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セルラーゼ、乳酸菌およびクエン酸添加が放牧サイレージの発酵品質と消化率に及ぼす影響

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Academic year: 2021

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J. Hokkaido Grassl.Sci.27 : 138-141(1993)

セルラーゼ、乳酸菌及びクエン酸添加が

牧草サイレージの発酵品質と

消化率に及ぼす影響

板垣亨哉、岡本明治〔帯広畜産大学)

三浦俊治、山下征夫(雪印種苗技研)

Effect of addition of cellulase and lactic acid bacteria and/or citric acid. on fermentation quality and on digestion of grass silage by sheep MichiyaItagaki and Meizi Okamoto Cobihiro Univ.of Agric.) Toshiharu Miura and Masao Yamashita

CTechnical Reserch Institute of Snow Brand Seed Co.L TD.) 緒 サイレージへの添加剤は今世紀の初めから研 究されていて、糖、蟻酸、尿素、乳酸菌製剤な どの効果が発表されている。その中でも、近 年、セルラーゼ、添加の研究が多い。しかし、セ ルラーゼ添加による発酵品質の改善効果はみら れるが、家畜の消化率を向上させるという報告 はほとんど見あたらない。 一方、クエン酸は動物の栄養代謝において大 切な働きをしているが、サイレージ添加剤とし ての研究はあまり見あたらなL。、 そこで本試験は、サイレージの発酵品質およ び家畜の消化率を向上させることを目的として セルラーゼと乳酸菌にさらにクエン酸を添加し てその効果を比較検討した。 に有効であるという報告I-3)より、本試験にお いても刈取り後ただちに細切し、添加剤を添加 後、容積1.

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の実験用コンクリートヒューム 管サイロに約

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日間埋草した。各添加剤の添加 処理は、無添加区(以下A区)、セルラーゼ+ 乳酸菌区(以下B区)、クエン酸+乳酸菌区 (以下C区)、セルラーゼ+クエン酸+乳酸菌 区(以下D区)とし、各添加割合は表l.に示 した。 表 1. 添 加 処 理 ( 原 物 % ) 対 照 区 : 無 添 加 セルラーゼ+手L酸菌区:セルラーゼ 0.1%+乳酸菌 0.1% クエン酸+乳酸菌区 :クエン酸 0.025%+乳酸菌 0.1 % セルラーゼ+クエン酸:セルラーゼ 0.1%+クエン酸 0.025% 乳 酸 菌 区 : + 乳 酸 菌 0.1% 消 化 試 験 及 び 窒 素 出 納 試 験 は 、 平 均 体 重 材料及び方法 41.2kgのサフォーク種去勢雄羊 8頭を用い、消 材料草は、帯広畜産大学付属農場の出穂期の 化試験用代謝ケージに入れて行った。

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日間の オーチヤードグラス主体混播牧草を1992年6月 飼い慣らし後、予備試験7日間、本試験5日間 下旬に刈取った。セルラーゼ‘添加は高水分材料 の12日間を1期とし、 4x4ラテン方格法で実 QO q d

(2)

北海道草地研究会報 27: 138-141(1993) 施した。飼料給与量は、羊の体重当り乾物で約 1.5 %に制限し、朝8時、夕方6時に半量ずつ 給与した。平均給与量は3.275gであった。 水、鉱塩は自由摂取とした。 結果及び考察 供試サイレージの発酵品質を表2. に示し た。 表2.供試サイレージの発酵品質 水分% pH 乳般 酢般 的倣 7ロW VFA/総NH.-N/T -餓 -餓 N 一一一一原物%一一一一一一一一%一一一 無 添 加 81.6 4.00 1.61 0.34 tr. tr. 20.7 5.7 セ+ル乳ラノー酸ゼ菌 81.0 3.97 1.81 0.44 tr. tr. 20.1 5.4 クエ乳+ 菌Y酸酸 81.3 3.97 1.96 0.40 tr. tr. 22.0 5.9 セ YJ酸レラー+ゼ乳+ク酸工81.0 3.96 2.12 0.35 tr. tr. 19.1 5.7 有意差検定 NS NS NS NS NS NS NS NS NS:有 意 差 な し 全処理区ともに水分含量は約81%と、高水分サ イレージに仕上がった。乳酸含量は、 A区と比 べて各処理区が若干高い傾向を示し、特にD区 はA区と比べて0.5%高かった。これは、添加 したセルラーゼ.が材料草中の構造性炭水化物を 単小糖類に加水分解し、それを乳酸菌が利用し た結果であろうと考えられる。総酸中に占める V F Aの割合は、 A区と比べて C区が高く、 D 区に低い傾向がみられた。全処理区とも、 p H は約

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.

