<論文>連邦分権制と小売業経営 : Federated
Department Store 調査を通じて,連邦分権制の論理
性と歴史性とを検証する
著者
川崎 進一
著者別名
Kawasaki Shinichi
雑誌名
経営論集
巻
17
ページ
63-85
発行年
1980-12-30
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005833/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja連邦分権制と小売業 経営
Federated Department Store の調査を通じ て, 連邦分権制の論理性と歴史性とを検証するー 川 崎 進 一 63 は し が き 経 営組織 の設 計におい て, 成果 中心 の組織を考 え る ならば, 連 邦分権制が 最 も卓越し た設 計であ るとい うのは, 早くからp. F. ドラ ッカ ーの主 張で あ るが1)こ の論 文で は, 連 邦分 権制 の論 理が, 特 に 大 規模, 小売 業経営にお い て, 最 も卓 越し か組 織設 計であ るこ と, し か も, 歴 史的 現実 の中で, フェ デ レ ー-r ッ ド社に よっ てそれは 証明されてい るこ と, 更に, そ のフ ェデレ ー テッ ド社は, なぜ 成 長段階 の中で連邦制を 採用 せざ るを 得 な か っ た か, し かし , 今 日な おい かな る点 に 未熟さを もっ 七い るかな どを 問 題にし よ うとす るも のであ る。
ここで ケ ース とし て取 りあげ てい るア メリカ のフ ェデ レ ーテッ ド社(Fede-rated Department Stores, Inc.) は, ア メリカ最大 の百 貨 店 グル ープであ るこ とは よく知ら れ てい る。"Federated" とい う社 名は, かつ て 先見性を 持 つた い くつ か の伝統的 百 貨店が 連合,合 併し でっ くりあげ た 企業 名であ る。 し かし, どこ の都 市に行 って も, フ ェデ レ ーテ ッ ドとい う店 名の百貨店は 存 在し ない。 連合 全 体が“フ ェデ レ ーテ ッド”なのであ る。 フ ェデ レ ーテッ ド社 は, もちろ ん, 最初 から 連 邦制組 織 の論 理 の実 現を 目 指 し だ のでは なく て, 歴 史的 展開 の うちに,必然 的に 連 邦制組織を 設 計せざ るを得 な かった のであ る。 す なわ ち, あ る段階 におい て, 連 邦分 権 制組織が 卓 越した 組 織であ るこ とを 自覚し, こ れを 推進す るこ とに なった のであ る。 フェデ レ ーデッ ド社 は, これ まで 百貨店業界 ト ップ の座にあ り, 抜群 の業 績 をあげ て きた。 第二 位 の メーシ ―百貨店(Macy Stores ), 第三 位 のプ ライ ド(Allied Stores) を 売上 高に おいて 大きく引 き離して い る。 アメリ カの小
64 売業界全体をみても,フェデ レーテッド社のラン クは第8 位を 占め,百貨店 とし て大型小売業ベストテソに入るのは同社だ け で あ る。同社は1964年以 来,一貫してベスト・テソ の地位を堅持してきてい る。そのため小売業界か らその組織設計について注目を集めてきた のである。権威ある業界誌Busi-ness Week 誌は,既に早い頃から驚異的に成長するフェデレーテッド社に注 目して,その成長と組織戦略について報じている2)。 こ のことは,更に, アメリカに おけ る百貨店全体の衰退段階を考慮に入れ るならぱ,一層,この組織戦略は驚異的なことと考えねばならない のである。 アメリカの伝統的百貨店の立場は, W.R. Davidson の小売業ライフサイ クル理論8)に よって説明す るまでもなく,現実的に,ダウシタウソの衰退,デ ィスカウント・デ パートメソトズトアの急進, GMS の圧迫, 専門店のシェ ア拡大な どによって苦境に立だされてい る。 もちろん,フェデレーテッド社とい っても,いつ まで も,高成長,高収益 企業でい ることはできないであろ う。し かし,以上のような百貨店の衰退段 階にあって,高成長,高収益をつづけてきたことは事実であり,それが連邦 分権制に よるものであることは明ら かである。 し かし,フェデレーテット`社といって 乱 客観状勢 の変化に よっていつ ま でも,高収益企業でいるこ とはで きないであろ う。数多くの他の要因がある からである。しかし,これまで の成長と高収益が特異な組織に よることは確 かであり,環境 の変 化 に 対 して,今後 どう対応す るかは,長期的に見てい なけ ればならない問題である。 」 。 フ ェデレ ーテ ッ ド社の概 念 まず,はじ めに,流 通業界 におけ るフ ェデ レーテ ッド社 の歩 み と小 売業 界 の位置を明 ら かにし て おこ う。 第1 表 は, 1970年 に おけ る全米 流通業 の上 位10 社 の経 営指 標であ る。 第2 表 は1978 年 のそ れであ る。 こ の8 年 間に フ ェデ レ ー テ ッ ド社 の年 間売上高 は,21 億 ドルから54 億 ドルに 達し ,第9 位 から 第8 位に ラン クさ れてい る。 純 利 益は, 第5 位に ラン クさ れ てい る。70 年 よりやや下 った ものの依然 上位 に あ る。 売上 高純利 益率 も他 企業 から み る と非 常に 高い 。 やや 低く なって き た のは, やは りダウン タウンに あ る百 貨 店 の うちで 利益貢 献 度の低い も のを
第1 表 アメリカ小売企業上 位10社 連 邦分 権制 と小売 業 経営 65 (1970年) 順 位'70 ゛69 社 名 売上高(1000)( 糾00) 順位 売上純 利 益 (%) 利益率順位(人)順位従業員数 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 7 8 8 7 9 9 10 10 ズよ ス ローバック セーフウェイ・ストァズ に 二 −= づ 言 言'- ・) 土 工 。 二 言 二 回 し 9, 262,1625, 650, 0004, 860, 1674, 150, 8863, 735, 7742, 804, 8562, 595, 1552. 527, 9652, 096, 9351. 762. 005 464, 201 1 53, 000 8 68, 892 5114,096 2 39, 732 9 59, 637 7 66, 994 6 76, 624 4 82,169 3 10, 636 10 5.0 1 0.9 9 1.4 7 2.1 4 1.1 8 2,1 6 2.6 5 3.0 3 3.9 2 O.Q 10 359, 000 1120, 000 5 96. 760 6145, 000 3 83,811 7 127, 100 480, 500 8225, 275 275, 700 930,00 )1) 出所 :フ ォー チ ュン 誌(1971年5 月号) 第2 表 アメリカ小売業上位10 社 順 位'7S '11 社 名 ($ 000)売 上 高 純利益78年 ($0 〔)0) 1 1 2 2 3 3 4 4 5 6 6 5 7 7 8 8 9 9 10 H シ ア ー ズ. a ― バ ッ ク セ ー フ ウ ェ イ ・ ス ト ア ズK マ ー トJ.C. ペ ニ ー ク1コ ー ガ ーA & PF.W. ウ ー ル フ ー ス フ ェ デ レ ー テ ッ ド 百 貨 店 モ ン ゴ メ リ- ・ ワ ー ド デ ッ キ ー ・ ス ト ア ズ 17, 946, 33612, 550, 56911,812,81010,845,0007. 828, 0717. 288, 5776.102, 8005. 404, 6215,013.5144. 658. 409 921, 523 1146, 118 7343, 706 2276, 000 3 84, 596 12 4,791 48130, 300 8197. 896 5119,367 980, 400 15 出所: フォーチュン誌(1979年6 月号) もっ て い るか ら で あ る。 し かし, 1980 年2 月 で 終 る決 算 で は , 売 上 高は ,58 億60 万 ドル, 純 利 益2 億3 百 万 ドル と順 調 に 伸 び て い る。 同社 は, 現 在,20 事 業 部 門 か ら 成 り 立 っ て い る。 こ の うち18 部 門 は 既 存 店 舗 が 合 併 し て で き た も の で, 残 り の2 部 門は 新 設 部 門 で あ る。 フ ェ デ レー テ ッ ド社は , も ち ろ ん, 百 貨 店 部 門 が 中 心 セあ り, 店 舗数183 店 に な っ てい るが, ほ と ん ど古 い 歴 史 を もっ た 伝 統 的, 名 門 百 貨 店 とい っ て よい 。こ れ ら のほ かに,
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第3 表 フェデレ ーテッドを構成 する事業部 (1978 年)
