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1
アレセンサカプセル20 mg
アレセンサカプセル40 mg
(アレクチニブ塩酸塩)
第
2部 (モジュール2):CTD の概要(サマリー)
2.4 非臨床試験の概括評価
中外製薬株式会社
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略語一覧略語 英名 和名
α1-AGP α1-Acid glycoprotein α1-酸性糖蛋白
ALK Anaplastic lymphoma kinase 未分化リンパ腫キナーゼ ALP Alkaline phosphatase アルカリフォスファターゼ ATP Adenosine triphosphate アデノシン三リン酸 AUC0-24h Area under the plasma concentration–
time curve from zero to 24 h
0から24時間までの血漿中濃度–時 間曲線下面積
BCRP Breast cancer resistance protein 乳癌耐性蛋白 CaMK2α Calcium/calmodulin-dependent protein
kinase II alpha
カルシウム/カルモジュリン依存性 プロテインキナーゼII アルファ Cmax Maximum (peak) plasma concentration 最高血漿中薬物濃度
c-MET Mesenchymal-epithelial transition
factor 肝細胞増殖因子受容体 CYP Cytochrome P450 チトクロームP450 EML4 Echinoderm microtubule associated
protein like 4 微小管会合蛋白4
GLP Good laboratory practice 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準 γ-GT γ-glutamyl transpeptidase ガンマ–グルタミルトランスペプチ
ダーゼ
hERG Human ether-a-go-go related gene ヒト急速活性型遅延整流性カリウ ムイオンチャネル遺伝子
HPCD Hydroxypropyl-β-cyclodextrin ヒドロキシプロピル–ベータ–シク ロデキストリン
HPMC Hydroxypropyl methyl cellulose ヒドロキシプロピルメチルセルロ ース
HSA Human serum albumin ヒト血清アルブミン IC20 20% inhibitory concentration 20%阻害濃度
IC50
Half maximal (50%) inhibitory
concentration 50%阻害濃度
IGF1R Insulin-like growth factor 1 receptor I 型インスリン様増殖因子受容体 ICH
International conference on harmonisation of technical requirements for registration of pharmaceuticals for human use
日米EU 医薬品規制調和国際会議
INSR Insulin receptor インスリン受容体 LC-MS/MS Liquid chromatography-tandem mass
spectrometry
液体クロマトグラフィータンデム 型質量分析
MCV Mean corpuscular volume 平均赤血球容積 NPM Nucleophosmin ヌクレオフォスミン
OAT Organic anion transporter 有機アニオントランスポーター OATP Organic anion transporting polypeptide 有機アニオントランスポーターポ
リペプチド
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略語 英名 和名OECD Organisation for economic co-operation and development
経済協力開発機構 P-gp P-glycoprotein P-糖蛋白
RON Recepteur d'origine nantais ―
SBECD Sulfobutyl ether-β-cyclodextrin スルフォブチルエーテル–ベータ– シクロデキストリン
SCID Severe combined immunodeficiency 重症複合型免疫不全 t1/2 Elimination half-life 消失半減期
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アレクチニブ塩酸塩関連物質の名称一覧 名称 化学構造式 化学名 アレクチニブ塩酸塩 (被験物質: CH5424802-002) 9-Ethyl-6,6-dimethyl-8-[4- (morpholin-4-yl)piperidin- 1-yl]-11-oxo-6,11-dihydro- 5H-benzo[b]carbazole-3-carbonitrile monohydrochloride アレクチニブ (被験物質の遊離塩基: CH5424802-000) CN N H O CH3 C H3 C H3 N N O 9-Ethyl-6,6-dimethyl-8-[4- (morpholin-4-yl)piperidin- 1-yl]-11-oxo-6,11-dihydro- 5H-benzo[b]carbazole-3-carbonitrile CH5468924-000 (代謝物:M-4) CN N H O CH3 C H3 C H3 N N H O H 9-Ethyl-8-{4-[(2-hydroxyethyl)amino]piperi din-1-yl}-6,6-dimethyl-11- oxo-6,11-dihydro-5H- benzo[b]carbazole-3-carbonitrile CH5507197-000 (代謝物:M-6) CN N H O CH3 C H3 C H3 N N H2 8-(4-Aminopiperidin-1- yl)-9-ethyl-6,6-dimethyl- 11-oxo-6,11-dihydro-5H- benzo[b]carbazole-3-carbonitrileアレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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目次
頁 2.4 非臨床試験の概括評価 ... 6 2.4.1 非臨床試験計画概略 ... 6 2.4.1.1 薬理試験 ... 6 2.4.1.2 薬物動態試験 ... 7 2.4.1.3 毒性試験 ... 8 2.4.1.4 GLP 及びガイドライン ... 9 2.4.1.5 原薬及び製剤中に含まれる不純物 ... 9 2.4.2 薬理試験 ... 9 2.4.2.1 ALK に対する阻害作用 ... 9 2.4.2.2 ヒト癌細胞株における増殖阻害効果 ... 10 2.4.2.3 ヒト主要代謝物の ALK に対する阻害活性 ... 10 2.4.2.4 ヒト癌細胞株移植マウスにおける抗腫瘍効果 ... 10 2.4.2.5 クリゾチニブ耐性変異型 ALK 発現腫瘍モデルにおける抗腫瘍効果 ... 11 2.4.2.6 副次的薬理試験 ... 11 2.4.2.6.1 受容体,イオンチャネル,トランスポーター及び酵素に対する影響 ... 11 2.4.2.7 安全性薬理試験 ... 12 2.4.3 薬物動態試験 ... 12 2.4.3.1 分析法 ... 12 2.4.3.2 吸収 ... 13 2.4.3.3 分布 ... 14 2.4.3.4 代謝 ... 14 2.4.3.5 排泄 ... 15 2.4.3.6 薬物動態学的薬物相互作用 ... 15 2.4.4 毒性試験 ... 16 2.4.4.1 急性毒性 ... 16 2.4.4.2 反復投与毒性 ... 16 2.4.4.3 遺伝毒性 ... 21 2.4.4.4 がん原性 ... 21 2.4.4.5 生殖発生毒性 ... 21 2.4.4.6 局所刺激性 ... 22 2.4.4.7 その他の毒性 ... 22 2.4.4.8 動物からヒトへの外挿(曝露量のまとめ,臨床との関連性) ... 22 2.4.5 総括及び結論 ... 24 2.4.6 参考文献 ... 26アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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2.4 非臨床試験の概括評価
