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地震学と歴史学との連携による歴史地震研究

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Academic year: 2021

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(1)「人文科学とコンピュータシンポジウム」2018 年 12 月. 地震学と歴史学との連携による歴史地震研究 佐竹. 健治(東京大学 地震研究所・地震火山史料連携機構). 大地震の発生間隔は数百年から数千年と長く,機器観測データのみでは大地震の履歴を調べること は困難である.歴史文書に記録された被害などの記述を使って過去の地震を調べる歴史地震学は,こ れまで主に地震学者によってなされてきた.そのため,史料の背景や信頼性などの検討が不十分であ った.最近になって地震学者と日本史研究者が共同で新史料の収集,既存史料集のテキストデータベ ース化,ならびに歴史地震学の研究を始めた.被害を起こした地震のみでなく,日記史料に記録され ている地震についてもデータベースを構築している.史料の記述から震度を推定し,震度分布や時間 的な変化を調べることで,過去の大地震や将来の発生予測が可能となる.国際的な標準に従った震度 データベースを構築する予定である.. Study of past earthquakes through collaboration of seismology and history Kenji Satake (Earthquake Research Institute, the University of Tokyo). Earthquakes have long recurrence interval of hundreds to thousands of years, hence it is difficult to study past earthquakes from instrumental geophysical observation data. In Japan, historical earthquake studies based on historical documents have been mainly conducted by seismologists, hence critical examination on background or reliability of documents were not sufficient. In recent years, historians and seismologists work together to collect historical documents, develop text database of published collections, and study of historical earthquakes. Databases have been constructed not only for damaging earthquakes but also slight earthquakes documented in daily records. Seismic intensities can be estimated from description in historical documents, and their spatial and temporal distributions make it possible to study past earthquakes and to forecast future ones. Intensity Data Point, an international standard database for historical earthquake studies, will be constructed. もあり,これらが正しいとすると,東日本大震災 は約 500 年に一度の出来事となる. 過去の地震の発生履歴から,地震の発生間隔 東日本大震災を引き起こした 2011 年東北地方 (1000 年あるいは 500 年),および最新の発生 太平洋沖地震は日本で初めて観測されたマグニ 時期 (869 年あるいは 1454/1611 年)がわかれば, チュード(M) 9 の地震であった.地震の規模を示 同じような規模の地震が一定の間隔で発生する す M は地震計で記録された地震波の振幅から決 というモデル(固有地震モデル)に基づいて,将 定するが,地震計を使った地球物理学観測は 20 来(例えば今後 30 年間)の発生確率を計算する 世紀以降に始まり,地震波形データはせいぜい過 ことができる. 去百年程度しかない.従って,東北地方太平洋沖 先に述べたように,器械記録(主に地震波形) 地震は過去百年で最大の地震であったというこ と地球物理学的理論に基づく現代的な地震学 とができるが,同様な地震はそれ以前には発生し (Seismology)は明治以降に発生した地震にしか ていたのであろうか? 適用できない.それより古い時代に発生した地震 約 1000 年前の 869 年(貞観十一年五月二十六 については,歴史記録に基づく歴史地震学 日)に東北地方太平洋沖地震とよく似た地震が発 生していた.六国史の一つである『日本三代実録』 (Historical Seismology)的手法を用いることによ り,日本では千年程度前まで遡ることが可能であ には,人々が倒壊家屋で圧死したり,地割れに埋 る.さらに古い地震については,地形・地質的な まって死んだりしたこと,大津波が雷のような音 痕跡(活断層・津波堆積物・海岸段丘など)に基 響とともに押し寄せ,たちまち(多賀)城下に到 づく古地震学(Paleoseismology)的手法を用いる り,原野や道路はすべて海となったこと,溺死者 ことにより, 数千年~数万年前まで遡ることが可 は千人ほどであったことなどが記録されている 能である. [1].まさに 2011 年東日本大震災と同じようなこ 本稿では,歴史記録にもとづく歴史地震学につ とが起きていたのである.それでは,東日本大震 いて,その歴史・現状,歴史地震データからわか 災は 1000 年に一度の出来事であろうか? 実は, ること,史料データベースの現状,世界における 1454 年享徳年間にも似たような地震・津波があ 歴史地震研究や今後の研究の展望などについて ったという研究[2],あるいは 1611 年慶長奥州地 述べる. 震津波が東日本大震災と似ているという研究[3]. 1.まえがき. ©2018 Information Processing Society of Japan. -1-.

