バ
ウ
ム
テ
ス
ト
診断的解釈
の
理
論
と
技法
※一
谷
彊
Basic
Theory
and
Techniques
for
Psychodiagnostic
Interpretation
of
the
Koch
’s
Baumtest
(
Tree
−Drawing
Test
)
Tsuyoshi
ICHITANI
抜萃 (抄 録 ):コ ッ ホ (Koch , K )の バ ウ ム テス ト (樹 木 画テ ス ト)の 心 理 診断 的解 釈に 際 し ては, 描出の 発 達 的 側 面, 筆蹟学 的 側 面 , 及 び空間象徴的 側 面 を主た る3
側 面と して焦 点をあわ せつ つ , 統 合 的に解釈 して い くこ と が重 視 さ れて い る。 本研究 で は,これ らの 諸 側 面 につ い て の投影法的 な 理 論 ない し概念につ い て論 述 し, その の ち, 臨床 的 事 例につ い て 具体 的に診 断 的解 釈 を展 開する こ と に より,利 用 者の便宜 に供 し たい 。 バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法Abstract
: In the present study , the author refers to the main basic and thetheoretical aspects of the
Koch
’sBaumtest
(Tree −Drawing
Test
), that is, thedeve】opmental (or formationaD aspect , the graphological aspect , and the
Raumsymbolik
(space symbolismic aspect ).These
three aspects , to the presentwriter , seems to be the very important ones
for
the valid and renable diagnestic
interpretations
of theBaumtest
.On
thebasis
of these three aspects , the concretediagnostic interpretations of some clinical cases are also presented for the
convenience of the users of this test.
Key
Words
:Koch
’sBaumtest
(Tree
−Drawing
Test
),develop
皿 ent. graphology ,Raumsymbolik (space symbolis 皿),psychodiagnosis .
検 索語 バ ウ ムテ ス ト (樹 木画テス ト), 発達 ,筆 蹟 学 , 空間象徴理論, 心理診 断。 ※ 謝 辞 :本研 究に際 し,徳 島 文理大 学 教 授 林 勝 造博士 に厚く謝 意 を 表 し ま す。 ま た,貴 重 な資 料をご提 供 頂い た村地秀子先生, 吉田兵一先生, 津田浩一先生 に も厚くお礼 申し上 げ ま す。な お,バ ウム テス トに ご協 力い た だ き診 断 的 解 釈のた めに お力そ え 下さっ た児 童 ・生徒の方々 に心よ りお礼 申し上 げ, 今後更に研 鑽い た し ま すこ と を 紙 面 を借 りて謝 辞と させ てい た だ き ます。
1
西 山 学 報
バ ウム テ ス トの診 断 的解 釈に さい して は,
発 達 的 側 面,
筆
蹟 学 的側 面,空 間 象徴 的 側 面の
3
側 面 に焦
点をあて て行 うこ とが 一一般 に重 視 さ れ て い る。 しか し, これ らは相互 に密接
な関 連が あっ て , 別 個に取 扱 うこ と に は多
少の無
理 があ
る。 けれ ども, 記 述に さい して は 一 応, 個々 に取扱 わ ざる をえない の で , 便宜 上 , こう
した 順序
に し た が っ て述べ てい くこ とに したい 。1
.バ ウム テ ス トの 発達 的検 討 :1
.Koch
,K
.(
コ ッ ホ)
の 発 達 的検 討
発達 指標
的項 目につ い て原 著の
Der
Baumtest
(
こ こ で は1976
年 版 の 第7
版 を使 用 。 こ れ は1957
年
の 第3
版の重 版で ある。)で , 彼は 「 発達テ ス トと して の バ ウ ム テ ス ト(
pp
.4g
−76)
」(
Der
Baumtest
alsEntwicklungstest
)
とい う章 を設定
し,描 画 的 表 現の発 達, 年 齢 的早 期型
(
幼児
型)
,統 計 的基礎 な どに言 及し たの ち,
一
線幹 (
Die
Strichstamm )
, 一線 枝 (Der
Strichast>
, 二 線 幹, 直交 枝
(
垂直 線)
, 水 平 枝, 空 間 倒 置(
Raumverlagerungen
)
,幹
下 縁 立, 幹 下 直 などにつ い て発 達 的傾 向 をみてい る。次い で , 「大 き さの比
率 (
Die
Gr6Benverhaltnisse
)
」 の章
を設定 (
PP
.77
−90
)
, 幹 と樹 冠 との 平 均の 高さ や その 比率
, 上 の 長さ(
樹 冠 の高さ)
の 強 調, 下 の長 さ (幹の 高さ)
の 強調,樹
冠の 左 右の 幅 などにつ い て統計
的 資 料 に 基づ い て発 達 的 傾 向 を検 討 して い る。 加 えて , 巻末 (