2.4.1
非臨床試験計画概略
アレクチニブ塩酸塩(以下,本薬)は,ヒト未分化リンパ腫キナーゼ(以下,ALK)を強力 かつ選択的に阻害することにより抗腫瘍効果を発揮する低分子の分子標的薬である。ALK は 染色体再構成(転座・逆位),点変異及び遺伝子増幅に伴って恒常的に活性化され,癌の発生 や増殖に関与することが知られている。その中でも ALK 遺伝子再構成に起因する微小管会合 蛋白4 (EML4)-ALK などの ALK 融合遺伝子は非小細胞肺癌患者の一部において認められている。 この ALK 陽性非小細胞肺癌を対象とした抗悪性腫瘍薬として開発された本薬の薬理,薬物動 態及び毒性を以下の試験により検討した。2.4.1.1
薬理試験
薬効薬理試験として,本薬又は本薬遊離塩基の効果及び作用機序を各種 in vitro 及び in vivo の試験により検討した。In vitro の薬効評価は,非細胞系の基質ペプチドを用いた酵素阻害試 験を用いて ALK 及びその点変異体酵素に対する阻害活性を評価した。また,ALK 融合遺伝子 陽性及び陰性の非小細胞肺癌並びに未分化大細胞型リンパ腫の細胞株を用いて細胞増殖阻害効 果を検討した。ヒトにおける本薬の主要代謝物(CH5468924-000,以下 M-4)については, ALK に対する阻害活性及び ALK 融合遺伝子陽性細胞株の増殖阻害効果を評価した。In vivo の 薬効評価は,ALK 融合遺伝子陽性,ALK 融合遺伝子陰性及び ALK 遺伝子増幅のヒト癌細胞株をマウスの皮下に移植したモデルを用いて検討した。また,クリゾチニブ耐性に関与する点変 異体を有する腫瘍に対しての薬効評価は,EML4-ALK L1196M を発現させた細胞株を作製し, それを皮下に移植したマウスモデルを用いて評価した。 副次的薬理試験として,種々の受容体,イオンチャネル,トランスポーター及び酵素に対す る本薬の影響を評価した。被験物質として本薬遊離塩基を用いた。 安全性薬理試験として,心血管系,中枢神経系及び呼吸系に対して本薬が及ぼす影響を,ラ ット,カニクイザル又は in vitro の系を用いて評価した。投与経路は臨床投与経路と同じ経口 とした。摘出血管の試験では被験物質として本薬遊離塩基を用いたが,その他の試験では本薬 塩酸塩を用いた。なお,薬理試験の用量及び濃度は本薬遊離塩基換算量で示した。 以下に,実施した主な薬理試験項目を示す。 1) 薬効を裏付ける試験 <ALK に対する阻害作用> ALK を含めた各種キナーゼに対する酵素阻害活性の検討 ALK 蛋白質との相互作用に関する検討 <ヒト癌細胞株における増殖阻害効果> ALK 融合遺伝子陽性及び陰性のヒト癌細胞株における増殖阻害効果 細胞内における ALK 阻害作用 <ヒト主要代謝物M-4の ALK に対する阻害活性> ヒト主要代謝物 M-4の ALK 酵素阻害活性 ヒト主要代謝物 M-4の ALK 融合遺伝子陽性細胞株の増殖阻害効果 <ヒト癌細胞株移植マウスにおける抗腫瘍効果> ヒト非小細胞肺癌移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果 ヒトリンパ腫及び神経芽腫移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果 ヒト非小細胞肺癌移植マウスモデルにおける腫瘍内の ALK 阻害作用 <クリゾチニブ耐性変異型ALK 発現細胞株移植マウスにおける抗腫瘍効果> EML4-ALK L1196M 発現細胞株移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果
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2) 副次的薬理試験 受容体,イオンチャネル,トランスポーター及び酵素に対する影響 3) 安全性薬理試験 <心血管系> 覚醒カニクイザルの血圧,心拍数,心電図及び体温に及ぼす影響 ラットの摘出血管に及ぼす影響 hERG チャネルに及ぼす影響 ヒト電位依存性 Cav1.2チャネル(L 型 Ca2+チャネル)に及ぼす影響 <中枢神経系> ラットの一般症状及び行動に及ぼす影響(Irwin 変法) <呼吸系> 覚醒ラットの呼吸数,1回換気量及び分時換気量に及ぼす影響(全身プレチスモグラフ)2.4.1.2
薬物動態試験
本薬又は本薬遊離塩基の放射性標識体(以下,[14C]アレクチニブ)の吸収,分布及び排泄に 関するin vivo 試験は,非臨床毒性試験と同種,同系統の RccHan™: WIST ラット及びカニクイザルを用いて実施した。代謝に関しては,各動物種及びヒト由来の肝細胞を用いた in vitro 試 験,並びにラット及びカニクイザルを用いた in vivo 試験を実施した。ヒトにおける代謝関与 酵素,代謝酵素の誘導・阻害及びトランスポーターを介する輸送に関しては,各種ヒト由来試 料を用いた in vitro 試験を実施した。なお,各試験の用量は本薬遊離塩基の重量表示とした。 以下に実施した主な薬物動態試験項目を示す。 1) 吸収 雄ラットに本薬を単回経口及び静脈内投与したときの血漿中未変化体濃度推移 雌雄のラット及びカニクイザルに本薬を13週間反復経口投与したときのトキシコキネ ティクス(TK)試験(血漿中未変化体濃度推移) 胆管カニュレーション雄ラットを用いた腸肝循環評価 2) 分布 雄の白色及び有色ラットに[14C]アレクチニブを単回経口投与したときの組織分布 マウス,ラット,カニクイザル及びヒトにおけるin vitro 血漿蛋白結合及び血球移行
ヒト血清アルブミン(HSA)及び α1-酸性糖蛋白(α1-AGP)への in vitro 結合評価
妊娠ラットに[14C]アレクチニブを単回経口投与したときの組織分布及び胎児移行 3) 代謝
マウス,ラット,カニクイザル及びヒトの凍結肝細胞における in vitro 代謝物プロファイ ル
各分子種の発現系ヒト cytochrome P450(CYP)を用いた in vitro 代謝におけるヒト代謝酵 素の同定 ヒト肝ミクロソーム及び肝細胞に CYP 特異的阻害剤を用いた in vitro 代謝におけるヒト 代謝酵素の同定 雄ラットに[14C]アレクチニブを単回経口投与したときの血漿,尿及び糞における代謝物 プロファイル 胆管カニュレーション雄ラットに[14C]アレクチニブを単回静脈内投与したときの胆汁に おける代謝物プロファイル 雌雄のラット及びカニクイザルに本薬を13週間反復経口投与したときの血漿中代謝物 M-4及び CH5507197-000(以下 M-6)の曝露
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4) 排泄 雄ラットに[14C]アレクチニブを単回経口投与したときの尿及び糞への放射能排泄 胆管カニュレーション雄ラットに[14C]アレクチニブを単回静脈内投与したときの胆汁 への放射能排泄 5) 薬物動態学的薬物相互作用 凍結ヒト肝細胞を用いたCYP 誘導能に関する in vitro 評価 ヒト肝ミクロソームを用いたCYP 阻害能に関する in vitro 評価 排泄トランスポーター:P-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)に対する認識性 及び輸送阻害能に関するin vitro 評価 取り込みトランスポーター:有機アニオントランスポーターポリペプチド(OATP) 1B1,有機アニオントランスポーター(OAT)1及び OAT3,並びに有機カチオントラン スポーター(OCT)2に対する輸送阻害能に関する in vitro 評価2.4.1.3
