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現代の身元保証(3) : 2012年度実態調査

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(1)

 Ⅰ はしがき  Ⅱ 調査の概要  Ⅲ 調査の結果   

1

 身元保証制度の採否 (以上、

399

号)   

2

 身元保証の重要度  (以上、

400

号)   

3

 身元保証の内容    

A

身元保証人の人数    

B

身元保証人の資格条件(以上、本号)    

C

身元保証書の方式と文言    

D

身元保証の契約締結   

4

 身元保証契約の期間   

5

 契約期間中の使用者の行為態様   

6

 身元保証金と身元信用保険   

7

 身元保証への期待と現実   

8

 身元保証に関する意識  Ⅳ むすび  

III

調査の結果

3 身元保証の内容  身元保証の内容については、身元保証人の人 数、資格条件、身元保証書の方式と文言、身元保 証の契約締結の順に見ていく。  身元保証制度を採用している会社が身元保証 にどのような役割を期待しているかを知るため、

1

人の従業員に対し必要とする身元保証人の人数 (問

4

)と身元保証人に求める資格条件(問

5

)をた ずねた。  また、

170

社から身元保証の書式の提供を受け た(問

16

)。これらの貴重な書式から、現実に用い られている身元保証書の方式と文言を知り、身元 保証の内容と締結の実際をうかがう。

現代

身元保証(

3

2012年度実態調査

能登真規子 Makiko Noto 滋賀大学経済学部 / 准教授 論文

(2)

 さらに、身元保証人の意思確認の有無(問

8

)、 弁済能力を示す書面の提出の有無(問

9

)をたず ねた。この

2

つの質問は、

2012

年調査の第

1

調査 の回答を受けて、身元保証の内容をより深く考察 するために、第

2

調査で追加したものである。   A 身元保証人の人数

4

 貴社では、

1

人の従業員に対し何人の身元 保証人を求めていますか。  (

1

1

人  (

2

2

人  (

3

)その他 (*      )  

1936

年調査1)では、身元保証を実施していると 回答した

129

社のうち

94

社(

72.9

%)が身元保証 人の人数を

2

人と定めていた2)

1

人」が

10

社で あったのに対し、「

1

人又は

2

人」が

3

社、「

2

人又は

3

人」が

3

社、「

2

人以上」が

14

社、「

3

人以上」が

1

社 であったから、実に

115

社(

89.1%

)3)複数の身元 保証人を求めていたことになる。  

1963

年調査4)でも、同様に、身元保証を実施し ていると回答した

663

社のうち、

2

人と定めている 企業が大多数で

506

社(

76.3

%)を数える5)

1

人」

104

社、「

1

人以上」が

1

社の計

105

社であったの に対し、「

3

人」が

16

社、「

4

人」が

1

社、「

2

人以上」が

11

社、「

3

人以上」が

1

社、「

1

人又は

2

人」が

4

社、「

2

人又は

3

人」が

3

社で、複数の身元保証人を求める 会社は計

542

社(

81.7%

)となっている。  これらに対し、今回の

2012

年調査では、身元保 証人を

1

人とする会社の割合(

320

社、

46.6%

)が増 え、

2

人とする会社の割合(

332

社、

48.3%

)に近づ いたことがわかる(表

32

参照)。  「(

3

)その他」を選んだ回答の多くは、正社員に ついては身元保証人を

2

人、アルバイトや契約社 員については身元保証人を

1

人とするものであった が、中には、「新卒採用は

2

名、中途採用は

1

名」、 「

2

名だが

1

名でも可」、身元保証人が「三親等内な ら

1

名、それ以外なら

2

名」というものも見られた。 また、

3

人の身元保証人を求めている会社が

2

社 あった。 1)西村信雄「身元保証制度の実証的研究」関西大学研究 論集5号(1936年)57∼86頁(本稿では「西村1936」と引用す る)。 2)西村1936・65頁。 3「)1人又は2人」を除く場合には112社(86.8%)になる。 4)西村信雄「現代における身元保証の実態(1)∼(4・完)」 立命館法学53号(1964年)28∼60頁、54号(1964年)137∼ 168頁、65号(1966年)25∼50頁、66号(1967年)118∼164頁 (本稿では「西村1964(1)」「西村1966(3)」等と引用する)。 5)西村1964(2)・138∼140頁。 上場会社 非上場会社 計 (1) 1人 115 (48.5%) 205 (45.6%) 320 (46.6%) (2) 2人 109 (46.0%)  223 (49.6%) 332 (48.3%) (3)その他 *a 13 (5.5%) *b 21 (4.7%) 34 (4.9%) 無回答 0 (0%) 1 (0.2%) 1 (0.1%) 計 237 (100%) 450 (100%) 687 (100%) *a 上場会社の「(3)その他」については、「1人∼2人」が2社、社員区分により2人と1人とに分けるものが10社、  身元保証人が「三親等内なら1名、それ以外なら2名」とするものが1社であった。 *b 非上場会社の「(3)その他」については、「3人」が2社、「なしでも受け入れている」が1社、「1人∼2人」が3社、 社員区分により2人と1人とに分けるものが15社であった。 32 身元保証人の所要人数(2012年調査−全−)

(3)

7)西村1964(2)・142頁。 8)西村1964(2)・152∼153頁。 9)西村1964(2)・154∼155頁。 6)西村1964(2)・138∼139頁。  今回の調査では、