(2) The Computers and the Humanities Symposium. Dec. 2018. 2.歴史地震研究の歴史と課題 歴史地震学の基礎データは地震について記さ れた史料である.史料には,命令・申請・契約・ 手紙などの発信者と受信者が明記された古文書, 藩や個人の日記・年代記などがある.また,地震 の史料は,その成立時期によって,地震発生と同 時代に成立した一次史料,近世(江戸時代)に編 纂された二次史料,さらには近現代(明治以降) に刊行された市町村史や地震史料集などの三次 (あるいは四次)史料などに分類できる.図 1 は 1611 年慶長奥州地震津波についての史料を成立 時期によって整理し,記述の依存関係についても 推定したものである[3].. 図 1 1611 年慶長奥州地震津波に関する史料 [3] Figure 1 Historical documents describing the 1611 Tohoku earthquake and tsunami [3]. 古代・中世の史料は奈良や京都に多く残されて いることから,その地震記録も奈良や京都に集中 しており,その数は近世以降に比べて少ない.し かし,近世(江戸時代)以降になると,残されて いる史料の数量が圧倒的に増えるとともに,全国 各地に残されている. 日本では,明治時代以降 3 回にわたって,史料 収集と史料集の刊行が行われてきた(表 1).1 回目は,1891 年の濃尾地震を契機に設立された 震災予防調査会の活動として,田山実が中心とな って 1904 年に『大日本地震史料』(2 冊)が刊行さ れた.2 回目は武者金吉によって行われ,『増訂 大日本地震史料』全 3 巻および『日本地震史料』 として 1941 年から 1951 年にかけて刊行された. 3 回目は,東京大学地震研究所の宇佐美龍夫らに よって行われたもので,その成果は『新収日本地 震史料』として 1981 年から 91 年までに全 21 冊 として刊行された.宇佐美はその後も『日本の歴 史地震史料拾遺』を刊行している. これらの史料集については,東京大学地震研究 所図書室のウエブサイトで画像データとして公 開されている(特別資料データベースのコレクシ ョン名から検索可能). http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/dl/meta_pub/G00000 02erilib. また,名古屋大学によってこれらの史料集の検索 システムが作られている http://wwwevrc.seis.nagoya-u.ac.jp/HistEQ/ 表 1 日本で刊行された地震史料集 Table 1 Collection of historical documents published in Japan 史料集名 編集者 収集期間 刊行年(ペ ージ数) 大日本地震史 田 山 1893-1903 1903 料 実 (1200 p) 増 訂 大 日 本 武 者 金 1928-1938 1941-1951 地震史料 吉 (4000 p) 新 収 日 本 地 宇 佐 美 19721981震史料 龍夫ら (>20,000 p). これらの地震史料集を用いて歴史地震研究が 行われ,地震の発生時・震央・規模(M)が推定 され,地学的背景(プレート境界や活断層などと の関係)が議論されてきた.その成果は,例えば 宇佐美による『日本被害地震総覧』としてまとめ られている.地震史料集は,地震発生と同時代に 成立した一次史料や,後の時代や違う場所で記さ れた二次史料を集めたものであるが,『日本被害 地震総覧』は著者の解釈が入った研究成果として 位置付けられる. 既存の地震史料集については,主に二つの問題 点が指摘されている.一つは史料の信頼性に関す るもので,もう一つは紙媒体あるいは画像データ であることである.既存の地震史料集は主に地震 学者によって史料の収集・刊行がなされたため, 歴史学において史料の素性を吟味する史料批判 がなされていない.一次史料と二次史料,さらに は三次史料が混在しており,収録された史料の信 頼性は一様ではない.史料の信頼性が低ければ, それから得られる地震像の信頼性も低くなり,極 端な場合,地震の存在が否定されることもある. これを解決するには,歴史学者と協力して,史料 の背景や信頼性などについて検討することが必 要である.二つ目の問題に関しては,テキストデ ータベース化することによって,年月日や地名な どによる検索が容易となる.その場合,史料の翻 刻や,旧字体・新字体をどのように取り扱うかな どの問題は残り,単に機械的にデジタル化すれば 解決するという問題でなく,やはり歴史学者との 連携が必須である.. 3.史料データベース 2003 年から石橋克彦らによって『古代・中世 地震・噴火史料データベース』が構築されてきた. https://historical.seismology.jp/eshiryodb/ このデータベースは 14 名の日本史・地球科学・ 情報工学の研究者の共同作業で,2009 年に一般 公開された[4].古代の西暦 416 年から慶長十二年. ©2018 Information Processing Society of Japan. -2-.

