• 検索結果がありません。

補強材の付着すべりを考慮したコンクリート構造部材の

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "補強材の付着すべりを考慮したコンクリート構造部材の"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 工 学 ) 上 田 正 生

学 位 論 文 題 名

補強材の付着すべりを考慮したコンクリート構造部材の      カ学性状に関する理論的研究

学位論文内容の要旨

  本論文 は,既 往の 有限要 素解析 におい て多 用され ている ボンド ・リン クのような 数値計算上 のテク ニック とし てで 憾ナょ く,補強材とコンクリート間の付着すべり作用そのものを解析理論 に 直 接 組 み 入 れ た 場 合 の , コ ン クリ ー ト 構 造 部 材, 即 ち , @ 直線 配 筋 を 有 するRC棒 , 梁,

およ び 床 板 と ,◎ 曲 線 テ ン ドン を 有 す るPC梁 並 び に 床板 の た め の より適 用性の 広い 解析手 法 を確立 するた めに行 った 研究で ,全8章よ り構成 されて いる。

  第1章にお いては ,本研 究の 背景と 現状に っいて 述べ ,更に ,コン クリー ト構造 部材 の解析 手 法に関 する既 往の研 究を 概観し て問題 点を指 摘し, 本論 文の目 的と範 囲を定めて,研究の概要を 記述し ている 。

  第2章では ,コン クリー ト構 造にお ける, 補強材 とコ ンクリ ート間 の付着 すべり に係 わる問 題 のうち でも, 最も基 本的 な問題 である 。 軸 方向カ のみ を受け る鉄筋 コンク リ― ト棒部 材 の1 次元付 着すべ り解析 を行 うため の手法 にっい て論じ てい る。ま ず,コ ンクリート部分の変位,お よび 鉄 筋 と コ ンク リ ー ト間の 相対 変位を 基本独 立変数 に選ん だ場 合の,RC棒部材 のた めの全 ポ テンシ ァル. 工ネル ギー 汎関数 を求め ,変分 原理を 用い てこの 問題を 支配する基礎微分方程式を 導いて いる。 次いで ,こ こで得 た微分 方程式 を変形 する ことに より, 周知の 1次元基 本付 着方 程式 が容易 に導か れる ことを 示して,本解析手法の理論的位置付けを明らかにしている。また,

前掲の 全ポテ ンシァ ル・ 工ネル ギ一汎 関数に 基づき ,高 ・低次2種 の変位 関数を 用いて 有限 要素 法への 定式化 を行い ,数 種のモ デル試 験体の 数値計 算例 を掲げ て,両 要素解に及ぼす要素分割数 の影 響 を 調 ベ ,既 往 の 理 論 解と の 比 較 ・ 検 討に よ り 本 有 限要 素 解 の妥 当性を 検証し てい る。

  第3章 では , 第2章 で展 開した 鉄筋と コンク リ― ト間の 付着す べり問 題の ための 基本的 な考え 方を , 弾 性 領 域に あ るRC梁の 曲 げ の 問 題に 適 用 す る こと に っ い て 論じて いる。 まず ,補強 筋 とコ ン ク リ ー 卜間 の 付 着 す べり を 考 慮 し た 場合 の , 軸 カ と曲 げ を 受け るRC梁部 材の ための 微 小変形 理論に よる全 ポテ ンシァ ル・工 ネルギ 一汎関 数を 導き, この汎 関数と変分原理により従来

(2)

明らかにされ ていなかった「補強筋の付着すべりを厳密に考慮に入れた場合」のRC梁の基礎 微分方程式を誘導している。次いで,高次および低次の2種の変位関数要素を用いて有限要素法 への定式化を 行い,線形領域における数種のモデルRC梁の数値計算例を示して両解の精度を 比較・検討したのち,付着係数の大きさが梁の曲げ性状に及ぼす影響等を明らかにしている。