事 業 部(店名) 創業(年) 店舗数 事 業 部( 店名) 創業(
年) 店舗数
Abraham & StrausBloomingdaie'sBoston StoreBullock'sBullock's No.California s.Burdine'sFilene'sFoley'sGold CircleDiscount StoresGold
Triangle Stores 1865 1872 1906 1906 1970 1898 1852 1900 1967 1968 11 15 6 20 5 19 15 9 48 6 Goldsmith's Lazarus Levy's
I Magnin & Co.Ralphs (
スーパーマーケット)Rike'sSanger-HarrisShillito'sRich'sRichway 1870 1851 1903 1876 1873 1853 1857 1830 1830 1970 4 14 1 24 97 5 11 9 15 18 出所: 同社の1980 Annual Report 第4 表 店舗数と売場面 積の動き Properties
Retail space (unaudited )at year-end was as follows: 店 名(square
beet in thousands)Abraham
& ぺStrausBloomingdale'sBoston StoreBullock'sBullock's No. CaliforniaBurdinesFilene'sFoley'sGoldsmith'sLazarusLevy'sI. MagninRich'sRike'sSanger-HarrisShillito's February 2, 1980 1 IT) CO O to1 1 CJ 19 5944145519 1 l CM t-l rM 4.566 3.397 1,343 4.473 872 3,634 1,886 2,789 1.093 3,465 298 1.632 3,735 1,662 2,128 2,330 February 3, 1979 1569564844135518 1 1 1 1 1 1 2 1 1 OSS space 4,545 3.407 1.343 4,409 872 3,166 1,829 2,471 1.056 3.464 298 1.501 3,713 1,662 2,128 2,173
連邦分権 制 と小売業 経営 67
Total Department Stores 183 39, 303 175 38, 037
Gold Circle Richway Gold Triangle 42 18 6 4,993 2,023 485 41 17 6 4,894 L930 485 Total Mass Merchandising 66 7,501 64 7,309 Supermarkets-Ralphs* 97 3,240 98 3,263
*In February 1980, the Company contracted to sell up to eleven nothern California stores,
subject to a nun 所:同 社 の1980年Annual Report
第5 表 各 店 の 売 上 高(比較)
Abraham & Straus 1979 Sales S 512. 0 1978 Sales 506.3 Bloomingdale's 1979 Sales わ18.2 1978 Sales 474.0 Boston Store 1979 Sales I 99.1 1978 Sales 92.1 Bullock's 1979 Sales 串405.3 1978 Sales 371.2 Bullock's Northern California
1979 Sales S 74.7 1978 Sales 67. 9 Bur dins I I Filene's Foley's 979 Sales S 407. 0 978 Sales 336.6 1979 1978 SalesSales 1979 Sales1978 Sales ・Goldsmith's 1979 Sales 1978 Sales Lazarus 1979 Sales 1978 Sales 1267.7 258.8 S 412. 2 377.6 S 112. 1 105.9 $ 325.4 312.4 Levy's 1979 Sales 1978 Sales I. Magnin 1979 Sales ・ 1978 Sales Rich's 11 昌 SS 訟 Rike's 1979 Sales 1978 Sales Sanger-Harris 1979 Sales 1978 Sales Shillito's 1979 Sales 1978 Sales Gold Circle 1979 Sales 1978 Sales Gold T II乱 弘I 萌7978 ‘ 拾1919 Richway Ralphs ssee SSee jj SS o> 00771919 1979 1978 SalesSales S 36.7 32.9 1205.8 175.6 $328.8 312.2 $ 122. 9 123.5 S 240. 7 211.2 $211.6 199.9 $ 387. 8 354.8 S 50.3 49,9 S 205. 4 182.6 $882.7 851.9 出 所: 同 社の1980年 犬Annual Report
68 ニ∧∧ 三つ めデ ィスカウソ ト・スト ア部門 と一う のスーパ ー -=?− ケット部 門があノる。 フ ェデレ ーテ ッ ド社 低 百 貨 店, そ れも伝統的, 名門百 貨 店を 構 成 の主力] とし てい る とい う意味 では, デ ービ ットソソ理論 から理 解す れば, 百 貨店か 合併な ど革新的 戦略 転 換を とらない 限 り, 衰退過程 のな かに 沈 滞す る小売業 となら ざるを えな か ったであ ろ う。 し かしに 単な る合 併 戦略は, フ ェデ レ ーテ ッド社 だけ で はない 。 デ ートン ハ ドソン百 貨店4> も合 併 に よってで きた巨大百 貨店であ り,アライ ト百貨店5) も合 併に よって で きた巨大百 貨 店であ る。 また, ブ ロー ド ウェ イ百 貨店6) で 知ら れてい る カー ター・ホ ー ソ・ヘ ル社 も合併 戦略を すす めて き た。\し か し, こ れら の百貨 店が 中小 都市 の百貨 店を 母体 とし て合 併し て きた のに 対し て, フ ェデ レーテ ッ ド社は, 比 較的 大都市に 立地す る名門 百貨 店を 中心 とし てつ くった点が合 併 戦略に おい て も特徴的であ る。 ……, ‥ た とえば, = ス アソ ゼ ルス のバg ツクス百貨店, アトラ ン タの リッチ ス百 貨店な どは, そ の地方 の名門 中 の名門 であ る。 。・I フェデ レーテ ッド翼下 の百貨 店 のなかで もアブ ラハ ム& スト ラウ ス(Abra-ham &Straus), ブ ル ー ミン グデ ール(Blooming dale' s),ラザ ラ ス(Lazarus), バーデ ィス(Burdiae's), リッチ ス(Rich's) な どは 業績 の よい 店で あ る。 た かで も, 全米0 中で最 も(, エキサ イ テ ィン グな 百貨店7>」 は ブ ルー−ミン クテ ー ルの本 店で あ る。 不況下 で も利益を 伸ばし てい る。 フ ェデ レ ーテ ッド社 のy 中で利益, 売 り上げ と も平 均を 上回 る伸びを示 してい る。 フ ェデ レーテ ッド社0 基礎 は, こ の ような 伝統的 名門百 貨 店0 合 併 と連 邦 原則 に よっ てし っか り固 めら れてい る。 し か も, 最近で は新 しい 分野 へ の戦 略的 展開 も積 極的で, 1968年に は, カリフ ォルニアで , 高収 益 ・高 占有率O スーパーマ ーケッ ト・ ラ ル フ ス(Ralph's)を 合併し, 同 社に とっては未 知 の-分野 であ る食品 スーパ・―部門に 本格的に 取 り組む ことに なった。1977 年 の ラ ルフ スに よ るコンビ ネ ー シ ョン ・ ストア への新業態 展開, 及び オペ レ ーシ ョン のコンピ ュー タリゼ ーシ ョン は連邦原 則に よる タリッう とし 七高く評価 さ れてい る。 さらに,新 しい 分野へ の第2 弾 として, 同年,デ ィ スカウン ト・ ストア路 門を 開設した。 こ れは合 併 ・買 収 ではな くて, フェデ レーテ ッ ド社 自らの 企 画であ り, 新 業態 の展 開 であ る。 …… ……… …
連 邦 分 権 制 と 小 売 業 経 営 69 こ の 新 事 業 部 門 は, 二 つ に 分 れ て い る 。 一 つ は, ソ フ ト ・ ダ ッ ズ を 主 と し て 扱 う ゴ , ル ド サ
ヴ ク ル(Gold Circle Discount Stores) で あ り , も う 一 つ は, パ ー ト ・ グ ダ ズ を 扱 う ゴ ー ル ド ・I ヽ ラ イ ア ン グ ル (Gold Triangle Stores) で あ る 。
