日本語学校における中国人留学生教育に関する研究 [ PDF
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(2) を考察する。. 第1章 日本語学校の設立、発展. ここにいう日本語学校の教育的課題とは、中国人学生の. 留学生数は 83 年 1 万人、 93 年 5 万人に増えたが、 その後、. 教育指導、生活支援、大学及び大学院の受験指導、進路指. 99 年まで増えなかった。その原因は、当時の文部省留学生. 導を指す。すなわち、学力不足の問題や日本語能力の不足. 科は「生活コストが高い」 、 「留学情報が海外において不足」. をどのようにして克服するのか、受験指導はいかにあるべ. などと推測された。当時も私費留学生は多く、約 9 割占め. きかなど、中国人学生の高等教育への進学準備段階におけ. ていた、多くが日本語教育機関出身者である。2003 年、10. る教育の現状と課題を明らかにする。. 万人計画が達成されて、政策方針は「量」から「質」へ転 換した。今と同じく、入国審査を厳しくし、日本語教育機. 研究方法. 関への管理を強化した。また文部省は、宿泊施設、奨学金. 本研究では、文献研究や留学交流月刊などの資料分析に. 等まだ整備してないままなど問題と考えられた。. 加え、現地調査を行う。. 当時の日本語教育機関の教育内容については、80 年代後. 現地調査は福岡の日本語学校の留学生への面接調査、関. 半から、90 年代初頭まで、一気に大量の留学生が来日し、. 係者あるいは経営者への面接調査を実施したいと考えてい. 急激に増えた学校の中には教育実態のない学校もあった。. る。. 日本語教育振興協会による指導もあり、また入国管理行政. (1)文献調査. の締め付けもあり、日本語教育機関はよく改善した。. 文献調査では、法務省の政策文献、日本学生支援機構. 文化庁の調査によると、日本語学校は 2009 年の時点で、. (JASSO)の最新情報に基づいて、日本語学校における留学. 日本全国において 285 校である。その中、北海道 6 校、東. 生教育支援に関する雑誌論文、新聞記事、政策文章を収集. 北地方 13 校、関東地方 78 校、中部地方 46 校、近畿地方 81. し分析した。. 校、中国・四国地方 14 校、九州・沖縄地方 47 校である。. (2)留学生へのアンケート調査. そして、福岡県は 30 校が存在し、福岡市は 17 校が存在し. 2008 年度、福岡県内の高等教育機関に在籍する留学生数. ている。. は 6,613 人であり、東京都(42,371 人)、大阪府(10,289. 日本語学校の受入れの現状. 人)に次いで 3 番目に多い。福岡県内といっても、主に福. 2008 年(平成 20 年)に、文部科学省、外務省、法務省、. 岡市内に留学生は集中している。福岡市は有数の留学生受. 厚生労働省、経済産業省、国土交通省が連携して、 「留学生. 入れ地域であり、日本語学校の学生も相応に増加してきた。. 30 万人計画」が発布され、2020 年までに 30 万人の留学生. そこで、本論文では事例研究として、福岡市内のある日本. を受入れる政策的目標とした。 「留学生 30 万計画」趣旨に. 語学校の中国人学生を対象にアンケート調査を実施した。. よれば、 「高度人材受入れとも連携させながら、国・地域・. 調査項目は以下のものである。①属性Q1(男女、学歴、. 分野などに留意しつつ、優秀な留学生を戦略的に獲得して. 出身地) 、②日本語学習動機Q2、③日本語の学習現状Q3~Q5、. いく」 「入試・入学・入国の入り口から大学等や社会での受. ④日本語学校の評価Q6、Q16、⑤日本語学校卒業後の進路. 入れ、就職など卒業・終了後の進路に至るまで、体系的に. (Q7・Q8:進路希望、Q9・Q10:専攻分野希望、Q11~Q14、. (略)関係省庁・機関等が総合的・有機的に連携して計画. Q17:学習準備) 、⑥進学手続きQ15(進学の手続きについて. を推進する」というプロジェクトを提議されている。. 知っていますか) 、⑦自己学習Q18、Q19、Q23、⑧留学経費. 具体的な方策としては、①日本留学への誘い、②入試、. Q20、Q22、⑨生活ストレスQ21、Q24 、⑩留学終了後の進路. 入学、入国の入り口の改善、③大学等のグローバル化の推. Q25、Q26、Q27、Q28、などである。調査結果は第3章・第4章. 進④安心して勉強できる受入れ環境づくり、⑤卒業・終了. に記述した。. 後の社会の受入れの推進の五つの提案である。このように、 日本の大学や社会の受入れ側の魅力を高めるため、日本へ. 本論文の構成は、第1章で、研究の予備知識として、日. の留学により安心に勉学であること、留学後は社会的なイ. 本における日本語学校の設立、沿革、及び日本語学校の現. ンフラ整備できることなどである。. 状を踏まえた後、第 2 章、日本語学校における中国人留学 生の増加について論じた。第 3 章では、日本語学校の学生. 第 2 章 日本語学校における中国人学生の増加. を対象として、アンケート表の内容を取り上げ、日本語学. 日本語教育機関の在籍者は中国、韓国、台湾で 8 割以上. 校における中国人留学生の生活上・学習上の問題について. を占める。その中、中国人は一番多いである。. 考察した。. 日本語学校は、日本に留学するために、海外から学生を. 2.