1963

年調査で行われたよう な所要人数変更の有無に関する質問は行わな かった。

1963

年調査6)では

625

社(

94.3%

)が身 元保証人の人数を変えていないと回答していたが、 調査以前に身元保証人を

1

人から

2

人に増やした 会社が

14

社、

2

人から

3

人に増やした会社が

2

社 あった。これに対し、

2

人から

1

人に減らした会社 は

3

社にとどまっていた。  身元保証を採用する会社(身元保証採用率

94.0%

)の

8

割強が複数の身元保証人を求めてい た

1963

年と比べ、現代で複数の身元保証人を求 めるのは、身元保証を採用する会社(身元保証採 用率

74.8%

)の半数弱である。この

50

年の間に複 数の身元保証人を求める割合はかなり低下したも のと推測される。 B 身元保証人の資格条件

5

 貴社では、身元保証人になる人物について 条件を設けていますか。 (

1

)一切、条件を設けていない。 (

2

)条件を設けている。 → どのような条件ですか。記号を○印で囲い、 右欄で具体的に説明してください。  (

a

)身元保証人の年齢  (

b

)身元保証人の居住地  (

c

)身元保証人の資産・所得  (

d

)本人との続柄  (

e

)会社内の人物(役員・従業員)か否か  (

f

)その他 (質問票冊子においては、(

a

)∼(

f

)を表の左欄に 入れ、右欄に自由記述欄を設けた。)  

1963

年調査によると、身元保証制度を採用して いる

663

社のうち、身元保証人の資格条件につい て一定の制限を設けている会社が

448

社(

67.6%

)、 制限を設けていない会社は

211

社(

31.8%

)、不明 が

4

社(

0.6%

)であった(表

33

参照)。  ただし、制限を設けていないという会社のうち

120

社は「但し不適当と思われる場合には身元保 証人を変更させる」とも回答している7)。そのため、 身元保証人の資格条件を全く無条件とする会社 は

91

社(

13.7%

)以下であったともいえる。  

2012

年調査でも、「(

2

)条件を設けている」会社 (

375

社、

54.6%

)が、「(

1

)一切、条件を設けてい ない」会社(

308

社、

44.8%

)を上回った(表

34

参 照)。  しかしながら、資格条件の内容を詳細に見てい くと、近年の身元保証では、過去のものと比べ、身 元保証人の資格条件がかなり緩和されてきている ことがわかる。  

1963

年調査では、身元保証人の資格条件は、 「

1

財産に関する資格条件」「

2

身上に関する資格条 件」「

3

居住地(住所)に関する資格条件」「

4

本人と の続柄に関する資格条件」「

5

使用者たる企業との 関係に関する資格条件」「

6

抽象的資格条件」とい う区分でまとめられていた。  

1963

年調査の第

10

表8)、第

11

9)を今回の調 査の問

5

の「(

2

)条件を設けている。」の質問項目 に合わせて再編成し、

2012

年調査の結果と対比 した(表

35

、表

36

参照)。  

1963

年調査の区分に従い、

2

つの表の内容をよ り細かく展開しながら、

2012

年調査の結果を見て いくことにする。

(4)

計 (1)一切、条件を設けていない 211 (31.8%) (2)条件を設けている 448 (67.5%) 不明その他 4 (0.6%) 身元保証制度採用社数 663 (100%) 33 身元保証人の資格条件の有無 (1963年調査の第10表を一部改編) 上場会社 非上場会社 計 (1)一切、条件を設けていない 105(44.3%) 203(45.1%) 308(44.8%) (2)条件を設けている 132(55.7%)  243(54.0%) 375(54.6%) 無回答 0(0%) 4(0.9%) 4(0.6%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 687(100%) 34 身元保証人の資格条件の有無(2012年調査−全−) 計 (a)身元保証人の年齢 206(31.1%) (b)身元保証人の居住地 237(35.7%) (c)身元保証人の資産・所得 72(10.9%) (d)本人との続柄 325(49.0%) (e)会社内の人物(役員・従業員)か否か 164(24.7%) 身元保証制度採用社数 663(100%) 35 身元保証人の資格条件の区分 (1963年調査の第10表、第11表を一部改編) 上場会社 非上場会社 計 (a)身元保証人の年齢 40(16.9%) 64(14.2%) 104(15.1%) (b)身元保証人の居住地 15(6.3%) 38(8.4%) 53(7.7%) (c)身元保証人の資産・所得 33(13.9%) 56(12.4%) 89(13.0%) (d)本人との続柄 49(20.7%) 114(25.3%) 163(23.7%) (e)会社内の人物(役員・従業員)か否か 9(3.8%) 29(6.4%) 38(5.5%) (f)その他 50(21.1%) 71(15.8%) 121(17.6%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 687(100%) 36 身元保証人の資格条件の区分(2012年調査−全−)

(5)

12)「固定資産の評価額が合算して1,000万以上を標準とす る。」「独立生計、もしくは資産1,000万円以上」「年収が500万 円以上/年収が300万円以上で所有財産の総額が1,000万 円以上/所有資産の総額が2,000万円以上」の3つである。 なお、ここにも「独立生計」という語が出てきているが、これは 「独立生計」に言及するものとは数えていない。 10)本文のもの以外に、「相当の財産を有する者」「相当の生 計を営む者」「相当の経済能力(又は経済的基礎)がある者」 「中流以上の生活を営む者」がある(西村1964(2)・144頁)。 11)「独立生計」は、39社が「(c)身元保証人の資産・所得」 の回答欄で、45社が「(f)その他」で、10社がそれ以外の欄で 言及した。

