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Academic year: 2021

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博士後期課程用

(様式4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

金泉 志保美 印

Nursing practice supporting the transition of technology-dependent children from hospital to home

(医療的ケアを要する小児の在宅への移行を支援する看護)

背景と目的

在宅でケアを受ける慢性疾患の小児、なかでも医療的ケアを要する小児の数が急速に増加している。

医療的ケアを要する小児の病院から在宅への移行期の看護に関する日本国内の研究は限られている。欧 米では、在宅移行期のケア・在宅ケアともに多くの研究が発表されているが、複数の立場の看護師の役 割を調査したものは見られず、また、日本とは保健医療システムが異なることからも、日本独自の研究 が求められている。本研究は、医療的ケアを要する小児の在宅移行支援における病棟看護師、退院調整 看護師、および訪問看護師の3つの立場の看護師の看護実践について明らかにすることを目的とした。

方法

質的記述的デザインを採用した。医療的ケアを要する小児の在宅移行支援に携わった小児病棟看護師、

退院調整部門の看護師、および訪問看護師の3つの立場の看護師を対象とし、半構成的面接を実施した。

分析にはグレッグ(2007)による質的記述的方法を用いた。面接内容の逐語録を研究目的に沿ってコード 化し、継続比較検討によりサブカテゴリ化、カテゴリ化、コアカテゴリ化を行った。

結果

研究期間中に、選定基準を満たす医療的ケアを要する小児として7例が紹介された。研究対象は、そ の7名の小児に携わる15 名の看護師であり、内訳は、小児病棟のプライマリナース7名、退院調整部 門看護師2名、訪問看護師6名であった。

以下、コアカテゴリを【 】、カテゴリを< >で表す。面接データ分析の結果、医療的ケアを要す る小児の在宅移行を支援する看護実践として、26のカテゴリが形成され、これらのカテゴリはさらにコ アカテゴリとして、【児の健康状態維持と発達への支援】【家族アセスメント】【親への心理的サポート】

【親の自己効力感を高める】【親へのケア指導】【家族の日常生活への支援】【自宅で生活する環境を整 える】【社会資源の調整および多職種でのかかわり】【親とのディスカッション】の 9 つに分類された。

26のカテゴリのうち、3カテゴリが、病棟プライマリナースと退院調整看護師に共通し、7カテゴリが、

病棟プライマリナースと訪問看護師に共通し、1カテゴリが、退院調整看護師と訪問看護師に共通して いた。<親の代弁者となる><育児支援としての医療的ケア指導><医療的ケアの具体的な指導の実施

><日常生活ケアの指導>の4カテゴリが、病棟プライマリナースのみに見出されたものであった。<

スムーズな申請のための調整><院内外の窓口の役割>の2カテゴリが、退院調整看護師のみに見出さ れたものであった。<親へのプラスのフィードバック><生活全般における相談><家族主体のケアの 尊重>の3カテゴリが訪問看護師のみに見出されたものであった。

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博士後期課程用 考察

本研究では、これまでに明らかにされていなかった3つの異なる立場の看護師の実践の共通性と特 異性、ならびに親の自己効力感を高める支援が明らかとなった。

病棟プライマリナースは、退院の見通しの有無にかかわらず、親の育児への携わりを促すために、医 療的ケアの指導を開始していた。親が自分の子どものケアをする機会を早い段階から提供することで、

親が子どもと過ごし親役割を発揮する時間が保障され、親子関係の促進につながる。親の代弁者となる ことも、病棟プライマリナースに特異な役割の一つであった。

訪問看護師は、親に対して、児の全身状態についてのプラスのフィードバックを行っていた。児の状 態が良好であるということは、親が適切に児をケアできているということであり、このことは親の自信 を高める。

退院調整看護師は、福祉制度利用に向けたスムーズな申請のための調整の役割を担っていた。公的な 申請に当たって親を支援することは、このような小児に関わる専門家にとって不可欠な役割である。院 内外の窓口の役割は、退院調整看護師の重要な役割の一つであった。退院調整看護師は、多職種間の連 携の中心となり、病院と地域とをつなぐ役割がある。

17のカテゴリが、複数のあるいは3つ全ての立場の看護実践に共通していたが、児の健康管理にお ける親の力を高めることや、必要物品の調整については、一つの目標に到達するために、それぞれで異 なるアプローチをとっていた。本研究の結果は、医療的ケアを要する小児の在宅移行の支援において看 護連携をより高め、スムーズな在宅移行実践に貢献できる貴重な結果と考える。

結語

1. 医療的ケアを要する小児の在宅移行を支援する、3つの異なる立場の看護師による看護実践の 共通性と特異性が明らかにされた。医療的ケアを要する小児と家族を支援する退院調整看護師の役 割が初めて明らかとなった。

2. それぞれの立場における看護実践の詳細が明らかとなった。本研究の結果は、それぞれの立場 の看護師が、自らの独自の役割を認識するとともに、他の立場の看護師の役割を理解する上での指 針となり、在宅移行支援の看護方策の開発に寄与し得る。

参照

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