(3) 「人文科学とコンピュータシンポジウム」2018 年 12 月. 一月(1607 年 2 月)までの約 3000 件の地震・火 山噴火の史料が掲載されている(図 2).このデ ータベースでは,既存の史料集に掲載された史料 をそのままテキスト化するのではなく,歴史研究 者によって,刊本あるいは写本に遡って照合する という校訂作業を行い,史料の信頼性についても A~D の等級を付けた.テキストデータベース化 に当たっては,XML(Extensible Markup Language) を用いて日付・史料名などにタグ付けを行ってい る.. 図2. 古代・中世. 地震・噴火史料データベース [4]. Figure 2 Online Database of Historical Documents on Japanese Earthquakes and Eruptions in the Ancient and Medieval Ages [4] 東京大学では地震研究所と史料編纂所が地震 火山史料連携機構を設置し,地震学者と日本史研 究者が共同で新史料の収集,データベース化,歴 史地震の研究を始めた.被害を起こした地震のみ でなく,日記史料に記録されている地震について もデータベースを構築し,公開している. http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/project/eri-hi-cro/databa se/index.html. 図 3 ひずみ集中帯プロジェクトデータベース 1828 年越後三条地震の史料と推定震度 Figure 3 Example of data base for 1828 Echigo-Sanjo earthquake. 『ひずみ集中帯プロジェクト【古地震・津波な どの史資料データベース】』は,新潟県・山形県・ 長野県とその周辺で江戸時代に発生した 7 つの 地震について,『古代・中世 地震・噴火史料デ ータベース』に準拠した形式で文献史料に校訂を 加えたものである.また,1751 年越後高田地震 と 1828 年越後三条地震については,史料に記録 された家屋倒壊率に基づく震度分布図も提示し ている(図 3). 『都市の脆弱性が引き起こす激甚災害の軽減 化プロジェクト【史資料データベース】』は,関 東地方で江戸時代に発生した 37 個の地震の史料 についてのデータベースである[5].このうち, 1855 年安政江戸地震については,鯰絵なども含 めた膨大な数の史料が存在するため,すべてを網 羅していない. 『日記史料有感地震データベース』は,地震火 山史料連携機構によって史料の収集・データベー ス化が進行中のものであり,2018 年 10 月現在, 25 点の史料に記録された地震のうち,嘉永七年 (1854 年)~安政三年(1856 年)の有感地震に ついてデータベース化されている(図 4).総デ ータ数は約 88,000 件であり,そのうち地震に関 連するデータ数は約 2800 件である. 日記史料は藩や個人によって長期間記録され た史料で,16 世紀以前は京都や奈良などで記さ れたものに限られるが,17 世紀以降は江戸など で増え,18 世紀以降は藩役所,町・村の役人, 知識人・商人などの手で記され,全国に現存する. 記録された場所が特定でき,長期間にわたって同 時期に記録しているために,連続して安定かつ信 頼できる情報が得られるという特徴を持つ.また, 被害を生じない小さな有感地震も記されている. 日記史料を用いることで,個々の有感地震につい て,年月日や発生時間(約 2 時間単位),有感の 場所,揺れの大きさ(震度に対応)がわかる.. 図 4 日記史料有感地震データベースの例.1854 年 南海地震による地震動を記録した日記史料の分布. Figure 4 Example of database of felt earthquakes based on historical daily records. The map shows the distribution of felt records from the 1854 Nankai earthquake.. ©2018 Information Processing Society of Japan. -3-.