PP
.247
−258
)
に 「バ ウ ム 統言i
学の た め の 表(
TabeHen
zurBaumstatistik
)」 を付 加して, 幼
稚
園児 (
6
〜7
歳)
か ら中学3
年 (15
−16
歳)
まで の 健常児 (
男
女 別と 込 み)
,6
〜17
歳 の養 護 学 校 精神
遅滞児
,29
歳の 精 神 遅 滞 者, 未 熟 練 労 働 者(
15
〜20
歳)
, 商業 従事
者 (20
−35
歳 ),黒 人 (14
〜18
歳)
な どの デ ータを詳 細に掲 載 して い る。 この 巻 末の 統 計 表の た めの指 標 的項 目は , 全部
で58項
目 に わ た っ て い る。〔
図1
は同書のP
.59
に掲 げ ら れて い る早 期 型(
幼児
型)
の図式で ある。〕
被 験 者数
は幼児 (
6
−7 歳
)255 名
, 小 学 生(
小1
〜小8
)
1723
名
, 中学生(
中 ] 〜中3
)
657
名 (
註
: これ らは戦前
の 日本の学 校 制 度に ほ ぼ対 応 して い る。)
, 精 神 遅 滞 児 (者)
は全 体 として1018
名(
6
〜29
歳)
,未熟練労
働者 (
15
歳以 上)
は598
名, 商業従事
者は66
名 (
20
〜35
歳 )
, 黒人 は22
名 (14
−18
歳)
とな っ て い る。図
2
と図3
と は ,い くつ かの指 標 項 目につ い て ,Koch
,K
.の もの と, 我牢
『
∠
準
1 2 3紳
曾
8 9 10響
黍
繊
鱗
罪
耨
14 13γ
」
ヱ
曙
β
蘯
鑾
馴
肺
儲
惨
15 16 22 23 24 25 26 27 バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法 〔図 1〕年齢的早期 型 (幼児型〉の 図式 (上掲 書 ,P
.59
) が国で津 田 らが 中 心 とな っ て検 討 した もの (一一谷 ・林 ・津田,1968)
とであ
る。 両者
を比 較 して み る と, 一線枝 の 漸 減,二線 枝の漸 増, 直交 枝の 漸 減は, 両 者間
で対
応 し た結 果 を示 してい る が, 実 と幹下縁立 (Frnchte
;Stammbasis
aufBlattrand
)
で は,
Koch
,K
.の デ ー タで は 一貫 して 減 少 傾 向 を示 すが ,私 ど もの もの で は幼 児 期か ら小 学 校 低 学 年で は, その後
の年
齢 期 よ りもや や 出現 率は高い けれ ども,Koch
.K
.の デ ー タ の ように は着 実に 減 少す
る傾向
を示 さない 。 国吉 ら(
1962 )
の デ ー タ で は, む しろ, 上記の5
項 目につ い てKoch
,K
.に近い 傾向
の デ ー タを得て い る。こ の よ うに して
検
討 して み る と,Koch
,K
.が, 原著の 「Der
Baumtest
」 の 巻末
に掲 載
してい る58
の指 標 項 目につ い ての 発 達 的な統 計デ ー タの表
や, 原 著の本 文 中に掲載
して い る発
達 的デ ー タ の表 との あい だ に , 重複 して掲 載 さ れ てい る もの とそ うで ない もの とがあ
るこ と, また, 重 複掲載
されて い る もの で も, 本 文 中の 統 計 数 値 と巻 末の統計数値
とを対
応づ けて試 算 し て み る と,必 ず しもぴ っ た り と合致 しない 指 標 項 目のある こ とが見 受 け ら3
一西 山 学 報 比 較 表 % oo go 8° ・・ 60 50 40 30 aD 100 幼 ノ亅、12 3 4 56 78 :lr’ 11 m 〔図
2
〕Koch , K .に よ るバ ウ ムテ ス ト統 計デ ータ の 例(
Koch
,K
.1976
,Baumtest
, pp ,249
−250
の 図示 ,男 女込み , 第7
版) % 9080 70605040302010 〔 年 長 》 〔 年 少 ) 〔図3
〕 日本で の発達 的資 料 (一谷 ・林 ・津田,1968) 〔図 5 との 関 連で 5 項 目につ き図 示〕 れ た。 しか し, 全 体 的に は, 著 し く大 きな誤 差 を示 す もの は な く, 計算
上 か らみ て許容範
囲 と考
えて よい程度
であ
っ た。Koch
,K
,の と りあ げて い る58
個の 指 標 項 目は , 発 達 的 な精 神 遅 滞 児(
者)
の グ ル ー プの デ ー タ も考 慮 に入 れて , 有 効な発 達指標
と な りう
る も の は, 私 た ちが こ れ まで検 討
し てき
た もの など も考慮
に入 れて み て も,(
十分な精査 は な し えて い ない が,)
大 体 半 数 程度
の項
目 に落
ちつく
よう
に 思 われ る。次 に, 私ど もが い ろ い ろ と検 討 した結 果, 現 時 点で比 較 的 明 らか に な っ た こ とは 次の点である。 すなわ ち, 先の 図
1
に掲 げた 「年 齢的早期型 (幼 児 型)
の 図式
」 をみ る と, こ の 図式
に該 当 す る もの と して27
種 を例 示(
図1
の 中 の 番 号 ) してい る。Koch
,K
.は, こ れ ら に つ い て 「Der
Baumtest
」 (第7
版 ) の 原著の 巻 末の 統 計 表の デ ー タ を 数値 計 算 す る に さい して,本 文 中で 説 明して い る こ と と対応づ けて み る と以 下 に挙 げた よ うなこ とが わ か っ た。 その こ とを図1
