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知識創造能力の育成をねらった協調学習支援システム

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Academic year: 2021

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「知+の創造と発信を支援する遠隔教育・e-ラーニング

知識創造能力の育成をねらった協調学習支援システム

Co】bborativeLearn■ngSupportSystemforDeve】op】ngC「eativeSk‖s

l古賀明彦

若山浩志 Aゑ才ゐダ々β鞄卯〃タ和ざゐgI物点り,α椚α 学習者グループB 学習者クループA 学習状況監視 グルlプA学習段階1 グループB学習段階2 グループC学習段階1 教師 インターネット

7

課題の投与 各グループを監視 問題解決を支援 共通の課題 共同作業エリア 議論用エリア く:二 ̄ ̄二) 学習者グループC 総合的学習の時間での適用例 グループで自分たちの町を調べ,互いの議論を通 して深く理解したり,まとめ方を学習したりする ことができる。 協調的問題解決 グループ間交流 で多角的な見方 を学習 傲

惑膠

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学習者グループ 膠、 教師 遠隔分散協調学習システムの利用イメージ ネットワーク上でメンバー間やグループ間で共同 して問題解決を行うことにより,深い理解と問題 解決スキル,コミュニケーション能力を得る。 知識の重ね合わせ 公開 ネットワーク 学習の場の設定 ●テーマ ●背景画億 ●アイコン集合 i 〉 t 傘ト∨′〟く ぎ∴?

ミゝさ∧〟ト′、ク㌘驚:…選㍉こ′…

九億な言 協調学習支援システムの概要 ネットワーク技術やマルチメディア技術を駆使し,複数の学習者が協調的に演習,討論,自主研究などの活動を行うことができる仮想的な 学習空間を提供する。 人材育成の効率的な方法として,WBT(Web-BasedTrainingSystem)などの遠隔教育システムが実用期に入っている。新しい 時代の教育としては,これらの知識伝達型の教育に加え,みずから課題を発見する能九 問題解決に取り組む能九 さらに他 者とのコミュニケーション能力の育成が重要であり,そのような教育に有効な教育方法として,「協調学習+が注目されている。 日立製作所は,ネットワークを利用して遠隔で協調学習を行うための遠隔協調学習支援システムを提案する。協調学習では, 学習者どうしの有効なインタラクションをいかにして発生させるかが重要であり,それは学習プロセスの設計に影響される。 このシステムでは,有効な協調学習を実施するため,(1)協調学習の学習プロセス設計支援機能,(2)そこで設計された学習 プロセスに従って適切な学習空間を提供する機能、(3)仮想空間における学習の場で多彩な学習活動を支援するための協調作 業の追加機能,および(4)教師が遠隔で学習者の状況を監視できる機能を提案する。 これらの機能を国際標準化活動(lSO/lECJTCl/SC36)に提案し.協調学習に関する学習プランやツールの相互運用性を確 保していく。 はじめに 新しい時代のスキル(能力)として,領域に対する深い 理解だけでなく,みずから課題を発見し,解決方法を考 え,他者とのコミュニケーションを介して新しい知識を 作り出していく力が求められている。このような能力を 育成する方法として,グループの共同作業を通して互い に学習する「協調学習+という学習形態に期待が集まって いる。協調学習が有効なテーマとしては次のようなもの がある。 (1)憤理の理解だけでは不十分で,現実の問題解決に現 jlるノウハウの体得が必要なもの (a)管理職教育でのグループによる事例研究 管理職が直面する問題解決には正解があるわけではな く,考える姿勢そのものが重要 (b)オブジェクト指向設計の共同演習 モジュール分割などは,実践によるノウハウ習得と多 くの人の考え方に触れることが重要 (2)初等・中等教育における自主研究のような創造的な 学習ぜ再動 49

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654 日立評論 Vol.83 No.10(2001-10) 学習者グループA 学習状況監視 グループA学習段階1 グループB学習段階2 グループC学習段階1 軒 数師\ 転東ぬ インターネット

