• 検索結果がありません。

学位論文審査の要旨 主査

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文審査の要旨 主査"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

     博 士 ( 水 産 学 ) 松 村 一 弘 学 位 論 文 題 名

ホタテガイ垂下養殖施設用空気式浮沈装置に関する研究 学位論文内容の要旨

  1965年 に殻 長3cm以 上 の 種苗 が 生産 で き る採 苗 技 術が 開 発さ れ ,1968年頃 か らホ タテガイ(Patinopecten yessoensis,JAY)の垂下養殖が始まった。集約的な海面養殖のーつ として1970年代から東北と北海道を中心に発展した。

  こ の養殖の ホタテガ イの成育 に影響を与 える大き な要因は ,水温や 飼料生物等を考 慮 したホタ テガイを 養成する水深である。この水深は垂下養殖施設(以下,施設)に取 り 付けられ た浮子で 保持され ている。し かし,施 設はホタ テガイの 成長や付 着物の増 加 により沈 降するた め,養殖 期間中の養 成水深を 維持する には,ホ タテガイ を垂下し て いる海中 の幹綱に ,重量増 加に見合っ た浮子を 付加する 水深調節 作業を頻 繁に行う 必 要がある 。この作 業は幹綱 を引き上げ 作業船の 舷側に固 定し,船 縁から身 を乗り出 し て中腰の 姿勢で幹 綱に浮子 の取り付け を行う重 労働であ る。特に ,荒天時 に作業船 が 揺れると 作業者の 海中転落 等の危険を 伴う。さ らに,作 業過程で ホタテガ イを海面 付 近に引き 上げるた め,夏場 にはホタテ ガイの成 長が阻害 される23℃ 以上まで表層水 温が上昇すると,長期間管理作業ができない場合がある。

  一 方,施設 は各漁場 の生産条 件に合わせ て種々の 様式が実 用化され ,施設の構造や 係 留特性等 に関する 研究も行 われている 。しかし ェホタテ ガイを最 適な養成 水深に保 持 し,上述 の問題を 解決する ことを目的 とした研 究は現在 のところ 見受けら れない。

  本 研究は, 従来行わ れていた 浮子を追加 すること による水 深調節方 式に替えて,幹 綱 を舷側ま で引き上 げる必要 の無い水深 調節装置 を開発し ,当該作 業の省力 化と安全 性の向上を実現しようとするものである。

【従来の水深管理方式の調査と新方式の提案】

  施 設の構造 や水深管 理作業の 内容につい て,北海 道噴火湾 森町で調 査を行った。調 査 結 果 は 施 設 を5基 所 有 す る 平 均的 漁 家 で示 す 。1基当 た り の垂 下 重 量は , 初期 約

(2)

23,520Nが11ケ月後の収穫期には約94っ160Nになる。この間垂下重量の増加に伴い,適宜 約260個の 浮子 (外 径390mm)を順 次追加取り付けし,施設の水深を―・定に維持をして いる 。漁 港か ら施 設の往 復時 間を 除く,浮子]個を取り付けに要する作業時間は約8分 で あ る 。 その う ち 幹 綱 を 舷 側 に 固 定 す るのに 約6允浮 子の 固定 に約1分, 舷側 から 幹 綱を 解放 する のに 約1分 であ る。 このことから,水深管理に要する年間作業時間は延べ 約170時 間で ある こと が判 った 。浮 子の 個数に 比較 し作 業時 間が 長い 理由 は, 作業 ご とに 幹綱 を舷 側に 固定す るこ と, 浮力 調整 箇所 が施 設内 に散 在すること等による。以 上の 調査 結果 に基 づき, 浮カ を遠 隔操 作す るこ とで 幹綱 の引 き上げを省き,舷側から 身を 乗り 出さ ない 作業方 法を 考案 した 。こ の作 業に は浮 子に 変わる水深調節装置が必 要となった。

  海 中懸 架物 に浮 体を取 り付 け, その 浮カ を制 御す るに は, 硬式浮体の例として鋼鉄 製の 箱や 簡を 浮体 とし浮 体内 の圧 気量 を変 える 方法 ,軟 式浮 体の例としてホースを沿 わせ て中 の圧 気量 を変え る方 法等 があ る。 前者 は重 量や 可搬 性の取り扱いに問題があ り, 後者 は幹 綱が 海象条 件に よっ て高 低差 がで きる と, 気体 の性質上,端部まで圧気 を注 入し たと きに 行き渡 らな い等 の問 題が ある 。こ れま での 知見から新方式の作業に 適し た水深調節装置は見あたらなかった。そこで,新たに装置を開発することにした。