と原 著(
第7
版〉
の 巻末
の表
とで対
応させ て列挙
して み る と次σ)よ うで ある。 バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法 ・ 原 著 の巻 末
で の指標
項 目番
号L
● o ク 〃 ク 〃 ク ク 〃 〃 〃 ク 〃 〃 〃 〃 ク
3
.4
.5
.8
.9
.5
−一西 山 学 報 ・ 原
著
の巻
末で の 指 標 項 目番号12
.Aste
bis
zumBoden
(根元 までの 枝
)
は, 図1
で は, 例 示 な し。 ・〃
〃
〃
13
.Tief
且iegende
Aste
(分 離 し て低い とこ ろに ある枝
)
は , 図1
で ‘ま,6
,7
,12
,130
(註)
指 標 項 目番 号12
,13
につ い て は,13
に関 して は 「冠 下枝」
(
図4
参
照)
をい って い る よ うで, こ の指 標 項 目
13
の な かに,
12
(
根 元 まで の 枝)
を含
め て い ると
考
え られる面 もある。 し か し, 、い ずれ に せ よ, 幼 児型 と み るの か, そ れ と 〔図
4
〕冠 下枝の例も年 齢 的 退 行 とみ るの か の点で は, そ
れ な りに重 要な
指
標 とな りうる こ とに な る。 ・ 原著
の 巻 末で の 指 標 項 目番 号33
.Stammbasis
aufBlatrand (
幹 下縁 立
)
は, 図1
で は,23
を例 示 と して い る。 ・〃
〃
〃
34
.Gerade
Stammbasis
(
ま た はStammbasis
gerade
;幹下 直)
は , 図1
で は,23
を 例 示 と して い る。(
註)
こ の2
つ の指
標 項 目は,便宜上 ひ とつ の 図式(
図1
の23 )
で代 表させ てい る の か ど
う
か不 明確
であ
る。 ・ 原著の 巻末
での指
標 項 目番 号27
.Raumverlagerungen
(
空 間倒 置 )は , 図
1
で は10
,11
,13
,14
,18
〜20
を例示。 ・〃 ク ケ
16
.Sonnenrad
undBlumenformen
(
日 ま わ り状 と花の 形)
は, 図1
で は,8
,9
を例 示。・ 原 著の 巻 末で の
指
標項
目番号
10
.こ の ような点 を みる と, 重 複 して と りあげて い る場 合 と, 同 じ もの をち が っ た視 点で とりあ げて い る場 合 とがあっ て, 非 常に複 雑煩 瑣 な
印象
をう
ける。 私 たちの 発 達 的研 究で は, で きる だ けKoch
,K
.の精 神に沿 っ て, 上 に挙 げたよ うな部 分 的混 乱を 避 け る よ うに努め た が, 今 後の検 討 も ま た れ るとこ ろ である。今ひ とつ 重要な点は, 原
著
の本文
中や巻 末の 統 計デ ー タ の表
をみ て み る と, 指 標 項 目の なか に は, 加 齢に伴っ て も 一貫し て 出現 率の 低い もの や ,高
い もの がある とい っ た ぐあい に,横軸 に年 齢 をとっ た とき
にこ れ と平行 した形の グラ フにつ い て は , む しろ, 特徴
的な特殊
指 標(
特 殊サ イ ン)
と み た方が よい だろ うと考え られ る指
標 項 目 も見受
けられ る。 こうした問題 が残 るこ とも今 後の検討
課題で ある。考 えて み る と ,恐 ら く
Koch
,K
.は, こ うし た 大量の デ ー タを集
めて , 極め て 忠 実に数
量化 する こ とに傾倒
して きたの だ が,独力
で黙々 とデー タ を整 理 し て きた た め に, 全 体につ い て 十分
に吟味 する余
裕 もな い ままに,若 く
して 他 界 し た と考
えら れる ふ し も あ る。 その 点で も,で き る だ けKoch
,K
.の 精 神に沿っ た 形で, 各 方 面か らの資料
を つ きあわ せ た り, また, そ れ 以前
に, 個 々 の指 標 項 目に つ い て操 作 的規定
を明確化
し て デ ー タを整 理 するこ とが のぞ まれる とこ ろである。今
まで み て き た諸 点が今 後の課 題 と して 残 さ れて い る面も あ る が, 大 局 的 には,Koch
,K
.の発達 傾向 資料 と,我が 国で私 ど もが検 討 した も の とが よ く対
応す
るこ と は注 目す
べ きで ある。 しか し,Koch
,K
で は, 年 齢 的上 限はせ い ぜ い20
〜30
歳 代 あた りまで で, そ れ 以 上の 年齢につ い て は あま り 資 料が集め られてい ない 。 そこ で , 以 下 で は, 樹 木 画 を全体
と して みた と きの 「幹と樹 冠 との比率
」 や 「画 面 (所 与の環境)
に対 して描出 され た樹木
が どれ くらい の 広さ(
面積
:分 量)
で使用 されて い る か ?」 の 「画 面の バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法 一7
使 用量」 などにつ い て , 高齢 者 まで に わ た っ て み てみ るこ と に したい 。
2
.「幹
と冠(
樹
冠)
との 比 率」 の発 達 的傾向
西 山 学 報Koch
,K
.は そ の 原 著Der
Baumtest