  第4章では ,補強筋とコンクリート間の 付着すべりを考慮した場合の,弾性領域にあるRC 床板の曲げに っいて論じている。まず,1)微小変形理論による「x,y直交配筋を有するRC 床板」のための全ポテンシァル・エネルギ―汎関数を求め,変分原理を用いて補強筋の付着す べりを考慮し た場合のRC床板の曲げを支 配する基礎微分方程式を導き,2)理論の適用範囲 を微小変形領域から幾何学的非線形領域にまで拡張して,有限変形理論に基づく「x,y直交配 筋を有するRC床板」のための基礎微分方程式を導いている。次に,これらの理論に基づき,

鉄筋の配筋方向が直交x,y2方向のみならず,任意の方向を有する場合をも取り扱い得るよう に拡張して有限要素法への定式化を行い,それぞれ微小変形理論,および有限変形理論による RC床板のための有限要素方程式を誘導している。最後に,以上で展開した両理論による有限要 素解析法を用 いて,2,3のモデルRC床板 の数値計算を行い,補強材の付着すべりが,それ ぞ れ の 領 域 に お け るRC床 板 の カ 学 性 状 に 及 ぼ す 影 響 に っ い て 明 ら か に し て い る 。   第5章では,テンドンとコンクリート間に付着すべりを考慮した場合の,曲線形状テンドンを 有するポストテンションPC梁部材の弾性曲げにっいて論じている。まず,テンドンの緊張カと 曲げを受ける曲線テンドンを有するPC梁の,微小変形理論による全ポテンシァル・工ネルギ―

汎関数を導き,テンドンの緊張時からグラウチング完了後の梁の挙動までを一貫して取り扱い得 るPC梁のための基礎微分方程式を誘導している。次いで,有限要素法への定式化を行い,原汎 関数に忠実に従う 厳密な有限要素方程式 と,近似仮定を導入した 簡略化有限要素方程式ご の2種を導い ている。最後に,ここで展開 した2種の有限要素解を用いて,2,3のPC梁の数 値計算例を示して両解の適合性を検証し,テンドンの曲線形,及び付着係数の大きさがPC梁の カ学性状に及 ばす影響,緊張力導入時の 解析例,等にっいて検討・考察をくわえている。

  第6章では,テンドンとコンクリート間に付着すべりを考慮した場合の、 曲線テンドンを有 するPC床板 の弾性曲げの問題にっいて 論じている。テンドンが直交するx,y2方向にそれ ぞれ滑らかな曲線を描いて配置されている場合の,微小変形理論によるPC床板の全ポテンシァ ル・工ネルギー汎関数を求め,変分原理を用いてPC床板のための基礎微分方程式を求めている。

次いで,前項の理論をより一般化するため,各テンドン層の配置方向が直交するx,y2方向の

(3)

パネル状に変化する「変厚床板」をも矛盾なく取り扱い得るように拡張して有限要素法への定式 化を行い,より適用性の広いPC床板のための有限要素方程式を導いている。最後に,我が国の 建築の分野では,その設計環境が殆ど未整備の状態にある フラットタイプのPCスラブ を取 り挙げ,数種のモデルスラブの数値計算例を掲げて,この種のPCスラブのカ学性状にっいて検 討・考察を加えている。

  第7章では,第2章から第6章までにおいて展開してきた 弾性領域 における,補強材の付 着すべりを考慮に入れたコンクリート構造部材のための有限要素解析法を,コンクルートの亀裂 や補強材の降伏を伴う 材料非線形領域 にまで拡張することを意図して,その最も基本的な問 題への拡張・適用を試みている。まず,鉄筋コンクリート構造部材における材料非線形付着すべ り問題の最も単純 な例として,軸方向カのみを受けるRC棒部材を対象にして,荷重の増大と とぁに,コンクリートに断続的に生じる亀裂と,これに伴う亀裂幅の拡大の様相を,計算を中断 することなしに連続して追跡し得る新たな解析手法の開発を行った。次いで,RC棒部材のため に展開したこの基 本手法を,曲げを受けるRC梁部材の材料非線形解析にも適用し得るように 拡張し,亀裂発生後の引張り側コンクリートの剛性を低減するための簡略化手法を導入し,亀裂 発生後の補強筋の付着すべり作用を含む梁の挙動を,より実際に近い形で追跡することが可能な 解析手法を提案し ている。最後に,ここで述べた「RC棒部材」と「RC梁部材」のそれぞれに っいて若干の数値計算例を示し,既往の実験結果との比較・検討により,個々の解析手法の妥当 性の検証を行っている。