毒性試験
本薬の毒性評価のための動物種として,in vitro 薬物代謝プロファイルがヒトと類似している ラット及びカニクイザルを選択した。ただし,生殖発生毒性試験においては,生殖発生毒性の 評価に一般的に用いられているラット及びウサギを選択した。投与経路は臨床投与経路と同じ く経口とした。本薬の毒性試験一覧を表 2.4.1.3-1に示した。 本薬は進行がんの治療を目的とした抗悪性腫瘍薬であることから,ICH(日米 EU 医薬品規 制調和国際会議)S9ガイドライン(抗悪性腫瘍薬の非臨床評価に関するガイドライン)に基づ き,反復投与毒性試験の投与期間は最長13週間とした。これらの反復投与試験ではトキシコキ ネティクス試験を実施して曝露量を確認するとともに,休薬期間を設定して認められた所見の 回復性を検討した。遺伝毒性は標準的組み合わせ(復帰突然変異試験,in vitro 染色体異常試 験及び in vivo 小核試験)で評価し,遺伝毒性試験で観察された小核の誘発機序を解明するた めに,セントロメア解析を併用したin vitro 及び in vivo(ラット)の小核試験を実施した。生 殖発生毒性試験として,ラット及びウサギの胚・胎児発生に関する用量設定試験を実施した。 これらの試験で本薬がラット及びウサギの胚・胎児に対して毒性を有することが明らかとなっ たことから,動物数を増やした本試験は実施していない。また,本薬は光安全性の評価対象と なりうる波長領域である290~700 nm の範囲内で光吸収を示すことから,in vitro の光安全性試 験を実施した。更に,ヒトにおける本薬の主要代謝物M-4の遺伝毒性を評価した。 ICH S9ガイドラインでは,進行がんの治療を目的とした抗悪性腫瘍薬の製造販売承認申請に おいて「受胎能および着床までの初期胚発生に関する試験」,「出生前および出生後の発生並 びに母動物の機能に関する試験」及びがん原性試験の実施が求められていないことから,これ らの試験は行わなかった。また,本薬の臨床投与経路が経口であることから局所刺激性試験は 実施しておらず,毒性試験及び中枢神経系に対する影響を検討した安全性薬理試験において中 枢神経系に対する影響を示唆する所見が認められていないことから薬物乱用に関する非臨床試 験も実施しなかった。 本薬の毒性試験においては,開発初期に探索的に実施したカニクイザルの2週間予備毒性試 験では w/v% SBECD/ mol/L 塩酸水溶液を溶媒として用い,より後期に実施した他の試験 では w/v% HPCD/ mol/L メタンスルホン酸/ mol/L 塩酸水溶液を用いた。更に,ラッ ト及びカニクイザルの13週間反復投与毒性試験並びにラット及びウサギの胚・胎児発生に関す る試験では, w/v% HPMC/ mol/L 塩酸水溶液を溶媒とした。このように複数の溶媒を 用いたことから,毒性評価は曝露量を基に行った。なお,光安全性試験では本薬遊離塩基を被 験物質として用いたが,その他の試験は本薬塩酸塩を用いた。本薬の用量及び濃度は遊離塩基 換算量で示した。アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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表 2.4.1.3-1 毒性試験一覧 試験種 試験系 投与経路又は試験方法 GLP 反復投与毒性 4週間用量設定 RccHan™:WIST ラット 強制経口投与 非適合 2週間予備 カニクイザル 強制経口投与 非適合 4週間用量設定 カニクイザル 強制経口投与 非適合 4週間+4週間休薬 RccHan™:WIST ラット 強制経口投与 適合 13週間+8週間休薬 RccHan™:WIST ラット 強制経口投与 適合 4週間+4週間休薬 カニクイザル 強制経口投与 適合 13週間+8週間休薬 カニクイザル 強制経口投与 適合 遺伝毒性 In vitro 試験 復帰突然変異 ネズミチフス菌,大腸菌 In vitro 適合 染色体異常 CHL チャイニーズハムスター 肺由来細胞株 In vitro 適合 小核(機序解明) TK6ヒトリンパ芽球様細胞株 In vitro 非適合 In vivo 試験 小核 RccHan™:WIST ラット 強制経口投与 適合 小核(機序解明) RccHan™:WIST ラット 強制経口投与 適合 生殖発生毒性 胚・胎児発生(用量設定) RccHan™:WIST ラット 強制経口投与 適合 胚・胎児発生(用量設定) Kbl:NZW ウサギ 強制経口投与 適合 その他の毒性 代謝物の復帰突然変異 (スクリーニングエームス) ネズミチフス菌,大腸菌 In vitro 非適合 代謝物のin vitro 小核 TK6ヒトリンパ芽球様細胞株 In vitro 非適合In vitro 光安全性 Balb/c 3T3マウス線維芽細胞株 In vitro 非適合
2.4.1.4 GLP 及びガイドライン
主要な安全性薬理試験及び毒性試験は厚生労働省の GLP 基準を遵守し,ICH ガイドライン に準拠して実施した。毒性試験のうち非 GLP 試験についても,GLP 施設において適切な管理 のもとに実施した。また,光安全性の試験法は OECD テストガイドラインに準拠して実施し た。2.4.1.5
原薬及び製剤中に含まれる不純物
これまでの製造実績では原薬,製剤とも ICH Q3A(R2)及び Q3B(R2)ガイドラインの安 全性確認が必要な閾値(原薬:0.15%,製剤:0.2%)を超える不純物はなかった。原薬では不 純物1及び不純物2について規格が設定されたが,いずれも %と安全性確認が必要な閾値 以下であった。製剤では個別不純物の規格は設定しなかった。なお,不純物1及び不純物2とも にin silico の評価(DEREK 及び MCASE)で遺伝毒性のアラートは認められなかった。2.4.2 薬理試験
2.4.2.1 ALK に対する阻害作用
(1) ALK を含めた各種キナーゼに対する酵素阻害活性の検討 ALK 細胞内ドメインをはじめとする各種組換えヒトキナーゼを用いて,本薬の選択的酵 素阻害活性を検討した。本薬は,ALK に対し低濃度で阻害活性を示し,その IC50は1.9 nmol/L であった。また,インスリン受容体(INSR)及びキナーゼ挿入ドメイン受容体 (KDR)に対して,それぞれ550及び1400 nmol/L の IC50を示した。その他20種のキナーゼに 対するIC50は5000 nmol/L 以上だったことから,本薬は強力かつ選択性の高い ALK 阻害剤でアレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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あることが示された。 次に,クリゾチニブの獲得耐性に関与する点変異型 C1156Y 及び L1196M1)並びに神経芽 腫の発症に関与する活性化変異型 F1174L 及び R1275Q2)のALK に対する酵素阻害活性につ いて検討した。これらの変異体の内,L1196M はキナーゼ阻害剤に対する共通耐性機構の一 つとして知られているゲートキーパー残基のアミノ酸変異であり,臨床でのクリゾチニブ 耐性癌において複数の報告がなされている1),3),4)。これら4つの変異体に対する IC50は0.93~ 3.5 nmol/L で変異を持たない ALK と同程度の酵素阻害活性を示した。 (2) ALK 蛋白質との相互作用に関する検討 本薬と組換えヒトALK との複合体を X 線結晶構造解析することにより,両者の詳細な結 合様式を検討した。本薬がALK の ATP 結合部位の複数のアミノ酸と水素結合していること が確認され,ATP 競合性のキナーゼ阻害剤であると考えられる。 クリゾチニブ耐性変異体であるゲートキーパー残基の変異L1196M の三次元構造モデルを 解析したところ,L1196M 変異体も変異を持たない ALK と同じように本薬と相互作用する ことが示唆された。この結果は本薬がL1196M 変異体に対しても同程度の阻害活性を保持し ていることを構造面から裏付ける知見と考えられる。2.4.2.2
ヒト癌細胞株における増殖阻害効果