(第7
版 ,1976
;第3
版1957
の 重 版)
の 「大き
さ の比 率」 (PP
.77
−90
)
の 章 で, 幹 と冠 (樹冠)
との 比率 の 発 達傾向
を示 して い る。 そ れ を図示 した もの が 図5
で ある。幼稚
園児
, 精 神 遅 滞 児 (軽 度 ), 初 級 学 校 生 徒 (小 学 校 に 相 〇 一 〇 鴎. 爵 11.3 幼 稚 園 児 OHO 吩, 臼 精 神 遅 滞 児 IL3 〇 一 〇 寸.9
113 初 級 学 校 生 徒 9013 卜, oo 中 級 学 校 生 徒 〔図5
〕Koch
に よる樹 冠と幹の 高さの比率(
Koch
, K . Der Baumtest .1976 , P .89)当
)
, 及び中級学校
生徒 (
中 学 校に相 当)
につ い て ま と め た もの で ,すべ て冠 (樹冠)
の 高 さ を10
と した ときの幹の高
さ を示して い る。 これにつ い て , 山下 真 理 子 (1982
) が ,我が 国の 児 童 ・生 徒 (すべ て健 常 児)
につ い て検 討 した結果 を, 「教育 心 理 学 研究」 (日本教 育心理学 会刊)に報 告 した の が 図6
と図7
とで ある。 図6
はKoch
,K
.の もの(
図5 )
に対 応 し た図 で あり, 図7
は, 樹冠 の左 半 分の幅
を10
と した とき
の ,左
半 分の 幅の 年 齢 的変 化 を示 して い る。 (こ れ は, 図5
のKoch
,K
,の もの で い うと左 右の 幅 の比 率の , ]0
:11
.3
に対
応 す る もの で ある。) 幹 と冠 の 比率は, 山 下の研 究で は, 小学 校 を低, 中, 高学 年に区 分 して お り,Koch
,K
の もの に比 し て, よ り細か く検 討 さ れて お り, 注日 に値
する。 幹 と冠 との比率
の年齢 的
変化は,Kech
,K
,の もの と極 めて よ く対応 し て お り, 年 代 (時代)
を 超 え て.一貫 した もの であ
る こ とが 示 唆 さ れて い る。 樹冠 の左右の 幅の 比 率は,Koch
,K
.の もの で は , 左 半 分 を10
と した とき, 発達 的に みて, 右 半分 は 一 貫 して11
.3
という値
とな っ て い る(
図5
参照)
が ,山
下 (1982
)で は,男
女 と もに学 年に よっ て一貫 した傾向
は み られ ない が ,全 体 と して は ,11
か ら11
.3
の あた りの 値 を示 して い る 。年
齢 的に多 少の 動 揺は あ る が ,Koch
,K
の 示し た もの より
や や低
い数
値 を示 す もの の ,彼
の示 し た値に 近い ま わ りで 変 動す る数値を示 して お り,総 体 的に は , 左 幅よ り も右 幅が や や広くなる とい う傾向 にある。 総 じて , 左 幅と
右
幅 との 比 は, ほ ぼ 一定
と な るこ と を示 してい る。 こ れ に加 えて, さ ら に高 年 齢にい た る までの 資 料に つ い て樹 冠 と幹と の比 率 をとっ て検
討
して みた もの を, 小 林敏
子, 山 下 真 理子,津田 浩一 ら を中 心 に検討 して み た とこ ろ 図8
C
一谷 ら ,1988
)
の よ うになっ た。 この 比率の 加 齢的変化
は,つ り針型 のU
字 型に なっ て お り,一般 にい わ れ る と こ ろ の, とr. 「年が い くと 子 ど 幼 稚 園 児12
11b
校 1 ・ 2 年 生牛
牛
弁
中 学 生 小 学 校 5・ 6 年 生 小 学 校 3・ 4 年 生 〔図6
〕各年 齢段 階の樹 冠と幹の高 さの比 率 値10
9
(山 下,1982
) 。1urli
)
ur1
[
u r
幼 少12
3
4
5
6
中12
3
年 齢 (学 年) 〔図7
〕 樹冠の左半分に対する右 半 分の 幅の比率 (b 値)の 年 齢 的変化 (山下 ,
1982
) バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法 もに か える」 とい わ れ る 側面
を示唆
して お り , 注 目に値 する結 果 と考 え ら れ る もの で ある。Koch
,K
,に よる と, 上の 長 さ (上の 高さ)
の 強 調 は, 筆蹟学的 に, 知的 一精 神 的生 動 性 (Lebhaftigkeit)
と ,宇 宙
的 な もの, 超感
覚 的 な もの(
Ubersinnlichen
,形
而上 的な もの)
, そ して観 念へ の関
心の存在
を示唆
し て い る。 つ ま り, 超 感覚
的 な もの へ の帰依
, 知 的優 位, 精神 的傾向
, 精神
主義
, 理 想主義
,願 望 世 界 (Wunschwelt
;理 想 社 会)
の 強 調, 自 己 顕示 欲(
Geltungsbedttrfnis
)
, 自己意識 (SelbstbewBtsein
)
, 自負, うぬ ぼ れ9
西 山 学 報 斟 映 V 華 瓦 e 珈 溺 ε 〉 ( 巴
薹
。 〔 轄 S 斟 殳 げ ) 董 醐 3理
ε x δ 〕 韓 S 副 階 く 匪 畝 θ 斟 所 ( 『 ) 〈 〔 9 ) 20 OU 8 17 (38} 16 54 3 2 11 1 1 11 − 10 9 87 ρ 05 4…
も ノ 、 ,O (118) o’ (88) (b=a) ) ) ゜
Lr
下Tr