  開 発す る装 置の 構成を 浮体 部と その 浮体 の浮 力制 御部 に分 け検討した。その結果,

幹綱 に取り付ける浮体部は,浮カを変えられる可搬性と収納性を考慮した浮体とした。

また ,浮力制御部は空気供給機を船上に設置し,浮体内の圧気を「増加,保持,減少」

す る 機 能を ,流水 抵抗 を考 慮し1本 のゴ ムホー スで 実現 する ため ,浮 体内 に圧 力作 動 型弁である水深調整弁を取り付けることにした。

【浮力制御部】

  浮 力制 御部 は, 船上の 空気 供給 機と 浮体 内に 取り 付け 遠隔 制御される水深調整弁,

両者を連結する一本のゴムホースで構成されている。

  空 気供 給機 は船 上に設 置し て, 低圧 また は高 圧の 空気 を供 給することによって,水 深 調 整 弁を 遠隔制 御す る機 能を 持っ 。水 深調 整弁 は内 部に プラ ンジ ャとス プー ルの2 つの 弁を 持つ 。プ ランジ ャは 低圧 空気 が供 給さ れる と作 動し ,浮体内の圧気量を増加 させ ,ス プー ルは 高圧空 気が 供給 されると作動し,浮体内の圧気量を減少させ,空気I 供給 がな いと きは 浮体空 気量 を保 持す る機 能を 持っ てい る。 ゴムホースは制御媒体で ある圧縮空気を伝える機能を持つ。

    ー236一

(3)

  浮力 制御 部の動 作確 認は ,水 深相 当の 外カ を水深調整弁に与えをがら空気を供給し た 。 設 計 範 囲 で あ る 水 深0‑‑ 30mで 水 深 調 整 弁 が 所 定 動 作 す る こ と を 確 認 し た。

【浮体部】

  浮体 部は 可搬性 と収 納性 を考 慮し ,軟 式材 料で底部が解放されている開放型軟式浮 体(以下,エアバッグ)を用いるニとにした。しかし,エアバッグは水圧で内部空気圧が 変 化す ると 同時に 空気 体積 が増 減し ,浮 カが 変わる水深依存性を併せ持っている。こ の ため ,従 来から 用い てい る浮 子と は全 く異 なる浮力特性を示す。海域や懸架物等の 特 性に 合わ せた制 御や 設計 のた めに ,特 に鉛 直方向に運動するエアバッグの浮力特性 と ,運 動抵 抗に関 わる 浮体 形状 の関 係に つい て,相似模型を用いた水槽実験から明ら かにし,その係留特性について解析をした。

浮 力 特 性 と 水 中 形 状 エア バッ グの 浮力 ,形 状等 の特性 にっ いて 相似 模型 を用 いた 実 験 と解 析か ら求め た。 その 結果 ,水 深に 依ら ずエアバッグ形状は内部空気量によって 一 意に 決定 でき, 任意 水深 にお ける 浮カ と形 状は,ある時刻のエアバッグ内の空気量 に よっ て推 定可能 なこ とが 判っ た。 また 、浮 カを可変できる硬式浮体は形状が不変で あ るた め, 空気量 の増 減に 従い 浮体 内の 水量 も増減し、無浮力状態での浮体内の水量 は 容積 比で100% ,最 大浮 力状 態で0%と なる 。それに対し,エアバッグは形状および 浮 体内 の水 量は空 気容 積が 最大 浮力 状態 容積 の45%近傍を境として変化する特性を示 した。

運 動 特 性 と 係 留 特 性 縦型 の大 型水 槽内 でエ アバ ックの 相似 模型 を鉛 直方 向に 正弦 加 振し,このときの浮カと内水面の変化から,各流体力係数の算出を試みた。この結果,

全 模型 にお いて応 答周 期は 加振 周期 より1/4波 長分 の位 相範 囲内 で変 動し たが,基本 周 期に 変化 は見ら れず ,浮 体が 満気 状態 にな るにっれて各種流体力係数は球形浮体の 値 に 近 付 い た 。 し か し , 抵 抗 係 数 は全 模 型 に わ た っ て 大 き な ば ら っ き を 示 し た 。   係留 状態 に大き な影 響を 与え る幹 綱端 点ま わりのカ学的平衡について,等価的球形 浮子と比較しながら,鉛直方向に運動するエアバ

ッグの相平面解析を行った。その結果,垂下物重 量の増加に伴ってエアバッグの水深が深くなると,

浮カの水深依存性が強く現れ,等価浮子と比較し 平衡水深が深くなることを示した。

(4)