(3) 募集、選抜する。中国人留学生の中で、80%以上の学生は. 質問「日本語はどのぐらいできますか」に対する回答は、. 中国から最初日本語学校に入り、1 年間また一年間半で、日. 日本語学校で日本語を学習する時間は一年以上を経っても、. 本語や日本の文化を学んでから、大学学部や大学院や短期. 「日常会話の程度」を選択した学生が多く占めていて. 大学、専門学校などの学校に進学する。このような「中国. (83.3%) 、入学したばかり(A グループ)の学生の 86.7%. の大学・高校➾日本語学校➾大学(院)・短期大学・専門. と大きい違いは見えない。また、新聞を読めること、書け. 学校などに進学する」という経路の中で、もっとも大きな. ること、ディスカッションができることと専門書を読める. 役割を占めている日本語学校が重要視されている。日本語. ことを選んだ学生が三段階とも少ない、10%以下占めてい. 学校は従来、留学生が高等教育機関への進学準備段階の機. る。. 関とだけ見られているが、そうではない。日本語学校では. 日本語学校の評価 「日本語授業以外はどのような授業があったらいいと思. 日本語を教える以外に、海外での学生募集、青年期のある 学生たちの個人的成長を見守り、日本での生活適応教育(交. いますか」の質問に対して、 「日本の歴史や文化」を選択し. 通ルール、地域文化習慣)、受験指導、進路相談なども行. た学生はそれぞれ 15.8%、27.8%、33.3%である。 「専門分. っている。. 野の知識の授業」 に対し、 A、 C、 E グループはそれぞれ38.9%、. 日本語学校における学生の募集、学生選択の仕方は、担. 44.4%、22.2%である。 「日本の高校生の教科書」に対する. 当者が海外直接募集に行く場合、海外の仲介機関に一任す. 答えは、21.1%、11.1%、16.7%である。 「英語の授業」に. る場合などが考えられる。募集ルートの一番多いのは、海. 対する回答はそれぞれ 26.3%、16.7%、27.8%である。 日本に来たばかりの学生は、日本の歴史文化の授業があ. 外の提携仲介機関、海外の大学・日本語教育機関、海外事. ったほうがいいと思う学生は一番多いである。一方、進学. 務所などである。. の準備段階の学生は専門分野の知識に関する授業や英語の. その中、日本語教育機関の多くは「海外の提携仲介機関」 である。多くの学校が海外の仲介機関と提携しており、仲. 授業と日本の高校生の教科書を参考として、学習したい学. 介機関を通して募集している形になる。海外の留学仲介機. 生のほうが多く占めている。. 関などとの提携による行なうことである。. 日本語学校卒業後の進路. 中国からの留学生の場合は、以前は日本語側紹介者から. 日本語学校を卒業後の進路に関する回答は、進学の準備. の申込みが多く、本人面接をしないことが多かったが、近. する段階の学生でも、 「進学希望を決めていない」回答を選. 年から担当者が中国へ行って説明会を開き、申請者本人、. 択した学生が少なくとも一人ぐらいいることを分かった。. 親、親友などと直接面談することが普通になっている。こ. また、大学や大学院でも、どんな専攻を勉強することをい. れは教育本来の姿であるが、入国審査の厳格化によるとこ. くつかがあって、迷っている状況は一番多く、半分の以上. ろが大きい。在留資格認定証交付申請にあたり、申請者と. の学生占めている。その中、まだ分からない、後で学生が. 会ったか否か、紹介者は誰かなど、こと細かく提出しなけ. 一番多く、一年生の学生は日本語の先生、親、知人などと. ればならなくなっている。中国側も 1999 年に「自費出国留. 相談しようと思っている学生は半分、半分占めていること. 学の仲介業務管理規定」を発布し、自費留学者の権益保護. を分かった。どんな専攻を勉強したいのを決めた学生は経. を目的に、留学手続きを行なう民間会社、公的機関の資格. 済学を選んだ学生は一番多く占めている。. 認定条件を規定し、中央政府(中央政府は日本の内閣府に. それから、 「日本での専攻の学習の準備」について、少し. 相当する。 )の管理下に置いた。2004 年 12 月時点で、341. 準備している回答とあまり準備していない回答を選択した. 機関である。本研究では、 「仲介機構」と呼ぶ。中国の仲介. 学生は三つの段階とも一番多く占めている。 「日本語学校は大学に進学を希望する学生を対象として、. 機構の代行手数料を支払わない時代もあったが、現在ある. 大学に進学に関する指導がありますか」に対する回答は、. 程度の手数料が必要である。. 三段階とも「すこしある」回答を選んだ学生 90%以上占め 第 3 章 中国人留学生に対するアンケート報告. ている。また、二年生、すぐ進学する学生は、 「ぜんぜんな. 日本語学習の現状. い」と選んだ学生は 3 人がいて、20%ぐらい占めている。. 質問「日本語の学習が好きですか」に対し、入学したば. 日本での専攻分野の学習の準備について、ほとんど読ん. かりの学生(A グループ)はより日本語の学習が好きであり、. でいない学生は三段階それぞれ、55.7%、55.6%、36.4%. 66.7%占めている。 C、 E グループの学生はそれぞれ58.8%、. 占めている。. 23.1%である。. 大学学部課程への進学手続きに知識の有無. 3.