(4) The Computers and the Humanities Symposium. Dec. 2018. 4.震度分布と過去の地震 史料に記録された被害や有感地震記録から震 度分布を求めると,地震学的なデータが得られる. 地震の震源や規模がわかっている最近の地震に ついても震度分布が得られているので,それらと 比較することによって,過去の地震の震源や規模 を推定することが可能となる.例えば,図 5 は南 海トラフで繰り返し発生する巨大地震の中で最 新のものである 1946 年南海地震(M 8.0)による 震度分布である.紀伊半島や四国を中心に最大震 度が 5 であったこと,関東以西の広い地域で有感 であったことがわかる.このほかにも,津波高分 布,さらには四国や紀伊半島における地殻変動や 温泉の停止が知られている.これらの現象が歴史 文書に記録されている場合,南海トラフの巨大地 震であると同定することが可能である.. 図 6 南海トラフで歴史時代に起きた大地震の震源 域の時空間分布[6]. 図中の実線・破線・点線は信頼度 の違いを,数字は地震発生の間隔(年)を示す. Figure 6 Space-time distribution of great earthquakes along Nankai Trough [6]. Solid, dashed and dotted lines indicate different reliabilities, and numbers indicate recurrence interval in years.. 5.地震記録の時間分布と地震活動 日光東照宮は,徳川家康を祀る神社で,幕府に とって,重要施設であった.東照宮の社家御番所 では 『御番所日記』が書き記された.その内容 図 5 1946 年南海地震の震度分布.気象庁震度デー は, 東照宮の年中行事や祭礼,社殿の修築や造営, タベースによる 日光山内での出来事など多岐に及ぶ[7].貞享二年 Figure 5 Seismic intensity distribution of the 1946 (1685)三月~明治三年(1870)十二月までの期 Nankai earthquake based on JMA seismic intensity 間(186 年分),全 323 冊が存在し, 『日光叢 database. 書』の第一~二十二巻として刊行されている.こ 南海トラフでは,南海地震の 2 年前の 1944 年 れらに基づき,日光の地震についての史料集が作 に東南海地震(M 7.9)が発生している.その約 られている[8]. 100 年前の 1854 年には東海地震・南海地震が約 2 御番所日記には,「御宮御安全」の文言が毎日 日の間隔で発生した.さらに 1707 年には両地震 の記述にみられ,東照宮(御宮)の無事を日々確 がほぼ同時に発生した(宝永地震).さらに遡る 認することが御番所の最重要任務であったこと と, 南海トラフでは,684 年の白鳳(天武)地 がわかる.大きな地震があった際には,直ちに境 震以降,およそ 100~200 年間隔で繰り返し巨大 地震が発生してきたことと推定されている(図 6) . 内を見回り,被害について記録したほか,日々の 天気や有感地震についても記されている. そして,過去の履歴に基づき,今後 30 年以内に 御番所日記の地震記事を数えると,1685 年から M8~9 クラスの大地震が発生する確率が 70~ 1860 年までの 176 年間に約 1300 回の有感地震が 80%であると予測されている[6]. 記録されており,年毎の平均値は 7.5 回,中央値 は 5 回であった.日記の性質上,日毎にまとめら れており,一日に複数回の地震があった場合の回 ©2018 Information Processing Society of Japan. -4-.

(5) 「人文科学とコンピュータシンポジウム」2018 年 12 月. 数は不明であるが,「両度」は 2 回,「度々」は 3 回とみなした.1703 年には元禄関東地震により 東照宮に軽微な被害が発生したほか,余震が 60 回発生したことが記されている.1855 年の安政 江戸地震によっても東照宮,特に奥宮に軽微な被 害が生じたが,こちらは余震の数は少なかった. 最近発生した地震については,気象庁によって 震度分布が発表されるが,これらの情報は,震度 データベースとして整備され,1923 年以降に発 生した各地の震度を調べることができる.気象庁 の日光(中宮祠)観測点においては,1923 年~ 2017 年の 95 年間に震度 1 以上が 2421 回,震度 2 以上が 865 回,震度 3 以上は 202 回観測されてい る.1 年当たりにすると,それぞれ 25 回,9 回, 2 回となる.震度 1 あるいは 2 以上の地震が最も 多く発生したのは 2011 年であり,これは東北地 方太平洋沖地震の余震および誘発された地震活 動である.1949 年にも多くの有感地震が記録さ れているが,これは 12 月 26 日に発生した今市地 震(M 6.2, 6.4 の 2 回発生)及びその余震である. 江戸時代の 176 年間と大正以降 95 年間の地震活 動が同程度だとすると,東照宮御番所日記にはお よそ震度 2 以上の地震が記録されていたと言え る.また,御番所日記と気象庁震震度データベー スを繋げることにより(間に欠落期間はあるが), 日光における過去 300 年間の地震活動が明らか になった(図 7).. European Archive of Historical Earthquake Data, AHEAD).その結果,いくつかの国際的な標準 が作られてきた. まず,一次史料と二次史料とを区別するため, 史料やカタログが基づく根拠を系統図として示 すこと,カタログの根拠となるデータとその根本 史料とを区別する(それぞれを Root, Source と呼 ぶ)などの規則が打ち出されてきた. また,歴史地震研究の成果は震度データ点(IDP) として定量化されている. IDP とは,史料から 地震被害の記録されている日時・場所・震度を抽 出し,共有のデータベース化しようというもので ある(図 8).IDP データはイタリア(DOM), フランス(SISFRANCE),欧州各国(EMID), 米国(NOAA),南米(CERESIS)などで構築・ 公開され,確率論的地震危険度の予測などに用い られている. 日本でも,このような国際標準を取り入れるこ とが重要である.史料の信頼度については,歴史 研究者とともに,史料の成立時期,依存関係が調 べられている(図 1).印刷された史料集では史 料の吟味が十分になされていなかったが,データ ベースにおいては,信頼度を等級付けするなどの 改善がなされている.また,歴史地震研究の成果 を IDP としてまとめることが必要である.1923 年以降の震度データについては,気象庁によって データベースが構築されており,ウエブサイトに おいて検索や簡単な統計処理が可能である.気象 庁データとの連続性を視野においた IDP の構築 が必要であろう.IDP の 3 要素のうち,日時につ いては,暦や時刻精度について検討する必要があ るものの,比較的正確に推定可能である.震度に ついては,気象庁の震度階を採用するのが妥当で あろうが,客観性や精度について検討する必要が あろう.位置情報については,緯度・経度で表現 するのが妥当であろうが,位置精度の不均質さ (日記など,史料の書かれた都市から推定する場 合や特定の集落や建物まで言及した記載などが 混在する)についての扱いは検討する必要がある.. 図 7 日光東照宮御番所日記及び気象庁震度データベ ースに記録された毎年の有感地震数(1685 ~2017 年) Figure 7 Yearly number of felt earthquakes felt in Nikko based on historical daily records and JMA intensity database.. 6.歴史地震学の国際標準 歴史地震研究にも国際的な視点が重要である. 史料を用いた歴史地震研究は,欧州や中国などの 諸外国でも盛んに行われている.欧州では,過去 約 30 年間に歴史地震研究に関する国際共同プロ ジェクトが幾つか実施されてきた(最新のものは. 図 8 IDP の概念図 [9] Figure 8 Concept of Intensity Data Point [9]. ©2018 Information Processing Society of Japan. -5-.

