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日本語における時制の問題-ロドリゲス著『日本大文典』を見て-

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(1)

日本語における時制の問題

ーロドリゲス著﹃日本大文典﹄

そもそも日本語に於いて﹁時制﹂はどれほどの意義・重 要性を持つのであろうか。西欧語と比較して、はっきりと 過去・現在・未来を表わす指標となる語及びその観念が、 貧弱であることは良く知られた現象である。 こ h でロドリゲス著﹃日本大文典﹄︵土井忠生氏訳註 V を参照すると、彼は時制表現のとぼしい日本語の中で、口 語と文語とに分けて、自国語ポルトガル語の文法に擬して ︵と恩われる︶、可能な限りの分類を行なっている。 例えば﹃存在動詞 U H U C O N K 戸別︿は次のように活用する﹄ ︵第一巻﹁一般の話しことばに用ゐる存在動詞の活用﹂に おいて︶の中で次の様に述べている。︵﹁でござる﹂は助 辞、﹁で﹂を伴った複合動詞としている。︶

O

直接法の現在︵略︶でござる

O

不 完 全 過 去 で ご ざ る でござった でござった でござった、又は、

O

完全過去

O

大過去

を見て|

)

I

(

J

I

O

未来 でござってござった でござらう でござらうず でござらうずる 又は確実未来 は や で ご ざ ら う ず η O F h u

O

完 全 未 来 、 ︵ 以 下 略 ︶ 右の例の場合

ω

直接法現在と不完全過去に同じ語形﹁でござる﹂があ ること。つまり一つの語形で二つの時制をかねているだ け で な く 、

ω

不完全過去・完全過去・大過去の三つの時制を一つの 語形﹁でござった﹂で兼ねていること、

ω

大一過去の﹁でござってござった﹂はどちらかというと、 不自然な言い方であること、

ω

未来の﹁でござらうず︵る︶﹂の﹁ず︵る︶﹂は強意

(2)

の助動詞であること、

ω

完全未来・確実未来の﹁はやでござらうず﹂の場合、 ﹁はや﹂は副詞であり時制としての本来の形とは認めに く い こ と 、 等々のことを考えてみるに、時制としてのはっきりとした 名称の割に、動詞そのもの h 形は変化に乏しい。しかも 総てが動詞の活用変化によるというより、この場合、附属 語・副調によって意味を付加されて、ポルトガル語文法に よる分類の用例として成り立っている。言い換えると、ポ ルトガル語の文法に則した日本語を記述しようとしている ために、そこで用例の挙げ方の点にある程度の無理を生じ ているようである。 ﹃日本大文典﹄では、このあと口語について更に言及さ れているが、ここでもっと後に述べてある文語に目を向け てみることにする。 書きことばの活用︵ロ氏文典町頁︶

O

直 説 法 の 現 在 上 ぐ る 上ぐるなり 上ぐる 上げける 上げたる 上げたる 上げける 上げつる

O

不完全過去

O

完全過去及び大過去 上げし 上げき 上げぬ 上げぬる 上ぐベく、ベき、ベし 上げん、ず、る 上げなん、ず、る 上げたらん、ず、る 上げばや 右の例において、現在・不完全過去・完全過去・大過去・ 未来の相異は、動詞の終止型そのもの︵ここでは﹁書きこ とば﹂と言いながら、既に﹁上ぐる﹂というように連体形が 終止形の役割を担っている︶あるいは、ほかの活用形に助 調・助動調の加わったもの

K

b

表わされている。この前の 例である﹁でどざる﹂の時と同じように、﹁上ぐる﹂は直接法 現在と不完全過去で重左って挙げられであるし、﹁上げける﹂ ﹁ 上 げ た る ﹂ は 不 完 全 過 去 と 完 全 過 去 ・ 大 過 去 で 重 出 し て い る 。 ︵また完全過去及び大過去では﹁上げし﹂と﹁上げき﹂、﹁上 げぬ﹂と﹁上げぬる﹂がある意味で重出している。︶ 日本語の中で、助動詞・助詞により過去・未来が表現さ れることは以上のロ氏文典の記述からもわかることである が、助詞・助動詞の点で文語と口語との場合を較べると、 文語の表現形の方が随分多様であることが見てとれる。

