評 価 に 重 要 な 情 報 を 与 え る . 心 電 図 同 期 心 筋 シ ン グ ル フ ォ ト ン エ ミ ッ シ ョ ンCT(Single Photon Emission Computed Tomography:SPECT)と 専 用 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム の 処 理 か ら 左 心 室 容 積 や 駆 出 率(Ejection fraction: EF), 壁 運 動 お よ び 壁 厚 増 加 率 を 算 出 す る こ と は 既 に 広 く 行 わ れ て い る . こ の 手 法 は1回 の 検 査 で , 心 筋 血 流 の 情 報 と 同 時 に 左 心 室 機 能 の 情 報 も 得 る こ と が で き る , 本 研 究 は 心 筋 動 態 フ ァ ン ト ム [End diastolic volume (EDV),143 mL;Endsyst01icvolume(ESV) ,107mL; Ejectionfraction(EF) ,25%] を 開 発 し, こ の ファ ン ト ムを 使 用 する こ と で撮 像 装 置 , 収 集 ・ 処 理 条 件 お よ び 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム の 種 類 と 算 出 さ れ る 心 機 能 の 精 度 と 再 現 性 に つ い て の 検 証 を 行 っ た . 収 集 条 件 の 違 い と し て は 心 電 図 同 期 に お け るR―R間 隔 の 分 割 数 と し た . 次 に , 再 構 成 処 理 条 件 の 検 討 と し て は 前 処 理 フ ィ ル タ で あ る バ タ ー ワ ー ス フ ア ル タ の 遮 断 周 波 数 を 変 化 さ せ た . 撮 像 装 置 の 違 い はAnger型 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ メ ラ と 半 導 体 素 子 接 続 シ ン チ レ ー タ 型 カ メラ を 比 較 した . ア ルゴ リ ズ ムの 違 い とし て は ,QuantitativeGatedSPECT(QGS) ア ル ゴ リ ズ ム とMirageperfusionSPECTア ル ゴ リ ズ ム の2種 類 を 比 較 し た . 測 定 さ れ た 左 心 室 容 積 と 真 の 容 積 と の 問 に は8分 割 お よ び16分 割 と も 非 常 に 良 い 相 関 で あ り , 心 電 図 同 期 心 筋SPECTを 用 い て 左 心 室 容 積 を 測 定 す る こ と は 妥 当 で あ る と ぃ え た . 駆 出 率 , 壁 運 動 お よ び 壁 厚 増 加 率 の 値 は , 極 端 に 低 い 遮 断 周 波 数 に よ る 処 理 条 件 以 外 で は あ ま り 変 化 し な か っ た . そ し て 高 い 再 現 性 が 認 め ら れ た . 半 導 体 素 子 接 続 シ ン チ レ ー タ 型 カ メ ラ に お け る 心 電 図 同 期 心 筋SPECT に お い て もAnger型 シ ン チ レ ー シ ョ ン カ メ ラ と 同 程 度 の 精 度 で 左 心 室 機 能 と 容 積 を 求 め る こ と が で き た . ま た2種 類 の 左 心 室 機 能 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム を 使 用 し た 場 合 に お い て も 同 程 度 の 精 度 で 算 出 す る こ と が 可 能 で あ っ た .

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   口頭発表の後に櫻井教授からトリガー方法と心拍数の設定,駆出率の過小評 価の原因,先行研究の有無,現実の心臓により近づけるための改良点,収縮機 能評価の将来性についての質問があった.次に官坂教授からAnger 型と半導体 素子接続シンチレータ型に空間分解能の差があっても測定値に差がなかった機 序,high pass filter の効果にっいての質問があった.また玉木教授からは,

CT と MRI へ の ファ ントム 応用,空間 分解能の向 上による容 積の過小評 価改 善,将来に向けての研究テーマについて質問があった.いずれの質問に対して も , 申 請 者 は 自 験 例 や 文 献 を 引 用 し , 概 ね 妥 当 な 解 答 を 行 な っ た .    これまでの研究では,心電図同期心筋SPECT からの左心室機能の精度評価と しては他の検査法から得られる値との比較で報告されていたに過ぎなかったが.

心筋動態ファントムを開発し,心機能の精度と再現性を真の値と比較すること で直接的に実証した点で本研究は高く評価され,学位論文に値するものと判断 した.

   審査員一同は,これらの成果を高く評価し,申請者が博士(医学)の学位を

受けるのに充分な資格を有するものと判定した.

参照

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