Title
重症心身障害児(者)における短潜時体性感覚誘発電位の検
討( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
西村, 悟子
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第948号
Issue Date
1995-02-15
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15322
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 西 村 悟 子(岐阜県)
博
士(医学) 乙第 948号
平成 7年
2月15
日学位規則第4条第2項該当
重症心身障害児(者)における短潜時体性感覚誘発t位の検討
(主査)教授 折 居 忠 夫 (副査)教授 竹 内 宏 教授 宮 田 英 雄 論 文内
容 の 要旨
短潜時休性感覚誘発電位は末梢神経から大脳皮質感覚野に至る体性感覚路の誘導電位であり,近年,各種神経 疾患の病巣,病態診断に有用な手段と考えられており,小児神経学の分野でも種々の神経疾患において研究がな されている。一方,重症心身障害児(者)(以下,重障児と略す)は種々の中枢神経障害により重度の精神運動 発達遅滞∴運動障害を認める。そのため中枢神経機能を客観的に評価することが困難である。そこで申請者らは 重障児に短潜時体性感覚誘発電位を施行し,その中枢神経機能を客観的に評価し,その臨床像との関連について 研究を行った。 研究方法 1)対象:大島分類1から4の重障児(IQが35以下で,運動能力は座れるまで) 53例(男18例女35例で,年齢は4歳から38歳)と健常対照者21例(年齢は5歳から32歳)である。重障児 の病因は出生前障害15例,周産期障害12例,周産期以後の障害16例,原因不明10例であった。 2)方法:短潜時体性感覚誘発電位については正中神経を手関節部で5Hzの頻度で母指がsmalltwichingする ように電気刺激した。記録部位は刺激対側のC,(10∼20国際電極法中心部より1∼2cm後方)とし,基準 電極は刺激対側の前腕とAlあるいはA2においた。フィルターはlowcutlOHz-highcut5KHzを用い,1000 回加算し,分析時間は30msecあるいは40msecとした。一側を2回以上記録して,再現性を確認した。重障 児53例は左右両側記録し,106のデータを得た。垂障児は全例睡眠下で記録し,健常対照者は覚醒で記録し た。以上のようにして得られたデータにつきP。-Pl,頂点間潜時,Pl,-N2。頂点間潜時およびNx,の所見につ いて検討した。正常値は健常者の平均値の±3SDを基準とした。 この短潜時体性感覚誘発電位の所見と臨床所見(障害をきたした時期,大島分類,運動障害のタイプ,頭 部CT)との関連について検討した。 113研究結果 1)重障児においては,P9-P13頂点間潜時は,正常範囲にあり,P13-N20頂点間潜時は,両側正常の16例以外 はP13-Na,片側遅延,両側遅延,片側N2。の消失,両側Nx,の消失の異常が見られた。 2)原因別には,出生前障害では,脳回形成異常を中心に両側P.3-N孤頂点間潜時の遅延が33%の症例に認め られ,周産期障害(0%)や周産期以後の障害(6%)に比し,高率であった。これに対し,周産期以後の障害で は片側あるいは両側のN抑の消失が多く(56%)認められ,出生前障害の33%,周産期障害の25%に比し,高率に 認められた。このことにより垂障児の感覚路障害における病態の原因による差異が示唆された。 3)痙性四肢麻痺例および大島分類1の症例では短潜時体性感覚誘発電位に異常所見が多く認められた。 4)頭部CT所見との関連については,広範囲実質障害で片側あるいは両側のN初の消失が高率(86%)に認め られた。 P13-N孤頂点間潜時の遅延は感覚路の髄鞘形成不全を示唆するものと考えられ,また,N却の消失は感覚野皮質 を中心とした実質障害を表していると推察された。 以上より,短潜時体性感覚誘発電位の施行は,重障児の中枢神経障害の病態の把撞に有用と考えられた。