O

未来 A 生 c u 右の口氏文典本文に続いて

(3)

書きことばに於ける直接法過去及び未来に用ゐられる 種々なる助辞について という頃目があり、そこであげられている助辞は﹁ある ものは単一であり、あるものは他の語との複合であ﹂り、 またあまりに﹁明瞭で﹂あるものは﹁除き、やや難解な用 例をいくらかづっ添える﹂とある。そこには次の様なもの があげられている。

O

過去の助辞は次の通りである。 エり、エる、にけり、にける、にたり、にたる、にけん、 にき、にし、になん、に侍り、ぬ、ぬる、けん、き、けり、 ける、たり、たる、たりし、たりけり、たりける、たりけ ん、たりき、たりつる、つる、っ、つつ、てし、てんげり、 てんげる、畢んぬ、し 次に未来を表現するのに使う助動調・助詞として以下の ものがあげられている。︵口氏文典附頁︶

O

書きことばの肯定活用直説法 未来に用ゐる助辞 べく、べき、ベし。例へば|上ぐべく、ベき、ベし アん、ェん、イん。例へば|上げん、読まん、見ん なん。例へばl上げなん、読みなん、習ひなん ばや。例へば

l

上げばや、読まばゃ、習はばや てん、たらん、ずる、ずらん。し、べかりける、ベかりし、 べけんや。即ちベきや。ぬべき、ぬベし、たるべし、つべ し、つらん、ぬらん、ずらん。こそを伴ったらめ及びけめ 以上のように助辞のあげかたに多少の問題はあるとして も多種多様の助辞が列挙してある。︵これは種々の文体に 使われている助辞を﹁悉く収めた﹂ので数が多くなったの である。︶また、そのあとにあるものについては具体的な 使用例︵例えば、文体による使用例の違いなど︶が掲げて ある。この如き作業はポルトガル人に日本語を理解学習さ せるには良いかもしれないが、それはいくらそういったも のを並べ上げても、例えばポルトガル語に於ける時の重層 的構成に相当するものが日本語に見つかるというわけでは ない。但しこ h での場合は、時の構成に対応させるという よりも、もっと実用的に宣教師に知識を修得させるための 羅列︵網羅︶及びその具体的な説明であろう。が、口氏文 典の記述の基本的姿勢は、ポルトガル語の構造に合わせよ うとするものである。︵しかし、これは外国語を最初に学 習するとき、どの国の人でもそうするに違いない方法では ある。︶ ﹁ 円 υ E U ではここでポルトガル語動調の法と時とに関する実際を 参照してみよう。︵管見では現代ポルトガル語に関する基 礎的文献しか参考にできなかった︶︵大学書林刊﹁新稿ポ ルトガル語四週間﹂星誠氏著。なお、この本の著者、星氏 は土井忠生氏が口氏文典を邦約するにあたって助力を提供 し た 人 で も あ る 。 ︶

(4)

