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環境配慮行動ともったいない精神の結びつき

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卒業研究論文

環境配慮行動ともったいない精神の結びつき

東京都市大学

環境学部 環境マネジメント学科 枝廣研究室

学籍番号 1362141 吉田祐実

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目次

序章 はじめに ... 4 第 1 章 環境配慮行動とは何か ... 4 1.1 環境配慮行動の定義 ... 4 1.2 環境配慮行動の阻害要因 ... 4 1.3 環境配慮行動の種類 ... 6 第2章 「もったいない」とは何か ... 8 2.1「もったいない」の定義... 8 2.2 どのように「5つの阻害要因」に働きかけることができるのか... 8 第3章 環境配慮行動ともったいない精神の結びつき ... 8 3.1 調査方法 ... 8 3.2 調査結果 ... 10 3.2.1 「もったいない」意識と実際の行動について ... 10 3.2.2 環境用語の認識度について ... 19 第4章 結論 ... 21 謝辞 ... 22

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・序章 はじめに

昔から今日にかけて様々な環境問題が重要視されている。しかし、その環境問題の特 徴にも変化がみられるようになった。明治初期から昭和 50 年くらいまでの間は、いわ ゆる産業公害と呼ばれる環境問題が蔓延していた。公害は、一部の人々、主に工場や鉱 山などを運営・開発する企業によってもたらされるものと考えられていた。つまり、公 害問題などの企業・行政が加害者として捉えられる問題が中心であった。 一方で今日は、物質的豊かさや経済の振興といった社会状態の中で、私達一人一人の 生活においても、自動車利用の増大、飽食、必要でないモノの積極的な購入やモノの大 量消費・大量廃棄という生活態度など、暮らしの上での様々な変化が生じている。この 生活水準の向上が、新たな環境問題を生み出している。 以上のことから、今日の環境問題に対しては、個々人の環境意識を向上させ、行動に 移してもらうことが大事であることがわかる。しかし、大事だと言っても、個々人の環 境の意識を向上させ、行動に移してもらうことは難しい。なぜなら、個々人の意識や行 動は、他者から強制されて行うものではなく、あくまでも、自分次第であるからだ。 そこで、個々人の環境意識ともったいない精神の結びつきに着目した。普段の生活で 「もったいない」と思うことについては、ある程度行動も伴っていくと推測するからだ。 本論文では、「もったいない」という生活感覚や「ものを大事にする」生活習慣と、実 際の環境配慮行動の関係を調査で明らかにする。その結果をもとに、環境意識を向上さ せるためには何ができるのかについて考察を行った。

第1章 環境配慮行動とは何か

・1.1 環境配慮行動の定義

そもそも環境配慮行動の定義は何か。「文字通り、地球環境を配慮した行動であるが、 言い換えれば、サステナビリティ(sustainability)を実現するための行動である。サス テナビリティは、通常、持続可能と訳され、現在の地球環境(生物、資源、気候など) を将来の世代にも伝達可能にしていくことを意味している」(稲垣,2007;サステナビリ ティ学連研究機構,2007;竹村,2007)。つまり、単純に環境に配慮した行動をするだけ ではなく、将来世代のことを考え、限りある資源を変わらぬまま将来世代に渡すことの 意も含まれると考えられる。

・1.2 環境配慮行動の阻害要因

では環境配慮行動の実行を阻害している要因は何だろうか。要因の一つは、その構造 にある。すなわち、社会的ジレンマ状況であるということである。環境配慮行動と関連 する社会的ジレンマには、Hardin(1962)が「共有地の悲劇」と表現したものがある。 産業革命以前の英国には、「コモンズ」と呼ばれる共有の牧草地があり、農民は、そ