課題の投与 各グループを監視 問題角牢決を貴様 共通の課題 共同作業エリア 議論用エリア 咋毎 学習者ゲル,プB 者ク 協調的問題 解決 グループ間支流 で多角的な見方 を学習

′享)

図1遠隔分散環境での協調学習の仕組み グループで協調的に学習する空間をネットワーク上に提供する。 (3)議論や考察能力を育成するための能力養成 一方,近年のネットワーク技術やマルチメディア技術 の発展とともに,遠隔でいつでもどこでも教育が受けら

れるWBT(Web-Based Training System)などの技術が

発展し,実用化されてきている。社会的にはこれを大学 の単位認定に使うなど,遠隔教育を本格的に利用する傾 向にある。今後,協調学習も図1に示すように,ネットワー ク技術を利用した遠隔分散環境で,WBTなどの知識伝達 型の遠隔教育と相補的に使われるようになると考えられる。 ここでは,このような遠隔分散環境での協調学習を有 効に行うためのシステムについて述べる。

有効な協調学習実施のための課題

有効な協調学習を実現するための課題について,学習計 画の観点と実施時の情報システムの観点から以下に述べる。 2.1学習計画の観点からの課題 協調学習では,高いモティベーションや深い理解度の 達成などのメリットがある反面,学習の効果は,グルー プ内で起こる学習者間のインタラクション(相互作用)の 質に影響を受け,その貿によってはデメリットが発生す ることがある。例えば,誤りを学習する可能性や少数の 学習者による強引な議論の展開である。 協調学習のメリットとデメリットをまとめたものを表1 に示す。 このようなデメリットを抑え,メリットを強調するた めには,学習者の相互作用が適切に行われるように,グ ループの大きさ,学習テーマの進行,メンバーの役割構 成,グループ間の交流など,学習プロセスをうまく設計 する必要がある。このような問題意識はほかでも論じら れており】'・2),教師が大まかなグループ学習の流れを記 50 表1 協調学習の特徴 協調学習のメリットとデメリットを示す。デメリットを抑える 学習計画や学習支援が必要である。 メリット ●高いモティベーションが期待できる。 ●深い理解度の達成 ●現実的な問題を解決する能力育成 ●コミュニケーション能力育成 ●自分自身の思考を分析するスキル習得 デメリット ●誤りを学習する可能性 ●少数の学習者による強引な議論の展開 ●鳥(う)合の衆になることもある。 ●メンバー間で学習に対する貢献度がまちまち ●議論の焦点がまとまりのないものへ発散する可能性 述できるシステムもある。日立製作所は,さらに詳細な 設計を可能にし,その学習の実施への支援なども提供す ることを目指している。 2.2 学習実施時の情報システムの観点からの課題 協調学習が適用できるテーマは,設計演習やディベー ト(討論),共同研究など多彩であり,共同作業の種類も 非常に多くあるものと考えられる。遠隔分散協調学習支 援システムでは,ネットワーク上に学習者が仮想的な共 川作業を行うことができる「クラス+を提供する必要があ る。「クラス+の中で共同作業のために提供されるべき機 能や,「クラス+に配置すべき教材や実験室など教育のた めのリソースは,テーマごとに多彩である。遠隔分散協 調学習システムでは,これらの機能を設定することがで きるようにしなければならない。

協調学習の設計と実行支援の提案

協調学習支援システムに対する課題は以下のとおりで ある。 (1)教師が協調学習の学習プロセスを設計するための支 援が必要 (2)共同作業の場である「クラス+をカスタマイズするこ とが必要 (a)多彩なテーマに対ん占するために共同作業用の機能 を追加できることが必要 (b)共同作業の場である「クラス+への教材やツール等 の教育用リソースの配置などの指定 これらの課題に対する提案を図2に示す。 このシステムでは学習プロセスやその学習環境を記述 するための協調学習プロセス設計ツールを提供する。ま た,システムは,今までに設計された学習プロセスやそ

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知識創造能力の育成をねらった協調学習支援システム 655 協調学習概念の 体系化 実装システム野・ ●教師 鳩山、ち-・学習プロセス設計者 し5r・¶乃

