総 説 〔東女医大誌 第63巻 第1号頁』17∼25 平成5年1月〕
延髄の血管運動中枢について
東京大学医学部 生理学第ニ クマ ダ 熊 田 筑波大学医学専門群基礎医学系 テル イ ナォ 照 井 直 東京大学医学部 生理学第二講座 クワ キ トモ ユキ 桑 木 共 之 講座 教授 マモル衛
生理学 助教授 ヒト 人. 助手 (受付.平成4年8月31日)Rostral Ventfolateral Med瓢11a Serves as Medu皿ary Vasomotor Center
Mamoru KUMADA1}, Naohito TERUI2}and Tomoyuki KUWAKI1}.
1}Department of Physiology, Faculty o‘Medicine, University of Tokyo and 211nstitute of Basic Medical Sciences, University of Tsukub琴 The neural substrate w量thin the medulla oblongata that cont量nually generates tonic discharges of sympathetic vasoconstrictor and cardiac sympathetic fibers and concurrently mediates the arterial baroreceptor and other reflexes are called the medullary vasomotor center. Its localization and underlying neural mechanism have been a central problem in the cardiovascular physiology fGr more than a century。 Recent studies on the role of the rostral ventrolateral medulla(RVLM)in the central dard.iovascular.control have d量sclosed that barosensitive ret童culosp童nal neurons三n the RVLM most likely meet all the criteria for medullary vasomotor neurons. First, results from the medullary slice preparation and the intact anirnal strongly suggest that these neurons do generate the pacemaker potenti.al and subsequent on−going tonic.discharges. Second, they receive inputs from a variety of periphera1.and central sources such as arterial baro−and chemoreceptors, the central gray substance and hypothalamic.n心clei. ≠獅пC through their excitatory synapses impinging onto sympathet玉c preganglionic neurons, reflexly control the sympathetic outflow to the heart and blood vessels, Additiona霊ly, they respond to a number of endogenous and exogenous substances including catecholamines and pept童des many of which participate in the cardiovascular control as neurotransmit− ters or circulati耳g and local hormones. Thus the RVLM that houses barosensitive reticulosp童nal neurons indeed plays the p1votal role in the central cardiovascular control and duly deserves the name. of the mdeuUary vasomotor center. 1.交感神経活動と血管運.動中枢microneurogramの技法が発達したことに伴
