インターネットを利用した学習診断システムの開発
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(2) インターネットを利用した学習診断システムの開発. インターネットを利用した学習診断システムの開発 杵. 淵. 信. (北海道教育大学札幌校). 安. 藤. 浅. 見. 信. 彦. 鳥. (東京都立白鷺養護学校). 明. 伸. (宮城教育大学). 紺. 谷. 正. 居. 隆. (椙山女学園大学). 樹. (美唄市立美唄中学校). .は じ め に. .インターネットによる. 教師は日々の授業や学習指導の過程の各段階で,常に. 教育において. いかにしてより効果的に指導していけば良いか. 司. 評価. 表分析法. というと,過去にはいわゆるテ. を自. ストの得点だけに目を向けることが多い。これは,主と. 問自答し意思決定を行っていかなければならない。そし. して個人差を相対的に記述するたの評価であり,生徒の. て,この意思決定とそれに基づく教育実践によって次の. 学力が集団でどの位置にあるのかをみる相対評価(. 授業の進行をより最適なものにしてゆくと考えられる。. 階評価,偏差値)である。期末テストや学力テストに用. この意思決定を行うためには,行ってきた授業を振り返. いられるテスト処理法は,長期の学力の変化を見ること. り,そこからの教育実践のための何らかの情報を収集す. や,生徒間の個人差・序列をつけるために利用される方. る必要がある。この情報は,例えば,生徒たちの理解度. 法であって日々の決定を促す評価方法ではない。. 段. や授業目標に対する達成度であったり,授業時における. 教師は自らの意思決定とそれに基づく実践によって授. 教師の発問の適不適や,用意した教材の適否などの教師. 業の進行を最適にコントロールしようとするが,そのた. 自らの反省が基になる。そして,結果として得られた情. めには常に情報を必要とする。その情報とは,例えば,. 報を,正しくより的確に効率よく処理し,それを教師が 判断・利用することは,次時の授業方略決定への援用に なり,それが教師の授業改善に関わる一手段となるばか りでなく,このような教育実践経験は教師の自己実現の 機会を提供することになる。 へき地・小規模校においても教師のこのような授業改. ・生徒は,これまでの学習内容をどの程度理解できて いるか。 ・指導計画の段階毎に予想または期待した通りの学習 ができているか。 ・使用した教材は適していて汎用性のあるものか。. 善に関わる研鑚努力は例外ではないが,小規模であるが. ・指導の進め具合(進度)は適切であるか。. ゆえに,生徒から得られる情報は相対的に少なく,自ら. ・授業中の発問や,テストの設問は,生徒にとって妥. の教育技術を高めるための普遍的な教育情報を得にくい. 当であったか。. 環境にある。これは,へき地学校に勤務する教師にとっ て大きな障害といえる。そこで本報では教育実践で得ら. などのが挙げられる。. れる情報を共有できる環境の整備の一環として,共通に. このような情報は,生徒の学習達成水準や理解の様子. 理解し納得できる客観的な情報を,インターネットを利. に関することや,または,教師自身の指導や発問の適否. 用して収集・提示するシステムを開発し,普遍的教育情. に関することである。これは,生徒集団や,生徒一人ひ. 報を得にくいへき地・遠隔地においても授業方略の決定. とりの学習をモニタし診断することで得ることができる. を容易にする教師研修環境整備の基礎的研究を行った。. ものであり,現実には,授業後に行うドリルや演習問題 のデータを分析し,そこに含まれている意味を解釈して はじめて得るものである。例えば,ある生徒は何ができ て,何ができないのか,または,視点を広げてクラス全.