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5 こに羊を放ち飼育していた。しかし、農民が自給自足のために共有地を利用している間 はよかった。産業革命により羊毛の需要が高まると、自給自足の範囲を超え、利潤のた めに一匹でも多くの羊を飼おうとして、共有地に多くの羊を放つ結果となった。 共有地の羊飼育能力には限界があり、もし、それを超えて羊が放たれれば、共有地は 荒れ果て、羊の育成が悪くなり、やがて飼育能力を持たなくなる。これが「共有地の悲 劇」である。 牧草地が農民個人所有のものであれば、土地の収容能力を考慮して放牧する羊の数を 制御するであろう。ところが、共有地となると、農民が自己の利益だけを考えている限 り、限度を超えてしまうことになる。(社会的ジレンマ 東京国際大学 Web ページより⁵) 各個人にとって利益的な行動が地域や社会にとってはコストとなり、個人が利益追求 的な行動をとり続けると、社会のコストが増大して、最終的には社会が壊滅的な状況に なってしまうことである。各人、各企業が快適性や利益を求めて、冷房を効かせ、暖房 の温度を高く設定し、近いところでも車を使い、頻繁に飛行機を利用し、集客のために 明るい照明にすることを行っていると、やがては社会全体が困る状況に陥るということ である。 環境配慮行動に関わる社会的ジレンマの困った点は、単に個人と社会という関係が問 題であるだけでなく、ある国家・文化と他の国家・文化との関係、また、現世代と未来 世代との関係というように、対立的関係が重層的になっている点である。国家もしくは 文化間の関係を見ると、既に快適な生活環境を確立している国々では、多くのエネルギ ー資源を利用し、温室効果ガスを多く排出している。発展途上の国々は、これから快適 性を求めようとしているのに、既に他の国々が二酸化炭素を限界近くまで排出してしま っているので、自分たちが排出する余地があまり残っていないという状況だということ である。これは、世代間の関係においても同じである。未来世代は発展途上国と同じ立 場に置かれてしまっている。そこで、現在、快適な生活を営んでいる個人、国々が、そ うでない人々、国々、あるいは未来世代に対してどの程度配慮するということが環境配 慮行動における構造のポイントである。 それでは私たちがこうした構造を理解できれば、「共有地の悲劇」に陥らないかとい うとそうではない。今井(2008)によると、大きく5つの環境配慮行動の阻害要因があ ると考えられる。 a 実行コスト 社会全体の利益に見合った行動を取るということは、行為者にとって、労力的、時間 的コストがかかる。 b 見えにくいメリット 環境に配慮した行動を取っても行為者自身に直接的なメリットはもたらされない。あ るいはメリットがあったとしても、それが見えにくい構造となっている。

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6 c 責任の分散 自分一人努力しなくてもというように認識されやすくなる。 d 周りから受ける影響 不実行の他者から影響すべての人が環境配慮行動を取っているわけではないので、自 分も行わなくてよいというように、他者の行動パターンの影響を受けるという悪循環が 生じやすい。(ただし、後述するように、多くの他者が環境配慮行動を取っているとい う状況が作られれば、望ましい方向に他者の行動パターン各個人に影響を与えるように なると考えられる。) e 自律的側面 行為者の自律性に依存行為者の行動が逐一監視されているわけではないので、たとえ 環境配慮的行動を取っていなくても誰からも咎め立てされることはない。環境配慮行動 の多くは自律的側面が強い。 こうした阻害要因が存在する中で、いかに多くの人が環境配慮行動を取るように促し ていけるかが重要である。

・1.3 環境配慮行動の種類

一口に環境配慮行動といっても様々なものがあり、また、国家間レベルで取り決める べきものから、企業や組織で対応すべき問題、そして、個人レベルで実行可能なものま で階層化されていると捉えることができる。今井(2008)によると、その階層としては、 必ずしも各レベルを明確に区分できるわけではないが、国際レベル、国レベル、地方自 治(地域)レベル、企業・事業者レベル、家庭レベル、個人レベルという6レベルを設定 できると考えられている。 a 国際レベルでの対応 国際レベルにあてはまるのは、温暖化問題に対処する国際条約などが挙げられる。近 年では、COP21 で合意されたパリ協定がある。これは、2020 年以降、先進国も途上国も すべての国が1つの土俵で削減目標を約束するような国際条約の作成をめざして、2012 年から交渉が始まり、採択されたものである。パリ協定において、工業化以前と比べて 気温上昇を2℃未満に抑えるという2℃目標が世界の共通目標となっている。この長期 目標を達成するため、今から将来の大幅削減のための技術や社会システムの変革・革新 に着手する必要がある(http://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-201604_05.pdf)。 b 国レベルでの施策 国レベルといっても、国際協力的な側面も存在する。例えば、代替えエネルギー(風 力、太陽光、潮力、地熱など)、排出された二酸化炭素の回収・貯留技術の開発の協力 はそうである。 c 地方自治・地域レベルでの施策 地方自治レベルでは、資源の有効利用につながるゴミの分別回収のシステム導入であ