磯飽

教師 轡

く≡当

設計

ニーーーーく二

利用 シナリオに沿った監視 調学習支援システム横風 協調学習プロセス 設計ツール 学習目的の規定 学習+設階の規定 参照 更新 学習プロセス 学習支援環境の規定 / l読み込み・実行 学習目的,グループ樺 フェーズ進行など リボジトリ 用語集 設計パターン 学習プロセス 蓄積,再利用 実行系 協調学習用 基本部品群,ユ【サー部品群 汎用協調学習支援ツール の中に現れる有用な概念の格納庫(リボジトリ)を備えて おり,教師は,リボジトリ内に蓄積された用語やデザイ ンパターンなどを参照しながら設計ツールを使って学習 プロセスを設計することができる。このようにして設計 された学習プロセスは汎用の協調学習支援システムによっ て解釈され,基本部品群やユーザーが組み込んだ部品群 を組み合わせることにより,学習者グループに協調学習環 境を提供する。また,システムは学習プロセスを利用した監 視機能を提供し,これによって教師は,ネットワーク上で多 くの学習者グループを効率よく管理することができる。 3.1学習プロセス表現体系の提案 次のような学習の特徴が表現できるように学習プロセ スの記述体系を設計した。 (1)学習プロセスの動的な遷移 学習グループは,分割されたり統合されたりしながら, 学習者にさまざまな相互作用の機会を与える。 (2)グループ内外の協調活動やインタラクション (3)グループ構造 教師が期待する各メンバーの役割などを記述できるよ うにする。 惑星の研究 個人活動 協調作業 領域 0...* 学習目的 太陽系の 研究 0り.*1 クラス討議 学習目的 小グループ活動 学習環境 個人作業 領域 クラス全体活動 対話ツール 教材 学習目的 図3 学習プロセスの記述例 学習活動を個人活動からクラス全体規模まで動的に変化させた 学習プロセスの例を示す。 連携 タ帽6システム 大学の教務システムなど 図2 学習プロセスを使った 協調学習システムの提案の 概要 協調学習の計画支援機能と, その機能で作成された学習プロ セスに沿って学習環境を提供す る機能を提案する。 学習プロセスの記述例を図3に示す。 この例では,学習プロセスは,「惑星の研究+,「太陽 系の研究+,および「クラス討議+の二つのプロセスから 成る。「惑星の研究+では個人の活動を,「太陽系の研究+ では′ト人数のグループの活動を,そして「クラス討議+で はクラス全体の活動をそれぞれ表現する。大きな点線の 四角内は,この三つの部分的な学習プロセスから成る学習 プロセスである。学習プロセスには学習日的や学習グルー プの種別,学習環境などの属性を持たせることができる。 3.2 学習プロセスの設計への支援 記述体系の学習プロセス設計への利用方法について以 下に述べる。 (1)学習者のインタラクションの明示化 このシステムでは,教師は学習プロセスを臼で見える 形で設計することができる(国4参照)。まず,教師は, いくつかのグループ活動が時間的に推移している流れを 記述する。それぞれのグループ活動には,グループの型 やテーマなどの,より詳細な内容を記述していく。この ような設計環境により,学習プロセスを明示的に扱うこ とができるので,教師は,例えば,二つのテーマの学習 設計される学習プロセス 導入 導入 設計讃 炉・ 研究 活動 研究 活動 研究 活動 協調学習用リボジトリ 設言十パターン インタラ クション グループ型:小グループ 時間の目安:1h テーマ:地域活動を考える。 協調活動:議論,調査,プ レゼンテーション作成 概念を参照し,必要に 応じて追加・修正 導入 専門性確立各自の 共同 問題群決 インタラクションの種芙頁 グループ構造の類別 グループ 個人 ペア 小グループ ジグソー グループ 教師 図4 視覚化による学習プロセスの設計支援の仕組み 学習活動間の関係を目で確かめたり,既存のプロセスを参照し ながら設計することができる。 51