(3) 杵淵. 信・浅見. 信彦・鳥居. 隆司・安藤. 明伸・紺谷. 正樹. 体では達成した目標と達成しなかった目標は何であるの. つでもどこでも提示が可能であるシステムの開発を行っ. か,さらに今後何を教えなければならないのか,もっと. た。. ドリルさせるべき内容は何であるのか,といったことな. 本研究では,インターネット上で学習診断を行うため つのシステムに分けて. どは生徒の学習結果を調べてはじめて具体的にとらえら. に,大きく分けて以下に述べる. れることである。このような評価は,学習や指導の進行. 開発した。本システムにおけるデータ処理は,. をコントロールするためのフィードバック情報を得るこ. 分析における手法を元にしており,解析した診断結果や. とであり,日々の学習の各段階で行うべき評価である。. 蓄積されたデータは. 表授業分析. これらの点を考慮して本研究では,. 上で参照することが可能に. なっている。図 にシステムの概要を示す。本システム. 法を使用した学習診断システムの開発を目標とした。. サーバと. は. )))). 表授業分析法. 表. 本からなる. プログラムで構成. は,ドリルや演習問題のデー. され,データは利用者が設定する各ユーザディレクトリ. タから,日々の決定を促すためのフィードバック情報を. 内に蓄積され必要に応じてデータを診断処理することが. 得るために利用できる手法として,確立した理論に裏付. 可能である。. けられており,分析結果がより客観的で分析データを共 新規ユーザ登録システム. 有するのにも適した授業分析の手法である。. サーバ内に,データベース. これはユーザが,. 用として使用するディレクトリを作成するシステムであ. .開発した学習診断システムの概要. る。これによって入力した各データを必要に応じて, デー. 本研究で開発したシステムは,授業後,行われた小テ. タベースすることが可能となる。そのため,ユーザは. ストの結果から,次時の授業方略決定の手助けとなる情. サーバ上にデータベース専用のユーザディレク. 報を,インターネット上で収集・処理・分析・表示を行. トリを作成し,以降そのディレクトリ内でデータ蓄積,. う機能を有している。一般に,次時の授業へと連続する. 処理,結果参照を行う。ユーザはアクセス初回に,エン. 情報とは,主に,生徒の学習状況や理解度の把握,また,. トリポイントのページから新規ユーザ登録ページに移動. 問題の適否を判断できる情報と考え,これを収集し,い. し初期登録を行う。この結果,各自のデータを蓄積する. エントリポイント(HTML). 新規ユーザ登録 システム. ユーザディレクトリ 管理システム. ユーザ登録フォーム. データ入力 システム. S-P表作成 システム 入力フォーム. S-P表表示 システム 入力フォーム. データ表示 システム 入力フォーム. spwin.exe. dsp_sp.exe. dsp_data.exe. Web直接入力 システム 入力フォーム. ファイル入力システム 入力フォーム. make_file.exe. FTP. make_dir.exe cjpeg.exe. ユーザ ディレクトリ 作成. Data (*.csv). S-P表表示. S-Pデータ 表示. in_order.exe. S-P表の保存 画像ファイル(*.jpg). lump.exe. in_file.exe. S-Pデータの保存 カンマ区切りテキストファイル(*.csv). ユーザディレクトリ(データベース・ディレクトリ)-WWWサーバ内 図. システム概要図.
(4) インターネットを利用した学習診断システムの開発. ためのユーザディレクトリが作成される。図. に初期登. 録画面を示す。. よって全く同一の情報が登録されている場合や既に登録 済の場合は,エラーメッセージが表示され,再入力を促. 利用者は図 の画面上にあるユーザ登録フォームに任. す。 ,パスワードの組み合わせが未登録であれば,ユー. とパスワードを入力する。別の利用者に. ザディレクトリが作成され,以下の図 に示すような実. 意のユーザ. 行画面が表示される。 作成されたユーザディレクトリは, サーバ上ではフォルダとして作成され,以降, 各ユーザは登録した自分のディレクトリ内において,診 断データの蓄積や処理,診断結果の参照を行うことがで きる。 データ入力システム インターネットを経由して,. サーバにアクセ. スし,データを入力するシステムである。. ページ. 上に用意されたフォームに,データを直接キーボード入 力してデータベースする方法と,クライアント側で予め 規定されているフォーマットでデータファイルを作成 し,. プログラムによって,それをサーバに送りデー. タベースする方法の. つの入力法がある。. キーボードによるデータ入力システム 入力システムの中で,直接,診断データをキーボード 図. 初期登録画面. 入力するシステムを つ開発した。図. に入力システム. 初期画面を示す。一つは生徒が各自データファイルにア クセスしてデータを入力していく逐次入力方式であり, もう一方は,教師や代表者が一括して クラス分のデー タをキーボード入力する一括入力である。 図 は逐次入力で作成されるファイルの作成フォーム である。ここでは,データベースするユーザディレクト リの. とパスワード,作成ファイル名,得点入力時に. 必要なファイルアクセスパスワード,最後に,診断デー. 図. 図. 新規ユーザの登録. ユーザディレクトリの作成確認画面. 図. データ入力システムの初期画面.