百 貨 店 部 門 を 中 心 と し て , こ れ ら の 新/ し い 事 業 部 , ス ー パ ー 部 門 , デ ィ ス カ φ シ ト 部 門 も 合 め て, 20 の デ ビ ジ ョ ソ は 東 部 , 西 部 , 南 部 と 広 が づ て お り , 所 有 店 舗 は , 百 貨 店183 店 , デ ィ ス カ ウ ン ト ・ ス う ア66 店 , ス ニ パ ー マ ー ケ ッ しト97 店 , 計346 店 舗 で あ るo ダ 。 ,I・ 。 ’ ・ 。 ・ 』 ・ こ れ ら の 店 舗 の 全 売 上 高 り85 % は. も ぢ ろ ん, \百 貨 店 部 門 で あ る が. 15 % は 新 し い 事 業 部 門 か ら の 売 上 げ で あ る 。 し か も, 犬注 目 さ れ る の は こ れ ら の 新 事 業 部 門 の 成 長 率 が 高 い こ と で あ る 。 極 め て 短 期 間 に 店 舗 を 展 開 し , 構 成 比 を15 % も 持 っ て い る 。 こ れ も 連 邦 制 原 則 の スV ッ ト と 考 え ら れ る の で あ る 。 な お , 参 考 ま で に , そ れ ぞ れ の 店 の 売 場 効 率 を 示 す と 次 の よ う に な る ‰ Bloomingdale's Foley's Filene's犬Levy'sSanger-HarrisA &・SBurdine'sGoldsmith'sLazarusShillito's S 153 14・8 142 123 113 112 112 CO -* >-10 05 051
Bullock'・s 。'Rich'sBullock's North c.Boston
Store Rike's I. Magnin Gold Triangle Richway Gold Circle Ralph's 91 88 86 74 74 126 104 102 78 272 フェデ レーテッ ドが本格的 な経 営規 模 の拡 大に 着手 した のは1945 年 から で あ る。 そ れまでは 単な る持 株会社 にす ぎな かった。 こ の年を契 機に ラザ ラ ス2 世を 会長 とした オペ レーシ ョン 会社へ と変身 してい る。そ し てi 有望な 都 市 の ダウン タウン にあ る伝統的百 貨店を 次 々に合 併し た。 そ の第一 号は ヒュ ー。ス トソ のフ ォー リ イズ(Foley's) であ った。 以後, ダラスのサン ガ ー・ハ]) ス(Sanger-Harris),イマイ ア ミのバ ーデ ィン ス(Burdine's), メン フィ スの ゴ ール ド・ ス ミス (Goldsmith's), 1964年 にはレ 西 海岸 の一流 百貨店 バロッ ク ス(Bullock's), マ クユン(I. Magnin )噺 も翼 下 に収め か。1960 年 代は, ア メV
カの伝 統的百 貨店 の合併 戦略が 相 次い で起 きた年 であ った6 ‥
70 ノ 拡大し , 百貨店 間 の競争を 弱め る結果に なる とい う理由で, バi=Zツ クスの筑 収後は, 連邦取 引委 員会 から1970 年 まで合 併禁止 の勧告を 受け てい た。 そ こで, 先に述 べた ように.1968 年に は, 異業態で あ るス ー パーマ ー ケット のラルフ スを買 収し, 同特に, デ ス カウン ト・ス トア部門を 新 設し た のであ る。 そして,1976 年 アト ラン タの リッチ ス百 貨店を 買 収し た。 そ れは, 11 店 の百 貨 店,11店 のデ ィ スカ ウン ト・ スト ア,3 店 のブ テ ー ク専 門店を 持 ってい た。 フ ェデ レーテ ッド社は, こ れら のものを 連邦 単位 として , 営業活 動 にっ いj ては 全く 自立 性を 与えてい る。 こ れが同社 のマ ネジ メV ト原則 の特 徴なので あ る。 もちろ ん,lコーカル レペルで の自律 単位 のマネジ メン トが 効果的 にな るために, 本部 機構 との間に権 限分業 が成立し てい るのであ る。 2。 連 邦 分 権 制 と は フ ェデ レ ー テ ッ ド社 は , 合 併 ・吸 収 に よ る拡 大 とい う 戦 略 を と り, そ の上 。 他 の チ ェ ーン ・ ス ト アや 合 併 百 貨 店 とは 全 く 異 る 独 自O 組 織 , す な わ ち, 一 般 に 「 連 邦 分 権 制 」 とい わ れ る組 織 設 計を と った 。 む し ろ , そ れ は , フ ェデ レ ーテ ッ ド 社に と っ て , 歴 史 的 必 然O 方 向 で もあ った 。 さ て , こ こ で は , そ の 連 邦 分 権 制 が 論 理 的 に , 一 般 的 な 職 能 別 組 織 と どこ がち が って い るか , そ し て , そ の運 営 上 の長 所 は ど こ に あ り, そ の 必 要 粂 件 , 効 率 条 件 は ど こ に あ るか を 考 察 し よ う。 理 論 的 に 考 え れ ば , 組 織 設 計 に は , 原 則 とし て 二 つ の 方 法 が あ る。 一 つ は , 職 能 別 組 織, で あ り, も う一つ は 連 邦 的 分 権 制 一 連 邦 制 で あ る。 職 能 別 組 織 と は , 事業 の 経 営 過 程 の 主 要 な 段 階 ご とに さ ま ざ ま な 職 能を 統 合 し た ユ ニ ヅ トを 設 け , た と え ば , 購 入 ・生 産 ・ 販 売 と い っ た よ うに 。 そ し て , 最 大 限 の責 任を こ れ ら の ユ ニ ッ トに 付 与 す る とい う方 法 で あ る。 こ の 職 能 別 組 織 は , 水 平 的 分 業 を 高 度 に 発 展 さ せ る な ど の長 所 もあ るが , 流 通 企 業 で は 中 規 模 以上 の チ ェ ーン ス ト アに な る と, 組 織 の 効 率 が 落 ち る。 大 組 織 が 硬 直 化 し , 官 僚 的 に な り, 共 通 の 目 的を 見 失 い や す い か ら で あ る6 こ とに , 小 売 業 経 営 に おい て チ ェ ーン ・ ス ト ア とし て 拡 大 化 し た 場 合 に は , 他, の 企業 経 営 よ り も っ と深 刻 な 問 題 が 発 生 す る。 そ れ は , 生 産 性 の 低 い 小 売業 経 営 の 生 産 性を 更 に 低 め る こ とに な る。 ■ ■ ■ こ の よ うな 規 模 の 拡 大 か ら 来 る硬 直 化 や 官 僚 化, そ し て , 目 標 の混 乱, 不
連邦分権制と小売業経営 71 明確な どの問題を 解決 す るため に設 計さ れた ものが 連 邦分 権制 であ る。 職能的組織 では, 経営 成果 ではな くて,専 門的な 技能 や知 識が重 要 視さ れ やすい。 そ の ような 組 織 の中では, 真面 目な人 々は 専ら 専門 的な 技 能の練磨 や専門的 な知 識 の増進 だけ にはげ み易いた め, 視野, 技 能,^ イヤ ルテイ, マネジA ソ ト能力 な どの点で, 偏 狭にな り, モ のた め に上級 経営 担当 職には 向かない 職能専 門家を 多 数育て る結果 にな るのであ る。 も う一つ の職能的組 織 の欠 陥は,目標設定 が困 難 にな るとい うことであ る。 職能そ れ 自体は, 事業 の一部 にのみ関与 す る ので, 事業全 体 との関連を 見失 うこ とにな りやすい。 また, 職能それ 自体は, 事業 の一部 にのみ関与 し, 事 業 全体 と の関 連を もち にくい とい うこ とがあ る。 し たがっ て, 職能的 組織 の 目標 の達 成は, もっぱ ら専 門的基 準に した力≒ 七設定 さ れるこ とが多い のであ る。 た とえ ば, チ ェ ーン ・ ストアにおい て, 店 舗開発 担当 は, 能率的 に考 えて, 同じ 開発 努力 で より大型 の ものを 開 発し よ うとす る。し かし,商 品部 の担当 者 の能力はそ れ と平 行して開 発さ れない こ とが多い。しそ れで, 総 合店 に よっては, 専門店を スピン アウト(企業の外に出す)す る こ とに よっ て人材を 育 成し よ うとい う方 法を とるのであ る。 犬 こ の ような部門 目 標は , 経営担当 者 の注意 と努力を 事業 全 体の成 功に向か わせ る よりも,か えっ て, 全 く逆 の方 向に導 きか ねない のであ る。 全体目標を 具体的 に部門目 標 として基 準 化す るこ とがむず かしい とい うこ ともあろ ‰ また, 職能的 組 織にお いて は, 経営 の階層 がいたず ら に ふえ やす い。こ れ が また, 目標を混 乱させ る原因にな るであ る。