1

)財産に関する資格条件  財産に関する資格条件は、さらに「(い)弁済の 資力を有すること」(抽象的弁済能力)、「(ろ)一 定額以上の財産又は所得を有すること、または、 一定額以上の納税者であること、もしくは、不動産 を所有すること」(具体的弁済能力)、「(は)破産 者でないこと」に区分されていた(表

37

参照)。  身元保証の場合は、貸金等債務の単純な保証、 連帯保証や極度額の定めが設けられるようになっ た根保証とは異なり、身元保証人が現実に負担す ることになる責任額は誰にも想定できない。そのた め、たとえ、「弁済能力者」「保証能力者」「一定の 収入ある者」といった要件10)提示されたとして も、それが身元保証人としての責任を果たすに見 合うものになっているかどうかは不明である。  しかし、

1963

年調査の段階において、資産・所 得に関する身元保証人の資格条件として用いられ たのは、主として、具体的弁済能力よりも、この抽 象的弁済能力であった。  

2012

年調査でも、同様の傾向がうかがわれた (表

38

参照)。財産に関する資格条件としては、回 答の多くが「弁済の資力を有する者」「収入がある 方」「独立生計を営む者」等の抽象的弁済能力に 言及する11)。金額の基準を示して身元保証人に具 体的弁済能力を求めるのは、証券・先物商品取 引業のわずか

3

社にとどまった12)  興味深いことに、西村の

1

回目の調査である

1936

年調査の段階においては、具体的な基準で ある納税資格が身元保証人の財産的資格条件と して用いられていた。当時、

129

社が身元保証制 計 (c)身元保証人の資産・所得 72(10.9%)  (い)抽象的弁済能力を必要とする 53(8.0%)  (ろ)具体的弁済能力を必要とする 15(2.3%)  (は)破産者でないことを要する 4(0.6%) 身元保証制度採用社数 663(100%) 上場会社 非上場会社 計 (c)身元保証人の資産・所得 33(13.9%) 56(12.4%) 89(13.0%)  (い)抽象的弁済能力を必要とする *a 33(13.9%) 53(11.8%) 86(12.5%)     内、「独立生計」に言及するもの

14

5.9%

25

5.6%

39

5.7%

)  (ろ)具体的弁済能力を必要とする 0(0%) 3(0.6%) 3(0.4%)  (は)破産者でないことを要する *a  3(1.3%) 0(0%) 3(0.4%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 687(100%)  *a (い)と(は)をともに必要とする会社が3社あった。 37 身元保証人の財産に関する資格条件 (1963年調査の第10表を一部改編) 38 身元保証人の財産に関する資格条件(2012年調査−全−)

(6)

17)銀行4社、信託1社、無尽4社、保険14社、交通運輸4社、 電力・ガス4社、繊維工業1社、各種製造工業2者、雑(その 他)1社が納税資格を身元保証人の資格条件としていた。表 39参照。 18)西村1936・75頁。 13)西村1936・75∼76頁。 14)西村1964(2)・144頁。 15)西村1936・60頁。 16)本稿(1)・彦根論叢399号162頁、表5。 度を採用していると回答したが、納税資格を用い たのは、そのうちの

32

社(

24.8%

)である13)。各社 が要求する納税額の水準はさまざまで、身元保証 人が単に納税者であればよいとするものから、直 接国税年額

50

円以上を納める者であることを求 めるものまであった(表

39

参照)。しかし、どの水 準を採るにせよ、このような具体的な財産上の資 格条件を設けた場合には、身元保証人になりうる 人物がかなり限られることになる。  西村は「現代の身元保証の法律上4 4 4の機能の最 も重要なものは、使用者が被用者(身元本人)の 不正行為等によってこうむるであろう損害の賠償 である。従って、身元保証人の具えるべき資格条 件のうち、使用者にとって最も重要であろうと思わ れるものは、財産に関する資格条件である」14)(傍 点は原文ママ)と述べていた。西村が言及するよう に、かつては、財産に関する資格条件が最も重要 な資格条件として重視されていたということなので あろう。  しかし、あるいは、別の読み方も成り立つかもし れない。  

1936

年調査において、身元保証人を要すると 回答した

129

社の中には銀行

24

社、信託

4

社、無 尽

13

社、保険

23

社が含まれている15)。これらを合 わせたものは身元保証を要する会社全体の

49.6%

(保険を除くと

31.8%

)に相当する。対して、今回の

2012

年調査では、銀行業の回答率は

3.5%

と平均 回答率

11.7%

よりも目立って低く、銀行業に分類さ れる会社の数は身元保証を採用している会社全 体の

0.7%

を占めるに過ぎない16)。銀行業に保険 業を合わせたとしても、回答率は

6%

で、身元保証 を採用する会社数の

1.7%

でしかない。  

1936

年調査の段階では、銀行、信託、無尽、保 険の

4

業種が、具体的弁済能力の指針の

1

つであ る納税資格をしばしば基準としていた17)  しかし、

1963

年調査では、銀行その他金融業

60

社、保険

12

社が身元保証制度を採用している と回答しつつ、具体的弁済能力を必要とするのは 直接国税年額50円以上を納める者であることを要す 1(0.8%) 直接国税年額30円以上を納める者であることを要す 2(1.6%) 直接国税年額20円以上を納める者であることを要す 1(0.8%) 直接国税年額10円以上を納める者であることを要す 6(4.7%) 所得税年額20円以上を納める者であることを要す 1(0.8%) 納税額だいたい30円以上であることを要す 1(0.8%) 直接国税を納める者であることを要す(または希望す) 3(2.3%) 納税者であることを要す 2(1.6%) 納税額につき一定の制限がある 15(11.6%) 身元保証制度採用社数 129(100%) 39 身元保証人の財産上の資格条件/納税資格(1936年調査の表18)を一部改編)