  第8章においては,本論文の各章で得た結果を総括し,本研究に引き続いて進展させるべき今 後の研究課題とその方向にっいて述べている。

(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    内 山 武 司 副 査    教 授    小 幡    守 副 査    教 授    柴 田 拓 二 副査    教授    角田輿史雄 副 査    教 授    佐 伯    昇 副 査    教 授    井 野    智

  鉄 筋 コン ク リ ― ト (以下 ,RCと略 記) 及びプ レスト レス卜 コン クリー ト(以 下,PCと略記 ) 構 造は, コンク リート と鋼 と言う異種材料から構成された複合材料で,一体となって変形する際,

異 種材料 間の界 面で付 着す べり現 象を生 じ,補 強材 の付着 すべり を考慮 したコンクリート構造の 解 析 手 法 を確 立 す る こ とtま , そ の カ学 性 状 を明確 に把 握する 上で重 要な問 題と なって いる。

  本 論 文は , こ れ ま で十 分 に 体 系 化さ れ て い な かっ たRC,PC部 材 の付着 すべり 現象 を考慮 し た 解析手 法を提 案した もの で,成 果は以 下の通 りで ある。

  第1章 では, 主題の 背景 と現状 を記述 し,コ ンクル ート 構造部 材の解 析手法 に関 する既 往の研 究 を概観 して問 題点を 指摘 し,本 論文の 目的と 範囲 を述べ ている 。

  第2章 では, コンク リー ト構造 物にお ける補 強材と コン クリー ト間の 付着す べり 問題の 内,軸 方 向 カ を 受け るRC棒 部材 の 解 析 手 法を 論 じ て い る。 コ ン ク リ ー ト部分 の変 位,及 び鉄筋 とコ ン クリー ト間の 相対変 位を 独立変 数に選 んだ全 ポテ ンシャ ル.工 ネルギ ー汎関数(以下,汎関数 と 略記) と基礎 微分方 程式 の誘導 ,得ら れた方 程式 から1次元 基本付 着方程 式が導 かれる こと を 示 し,本 解析手 法の理 論的 位置付 けを明 らかに して いる。 汎関数 から高 ・低次2種 の変位 関数 を 用 いた有 限要素 法への 定式 化を行 い,両 要素解 に及 ばす分 割数の 影響, 既往解との比較・検討に よ り本方 法の妥 当性を 検証 してい る。

  第3章 で は , 前 章 で展 開 し た 解 析手 法 を , 弾 性領 域 に あ るRC粱 の 曲 げ の問 題 ヘ 適 用 する こ と に っ い て論 じ て い る 。軸 カ と 曲 げ を 受け るRC梁部 材 に っ い て 微小変 形理 論に基 づく汎 関数 を 導き, 従来明 らかに され ていな かった 補強材 の付 着すべ りを考 慮した 厳密な形の基礎微分方程 式 を誘導 してい る。高 ・低 次2種 の変 位関数 を用い て有限 要素 法への 定式化 を行い ,線形 領域 に お ける両 解の精 度を比 較・ 検討し ,梁の 曲げ性 状に 及ぼす 付着係 数の影 響,等を明らかにしてい

(5)

  第4章 で は , 弾 性 領 域に あ るRC床 板 の 曲 げ 問 題を 論 じ て い る。 先 ず , 補 強材 の 付 着 す べり を 考 慮 し た微 小 変 形 理 論に 基 づ くRC床 板 の 汎 関 数と 基 礎 微 分 方 程式 , 更 に 幾 何学 的非線 形領 域 に拡張 した有 限変形 理論 に基づ く基礎 微分方 程式 を導い ている 。これ らの理 論に 基づき,任意 方 向 の 配 筋を 有 す るRC床 板 を 対 象 とし た 有 限 要 素法 へ の 定 式 化 を行 い , 解 析 例か ら微小 ・有 限 変 形 領 域に お け るRC床 板 の カ 学 性状に 及ぼす 補強材 の付 着係数 の影響 を明ら かに してい る。