この よ うな欠 点 に対 して成 果 目標中 心 の連邦 分権制(Federal decentralizat,ion )が考えら れて きた。 企業組 織を 連邦 分権 制で設 計す るとい うのは, 組織 の設計原則之 して,い くっ か の自律的 事業 体(autonomous business)か ら編成 す るとい うこと, そし て,そ れを 統一的 組織 体9)とし て運営 す るとい うこ とであ る。 もちろ ん, モ こでは, 編 成さ れてい るそ れぞれ の自立的 単 位(autonomous units) の大 きさ どの程度 で自 立で き るか とい うこ と が当 然問 題にな るが, また, どのように,分権化し 全体を統一するか とい う問題になる。 前者については,その自立単位(D自身の業績や成果について,どのくらい の規模ならば責任がとれるか, また, どのくらいの規模ならば企業全体へ貢
72 献 責任を と るこ とが出来 るか,丿とい う観点 から活動 単位を 決 定し なけれ ばな ら ない で あろ う。 もちろ ん, そ れぞれ の単位に は, そ れぞ れ最高 責 任者 (ト ップ・マネジノソト)を 置 かねば なら ない。 …… 第二 の問 題の全 体を 統一す るとい うこ とにつ い ては, 特別 の使 命 と機能を もうた 本部を 必 要 とし ,特別 な集権的管 理手段 と 企業 全体に 共通し た 評価 尺 度 加 連邦 原則 は, 現業 単位 とし て の自律性を与 え るが √企業 全体に 対して は最 大限 の責 任を とる よ う設 計す るからであ る。 この よ うにし て 自律的な 事業体を 運営す るのが 連 邦分権 制であ る。 連 邦分 権制が, 近 代的な大 企業に とって 有効 な支 配的 構 造原 理 とな り うる 理由は次 の よ うな 長所があ るから であ る。 ① 連 邦分 権制 は, 経 営 担当 者 の視野を 拡大し, 彼ら の自己 規制に よって 努力を 直 接事業 目的 ○達成に 向わ せ ることが 出来 る。 ② 職 能 制と異っ てそ れぞ れ の経営 担当 者は経 営環境 の変 化に 敏速に対 応 す るこ と が出来 る。 P.F. ド ラッ カーは, こ れに よって「経営 担当 者が 自己 偽 脈に 陥った り,古 い 安易 なや り方 に もっぱ ら力を 注い で, 新しい 将 来性 のあ る ものを 無 視した り, あ るい は また, 有 利な部 門 の犠 牲におい て不 利 益な 部 門を 維持した りす る よ うな危 険が 未然に 防が れる」とす る。そ して「 もはや 自己 偽隔 や手抜 きを 間 接費や 総 売上高 とい う煙幕で 業績を うやむ やにーし てし ま うこ とはで きなく な る」 と 具体的 事例を あげ てい るlo)。 犬 ③ 連 邦 分権 制の下 では,各 単位り 経営 担当 者は, 規 模 の面 から 自分の仕 事を 完 全に 把握す るこ とが出 来 る。 自 立制 ため,一人 の経営 担当 者が管 理し うる部下 ない しは 単位 の数は, 部下 の統 制限界に よって 制 限さ れ る必 要はな い 。 もっ と広い 管 理責 任の範 囲を 持つ こ とが出来 る。 ドラッ カ ーは,シ アー ズ社 の事例を と りあげ てい る。 シ アーズ社では,地 域 副社 長 (Regional Vice-president)は 約100 店を 統 轄し てい る。 これら の店 は ,い ず れ も, 自立 的 な経営 単位 とし てそ れぞ れ独 自 の市 場 活動を 行い,利 益につ いて も全面的 な責 任を 負ってい る。各 スト ア・マ ネジ ャーは, そ れぞ れ30 人の部 門 マ ネジ ャーを 部下に もってい るが, これら の 部下 も\また, そ れぞ れ 自 分自身 の自 立的 な単 位を 経営し ,市 場活動 及び 利益 に対す る責任を 負って
連 邦 分 権 制 と 小 売 業 経 営 73 い る り で あ る 。 こ れ は 自 律 単 位 に つ い て 理 解 す る た め の 具 体 的 な 材 料 で あ る 。 ④ 次 に , 連 邦 分 権 制 は , 明 日 の 経 営 者 を 育 成 す る こ と が 容 易 で あ る 。 分 権 制 の 全 般 管 理 者 は , そ の 事 業 が ど ん な に 小 さ ぐ て も , 真 の ト ッ プ ・ マ ネ ジ ャ, − で あ る 。 資 金 調 達 ・レ資 金 源 に 関 す る 責 任 は な い が , 営 業 活 動 ○ す べ て の こ と に 意 思 決 定 を 下 さ な け れ ば な ら な い 。管 理 の 意 思 決 定 ぽ か り で な く ,戦 略 的 意 思 決 定 も 下 さ な け れ ば な ら な い 。 そ の 結 果 , 彼 は 完 全 に 独 立 し て は い な い け れ ど も , 自 律 的 な 組 織 を 指 揮 す る こ と に よ っ て 自 己 育 成 を す る の で あ る 。 し か も , 分 権 制 は , か な り 低 い 階 層 の う ち か ら , 能 力 テ ス ト を 受 け る こ と に な るO ’ | ・。 ・ 。 。 ・ I ・ し た が っ て , 間 違 い を お か し て も , 企 業 に 与 う る 損 害 や リ ス ク が あ ま り 大 き く な い と き に 評 価 を 受 け る こ と が 出 来 る の で あ る 。 「 明 日 の 指 導 的 な 地 位 に う く べ き 人 間 を 育 成 し , テ ス ト す る た め の 組 織 原 則 と し で, 連 邦 原 則 に 匹 敵 す る も の は な い11) 」 と い う こ と が で き る 。 こ の 経 営 能 力 の 評 価 は , い か な る 企 業 に お い て も , 重 要 な 経 営 課 題 で あ る が , 実 践 を 通 し て で な け れ ば 正 し い 評 価 は で き な い の で あ る 。 ⑤ \ 連 邦 市U の 下 で は , 低 い 層 の 若 い 人 々 に も 自 立 的 な 職 務 を 与 え る こ と が 出 来 る 。 こ れ に よ っ て 彼 ら の 能 力 や 真 価 を 実 地 に た め す こ と が 出 来 る の で あ 石 。 ニ 上 以 上 の よ う に , 連 邦 分 権 制 の 編 成 は , 職 能 別 組 織 率 直 線 組 織 と は 全 く ち が っ た 長 所 を も っ て い る 。 / 職 能 別 組 織 の 場 合 に ぱ 組 織 と は 職 能 の 寄 せ 集 め で あ る と み て い る の で あ っ て, 課 題 や 仕 事 か ら 出 発 し て い る 。し か も, そ の よ う な 組 織 で は, そ れ ら の 課 題 や 仕 事 を 正 し く 遂 行 す れ ば 正 し い 成 果 は 自 然 に 得 ら れ る も0 で あ る と い う 前 提 に 立 っ て い る 。成 果 は そ れ ら 活 動 の 総 和 で あ る と 考 え ら れ て い る の で あ る 。 し か る に , 連 邦 分 権 制 は , モ の 出 発 点 が, > 仕 事 で は な く し て , 狙 っ て い る 成 果 は 何 か と い う 設 問 か ら 出 発 し て い る 。 し た が っ て , 連 邦 分 権 制 で は , 第 = に , 事 業 が 市 場 で 成 果 を あ げ る 上 で 最 適 の 能 力 で 運 営 出 来 る よ う な 組 織 単 位 を 設 立 さ せ る12> 。 し か る 後 に , 自 律 的 な 事 業 体 の 内 部 に い か か る 仕 事 , 基 幹 活 動 を し な け れ ば な ら な い か を 問 題 に す る 。 も ち ろ ん , 自 律 的 な 事 業 体 の 内 部 に お け る 仕 事 や 活 動 は 職 能 別 原 則 に よ っ て 編 成 さ れ る 。 ま た , 自 律 約 事 業 体 の す べ て は , 同 一 構 造 , 少 な く と も 類 似 の 構 造 を も つ