い,ヒトの交感神経活動を記録・解析.することが可能となり,その調節機構についての理解が推進
された1).その結果,これまで動物実験で得られた 知見は,大筋においてヒトにもあてはまる.ことが確認された.たとえば,ヒトと動物に共通して,
交感神経線維のうち血管運動性(正確には血管収
縮性)のものは,心周期にロックした自発放電が
みられ1),その放電頻度は血圧と逆相関する2).これは交感神経の緊張性放電が,動脈圧受容器から
の入力により抑制されるためと考えられる3).そこで,①交感神経の緊張性放電はどのような
神経機構によ.り発生するか,②動脈圧受容器からの入力によりこれが抑制される機構は何か,とい
う疑問が提出される.この2つの機能を行う神経
機構は,血管運動中枢vasomotor centerと呼ば
れるが4),その局在と神経機構は,1870年代から論 じられ5),自律神経学・循環調節学の大きな課題で あった.20世紀もおわりに近づく1980∼90年代に, その全容がほぼ明らかになったので,本稿では,血管運動中枢について簡潔に概観する.より詳し
いレビューは,筆者の別の文献を参照された
い6)7).血管運動中枢は,心臓血管中枢cardiovascular
center,循環中枢circulatory centerとも呼ばれ
るが,ここでは,頻用される「血管運動中枢」を
使用する.2.血管運動中枢に関するペースメーカー説と
ネットワーク説
交感神経性血管収縮線維にみられる緊張性放電
は,延髄の上端で脳幹を切断しても大きな影響を
受けない.しかし高位の頸髄を急性に切断すると
なくなるので,これを発生する機構は延髄にある
と考えられる4》.心臓血管中枢の局在と神経機構
について,現在2つの説が有力である.ほかの仮
説も提唱されているが,基本的には2つのどちら
かと類似である.第一は延髄の特定部位に存在するニューロン群
が,緊張性放電を発生するという考えである.と
くに延髄網様体の一部である吻側延髄腹外側部
(rostral ventrolateral medulla;RVLM)にあるペースメーカーニューロンが緊張性放電(自発放
電)を発生すると考える8).第二は,Gebberらの
提唱する説に代表されるように,緊張性放電が
ネットワーク発振機i構inetwork oscillatorにより生じるという考えである.これによれぽ,特定
の神経回路を神経インパルスが回旋することに伴
い,緊張性放電が発生する9).3.延髄腹外側部と血管運動ニューロン
血管運動中枢に関する2つの説に共通して,延
髄腹外側部(ventrolateral medulla;VLM)は重
要な役割をはたしているので,これについて説明
する8)lo). VLMとは,延髄網様体のうち,顔面神経核の尾側端から下オリーブ核の頭部1/3までの
レベルで,腹外側表面にごく近い部分を指す.こ
こには,交感神経の緊張性放電の発生と血圧の維
持,動脈圧受容器反射などの循環反射およびバソ
プレシン分泌反射の中継など,自律機能の調節に
関与するニューロン群が存在する.VLMのニューロンに固有な細胞構築上の特長
は存在しないので,これに対応する神経解剖学上
の区分はなく,その境界も確定し難いが,ラット
では外側傍巨大網瓜核nucleus paragigantocel−
lularis lateralisにほぼ対応する.神経化学的には,吻側延髄腹外側部(RVLM)はアドレナリン
含有細胞群であるC1群にほぼ一致し,尾側延髄腹
外側部(caudal ventrolateral medulla;CVLM)はノルアドレナリン含有細胞群であるA1群と
オーバーラップする.交感神経は,血管性および非血管性線維をとも
に含むが,血管収縮線維は,心周期と同期した神
経インパルスを示す.これは,動脈圧受容器反射
により神経インパルスが抑制を受ける結果であ
る.RVLMには,血管収縮線維と類似な活動を示
し,これを支配すると思われる血管運動ニューロ
