コンピュータ犯罪への法の適用
Application of the Law to the Computer Crime
常葉大学法学部
細川 壯平
はじめに
従来、コンピュータ犯罪とかサイバー犯罪、またはネット犯罪等とか称せられ、コ ンピュータ等の情報処理技術と機器、また情報通信技術と機器の進歩に応じて、発生 する問題に対処するための法の整備、解釈が議論されてきた。私も以前、コンピュー タに関連する犯罪として、インターネットでのわいせつ映像につき考察したことがあ る(1)。そこでは稚拙ではあるが、情報も物として把握する解釈を示した。そのなか、 わいせつ映像のみならず、当時に問題となっていたダイヤルQ2・国際電話接続ソフ ト事件なども若干ではあるが考察した。また多くの論者の、注目に値する優れた論稿 も多く示されてきた。そして今、一応の解決が示された。即ち、「情報処理の高度化 等に対処するための刑法の一部を改正する法律」により、「不正指令電磁的記録に関 する罪(刑法第 19 章の 2)」、ならびに「わいせつ物頒布等(刑法第 175 条)」による 立法解決である。 この改正された条文の解釈などにつき、議論もあるようであるが、上記拙稿で考察 した点を振り返り、本稿においては所謂ウイルス罪に関して、気になるところを考察 してみたい。そしてこのとき、刑法という法の適用・効果という観点から見てみたい。1.所謂ウイルス罪に関して
平成 23(2011)年 6 月 17 日「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部 を改正する法律」が制定され、同月 24 日に公布された。この法改正は、サイバー犯 罪から社会を保護することを目的として、コンピュータ・システムに対する違法なア クセス等一定の行為の犯罪化、コンピュータ・データの迅速な保全等に係る刑事手続 の整備、犯罪人引渡し等に関する国際協力等につき規定する国際条約(2)である「サ (1) 細川壯平「インターネット犯罪に関して―物としての情報―」『日本産業化学学会論叢』第6 号平成 13 年 3 月p 83 以下参照。 (2) 外務省HPサイバー犯罪に関する条約説明書(PDF)より。http://www.mofa.go.jp/mofaj/ gaiko/treaty/treaty159_4.htmlイバー犯罪に関する条約」を締結しこれに対応するためである。 これによる法改正は、社会に広く普及し機能も高度化し、個人的にも社会的にも生 活に密接に関連して社会基盤となった世界的規模のコンピュータ・ネットワークに対 して、コンピュータ ・ ウイルスによる攻撃や、悪用、さらには反社会的勢力によるこ れらの組織的悪用に対処するため、実体法の改正に加えて続き法の改正も含めて、広 範囲な法改正となっている(3)。こうしたもののなか、本稿で扱うのは、前述の如く 所謂ウイルス罪に関係するところとである。 これは、刑法第 19 章の 2 として「不正指令電磁的記録に関する罪」を新設し、そ して、第 35 章「信用及び業務に対する罪」のなか第 234 条の 2 の、電子計算損業務 妨害罪につき、未遂処罰規定を追加した。 条文は次の通りとなる。 (不正指令電磁的記録作成等) 第百六十八条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、 次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万 円以下の罰金に処する。 一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反 する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録 二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録 2 正当な理由がないのに、前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の 用に供した者も、同項と同様とする。 3 前項の罪の未遂は、罰する。 (不正指令電磁的記録取得等) 第百六十八条の三 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記 録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 (電子計算機損壊等業務妨害) 第二百三十四条の二 人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損 壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又は その他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する 動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。 2 前項の罪の未遂は、罰する。 この条文のそれぞれの文言の意味するところは、既に公刊されている優れた文献資 (3) 法務省 HP「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」参照。 http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00025.html