74 こ とが 全 体 として 能率的 であ る。 もち ろ ん, こ め組織 構造 の統一 が行 き過ぎ て 画一主 義に 陥っ ては なら ない 。 しかし。 連邦分 権制を用い る場 合に は, 自律的 な 事業 体 の事業0 規模,す な わち, 連 邦制 の単位 の規 模が問 題に なる であ ろ う。 こ れは, 少な く とも, 職 能別組 織 の利点を 引 き出す こ とので きる規 模, す なわ ち,管 理 者 が 業 績 を あげ ら れ る規模で なけ れば なら ない 。 利点 と引 き出す とい う意味は, 経営 内 部の努 力 の組 織化が成果 に対し て適 正であ る とか, 又は 効果 的であ る とい う意味 であ る。P.F. ドラッ カ ーは 丁市 場で の成果 をあげ るに最 適(Optimal) の能力を 発揮で きる ような単位133」 とい っ てい るが, これは, 特に 環境 の変y わ る小 売業 経営 の現実問題 として 真理 であ る。 した がって ,全 社的 長期計画 はレ 自律的 規模を どのくらい にす る か とい うこ とから 出発し なけ ればなら な い であ ろ う14)。 な お, 後 述す るが, 自 律 単位を統 制す るのは, 本 部の予算統。 制 であ り,そ れが 執行 のた め の援 助であ る。 3. 連邦分権制の小売業経営への適用 連邦分権制の適用範囲は広い。自律的な事業単位で備く人間にとっては, 事業全体の課題も理解しやすいし,自分自身の課題も理解しやすい。それだ け に連邦分権制は,組織として の安全性があり,変 化に対する適応力 もも9 ている。 したがって,連邦分権制は,工業経営だけではなく,商業経営に も,また サ ービ ス経営にも適用される。それぞれの活動分野の中に分権化した自律的 な事業 として組織することが出来るからである。特に,大型小売業や多店舗 小売業に おいては, 小売業としての性格一 地域事業 位とし て全体を組織するほうが効率である。 から地 理的 分権 単 連 邦 分権 制を とるこ とに よっ て相 互に業績を 比 較す る こ とが可能にな るの で, 自己 満足 の危険を 減少さ せ るこ とが 出来 る。 小 売業 におけ る オーナ ー経 営 者 とい うも のは, 古くて成 績 のあ がら ない事業 をいつ まで も維 持す る 傾向, が あ る。 更 に, 総 売上高 の数字に かく れて利 益 のあ がら ない 店を 維持し よう とす る ものであ る。 そ のた め職 能別 組織を とってい ると不採算 部門を 勇 敢に。 切る こ とは でき ない ものであ る。 そ れには, 客観 的な測 定基準 がない からで もあ る。
連邦分権制と小売業経営 75 ことに, 繁盛店, 特に, かつ て最 高 の立地条 件に あ った百 貨店は,立地 ひ 変 化が認識 せず, 自己欺 満に落 ち入 りやす かった ので あ る。 し かし,各 店 が自律的 単位 とし て連邦 制を 組織し てい る場合には, 比較が 容 易 であ り, 客 観的な測定 基準 も持 ちやすい。 こ れに 反し て, もし 乱 オ ーナ ー経営者が 独立で , 不採 算事業を 継続し て い る場 合, 測 定基準 が不 明 のた め,部下 の管 理者 の 努力を 無 駄に 望み のない 業 績や 成果 の向上 に集 中させ るこ とにな るであ ろ う。 連 邦制を とるこ とに よって, こ のよ うな経営 者 の責 任を 明ら かにし,能力 も開 発する こ とが でき る15)。 モ れたけ では ない 。 経営 者 のビジ ョンや努力を 直接 事業0 業 績 と成績に 明確に 結びつけ るこ とが出 来 る のであ る16)。 フ ェデレ ーテ ッド百貨店は, 合併 に よって この よ うな連邦 分 権制 の利点を 歴 史的 に実証し てきた会 社であ る。 同社 のこ れま で の業績 がこ れを示 し てい る。 し かし , フ ェデ レ ーテッ ド百貨 店は, 初 めに論 理 があ ってそ うし た ので は なく,む しろ歴 史的 発展 の中に 必然 的に論 理を 実 験し てきた のである。 連邦 原則 の最 大の利点は ,経 営担当者 の能力 開 発に あ る。 なぜ なら, 分権 制 は, 自律単 位 とし て, 経営担当 者は 全体 のた めに 損 益責 任を 負 って事業全 体を 運 営す る立場にい るからであ る。した が って, 連 邦原則 は, やが てIヽツ プ・ マネジ メン トの責任を 担 うべ き人 間を 早い 時期 から 養 成し, そ の能力を テストす るこ とがで き る。 経営 担当 者は, 担当 事業 の業 績 と成果 がはう き り 分 かる身近 な位 置にお り,職 能的な 仕事をし てい るに す ぎない場 合で も, 事 業 の業 績や成果 を仕 事や 課題に 即座に結 びつけ , また , そ の能力を 開発 でき る位置 にい る。 した が って,そ0 能力 が自然 に試 験さ れる ので ある。 論 理 的には, 連邦 制原則 に よっ て大規 模な 複雑な 組 織を い くつ かの事業 体 に分割 するこ とに よって, 全社 の目 標を 理解 しな がら , 各事業 体を 効率 的に 運営す るこ とが 出来る 筈であ る。 中央 集権的 組織 にお い ては,管 理 に限 界が あ るた め規 模が拡 大す るにつ れて効 率限度 が出 てく るが, 連邦 制 原則 には そ れがない。 連 邦制 原則は, そ れぞ れの事業 体を 適 正規 模 で単純 な もの とし, 担当 経営者が 仕 事や努力 を 事業全 体 の業 績に指 向させ るこ とが出来 る ように す ることがで き る。 モ こでは, 全 社的 目標 と自己 規制 に よる管 理 原則が有効 に働 くこ とにな る。 そ の結果, 本部 の一人 の最 高経営者 の下 で働 く人間 の数や 単位 部 門 の 数
76 は , 中央集 権制 の場合 とは異 って,管 理 限界によ って制約 さ れな くな る。 す な わ ち, 自然 に管 理限 界は広 くな るのであ る。 ‥‥‥‥ し かし ,論 理には 。時 間性はない 。 歴 史的 発展に は,時 間 性があ り, 適用 に はい くつ か の段 階があ る。 論 理 の適用は, 現実 過程 のな かに あ るか らであ る。 し たが って,そ のな かに は, 時 々レ 矛 盾や背 離があ り, 心理的緊 張 があ 呪 妥協 もあ って, 漸次, 論 理的 骨格 が築 かれて行 く のであ る丿 \ フ ェデレ ーテ ッド百貨 店の歴史 は, この論 理を 求め て○合 併 の歴 史で あっ た。 むしろ, 現 実には, フェデ レ ーテッ ド社 の場合 は, こ の合 併 の過程を 通 る こ とに よってこ の論 理を 自覚し て きた とい って よい であ ろ う。 連 邦制 原則 を 自ら の手で 体 現す る歴 史であ った。 犬 犬 △ プ エデレ ーテ ッド百 貨店 の誕 生は, 世界恐 慌 の開始す る1929 年で あ る。 し か し, 連 邦制 として の本格 的展 開は, 1945年 以後で あ った。 既に 述べた よう に, 同 社の歴史 は, 一流 店 の合併 と買 収戦略 の歴 史であ った。こ のこ とが当 初 よ り連 邦制を 考え ざ るを 得な かった理 由であ る。 十 同 社を 創設 し, し か 乱 今 日, 世界 最大 の百貨 店 グル ープを 築 きあげ た の は, 長 く同 社 の会 長を勤 めて きた フレ ッ ド・ ラザ ラス2 世 のリ ーダ ーシ ップ に 負 うところ が大 きい。 今 日の フ ェデレ ーテ ッ ド百貨店 の業 績は彼 の功績 で, あ るとい って も よい 。彼 は,連 邦制組 織を 築い た 優秀 な経営 者 とし て 絶賛を 与 えら れてい るの であ る。 \ \ △ 連邦 制 原則 は, 初 めから ア イデ ィア とし て存在し た わげ で はな く, 極 めて 単 純 な発 想から生 れた もので あ る。 有力 百貨 店が, 百貨 店 の現状を 認識 し,い かにし て 戦略的 にこ の成 熟 期を克 服し て行 く か,そ のため に,い かにし て 百貨 店 マ ーチ ャン ダイジン グの技 術を 向上さ せ るか, この よ うな 目的を もっ て研 究 組 織を つ くろ うとい うこ とが きっ かけ となった のであ る。 もちろ ん, 最初 ,単 純な動機 ではあ った が,連 邦制 につな が る構 想は 既に も っていた。 そ の組 織では,メン バ ーは, 企業内 の戦略, 戦術及び 財務内 容を 公 開し なけ れば なら な かった。 こ れが メン バ ーにな る加入 条件 で もあ った。
こ の研究組 織 の構 想は, 早 く も1916 年 にR.R.A (Retail Research Associa-tion) とし て成立し てい る。 こ のア ソシ エ ーシ ョン の参 加メン バ ーの百 貨 店 と
し ては,ラザ ラ ス(Lazarus),ア ブラ ハ ム & ス トラ ウス(Abraham & Straus), ブ ル ー ミン グデ ール(Bloomingdale's), フ ァイi; ーソ(Filene' s)な ど, 更 に,
連 邦 分 権 制 と 小 売 業 経 営 77 ' そ の 他 の フ ェ デ レ ー テ ッ ド 社 創 設 ダ ン パ ー の 百 貨 店 及 び 結 局 参 加 し な か っ た が ハ ド ソ ン 百 貨 店 , そ の 他 多 く の 地 方 百 貨 店 が 見 ら れ る 。 に りR,R.A の 構 想 は 連 邦 制 の 創 設 に と っ て , そ の 歴 史 的 意 味 は 大 き い 。 ラ ザ ラ ス2 世 は , こ の 機 構 を 更 に 発 展 さ せ , 各 社 の 企 業 経 営 の 具 体 的 内 容 ま で 交 換 さ せ , 問 題 の あ る 場 合 に は こ れ を 共 同 で 研 究 し , 発 表 す る よ う 提 案 し た 。 も ち ろ ん , こ0 よ う な 考 え 方 に 対 し て は , 一 部 で 猛 烈 な 反 対 も あ っ た 。 し か し ,R.R.A を 見 事 に 運 営 す る こ と に よ っ て , こ れ を 実 現 す る よ う に な っ た の で あ る 。 こ の こ と は , 強 力 な リ → ダ ー シ ッ プ が あ っ た か ら で あ る 。