ンが存在する11).RVLMの血管運動ニューロン
は,次の3つの電気生理学的基準を充足する.①
自発放電を示す.②動脈圧受容器からの入力によ
り抑制される.③脊髄の中間外側核に下行性軸索
を送る.③の基準は,下行性軸索の経路または終
末である,脊髄下行路または中間外側核を刺激し
て,ニューμンが逆行性興奮を示すことにより確
認される.RVLMの血管運動ニューロンは,ラット121,ネ
コ13),ウサギ6)で記録されるが,その性質はいずれも類似である.自発放電は1∼35Hzであり,動脈
圧受容器の刺激により放電は抑制される.このた
め,放電頻度は心周期に同期して変化し,ラット
では,心電図のR波の65∼70msec後に頻度は最
低になる15).また,脊髄の中間外側核に下行線維を 送り,その伝導速度は2.5∼8m/secの早い群と, 0.4∼0.8m/secの遅い群に分かれる6)16).RVLMの血管運動ニューロンの大きな特長は,
多くの情報源から入力を受けることである.表に
示すように,動脈圧受容器,動脈化学受容器,知
一18一
表RVLMの血管運動ニューロンに影響を与える末
梢および中枢神経系からの入力 A 末梢性入力 動脈圧受容器とその求心線維 動脈化学受容器とその求心線維 その他の迷走・舌咽神経求心線維 体性知覚神経(脊髄神経・三叉神経) 内臓求心神経(腎神経求心線維など) B 中枢性入力 孤束核 尾側延髄腹外側部 延髄の呼吸リズム発生機構 小脳室頂核 結合腕傍核 中心灰白質 視床下部(室傍核など)・ 中心扁桃核覚神経などからの末梢性入力や,視床下部などか
らの中枢性入力を受ける6).いいかえれば,RVLM
の血管運動ニューロンは,中枢および末梢神経系
から送られる神経情報を統合し,これを交感神経
節前ニューロンに送っている.4.RV正Mのペースメーカーニューロン
RVLMの血管運動ニューロンは,自分自身でイ
ンパルスを発生し,いわばペースメーカー様の性
質を持ち,交感神経の緊張性放電を生じるのだろ
うか.あるいは,ほかからの入力によりシナプス
性に興奮し,これを交感神経節前ニューロンに送
る1のだろうか.GuyenetらはラットのRVLMに,
ペースメーカー様の活動を示すニューロンを見出
し,これが血管運動神経の緊張性放電の源泉であ
ると提唱している8)17).ラットの脳室にL一グルタミン酸の拮抗薬
(kynurenic acid)とGABAの拮抗薬(bic−
cuculine)を投与するとRVLMの血管運動
ニューロンに対する興奮性および抑制性のシナプ
A 〉 ∈ o 一70 B 冒40 > E 一70L
10ms C 0 > E −60 ]〒
D ≧] 一30 コO nA −O.1マ
図1 RVLMに存在するペースメーカーニューロンの細胞内電位記録 ラット延髄のスライス標本を用いた実験.A, Bは別個のニューロンからの記録で,い ずれも静止電位の遅い脱分極に引き続いて活動電位が発生する.この経過中に,シナ プス電位は見られない.C, Dは同一のニューロンからの記録.コントロール(C)お よび通電により膜電位を過分極させた時(D).過分極により活動電位は消失する.も し興奮性シナプス電位があるとすれぽ,過分極によりこれが増大されるはずだが,実 際にそのようなことは見られない.この結果は,記録されたものがペースメーカー ニューロンの発生するペースメーカー電位であることを示す.(文献17より改変)ス性入力を遮断できる.この状態でもRVLMの
血管運動ニューロンは自発活動を生じるので18),インパルスはここで発生すると考えられる.これ
を直接に証明するには,ニューロンより細胞内誘
導を行い,ペースメーカー電位を直接に記録すれ
ぽよいが,技術的に難しい.そこで,Sunらは,
ラットの延髄をRVLMのレベルで前額面方向に
切断した,厚さ400μmのスライス標本を用い,細
胞内誘導を行った17).ただし,スライス標本の場合は,活動を記録しているニューロンが,下行性軸
索を有するかどうか(前節③の条件)は判定でき
ない.そこで,1週間まえにlucifer yellowを脊
髄に注入しておくと,逆行性軸索輸送により
RVLMニューロンの細胞体に運ばれ,スライス標
本において確認できる.このようにして記録されたニューロンの細胞内
電位は,図1A, Bに示すように,緩徐脱分極と規
則的な自発放電を示す.さらにコントロールの状
