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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 米 積 昌 克      学  {tL 論  SC 題 名

Detection of AP12‑h/IALTl chimaeric geneln extranodal        and nodal marginal zone B cell lymphoma by reverse transcription‑polymerase chain reaction (PCR)         and g    }mic lor    tnd accurate PCR analyses        (    genorr.   ong an

(PCR 法を用いた,節外性・節性marginal zone リンパ腫における     AP12‑MALT1 融 合 遺 伝 子 の 発 現 に つ い て の 研 究 )

学位論文内容の要旨

  MALTリンパ 腫(mucosa‑associated lymphoid tissue lymphoma)は1983年Isaacsonらにより提 唱 され 、 現在REAL分 類にて節 外性marginal zoneリン パ腫に分 類されて いる。Helicobacter pylori胃炎や 自己免 疫疾患を 背景に 持つこと が多く 、早期の 段階では 病変は局所にとどまり 予 後良 好 な 疾患 で あ る。t(11;18)転 座がMALTリン パ腫に 特徴的な 染色体 異常とさ れていた が 、 最 近 の 研 究 の 結 果 、 こ の 転 座 に よ っ て ア ポ ト ー シ ス 抑制 遺 伝 子の ー つ であ るAPI2 (apoptosis inhibitor2)と、新規遺伝子であるMALTl (mucosa‑assoaated lymphoid tissue lymphoma translocation genel)が融合遺伝子を形成していることが判明した。API2はIAP(inhibitor of apoptosis)遺伝 子ファミ ルーの ーつであ り、3つのBIR (baculovirus IAP repeat)ドメインと CARD (caspase recrultment domain).RINGフィンガードメインを持ち、‑ BIRドヌインがアポ ト ーシ ス 抑 制に 重 要 であ る と され て い る。MALT1は 最 近カ ス パー ゼ遺伝子 ファミ リーと相 同部位を持つことが判明したが、その機能はまだ解明されていない。

本 研 究 で はRT‑PCR法 を 用 い 、MALTリ ンパ 腫 ・ 節性marginal zoneリ ンパ 腫 ・ 節 外性 び ま ん性 大 細 胞型 リ ン バ腫 多 数 例に おい て、API2‑MALT1融合遺伝 子の発現 頻度を 検討した 。 ま た genomic DNAを 用 い たlong and accurate (LA)‑PCR法 の 確 立 を 試 み た 。

【方法と結果】

  対 象 と し て 、 過 去10年 間 に 診 断 され たMALTリ ン パ腫95例、 節 性marginal zoneリン パ 腫9例 ・ 節 外性 び ま ん性 大 細 胞型 リ ン パ腫16例 の凍 結 保 存検 体 を用いた 。組織 学的診断 は REAL分 類に 従 っ てな さ れ た。Total RNAを グ アニ ジ ン イソ チ オシ アネー ト法によ って凍結 検 体 か ら 抽 出 、 逆 転 写 酵 素 を 用 い てcDNAに 変 換 し 、RT‑PCRを30サ イ ク ル施 行 し た。 反 応 液の 一 部 をア ガ ロ ース ゲ ル を用 い て 電気 泳 動 を 行い 、 エ チジ ウムブロ マイド によりDNA バンド を染色し 融合遺 伝子の有 無を判 定した。 次に、 得られた バンドか ら融合遺伝子を抽出 し 、直 接 シ ーク エ ン スを 行 い 塩基 配 列 を決 定 し た 。ま た 、API2.MALT1両者 のエクソ ンイ ン ト 口 ン 構 造 か ら プ ラ イ マ ー を設 定 し 、検 体 のgenomic DNAを 用 いてLA‑PCRを施 行 、 同

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様に融合遺伝子の有無を判定した。

  RT‑PCR法 に よ っ て 、MALTリン パ 腫95例 中17例 (17.9%)に お いて 融 合 遺 伝子 が 検 出さ れ、 そのパン ドの長 さはサンプル間で異なっていた。また、リンパ腫の原発臓器別で見ると、

胃原発例では43例中5例(11.6%)、肺では16例中10例(62.50/0)、腸では2例中2例が陽性で あ っ た。 一 方 、唾 液 腺 原発 の6例、 甲 状 腺12例 、 眼窩15例、 皮 膚1例 に お いて は 融 合遺 伝 子 は 検出 されなか った。 同様に節 性marginalzoneリ ンパ腫9例・節 外性び まん性大 細胞型 リ ン パ 腫16例 でも 発 現 は認 め ら れな か っ た 。シ ー ク ェン ス 解 析では 、転座 切断点の 異なる5 種 類 の融 合 遺 伝子 が 検 出さ れ た 。全 ての融合 遺伝子はinframeで 結合し ており、AP12のBIR ドメイン・MALTlのcaspase−hkedomamが保たれていた。

