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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 吉 本 充 宏

    学 位 論 文 題 名

Volcanological study of 1640 eruption of Hokkaido     Komagatake volcano,Northern Japan

    ―Special reference to processes ofSeCtorC011apSe―     ( 北 海 道 駒 ケ 岳 火 山 1640年 噴 火 の 火 山 学 的 研 究     ― 特 に 山 体 崩 壊 の プ ロ セ ス と 発 生 原 因 に つ い て ― )

学位論文内容の要旨

  山体崩壊という現象は北米のセントヘレンズ火山1980年の噴火以来,数多 く認識されてきた.しかし,山体崩壊とその前後のマグマ噴火との関係およ ぴ原因が明らかになっている研究事例は少ない.本研究は駒ケ岳1640年噴火 を対象とし,特に山体崩壊に伴った火砕物重力流着目し,1640年噴出物を地 質学的岩石学的に検討し,それを基に噴火推移とマグマの挙動を明らかにし,

山体崩壊の原因を考察した.

  駒ケ岳は少なくとも32000年以前に活動を開始し,現在に至るまで主に軽 石噴火と山体崩壊を行ってきた.とくに17世紀以降の350年間には4回の軽 石噴火を起こしており,1640年噴火は5000年の休止期の後,歴史時代には いって初めてかつ最も規模の大きい噴火である.駒ケ岳1640年噴火は,はじ めに2方向に山体崩壊を起こし,それに伴って火砕物重力流を流下させた.

この火砕物重力流は含まれる本質物質の含有量から山体崩壊に伴うプラスト と弓Iき続いて噴煙を形成し,噴煙が崩壊したことによって発生したものとが 連続的に発生・堆積したものである.噴火は弓|き続き軽石噴火に至り,火砕 流,軽石噴火と推移していった.噴火前には,Si02量約57%,高温(1100

‑1150℃)の無 斑品質マグ マ(A−type)とSi02量約62%, 低温(910〜 940℃)で斑晶量40%前後のマグマ(P―type)の2っが存在し,噴火直前に 不均質な混合を起こし,山体に貫入した.貫入したマグマは均質化する前に 噴出した.マグマの混合割合は噴火が進むに連れてP−typeが増加する傾向に あり,引き続いた軽石噴火ではほとんどがP―typeとなった.この噴火では高 温の無斑晶質なマグマすなわち低粘性のマグマが山体に貫入したことが明ら かとなった.山体に貫入したマグマ量は0.002 kni3であり,これはセントヘ レンズ火山1980の場合のO. 11  krTi3(Moore andA|bee,1981)に比べて非

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常に少量である.これらのことは山体崩壊がすでにすべり面が発達した山体 で,山体の変形を伴わず,マグマの貫入が弓Iき金となって起こったことを示 唆する.

  マグマ噴火を伴う山体崩壊は従来,山体に高粘性のマグマが貫入し山体が 変形して崩壊起こすと考えられている.しかし他の火山の山体崩壊と比較し た結果,駒ケ岳1640噴火は典型的なマグマ噴火を伴う山体崩壊ではないこと が明らかとなった.この噴火は山体崩壊の主な要因が山体の変形ではなく,

滑り面の発達であると考えられ,マグマ噴火を伴う山体崩壊と水蒸気爆発に 伴うものとの中間的な山体崩壊であることが示された.本研究の成果はこれ までの山体崩壊の典型例とは異なる事例をマグマプ口セス及び噴火現象の両 方を詳細に記載し明らかにした点である.山体崩壊とそれに関与した噴火プ ロセスとの関係にっいて議論されている事例はセントヘレンズ火山1980噴 火,ベズイミア二火山1956噴火,磐梯山1888噴火しかなく,本研究は山体 崩 壊 発 生 プ ロ セ ス の 解 明 に 大 き く 寄 与 す る と 考 え ら れ る .