(5) 杵淵. 信・浅見. 信彦・鳥居. タの生徒数と問題数を代表者が入力しファイルが作成の 準備が完了する。その後図. の成績入力フォームに移動. し,成績データの生徒番号とテストの得点データを入力. 隆司・安藤. 明伸・紺谷. 正樹. ファイルアクセスのためのパスワード,. 行目に生徒数. と問題数, 行目以降,アクセス入力完了順にデータが 各行ごとに保存される。データは,. 列目に生徒番号,. 列目以降,問題番号順に正答・不正答の情報が“. する。 本 研 究 で は , デー タ フ ァ イ ル の 形 式 と し て , (. ) を用いた。これは,データベー. ”. と“ ”で入力されているのがわかる。 一括入力の場合も同様に,データを入力するための とパ. スソフトや表計算ソフトのデータをファイルとして保存. ファイル情報すなわち,ユーザディレクトリの. するフォーマットのひとつで, それぞれの値がカンマ (,). スワード,ファイル名,生徒数,問題数をファイル情報. で区切られているテキストファイルである。テキスト. として入力した後,ファイルが作成され,以下にある図. ファイルは基本的にすべてがキャラクタコードからなる. の よ う な デー タ 入 力 フ ォー ム へ と 移 動 す る 。 こ の. ので,実行ファイルが直接アクセスすることができるの. フォームには,指定した生徒数,問題に適したフォーム. で扱いやすい。また,各データがカンマで区切られてい. が用意される。オペレータはそこへ全てのデータをキー. ることは,プログラムを作成するうえで都合がよく,さ. ボード入力する。. などの汎用. らに,このアォーマットは. によるデータファイル入力システム. スプレッドシート・プログラムで容易に編集可能という. この方法は前項で述べたように,予め規定されている. 特徴がある。 サーバに作成されたファ 図 は実際に,データ入力後,. フォーマット形式にデータファイルを作成し,. プ. イルの内容を,汎用のスプレッドシートアプリケーショ. ログラムによって,それをサーバに転送しデータベース. )で表示したものである。作成され. する方法である。データファイルの規定は以下の通りで. ン(. た入力ファイルの中は,. 行目にデータベースを行う. ユーザディレクトリへのサーバ内フルパス,. ある。. 行目に. 図. 図. 作成されたデータファイルの一例. ファイル作成フォーム. 図. 成績入力フォーム. 図. データ入力の確認フォーム.
(6) インターネットを利用した学習診断システムの開発. ファイル形式は. ファイルとする。. ザディレクトリの初期ページへ移動する。図. はその実. 行目に生徒数,問題数を順に入力する。. 行画面である。図 にある通りここではユーザディレク. 行目以降はテストの得点データを生徒ごとに順. トリ内に蓄積されているデータの一覧を参照することが できる。同図は 件のデータが既に登録されていること. に入力する。 得点データは,最初に生徒番号を入力し,その後, 各設問の正誤得点を入力する。. 表作. を示している。また,各データファイルには,. 成ボタンが表示されており,これをクリックすることに. 生徒数,問題数の最大サイズは,両値とも最大 件とする。. 表が作成される。図. よって同一の名称で された. 表の一例を示す。. 図中の太線で示したものが ユーザディレクトリ管理システム. に作成. 曲線と. 曲線であり,. ホームページ上では色分けして表示する。また,表中の. このシステムは,各ユーザに割り当てられたディレク. 右上に,差異係数. 値が表示され,各生徒には注意係. トリ内にデータベースされた情報をもとに,データの参. 数が表示されている。注意係数はその値によって色分け. 照,データ処理・診断結果の表示を行うシステムである。. されていて灰 黄. 本研究で開発した授業診断. システムは. 分析法の手法を採用し,インターネット上で. 赤の順に注意度数が増加するように. 表授業. なっている。図中には,各問題に対する注意係数は表示. 表を. されていないが,ページ下部に表示されており色分けが. 参照することが可能となっている。. なされている。. エントリポイントのページからユーザ認証ページへ移 動し,登録してある. とパスワードを認証して,各ユー. .結. 言. 本研究で,テストの得点一覧を取得し,それを 表分析報の手法で処理し. 上で表示する学習診断が. 可能となった。現在,北海道内中学校 約 件の診断(生徒の延べ人数で. 校の協力を得て, 人)のデータが,. 小規模ながらデータベースとして存在している。 今後, これを利用した実践的研究を進め, 学校の所在・ 教室規模にかかわらない普遍的教育情報の共有化を研究 課題とする必要がある。 図. 作成したデーダースの一覧表示. 参考文献 )佐藤隆博. 表の作成と解釈,明治図書,. )朝田彦雄,飯島武志 経済新聞社, ). 教師のパソコン活用法,日本. ,. 教育とマイコン. )宇都宮敏男,坂本. 月号,学習研究社, 講座教育情報科学. データ分析,第一法規出版,. 図. ホームページ上に表示された. 表. ,. ,. ,. 教育と.
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