ト R,R.A は /1920 年, A.M.C (Associated Merchandising Corp) へ と 拡 大 ・
発 展 し た 。 こ れ に は , 全 国26 の 一 流 百 貨 店 が 参 加 し て い るo こ こ で は , 売 上 高 , 経 費 率 , 総 利 益 率 , 利 益 率 な ど , 営 業 情 報 が 他 社 と 比 較 し や す い 方 法 で 交 換 さ れ る よ う に な り , マ ー チ ャ ン ダ イ ジ ン グ 及 び 共 通 の 経 営 問 題 に つ い て は , 解 決 策 に つ い て 討 論 し た 。 − ・・ I ・ 。 ・ | 。 し か し , こ の よ う な 機 構 だ け で は 満 足 で き な い ラ ザ ラ ス2 世 は ,1929 年 , 遂 に , 今 日 の フ ェ デ レ ー テ ッ ド 百 貨 店 を つ く る 提 案 を し , こ れ を 実 現 に も っ て 行 っ た の で あ る 。 こ の き っ か け を つ く っ た の は , 近 代 的 百 貨 店 り 経 営 組 織 の 原 型 を 提 案 し て い た 百 貨 店 経 営 の 権 威 ポ ー ル ・ マ サ ー ル(Paul M. Mazur)'"' で あ っ た ○ - -・- -= ・ ¶ 。 ・ 彼 は ,A .M,C 加 盟 の 同 族 経 営 会 社 で あ る フ ァ イ リ ーV, 。 ラ ザ ラ ス , ブ ル …… − ミy ダ ゲ ー ル , ア ブ ラ ハ ム& ス ト ラ ウ ス が 互 に 株 式 を 出 し 合 っ て 持 株 会 社 を 設 立 す る よ う 提 唱 し た 。 持 株 会 社 に す れ ば , 各 企 業 が 戦 略 的 に 負 う べ き リ 上 ス ク を 相 互 に 分 散 し 得 る し , ま た , 相 続 問 題 が 発 生 し た 場 合 に も 税 務 対 策 に 容 易 に 対 処 す る こ と が 出 来 る と い う 二 つ の 理 由 か ら で あ っ た 。 十 … ……lm ツ ド 百 貨 店 か 成 立 す る こ と に な る 。 創 業 か ら 参 加 し た4 百 貨 店 は , い ず れ も 当 時 す で に 相 当 の 経 営 力 と マ ー チ ャ ソ ダ イ ジ ン グ カ を 持 ち , そ れ ぞ れ の 土 地 で は 有 名 百 貨 店 で あ っ た 。 I . − k'; ・ . I 。 。 ' ニ( 当 時 の フ ェ デ レ ー テ ッ ド 社 は , 持 株 会 社 と い う 形 態 で あ っ た が , 既 に , 合 併 を 決 意 す る た め の 確 固 た る 連 邦 制 の 経 営 理 念 が 成 熟 し て い た 。 しそ れ は 。 次(OX う な も の で あ っ た 。 < 犬 ▽ ノ① ……… 資 産 を 相 互 に プ ー 冲 す れ ば , 地 域 ご と に 生 ず る 営 業 不 振 , つ ま り 危 険 ㎜ ■ − ・ 。
78 については分散することができる。 ② 成長するための情報が相互に交換できる。 ③ 同時に,他 の百貨店が犯した失敗は二度 と繰返さなくて済む ような教 訓を得ることができる。 ④ 不振店, 不採算店については全部のリスクにおいて処理す ることが出 来 る。 ⑤ 対行政・対税務に対して一本で対処できる。 もちろん,以上のほかに も長所があ る筈である。地域に合った 戦 略 を た て ,地域マーケティン グに責任を も つ な ど,フェデレ ーテッド社は,その 後,基礎がかたまると多くの店を合併した。 ビジネス・ウィーク誌は(1976 年10 月18日号に)「屈指0 名門, フェデレ ーテッ ド百貨店快 調に急 速 発展 巽 出店戦略 と高密度経営で市況の悪化を乗り切る」とい う論文を かかげて,: 不 況の中でも依然好調であり,史上最高の決算数字であったこと,それが連 郭 制とい う独自の組織体制に よることを報じている。 4. 連 邦分権 制の 統制問 題 連 邦分権 制組 織0 中心的 特 徴は, 分 化された 自律単位 の役割 と 本 部 の 役mi 本部 のトップ ・マ ネジ ノン トの任務 の関 係であ る。 連邦 分権制に よる分権 化さ れた 自律的 単位(つまり現業単位)は, 必 要な経 営 陣を 維持し, 成長を 管理し , 発展す るた めに, 独自 のマ ーケ ットが 与えら れ てい る。 もちろ ん, この自律的 単位は, 有 効に働 き真 の事業体 として, 利益 の総和 に 貢 献し なけ れば なら ない。 そ のた めに,連 邦 単位には 優秀 な管 理者 が配置 され, そ の腕を ふ る うこ とが 出来るだけ の(逆に言うと, 有能であるかどうかの テストにもなる)広い 職務 範囲 が与え ら れるので ある。 こ の ように連 邦原則 は, 現業 単位に 最大限 の自律性を 与 える。 とい うこ と ぱ , 同時に, 大 きな責 任遂行を 要求し てい るこ とに なる。 最 も重 要なこ とは, 自律 単位 と本部 と の関 係であ る。 本 部が自 立単位 の活 し動 のために 何を し なけ ればな ら ない か とい うこ とであ る。 連邦分 権制を 企業 活動 とし て の本質的 統一 性を 保持し な がら, そ れぞ れ の 地 域市場を もつ 現 業 自治単 位 の活動を 可能にす る組織で あ ると い う こ と18)
連邦分権制と小売業経営 79 ・は, 同時に, 本 部 も独 自の職 能を もつ とい うこ とで あ る。 た とえば, 全体 の 予 算 の目標設定, 将来 の戦略 の確 立な ど。 本 部でなけ れ ばで きない 仕事を 遂 行 す る とい うことであ る。 具体的 には, 共 通 のビ ジ ョン の設定, 情 報の提 供, 管理手段 の統一, 資金 の調達 と管 理 ・運用, 市 場調 査, 商品 開発。 海 外 買 付, 海 外投資,法 律問 題や対 消 費者関 係, 対政 府関 係, 社 会的 研究開発 な ど が考え られ る。 要す るに, 本部は 自立的, 地 域単 位を より強力 な ものにす るた めに必 要な一 切 の企業活動を 創造し なけ ればな ら ない のであ る。 と同時 こに 企業全 体に 関す る統制 課題, 長期 の 戦略 に専 念し なけ ればなら ない。 そ の 意 味では, 本部 もまた独 立した 存在 な のであ る。 むし ろ連邦 制組織 の主要 な 目的 の一つ は, 最 高 ト ップが現業 の仕事 の監 督, 調 整, 支援 のために時 間を とら れ るこ となく, 本部 のト ップ としての本 来 の 仕 事を 果たす よりにす るこ とであ る。 す なわ ち,日常 業務に わずらわ されず, 変化す る未 来のため の進 路 の決定 , 長期的 戦 略 目標設定 に専念 で きるように す るこ とであ る。し た がって, 本 部は, 分権 単位に 対し て専ら サ ービス活動 を す るために だけ 存 在す る ものでは ない。 こ の点誤 解さ れては な ら な い。 分 権 単位 がいつ までも 本部 の提 供す るサ ービ ス ・ス タッフに 依存しなけ れば なら ない よ うでは, ( 分権制 組織 の弱体, 脆 弱化に ほかなら ない19)」から で あ る2O)。 こ れを フ ェデレ ーテッ ド頁貨店 の歴 史的 事 例にっ い てみ よ う。 フ ェデ レ ーテッ ド百貨店 の場合 は, 最 高責 任者は 二人 であ る。 すなわち, 会 長及び 社長 であ る。 会長は, 最 高管 理者 として コV ト= −ル, すなわち, 財務 とオペレ ーシa ン ・ コV トy^ ヴルを 担当 し, 社 長は マ ーチ ャヅ ダイジン グ・ポ リシ ーを 担当 する。 し かし, 二人は そ れぞれ 職 務を 果す 上では同格 で, あ る。 戦略, 長 期計画につ い ては 径営委 員 会制 を と ってい る。 フ ェデレーテ ッ ド社では, 自治 単位を ど0 よ うに考 えてい るのであろ うか。 そ れには, 次 の三 点 が強 調され てい る。 ① ア メp カとい う国 が非常 に広 大で, 地 理的条 件 の差があ り,百貨店 マ ー ケッ トを 本部で一 括統 制す るこ とは困 難であ る とい うこと。 た とえ ば, 各地域 ごとに, 気象状 況は 大 きく異な ってお り, また,そ こで 住 んでい る人 間 の人 種, 収入,年 齢, 習 慣, 思考方 法, 言葉,消 費者 ニ ーズ に もち がい があ る。 すなわ ち, マ ーケッ トの多 様 性や 地域特 性があ るとい う