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学位論文審査の要旨 主査   教授   宇井忠英 副査   教授   岡田   弘 副査   助教授   新井田清信 副査   教授   佐藤博明

     (神戸大学大学院自然科学研究科)

     学位論文題名

Volcanological study of 1640 eruption of Hokkaido     Komagatake volcano , Northern Japan

‑ Special reference to processes of sector collapse ‑

  ( 北 海 道 駒 ケ 岳 火 山1640年 噴 火 の 火 山 学 的 研 究

― 特 に 山 体 崩 壊 の プ ロ セ ス と 発 生 原 因 に つ い て − )

  山 体 崩 壊 とい う現 象は北米 のセン ト人レン ズ火山1980年の噴火 以来, 数多く認 識され て き た. し か し ,山 体崩壊と その前 後のマグ マ噴火と の関係 および原 因が明 らかにな ってい る 研究 事 例 は 少な い,本論 文は北 海道駒ケ 岳1640年噴 火を対象 とし, 特に山体 崩壊に伴 つ た 火砕 物 重 力 流着 目し,1640年 噴出物 を地質学 的岩石 学的に検 討し, それを基 に噴火推 移 と マグ マ の 挙 動を 明らかに し,山 体崩壊の 原因を考 察する ことを目 的とし たもので ある.

  北 海 道 駒0岳 は 少 なく と も32000年 以 前 に活 動 を 開始 し , 現 在に 至 るま で主に軽 石噴火 と 山体 崩 壊 を 行っ て き た. と く に17世 紀以 降 の350年 間に は4回 の軽 石 噴火を起 こして お り ,1640年噴 火 は5000年の 休止期 の後,歴 史時代 にはいっ て初めて かつ最 も規模の 大きい 噴 火で あ る . 北海 道 駒 ケ岳1640年 噴 火は , はじめ に2方向に山 体崩壊 を起こし ,それに 伴 っ て火 砕 物 重 力流 を流下さ せた, 噴火は引 き続き軽 石噴火 に至り, 火砕流 ,軽石噴 火と推 移していった.噴火前には,Si02量約57%,高温(1100ー1150℃)の無斑晶質マグマ(A―type) Si02量 約62% ,低 温(900‑‑‑950℃) で 斑 晶量40%前 後 の マグ マ (Ptype)2っが 存 在 し, 噴 火 直 前に 不均質な 混合を 起こし, 山体に貫 入した .貫入し たマグ マは均質 化する 前に 噴出した .マグマ の混合 割合は噴 火が進 むに連れ てPtypeが増加 する傾 向にあり,引 き続 いた軽石 噴火では ほとん どがPtypeとな った,こ の噴火 では高温 の無斑 晶質なマグマ す なわ ち 低 粘 性の マグマが 山体に 貫入した ことが明 らかと なった. 山体に 貫入した マグマ 量は0 001 km3であり,これはセントヘレンズ火山1980の場合のO. 11 km3 (Moore and Albee, 1981) に 比べ て 非常に 少量であ る.こ れらのこ とは山 体崩壊が すでに すべり面 が発達し た

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山体で,山体の変形を伴わず,マグマの貫入が引き金となって起こったことを示唆する.

  マグマ噴火を伴う山体崩壊は従来,山体に高粘性のマグマが貫入し山体が変形して崩壊 起こすと考えられている.しかし他の火山の山体崩壊と比較した結果,本論文で明らかと なった北海道駒ケ岳1640噴火やShiveluch火山1964年噴火(Belousov,1995)は典型的なマグ マ噴火を伴う山体崩壊ではないことが明らかとなった.すなわちこれらの噴火は山体崩壊 の主な要因が山体の変形ではなく,滑り面の発達であると考えられ,マグマ噴火を伴う山 体 崩 壊 と 水 蒸 気 爆 発 に 伴 う も の と の 中 間 的 な 山 体 崩 壊 で あ る こ と が示 さ れ た .   著者は山体崩壊現象について詳細な地質学的な研究と岩石学的な研究を組み合わせるこ とによってマグマプロセス及び噴火現象の両方を詳細に明らかにした点で,山体崩壊を伴 う噴火の解明に貢献するところが大きい.

  よって著者は北海道大学博士(理学)の学位を授与される資格あるものと認める.

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参照

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