  LA‐PCR法 で は、4通 りの プ ラ イ マー の 組 み合 わ せ を用 い るこ とによ って、RT‐PCR陽 性 例 に おい て1例を 除 く 全例 で 融 合遺 伝 子 の バン ド が 検出 さ れ た。RT‐PCR陰性 の12例 で も LA‐PCRを 施行し たが、全 てのプラ イマー の組み合 わせで 融合遺伝 子は認 められな かった。

【考察】

  我々 は 今 回、DNAレ ベ ル でもAP12‐MALT1融 合遺 伝 子 が検 出 できるLA‐PCR法 を確立 し、

その感度は94.1%(16/17)であった。RT‐PCR法単独では、融合遺伝子のサイズの種類が限ら れ て いる ため、RNA、の 混入によ る偽陽 性が完全 には否 定できな い。今回 の検索 では、ケ ー ス1か ら9の サ ン プ ル でRT‐PCR法 にて 同 サ イズ の パ ンド が 認 めら れ た が、genomicDNAを 用しゝた.LA‐PCR法で異なるサイズのパンドが得られたことから、これらは真に各々の検体由 来 の 融合 遺 伝 子で あ る こと が 示 され た。また 、今回のLA.PCR法では2組の プライマ ーの組 み 合 わせ に よ って ほ と んど の 検 体で 融 合 遺 伝子 が 検 出可 能 であ った。本 法はRNA抽出が 必 要 なRT・PCR法よ り簡便に 、また内 視鏡生 検で得ら れるよ うな微小 な検体 からでも 融合遺伝 子を 検索する 事が可 能であり、臨床的に有用と考えられた。また我々を含む最近の報告では、

AP12_MALTl融合 遺伝子が存在する胃MALTリンパ腫症例では、〃ピん舶6ロcセ′剛°′fの除菌 療 法 に不 応 性 であ る こ とが 示 さ れて お り 、 本転 座 の 検索 はMALTリ ンパ 腫 の 診断 や 治 療方 針決定の際にも有用であると思われる。

  また 今回 は、AP12‐MALTl融合 遺伝子 の頻度を 検索し た中では 最も多 数例での 報告でも あ る 。 本転 座 の 頻度 は 、 同じMALTリ ン パ 腫の 中 で もそ の 発 生す る 臓 器に よ っ て明 ら か に異 なり、特に肺由来のりンパ腫で高いことが示された(肺:その他=62,5%:8.9%、pく0,0001)。

これ までのい くつか の報告で は、融 合遺伝子 の検出 にFISH、RT‐PCR、nes忙dRT‐PCR、リア ル タ イムRT−PCRとい っ た 様々 の 方法 が用いら れてい る。我々 と同様のRT‐PCR法を用い た Remsteinらの報 告でも、 本融合遺 伝子はMALTリンパ 腫全体で21%であ り、肺由 来で440/。

と 我 々 と 同 様 の 傾 向 が あ っ た 。こ の 結 果 は、 肺 原 発MALTリ ン パ 腫がAP12‐MALTl融 合遺 伝 子 の存 在 と 密接 に 関 連し て お り、 ま たMALTリ ンパ 腫 が 遺伝 子 学 的に 異 な る背 景 を 持っ た疾患群であることを示唆している。

  AP12‐MALTl融合遺伝 子がりン パ腫の 発生・進 展にど う関与し ている かの詳細 は現在の と こ ろ 不明 で あ る。 細 胞 への 遺 伝 子導 入 実 験 によ り 、AP12.MALTl単独 では起 こらない 転写 因 子NF‐KBの 活 性 化をAP12‐MALTl融 合遺 伝 子 が引 き 起 こす こと が最近 報告され た。こ の 実 験 系で はMALTlのcaspase_likedomainがNF−KB活性 化 に 必須 であるが 、今回RT‐PCR法 で 同 定さ れ た 融合 遺 伝 子5種 類 全て におい てこのド ヌイン が保たれ ていた 。AP12 MALTl融

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合遺伝子は NF‑KB を介したシグナル伝達機構を乱す事により、アポトーシスを抑制する方 向に働き腫瘍発生に寄与するのかもしれない。

【結論】

MALT リンパ腫多数例において、API2‑MALT1 融合遺伝子の頻度をRT‑PCR 法にて検討した。

その頻度は MALT リンパ腫の発生臓器別に異なっており、肺由来のりンパ腫で特に高かっ た。また RT‑PCR 法とほぽ同様の検出感度を持つgenomic LA‑PCR 法を確立し、本融合遺伝 子 が DNA レ ベ ル で も 検 出 可 能 で あ り 、 臨 床 的 に 有 用 で あ る 事 を 示 し た 。

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学 位論文 審査の要旨 主査   教授   今村雅寛 副査   教授   浅香正博 副査   教授   小池隆夫

 Detection of AP12‑MALTl chimaeric geneln extranodal        and nodal marginal zone B cell lymphoma by reverse transcription‑polymerase chain reaction (PCR)          and g    Imic lor    Lnd accurate PCR analyses        (    genorr.   ong an      s