80 こ と, モ の た め 各 地 域 に 適 応 す る た め 分 権 制 が 有 利 で あ る と い う こ と で あ る 。 ② 同 じ よ う に , 地 域 に お け る-r ― ケ ッ ト の 急 速 な 変 化 , 消 費 特 性 め 変 化 に 弾 力 的 に 対 応 し な け れ ば な ら な い と い ろ こ と 。 ‥ ・ ③ 歴 史 的 事 情 , た と え ば , フ ェ デ レ ー テ ッ ド 社 は , 各 地 域 の 一 番 店 を 合 併 す る こ と で 成 長 し た 企 業 で あ る か ら , 合 併 後 の 各 デ ィ ビ ジ ョ ン の 組 織 を チ ェ ーV ・ ス ト ア の 様 に 標 準 化 し , 統 一 す る に は 無 理 や 抵 抗 が あ る と い う こ と 。 む し ろ , 現 実 的 に は , 歴 史 的 事 情 が 統 一 の た め 重 要 で あ っ た 。 そ の た め 本 部 の 機 能 は , ス タ ッ フ 機 能 た ら ざ る を 得 な か っ た 。 し か し , 今 日 で は 次 第 に 必 要 な ラ イ ン 権 限 も 持 つ よ う に な っ て い る 。 も う 一 つ 重 要 な こ と は 八 分 権 制 は , そ の ま ま 本 社 の 弱 体 化 で あ っ て は な ら な い と い う こ と 。 逆 に , 連 邦 分 権 制 の 主 要 な 目 的 の 一 つ は , 本 社 の ト ッ プ ・ マ ネ ジ メ ン ト を 強 化 し , ト ッ プ 本 来 の 仕 事 を 果 た せ る よ う に す る と こ ろ に あ る 。 本 来 の 仕 事 と は , 目 標 の 設 定, 進 路 の 決 定, 戦 略, 新 事 業 の 決 定 な ど, 基 幹 的 な 意 思 決 定 に 専 念 す る こ と で あ る 。言 い か え る と, 企 業 全 体 や 未 来 の 繁 栄 に 影 響 を 与 え る 決 定 権 を 本 部 の 経 営 陣 に 留 保 す る と い う こ と で あ る 。 ‥j そ の た め に 三 つ の 分 野 の 留 保 条 項 を 持 た ね ば な ら な い の で あ る 。 ド ラ ッ カ ー は こ れ を 連 邦 制 の 大 権 条 項 と 言 っ て い る21 )。 そ の 第1 は , 新 事 業 を 開 始 し , 不 採 算 事 業 を 廃 止 す る 権 限, ま た 会 社 の 基 本 的 信 条 の 決 定 な ど の 権 限 , 第2 は , 基 本 的 な 資 源 ( 資 金 調 達 な ど ) の 配 分 に 関 す る コV トP2 − ル の 権 限 , 第3 は √ 自 律 的 な 事 業 に お け る 重 要 な 人 事 の 決 定 に 関 す る 権 限 , こ れ ら は 連 邦 制 組 織 か ら み て 当 然 留 保 さ れ な け れ ば な ら な い も の で あ る 。 も ち ろ ん , ト 万ッ プ ・ マ ネ ジ メ ン ト は , 自 律 的 な 事 業 が い か に 大 規 模 な い し は 重 要 で あ っ て も そ の 運 言 に 手 を 出 し て は な ら な い の で あ る 。ヶ フ ェ デ レ ー 。デ ッ ド の 本 社 権 限 に 基 づ く 経 営 活 動 は 次 の よ う に 具 体 的 な も の で あ る 。 犬 jl つ 。。・ ・・ 。・・ 。。 。・ ・。・ こ れ は , 本 部 に 留 保 さ れ て い る 大 権 条 項 , す な わ ち 基 本 的 職 能 と い う て よA ヽ。 コ 十 , 犬。・。 ・・・ ・・・ ・ 。・ 。・。 ① 全 社 的 な 基 本 方 針 の 設 定 。 丿 = 几 ‥ … …… … △ ② 総 合 的 な 長 斯 経 営 計 画 及 び 利 益 計 画 の 決 定6 … … … ③ 予 算 の 最 終 決 定 , こ れ は 半 年 毎 で あ る 。 ニ g ‥ ‥ ‥‥ ‥レ ④ 予 算 外 の 個 別 計 画 の 承 認 , 一 定 金 額 を 越 えr あ る, い は に そ の 性 質 上 重
連邦分権制と小売業経営 81 要 な資 本投資(出店など)の承認。 ⑤ 各事業 部から の報告制度 の設定。 ⑥ 各 事業 部の業績 評価(たとえば,その基準は投下資本利益率)及 び内部監 査,経 理原則 及び内 部監査基準 の制度化。 ⑦ 事業 部に対 す る人事政 策(事業部の会長,社長など), 事業部 の経営責任 者が責 任達 成をし な かった場合 の更 迭。 ⑧ 総合 資金計画及 び基 本的 資 金調達。 ③ 事業を 廃止す るとか新 しい 事業 に進 出す る とか の決定。 ⑩ 会社 の基本的 な信条 ・原則 の決定。 ⑩ 政 府, 組合, 対F.T.C の関 係 の調整。 ⑩ 情 報の提供, 市場 調査, 不動 産物件 の 選択 と買 収, 建築設 計。 以 上 であ るが, 本部経 費とし て, 各 事業部は 売上高 の0.25 %を 拠 出す るこ とに な ってい る。 これに よって 本部は 事業活 動を おこ な ってい るのであ る。 ここ では,当然 少数 ス タッフ制を採 用 してい る。 しかし, 最近 の傾向 としてに 地 域で の自治権は, 次第 に, 中央 本社 から の 強い 統 制を うけつつ あ る。 こ の傾向は, フ ェデレ ーテ ッド本社 の活動を飛躍 的 に拡大 させ る結果 にな るであろ う。 た とえば, 在 庫管 理や財 務統制, 地 域 法人の 種 々の経営問題に 対す る本社 コン トロ ールが 増大す ることにな る“ )。 現に, 在庫 には金 利を 負担を さ せる手 法を とってい る。 また分 権単位 のトッ プ め人 事 も厳 しくな ってい る。 本社は ( 経営者 は猛 烈に 働 くかあるいは退 め るかいず れ かであ る233」 とい うほ ど強 く 責任を 要求し て い る。 フェデレ ーテ ッド社 に納品 してい るr=・スアンゼ ル スの ニッ ト業 者, イ ン ターナ∼a ナル・ セ ット社 のサ ミュエ ル・S・ブレ ッス社長 は 言っ て い る。r フ ェデレ ーテ ヅド 社ほどデ ィビジ ョンの経営 者を 変 え る会 社は小 売業 界に は まずない のではな い か24>」 と。lコス アソ ゼルス のバl=2ツ クスは, 成 績が よ くな るまで4 人0 社 長 が交 代させら れた とい う。 もち ろ ん責 任を 取ら せら れ た のであ ろ う。 連邦 分権制 は, 最大限 の自 律性を 与 え るが , 他方, 最 大限 の 責 任を 取 るよ う要求 す るからであ る。 し かし, フ ェデレ ーテ ッド社 では, 共同 仕入 れ,集 中 仕入 れに よって規模 の利益を 追 求し よ うとい うチ ー"*>'・ ス ト アの考 えを採 用 す るつ も り は な い 。マ ーチ ャン ダイジ ン グや フ ァッシa ン 戦略 は各 事業 部に 任か さ れ て い
82 るのであ る。 フ ェデレ ーテ ッド社 の中で も,/ 環境変 化に一 番 うま く対 応して 成 功してい る のは ブル ー ミン グデ ール百貨 店であ る。 今 日業界 に おけ るフ ァ ッシ ョソ1) 巾 ダーとしての マ1 Iチ ャン ダイジング や デ ィスプ レイ は抜 群であ る。 連邦 分権制 組 織 とし て の成 功 の事例 とい って よいであ ろ う。 戦 前は/. シ ーよりもは る かに 一般 の評価 は低 かった。 ト 以上 のよ うに, フ ェデレ ーテ ッド社の事業 部は, ドラ ッカ ー の述べ る よう に 強 く分権的 自治を 与 えられてい る一方 で, 強 く集権が 存在 す る のであ る。 こ の集 権は 今 日では むし ろ強 ま る傾向を もってい る ように 見え る。 最近, 日常 的 な業 務 や長期 的 な目標0 設 定, これらに 対す る ガイ ドライン が 本社に よって示 され てい る。 各 事業 部 も本社の要望 と合 う よ うに業 務が進 めら れてい る。 犬 分権化さ れた 組織 とい って も, 企業全 体 の利益 のため に マイ ナ スに な るよ うな 計画は, もち ろ ん, 本社 の経営陣に よって拒絶 され ねば なら ない。 最近フ ェデレ ーテ ッドの本社 では,多 く の分野(たとえば,予算,長期計画, 上級人事,教育,資金など)に おい て マ ニュアルの作成を 行 った。 自律し ている 連邦 単 位を 統 轄す るには, 共通のビジa ン か必 要 であ る。連 邦 単位は, 自律 化し てい るが , 独立し てい るわけ では ない。 自律 性は, 会社 全体 の業 績を 向上 させ るた め の方法な ので あ る。 連 邦単 位 の経 営 者は, 大幅 な地方自治を 認 めら れてい るが, そ れだけ に責 任は重い。 更 に大 き な組織 の 一員にす ぎない から であ る。 し たが って,ブ ル ー ミン グデ ール頁 貨 店の よう に自治を 最大 限に活 用し て業 績をあげ ねば なら ない のであ る。 共通 のビ ジ ョンは, 本社 と分権 単位 の意 見や 考え方 のち がいを 調 整す る重 要な手 段な のであ る。 79 年度, フ ェデ レ ーテ ッ ドの業 績は, 最高の時期 から み れば若干 低下 して い るが, これは, 立地 の悪い 店を 持ってい るからであ ろ う。 これ からは これ らに 対し て新 しい 転 換戦略が とら れ るであろ う。 フ ェデレ ーテ ッ ド社が, 連 邦分権 制を 今後 も活 用して ゆる ぎない地 位を 確 保す るかど うか注 目され る ところであ る。 同時に, 理論 的に。も興 味の あ ると ころ・であ る。 (1980年10月20 日受理)