(7)

21)西村1964(2)・156∼157頁。 19)西村1963(2)・144∼145頁。 20)西村1964(2)・157頁。 銀行その他金融業が

10

社、保険が

1

社となった。 抽象的弁済能力については、銀行その他金融業

11

社がそれを求めたが、保険各社はもはやそのよ うな資格条件を必要としていない。具体的弁済能 力の具体例が

14

社分列挙されているが19)

1963

年時点においても、「固定資産税

5

千円以上の納 税者」「財産額

200

万円以上」というような水準が 提示されることは限られた事例であったといえる。  銀行を初めとする金融業界においては、今日で も、具体的弁済能力が用いられている可能性があ る。したがって、身元保証人の具体的弁済能力が 必要とされなくなった理由については、時代の経 過だけでなく、質問票調査の限界、すなわち、集計 された回答の業種の偏りを考慮に入れておくべき であろう。  今回の

2012

年調査においては、「独立生計」を 示す趣旨が質問票の「(

c

)身元保証人の資産・所 得」欄に記入されていた場合、それをそのまま、「財 産に関する資格条件」として集計した。  しかし、

1963

年調査では、「独立の生計を営む 者」は財産に関する資格条件とはされず、「社会生 活においていわゆる一人前4 4 4 の人間として通用する ための最小限の資格」(傍点は原文ママ)であると して、「身上に関する資格条件」として扱われてい る20)  かつては、独立の生計を営む、すなわち、自分自 身の生計に必要な費用を自己の資産または所得 によって支弁しうるというだけでは、財産的資格条 件には当たらないと考えられていたということにな ろう。仮に、

2012

年調査結果から「独立生計」を除 くと、財産に関する資格条件である「(

c

)身元保証 人の資産・所得」への回答数はさらに限られる(上 場会社、非上場会社の合計で

52

社、

7.6%

)。  以上より、現代においては、回答数が限られて いたために傾向の確認できなかった銀行業を除 外すれば、身元保証人の財産的資格条件は、あま り重視されていないといえるのではなかろうか。  

2

)身上に関する資格条件  身元保証人の資格条件の

2

つ目は、身上に関す るものである。

1963

年調査の報告では、さらに、 「(い)年齢に関する資格条件」、「(ろ)行為能力者 であること」、「(は)独立の生計を営むものである こと」、「(に)世帯主であること」、「(ほ)戸籍の筆 頭者であること」、「(へ)既婚者であること」、「(と) 一定の職業を有する者(定職者)であること」、 「(ち)身元確実な者であること」、「(り)公民権を 有する者であること」、「(ぬ)男子であること」、 「(る)日本国籍を有する者であること」、「(お)被 用者を紹介又は推薦した者があるときは、その紹 介者又は推薦者は身元保証人となるべきこと」の

12

に区分されている。  これらをおおまかに分け、以下では、年齢条件、 財産に関する資格条件に近い経済的能力をも示 す条件、その他の順に見ていく。  身元保証人の資格条件として「(い)年齢」を掲 げる回答は、

1963

年調査で

31.1%

、今回の

2012

年調査で

15.1%

にとどまった(表

40

、表

41

参照)。  その回答の多くが「(イ)成年者であることを要 する」とする。これよりも厳しく、身元保証人を年 齢で成年者のうちの一部に限定するものは、今日 ではごくわずかである。  「(ホ)その他年齢制限」の例としては、

1963

年 調査では、「

18

歳以上」「

23

歳以上」「

26

歳以上」と 並んで、「

65

歳以下」「

20

歳以上

65

歳以下」「常識的 年齢」「弱ママ年者は不可」等があった21)

2012

年調

(8)

査でも、「原則

30

歳∼

70

歳未満」「

70

歳以下」「

65

歳未満」「原則、採用者より年長」等が見られた。

1963

年においても、

2012

年においても、従業員本 人よりもやや年上の、いわゆる社会人現役世代が 求められていたといえるだろうか。  資格条件として年齢を明示的に謳っていない場 合でも、法定代理人の同意が必要となるような未 成年者による身元保証が認められるわけではない のであろう。したがって、改めていうまでもなく、少 なくとも身元保証人が成年であることは当然の資 格条件となっていると考えられる。  身上に関する資格条件に分類されているが、財 産に関する資格条件に近いものとして、先にも述べ た「(は)独立生計者」がある。  「独立の生計を営む」ことは、他のものに比べれ ば、身元保証人の資格条件としてよく見られるもの の

1

つである。

1963

年調査では、

196

社(

29.6%

)が、

2012

年調査でも、

94

社(

13.7%

)が「独立生計」に 言及する(表

42

、表

43

参照)。  「独立の生計を営む」というものが、かつては、 被用者が自己の周辺の者に身元保証人を頼み了 承を得てくることができるかを測る基準として、位 計 (a(い)身元保証人の年齢) 206(31.1%)  (イ)成年者であることを要する 165(24.9%)  (ロ)25歳以上であることを要する 11(1.7%)  (ハ)30歳以上であることを要する 20(3.0%)  (ニ)40歳以上であることを要する 3(0.5%)  (ホ)その他年齢制限を定めている 7(1.1%) 身元保証制度採用社数 663(100%) 上場会社 非上場会社 計 (a(い)身元保証人の年齢) 40(16.9%) 64(14.2%) 104(15.1%)  (イ)成年者であることを要する 34(14.3%) 55(12.2%) 89(13.0%)  (ロ)25歳以上であることを要する 1(0.4%) 0(0.0%) 1(0.1%)  (ハ)30歳以上であることを要する 0(0.0%) 4(0.9%) 4(0.6%)  (ニ)40歳以上であることを要する 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%)  (ホ)その他年齢制限を定めている 5(2.1%) 5(1.1%) 10(1.5%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 687(100%) 40 身元保証人の身上の資格条件/年齢 (1963年調査の第10表、第11表を一部改編) 41 身元保証人の身上の資格条件/年齢(2012年調査−全−)