【 浮 沈 装 置 の 開 発 結 果 と 実 海 域 試 験 】 空 気 式 浮 沈 装 置f娟 発 した 空気式 浮沈 装置 を図1 に 示す 。水 槽内にエアバッグがほぼ水深1.5inを 保っように設麗し,空気供給機でエアノくッグの浮

1.ボンベ,2.空気供給機,3.ゴムホース 4.エアバック,5.補助浮体,6.開放部,

7‥ 三角環,8.水深調整弁,9.カプラ,

10.水深調節対称物

カの 増減 と保持 の実 験を 行っ た結 果, 浮カ の増 加は 約8N/sec,浮カの減少は約SN/sec で, 各機 器の動 作を 確認 でき た。

耐 久 性と 機 能 の 試 験 北 海 道 噴 火 湾 と 青 森 県 陸 奥 湾 で4個 の エ ア バ ッグ を施 設の 一部 に設 置し ;8ケ 月間 の耐 久性 と機能の試験を行った。作業者には浮力調整の度に動作確 認 を し 、 作 業 日 報 に 作 業 時 間 等 に 関 す る デ ー タ を 記 帳 す る よ う 依 頼 し た 。   こ の結果 ,期 間中 の記 録か ら浮 沈装 置を 用い ると1箇所 当た りの 水深 調節 時間 は約 3分 と なり ,作 業時 間の 短縮 は60%程度 であ った 。作 業状 態は ,立 った まま の姿 勢で 片手 で浮 沈装置 を操 作し てい た。 垂下 物の 重量 変化 に対 する充分な水深調節機能を具 備 す る こ と と , 長 期 間 に わ た る 使 用 上 の 耐 久 性 の 碓 認 も で き た 。 実 用 規 模 の 試 験 青 森 県 陸 奥 湾 で 同 規 模 施 設を2系 統 準 備 し ,1基 は 水 深 調 節 を20個 のエアバッグを設置し(新方式),他の1基は従来方式で行う試験を5ケ月間実施した。

それ ぞれ の作業 内容 を作 業者 に日 報に 記載 して もら い, 両者間での作業と,ホタテガ イの 成育 効果の 違い につ いて 検討 した 。

  新 方式 では浮 沈装 置を 操作 した延べ回数は32回で,作業時間は延べ160分であった。

一 方 ,従来 方式 の施 設で は追 加浮 子総 数は40個 で, 作業 時間 は延べ250分で あっ た。

この 結果 ,作業 時間 の短 縮は34% 程度 であ るこ とが 判っ た。記録から浮沈装置の操作 に 手 間取っ たと きの 作業 を除 き作 業時 間を 比較 する と, 作業 時間の 短縮 は約52%であ るこ とが 判明し た。 ホタ テガ イ成 育調 査結 果か ら, 従来 方式と新方式との有意な差は 認 め ら れ ず , エ ア バ ッ グ に よ る 垂 下 は 従 来 方 式 に 比 し て 問 題 は な か っ た 。

【実 用性 と応用 展開 】

  浮 沈装 置は幹 綱を 引き 上げ ずに ,施 設の 垂下 物の 重量 変化に対し充分な浮カを維持

(5)

することができ,作業時間が大幅に短縮でき省力化効果も認められた。ホタテガイの 垂下式養殖の浮力調節装置として十分実用性があるものと考えられる。また,船体に 係留 カが 作用 しな いので 小型 の作 業船 でも十 分利 用可 能であると判断された。

  浮沈装置はホタテガイの垂下養殖の他に,コンブの垂下式養殖や深度の大きい養殖 生け簀の水深保持と浮沈にも応用可能である。また,浮上沈降機能を利用すれば,底 建 定 置 網 の 網 起 こ し や 海 洋 構 造 物 の 移 動 ・ 設 置 へ の 応 用 が 考 え ら れ る 。   簡単に浮力調節ができる浮沈装澄ではあるが,今後様々な使用条件で広範囲に利用 されるには,浮体部の波に対する応答特性と設計変数の感度解析を行い,係留安定領 域とその条件を明かにする必要がある。また,浮力制御部に関しても圧縮空気の管路 流れをrI]心とした応答解析が課題である。