直 説 法 条 件 法 命 令 法 接 続 法 不 定 法 ︵ 分 詞 ︶ ︵ 単 純 時 ︶ 現在 不完全過去 完全過去 単純大過去 不完全未来 現在 現在 現在 不完全過去 不完全未来 非人称現在 人称現在 現在分詞 過去分詞 ︵基本の時︶ 完全過去 現在 未来 ︵ 復 合 時 ︶ 複合完全過去 複合大過去 完全未来 過去 完全過去 大過去 完全未来 非人称過去 人称過去 複合現在分詞 ︵第二の時︶ 不完全過去 大過去 条件法 参照した本に︹注意︺として、﹁動詞の分類や名称はま ちまちでさまっていない﹂と書いであるが、右の表を見る と口氏文典の日本語の時制についての記述基準が、ポルト ガル語の文法そのものに基づいていることがわかる。これ は口氏文典がポルトガル人向けに書かれたものであるから 当然すぎるくらいのことであるが、我々日本人はその事に 充分留意して、かの文典を読まなければならない。 ロドリゲスはその事を次の様に表現している。︵口氏文 典出頁︶ この国語は、直接法・命令法・接続法及び分詞には固 有の語形があるけれども、それ以外の法は元来ないので ある。その外の法はこれらの法とそれに接続する特定の 助辞とによって補はれるからである。︵中略︶固有の語 形の備った法は、三つの時以外には本来ない。即ち現在・ 完全過去及び未来がそれであって、日本人はそれを﹁過 去﹂﹁現在﹂﹁未来﹂の三語によって言ひ表す。 n h u ﹁ 円 υ ではポルトガル語で言うところの現在・完全過去とはど ういうものか。星氏の著書から引用してみよう。 現 在 ︵ 円 ︶ 吋

2

0

3

Z

ω

談話の際、現実に行なわれる状態・動作を示す。多少 継続的な意味を持つ場合と、一時的な意味を持つ場合と が あ る 。

ω

o

z

p

N ・ 私 は 幸 福 だ 0

4 H

H

匂 ﹃ 曲 伸 一 口 曲 師

σ o ω

印 釦 の 到 。 ∞ ・ お前の行為は立派だ。

ω

現在の習慣的事実と一般的真理を一示す。

20 ︿ 冊 件 。 門 古 田 釦 凹

H m

吋 色 。 ∞ − 午後はいつも雨が降る。

(5)