(9)

置づけられていたと解釈されている22)。そこでは、 「独立生計者」であるということは、「社会生活にお いていわゆる一人前の人間として通用するための 最小限の資格」を意味するといわれていた。しかし、 身元保証人の必要人数が減り、身元保証人に格 別の資格条件を設けない会社が増え、設けられる 場合にも資格条件が緩和されたものになるにつれ て、身元保証人を頼むことは、多くの場合には、と りたてていうまでもないものへと変化してきている といえるであろう23)  加えて、同時に、「独立生計者」の意味合いも変 わってきている。

1963

年調査報告では、「独立生 計者」は、「世帯主であること」と実質的にはほとん ど同じ内容の資格条件であるといわれていた24) さらに、「定職者」「既婚者」「身元確実者」という 資格条件も同じ系統の資格条件として合算されて いる25)  しかし、今日では、核家族世帯(

2,972

万世帯) のうち、就業人数が

1

人の世帯(

1,014

万世帯)を

2

人の世帯(

1,112

万世帯)が上回る等、共働き世帯 も一般化している26)。夫婦の一方が他方の被扶養 者ではない例も珍しくなくなり、「独立生計者」と 「世帯主」や「戸籍筆頭者」とを同列に扱えなくなっ てきている。  身元保証人に求められる身上の資格条件として は、新たに、「独立生計者」であることに代わり従 業員本人と別生計であることが、「世帯主」である ことに代わり別世帯や非同居(別居)であることが 求められるようになってきている。  今日でも、身元保証人が「(と)定職者であるこ と」は求められるが、「(へ)既婚者であること」、 「(ぬ)男子であること」はもはや必要とされない。 「(を)紹介者・推薦者は身元保証人となる」とい う慣習も廃れたようである。そして、新たに、「(わ) 25)1963年調査では、「独立生計者」およびこれと同系統の 資格条件を要する会社が226社と数えられている。資格制限 企業数の50.4%、身元保証制度採用社数の34.1%となる。 26)政府統計の総合窓口「労働力調査基本集計第IV-6表 世帯の種類,就業人員別世帯数(2013年)」 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001 116933 (2014/06/30) 22)西村1964(2)・157頁。 23)親その他の近親者に頼める場合には、身元保証を頼ん でくることが大きなハードルになるとは思われない。その反面、 親やそれに代わる親族がいない場合には解決しがたい困難 に直面する。親その他近親者に厳しい資格条件が課せられ る場合も同様である。 24)西村1964(2)・158頁。 計 (ろ)行為能力者であることを要する 13(2.0%) (は)独立の生計を営む者であることを要する 196(29.6%) (に)世帯主であることを要する 31(4.7%) (ほ)戸籍の筆頭者であることを要する 1(0.2%) (へ)既婚者であることを要する 6(0.9%) (と)定職者であることを要する 13(2.0%) (ち)身元確実な者であることを要する 15(2.3%) (り)公民権者であることを要する 6(0.9%) (ぬ)男子であることを要する 19(2.9%) (る)日本国籍を有することを要する 4(0.6%) (を)紹介者・推薦者は身元保証人となる 3(0.5%) 身元保証制度採用社数 663(100%) 42 身元保証人の身上の資格条件/その他 (1963年調査の第10表、第11表を一部改編)

(10)

28)西村1964(2)・160頁。 厚生労働省「図表2-2-33 専業主婦世帯と共働き世帯の推 移」『平成25年度版厚生労働白書』86頁 http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-2.pdf (2014/06/30) 27)書面に同一の印を複数者のために押さないようにという 意味のものと、印鑑登録を行っていること(実印を捺すこと)と いう意味のものがある。 印鑑を持っていること」が要件として挙げられる状 況になっていることが興味深い27)

3

)居住地(住所)に関する資格条件

1963

年調査では、使用者である会社が身元保 証人の居住地について相当大きな関心をもってい ると評価されていた28)(表

44

参照)。身元保証人 の居住地が、使用者である企業の主たる事務所 (本社・本店等)の所在地、本人が現に勤務してい る事務所(支店・工場等)の所在地の付近である ことは、身元保証人の資産・身上の調査、本人の 不正行為による損害発生等の事故が生じた場合 の賠償請求等の交渉、身元保証法