(6)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

橋 本    忍 梨 本 勝 昭 見 上 隆 克 山 下 成 治

学 位 論 文 題 名

ホタテガイ垂下養 殖施設用空気式浮沈装置に関する研究

1965年 に 殻 長3cm以 上 の 種 苗 が 生 産 で き る 採 苗 技 術 が 開 発 さ れ 、1968年 頃 か ら ホ タ テ ガ イ(Patinopecten yensisJaY)の 垂 下 養 殖 が 始 ま っ た 。 集 約 的 な海 面 養 殖 のー っ と し て 1970年 代 か ら 東 北 と 北 海 道 を 中 心 に 発 展 し た 。 こ の 養 殖 の ホ タ テ ガ イ の 成 育 に 影 響 を 与 え る 大 き な 要 因 は 、 水 温 や 、 飼 料 生 物 等 を 考 慮 し た ホ タ テ ガ イ を 養 成 す る 水 深 で あ る 。 こ の 水 深 は 、 垂 下 養 殖 施 設 ( 以 下 、 施 設 ) に 取 り 付 け ら れ た 浮 子 で 保 持 さ れ て い る 。 し か し 、 施 設 は 、 ホ タ テ ガ イ の 成 長 や 、 付 着 物 の 増 加 に よ り 沈 降 す る た め 、 養 殖 期 間 中 の 養 成 水 深 を 維 持 す る に は 、 ホ タ テ ガ イ を 垂 下 し て い る 海 中 の 幹 綱 に 、 重 量 増 加 に 見 合 っ た 浮 子 を 付 加 す る 水 深 調 節 作 業 を 頻 繁 に 行 う 必 要 が あ る 。 こ の 作 業 は 幹 綱 を 引 き 上 げ 作 業 船 の 舷 側 に 固 定 し 、 船 縁 か ら 身 を 乗 り 出 し て 中 腰 の 姿 勢 で 幹 綱 に 浮 子 の 取 り 付 け を 行 う 重 労 働 で あ る 。 特 に 、 荒 天 時 に 作 業 船 が 揺 れ る と 作 業 者 の 海 中 転 落 等 の 危 険 を 伴 う 。 さ ら に 、 作 業 過 程 で ホ タ テ ガ イ を 海 面 付 近 に 引 き 上 げ る た め 、 夏 場 に は ホ タ テ ガ イ の 成 長 が 阻 害 さ れ る23C以 上 に ま で 表 層 水 温 が 上 昇 す る と 、 長 時 間 管 理 作 業 が で き な い 場 合 が あ る 。 一 方 、 施 設 は 各 漁 場 の 生 産 条 件 に 合 せ て 種 々 の 様 式 が 実 用 化 さ れ 、 施 設 の 構 造 や 係 留 特 性 等 に 関 す る 研 究 も 行 わ れ て い る 。 し か し 、 ホ タ テ ガ イ を 最 適 な 養 成 水 深 に 保 持 し 、 上 述 の 問 題 を 解 決 す る こ 。 と を 目 的 と し た 研 究 は現 在 の とこ ろ 見 受 け ら れ な い 。 本 研 究 は 、 従 来 行 わ れ て い た 浮 子 を 追 加 す る こ と に よ る 水 深 調 節 方 式 に 替 え て 、 幹 綱 を 舷 側 ま で 引 き 上 げ る 必 要 の 無 い 水 深 調 節 装 置 を 開 発 し 、 当 該 作 業 の 省 力 化 と 労 働 安 全 性 の 向 上 を 実 現 し よ う と す る も の で あ る 。 施 設 の 構 造 や 水 深 管 理 作 業 の 内 容 に っ い て 、 北 海 道 噴 火 湾 森 町 で 調 査 を 行 っ た 。 調 査 結 果 は 施 設 を 5基 所 有 す る 平 均 的 漁 家 で 示 す 。1基 当 た り の 垂 下 重 量 は 、 初 期 約 23520N11ケ月 後 の 収穫 期 に は約94160Nにな る 。 この 間 垂 下重 量 の 増加 に 伴 い、

適 宜 カ の 増 減 と 保 持 の 実 験 を お こ な っ た 結 果 、 浮 カ の 増 加 は 約8N/s ec、 浮 カ の 減 少 は 約5N/secで 、 各 機 器 の 動 作 を 確 認 で き た 。

北 海 道 噴 火 湾 と 青 森 県 陸 奥 湾 で4個 の エ ア バ ッ グ を 施 設 の 一 部 に 設 置 し 、8ケ 月 間 の 耐 久 性 と 機 能 性 の 試 験 を 行 っ た 。 作 業 者 に は 浮 力 調 整 の 度 に 動 作 確 認 を し 、 作 業 日 報 に 作 業 時 間 等 に 関 す る デ ー タ を 記 帳 す る よ う に 依 頼 し た 。 こ の 結 果 、 期 間