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7 るとか、道路や公共施設建設などの公共事業の環境影響評価、あるいは、地球環境保護 に関連する条例の整備(例えば、駐車時のエンジン・ストップ)を挙げることができる。 d 企業、事業者レベルでの施策 a~cのレベルは法整備もしくはシステムの構築を中心とした、温室効果ガス排出規 制の枠組みの策定や技術開発が中心であるが、d~f レベルは、環境配慮行動の実行者 の側面が強い。企業や、事業者レベルで可能な環境配慮行動としては、適正冷暖房、昼 休み消灯、蛍光灯の低位置設置、反射板装置の設置、両面コピーの実施、窓のブライン ドや緑のカーテンの設置、不要な蒸気配管の撤去や放熱防止、ノー残業デーの設置、過 剰包装の廃止、従業員の環境配慮行動に対する、意識向上のための研修の実施、環境保 全運動の推進、炭素相殺への参加などを挙げることができる。 e 家庭レベルにおいて 家庭レベルにおいては、各世帯で実行可能な環境配慮行動を挙げることができる。す なわち、牛乳パック・新聞紙などのリサイクル、リサイクル商品の使用、風呂の残り湯 の活用、詰め替え製品の利用、買い物袋(エコバック)の持参、エコマーク商品の購入、 洗剤の適正利用、ゴミの減量化、ゴミの分別、適正冷房、低公害車の利用、太陽光発電 の利用、住宅の断熱化などである。(環境省、平成 18 年度環境にやさしいライフスタイ ル実態調査、http://www.evn.go.jp/policy/kihon_keikaku/lifestyle/h1970_01/1.pdf) f 個人レベルの行動 家庭レベルと個人レベルの区分は必ずしも明確ではないが、このレベルには、特に個 人で実施可能な行動を含めることができる。例えば、節水、節電、公共交通の利用、適 正自動車運転(長い信号待ちのときにはエンジンストップさせる、急発進や急加速を控 えるなど)、ゴミの軽量化(箸を持ち歩く、小さな紙でもリサイクルする、不必要な包 装は断る、必要なものだけを買う)である。 以上、環境配慮行動を6レベルに分けたものである。この6レベルのなかでも、特に 家庭、個人レベルにおける環境配慮行動は、近年の環境問題と大きくかかわってくる。 はじめにも述べたように、物質的豊かさや経済の振興といった社会状態の中で、私達一 人一人の生活においても、自動車利用の増大、飽食、必要でないモノの積極的な購入や モノの大量消費・大量廃棄という生活態度など、暮らしの上での様々な変化が生じてい る。この生活水準の向上が、新たな環境問題を生み出しているからだ。以上のことから、 この 2 つレベルを強化させていくことが重要であり、本論文では特に、家庭と個人のレ ベルに焦点をあてた。

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第2章「もったいない」とは何か

・2.1「もったいない」の定義

「もったいない」は多様な意味でつかわれていて、その語源も様々に解釈されている。 物の本体を意味する「勿体=物体」のことであり、「ない(無い)」は、それを否定した もので、本来は、物の本体を指す言葉であった。 今日使われている「もったいない」の意味としては次の 3 つが挙げられる。 ① 神仏・貴人などに対して不都合である。不届きである。 ② 過分のことで畏れ多い。かたじけない。ありがたい。 ③ そのものの値打ちが生かされず無駄になるのが惜しい。 本論文では、特に③の意味の「もったいない」を定義とし、環境意識の要素として考 察を進めていく。