(PCR 法を用いた,節外性・節性marginal zone リンパ腫における     AP12‑MALT1 融 合 遺 伝 子 の 発 現 に つ い て の 研 究 )

  MALTリンバ腫(mucosa‑associated lymphoid tissue lymphoma)は、Helicobacter pylori胃炎等 の慢性 炎症を背 景に持 つことが 多く、早 期の段 階では病 変は局所にとどまり予後良好な疾患 である 。t(ll;18)転座がMALTリンパ 腫に特徴 的な染色 体異常 とされて いたが 、最近の研究 の結果 、この転座によってアポトーシス抑制遺伝子のーつであるAPI2 (apoptoslslnmbiめr2) と 、 機 能 不 明 の 新 規 遺 伝子 で あ るMALTl(mucosa‐associa忙dlymphoidtisSuelymphoma tr孤slocationgcnel)が融合遺伝子を形成していることが判明した。本研究ではR.T‐PCR法を 用い てAP12‐MALTl融合 遺 伝 子の 発 現 頻度 を 検 討し た 。 ま たgenomicDNAを 用いたlongand accufate(LA)一PCR法の確立を試みた。

  対 象 と し て 、MALTリ ン パ腫95例 、節 性margin出zoneリ ン パ腫9例 ・節 外 性 び まん 性 大 細 胞 型 リ ン パ 腫16例 の 凍 結 保 存 検 体 を 用 い た 。RトPCR法 に よ って 、MALTリ ンパ 腫95例 中17例(17.9%)において融合遺伝子が検出され、肺原発例で16例中10例(62.5%)と高率に 認めら れた。LA−PCR法 では、4通りの プライ マーの組 み合わせを用いることによって、RT・ PCR陽 性 例に お い て1例 を除く全 例で融 合遺伝子 のバン ドが検出 された。 本転座 の頻度は 、 MALTリ ンパ 腫 の 中で も 特 に肺 原 発 例で 高 い こと が 示 され 、 肺 原 発MALTリ ン パ腫がAP12― MALTl融 合 遺 伝 子 の存 在 と 密接 に 関 連 して い る こと が 示 唆さ れ た 。ま たLA―PCR法 はRNA 抽出 が 必 要 なRTIPCR法よ り簡便に 、また 内視鏡生 検で得 られるよ うな微 小な検体 からでも 融 合 遺 伝 子 を 検 索 す る 事 が 可 能 で あ り 、 臨 床 的 に 有 用 と 考 え ら れ た 。   口頭発表に当たり、副査の小池教授からは、t(ll:18)転座がこのりンパ腫で特徴的な異常で あるが それを遺 伝子レ ベルまで 検索する 意味合 いについ て、また肺由来に頻度が多い理由に ついて 質問があ った。 申請者は 、染色体 レベル で共通し た異常でも遺伝子転座としては異な った 異 常 で ある 可 能 性が あ る こと を 同 じ18q21上 に 存在 す る 遺 伝子bcl‐2とMALTlを例 に

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挙げて説明し、また肺では他の臓器に比し MALT リンパ腫の発生母地として慢性炎症の関 与がはっきりせず、融合遺伝子の頻度の違いに関連している可能性について述べた。副査の 浅香教授からは、他の報告での本融合遺伝子の頻度と、転座の有無と病理所見との相関、ま たH.pylori 以外にりンパ腫に関わる抗原刺激因子があるかといった質問があった。申請者は、

他にも肺由来MALT リンパ腫で本融合遺伝子が高率に認められている報告があること、本 融合遺伝子陽性のMALT リンパ腫では比較的均一な小リンバ球から形成されるlow‑grade type が多いこと、また MALT リンパ腫と橋本病・シェーグレン症候群といった自己免疫疾患と の関連について述ぺた。主査の今村教授からは、節性と節外性でのmarginal zone lymphoma の相違、転座切断点による病像の変化について、また本転座陽性例の付加染色体異常の有無 について質問があった。申請者は、少なくとも本融合遺伝子陽性 MALT リンパ腫は遺伝子 学的に独立した疾患単位としてよいと考えられるが、本融合遺伝子陰性MALT ルンパ腫と 節性marginal zone lymphoma の遺伝子学的背景については更なる検索が必要であること、本 研究では転座切断点による臨床像の違いは明らかでないこと、この転座はほとんどの例で単 独の 異 常 として 認められ 、腫瘍機 序に密接に 関連する と予想さ れること を述べた 。    本研究は、一つの疾患単位にまとめられているMALT リンパ腫が、遺伝子学的には発生 機序が異なる疾患群である可能性を明らかにした点で高く評価される。また今後本融合遺伝 子の具体的な分子学的機能の解明が期待され、本研究はその基礎デ一夕となるものである。

   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併 せ申 請 者 が博士 (医学) の学位を 受けるのに 充分な資 格を有す るものと 判定した 。

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参照

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