一 一 「一 「 一 「 一 一 「 幼 小 小 中 高 大 30歳 代 50歳 代 70歳代 稚 学 学 学 i l 校 校 校 校 学 40歳 代 60歳 代 團底 垂
〔図8
〕 冠 と幹の比率の加齢 的変化(一谷, 相田,小林 ,津田, 山下, 弘田, 林, 国吉, 松 井, 1988)
(
Einbildung )
, 精神
感 応 力, 熱 狂, 狂 心, 激 情 的 (さ しせ まっ た熱 情 性)
〔
冠 部が炎型 の と き〕
,名 誉欲 (Ehrgeiz
)
,誇大妄想, 現 実 感覚
の欠 如, … 無 意識 (= が動 機 となる)か ら とい うこと が少 ない ,創 造 的 (sch ◎pfend)
,多
面 的(
Oberflachlichkeit
)
,軽 率性 (
Fluchtigkeit
)
な
どを示 唆
し,ま
た, 過度
の樹
冠の高
さを示す個
々 の 症例 の な か に は, この徴 表
が退行
的性格
を もつ こ と もある と して い る(
Koch
,K
.Der
Baumtest
,
第 7
版,PP
.83
−84
)
。 また, 下 の長 さ(下の 高さ
)
の強 調 (幹の高 さの強調)
は , 身 体性 と物 質 性の生 動 性 (Lebhaftigkeit
)つ ま り, 本 能 性 と無 意 識 性の 活 動 を表 現 してお
り
, …本能性 (
本能的
なもの)
の活動
,無意
識性 (
無
意識 的 な もの)
を 起 点 と して生 きて い る, 感性的 な もの へ の 生動性, 低い 意識性, 未覚 醒 的(
unerwacht)
, 発 育 抑 制,未
熟性 (
unreif)
, 退行
してい る, 遅滞
して い る,幼 児
的 な どを(
要 約 的に みて)解
釈 適応可能 としてい る。 (独 語版, 第7
版,PP
.83
−85
)
。 こ の ようなKoch
,K
.の 解 釈 仮 説を参 考 と しつ つ , こ こ に み た 結 果 を な が めて み る と,現 代 社 会 との関連 , ま た, 加齢との 関連に おい て, 示唆に 富んだ もの と考 えてい る。3
.画 面の使 用 量(
使 用面 積)
と加齢 的 変 化バ ウム テ ス トに用い る画 面 を, 含 畜的に, 各 個 人の 所
与
の時
間 的, 空間的 な環
境 と考
えると, 画 面に樹木
を描 出する に さい してそれ ぞ れの被験者
の 使 用 する面積の広 さ (樹 木の大 きさ)
が ,林 勝 造博
士の いう
ところの ,各
人の 「持 ち歩い て い る 空 間」 と考 えて, 発達的,加
齢 的に どの よ うに変化
していく
か を検 討 する こ とも重要な意 味を もつ もの と考え ら れ る。 その こ と を私 た ちは小林 敏 子 津田浩一,山下 真理子ら を 中心 に , 図9
に 示すよう
な方
法で 吟 味 ・検討 した (一谷 ・相 田 ・ 小 林 ・津
田 ・山下 ・弘
田 ・林
・国 吉 ・松 井,1988
)
。 具0
・ 〔図9
〕 画 面の分割 方法 (一谷 ら,1988
) バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法 体 的 に は, 画 面(
A4
判 画 用紙)
を, 縦に20
等 分,横に14
等 分, 合計20
×14
=280
個の マ ス 目に等 分 割 した 。 さらに空 間象 徴 との 関 係 をみ るの に, 全体
を縦 ・横
と もに2
等
分,合計
2
×2
=4
分割 して図9
の よ うに ,A
,B
,C
,D
の 領域 と命名
した。 つ ま り, 右上の 領 域がA
, 左上 の 領域がB
, 左下 の領 域がC
, 右下の領域がD
の領域
となる。各領
域は70
個
のマ ス 目 か ら な っ てい る。 全体
をT 領
域(
Total
) と命 名
して , 加 齢 とと もに どの よ うに変 化 するか をみ た。 ここ で はT
領域 (
画 面に対 して樹木
描 出に使
用 し たマ ス 目全 体 )の 加 齢 的変 化 をみ て み る。 〔A
,B
,C
,D
の各 領 域の使 用 量につ い て は, 空 間象徴
との 関連で, の ち に言 及す
るこ とに したい 。〕
結 果は, 図
10
に み る よ うで ある。 先 に見て きた幹 と樹 冠 との 比率 (
図8
)
とは逆の形で, い わゆる 逆U
字型 とな っ てい る。 性別 で み る と, こ の 一11
一
T
領 域 ( 領 域 全 体 〉 で の 使 用 量 西 山 学 報 大 学 生 高 校 生 中 学 生 小 学 生 ( 高 ) 小 学 生 ( 中 ) 小 学 生 ( 低 ) 幼 稚 園 児30
歳 代40
50
歳 歳 代 代 み)60
70
歳 歳 代 代 〔図10〕T
領域 (領域全体 )に おける使 用 量 の年 齢と性 別に よる変化 (一谷 ら,1988
) 逆U
字型 が ,男性で は や や左 側 (中, 高, 大学生あた り)
にあ り, 高校生 で ピークに達して い る 。女
性で は や や右 側にその ピ ークがあ り ,30
歳 代,40
歳 代 あた りに ある とい う結果 にな っ て い る。 そ して, 男女と もに,50
歳 代で使 用 量が減 り, 以後は男 女 間に差がみ とめ られない 。 同時に, 低 年齢 の 方に目を向
けると,幼
稚 園 児や小 学生 で は画面の使
用 量に著 しい ひ らき が な く, 中, 高校 生で は男子の方
が女 子 よ り画 面 を広 く使っ て樹 木を描 出 してい る が, 大学