・2.2 どのように「5つの阻害要因」に働きかけることができるのか

どうして、「もったいない」意識に注目することにより、うえで取り上げた「5つの 阻害要因」に働きかけることができるのか。大きく2つのことが考えられる。 まず1つめは、個々人のもったいない意識を高めることにより、a 実行コストに関 するデメリットを刺激することができる。「もったいない」意識>実行コストとなれば、 労力的、時間的コストも厭わなくなるのではないだろうか。 2つめは、b 見えにくいメリットを刺激することができる。確かに、環境配慮行動 を行ったところで、メリットは見えにくい。しかし、個々人の「もったいない」意識を 高めることができれば、「もったいない」からこそ、環境配慮行動を積極的に行うよう になる。また、環境配慮行動の多くは、自律的側面が大きいため、その自律的側面を刺 激することができる。よって、直接的なメリットは少ないかもしれないが、自分が行っ ている行動に充足感を得ることができるのではないだろうか。 以上、大きく2つのことが考えられると思われる。

第3章 環境配慮行動ともったいない精神の結びつき

・3.1 調査方法

本研究は、自分の身近な世代ということ・今後将来を担っていく若者ということより 学生 60 人を対象に、アンケート調査を実施した。調査期間は 2016 年 10 月~12 月であ る。 調査項目は以下の通りである。 ① 日常生活の衣食住に関わる資源やエネルギーへの「もったいない」意識8項目(表 1)と、日頃から行っている実際の行動の頻度 15 項目(表2)をあわせて 23 項目 を質問した。なお、「もったいない」意識は、「とてももったいないと思う」「ややも

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9 ったいないと思う」「わからない」「あまりもったいないと思わない」「もったいない と思わない」の5段階で質問し、日頃から行っている実際の行動の頻度については 「当てはまる」「やや当てはまる」「どちらとも言えない」「あまり当てはまらない」 「当てはまらない」の5段階で質問した。 ② また、環境用語(表3)をどの程度知っているかを計3項目設定した。「詳しく知っ ている」「ある程度知っている」「聞いたことはある」「全く知らなかった」の 4 段階 評価で質問した。 表1 「もったいない」意識に関する質問項目 「もったいない」意識に関する項目 1 食べ残しや飲み残し 2 水の出しっぱなし 3 テレビやパソコンのつけっぱなし 4 割りばしの使用 5 紙コップの使用 6 リサイクルできるものを捨てる 7 スーパーでレジ袋をもらうこと 8 コンビニでレジ袋をもらうこと

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10 表2 日頃から行っている実際の行動に関する質問項目 表3 環境用語に関する質問項目

・3.2 調査結果

・3.2.1 「もったいない」意識と実際の行動について

調査の結果、食べ残しや飲み残しについて、「とてももったいないと思う」と回答し た人は、約 65%(39 人)、「ややもったいないと思う」は約 32%(19 人)(図1)・水の 出しっぱなしについて、「とてももったいないと思う」は、約 83%(50 人)、「ややもっ たいないと思う」は約 13%(8人)(図3)・テレビやパソコンの電源のつけっぱなし について、「とてももったいないと思う」は 46 約%(28 人)、「ややもったいないと思 う」は約 37%(22 人)(図5)と圧倒的に「もったいない」と思う人が多いことが分か った。実際に食べ残しや飲み残しをしないことについて、「当てはまる」は約 50%(30 人)、「やや当てはまる」は約 41%(25 人)(図2)・節水行動について、「当てはまる」 日頃から行っている実際の行動に関する項目 1 食べ残しや飲み残しはなるべくしない 2 節水を行っている(こまめに水を止めるなど) 3 節電を行っている(こまめに電気を消すなど) 4 外出先では割り箸を使用せずに「マイ箸」を利用している 5 マイボトルを使用している 6 リサイクルを心がけている 7 必要のないものは買わない 8 長く使えるものは新しく買わずに大切に使う 9 ごみの分別を行う 10 できるだけ再生素材から作られたものを使用している 11 環境負荷ができるだけ少ないものを購入する 12 買い物時にマイバックを使用する(スーパーを利用するとき) 13 買い物時にマイバックを使用する(コンビニをを利用するとき) 14 植物を育てている 15 公共交通機関をなるべく利用している 環境用語の項目 1 3R 2 エコマーク 3 グリーン購入