態(図1C)から過分極させる(図1D)と活動電位
は消失し,その間にシナプス電位は観察されない
ので,脱分極は細胞に内在するものであると判断
される.30℃におけるニューロンの自発放電頻度
は22スパイク/秒であり,温度を上昇すると自発放電頻度は増加する.さらに,forskolinなど,細胞
膜を通過し,細胞内のcAMPを増加させる物質に
より,緩徐脱分極のスロープと自発放電の頻度は
増加した.アドレナリンの作用はpropranololに
よりこの作用を打消された.これらのRVLMニューロンは,脊髄の交感神
経節前ニューロンに下行性軸索を送っていること
が確認されている.スライス標本および次節で述
べるwhole anima1での実験結果を総合して,記
録された電位がペースメーカー電位であると結論
した.RVLMが自発放電を発生し,交感神経節前
ニューロンを興奮させて,交感神経の緊張性放電
を発生する.Guyenetらは,これらのニューロン
をペースメーカーニューロンと名付け,この細胞
群が血管運動中枢(心臓血管中枢)を構成すると
いう考えを提唱した8).ペースメーカーニューロンの性質につき,次の
ことも分かった.その分布は,アドレナリン含有
一のC1細胞群の位置にほぼ一致する.しかし,ペースメーカーニューロン自体は,アドレナリンを含
有しない.また,ペースメーカーニューロンに混
在して,ほぼ同じ割合で,アドレナリン含有ニューロンが見られる.アドレナリン含有ニューロンは
ペースメーカー電位を示さず,また上行性側枝を
有する下行性軸索を脊髄に送り,clonidineに感受
性をもつ19).以上の結果は,RVLMの血管運動ニューロン
は,C1群のニューロンに一致し,アドレナリンが
神経伝達物質であるというReisらの当初の提
唱20>を否定するものである.現在では,L・グルタミン酸が神経伝達物質であるという考えが支配的で
ある6).5.RVL、Mの血管運動ニューqンからの細胞
内電位記録一wLole animalの実験一
RVLMの血管運動ニューロンが,生理的条件の
もとで,はたしてペースメーカーニューロンとし
て活動しているか,またどのようなシナプス性入
力を受けているかを知るには,whole animalで細
胞内電位を記録することが有力な手掛かりを与え
る.これは技術的に難しい課題であるが,最近に
なってGranataらがラットを用いて記録に成功
し15),その結果は,スライス標本での結果を支持す る.その主要な知見は,次のようになる.①RVLM
の血管運動ニューロンは,タイプ1およびIIと名
づける2群に分類される.②両三のニューロンは,
それ自身はアドレナリンを含有しないが,アドレ
ナリン含有ニューロンに包囲されている.③タイ
プ1のニューロンは,心拍に同期した興奮性シナ
プス後電位(EPSP)をうける.これは動脈圧受容
器からの入力による.動脈圧を下げて,動脈圧受
容器からの入力を遮断すると,EPSPは増大する.
ゆえに,動脈圧受容器からの入力は,RVLMの血
管運動ニューロンの上流に位置するニューロンを
抑制し,脱促通disfacilitationにより血管運動
ニューロンの活動を抑制する.④タイプIIの
ニューロンは,心拍に同期した抑制性シナプス後
電位(IPSP)を受ける.これは,動脈圧受容器か
らの入力が,RVLMの血管運動ニューロンの上流
一20一
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ロほL_八_」へ一
4唱m5●G 図2 RVLMのタイプII血管運動ニューロンが規則的な活動電位を示す記録 whole anima1の実験で,ラットRVLMの血管運動ニューロンのうち,タイプIIニューμンの細胞 内電位を記録した.タイプIIニューロンの細胞内電位は,動脈圧受容器からの入力により,心周期 にロックしたIPSPを示すが,血圧を下げてこの入力を遮断すると, A, Bのように規則的な間隔の 活動電位を示すようになる(AとBは,時間スケールが異なる記録).これは,Cにおいて,任意の 活動電位でトリガーした掃引を重ね合わせると,次の活動電位がきわめて類似な間隔で生じること から分かる.血圧を下げると,心周期にロックしたシナプス電位が遮断されることは,Dにおいて, 血圧波により細胞内電位の掃引をトリガーし重ね合わせると,電位変化が見られないことから確認 される.これらの結果は,whole animalの延髄から記録されたタイプIIのニューロンが,延髄スラ イス標本で記録されたペースメーカーニェーロン(図1)に相当することを強く示唆する.(文献15 より) 20mVに位置する抑制性ニューロンを興奮させるためと