生の 段 階で は差 がな く, こ こで逆転 して ,30
歳
代,40
歳 代で女 子の方が樹
木を広く
画 面 を使 用 して描出 し てい るこ とが うか がえる。一般 的, 常 識的にい われ る “ 老 年 期に入 る と赤ん
坊
にかえる” という
こ とが, こ こ に は示 されて い る ように思える。 男性と女性 との あい だで , 使 用面 積が大 きくなる年 齢期にズ レの ある とい う現 象は , 現代の 社 会的様 相の諸 側 面と 関連づ けて
考
えてみ る と , この 結 果が示 す含 畜 的 意 味は理解可 能 な面 が ある よう
に思 えるの で ある。4
.発達 的側 面 につ い て の要 約指 標 的項 目につ い て は,
Koch
,K
.の挙 げた もの の うちで ,安 定
した発 達 傾 向 を示 す もの は,
58
項
目のう
ち,約半数程度
で, 今後
さ らに詳 細 な検討 を要 す る。幹 と
樹
冠 との比率は, 発 達 的に安 定 した結 果 を示 し, それ が もつ 心 理学的意 味 と も よ く対 応 する。画 面に対 し て描出 さ れ た 樹 木画 の 面
積
(広 さ)
は, 発達的 にみ て も,心理 学 的 意 味 と よく対 応 し,解 釈や診 断に有 効 な指 標 とな りうると思 わ れ る。
ll
.バ ウム テス トで の筆
蹟学
的 側面 :Koch
,K
.の 英 語 版の 著 書 (The
Tree
Test
:The
Tree
−Drawing
Test
asAn
Aid
in
Psychodiagnosis
,1952 ) [
林
・国吉
・一谷(
訳)
「バ ウム テ ス ト ー樹木
画に よる 人格 診 断 法」, 日本 文化 科 学 社
刊]
を検 討
して み る と, 「わ れ われは , さっ そ く,筆
蹟 学の 原 理 を新 しい 方 法で 用い る こ と を学ば ね ば な ら ない 。 書 字 はその性 質か らし て左か ら右へ と向か っ て “ 現 わ れ”, “ 生 ずる” の に対 して , 木は本来下 か ら上 に向か っ て伸びる。 …書 字の展 開は 自我の 地 点か ら右 方へ である が , 木の 場 合は下 か ら上で あっ て , 人間
の発 達 も自然 な方 向にある木
にな ぞ らえる こ とが でき
る。 す なわ越
ち, さらに は前 バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法 の 発 達は根に は じ ま り,幹
か ら成 長し, そこか ら上方,左 右,後
へ と伸
び る 。 … …」 (上 掲 訳 書 ;P
.8
)
と述べ て い る。 ま た, 「木が 下 か ら上 に向
か っ て伸 び るこ とは,多
くの 意味
を示唆 する。 つ ま り, 無 意 識か ら意 識へ の発展 , もっ て生 ま れ た才
能 か ら その 実現へ の発展, 時 間 的に み た場 合はその人の生活 史 (観 察に よ れ ば, 早 期の 強い 体験は木
の根
の ほう
に, 最 近の もの は上部
に示 さ れ る 傾向
が ある)
な どがそれで ある」 (上掲 訳 書 ;P
。9
)
な ど と も述べ て い る。 こ う した記 述は 随所に認め られ,筆
蹟 学的 研 究 の 成果が 空 間象 徴理論の 背 景に部分
的にせ よ介 在
して い るこ と を 示 唆 する もの である。 従っ て , 上 に記 載 し た ような記 述につ い て は , 次の 空 間象
徴につ い て の項を設 けた さい に考 察す る こ とに したい 。こ こで 注 目して お きた い の は,
筆
蹟 学 的研 究 成果
や その考
え方
が, バ ウ 一13
一西 山 学 報 ム テス トで は
各
所
に 融 合 した形で関 連づ けられて い る もの と考 えたい 。 し か し,筆
蹟 学 的観点
が , 比 較 的 その ま まの 形で関与
して い る とこ ろは, 訳 書(
P
.24
)
の 「筆蹟学
的類
推」 の 項で ある が, こ こ で は 主 に, “ 棍 棒 状の 書 字” と関 連づ けて, 外 に ゆ くほ ど太 くなっ た枝 をか く人につ い て 言及 し て い る 。 その他の箇 所 に 目を通 して み る と, 訳書(
PP
.99
−100)
の , 『樹 木テス ト施 行の た めの 表』 の なかの 「特徴
の変化
」 の 項で ,筆
圧 の変化
に つ い て触 れて お り, その あ と,筆
圧の 消失, 濃さ, 濃さの 欠 如 , ゆ た か さ, 単 純化
につ い て 言 及 して い るが , こ の あた りはか な り直 接 的に筆蹟 学上 の筆
圧 , 運筆
, な どに触
れて い る とこ ろ と考 えられ る。 ちな み に, 初 心者で は, と りわ け,訳 書
のP
.53
厂2
.樹 木
テ ス ト施行
の た めの表
」 か らP
.109
まで の とこ ろ を手 引 き書 的 に用い て, 具 体 的 な 指 標 項 目(
特
徴 :Merkma1 )
に 関連づ けて樹木
画 を解釈
する こ とが多
い 。 そ うな る と, こ こ で述べ た 「特 徴
の変化
」 の 項 目 は, 具 体 的に 図式
化 した図を掲 載 してい な い の で, よ く見 落 とすこ とが多
い よう
で ある。 その他に は, 特に運筆
や筆
圧 な ど に関係 して い る と思わ れ る とこ ろ は, (全 般 的に筆