(1) ALK 融合遺伝子陽性及び陰性のヒト癌細胞株における増殖阻害効果 ALK 融合遺伝子陽性及び陰性のヒト非小細胞肺癌細胞株を用いて,本薬の細胞増殖阻害 効果を検討した。EML4-ALK 融合遺伝子陽性細胞株 NCI-H2228に対し本薬は強い増殖阻害活性を示し,IC50は12 nmol/L であった。一方,ALK 融合遺伝子陰性の3株に対する IC50は,
PC-9では400 nmol/L,NCI-H1993及び A549では1000 nmol/L 以上と細胞増殖阻害効果は弱か った。同様に,ヒトリンパ腫細胞株について検討したところ,ヌクレオフォスミン(NPM) と ALK の融合遺伝子陽性のヒト未分化大細胞型リンパ腫細胞株 KARPAS-299及び SR に対 してIC50は14 nmol/L と強く増殖を阻害したのに比べ,ALK 融合遺伝子陰性のヒト組織球性 リンパ腫細胞株 U-937に対する IC50は1000 nmol/L 以上で細胞増殖阻害を示さなかった。こ のような結果から,本薬が癌種を問わず ALK 融合遺伝子を有する細胞株に対し選択的に細 胞増殖阻害効果をもたらすことが示された。 (2) 細胞内における ALK 阻害作用
本薬による細胞内での ALK 活性阻害を評価するために,ALK 活性化の指標となる ALK のリン酸化をイムノブロット法により解析した。本薬の処理を行った ALK 融合遺伝子陽性
細胞株 NCI-H2228と KARPAS-299の両細胞株でリン酸化 ALK の消失が認められたことから, 本薬による細胞内での ALK 活性の阻害が確認された。この ALK 活性阻害が ALK 融合遺伝 子陽性の癌細胞株に対する細胞増殖阻害効果を引き起こすと考えられる。
2.4.2.3
ヒト主要代謝物の
ALK に対する阻害活性
ヒトにおける本薬の主要代謝物として,M-4が同定されている。 M-4の ALK に対する酵素阻害活性を評価したところ,組換えヒト ALK に対して阻害活性を 示し,その IC50は1.2 nmol/L で本薬と同程度であった。また,細胞内 ALK を阻害することに 基づく M-4の増殖阻害活性を EML4-ALK 融合遺伝子陽性細胞株 NCI-H2228を用いて評価した。 M-4は,NCI-H2228細胞株に対する増殖阻害活性を示し,その IC50は37 nmol/L であった。2.4.2.4
ヒト癌細胞株移植マウスにおける抗腫瘍効果
(1) ヒト非小細胞肺癌移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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ヒト非小細胞肺癌細胞株である EML4-ALK 融合遺伝子陽性の NCI-H2228及び ALK 融合遺伝子陰性の A549を重症複合型免疫不全(SCID)マウスに皮下移植したモデルを用いて,本 薬(0.8, 4, 20 mg/kg)を14日間経口投与し,抗腫瘍効果を評価した。EML4-ALK 融合遺伝子 陽性の NCI-H2228のモデルにおいて,本薬投与群はいずれの用量においても対照群に対し て統計学的に有意な腫瘍増殖阻害効果が認められた。特に,4 mg/kg 以上において顕著な腫 瘍の退縮が観察された。なお,本薬投与によるマウスの体重減少は認められなかった。一 方,ALK 融合遺伝子陰性の A549のモデルにおいては,有意な腫瘍増殖阻害効果は認められ なかった。これらの結果から,本薬の ALK 融合遺伝子陽性非小細胞肺癌モデルに対する選 択的な抗腫瘍効果が示された。 (2) ヒトリンパ腫及び神経芽腫移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果
NPM-ALK 融合遺伝子を有するヒト未分化大細胞型リンパ腫細胞株 KARPAS-299及び ALK
遺伝子の増幅を有するヒト神経芽腫細胞株 NB-1を SCID マウスに皮下移植したモデルに本 薬(6, 20 mg/kg)を11日間経口投与し,抗腫瘍効果を評価した。その結果,両モデルにおい て,本薬投与群は対照群に対して統計学的に有意な腫瘍増殖阻害効果が認められ,20 mg/kg では腫瘍の退縮が観察された。したがって,本薬は非小細胞肺癌以外の ALK の遺伝子異常 を有する腫瘍に対しても抗腫瘍効果をもたらすことが示された。 (3) ヒト非小細胞肺癌移植マウスモデルにおける腫瘍内の ALK 阻害作用 NCI-H2228細胞株を SCID マウスに皮下移植したマウスモデルに本薬(20 mg/kg)を単回 経口投与し,腫瘍中の ALK のリン酸化に対する作用をイムノブロット法により解析した。 その結果,本薬投与により ALK のリン酸化が抑制され,腫瘍内で ALK を阻害することが 確認された。
2.4.2.5
クリゾチニブ耐性変異型
ALK 発現腫瘍モデルにおける抗腫瘍効果
EML4-ALK のクリゾチニブ耐性変異体 L1196M をマウス前駆 B リンパ球細胞株 Ba/F3に強制 発現させ,EML4-ALK L1196M 依存的に増殖する細胞株を樹立した。この EML4-ALK L1196M を発現したBa/F3細胞株を SCID マウスの皮下に移植したモデルに本薬(60 mg/kg)を7日間経 口投与し,抗腫瘍効果を評価した。その結果,本薬投与群は対照群に対して統計学的に有意な 腫瘍増殖阻害効果と腫瘍の退縮が認められた。一方,クリゾチニブ(100 mg/kg)投与群にお いては有意な腫瘍増殖抑制効果は認められなかった。以上のことから,本薬はクリゾチニブ耐 性に関与するゲートキーパー残基の変異体EML4-ALK L1196M を有する腫瘍に対しても有効で あることが示唆された。2.4.2.6
副次的薬理試験
2.4.2.6.1
受容体,イオンチャネル,トランスポーター及び酵素に対する影響
受容体,イオンチャネル又はトランスポーターに対するリガンド結合性(109種)並びに酵 素の活性(42種)を指標とした in vitro スクリーニング試験を1濃度(10 μmol/L,4826 ng/mL) で実施した。その結果,リガンド結合性(ベンゾジアゼピン受容体(末梢型),ドパミン受 容体,ムスカリン受容体,ニューロキニン受容体,セロトニン受容体,σ 受容体,グルココル チコイド受容体,ウロテンシン受容体,L 型 Ca2+チャネル,Cl-チャネル,セロトニントラン スポーター,ノルエピネフリントランスポーター,ドパミントランスポーター)及び酵素活 性(CaMK2α)に対し,本薬は阻害作用(> 50%)を示した。更に,結合試験の結果を基に,2 濃度(1及び10 μmol/L,それぞれ482.6及び4826 ng/mL)でドパミン受容体,ムスカリン受容体, ニューロキニン受容体,セロトニン受容体及びウロテンシン受容体を含む20種の受容体及び2 種のモノアミン(ノルエピネフリン及びドパミン)のラットシナプトソームへの取り込みにアレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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ついて in vitro 機能評価を行ったところ,ノルエピネフリン及びドパミンのシナプトソームへ の取込みに対しては1 μmol/L で,セロトニン受容体5-HT2Bの活性に対しては10 μmol/L で阻害 作用が認められた。更に,シナプトソームにおけるセロトニン,ノルエピネフリン及びドパ ミンの取込み阻害作用を精査し,IC50は各々,48.3, 159.3及び125.5 ng/mL であった。このよう にシナプトソームへのモノアミンの取込み阻害作用等,中枢神経系の機能に関連した作用が in vitro で認められたものの,ラットを用いた中枢神経系試験では 300 mg/kg(平均 Cmax: 1770 ng/mL)まで行動及び一般症状に中枢神経系に対する影響を示唆する所見は認められなか った。また,最長13週間まで投与したラット反復投与毒性試験(最高60 mg/kg/日の雌雄平均 Cmax:2000 ng/mL 以上)においても,中枢神経に対する影響を示唆する一般症状の変化及び病 理組織学的所見はみられなかった。2.4.2.7
安全性薬理試験
安全性薬理試験として,in vitro 心血管系試験(hERG 試験),カニクイザルを用いた in vivo