  第5章 で は , 曲 線 形状 の テ ン ド ンを 有 す る ポ スト テ ン シ ョンPC梁 部材の 曲げ 問題を 論じて い る 。 テ ン ドン の 緊 張 カ と曲 げ を 受 けるPC梁にっ いて, 微小 変形理 論に基 づく汎 関数 ,更に 緊張 時 からグ ラウチ ング完 了後 の挙動 までを 扱い得 る基 礎微分 方程式 の誘導 と有限 要素 法への定式化 を 行い, 汎関数 に従う 厳密 な形の 有限要 素式と 近似 仮定を 導入し た簡略 化有限 要素 式の両式を導 い て い る 。PC梁 の 解 析例 か ら 両 解 の適合 性を検 討し, 更に テンド ンの曲 線形状 ,及 び付着 係数 の 太 き さ がPC梁 の カ 学性 状 に 及 ぼ す影響 ,緊張 力導入 時の 解析, 等にっ いて検 討・ 考察を 加え て いる。

  第6章 で は , 曲 線 テン ド ン を 有 するPC床 板 の曲 げ 問 題 を論 じてい る。先 ず, テンド ンが直 交 す る 滑 ら かな 曲 線 を 描 いて 配 置 さ れた 床板に っいて 微小変 形理 論によ る汎関 数と基 礎微分 方程 式 ,更に 一般化 した任 意方 向配筋 ,また 板厚が ドロ ップパ ネル状 に変化 する変 厚床 板も扱い得る よ うに拡 張した 有限要 素法 への定 式化を 行い, 適用 性の広 い有限 要素式 を導き ,我 が国の建築分 野 で 設 計 環境 が 殆 ど 未 整備 状 態 に ある フラッ トタイ プのPC床板を 解析例 として 取り 上げ, 力学 性 状にっ いての 検討・ 考察 を加え ている 。

  第7章 で は , 第2章 か ら 第6章ま で に お い て 展開 し て き た弾 性問題 を,コ ンク リート の亀裂 や 補 強 材 の 降伏 に 伴 う 材 料非 線 形 問 題へ と拡張 してい る。軸 方向 カを受 けるRC棒 部材 にっい て,

荷 重の増 大に伴 ってコ ンク リート に生ず る亀裂と,その伸展状況等を追跡し得る解析手法の開発,

更 に 曲 げ を受 け るRC梁部 材 を 対 象 とし た , 亀 裂 発生 後 の 引 張 側 コン ク リ ー ト の剛 性を低 減す る ための 簡略化 手法と ,補 強材の 付着す べりを 含む 挙動を 追跡し 得る手 法を提 案し ,既往の実験 結 果との 比較・ 検討か ら解 析手法 の妥当 性を検 証し ている 。

  こ れを要 する に,本 論文は 鉄筋コ ンクリ ート 及びプ レス卜 レスト コン クリー ト部材 で,補強材 と コンク リート 間の付 着す べり問 題を付 着係数 を用 いて体 系的に 表現し た解析 手法 として工学的 有 用性が 高く, より複 雑な 構造部 材への 拡張を 可能 とした もので ,建築 ・土木 構造 学に寄与する と ころで 大であ る。

  よ っ て , 著 者 は 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

参照

関連したドキュメント

コンクリートは圧縮強度と比較して引張強度 は 1/10 程度しか得る事ができない性質がある 1) .

板とコンクリートの空隙に注入用接着剤を圧入し、コンクリートと接着さ せて既設部材と一体化させることにより、必要な性能の向上を図る工法で ある。

一方,鋼とコンクリート間の付着特性に関してもい くつかの報告がなされている.園田ら は突起付きを 含む

著者らは別報 3) において,付着損傷を受けた若 材齢コンクリートの再載荷時における付着抵抗 機構などを示した。同報の実験で用いた実験供 試体は,定着長が

第6章 コンクリートの引張クリープ予測モデルの妥当性の検証

- 10 - って割裂ひび割れが発生し,急激な荷重低下を伴って終局に至る付着割裂破壊を示した。 SHCC と PCM

近年開発された樹脂系材料として,コンクリートのはく落対策に使用される光硬化型 FRP シー トが挙げられる。光硬化型

性について検証している。なお,本論文は4章より構成されている。はじめに第1章では,