3

条による通知、 身元保証人による本人の素行等の監督・注意の ために好都合であるという説明であった。  

1963

年調査では、

237

社(

35.7%

)が身元保証 人の居住地を制限していると回答していた。  しかし、現代では、もはや、前述したような身元 保証を介した使用者である会社と身元保証人と の交流、応答が行われているようには思われない。 上場会社 非上場会社 計 (ろ)行為能力者であることを要する 2(0.8%) 3(0.7%) 5(0.7%) (は)独立生計者であることを要する 25(10.5%) 20(4.4%) 45(6.6%)    (

f

)以外の欄で「独立生計」に言及するもの

16

6.8%

33

7.3%

49

7.1%

)  (は−2)別生計者であることを要する 7(3.0%) 10(2.2%) 17(2.5%) (に)世帯主であることを要する 1(0.4%) 4(0.9%) 5(0.7%)  (に−2)別世帯であることを要する 1(0.4%) 5(1.1%) 6(0.9%)  (に−3)同居していない者であることを要する 1(0.4%) 5(1.1%) 6(0.9%) (ほ)戸籍の筆頭者であることを要する 0(0.0%) 3(0.7%) 3(0.4%) (へ)既婚者であることを要する 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) (と)定職者であることを要する 10(4.2%) 9(2.0%) 19(2.8%) (ち)身元確実な者であることを要する   *a 1(0.4%) 0(0.0%) (10.1%)  (ち−2)保証能力のある者であることを要する   1(0.4%) 3(0.7%) 4(0.6%)  (ち−3)指導監督しうる地位にある者であることを要する 1(0.4%) 0(0.0%) (10.1%) (り)公民権者であることを要する 0(0.0%) 2(0.4%) 2(0.3%) (ぬ)男子であることを要する 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) (る)日本国籍を有することを要する 1(0.4%) 2(0.4%) 3(0.4%) (を)紹介者・推薦者は身元保証人となる 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) (わ)印鑑を持っていることを要する 2(0.8%) 4(0.9%) 6(0.9%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 687(100%) *a 「一定の社会的立場にある方」 43 身元保証人の身上の資格条件/その他(2012年調査−全−)

(11)

身元保証人の居住地を限定する割合も低下してい る(表

45

参照)。  

2012

年調査では、身元保証人の居住地につい て、「(ロ)勤務地の近隣」とするのが

13

社(

1.9%

)、 「(ハ)勤務地の同一都道府県内(「原則」を含む)」 が

7

社(

0.1%

)、「(ニ)勤務地の近隣都道府県内」 が

4

社(

0.6%

)という結果となった。「(ホ)国内」や 「(へ)住所がある」という制限とはいいがたいよう な回答も見られた。  この項目での最多回答でもある「(イ)(

1

人は) 従業員と別居、別世帯であることを要する」は、「身 元保証人による本人の素行等の監督・注意」とい うような身元保証人の使命からは一見、説明しづ らいものである。しかし、身元保証人に全くの他人 を想定するのでなければ、この別居、別世帯という 資格条件は、責任財産の増加を図るだけでなく、 従業員本人の父母が身元保証人を行うのでは果 たせないコントロールを少しだけ遠い親族(伯叔 父母、別世帯となった兄等)に期待して課されてい ると理解できるかもしれない。

4

)本人との続柄に関する資格条件  身元保証人の続柄については、

1963

年調査では、

325

社(

49.0%

)が身元保証人の続柄を制限してい ると回答し、その

7

割方が近親者を身元保証人とす るよう求めていた(

230

社、

34.7%

(表)

46

参照)。 計 身元保証人の居住地を制限している 237 (35.7%) (い)身元保証人の居住地を全員につき制限している 149 (22.5%) (ろ)身元保証人の居住地を一部につき制限している 88 (13.3%) 身元保証制度採用社数 663 (100%) 上場会社 非上場会社 計 身元保証人の居住地を制限している 15(6.3%) 38(8.4%) 53(7.7%)  (イ)(1人は)従業員と別居、別世帯であることを要する 7(3.0%) 8(1.8%) 15(2.2%)  (ロ)勤務地の近隣 5(2.1%) 8(1.8%) 13(1.9%)  (ハ)勤務地の同一都道府県内(「原則」を含む) 1(0.4%) 6(1.3%) 7(1.0%)  (ニ)勤務地の近隣都道府県内 0(0%) 4(0.9%) 4(0.6%)  (ホ)国内 3(1.3%) 8(1.8%) 11(1.6%)  (へ)住所がある 0(0%) 3(0.7%) 3(0.4%)  詳細不明 − 2(0.4%) 2(0.3%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 687(100%) 44 身元保証人の居住地に関する資格条件(1963年調査の第10表を一部改編) 45 身元保証人の居住地に関する資格条件(2012年調査−全−)

(12)

計 身元保証人の続柄を制限している 325 (49.0%) ̶ (い)全員が本人の近親であること 56 (8.5%) 230 (34.7%) (は) 1人または数人が近親であること 174 (26.2%) (に) 1人または数人が近親でないこと 47 (7.1%) 73 (11.0%) (ろ)全員が本人の近親でないこと 26 (3.9%) (ほ)親権者または後見人であること 22 (3.3%) ̶ 身元保証制度採用社数 663 (100%) ̶ 上場会社 非上場会社 計 身元保証人の続柄を制限している 53(22.4%) 113(25.1%) 166(25.0%) ◆身元保証人が1人の場合 (い)(は)本人の一定の近親者であること *a 20(8.4%) 28(6.2%) 48(7.2%) (ろ)(に)本人の一定の近親者でないこと 0(0.0%) *b 6(1.3%) 6(0.9%) (ほ)親権者または後見人であること 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) その他 *c (10.4%) *c 8(1.8%) 9(1.4%) ◆身元保証人が複数の場合 (い)全員が本人の一定の近親者であること 4(1.7%) 4(0.9%) 8(1.2%) (は)1人が本人の一定の近親者であること 24(10.1%) *d 52(11.6%) 76(11.5%) (に)1人が本人の一定の近親者でないこと (10.4%) 4(0.9%) 5(0.8%) (ろ)全員が本人の一定の近親でないこと (10.4%) 3(0.7%) 4(0.6%) (ほ)親権者または後見人であること 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) その他 *c 2(0.8%) *e 8(1.8%) 10(1.5%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 663(100%) *a 2社が配偶者も可とする。 *b 3社が配偶者以外、1社が父母以外、1社が直系尊属以外、1社が配偶者、両親、兄弟姉妹、祖父母以外とする。 *c ○が付けられているだけで、詳細は不明。 *d 身元保証人の1人が親族であることを求めつつ、もう1人について制限を行う例がある。父母がともに身元保証人になれな いとするもの(18社)、配偶者を除外するもの(3社)等である。 *e 6社が本人と同一世帯でないこと、2社が2人の身元保証人が別生計であることを要件とする。 46 身元保証人の続柄に関する資格条件(1963年調査の第10表を一部改編) 47 身元保証人の続柄に関する資格条件(2012年調査−全−)