連邦 分権制 と小売 業 経営 83
1) P.F. Drucker: Management (Harper & Row )1973. p. 573-574にも詳細
に述べている。 ニ ……2
)Business Week: October 18, 1976. \3
)W.R. Davidson 教授の理論。 / ‥ 十 教授は5 つの小売業態のライフサイクルをあげている。 5 つの小売業態のライフサイクル特徴 業 態 ダ ウンタウン の百貨 店 バ ラ エ テ ィ ・ ス ト ア ス ー パ ー マ ー ケ ット 最大 の市 場 導入 年 占 拠 率に達 し た年 1860 1940 1910 1930 デ ィ ス カ ウ ン ト ・ 950 デ パ ート メ ン ト ・ ス ト ア 1 ホ ー ム ・ イン プ ル ー ブ メ ン ト ・ セ ン タ ー 1965 1955 1965 1970 1980 ( 推 定) 80 45 35 20 15 宅抒 推定 最大市 年浜 場占 拠率 仝 小 売高 の 8.5 % 雑 貨 販 売 高 の 16.5 % グ ロ ― サV ―ス ト ア 販 売 高 の 70.0 % 全 小 売 高 の 6.5 % 金 物 雑 貨 , 建 材 販 売 高 の 35.0 % 1.1 % . 9.5 % 64.5 % 5.7 % 25.3 %
“The retail life cycle" hy William R. Davidson, Albert D. Bates, and Stephen T. Bass, Harvard Business Review, November-December 1975.
こ の 理 論 の 特 徴 は , 小 売 業 の ラ イ フ サ イ ク ル を 述 べ る と 同 時 に , 成 熟 期 に 達 す る ま で に 要 し た 年 数 が 次 第 に 短 縮 す る こ と , 業 態 の 転 換 は , 市 場 占 拠 率 に 表 わ れ る こ と, な ど で , こ れ は , マ ヅ ク ネ ア 教 授 の 所 論 で よ り 具 体 的 に な っ て い る。
売 上 高 純 利 益 順 位4
)78 ラ ン ク16, Dayton Hudson (Minneapolis ) 2, 981, 234 264. 905 45
)78 ラ ン ク23, Allied Stores (New York ) 2, 107, 939 82, 339 14
石)78 ラン ク22, Carter Hawley Hale Stores ニ
(Los Angeles ) 2, 116,586 63. 820 187
)Mark Stevens, The Inside Story of BLoomingdale's ,p. 14レ8
)Stores (Nation Retail Merchants Association ) July 1980, p. 23.
■9)連 邦 分 権 制 の 原 型 は ,GM のA.P. ス ロ ー ン , ジ ュ ニ ア が1921 年 か ら1922 年
に か け て 実 施 し た 「 政 策 統 制 の 集 権 化 と 事 業 活 動 の 分 権 化 」 で あ る と い わ れ て い る 。 ま た ,1950 年 か ら55 年 に か け て 同 社 が 行 っ て き た 組 織 改 革 は , 分 権 制 の 標 準
モ デ ル で あ る と い う 。 − P.F. Drucker
にManagement, p. 573. し10
)P.F. Drucker , The Practice of Management (W. Heinemann LTD )
1957, pp. 182-183.11 )P.F. Drucker, ibid 。, p. 183.12 )P.F. Drucker:Management. P. 573.13 )P.F. Drucker:ibid., p. 573. ‥ ‥ ‥‥24 ) 小 売 業 , 特 にGMS チ ュ ー ン の 場 合 , わ が 国 で は , 財 務 か ら み て1, 000 億 円 規
84
模が一つ の理論的単位 とみられてい るふ15 )P.F. Drucker, ibid., p. 575レ16
)P.F. Drucker, ibid., p. 574. +17
)P.M. マザ ーの百貨店組織 The Mazur Plan for
Department Stores AdjustmentManager Controller Stockholders / IBoard of Directors I President I General Manager | Planning UOTSIATQ ’t − 1^ ︱ guiSpJ9ApY プ 言 Merchandising Manager UOTSIAIQ igSBUEW IPUBI |3J91A[ UOISTAIQ aasBUBW | | | | Research Director StoreManager aoTAjgs jaraojsno m02MOM J95BUBW elSTdosd saps{S-9TdO8d :S130 ︸S
Source: Adapted from Paul Mazur , Principles of Organization Applied to Modern Retailing
(New York: Harper & Row, 1927). Paul M. Mazur: Principle of Organizalion
Applied to Modern Retail- ing
(New. york. Harper and Brothers, 1927 )彼 は 百 貨 店 の 組 織 を 以 上 の よう
に 提 案 し て い る 。 こ れ を マ ザ・¬−プ ラ ン (The Mazur plan ) と 言 っ て 有 名 で あ る 。18
) 自 治 単 位 に も. た と え ばBoston Store の事 例 で あ る が, そ こ に はMember of
Stc:)re Executive Committee, Member of Store Operation Committee と い う
意 思 決 定 機 関 が あ る 。 前 者 は 最 高 意 思 決 定 機 関 で あ り , 後 者 は 経 営 業 務 委 員 会 で あ る 。 こ の よ う な 組 織 は シ リ ト ー ズ百 貨 店 で も 同 様 で あ る 。19 )Drucker, Management, p. 583.20 ) フ ェ デ レ ー テ ッ ド の 本 部 の ラ イ ン 幹 部 は , 会 長 (Realph Lazarus ), 社 長 (Harold Krensky )及 び 各 地 域 担 当 り 多 数 の 副 社 長 , 直 属 の デ ィ レ ク タ ー( ス ペ シ ャ リ スト ) か ら 成 っ て い る 。 会 長 は, 主 と し て フ ェ デ レ ー テ ッ ド 社 全 体 に 関 す る 経 営 戦 略 を 打 ち 出 し ,日 常 は 各 デ ィ゛ビ ジa ソ の 巡 回 の た め 一 年 間 の3 分 の2 の 時 間 を 費 し て 行 っ て い る とい う 。
連邦 分 権制 と小売 業 経営 85 地 域 単 位 の 社 長 は , 管 理 業 務 の 執 行 を 行 い , 財 務 , 販 売 , 在 庫 な ど の デ ー タ の 分 析 , 現 状 把 握 か ら 責 任 の 所 在 の 明 確 化 , 今 後 の対 策 計 画 を 細 か く 立 て る 。 副 社 長 は 社 長 の 業 務 を 補 佐 し , 各 デ ィ ビ ジ ョ ン で の 細 か い 業 務 に タ ッ チ し , 計 画 の完 全 達 成 の 推 進 を 行 う。21 )P.F. Drucker, ibid 。, p. 578.22
)Business 耳eeek ,October 18, 1976, p. 75.23 )Business Week, ibid., p. 76,