心血管系試験(テレメトリー試験),ラットを用いた中枢神経系試験(Irwin 変法)及びラッ トを用いた呼吸系試験(全身プレチスモグラフ)をコアバッテリー試験として実施し,本薬が 生命機能に及ぼす影響を調べた。更に,カニクイザルの探索的テレメトリー試験でみられた血 圧低下の機序を解明するために,ラット摘出血管及びヒト電位依存性 Cav1.2チャネル電流に 本薬が及ぼす影響をin vitro で調べた。
In vitro 心血管系試験において本薬は hERG 電流を阻害し(IC20:58 ng/mL,IC50:217
ng/mL),hERG チャネル阻害作用が示された。本薬の血漿蛋白結合率は99%以上であること から(2.6.4.4.2),同様の阻害作用を in vivo で誘発する場合の本薬の血漿中濃度は,in vitro の 100倍以上と考えられる。カニクイザルのテレメトリー試験において,15 mg/kg(投与後4時間 の平均血漿中薬物濃度:279 ng/mL)までの用量で心電図を含む心血管系パラメータ及び体温 に影響はなかった。一方,開発初期に少数例で行ったカニクイザルの探索的テレメトリー試験 では,20及び60 mg/kg(それぞれの初回投与後の雌雄平均 Cmax:719及び695 ng/mL)で心拍数 及び心電図の異常は認められなかったものの,約10 mmHg の軽度な血圧低下がみられた。血 圧低下の無影響量は15 mg/kg(投与後4時間の平均血漿中薬物濃度:279 ng/mL)であった。血 圧低下作用の発現機序を明らかにする目的で行った in vitro 試験において,本薬は高濃度カリ ウム溶液による血管収縮を阻害し(IC20:7.38 ng/mL,IC50:81.1 ng/mL),ヒト電位依存性 Cav1.2チャネルを強制発現させた細胞において,Ca2+チャネル電流を阻害した(IC20:98 ng/mL 及び IC50:222 ng/mL)。本薬は電位依存性 Cav1.2チャネル阻害を介して血管を拡張し, その結果としてカニクイザルで軽度の血圧低下を誘発したものと考えられた。臨床推奨用量で ある600 mg/日(300 mg を1日2回)を日本人患者に反復投与した際の平均 Cmaxは575 ng/mL で あり,臨床において軽度の血圧低下が誘発される可能性は否定できない。しかしながら,本薬 の国内臨床試験においても,血圧低下に関連する有害事象は認められず,バイタルサインとし ても臨床上問題となる異常変動は認められていない。したがって,本薬の電位依存性 Cav1.2 チャネルに対する阻害作用を介した血圧への影響は臨床上問題となるものではないと考えられ た。 ラットにおいて300 mg/kg(平均 Cmax:1770 ng/mL)までの用量で中枢神経系及び呼吸系に 対する影響はみられなかった。これらの試験の Cmaxは,臨床推奨用量投与時(平均Cmax:575 ng/mL)の3倍以上であった。
2.4.3 薬物動態試験
2.4.3.1
分析法
(1) 血漿中濃度の定量 ラット,ウサギ及びカニクイザルの血漿中未変化体は,血漿を有機溶媒で除蛋白した後のアレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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上清を用いて,バリデートされた液体クロマトグラフィータンデム型質量分析(LC-MS/MS) により遊離塩基濃度として定量した。各動物種の血漿10 μL を用いたときの定量範囲は1~ 250 ng/mL であり,日内・日間再現性及び血漿中安定性が確認されている。ラット及びカニク イザルの血漿中代謝物 M-4及び M-6の濃度は,除蛋白した血漿上清を用いて LC-MS/MS にて 定量した。定量範囲は1~3000(ラット)及び1~1000 ng/mL(カニクイザル)である。 (2) [14C]アレクチニブ由来放射能の測定 [14C]アレクチニブを用いた試験では次の方法を用いて,薬物関連物質由来の放射能を測定 した。組織中濃度は定量的全身オートラジオグラフィーを用いた。その他の生体試料では液 体シンチレーションカウンター及び逆相カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー放射能 検出を使用した。2.4.3.2
吸収
(1) 単回及び初回投与時の吸収 本薬の溶液を雄ラット(絶食,n = 3/群)に1 mg/kg の用量で単回経口投与したときの血漿中 未変化体濃度は投与後8.0時間で Cmaxに達し,終末相の消失半減期(t1/2)は32.1時間であった。 バイオアベイラビリティは88.6%であり,本薬の消化管吸収は緩徐ではあるが良好であること が示された。本薬を雄ラット(絶食,n = 3/群)に1 mg/kg の用量で単回静脈内投与したときの 全身クリアランスは11.0 mL/min/kg と低く,終末相における t1/2は24.4時間と長かった。定常状 態における分布容積は13.3 L/kg と大きく,薬物関連物質が生体内に速やかに高濃度・広範囲 に分布したことと一致した。 本薬(懸濁液)のラット(n = 3/群,3,9及び27 mg/kg/日,1日1回投与)の13週間反復経口 投与 GLP 毒性試験において,初回投与時の血漿中未変化体濃度は投与後3.3~9.3時間で Cmax に達した。ラットにおける曝露(Cmax及び AUC0-24h)は用量依存的な増加を示し,雌の曝露は 雄より若干高かった(雌/雄比:1.1~1.5)。本薬(懸濁液)のカニクイザル(n = 2,3又は5/ 群,1.3,4及び12 mg/kg/日)の13週間反復経口投与 GLP 毒性試験における初回投与では,血 漿中未変化体濃度は投与後3.3~8.0時間で Cmaxに達した。低・中用量では用量増加に比例した 曝露増加が認められたが,高用量の曝露増加は用量増加比を下回った。カニクイザルの曝露に は明らかな雌雄差は認められなかった。ラットにおける単位用量当たりの曝露(Cmax/用量及 び AUC0-24h/用量)はカニクイザルより若干高く,同程度の用量(ラット:3 mg/kg 及びカニク イザル:4 mg/kg)における曝露比(ラット/カニクイザル)は雌雄でそれぞれ1.8~2.1及び1.5 ~1.6であった。 (2) 反復投与時の吸収 本薬(懸濁液)のラット(n = 3/群,3,9及び27 mg/kg/日,1日1回投与)及びカニクイザル (n = 2, 3又は5/群,1.3,4及び12 mg/kg/日,1日1回投与)の13週間反復経口投与 GLP 毒性試 験において,反復経口投与後の血漿中未変化体は,投与28回目以降の投与前濃度(トラフ濃度) に明らかな増加が認められなかったことから,定常状態に達することが示唆された。両動物種 ともに高用量において曝露増加の低下が認められた。初回投与時と同様にラットの曝露におい て若干の雌雄差(雌で1.1~1.7倍高値)が示されたが,カニクイザルでは明らかな雌雄差は認 められなかった。ラットにおいては血漿中代謝物 M-4及び M-6曝露の雌雄差(雄>雌)も認め られた。本薬のヒトにおける主代謝酵素は CYP3A4であることが示唆されており,ラットにお ける本薬の代謝も CYP3A が関与している可能性が考えられた。ラット CYP3A サブファミリ ーの中で,CYP3A1,3A23及び3A2の肝臓における発現量及び酵素活性は雄で高いことが報告 されており5),これらのサブファミリーによる代謝の雌雄差が曝露の雌雄差の原因である可能 性が推察された。アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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(3) ラット腸肝循環 胆管カニュレーションを施した雄ラットに[14C]アレクチニブを静脈内投与後,排泄された 胆汁を別個体の十二指腸内に投与したときの放射能の吸収(腸肝循環)を,尿,糞及び胆汁 中の放射能により評価した。消化管から再吸収され,尿中又は胆汁中に排泄された放射能は わずかであり,ほとんどが未吸収のまま糞中に排泄された。また,静脈内投与後の胆汁にお ける放射能のほとんどが[14C]アレクチニブの代謝物に由来していた。これらの結果から,本 薬のラットにおける腸肝循環の寄与は低いことが示された。更に,胆汁中代謝物の消化管吸 収性は低いことが示唆された。2.4.3.3