(13)

 身元保証人が従業員(身元本人)の近親者であ ることによって使用者(会社)が受ける利益につき、 西村は次の

2

点を指摘している29)  第

1

点は、身元本人の不正行為等によって損害 が発生した場合、近親者でない身元保証人に比 べ、近親者である身元保証人の方が進んで賠償 に応じることを期待できること、第

2

点は、近親者 である身元保証人が身元本人に対する監督ない し注意を加え、不正行為等による損害の発生の防 止に努めるであろうという期待をより多く持てるこ とである。そのうえで、責任財産の増加、担保力の 強化という観点から、近親者でない身元保証人も 要求していると推測している。  

2012

年調査の結果については、身元保証人が

1

人の場合と複数の場合を区別した集計を試みた (表

47

参照)。  身元保証人が

1

人の場合で、身元保証人の続 柄を制限するとき、身元保証人には本人の一定の 近親者であることが求められる(

48

社、

7.2%

)。た だ単に「親族」とするものが最も多いが、「父母のう ちのどちらか」、「

2

親等内」、「

3

親等内」というよう に明記するものもある。  これとは逆に、一定の近親者でないことを求め る会社もわずかながら存在する(

6

社、

0.9%

)。「配 偶者以外」(

3

社)、「父母以外」(

1

社)、「

1

社が直系 尊属以外」(

1

社)、「配偶者、両親、兄弟姉妹、祖父 母以外」(

1

社)という具合である。  身元保証人が複数の場合には、続柄の制限は 異なるやり方で行われる。すなわち、複数の身元 保証人のうちの

1

人の資格条件を定めるというも のである。最も多いのは「(は)

1

人が本人の一定の 近親者であること」を求めるもので

76

社(

11.5%

) の回答があった。身元保証人の

1

人目を父母のう ちの一方とするものと、ただ単に

1

人目の身元保証 人が親族であることを求める場合とがある30)  身元保証人が複数の場合にも、全員の身元保 証人が一定の近親者であること(

8

社、

1.2%

)、一 部または全部の身元保証人が一定の近親者でな いこと(

9

社、

1.4%

)を求める例もある。  「(ほ)親権者または後見人であること」は、今 日では、独立の資格条件と数えるところはなく、「一 定の近親者であること」の中に吸収された状況に あると考えられる。  身元保証人に期待される、従業員本人を監督 し注意を与えるという役割は、身元保証人の法的 義務ではなく、当事者に若干の拘束意思があった としても、紳士協定の範囲を出ないといわれてき た31)。現代では、身元保証人の事実上の監督機 能には、もはや重きが置かれず、あるいは、父また は母のみにその役割を期待して、他の身元保証人 はただ単に責任財産を増加させる役割に徹した 存在とみられるようになっているのかもしれない。  しかし、身元保証人をそのような存在に位置づ けるとするならば、再び、身元保証人の財産的資 格条件の問題、すなわち、具体的な弁済能力の基 準をどうするかという問題が浮上してくることにな りそうでもある。  

5

)企業との関係に関する資格条件  使用者である会社の役員・従業員が身元保証 人になってよいか否か、その役員・従業員を身元 保証人とすべきかが問われうる。  

1963

年調査の結果によれば、

164

社(

24.7%

) が身元保証人の使用者(会社)との関係を制限し ていた(表

48

参照)。「使用者の役員又は被用者 であること((い)」 (は)、

36

社、

5.4%

)ではなく、「使 30)ここでは、便宜的に、1人目の身元保証人などと呼んでい るが、法的に、身元保証人に履行の順位が付いているわけで はない。 31)西村1964(2)・166頁。 29)西村1964(2)・165∼166頁。

(14)