料に示すとおりであり詳細はそれに譲るが、この罪の本質などについては、ここに改 めて考察したい。そこで、法務省刑事局付の方が解説されるものを参照すると、以下(4) のようになる。 電子計算機のプログラムが「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべ き動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令」を与えるもの でないという、電子計算機のプログラムに対する社会一般の者の信頼を保護法益とす る罪であり、文書偽造罪の罪(刑法 17 章)等と同様、社会的法益に対する罪である とされる。 この社会的法益と理解する点に関しては、法制審議会刑事法(ハイテク犯罪関係) 部会第1回会議議事録においては、「コンピュータ ・ ウイルスは個々のコンピュータ 利用者の利益を害するという側面があって,それについても刑法的な保護が必要であ ると考えておりますが,それとともに,コンピュータのプログラムというのは容易に 広範囲の電子計算機に拡散するという性格がある上に,コンピュータの使用者は,プ ログラムがどのように機能するかというのを容易には把握できないので,プログラム が変な動作をしないと信頼して利用できないと,コンピュータの社会的機能が保護で きないということになります。また,現実にコンピュータ・ウイルスが広範囲に社会 に害を与えているという実態がございますので,そういうことを考えますと,電子計 算機のプログラムに対する信頼という社会的法益を害する罪として構成するのが相当 だと考えているところでございます。(5)」とされる。 たしかに、コンピュータが、操作をする者の意図に沿う動作をしない、又はその意 図に反する動作をすることは、現実の社会生活上相当の被害・混乱を与えることであ る。しかし、個人的には、疑念をぬぐえないところがある。それは、ここのコンピュー タを使用する者に動作・作用に関する不安を与えるものであれば、それは個人的法益 に対しての犯罪としても捉えるべきではなかったかということである。そうすれば、 被害者の承諾等による違法性阻却などを論点とすることができ、構成要件の中の「人 の電子計算機」にいう「人」を、情を知らない第三者であるとあえて説明する必要は なくなる。アンチウイルスソフトの試験やセキュリテイの確認等についての犯罪性を 問題とすることはなくなる。社会法益とするから、情を知っている人の電子計算機に おいて実行の用に供した場合も犯罪とされる可能性があるので、「不正な指令」とか、 「正当な理由がないのに」との文言を重ねることとなる。そしてその文言の解釈につき、 議論が重なることとなる。そうして、あくまでも各論的に、正当化すべき行為を可能 な限り類型化する努力をすべき(6)との意見もでてくる。 (4) 檞清隆「『情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律』の概要」刑事 法ジャーナル 2001 - vol.30 3頁以下。 (5) 法務省 HP 法制審議会 刑事法(ハイテク犯罪関係)部会より第 1 回会議より http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi_keiji_haiteku_index.html (6) 渡邊卓也「サイバー関係をめぐる刑法の一部改正」事法ジャーナル 2001 - vol.30 30 頁参照。
たしかに、刑法の解釈に関して、日本の判例では、立法の不活発なことを背景に、 いわば処罰の間隙は解釈で埋める傾向があるが、厳格な解釈をしてその不都合は立法 による解決に委ねるという方向が望ましいとの主張(7)がある。これはもっともなこ とである。しかし正当化でき得る行為類型を、例示的にであっても提示すれば、逆に その反対解釈として、本来は想定していない行為について法網をかけることにつなが るのではないか。 また、PC にまつわる犯罪の議論の中には、PC を用いての通信や情報伝達、ソフト の開発の発展過程においては、法による規制を嫌い、その規制の仕方を批判するとい う傾向があったと私は感じている。規制が及ぶべきでない仮想空間のことであるとい う表現を聞いたような気がする。PC のソフト等に携わる方の利便を考慮するかのよ うな見解もあったように思える。しかし、被害としてはリアルな社会に痛手を与えて いる。 ある意味で、所謂脱法ハーブの規制のあり方に通じるものがあり、ある程度は包括 的な規定で、解釈に委ねる部分があっても良いのではなかろうか。罪刑法定主義の問 題は当然考慮されるべきではあるが、一般人として反対動機の形成に問題が出ない程 度の限定で良いのではなかろうか。 こうしたことに関連して、PC プログラムのバグを免責的前提とするかのような議 論には疑問を感じる。もちろん過失犯として処罰するのではなく、目的犯としての規 定であり、この新設条文でも結果責任主義に陥ることはない。しかし、刑法の解釈と して、危険なバグの放置は不真正不作為犯での議論の対象とすべきである。 