解釈される.⑤タイプIIのニュー・ンにつき,動
脈圧を下げて動脈圧受容器からの入力を遮断する
と,シナプス性入力が消失するとともに,ニュー
ロンはきわめて規則的な放電を示すようになる
(図2).この結果は,タイプIIのニューβンが,自発放電を発するペースメーカーニューρンであ
る可能性を強く示唆する.また,タイプ1ニュー
ロンは非ペースメーカーニューロンに相当すると
考えられる.このようにして,whole animalでの
細胞内誘導の実験結果は,ペースメーカー説を支
持する.6.ネットワーク発振説
RVLMのペースメーカーニューロン説に対し
て,血管運動神経の緊張性活動は,脳幹に存在す
る特定の神経ネットワークをインパルスが巡回す
るために生じるという考えがある.これはネット
ワーク発振説network oscillator theoryと呼ば
れ,Gebberらが唱えているものがもっとも有名
である9)21).詳細は,別の総説6)で述べてあるが, その要点は,次のようになる.麻酔したネコで,動脈圧受容器など循環系から
の入力情報を遮断した状態にすると,交感神経放
電は2学6Hzの周期的変動を示す.動脈圧受容器
からの入力情報を遮断してあるので,この変動は
心拍に同期しない自由振動free runである.この性質を利用して,交感神経と同期した周期
活動を示すニューロン(sympathetic・related
neurons)を延髄で探索し,周期的活動の位相関係
を手掛かりにして,各ニューロン群の時間系列を
調べた.すると,RVLMのニューロンの興奮に先
立って,延髄網様体の背内側にある小細胞性網様
核nucl. reticularlis parvocellularisおよびその近傍のニューロンが発火することが見出された.
ちなみに,この部位は,外側被蓋野lateral teg−mental field22)に相当するとGebberは主張す
る9).RVLMと外側被蓋野には両方向性の線維連絡
があり,その間の伝導時間から,外側被蓋野の交
感神経興奮性ニューロンとRVLMが環状の神経
回路を形成し,これを神経インパルスが旋回する
と考えた.同時に,RVLMの出力が脊髄下行性軸
索により交感神経節前ニューロンを興奮させ,交
感神経の緊張性放電に2∼6Hzのリズム活動が生
じる.これまでのところ,Gebberの提唱するネット
ワーク説をそのままの形で支持する,ほかのグ
ループの報告は見られない.二宮たちは,別の神
A
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1mm
Depth Iμm】 50 20 150 10 5 ‘》・。、。、。,。
(=…∋」 Th「。3「董rロスfu「「en電 Pyr 子1 Latency lm5ecl 図3 CVLMの血管運動ニューロンの単一活動記録 麻酔したウサギからの記録.A:ニュ.一ロン放電(上段)および腎交感神経活動(下段) の加算記録.左大動脈神経を反復刺激すると,ニューロンの自発放電が増加し(上段) これに遅れて腎交感神経活動は反射性に抑制される(下段).B:フェニレフリンを静 脈投与して頸動脈洞の圧受容器を刺激すると,同じニューロンが興奮し,腎交感神経 活動は反射性に抑制されることを示す.C, D:このニューロンが吻側延髄腹外側部の ニューロンに軸索を送ることをcollision testにより確iかめたもの.自発放電に続いて Dの●のニューロンを電気刺激すると,時間間隔が10msecではニューロンは逆行性 に興奮しないが(上段),11msecでは興奮する(下段). Dの付近で刺激部位を変えな がら逆行性興奮を起こすための電流閾値を求めると,●の位置でもっとも低く,この ニューロンに投射を送っていることが分かる.E:尾側延髄腹外側部におけるこの ニューロンの存在部位.obexより5mm尾側のレベルで,疑核の腹内側に存在する. つまり,このニューロンは,大動脈および頸動脈洞の圧受容器からの入力を受けて興 奮し,頭側延髄腹外側部のニューロンに神経入力を送っている,動脈圧受容器反射の 中間ニューロンである.(文献25より改変)一22一