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と低く、酪酸、プロピオン酸はほとん ど検出されず、全窒素中のN H3 - Nの割合も 約6 %と低く、良好な発酵品質であった。一般 に、サイレージの水分含量が75%以上になる と、酪酸発酵が進み、蛋白質の分解も多くな り、品質が低下する傾向にあるが、材料草中の 糖含量が原物中2%以上あると、環境温度に関 係なく、活発な乳酸発酵によって多量の乳酸が 生 成 さ れ 、 品 質 が 改 善 さ れ る と い わ れ て い る4-5)。本試験においても、材料草中の

wsc

含量が原物中

2

.

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%あり、さらに、密封が完全 に行われたために、高水分にもかかわらず良質 のサイレージが調整されたと考えられる。その 結果、各処理問には明確な差異は認められなか っfこ。 供試サイレージの組成を表3. に示した。 表3.供試サイレージの組成 乾 物 有 機 物 組 重 白 ADF NDF ,,~I![l-^ % 乾 物 % 18. 4 91.5 16. 0 40. 5 51.0 10.5 無 添 加 :!: O. 25 :! O:. 50 :!: O. 44 :!: O. 33 :!: O. 37 :!: O. 37 セルラーゼ 18. 5 91.3 16.0 39. 4 50. 1 10.6 +乳酸菌 :!:0.21 :!:0.43 :!:0.27 :!:0.80 :!:1.66 :!:0.72 7J.i酸 19.0 91.6 15.9 40.6 51.1 10.6 +乳酸菌 :!: O. 35 :!: O. 4g.:!: O. 68 :!: 1.20 :! O:. 72 :!: O. 87 セ的ーや夕日酸 19. 2 91.5 15. 7 39. 2 49. 9 10. 8 +乳酸菌:!:O. 93 :!: O. 42 :!: O. 54 :!: O. 87士0.15:!:0.39 有 意 差 検 定 NS NS NS NS NS NS 平均値±標準偏差 NS:有意差なし 有機物、粗蛋白質含量にほとんど差は認められ なかった。 ADF、 NDF含量は、対照の A区 と比較して、 C区はほぼ同様の値を示したが、

B

区及び

D

区では約1%の減少がみられた。こ れは、添加したセルラーゼが、材料草中の細胞 膜の主成分である繊維質のセルロースを分解し たためであると考えられた。 供試サイレージの消化率及びT D Nを表 4. に示した。 表4.供試サイレージの消化率及びT D N % 乾 物 粗 蛋 白 有 機 物ADFNDFへ ミ セ:TDN 質 ロースl % 乾 物 % : % 64. 7 66. 8 68. 7 65. 8 63. 9 56. 6 : 66. 2 無 添 加 : 1 :2. 45 :1: 2. 15 :1: 2. 73 :1: 2. 29 :1:2. 33 ::1 3. 42::1: 1.79 セIH-ゼ 64.7 66. 4 70. 5 64. 3 62. 8 56. 9 66. 3 + 乳 酸 菌 :1:2.61 :1:2.51 :1:2.40 :1:2.99士3.18 :1:4.32::1:2.28 ? エy酸 62.5 64.3 69.0 62.3 61.2 57. 1 64.0 + 乳 酸 菌 土3.67 :1:3.41 :1:3.33:1:4.11 :t4.10:1:4.69:士3.44 セルラーゼ+ク工i 66. 8 68. 2 72. 4 66. 0 65. 0 62. 0 : 67. 6 酸+乳酸菌:1:2.62 :1:2.59 :1:2.46 :1:3.12 :1:2.97 :1:3.02::1:11.88 有 意 差 検 定 NS NS NS NS NS NS:NS 平均値±標準偏差 NS:有意差なし