用者の役員又は被用者でないこと」((ろ)(に)、

128

社、

19.3%

)が求められていた。  

2012

年調査については、使用者の役員・被用 者であること、ないことのどちらが求められている かを、身元保証人が

1

人の場合と複数の場合とに 分けて集計してみた(表

49

参照)。しかしながら、 そもそも今回の調査では、身元保証人の使用者と の関係を制限しているか否かにつき言及する回答 自体が非常に少なかった(

37

社、

5.6%

)。  身元保証が被用者の経歴・性格・才能等を保 証するものであるならば、使用者である会社が熟 知する社内の役員や他の従業員によって得ること が最も望ましいはずであるが、そのような事実はな く、身元保証の主たる機能は被用者の不正行為な どによる損害の賠償についての担保にあるため、 計 身元保証人の使用者(会社)との関係を制限している 164(24.7%) ̶ (い)全員が使用者の役員又は被用者であること 11(1.7%) 36(5.4%) (は)1人または数人が使用者の役員又は被用者であること 25(3.8%) (に)1人または数人が使用者の役員又は被用者でないこと 19(2.9%) 128(19.3%) (ろ)全員が役員又は使用者の被用者でないこと 109(16.4%) 身元保証制度採用社数 663(100%) ̶ 上場会社 非上場会社 計 身元保証人の使用者との関係を制限している 9(3.8%) 28(6.2%) 37(5.6%) ◆身元保証人が1人の場合 (いは)使用者の役員又は被用者であること 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) (ろに)使用者の役員又は被用者でないこと 2(0.8%) 8(1.8%) 10(1.5%) その他 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) ◆身元保証人が複数の場合 (い)全員が使用者の役員又は被用者であること 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%) (は)1人が使用者の役員又は被用者であること 0(0.0%) 1(0.2%) 1(0.2%) (に)1人が使用者の役員又は被用者でないこと 0(0.0%) 1(0.2%) 1(0.2%) (ろ)全員が使用者の役員又は被用者でないこと 7(3.0%) 14(3.1%) 21(3.2%) その他 0(0.0%) *a 4(0.9%) 4(0.6%) 身元保証制度採用社数 237(100%) 450(100%) 663(100%) *a 3社が使用者の従業員が他の従業員の身元保証人になることを認める。ただし、そのうちの2社は1人に限る。また、3社のうちの 1社は「所属長が保証能力を認めた者であること」、1社は「本人より上級職であること」を求める。 48 身元保証人と使用者との関係に関する資格条件(1963年調査の第10表を一部改編) 49 身元保証人と使用者との関係に関する資格条件(2012年調査−全−)

(15)

33)西村1964(2)・152∼153頁、第10表。 32)西村1964(2)・167∼168頁。被用者(身元本人)の不正 行為等により損害が現実に発生した場合に、その身元保証 人が当該企業の役員又は被用者であるときは、これらの者に 対してその損害の賠償を請求することは事実上困難である 場合が少なくなく、人事管理の点から見ても好ましくない場合 が多いと思われるという。 役員や他の従業員による身元保証は好ましくない と西村は説明している32)  今日、社内の役員・従業員を身元保証人の

1

人 にしてもよい4 4 4 4 4 とする会社が現れているが、そこに積 極的な意図はあるのだろうか。他で身元保証人が 確保できない場合に、やむを得ず行っている対応 だという可能性もある。  

6

)抽象的資格条件  「当社において相当と認める者」というような資 格条件の定め方が、

1963

年調査においては、

44

社 (

6.5%

)で見られた33)。この資格条件は、単独で掲 げられることも、その他の具体的な資格条件と組 み合わされることもあった。  

2012

年調査においては、このような抽象的な資 格条件を用いた記載は、ごく一部、上場会社の

2

社、非上場会社 の

4

社 の回答 にしか見られ な かった。  しかし、前述したように、

1963

年調査において は、資格条件に制限を設けていないと回答した会 社の過半数の会社が「但し不適当と思われる場合 には身元保証人を変更させる」と回答していた。今 日でも、会社の意向によって身元保証人を変更さ せる実態があっても不思議ではない。しかし、残念 ながら、実際のところ、会社が当該身元保証人を 相当と認めるか否かの判断を行っているかどうか ははっきりとはわからない。  身元保証の書式の提出を受けた会社がそれを チェックし、身元保証人に保証意思等について問 い合わせたり、身元保証人の交代を指示し、ある いは、身元保証の書類の追加提出を求めたりする ことがあるだろうか。その一端を、続く「

C

身元保 証書の方式と文言」「

D

身元保証の契約締結」で 見ていくことにしよう。   【付記】  本稿は、科学研究費補助金(若手研究(

B

)、課 題番号

23730088

/ 基盤 研究(

C

)、課題番号

26380112

)の助成による研究成果の一部である。 (未完)

(16)

Today’s Fidelity Guarantee

3

Survey in 2012

Makiko Noto

This paper studied the reality of the fidelity

guarantee (Mimoto-Hosho) in Japan based on

empirical research.

In 2012, a questionnaire survey of Japanese

companies on the fidelity guarantee was

con-ducted with a questionnaire sent out to 3,545

listed companies and 4,313 non-listed

compa-nies. Among the 7,858 companies, a total of 925

companies returned the questionnaire on time.

Data extracted from the questionnaire were

organized and analyzed, and then compared

with similar previous surveys carried out by

Professor Nobuo NISHIMURA in 1936 and

1963.

Part (3) of the paper analyzed questions

No. 4 and No. 5 of the questionnaire.

No. 4: How many fidelity guarantees per

em-ployee does your company require?

No. 5: Does your company set various

condi-tions for a person to be a fidelity

guarantee?

What kind of conditions does your

company impose?

(a) Age of the fidelity guarantee

(b) Place of residence of the fidelity

guarantee

(c) Property or income of the fidelity

guarantee

(d) Familial relationship between

em-ployee and fidelity guarantee

(e) Fidelity guarantee by another

em-ployee in the same company

(f ) Others

Of the 687 companies, 46.6% (320

compa-nies) answered that the fidelity guarantee is one

person, and 48.3% (332 companies) require two

fidelity guarantees per employee.

With respect to conditions, 54.6% (375

compa-nies) set some conditions for fidelity guarantees

and 44.8% (308 companies) do not. Even if the

companies set conditions, they make the

con-ditions for fidelity guarantees easier.

This work was supported by JSPS

Grant-in-Aid for Scientific Research (KAKENHI)

Grant Number 23730088, 26380112.

参照

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