さて、立法の手続きのなか、法務委員会のなかで参考人として意見を述べられてい る今井教授の意見も、コンピュータ・ウイルスの蔓延を憂慮すべきものとし、開封せ ざるを得ないような件名を付けられた電子メールに、これも開かざるを得ないような ファイル名をつけたウイルスを添付し感染を広げる手口を例示し、その弊害を示して、 一般国民のコンピュータ・プログラム使用時の不安感を指摘する。かくして「このよ うに、コンピュータ・ウイルスが蔓延し、コンピュータ・プログラムに対する信頼が 揺らぎますと、社会全体に悪影響が及ぶということになります。そのような事態を防 ぐためには、プログラムに対する社会一般の信頼を確保するということが極めて重要 であります。(8)」と結び、本犯罪を社会法益に対するものとすることを妥当という。 このように、実際に脅威となっているものの一つはウイルスの蔓延であり、コン ピュータを使用することにおいて、その脅威に晒されている現状である。よって電子 計算機のプログラムに対する社会一般の者の信頼を保護法益とすることも一理ある。 (7) 平川宗信「1刑罰法規の解釈」別冊ジュリスト№ 166 刑法判例百選Ⅰ総論第五版5ページ参 照。 (8) 今井猛嘉 衆議院会議録,法務委員会第 15 号,2011 年 5 月 31 日より参照。 http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000417720110531015. htm#p_honbun
しかし、これはまさにウイルスに感染する脅威であり、違法の本質は、それを蔓延さ せることにあると思われる。そうであるなら、蔓延させる行為類型を、より重く処罰 するものとして、加えて制定すべきであったように思われる。 さて、成立した条文の解釈においては、社会法益の部分に規定されていても、個人 法益としての解釈運用も可能である。特定個人のコンピュータにてプログラムを実行 させるとき、他への感染を問題とするのでなければ、その個人の法益と把握しても問 題は無いであろう。よって、先に述べたとおり、「人」「不正な指令」「正当な理由が ないのに」との文言の解釈は、特定個人のコンピュータに対しては問題とならないの ではなかろうか。 このように考えると、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動 作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」 を蔓延させる目的でのものを、少なくとも私文書偽造・行使と同じ程度の法定刑にす べきであったろう。
2.業務妨害罪との関係
コンピュータ犯罪に関係する業務妨害罪は、昭和 62 年の刑法改正時に、刑法 234 条の威力業務妨害罪に付け足し、刑法 234 条の 2 として電子計算機損壊等業務妨害罪 を新設した。そうして、平成 23 年の法改正において、刑法 234 条の 2 に 2 項を付け 足し、未遂処罰規定をおいた。 これは、コンピュータ・ネットワークの高度の発展に伴い、遠隔からでもこれを容 易に実行し得るようになっていること等に鑑みたものと説明される(9)。 さて、こうした電子計算機損壊等業務妨害罪の本質も業務妨害罪での議論と同じく、 業務の内容につき、経済的なものか人格的なものを含むかなどに関するものが以前か らある(10)。また、業務妨害罪の業務の中に公務執行妨害罪に言う公務が入るか否か も議論になるが、権力的・支配的性質の公務は本罪の業務に含まれないが、非支配的 公務、特に私企業的公務は含まれるとする理解(11)をもって妥当と解する。これは、「権 力的・支配的性質の公務は国家権力の発現として国民に一定の支配を及ぼすものであ り、虚偽の風説の流布や。偽計および暴行・脅迫を除く威力による妨害は予想されに く(12)」いからである。しかし、妨害をする行為態様が電子計算機損壊等業務妨害に いうものであれば、権力的・支配的性質の公務も妨害され得るであろう。とすれば、 電子計算機損壊等業務妨害は、権力的公務の執行に対しても成立すると解することが (9) 前掲檞清隆7頁参照。 (10) 大塚仁『刑法概説(各論)』有斐閣 1990 年改訂版第六刷 152 頁以下参照。 (11) 前掲大塚 153 頁以下参照。 (12) 前掲大塚 154 頁。できよう。 さて、昭和 62(1987)年の改正時において電子計算機損壊等業務妨害の法定刑が 五年以下の懲役又は百万円以下の罰金と、従来の業務妨害罪よりも加重くされたこと については、「広範囲、重大な被害が予想される」「社会的影響の大きさ」などを理由 として、妥当と解された(13)。 このように、被害の広範さ重大さにより法定刑の加重を認め得るなら、この電子計 算機損壊等業務妨害のなかに、当該手段による公務執行妨害も含めて理解することも 妥当であると解せ、かつ、未遂処罰規定の新設も妥当であろう。 このように理解すると、不正指令電磁的記録作成等との関係が問題となろうが、そ れにいう社会法益としての「電子計算機のプログラムに対する社会一般の者の信頼」 と同時に、個別の公務、業務についての妨害手段の前段階的場面を想定できるのでは なかろうか。
3.予備罪としての関係