(7)

中の記録から浮沈装置を用いると1個所当たりの水深調節時間は約3分となり、作 業時間の短縮は60%程度であった。作業状態は、立ったままの姿勢で片手で浮沈 装置を操作していた。垂下物の重量変化に対する充分な水深調節機能を具備する ことと、長期間にわたる使用上の耐久性の確認もできた。

青森県陸奥湾でど同規模施設を2系統準備し、1基は水深調節を20個のエアバッ グを設置し(新方式)他の1基は従来方式で行う試験を5ケ月問実施した。それぞ れの作業内容を作業者に日報に記録してもらい両者問での作業と、ホタテガイの 成育効果の違いについて検討した。

新方式では浮沈装置を操作した延回数は32回で、作業時間は延160分であった。一 方、従来方式の施設では追加浮子総数は40個で、作業時間は延250分であった。こ の結果、作業時間の短縮は34%程度であることが判った。記録から浮沈装置の操 作に手間取ったときの作業を除き作業時間を比較すると、作業時間の短縮は約 52%であることが判明した。ホタテガイ成育調査結果から、従来方式と新方式と の有意按差は認めちれず、エアバッグによる垂下は従来方式に比して問題はな かった。

浮沈装置は幹綱を引き上げずに、施設の垂下物の重量変化に対し充分な浮カを維 持することができ、作業時間が大幅に短縮でき省力化効果も認められた。ホタテ ガイの垂下式養殖の浮力調節装置として十分実用性があるものと考えられる。ま た、船体に係留カが作用しないので小型の作業船でも十分利用可能であると判断 された。

浮沈装置はホタテガイの垂下養殖の他に、コンブの垂下式養殖や深度の大きい養 殖生け簀の水深保持と浮沈にも応用可能である。また、浮上沈降機能を利用すれ ば、 底建定 置網 の網 起し や海洋 構造 物の移動・設置への応用が考えられる。

本研究を進めるに当たり申請者が特に留意した点は、(1)機械装置の取り扱いに不 慣れな作業者によっても容易に扱える操作の単純化、および、(2)誤操作において も回復が容易なように施設が常に浮上状態を保つフェイルセイフ機能を有する事、

(3)装置が小型軽量で小型船に搭載が用意であり、かっまた、(4)装置駆動に別途 エネルギー源を必要とせず、高圧空気ボンベのみを搭載すれぱ良いように空気調 節弁の制御も空気圧の変化により行うように全く新しく考案した装置を採用して いる。これらの方法はホタテガイの垂下式養殖の水深管理に実用性のある機械化 手法を与えるばかりでなく今後様々な水産業の省力化に寄与する手法となり得る ものと考えれれる。

今後様々な使用条件で広範囲に利用されるには、浮体部の波に対する応答特性と 設計変数の感度解析を行い、係留安定領域とその条件を明らかにする必要がある。

また、浮力制御部に関しても圧縮空気の管路流れを中心とした応答解析が課題で ある。以上のように、今後更に広範囲の応用を考えるとき残された課題も散見さ れるが、本研究課題である「ホタテガイ垂下養殖施設用空気式浮沈装置に関する 研究」としてはおおむね総ての検討項目を網羅しかつ、実用性についての検討を もなしおえたものである。上記の各点から、審査員一同は、申請者が博士(水産 学)の十分の資格があるものと判断した。

参照

関連したドキュメント

方式で 45 ~ 55 %、積上げ方式で 35 ~ 45% 又は純費用方式で 35 ~ 45 %)の選択制 (※一部例外を除く)

災害発生当日、被災者は、定時の午後 5 時から 2 時間程度の残業を命じられ、定時までの作業と同

※調査回収難度が高い60歳以上の回収数を増やすために追加調査を実施した。追加調査は株式会社マクロ

子どもの学習従事時間を Fig.1 に示した。BL 期には学習への注意喚起が 2 回あり,強 化子があっても学習従事時間が 30

操作は前章と同じです。但し中継子機の ACSH は、親機では無く中継器が送信する電波を受信します。本機を 前章①の操作で

2012年11月、再審査期間(新有効成分では 8 年)を 終了した薬剤については、日本医学会加盟の学会の

通所の生活介護事業(兵庫)の営業日数は256日で利用契約者数は55人であっ た。年間延べ利用者数は5 ,069人で利用率は99

鳥類調査では 3 地点年 6 回の合計で 48 種、付着動物調査では 2 地点年1回で 62 種、底生生物調査で は 5 地点年 2 回の合計で