経回路とインパルス処理機構により,交感神経活
動のリズム発生を説明している14).7.CVLMの血管運動ニューロンと動脈圧受容
器反射の中枢内経路
RVLMの血管運動ニューロンについては,多く
のことが解明されたが,CVLMの交感神経および
血圧調節の役割については,余り知られていない.CVLMの刺激は血圧と交感神経活動をともに
抑制する23}.この反応は,RVLMの血管運動
ニューロンが中継するが24),Teruiたちは,ウサギを用いた実験により,CVLMの血管運動ニューロ
ンを記録し,これがRVLMの血管運動ニューロ
ンに抑制性の入力を送り,両者が動脈圧受容器反
射の中枢経路を構成することを明らかにした(図
3)25)26).CVLMの血管運動ニューロンは,大動脈神経を
電気刺激したり,フェニレフリンを静脈注入して
動脈圧受容器反射を起こすと,平均37msecの潜
時で興奮した.RVLMの血管運動ニューロンの平
均潜時は47msecである.これらのCVLMニュー
ロンは,RVLMの血管運動ニューロンを抑制し,
また後者を電気刺激すると,前者は約10msecの
潜時で,逆行性に興奮した.RVLMの血管運動
ニューロンとカップルしたCVLMのニューロン
は,CVLMの血管運動ニューロンと呼べるもので
ある.類似の性質をもつCVLMの血管運動
ニューロンは,ラットでも報告されている2η.なお,CVLMの血管運動ニューロンは,動脈圧
受容器のみならず体性神経の刺激によっても興奮
し28),CVLMでも神経情報の統合が行われる.
動脈圧受容器神経(頸動脈神経と大動脈神経)
は孤束核のみに終止することが確認され29),また孤束核とCVLMの神経連絡も証明されてい
る30).CVLMを破壊すると動脈圧受容器反射は破
壊される26)31).そこで,上に述べた電気生理学的結果から次の結論が得られる.動脈圧受容器反射の
神経経路は,動脈圧受容器→求心神経→孤束核→
CVLM→RVLMである(図4).
CVLMのニューロンにより抑制されるRVLM
の血管運動ニューロンは,Granataの報告15)にお
けるタイプIIニューロンに相当する.他方,タイ
s兜
ll a。「ticne「ve )) st;巴ンー\_s亜n
ト㎜料斗 spinal⊆レ1↑ ・。・d
37.5msCVLM
SPN
/ ・G・
描 麺1劇一・
↑ 胴
47.旭m。 ↑15。m。
図4 動脈圧受容器反射の中枢経路 大動脈神経一交感神経反射の中枢経路をウサギの実験 結果と,最近の知見(文献15)に基づき模式的に表わ したもの.中枢経路は,求心線維(大動脈神経aortic nerve)→孤束核(NTS)→caudal ventrolateral medulla(CVLM)→rostral ventro蓋ateral medulla (RVLM)→交感神経節前ニューロン(SPN)→交感神 経節後ニューロン(SGN・腎神経)から構成される.これと並行に,NTS→未知の興奮性ニューロン→
RVLMという脱促通による回路も存在する.大動脈神 経を刺激した時,それぞれの部位で記録される神経活 動のおよその伝導時間が記入してある.ウサギの大動 脈神経の有髄線維は,動脈圧受容器からの求心線維の みから構成され,化学受容器からの求心線維を含まな いので,電気刺激により動脈圧受容器反射を選択的に 誘発できる.腎神経の遠心性線維は,血管収縮線維の ほかに尿細管など非血管収縮線維も含む.しかし,い ずれも血管収縮線維と同じ反応を示すので,腎神経を 血管収縮線維の代表例として実験的に用いることがで きる.(熊田,照井,桑木)プ1ニューロンは,心周期にロックした興奮性入
力を受けるはずである.興奮性入力の源泉は不明
であるが,ひとつの可能性として,Gebberのネッ
トワ』一ク発振モデルにおける外側被蓋野があげられる.図4は,タイプ1ニューロンの脱促通回路
も含み,動脈圧受容器反射のもっとも新しい神経
回路モデルである.8.結語
RVLMの血管運動ニューロンは,血管運動線維
の緊張性放電の発生に関与し,さらに動脈圧受容
x ig et e bt) , rp *x {!il )ts lk ve * ur {gl .JA. " ig ea tt -( c
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