(4) 「進学の手続きについて知っていますか」に対する回答. 題でもある。いわゆる、日本語学校で学習している学生は、. から、A、C グループ「B すこし分かる」を選んだ学生一番. すでに中国高校から卒業した学生、また大学からの卒業生. 多く、90%以上占めていて、E グループ「B 少し分かる、C. である。その学生たちは、日本の大学や大学院や専門学校. 分からない」を選んだ学生は 5 人ずつで、全体学生の 95%. に入れるため、日本語学校を介し、来日する。しかし、日. 以上占めている。. 本語学校は名前のとおり、日本語を教えることは中心とし. 自己学習の情況. ている。日本語学校で日本語を学習している間に、日本の. 自己学習に対する質問の回答から、学生は中国語小説、. 高校生の大学入試のため勉強している問題や内容などを含. 歴史図書などから、日本の漫画、雑誌、また自己修養に変. めて、ちゃんとした大学、大学院に入学するための課程教. わっていることをはっきり分かった。. 育をなされていないことは改善しなければならないであろ. また、読書の中、日本語の学習は多く、自己修養の学習は. う。また、日本語学校は中国人学生が多いため、 「会話力」. 非常に少ないことははっきり分かった。. の向上はなかなか難しい問題だし、日本語能力なかなか向. 休みの時間を利用して、学習する学生はそれぞれ、18%、. 上できない問題も今後の課題だと思う。. 20.5%、21%である。. (2)中国人学生リクルートの課題. 留学経費の問題. 日本語学校教育機関側は、設置者は本来の国際貢献のた. 留学経費の準備状況についての回答の中、ほとんどの学. めという高い理念から日本語教育を初めているが、現実的. 生は「十分に準備しているか、少し準備している」と回答. 「営利目的のための教育機関」という定義に変更すべきで. した。また、アルバイトの状況は A、C、E グループはほと. あると思われる。さらに、アジア諸国の現在の状況、貨幣. んどアルバイトをしない、一日 5 時間×3(4)日」アルバ. 価値、価格差の問題があるから、現在の「金があれば学べ. イトをしていることを分かる。. る」の受入れ制度から「優秀であれば、働きながら学べる」. 生活ストレス. とう制度へ転換することが必要だと考えられる。このよう. 生活ストレスに関する質問「最も気になる問題は何です. に、経済的厳しい学生も有利になってきた。だが、日本語. か」に対する、A、C、E グループの学生は「日本語能力」を. 学校において生活上の支援、受入れ側奨学金まだまだ足り. 選んだ学生は三段階とも、25%以上占めて、状況が良くな. ないであること、また多くの学生は卒業後日本で就職を希. る方向は見えない。. 望している現状に応じて就職のサポートは重要な課題にな. それ以外は、奨学金(13.6%) 、学費の減免(14.7%) 、. ってくることなど点から分析すると、今後の政策の改善方. アルバイト問題(10.5%)専攻分野の学習(8.4%)と英語. 向を見えるであろう。. 問題(9.4%)は二番目多く占めている。 3.主要引用文献 第4章 中国人留学生の留学終了後の進路. ・高橋伸浩「多民族共生社会における日本語教育機関の役. 中国人学生の就職意識. 割」 TJC 高橋情報センター. 留学終了後の進路について、三段階の学生の答えの状況. ・日本語教育振興協会 『日本語教育施設要覧』 2008 年. を合わせて分析すると、 「少し日本に就職したい」 、 「日本に. ・文科科学研「留学生交流の将来予測に関する調査研究」、. 就職したい」を選んだ学生は多く占めていることを分かっ. 2007 年. た。また、全員の学生は日本の東京、福岡と大阪で就職し. ・留学生政策懇談会」の第一次報告「今後の留学生政策の. たいということを明らかにした。. 基本的方向について」. 第5章 結語:日本語学校の教育的課題と展望. 4.主要参考文献. 結論として、次の2点のことを述べたい。. ・S・B・メリアム著、堀 薫夫・久保真人・成島美訳弥訳. (1)精神的成長の空白について. 『質的調査法入門―教育における調査法とケース・スタデ. 日本語学校の学生は語学ばかり勉強してほかの知識を勉. ィ』ミネルウァ書房、S・B・メリアム著、堀 薫夫・久保. 強していないことをはっきりした。日本語を学習する時間. 真人・成島美訳弥訳. は学習時間の大半に占め、自己教養学習などの勉強する時. ・段躍中『現代中国人の日本留学』明石書店、2005 年. 間は非常に少ないである。精神的成長は止まっているので. ・広島大学教育学部『留学生日本語教育に関する理論的・. はないかと思われる。現時点の問題だと思うし、今後の課. 実践的研究』1989 年. 4.
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