(6) The Computers and the Humanities Symposium. Dec. 2018. 7.おわりに 繰り返し発生間隔の長い大地震の履歴を調べ, 将来の発生予測に役立てるには,史料に残された 地震の記録が有効である.基礎となる史料の信頼 性・独立性については,歴史研究者と地震研究者 の連携が必要である.また,史料をテキストデー タ化し,データベースを構築・公開することで多 くの研究者によって利用・検証することが可能と なる.さらには,時間,場所,震度の 3 要素を推 定・抽出することによって,国際的な標準である IDP の形式でデータベース化することが可能と なる.. 参考文献 1) 保立道久:歴史の中の大地動乱―奈良・平 安の地震と天皇,岩波新書,241pp., (2012). 2) 行谷佑一・矢田俊文:史料に記録された中 世における東日本太平洋沿岸の津波,地震 第 2 輯,66 巻,73-81(2014). 3) 蝦名裕一: 慶長奥州地震津波の歴史学的分 析, 宮城考古学,15,27-43(2013). 4) 石橋克彦:歴史地震史料の全文データベー ス化,地震第 2 輯,第 61 巻特集号,S509-517 (2009). 5) 佐竹健治・村岸純・榎原雅治・矢田俊文・ 石辺岳男・西山昭仁:江戸時代に関東地方 で発生した歴史地震の史資料データベー ス,歴史地震,33 号,61-77 (2018). 6) 地震調査委員会:南海トラフの地震活動の 長期評価(第二版)について,96 pp. (2013). https://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_ pdf/nankai_2.pdf(参照 2018-11-01) 7) 西山昭仁:御番所日記にみる日光東照宮で の地震対応,災害・復興と資料,第 6 号, 19-25 (2015) 8) 越川善明:下野地震史料, 399 ページ, (1984) 9) Stucchi, M., P. Albini and G. Rubbia Rinaldi: Historical earthquake data in Europe and the Euro-Mediterranean Intensity Database. Euro-Mediterranean Seismological Centre Newsletter, 16, pp. 5-7 (2000). ©2018 Information Processing Society of Japan. -6-.

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Table 1 Collection of historical documents published in  Japan  史料集名 編集者 収集期間 刊行年(ペ ージ数) 大 日 本 地 震 史 料 田 山 実 1893-1903  1903( 1200 p ) 増 訂 大 日 本 地震史料 武 者 金吉 1928-1938  1941-1951  (4000 p)  新 収 日 本 地 震史料 宇 佐 美龍夫ら 1972-  1981-    (>20,000 p)  これらの地震史料集を用い
Figure 2  Online Database of Historical Documents  on Japanese Earthquakes and Eruptions in  the  Ancient and Medieval Ages [4]
Figure  5  Seismic  intensity  distribution of the 1946  Nankai earthquake based on JMA seismic intensity  database
Figure  7  Yearly number of felt earthquakes felt in Nikko  based on historical daily records and JMA intensity  database

参照

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