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11 は約 30%(18 人)、「やや当てはまる」は約 47%(28 人)(図4)・節電行動について、 「当てはまる」は約 18%(11 人)、「やや当てはまる」は約 54%(32 人)(図6)であ った。ここから多少の数字の入れ替わりはあるが、比較的気を付けて行動をしている人 が多いことがわかる。 図1 食べ残しや飲み残しについての「もったいない」意識 図2 実際に食べ残しや飲み残しをしないかについての行動 65% 32% 0% 1% 2% とてももったいない と思う ややもったいない わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない 50% 41% 2% 7% 0% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない

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12 図3 水の出しっぱなしについての「もったいない」意識 図4 実際の節水行動 83% 13% 2% 2% 0% とてももったいない と思う ややもったいないと 思う わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない 30% 47% 11% 12% 0% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない 46% 37% 2% 12% 3% とてももったいない と思う ややもったいないと 思う わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない

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13 図5 テレビやパソコンの電源のつけっぱなしについての「もったいない」意識 図6 実際の節電行動 割り箸の使用については、「ややもったいない」は約 43%(26 人)(図7)、紙コップ の使用については、「ややもったいない」は約 42%(25 人)(図9)であった。両方と も、もったいないと感じる割合が高かった。しかし、実際にマイ箸を持参する人は約2% (1名)(図8)、マイボトルを持参している人は約 15%(9名)(図 10)と、とても少 なく、もったいない意識と行動の間に差があることがわかる。 図7 割り箸の使用についての「もったいない」意識 18% 54% 15% 8% 5% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない 8% 43% 7% 33% 7% もったいないと思う ややもったいないと 思う わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない

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14 図8 実際にマイ箸を使用しているかについての行動 図9 紙コップ使用についての「もったいない」意識 1% 2% 7% 23% 67% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない 15% 42% 5% 31% 7% とてももったいない と思う ややもったいないと 思う わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない 15% 18% 7% 18% 42% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない

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15 図 10 実際にマイボトルを使用しているかについての行動 スーパーでレジ袋をもらうことについて、「あまりもったいないと思わない」は約 39% (23 人)(図 11)、コンビニエンスストアでレジ袋をもらうことについて、「あまりもっ たいないと思わない」は、約 45%(27 人)(図 13)と、「あまりもったいないと思わな い」人の方が両方とも割合は高かった。しかし、日頃の実際の行動でスーパー利用時に はマイバックをよく使用する(「当てはまる」「やや当てはまる」を回答した人)のに対 し、コンビニではマイバックを使用しない人(「当てはまらない」「あまり当てはまらな い」を回答した人)が 60 人中 17 人いた。このように「もったいない」意識に大きな差 は見られなかったものの、実際の行動では、スーパーとコンビニでマイバックの使用に 差が生じた。 図 11 スーパーでレジ袋をもらうことについての「もったいない」意識 図 12 実際にマイバックを使用する(スーパーを利用するとき)かについての行動 13% 30% 5% 39% 13% とてももったいない と思う ややもったいないと 思う わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない 23% 23% 4% 27% 23% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない

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16 図 13 コンビニでレジ袋をもらうことについての「もったいない」意識 図 14 実際にマイバックを使用する(コンビニを利用するとき)かについての行動 リサイクルできるものを捨てることについて、「ややもったいないと思う」は約 62% (37 名)と非常に割合が高い(図 15)。そして、実際の行動でも、長く使えるものは新 しく買わずに大切に使うことについて、「当てはまる」は約 27%(16 人)、「やや当ては まる」は約 53%(32 人)と関心の高さを感じられる(図 16)。しかし、できるだけ再 生素材から作られたものを使用しているという質問については、「どちらとも言えない」 は約 32%(19 人)、「あまり当てはまらない」は 35%(21 人)、「当てはまらない」は約 27%(16 人)であった(図 18)。また、環境負荷ができるだけ少ないものを購入すると いう質問については、「どちらとも言えない」は 35%(21 人)、「あまり当てはまらない」 は 30%(18 人)、「当てはまらない」は約 23%(14 名)という結果になった(図 19)。 これは、実際に再生素材から作られたものを利用している人が少ないという可能性と、 「再生素材」などの専門用語が用いられているために、「わからない」「当てはまらない」 12% 23% 7% 45% 13% とてももったいない と思う ややもったいないと 思う わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない 3% 12% 7% 32% 46% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない

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17 などの回答が増えた可能性が考えられる。 図 15 リサイクルできるものを捨てることについての「もったいない」意識 図 16 長く使えるものは新しく買わずに大切に使うかについての行動 21% 62% 7% 3% 7% とてももったいない と思う ややもったいないと 思う わからない あまりもったいない と思わない もったいないと思わ ない 27% 53% 8% 5% 7% 当てはまる やや当てはまる わからない あまり当てはまらな い 当てはまらない

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18 図 17 リサイクルを心がけて行動しているかについて 図 18 できるだけ再生素材から作られたものを使用しているかについての行動 図 19 環境負荷ができるだけ少ないものを購入するかについての行動 7% 47% 13% 20% 13% 当てはまる ややあてはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない 1% 5% 32% 35% 27% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない 0% 12% 35% 30% 23% 当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらな い 当てはまらない

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・3.2.2 環境用語の認識度について

環境用語の認識について、3R(リデュース・リユース・リサイクルを意味する。) については、「詳しく知っている」は、約 43%(26 人)、「ある程度知っている」は、約 47%(28 人)とほとんどの人が意味を理解している(図 20)。 図 20 3Rの認識度 エコマーク(様々な商品、製品およびサービスの中で、「生産」から「廃棄」にわた るライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた 商品につけられる環境ラベルである。)については、「詳しく知っている」は、約 28% (17 人)、「ある程度知っている」は、約 44%(26 人)とこちらもほとんどの人が意味 を理解している(図 21)。 しかし、グリーン購入(製品やサービスを購入する際に、環境を考慮して、必要性を よく考え、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入することを意味する。) については、「詳しく知っている」は、約 17%(10 人)、「ある程度知っている」は、約 18%(11 人)と一気に意味を理解している人の割合が減ってしまった(図 22)。エコマ ークは、グリーン購入法の判断の基準より多面的な基準を策定しており、エコマーク認 定商品は、原則としてグリーン購入法(判断の基準)に適合している。このように、グ リーン購入を進めるためには、ライフサイクル全体にわたって多様な環境影響を考えて いるエコマークが参考の1つとなる。しかし、密接な関係にあるにも関わらず、両者の 認識に差が生じてしまっている。 43% 47% 5% 5% 詳しく知っている ある程度知ってい る 聞いたことはある 全く知らなかった

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20 図 21 エコマークの認識度 図 22 グリーン購入の認識度 28% 44% 28% 0% 詳しく知っている ある程度知ってい る 聞いたことはある 全く知らなかった 17% 18% 30% 35% 詳しく知っている ある程度知ってい る 聞いたことはある 全く知らなかった