ω

白 −

o

a

ロ ℃ 吋

o

a

o

H

U

O

仲 間 色

O

ω

ロ 仲 卸

H

. ・ 私はいつも昼食後に外に出る。

ω

過去の物語を叙述するに当り文章に活気を与えるため

K

過去の代りに現在を用いることがある。これを歴史的 現在と呼ぶことがある。またきわめて近い過去にも用い ら れ る 。

z

o

U

1

5

2

O

O

色 。

N

O

E

ぴ 吋

O

色 。 −

2

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O

O

O

Z

E

−帥 i

Z

1

2

w

m

m w H

U O

Q A

W E

ω

・ 一 六 四

O

年十二月一日に再び独立をか ち え た 。 明 白 一 0 . , − げ 。 。 ロ 件 。 ロ ア きのう私は彼に話した。

ω

近い未来に行なわれる事柄を示す場合、あるいはまた われわれの意志によりある定まった時日に事が行なわれ る場合に、未来の代りに用いられる。

F

o

m

o

z

z

一 ︿

O

Z

E

円 相 凶 己 目

ω

H

O

E

− すぐ出かけて一時間たったらもどりま 一 す O

U

0

5

5

m

o

Z

ouω20

E

E

− − 日曜日にブラジルに立ちます。

ω

ω

省略 完全過去︵

H

U

Z

Z 、Z

H

O

H

u

o

z

o

z

o

ω

継続の意味なく一時的で全く過去になってしまった事 実を表わすのに用いられる。 。 ・ ﹀ 同

O

ロ 印

O

O

D

2

0

命 的 ﹃

o

− −

O

H

U

Z

E

E

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2

a o

句 。 吋

H g

m m

w

− − ドン・アフ才ンソ・エンリケスはポル トガル最初の王であった。

Z

O

H

o

− 色 。 印

2

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σ

O

︻ 凶

O

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N

ω

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E

︿申

O

B

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o

ロ ヨ

m

g

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O

H

0

2

O

B

O

E

− 一九二三年九月一目、東京に大地震が あ っ た 。

ω

ある過去の事実に対して、それよりも少し前に行なわ れた同じく過去の他の事実を表わすのに完全過去を用い る。すなわち大過去の代用である。 円 、

o

m

o

o

O

曲 曲 一

E

O

H

U

吋 め 的 。 、

O

H

U

O

︿

O

釦 ℃ 己 句 。 ロ

l

o

o

A 己 昨 日 刷 局 同

m w H

m w l

0

n i p 内 υ 囚人が外に出ると国民はかれをののし り、かれを殺そうとした。

C

E

m

w

z

F

m

W

2

E

Z 由ロ仰の

ω

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め −

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0

H a m w

記 。 ロ 回 凹

o m

C H

品 。 . かわらが頭に落ち、 ん だ 。

ω

完全過去は主として歴史・物語などの連続した事柄、 言いかえれば断片的でない事実を示すのに用いられる。 だからこれを歴史的過去︵宮・

2

zgE

己 ん

r

t

o

︶ と も 言 う 。 かれはまもなく死

O

V

O

B

o

p

o

ω

ロ 仏

O

曲 目 。 ﹃

a

o

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2

8

巴 ロ 巴 = 。 包 自 = ー 釦 仏

O

O

吋 ロ 川 町

O

︿

O

O

回 由 。 己 加 の ︸

M m H

U O H

H

目 ・

(6)

その男は目をさました時に帽子が見え ないので非常に驚いた。

2

2

0

C

H

u

m

E

E

P

E

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E

H

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ω

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o

o

E

g

i

σ

目 的 島 一 口

ω

−\ あちらを見たり、こちらを見たりした が、影も形もなかった。

ω

ω

省略 未来には不完全未来と完全未来とがあるが、こ h では詳 述 し な い 。 ロドリゲスは、以上のポルトガル語の用法が日本人の言 う﹁過去﹂﹁現在﹂﹁未来﹂にあたると述べているわけで ある。その内容を検討してみると、確かに両者の対応はな りたっている様に思われる。 しかしロドリゲスはこの文典の記述に際してポルトガル 語での﹁現在﹂﹁完全過去﹂﹁未来﹂の三つのみで日本語 の分類をしているわけではない。別の言い方をすれば日本 語の時制は過去・現在・未来しかないことを知りながら、 できるだけポルトガル語の文法に合わせようとしている。 例えばこの論文の最初に例として出した存在動詞﹁でご ざる﹂の記述法であるが大筋を示すと次の様である。 直接法|現在︵単・複︶、不完全過去、完全過去、大過 去、未来、完全未来又は確実未来 命令法|現在、未来又は委託法 希求法|現在及び不完全過去、完全過去、未来 接続法

i

現在、不完全過去、完全過去、大過去、未来 右の如き法と時の分類が口氏文典の記述の基本になって いて、文例としてあげられている日本語もできるだけそれ らしいものが用例となっている。 さて、今まで日世紀日本の主に書き言葉の時に関する記 述を見てきたが、ここで当時の話し言葉の時についての記 述を見ていくことにしよう。 直接法の時に就いて︵口氏文典必頁︶ 最初に現在に就いて ここでまず最初に﹁直接法の現在の形は特定の助辞を伴 って違った時にも代用されるので色々な用法がある。﹂と あり、日本語でいうところの基本的な現在を表わす形がい ろいろそのほかの意味をも表わすとしている。それは例え ば次の場合に使われる。 不完全過去 接続法 不定法 動詞状名詞 目的分詞 現在分詞 とあるが、後の方でされている各々についての説明を見 ると、これもほとんどポルトガル語内での文法的相違であ 0 6 R U

(7)

9 て日本語の中では﹁現在﹂の中の問題として充分解決で’ き る 問 題 で あ る 。 ︵ 中 略 ︶

O

完全過去及び大過去に就いて 。﹁た﹂﹁だ﹂に終る過去の形は普通に話し早言葉で使ひ、 そ れ で 文 を 終 る 。 。﹁たる﹂﹁だる﹂﹁つる﹂も過去を表わし普通にはそ の後に名詞等が続く。 。﹁たり﹂﹁だり﹂﹁つ﹂﹁づ﹂も過去を表わすが、何 時も他の句が続く。︵筆者注