分布
(1) 組織分布 雄の白色ラットに [14C]アレクチニブの溶液を1 mg/kg の用量で単回経口投与したときの組織 移行性は高く,眼球,脊髄,小脳及び大脳以外の組織における放射能は最高血漿中放射能より 高い値まで到達した。脳においては,最高濃度到達時間(投与後8~12時間)の組織/血漿濃度 比(T/P)は0.6~0.9を示し,投与後24時間までの放射能は血漿と同程度の値(T/P:0.5~1.5) で推移したこと,及びラット血漿中における薬物関連物質は主として未変化体であったことか ら,本薬は血液脳関門を透過することが示唆された。雄の有色ラットに[14C]アレクチニブの溶 液を10 mg/kg の用量で単回経口投与したときの組織分布は,メラニン含有組織のブドウ膜でい ずれの測定時点においても最高濃度を示したこと,及び有色皮膚においても非有色皮膚より高 い濃度で推移したことから,薬物関連物質のメラニンへの高い親和性が示唆された。ブドウ膜 及び眼球を除くほとんどの組織では,放射能の消失パターンは白色ラットと類似していた。 (2) In vitro 血漿蛋白結合及び血球移行 本薬の血漿蛋白結合率は種によらず99%を超え,ラット,カニクイザル及びヒトでは100~ 10000 ng/mL の血漿中濃度で,濃度によらず一定の蛋白結合率を示した。ヒト血漿では主とし てHSA に結合し,α1-AGP への結合の寄与は低いことが示唆された。 本薬の血球移行には種差が認められ,100~1000 ng/mL の血液中濃度における血球移行率は ラット(72.8%)で低く,カニクイザル(84.9~86.6%)及びヒト(80.3~82.2%)で高い値を 示した。血液中濃度10000 ng/mL においては血球移行率の低下が認められた(ラット:60.0%, カニクイザル:68.4%及びヒト:59.8%)。臨床推奨用量(300 mg/回,1日2回,連日経口投与) での定常状態における平均Cmaxが575 ng/mL(表 2.7.2.2.2.1.1-1)であることを考慮すると,血 球移行率の低下が曝露の非線形性の要因となる可能性は低いと考えられた。 (3) 妊娠ラットにおける組織分布及び胎盤・胎児移行 妊娠17日目の白色ラットに[14C]アレクチニブの溶液を1 mg/kg の用量で単回経口投与したと きの母動物組織への放射能移行性は高く,雄の白色ラットと同様に脳及び眼球を除く組織で高 い移行性が確認された。組織分布においても雌で若干高い組織中濃度となる傾向が認められ, ラット血漿中未変化体濃度に若干の雌雄差(雄<雌)が認められたことと一致した。雌及び妊 娠時に特有な組織(乳腺,卵巣,子宮,胎盤,羊水及び胎膜)における放射能は,羊水を除き 母動物血漿中放射能より高い値を示した。胎児組織の放射能は母動物血漿中放射能より高い値 を示した。2.4.3.4
代謝
以下のin vitro 及び in vivo 代謝評価から,ラット,カニクイザル及びヒトにおける本薬の代 謝は質的に類似していると考えられた。アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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(1) In vitro 代謝 凍結肝細胞を用いた[14C]アレクチニブの in vitro 代謝において,未変化体の代謝安定性はマ ウス>イヌ>ラット,ヒト>カニクイザルの順で高かった。代謝物プロファイルは種によらず類 似しており,主要代謝物はM-4(モルフォリン部分が開環及び脱アルキル化した代謝物)であ った。ヒト肝細胞において検出された代謝物は,非臨床毒性試験に使用したラット及びカニ クイザルの肝細胞においても検出された。ヒト肝細胞及び発現系ヒト CYP において検出され た代謝物(M-1~M-10)の生成には複数の CYP 分子種が関与していた。ヒト肝ミクロソーム 及びヒト肝細胞を用いた代謝関与酵素の評価から,本薬は CYP により代謝されることが確認 され,肝臓における主要代謝酵素は CYP3A4であることが示唆された(CYP3A 代謝の寄与 率:≥47%)。また,発現系ヒト CYP を用いた評価では,主要代謝酵素として CYP3A4が確認 された他,代謝物 M-4及び M-6の生成に CYP1A1,2A6,2B6,2C8/9/19,2D6,3A5 及び 4A11の関与も示された。 (2) In vivo 代謝 雄ラットに[14C]アレクチニブの溶液を1 mg/kg の用量で単回経口投与した場合,血漿には主 として未変化体が検出された。尿及び糞中においては in vitro 代謝と同様に M-4が主要代謝物 として検出され,未変化体の割合は低かった。胆管カニュレーションラットに[14C]アレクチ ニブを1 mg/kg の用量で単回静脈内投与した場合の胆汁中主要代謝物もまた M-4であり,未変 化体の割合は低かった。 雄ラット(胆管カニュレーション施術)に[14C]アレクチニブを1 mg/kg の用量で単回静脈内 投与したときの胆汁中代謝物は,ラット肝細胞及びラット経口投与時の糞中における代謝物 と質的に類似していた。胆汁中主要代謝物は M-4であり,薬物関連物質の40.6%(投与量の 12.8%)を占めていた。胆汁中の未変化体は薬物関連物質の4.0%(投与量の1.3%)であり,そ の他の代謝物組成は21.4%以下であった。胆汁中薬物関連物質にグルクロン酸抱合体の存在は 示唆されなかった。 本薬の13週間反復経口投与毒性試験の高用量(1日1回懸濁液投与,ラット:27 mg/kg/日, カニクイザル:12 mg/kg/日)における最終投与時(定常状態)の血漿中 M-4の AUC0-24h は 1060~1890 ng・h/mL であり,これは臨床推奨用量(300 mg/回,1日2回,連日経口投与)のヒ ト定常状態におけるM-4の AUC0-24h(推定値:4740 ng・h/mL)の22.4~39.9%であると見積も られた。なお,ラットではM-4の曝露に性差が認められ,雄で若干高い曝露を示した。2.4.3.5
排泄
雄ラットに[14C]アレクチニブの溶液を1 mg/kg の用量で単回経口投与した場合,放射能排泄 は緩慢であり,投与後168時間までに投与量の95.7%が糞中に,0.5%が尿中に排泄され,カー カス残存率は2.9%であった。雄ラット(胆管カニュレーション施術)に[14C]アレクチニブを 1 mg/kg の用量で単回静脈内投与後,48時間までに尿,糞及び胆汁中に排泄された放射能は投 与量のそれぞれ2.0,10.3及び42.5%であった。吸収された本薬は主として,代謝された後に胆 汁を介して糞中に排泄されることが示された。2.4.3.6
薬物動態学的薬物相互作用
(1) CYP に関する薬物相互作用本薬のヒト凍結肝細胞を用いたin vitro 酵素誘導能を,CYP1A2,2B6及び3A4の mRNA 発現
量から評価した。CYP1A2の酵素誘導能は最大曝露濃度1 μmol/L(483 ng/mL)においても弱く, 臨床推奨用量(300 mg/回,1日2回,連日反復経口投与)の定常状態における Cmax(平均値:
575 ng/mL)から臨床薬物相互作用の可能性は低いと考えられた。CYP2B6及び3A4に関しては 曝露濃度1 μmol/L において in vitro 誘導能(誘導倍率:1.5~3.9倍)が確認されたが,培地中非 結合型濃度(2.5~200 ng/mL)及び臨床血漿中非結合型濃度(血漿蛋白結合率からの推定値:
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5.75 ng/mL 未満)を考慮すると,臨床薬物相互作用は顕著ではないと考えられた。 本 薬 は ヒ ト 肝 ミ ク ロ ソ ー ム に お い て ,CYP2C8 の 競 合 阻 害 ( 阻 害 定 数 : 1.98 μmol/L = 956 ng/mL)及び CYP3A4の時間依存的阻害(最大不活性化速度定数:0.0624 min−1,見かけの 不活性化速度定数が最大不活性化速度定数の1/2となるときの阻害剤濃度:≥ 60 μmol/L)を示 した。CYP2C8に対する競合阻害に関しては,血漿中非結合型分率が1%未満と極めて低いこと から,臨床推奨用量(ヒト定常状態における平均Cmax = 575 ng/mL)において CYP2C8の競合 阻害に起因する臨床薬物相互作用は顕著ではないと推察された。一方,CYP3A4に関しては代 謝に依存した阻害が示唆され,CYP3A4の基質となる薬物を併用したときに併用薬の血漿中濃 度を増加させる可能性が推察された。また,本薬は CYP3A4代謝の寄与が比較的高いことが示 唆され(CYP3A 代謝の寄与率:≥47%),CYP3A4の誘導剤及び阻害剤の併用は本薬の血漿中 濃度を変動させる可能性が推察された。 (2) トランスポーターに関する薬物相互作用 本薬はヒト排泄トランスポーターである P-gp 及び BCRP に対して基質として認識され難い 化合物であったが,それらの基質輸送に対して本薬は阻害能を示した。Caco-2細胞(P-gp 発現) 及び BCRP 発現細胞におけるジゴキシンの P-gp を介した輸送及びプラゾシンの BCRP を介し た輸送に対する IC50は,それぞぞれ1.13 μmol/L(545 ng/mL)及び0.103 μmol/L(50 ng/mL)と 低値を示した。本薬はP-gp 及び BCRP に対する IC50が低く,臨床推奨用量が1回300 mg と高い ことから,それらの基質となる薬物を併用したときに併用薬の血漿中濃度を増加させる可能性 が推察された。一方,ヒト取り込みトランスポーターである OATP1B1,OAT1,OAT3及び OCT2を介した各特異的基質の輸送に対して,本薬(3 μmol/L)の輸送阻害はほとんど認められ ず,臨床薬物相互作用の可能性は低いと考えられた。2.4.4 毒性試験
2.4.4.1
急性毒性
本薬の経口投与による急性毒性は,ラット及びカニクイザルを用いて評価した。ラットでは 小核試験(0,6,20,60,200,500,1000及び2000 mg/kg/日,雄6例/群)の2回目投与翌日ま での一般状態観察,体重及び摂餌量を基に評価した。カニクイザルでは,2週間予備毒性試験 (0,6,20及び60 mg/kg/日,雌雄各1例/群)の初回投与翌日までの一般状態を基に評価した。 ラットの6 mg/kg/日(ラット4週間試験の初回投与日の雄の平均 AUC0-24h:6480 ng・h/mL)で 異常はみられなかった。20 mg/kg/日以上で摂餌量減少,500 mg/kg/日以上で体重増加抑制又は 体重減少,1000 mg/kg/日以上で便減少がみられたものの,一般状態に異常はみられなかった。 2000 mg/kg/日(ラット小核試験の初回投与日の平均 AUC0-24h:53700 ng・h/mL)まで死亡及び 状態悪化はみられなかった。カニクイザルでは,60 mg/kg/日(初回投与日の平均 AUC0-24h:雄 11500 ng・h/mL,雌12600 ng・h/mL)までの用量で,初回投与翌日までに一般状態の異常及び死 亡はみられなかった。2.4.4.2
反復投与毒性
本薬の反復経口投与毒性は,ラット及びカニクイザルを用いて評価した。4及び13週間反復 投与毒性試験をラット(4週間:0,6,20,60 mg/kg/日,13週間:0,3,9,27 mg/kg/日)及 びカニクイザル(4週間:0,1.7,5,15 mg/kg/日,13週間:0,1.3,4,12 mg/kg/日)で行っ たが,いずれの試験でも本薬に起因する死亡又は状態悪化はみられなかった。開発初期に少数 例で行ったカニクイザルの2週間予備毒性試験(0,6,20及び60 mg/kg/日,2例/群)では,60 mg/kg/日群の1例が状態悪化から切迫剖検された。状態悪化の主因は消化器系の異常と考えら れ,カニクイザルにおける用量制限毒性は消化管に対する影響と判断した。 ラット及びカニクイザルの反復経口投与毒性試験において共通してみられた主要な所見は,アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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赤血球系,消化管,肝胆道系及び副腎に対する影響であった。その他に,ラットでは気管,肺, 骨及び切歯に対する影響並びに血液凝固時間の延長を伴う回腸の出血性変化もみられた。4及 び13週間反復投与毒性試験でみられた変化は,それぞれ4及び8週間の休薬期間終了時までに回 復又は回復傾向を示した。 ラット及びカニクイザルの4及び13週間反復投与毒性試験において,本薬に起因する死亡又 は瀕死はみられなかった。しかしながら,カニクイザルの2週間予備毒性試験では,60 mg/kg/ 日群の2例中1例が投与期間中に瀕死状態に陥り,切迫剖検された。この動物では投与4日目か ら便減少又は無便がみられ,投与の約1週後には体重減少を伴わない摂餌量の減少がみられ始 め,投与13日目に一般状態の悪化から瀕死剖検された。剖検時には消化管内容物の貯留,消化 管内のガス及び消化管の拡張等,消化器系の異常を中心とした所見が認められた。消化器系の 異常により,この個体の一般状態が悪化したものと考えられた。また,この結果より,カニク イザルにおける用量制限毒性は消化器系に対する影響と判断した。切迫剖検例については反復 投与後の AUC0-24h及び Cmaxは決定することはできなかったが,60 mg/kg/日群の生存例におけ る投与14日目の AUC0-24h及び Cmaxはそれぞれ9820 ng・h/mL 及び568 ng/mL であった。これら の曝露量は臨床推奨用量である600 mg/日投与時(300 mg/kg,1日2回)の平均 AUC0-24h及び Cmax(それぞれ11900 ng・h/mL 及び575 ng/mL)を下回っていた。なお,臨床推奨用量を反復投 与した国内臨床試験において用量制限毒性は認められていない。 (1) 赤血球系への影響 ラット及びカニクイザルの4及び13週間反復投与毒性試験において,赤血球系への影響が認 められた。赤血球の形態異常は低曝露から発現する変化の一つであった。まず赤血球の形態異 常が現れ,曝露量の増加に伴って,ラットでは網赤血球の高値,脾臓における髄外造血の増加 及び脾臓重量の軽度な高値が,カニクイザルでは一部の動物におけるわずかな貧血傾向が認め られた。ただし,ラットの13週間反復投与毒性試験では低用量から脾臓の髄外造血が現れ,よ り高曝露において赤血球の形態異常がみられた。赤血球系パラメータの変化はいずれも軽度で あり,4及び13週間反復投与毒性試験の高用量における曝露量はほぼ同様であったものの,投 与期間延長に伴う増悪はみられなかった。ウサギの胚・胎児発生に関する用量設定試験におい ても,9 mg/kg/日以上で赤血球の形態異常,27 mg/kg/日で投与終了時(妊娠18日)に赤血球パ ラメータの変化(ヘマトクリット値,MCV 等の低値)が観察され,赤血球に対する影響は動 物種によらず認められることが示された。なお,ラットの13週間反復投与毒性試験の27 mg/kg/日群でのみ血液凝固時間の延長を伴う回腸粘膜の出血が観察され,この群では明らかな 貧血が認められた。出血とそれに関連する変化の詳細は「(6) 血液凝固時間の延長」の章で述 べる。 いわゆる cytotoxic drugs(細胞毒性型抗がん剤等)とは異なり,骨髄抑制を示唆する変化は 認められず,赤血球系パラメータの変化は他の血球の減少を伴っていなかった。4及び13週間 反復投与毒性試験でみられた赤血球系の変化は,それぞれ4及び8週間の休薬期間終了時までに は回復又は回復傾向を示した。したがって,赤血球系に対する影響は可逆的であると考えられ た。 (2) 消化管への影響 ラット及びカニクイザルの4及び13週間反復投与毒性試験で消化管への影響が認められ,消 化管上皮に対する影響(消化管粘膜の増殖帯伸長)が両動物種に共通していた。 ラットでは,更に,腺胃上皮の変性,粘液を伴う腺胃粘膜上皮の肥大,消化管粘膜のマクロ ファージ/多核巨細胞/炎症性細胞の浸潤,小腸粘膜上皮の配列不整/剥離及び血清中の腸型 ALP の高値などの消化管上皮に対する影響がみられた。消化管粘膜で認められた多核巨細胞は,一 般的にマクロファージが異物を貪食する際に出現する病理組織像と類似していた。