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第4章 結論

日常生活に関する「もったいない」意識では、節水・リサイクルなど、資源やエネル ギー消費に直接関係する項目では関心が高い。そして、日頃の実際の行動にも伴ってい る。例えば節水は、マイ箸やマイボトルを持参するのと異なり、事前の準備がいらず、 少しの労力で抑えることができるためではないか。 レジ袋をもらうことについては、スーパー利用時とコンビニ利用時で実際の行動に大 きな差がみられた。この差は、コンビニはスーパーより、レジ袋削減に対する呼びかけ や対策が十分に行われていないからではないかと推測される。スーパーでは、マイバッ クを持参するとポイントカードにさらにポイントを付与してくれる店舗や、レジ袋を有 料化している店舗もある。しかし、コンビニでは、こういった対策が行われているのを あまり見たことがない。このことから、コンビニもスーパー同様に積極的にレジ袋削減 の対策を行えば、この行動の差を埋めることができるのではないかと考えられる。 また、できるだけ再生素材から作られたものを使用しているかについて・環境負荷が できるだけ少ないものを購入するかについては、「わからない」「当てはまらない」など の回答が多かった。一概には言えないが、1 つの可能性として、専門的な環境用語が入 ると「わからない」「あまり当てはまらない」「当てはまらない」という回答が増えてし まうことが予想される。これは、普段耳にしない用語のため敬遠してしまうからではな いだろうか。 さらに、専門的な環境用語の認識度については、3Rについての認識度は比較的高く、 リサイクルできるものを捨てることについて「もったいない」と意識する人が多い。ま た、「もったいない」という意識だけでなく、実際にリサイクルを心がけて行動してい る人の割合も高い。しかし、密接な関係にあたるエコマークとグリーン購入の認識度に は差が生じてしまっている。これは、この二つの関連性をきちんと理解している人が少 ないためだと推測される。そのため、「できるだけ再生素材から作られたものを使用し ている」、「環境負荷が少ないものを購入する」という項目について、実際に行動する人 が少なかったことも併せて言えるのではないだろうか。人々のもったいない意識が比較 的高いことを考慮すると、分かりやすい言い回しを使用するなどの工夫をすれば、実際 に行動する人も増えるのではないかと考えられる。 今回の調査では、「もったいない」と感じていることについては、ある程度行動も伴 っていることが確認された。ここから「もったいない」と思わない対象については、環 境配慮行動を行なう人が少ないことが予想される。よって、ただ環境意識向上を呼びか けるより、普段の生活にどれだけ「もったいない」ことがたくさんあるかを多くの人に 知らせ、実感してもらうことが大切であると考えられる。

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・謝辞

本研究論文を行うにあたって多くの方に支えられ書き上げることができました。この 場をお借りして深く御礼申し上げます。 指導教員であります枝廣淳子先生には研究テーマの選定段階から卒業研究計画書の 作成,卒業論文の執筆に至るまで大変お世話になりました。最後まで大変丁寧にご指導 いただいたこと深く御礼申し上げます。 また1期生の皆様には研究やそれ以外の多くの場面で支えていただきました。皆様の 助けがあったからこそここまで辿り着くことができました。とても感謝しております。 ありがとうございました。 多くの方に支えていただいたこと心より感謝しています。この場をお借りして再度皆 様にお礼申し上げます。ありがとうございました。 2017 年 1 月 25 日 吉田祐実

・参考文献

[1] 小野寺慎一郎(2016)『もったいない』マガジンハウス [2] 今井芳昭,2008,「環境配慮行動を促すための社会心理学的アプローチ」 『エコ・フィロソフィ研究』107‐128 (2015 年 11 月 24 日取得, http://www.toyo.ac.jp/uploaded/attachment/6840.pdf) [3]「第 1 章 現代の環境問題と循環型社会」 (2017 年1月 9 日取得, http://www.hmt.utoyama.ac.jp/socio/lab/sotsuron/03/miyata2003/%E7%AC%AC1%E7%A B%A0%E3%80%80.htm) [4] 西村日出夫,2007,「修繕の精神 : 環境意識としての「もったいない」を支える 生活態度」 『帝塚山大学心理福祉学部紀要』73‐83 (2016 年 12 月 28 日取得, http://ci.nii.ac.jp/els/110006487586.pdf) [5]「社会的ジレンマ 東京国際大学」 (2017 年1月 24 日取得, http://www.tiu.ac.jp/~hori/horilab/index.files/Page1515.html)

参照

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