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656 日立評論 Vot.83 No.10(2001-10) 導入 研究 まとめ 期待成果= iスキルAの獲得Ⅰ 危険性= (少数学習者による 強引な議論の展矧 図5 学習プランの妥当性のチェック方法 設計した学習プロセスを計算機処理し,利用しているグループ 構造などから学習時の注意項目を列挙する。 グループを独立に活動させておき,ある時点で相互に交 流させ,さまざまな視点を養うといった計画を容易に立 てることができる。 (2)事前実行による妥当性のチェック 協調学習では,グループ構成によっては特定の学習者 による強引な議論の展開などの潜在的な危険がある場合 や,想定した効果が得られるかどうかわからない場合があ る。このため,各部分プロセスの成果や危険性を積算する ことにより,このような危険性や協調学習の成果を知るこ とができ,これを設計に役立てることができる(図5参照)。 3.3 グループ構造の表現例 教師が学習プロセスを設計するとき,それぞれのグル ープ内で行われる活動をより詳しく記述したいことがあ る。例えば,グループに「リーダー+という「ロール(役割)+ を設け,リーダーに学習を進めさせる場合などである。 このシステムでは,図6に示すようなグラフを利用した表 現体系を提案する。同回申で,アイコンは「ロール+を表 し,矢印は「行為+を表す。教師はこのようなグラフを記 述することにより,グループに期待する活動を表現でき る。このシステムでは,「ロール+を教材などの教育用リ アクセス 夢′

アクセス 議論 アクセス

教材

指式市

リーダー アクセス 指名 アクセス

芋セス

共有エリア 図6 グラフ構造を用いたグループ構造の指定例 グループ学習活動への教師の期待を図で表現し,学習時の対話 状況をその図にマッピングして解析,表示する。 52 ソースにもつけることができるようにし,「ロール+と「行 為+の関係によってアクセス権制御を行う。例えば,同 国中で「指導用教材+にアクセスできるのは,そこに「ア クセス+という「行為+の矢印のある「教師+だけという設 定が可能である。この機能を利用して,教師はうまくグ ループ内の活動を組織することができる。 おわりに ここでは,知識創造能力の育成に有効な学習方法とし て期待されている「協調学習+について述べ,教師が効果 的な協調学習プロセスを設計するための「学習プロセス 設計ツール+と,そのプロセスに従って学習者に協調学習 環境を提供する「遠隔分散協調学習システム+を提案した。 設計支援ツールでは,各グループ活動の学習環境設定 や学習グループ内の役割構成,複数グループ活動間の交 流計画を画面上で容易に設計できるようにした。遠隔分 散協調学習システムでは,学習プロセスに従ってさまざま な協調学習用の基本部品やユーザー部品を呼び出す機構 を設け,学習テーマに最適な環境を提供できるようにした。 今後,ここで述べた協調学習の表現体系をISO/IEC JTCl/SC36のような標準化機関に提案していき,協調学 習支援システムの相互運用性を確保することにより,さ らに有効な協調学習プロセスが蓄積,再利用され,流通 するように努力していきたいと考える。 参考文献

1)E.L.Tiessen,et al.:Developinga Technologyfor Use

OfCollaborativeProject-BasedLearnlng,Proceedingsof

Computer Supported Collaborative Learning

Conference(CSCL99)(Dec.1999)

2)A.Inaba.et al.:Design and Analysis ofLearners

Interaction based on Collaborative Learning Ontology,

Proceedings of European Perspectives on

Co皿puter-SupportedCollaborativeLearning,22-24(March2001) 執筆者紹介 淋 /V磯

鮎瀾

古賀明彦 1984年日キ製作所入社,システム開発研究所所属 現在,教育システムの研究開発に従事 情報処理学会会員,日本ソフトウェア科学会会員 E・皿ailニ[email protected] 若山浩志 1989年日立製作所入札.システム事業部マルチメディア システム部所属 現在,遠隔教育のサービス分野開拓に従事 Eィnai上:wakaya皿a¢■siji.hitachi.co.jp

参照

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