1

この場合、用例が幸若舞 からとってきであり、さほど口語的とは言い難い。︶ 腕のカは覚えっ、薙万の金は良し。 −八島の舞

l

精兵の大矢にて肝の束ねを通されつ、何かは以て除 ふ べ き 。

同 ﹁たり﹂﹁だり﹂に終る過去の形は、また別の意味を. 持ョて居り、それは甚だ上品な言ひ方である。 第一の意味は﹁よくやった﹂との意味が込められてい る 。 先づは射たり射たりとどっと笑うた。

l

高館

l

第二の意味は二つ或いはそれ以上の行為を並行して、 或いは続けて行なう状態をさす。 一所に集ョて打。たり、舞うたり、 高声に上もなげ にどめいて酒を呑む。

l

山中の舞

l

﹁つ﹂﹁づ﹂に終る過去の形も﹁たり﹂﹁だり﹂に終 る過去の第二の意味である。 上げつ、読うづ、習うつ、嫌いつ乱舞をせらるる −八島

l

︵ 中 略 ﹀ 。往々過去を現在に使う動調がある。 知 る 、 知 っ た ︸ ﹃私は知っている 存ずる、存じた﹂ 0 ﹁らう﹂に終る一つの形がある。本来、可能法に属す る も の 。 上げつらう、読うづらう、習うつらう n E F D 以上で直接法の過去についての記述は概ね尽したわけで あるが、口語的なもの、口語の中でもある条件のもとでし か 使 わ れ な い も の 、 か な り 文 語 的 と 品 一 一 口 え る も の 、 と 並 行 し て紹介してあョた。しかし、文語的なものはあとで﹁書き 言葉﹂の項であげられる。とあるので、ここであげである のは全体としては口語的な感じのするものなのであろう。 では未来に関してはどのような記述がされているのだろ う か 。 話し言葉だけに使われる未来の三つの基本の形として、 上げう

(8)

上げうず 上げうずる が掲載されている。更に続けていわゆる﹁関東べい﹂の紹 介があり、かの地ではよく使われる旨の記述がある。 例

l

上ぐべい、読むべい、習ふベい 次の未来形の一つとして 上げたらう、ず、る︵→本来上げてあらうず︶ これで文を終止せず、名詞に続く。 例!この松を真直に見たらう人に褒美をせうず。 −会下物話

i

次に﹁ぱや﹂に終る形をあげている。 上げばや 読まぱや 名字を聞かばやとて、名字を名乗れといふ。 このあとさらに﹁未来形﹃上げう、ず、る﹄の種々な用 法に就いて﹂﹁未来のある言ひ方について﹂﹁助辞﹃に﹄ を伴ふ未来﹂等々が述べられているが、それらはまさにポ ルトガル語の法に基づいた分類と密接に関わり、ここでは あえて掲げなかった。 ここで引用した﹁未来﹂の文例について言うと確かにそ の文の内容は今という時点よりも先に実現するものなのだ が、我々日本人︵こ h では現代日本人とする必要があろャユ の感覚から言うと、現在と未来というものが切り離されて あるというよりも、現在という時点に足をしっかりと置い て、そこから、先の時点のことをいろいろと考えている、 と見た方が自然であり、それを一つの呼び方として﹁未来﹂ と呼ぶことは可能かもしれないが、本当のところは日本語 の中ではあまりなじまない表現である。 これは程度の差こそあれ、文語・口語︵当時の︶ともに 言えることである。 つまり、日本語に西欧語的念時制という考えを導入する ことの可否が問題になるのだ。 深く掘り下げた議論は行なえなかったが、この少論に述 べたいくつかの事柄によっても、日本語とポルトガル語に おける時制に対するとり組み方が全くといってよい程、異 っている。︵部分的な現象としては似たところはあっても︶ ことに読者は気づかれたことと恩われる。そういった意味 でロドリゲスはこの部分︵に限らないだろうが︶の記述を する時に苦労したことであろうと推測される。

参照

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