多核巨細胞アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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の出現は,消化管の粘膜のマクロファージが投与液(懸濁液)に含まれる被験物質を貪食した ことを示唆した像である可能性が考えられた。また,上述した消化管粘膜の炎症性細胞の浸潤 に関連すると考えられる所見として,血中の白血球,α2-グロブリン及び β-グロブリンの高値 並びに骨髄における好中球増加がみられた。 カニクイザルでは,大腸の拡張が観察された。また,開発初期に探索的に実施されたカニク イザルの2週間予備毒性試験では,60 mg/kg/日群の2例中2例で便減少,無便及び消化管におけ る内容物貯留等の所見がみられ,この群の1例は消化器症状の悪化により一般状態が悪化し, 瀕死剖検された。これより,カニクイザルにおける用量制限毒性は消化器系に対する影響と判 断された。 いずれの動物種においても,細胞毒性型抗がん剤の投与でみられるような消化管粘膜の細胞 死やそれに伴う下痢などの毒性は認められていない。4及び13週間の反復投与毒性試験でみら れた消化管への影響は,それぞれ4及び8週間の休薬期間終了時には回復又は回復傾向を示した。 したがって,消化管に対する影響は可逆的であると考えられた。 (3) 肝胆道系への影響 ラット及びカニクイザルの4及び13週間反復投与毒性試験で肝胆道系への影響が認められた。 ラットでは4週間反復投与毒性試験で血清中の肝型 ALP,γ-GT 及び総コレステロールの高値, 胆管上皮の空胞化,肝細胞の腫大及び肝重量の高値がみられ,13週間反復投与毒性試験では更 に胆管上皮の変性/壊死,胆管増生,類洞壁細胞腫大/黄褐色色素沈着及び肝細胞の限局性壊死 も認められた。ラットの肝臓における組織学的変化の程度はおおむね軽微から軽度であり,13 週間反復投与毒性試験の27 mg/kg/日群の2/19例における限局性肝細胞壊死のみが中等度の変化 であった。臨床検査値の変化も軽度であった。 カニクイザルでは4週間反復投与毒性試験で血清の肝型 ALP 及び直接ビリルビンの増加,グ リソン鞘の炎症性細胞浸潤,肝細胞又はクッパー細胞の腫大及び肝重量の高値がみられ,13週 間反復投与毒性試験では,更に,血清の γ-GT の増加と胆管増生も認められた。病理組織学的 変化はいずれも軽微であり,臨床検査値の変化も軽度であった。 投与期間の延長に伴って肝胆道系の所見の程度が著しく悪化することはなかったものの,ラ ットにおいては投与期間の延長により,より低曝露から肝胆道系に対する影響が発現した。両 動物種とも4及び13週間の反復投与毒性試験でみられた肝胆道系の所見は,それぞれ4及び8週 間の休薬期間終了時には回復した。したがって,肝胆道系に対する影響は可逆的であると考え られた。 (4) 副腎への影響 ラット及びカニクイザルの4及び13週間の反復投与毒性試験で副腎への影響が認められた。 ラットでは4週間反復投与毒性試験の20 mg/kg/日以上で副腎重量高値及び副腎皮質の肥大が みられ,更に,13週間反復投与毒性試験では副腎束状帯細胞の大型脂肪滴の増加又は脂肪滴の 減少が3 mg/kg/日以上でみられた(3 mg/kg では大型脂肪滴の増加(1例)のみ観察)。 カニクイザルでは4週間反復投与毒性試験で副腎皮質の肥大が5 mg/kg/日以上でみられ,13週 間反復投与毒性試験では副腎皮質束状帯細胞の脂肪滴減少が4 mg/kg/日以上で観察された。 これらの病理組織学的な変化の多くは一般的にストレスによって誘発されるものと同様であ り6),投薬による肝臓及び消化管への影響などがストレスとなった可能性が考えられた。ラッ トではストレス応答と推察される所見として,リンパ系組織(胸腺,リンパ節,脾臓等)にお けるリンパ球減少及び血液中の好中球増加が4週間反復投与毒性試験では20 mg/kg/日以上で, 13週間反復投与毒性試験では9 mg/kg/日以上で認められた。しかしながら,ラットの定量的全 身オートラジオグラフィー(2.6.4.4.1)では副腎に高い放射能分布が示されており,本薬が副 腎に何らかの影響を及ぼしていた可能性も否定はできない。4週間反復投与毒性試験でみられ た副腎の所見は軽微であったが,13週間反復投与毒性試験では軽微な所見に併せて軽度な所見アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page
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も観察された。 4及び13週間の反復投与毒性試験でみられた副腎の所見は,それぞれ4及び8週間の休薬期間 終了時までには,回復又は回復傾向を示した。したがって,副腎に対する影響は可逆的である と考えられた。 (5) 呼吸器系への影響 ラットで呼吸器系(肺及び気管)への影響が認められた。 ラットの4及び13週間反復投与毒性試験で肺胞に泡沫マクロファージ浸潤がみられた。これ は対照群でもみられた所見であるが,投与量の増加に伴って程度と発現頻度が増加した。4及 び13週間反復投与毒性試験の高用量における曝露量はほぼ同様であったが,投与期間の延長に 伴う増悪は認められず,いずれの試験においても軽微から軽度の所見であった。これらの試験 では気管粘膜に混合型の細胞浸潤(マクロファージ及び多核巨細胞,更に,13週間反復投与毒 性試験では炎症性細胞)も認められ,ラットの13週間反復投与毒性試験の一部の動物では気管 粘膜上皮に軽微から軽度な配列不整も伴っていた。一般的に気管における単核球,炎症性細胞 の浸潤はラットでは溶媒投与群にも観察されるが7),本試験では投薬群における所見の種類, 程度及び頻度は投与期間の延長に伴って増加した。ラットの強制経口投与時にはしばしば逆流 (reflux)が生じ,投与液により消化管内だけでなく経気道的にも曝露されることが知られて いる。気管粘膜に認められた多核巨細胞は,一般的にマクロファージが異物を貪食する際に出 現する病理組織像と類似しており,投与液(懸濁液)に含まれる被験物質をマクロファージが 貪食したことを示唆する像である可能性が考えられた。また,肺胞の泡沫マクロファージは一 般的に溶媒を含む投与液の強制経口投与によって出現する所見と類似しており7),これも投与 液(懸濁液)に含まれる溶媒及び被験物質をマクロファージが貪食したことを示唆する像であ る可能性が考えられた。 以上の様に,本薬が肺及び気管に対して何らかの影響を及ぼす可能性は完全には否定できな い。しかしながら,肺炎や気管支炎で認められるような浮腫,浸出物,肺胞上皮細胞の傷害, 過形成又は線維化等の所見は伴っておらず,また回復性が示されていることから,本薬によっ て臨床上問題となる呼吸器障害が誘発されることを示唆する所見ではないと考えられた。 (6) 血液凝固時間の延長 ラットの13週間反復投与毒性試験で血液凝固時間の延長を伴う回腸の出血性変化が認められ た。27 mg/kg/日でプロトロンビン時間の延長及び活性化部分トロンボプラスチン時間の延長 がみられた。9 mg/kg/日群では明らかな出血像はみられなかったものの,腸間膜リンパ節にお ける赤血球貪食,血液吸収やヘモジデリン沈着等の出現頻度及び程度の増加から軽度な消化管 出血があったことが示唆され,27 mg/kg/日群では回腸粘膜において出血が認められた。27 mg/kg/日群では回腸粘膜の出血に関連すると推察される所見として,黒色便,大腸における暗 赤色/ゼリー状の内容物,貧血性の変化(赤血球パラメータの低値,眼球の変色),尿素窒素 値の高値,腎臓の近位尿細管の黄褐色色素沈着,肝臓の類洞壁細胞の黄褐色色素沈着等の所見 も認められた。8週間の休薬期間終了時には,出血の二次的変化である腸間膜リンパ節のヘモ ジデリン沈着や脾臓の髄外造血増加がみられたものの,血液凝固時間の延長及び出血は回復し ていた。したがって,血液凝固時間の延長及びそれに伴う出血は可逆的であると考えられた。 血液凝固時間の延長は,肝毒性が認められた用量より高い用量で認められた。血液凝固因子は 肝細胞で産生され,肝疾患では出血傾向を示すことが知られていることから8),血液凝固時間 の延長は肝毒性の二次的影響である可能性も推察される。アレセンサ 2.4 非臨床試験の概括評価 Page