修 士 論 文 の 和 文 要 旨
大 学 院 電 気 通信 学研 究 科 博 士 前期 課程 量子 ・物 質 工学 専攻 氏 名 森 本 孝 学 籍 番号 0333045 論 文 題 目 辺 共 有型 一次 元 銅酸 化物 ; Ca2+XY2-XCu5O10の 電 子 構 造の 研究 [背 景 ] 近 年 、Daggotoと Riceによ っ て、スピ ン ギャ ップ を 持つ 偶数 本 足梯 子化 合 物にホ ー ル ・ド ープ す る事 で超 伝 導が 発現 す る事 が理 論 的に 予測 さ れ、低次 元 銅酸 化物系 の 研 究が 注目 さ れた 。い ろ いろ な実 験 的試 みが な され たが 、 Uehara等 は スピ ンラ ダ ー 化合 物; Sr0.4Ca13.6Cu24O41が 高 圧 下 で超 伝導 を 示す 事を 報 告し た。 し かし 、 Sr14-XCaXCu24O41は 2本 足梯 子 構造 と辺 共 有鎖 構造 の 両方 を含 ん でい るた め 、こ の超 伝 導 が本 当に 梯 子構 造に よ るも のか 解 決さ れて い ない 。そ れ 故、 辺共 有 鎖ま たは 梯 子 構造 のみ を 含む 単純 な 結晶 構造 を 持つ 化合 物 に関 する 研 究は 、低 次 元銅 酸化 物 の 電子 特性 を 明ら かに す るた めに 重 要で ある 。しか し、ホ ール ・ドー プ された梯 子 構 造の 電子 特 性は 物質 作 製の 困難 さ から、い ま だ十 分に 明 らか にさ れ てい ない。 本 研 究で は辺 共 有鎖 のみ を CuO構造 と して 持つ 一 次元 銅酸 化 物;Ca2+XY2-XCu5O10に 着 目 した 。こ の 物質 は反 強 磁性 絶縁 体 で、 0≦ X≦ 2.0の固 溶 域を 持ち 、 Xの 値を 変 え る (Yを Caで 置換 する ) 事で 容易 に ホー ル・ド ープ 量を 制 御す るこ と がで きる 。 [目 的 ] TSFZ法に より 作 製し た単 結 晶(Ca2Y2Cu5O10、 Ca3Y1Cu5O10)と 直 線 偏光 され た 軟X線 を 用 いて、酸 素 1s吸 収端 近 傍の 軟X線 吸収 (XAS)及 び発 光分 光 (XES)測 定 を行 う。そ れ に より、1次 元 鎖構 造に お ける 酸素 2pの特 定方 位 の軌 道の 部 分電 子状 態、特にフ ェ ル ミ準 位周 辺 の状 態密 度 の様 子を 直 接観 察す る。併せて 、XASスペク ト ルの ホー ル 濃 度依 存性 を 観測 する た め、Xの値 を 細か く変 え た多 結晶 で のXAS測 定 を行 なう。 [実 験方 法 ]実 験 施設 はKEK_BL-2C(日 本 )と ALS_BL-8.0.1(米 国 )を 用い た 。XASで は O1s→ O2p の 遷 移を 観測 す る。 XESで は、 検出 器 を偏 光非 保 存(depolarized)と 偏 光保 存 (polarized)配 置に 置い て 測定 を行 な う。
[実 験結 果 ]
XASスペ クト ル から 、Ca2Y2Cu5O10で は 530eV付 近 にCu3dと O2pの 混成 に よる 上部ハ
バ ー ド・バン ド (UHB)状 態 (PU)を、 Ca3Y1Cu5O10で は PUに 加え て 、528eV付 近に ホー ル
状 態 (PH)が観 測 され た。XESスペク ト ルで は全 て のス ペク ト ルで 523、525eVにピ ー
ク が 観測 され た 。こ れら の ピー クは 酸 素2pのbondingと non-bonding状 態 に対 応し て い ると 考え ら れる 。ま た 、フ ェル ミ 準位 付近 に 観測 され た 小さ なピ ー クは 理論 計 算 から、Cu3dと O2p間の 励 起(CT励 起 )と Cu3d結 晶場 励起 (dd励 起 )に よ るも のと考 え ら れる 。XAS、 XESより 、 Ca2Y2Cu5O10で は 検 出 器 の両 配置 で 顕著 な異 方 性は 観測 さ れ なか った 。 Ca3Y1Cu5O10で は depolarized配置 に おい て異 方 性が 観測 さ れた が、 polarized配 置 にお いて は その 異方 性 は小 さか っ た。 これ ら の結 果は bonding状 態 が 525eVにも 成 分を 持つ こ とを 示唆 し てい る。 多 結 晶の XAS測 定で は、 全 スペ クト ル にPHと PUが 観 測さ れた 。 各ピ ーク の 面積 強 度 は 、PHは Xの 増 加に つれ て 比例 して 大 きく なり 、PUは非常 に 緩や かな 減 少を 示し
た 。これ らの PH、PUのホ ー ル濃 度依 存 性は 、2次 元 CuO2面(La2-XSrXCuO4等 )の 結果と