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J. Hokkaido Grassl.Sci.27 : 138-141(1993) 対照のA区と比べてB区の消化率にほとんど差 は認められなかったが、これは、発酵過程にお いてセルラーゼによる分解が進み、易消化性繊 維の減少が原因と考えられる。また、 C区は有 機物及びへミセルロースを除く他の組成におい て、消化率が低くなる傾向がみられた。一方、 D区は、 A区に比べて全ての組成において高く なる傾向がみられ、特に、有機物で3.7%、ヘ ミセルロースで5.4%高い値を示した。これに ともないTDN含量は、 A区とB区に差は認め られなかったが、 C区は全体的に低く、 D区は 高い傾向にあったが、統計的な差は認められな かった。 窒素出納を表5.に示した。 表 5.窒 素 出 納 摂 取 量 蓄 積 量

i

y

y

蓄 歩 / ,[ l摂 取 摂 取 摂 取 一一一一-g/目一一一一,-一一一ー一一一% 一一一一一一 無 添 加 :t 114.7 . 29 :t O3. 3 : . 65! :t 233.. 1 1 47 :t 44.. 6 7 7224. 2 .29 セJV]ーゼ+乳酸菌 :t 114. 2.39 :t O3.. 867 : :t 232. 9.63 42.5 24.9 士5.87 :t 6.17 ク エY酸+乳酸菌 :1t31.. 7 7 3 :t02..763: :t434..391 :t545..726 :t 319..040 乳 セJv酸ラーゼ菌+クエY酸+ 14.0 3.3 i 31. 0 46. 1 22.9 土1.90 :t 1. 81i :t 3. 80 :t 8. 93 土11.88 有 意 差 検 定 NS NS NS NS NS 平均値±標準偏差 NS:有意差なし 摂取Nは各処理区ともほぼ等しい量であった。 蓄積量は、対照のA区と比べてC区が低くな り、 B区が高くなる傾向を示したが、統計的な 差は認められなかった。また、摂取N量に対す る糞中、尿中の割合は

A

区と比べて

B

D

区で 低く、 C区で高くなる傾向を示し、また、蓄積 量の割合はB、D区で高く、 C区で低くなる傾 向を示したが、統計的な差は認められなかっ fこ。 摘 要 本試験は、サイレージへのセルラーゼ、乳酸 菌及びクエン酸の添加が、発酵品質および家畜 の消化性にどの様な影響を及ぼすか検討し、以 下の結果を得た。 1 .供試サイレージの発酵品質は、無添加、添 加ともに良質で差はほとんで見られず、添加 剤による効果はほとんど認められなかった。

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消化率は、クエン酸と乳酸菌添加で低く、 セルラーゼとクエン酸及び乳酸菌の混合添加 で高くなる傾向がみられたが、有意差は認め られなかった。 3.窒素出納は、クエン酸添加により蓄積率が 低下し、セルラーゼ添加により向上する傾向 がみられた。 引用文献

1) Henderson A. R. and McDonald P. ( 1 977) The effect of cellulase preparations on the chemical changes during the ensilage of grass in laboratory silos. Journal of the Science of Food and Agriculture, 28,486 -490.

2) Jacobs J.L., Cook J. E. and McAllan A. B. (1991) Enzymes as silage additives 2. The effect of grass dry matter content on silage quality and performance in sheep. Grass and Forage Science, 46,191-199.

3) van Vuuren A. M., Bergsma K. M., KrolKramer F. and van Beers J. A. C. (1989) Effects of addition of cell wall degrading enzymes on the chemical composition and the in

(4)

北海道草地研究会報 27: 138-141(993) sacco degrada tion of grass silage. Grass and Forage Science, 44, 223 -230. 4)安宅一夫(1986)サイレージバイブル(高 野信雄・安宅一夫編) .酪農学園出版部.北 海道. pp.

4

5

-5

1. 5 )名久井忠(1986)サイレージバイブル(高 野信雄・安宅一夫編) .酪農学園出版部.北 海道. pp. 53-64. d q

参照

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