蹟 学 的 な観 点に 依 拠 して い る とい うこ ともで きる が)
「幹の 表 面 」 (訳書P
.60
−62
)
, 「 乱雑
な線 か らで きてい る 冠部
」(
訳書 P
.77
)
, 「枝
に み ら れ る不 連 続 な線 」(
訳書 P
.78
)
, 「陰影
や縞 影
で か か れ た冠 部」(
訳書P
.85
)
, 「 明 暗」 (訳 書P
。86
)
な どで あろ う。 な お ,訳 書で は,補 遺 「日本に お ける バ ウ ム テ ス ト の研 究」 (訳 書P
.111
以 下)
の なか で , 国吉政 一博士 が仮説 的 に設定 し て お ら れ る 「’ts
格
テ ス ト的 側面
』 のう
ちの 「運筆
の 動態
分析
」(
訳 書PP
.133
−137
)
の とこ ろ や, 『3
. 人格 診 断の 補 助 手 段 と して の バ ウム テ ス ト』 (訳書P
.141
以 下)
の なか の 「非行 少 年(1
>」(
訳 書PP
.143
−147)
な どは, 運筆
や筆
圧 を考慮
した濃淡
など を重視
して み て お ら れ る の で参考
に なる。 ふ え ん以 上の よ うに み て くる と,
筆
蹟 学 的側面は , 空間象
徴的 側 面 に も敷 衍 さ れてい る と とも
に ,広 く
,各 種
の指標
的項 目(
Merkmal
)
に も溶 け込んだ 形で含 蓄さ れて い る とみ て もよ く, 上 に掲 げた指 標的項 目の み に限られ て い る もの で はない よう
に考
えら れ る。 そう
いう意
味 合い で も, 筆 蹟 学 的側 面 は樹 木描 出の 診 断的 解釈に さい して重要な役 割 を果た し て い るが, 広く
各側 面 に 浸透 して 考え られてい る もの と もみ る こ と がで きるの で は なか ろうか。
皿. バ ウム テ ス トでの 空 間
象
徴 的 側 面 :英 訳 書 の 「木 と人 間 」 (
PP
.4
−7
)
の項で ,Koch
,K
.は, ヘ ル マ ン ・ヒ ル トブル ン ナ ー(
Hermann
Hiltbrunner
)の こ と ば を引 用 して,植 物
で は, すべ ては外 に向 かおう
とする, い わゆ る開
放系
の もの で あるが, 人 間の身
体構
造 はあら ゆ る もの が内に向
かい , 中心の 器官
に よっ て育
成 され,統制
さ れてい る 閉鎖 系の もの で ある こ とに言 及 して い る。 そ して, 樹 木 画に表 現 され る もの は, 真の 外 観で は な く, む しろ, 内にある もの の 分 泌 物であ り, 内な る もの の外
に向
かう
働 きであっ て …心の “投 影
” ぞ あるこ と を強 調 してい る。 そ して,木
の法
則は内
な る もの を外
に押
し出す こ とであ
り, 人 間の心 が その 法 則 に従 うのだ とい うこ と を重視 して い る。 そ して, 空 間 象 徴に関 して は, 厂fi
.バ ウム テス トで の筆
蹟 学 的側 面」 (上掲)
で 述べ た よう
に,(
再 度 く りか えす
こ とになる が)
, 厂書字
の展 開
で は, 自我
の 地 点 か ら右 方へ で あるが ,木
の場 合は下か ら上 であ り, 人 間の発 達 も木に な ぞ らえるこ とがで きる。」(
訳 書P
.8
)
という
こ とな どに言 及 して い る(
詳 細 は訳 書 及び, 上掲の ア ン ダ ー ライン の とこ ろ を参 照 されたい ) 。 ま さこ の こ とは正 し
く
, 空 間象徴
に関す
る もの に言
及 してい る と考
えて よい 。そこ で , こ う した言 及 が た しか な もの か ど う か をた しか めるた めに私 ど もが, 小林
敏
子 ,津田浩 一 , 山 下真
理 子 ら を 中心 に検
討 した結 果に触れて み て み よ う。《
画 面の 使 用 領域 の 加 齢 的変化》
すで に前に掲 げた (「
1
.バ ウ ム テ ス トの 発 達 的検 討 」 の 「3
.画 面の 使 用 量 (使 用 面 積)
の加 齢 的変 化」 の とこ ろ の)
図9
を再 度み て い た だ き た い 。 (詳 細 につ い て は再 掲 を避け る。) 領 域A
(画 面 右上)
,B
(画 面 左 上)
,C
(
画 面 左 下)
,D
(
画
面右
下)
,0
(
中央
の領
域)
の各領
域 を,幼
稚 園 児か ら70
歳 代の 高 齢 者 まで につ い て (全 体で 約1400
名)
, 樹 木 描 出に さい して, どの程 度 用い て い る か の 広さ(
面積)
をみ てみ た。【
これ は, 前 掲のT
領 域 (画 面に対 して木を描 出 する の に どれ だけの広 さを, 全 体 と して用 い て い る か をみ た もの で ある。)
の 樹 木 描 出の 広さ を , 図9
に ある よ うに,A
,B
,C
,D
及 びO
の そ れ ぞ れの 領域 に分けて みて み た もの であ
る。】
バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法15
る る ヨ ヨ B 領 域 の 使 用 量 2 4 ヨ ヨ A 領 域 の 使 用 量 西 山 学 量 曲 。
D
用 化 次 た00
羅
・ 代鵬
翫
眠鰹
麟
灘