「コンピュータ・ウイルスは,これを用いて電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法第 234 条の 2 第 1 項)や公電磁的記録毀棄罪(同法第 258 条)等に及ぶことが考えられ るものであるが,不正指令電磁的記録に関する罪は,それらの罪の予備罪として位置 付けられるのもではない。(14)」とする説明や、前述の今井教授の発言の中にも、「また、 予備罪として構成する場合、電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録毀棄罪等の予 備行為を処罰することになると考えられますが、そうしますと、大きな社会問題となっ ている事例群、例えばパソコン内の情報を勝手に流出させるような情報漏えい型のコ ンピュータ・ウイルスについては、処罰の対象から外れてしまうというおそれがあり ます。さらに、現行刑法において、予備罪、予備行為というものは、例えば殺人罪で すとか強盗罪といった、非常に凶悪で重大な犯罪についてのみ予備が処罰されるとい うことになっております。そういたしますと、コンピュータ・ウイルスに関する罪が それらの重大かつ凶悪犯罪に匹敵する害悪を生じさせるものと言えなければ、予備罪 構成は困難であると思いますけれども、そういった認識はなかなか理論的には難しい のではないかと思っております。(15)」との記載がある。 これは、所謂ウイルス罪の不正指令電磁的記録作成等の罪を、電子計算機損壊等業 (13) 新保佳宏「5 電子計算機損壊等業務妨害罪」山研一 神山敏雄編集『コンピュータ犯罪等 に関する刑法一部改正(注解)』成文堂 1989 年改定増補版 101 頁参照。 (14) 「いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について」 http://www.moj.go.jp/content/000076666.pdf 法務省 HP「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」よりの PDF 資料 http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00025.html (15) 前掲今井猛嘉より。務妨害罪の予備罪としての適用を認めない趣旨と理解すべきか。いやそうではなく、 立法の方法として、電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録毀棄罪等の予備行為を 処罰する条文としての規定、即ち、予備罪としての立法も考えることができるが、そ うすれば、業務が妨害されない形態のものなどが対象から外れることをいい、また予 備罪としての立法は、その基本犯罪としては殺人罪や強盗罪などの重大犯罪でなけれ ば、一般的承認は得られないことをいうのであろう。 このように考えれば、電子計算機損壊等業務妨害罪の予備的段階においてであって も、行為態様によっては、本条の適用が可能であり、これを否定するものではないと 理解できる。こうして、かつて存在した、ダイヤルアップ接続の時代、PC のなかの モデムの設定を書き換え、これによりダイヤル Q2 や海外に電話接続させるというウ イルスによる事例は、個人の趣味的 PC の利用においては、問擬すべき犯罪条項が存 在しなかったところ、今、不正指令電磁的記録作成等の罪であれば、この罪に問うこ とはできよう。もし、これが電子計算機損壊等業務妨害罪や電磁的記録毀棄罪等の予 備罪として立法されたなら、犯罪とすることはできない。業務妨害罪では、個人的趣 味的行為は保護されないからである。 このように考えると、もはや、ダイヤルアップ接続はしないであろうが、今回の法 改正による立法は妥当であると評価できる。今、PC は業務のみならず個人の慰め、 趣味的行為として、また家事としても利用する。その PC の中には様々な情報のみな らず、今後は、より多く、各家庭のセキュリテイや家電や生活関連設備の遠隔操作な どの機能が凝縮され利用されるであろう。こうしたとき、情報的犯罪のみならず、生 命・身体・財産に直接侵害する事態も想定できよう。そうした意味で、情報通信の円 滑のみならず、従来の法適用の間隙が埋まったことは妥当であったろう。
おわりに
ここに、簡単ではあるが、「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を 改正する法律」に関連して、法改正されたところの一部を考察したが、ここで思うの は、情報処理の高度化とは、情報通信の円滑、情報そのものの漏洩の防衛等のみなら ず、今後は情報の操作という面に加えて、遠隔操作等による PC を介しての機械の危 険な作動などにも備える必要があるということである。これを含めての、電子計算機 のプログラムに対する社会一般の者の信頼を保護法益と言うべきであろう。であるな ら、この法条文の解釈においては、個人的法益の面を入れることも妥当するのではな ろうか。そして、コンピュータ・ウイルスを蔓延させる行為態様につき、加重処罰す る立法をしてこそ、社会的法益に対する犯罪とすることができるのではなかろうか。 また、わいせつ物頒布等に関しては別の機会とするが、こうしたコンピュータ犯罪 というものは、今後は、PC とか情報そのものへの被害のみならず、PC の動作・作動を通じて「外界の変動」という結果を来たすものが多くなると思われる。よって、こ の面での考慮も忘れてはならない。もはやネット世界のことではなく、現実のリアル な世界の深刻な問題との認識である。こうしたとき、この問題を扱う論調のなかの、 PC プログラムのバグを免責的前提とする論調には、やはり疑問を感じる。