幼 稚 園 児幻 齢 傾 の 恥 } 年 對 線 ー 囲 の 信 〔 70 歳 代 50 − 60 歳 代 30 〜 40 歳 代 齢 大 学 中・ 高 校 年 小 ( 低・ 中・ 高 ) 幼 稚 園 児 報 〔図 11−1〕
A
(右 上) 領 域の 使用量 の 年 齢 (男 女 込み〉に よ る変化 (註) 傾向分 析の 結 果は, 一次 曲 線 及び二次 曲線の成 分が そ れ ぞ れ 有 意で あっ た。 (F、c、,1495〕=17
.68
, p < .001
:Fqcl
,1495)=222
.59 ,p
< .OOI
) 2 2嶺
・1
{
i
・靖
、 量 1 1 3 38
,・el
2蹐
、 量 2 2 70 歳 代 50 − 60 歳 代 30 − 40 歳 代 齢 大 学 中・ 高 校 年 小 ( 低・ 中・ 高 〉 幼 稚 園 児 70 歳 代 50 〜 60 歳 代 30 〜 如 歳 代 齢 大 学 中・ 高 校 年 小 ( 低・ 中・ 高 ) 幼 稚 園 児 〔図ll
−3
〕C
(左 下)領域 の 使用 量 の 年齢 (男女 込 み)に よ る 変化 (註) 傾向分析の 結果は, 一次 曲 線 及び二次曲線の成 分 が そ れ ぞ れ 有 意で あっ た。 (Flq 」4g5 )=7
ユ.85
, p 〈 .001
:Fqa
,]4gr,)≡20
.19
, p< 。001
) 〔図11
−4
〕D
(右 下)領 域 の 使 用量 の年 齢 (男女 込み)に よ る 変 化 (註) 傾向分析の結果 は,一次 曲 線 及び 二次 曲線の成 分が そ れ ぞ れ有意 で あっ た。 (Fla
.1495)=20
.32
, p< .001
:Fq ‘1、1495) =39
.44
, p< .OO1
)50
嶺
48St
46胤
量 42 40 幼 小 中 大 305070鶴
ボ
繰
需
高 代 代 年 齢 〔図11
−5
〕0
(中央 部 )領 域の 使用量の 年齢 (男女込 み)に よ る変化 (註)傾 向分 析の 結果は,一次 曲線 及び二次 曲線の成 分が それぞ れ有 意で あ っ た 。 (Fla ,ユ495 )=16
.33
, p〈 .001
:Fqa
,1495,=77
.98
, p< .001
) バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法結 果は, 図
11
−1
か ら図11
−5
に示 し た とお りで ある。 右上 のA
領域 は中 学 ・高校
生 か ら30
〜40
歳 代にかけ て使用量が多
い が, それ 以後は減 少 す る。 しか し,幼 稚 園 児の レベ ル ほ ど に は減 ら ない 。 左上 のB
領域は, 中高
生や 大 学 生の あた りで使
用 量 が大 き く, これ を中心に した 逆U
字 型となっ てい る。 左 下のC
領域の使 用 量は,幼
, 小 ,中 ・高で多 く , 以後 右下 が りの 傾向
を示す 使 用 量 とな り, 高齢 者で は使 用 量 が少ない 。右
下 のD
領 域は逆J
字型の 分布を示 し, 中 ・高と大学
生 あた りで多
い が, 以 後の年齢
で は次第
に減 る。 しか し, 幼, 小 で は高 齢 者ほ どに は減 らない 。0
領域(
中 央部)
は大体 逆U 字
型の分布
を示 してい る。 以 上 の こ とか ら わ かる こ とは,i
) 全 体 と して , 中高生 ,大 学 生か ら30
〜40
歳代に か けて は , 樹 木の描出 が 広 い 面 積 を占め て お り, 大 きい樹
木
を描出する こ とがう
か がえ,
所与
の 環境(
画面〉
に大 きな広が りをみ せ る。 つ ま り所 与の 環境
に対 して , 広い 個 人的
空 間 を持 ち歩い て い るこ とが うか が える。ii
)
右上のA
領域 は 「生へ の対 決」 の領
域 と さ れてい るが , こ れは幼
児
で は発 達 的に み て使用 が 少 ない 。 他の領 域の使
用と併
せ て み る とき, 木の 描出 が小 さい こと が わ か る。
iii
) 高齢 者
で は相 対 的に各
領 域の使
用量 が小さ く, 従っ て 樹木
の 絵が 17 一西 山 学 報 小 さ くて, 持 ち歩 く個人 的空 間が小 さい (狭い ) こ とが うか が える。
しか し, 右上 (
A
領 域)
の 使用 はみ ら れ,終末
, 目標, 死 な ど を示 唆 して い る。iv)幼 児
で は左下のc
領域 の使 用が大 き く, 発 端, 幼 児 期へ の固着
,退 行の 傾 向が, 他の年 齢 群 よ り大 きい こ とを示 して い る。
v
)
上 と下 という方 向性
で み て み る と,幼 児
で は下 の領 域 の使用 が全体 と して
多
く, 高齢 者で は上の使
用 が多
い こ とが考
えられ る。 下 は物 質性, 下 意 識, 無 意 識, 集 合 的 無 意 識 など と と もに, 林 勝 造
博
士の 試
案
で は, 地 盤 , 拠 点(
よ りどこ ろ)
, 本 能, 衝 動 な どが示 唆 され て お り, 幼 児の 心 的 特 性 との 対 応が
考
えら れ る し, 上 は意識,精
神性
,神性
, 超感覚
的な ど と ともに, や は り林 勝 造 博士 の試 案で は,理
論
的,高潔
, 目標
,抽象
的 な ど も示唆
さ れ て おり
,高 齢者
の心的
特微 と よ く対 応 す る の で あ る。 な どで あ る。 そ こ で , 画 面 を4
分 割 し たA
,B
,C
,D
の使 用量 を各
年 齢群
ご とに ,使
用 量の多
い 領 域か ら順 位で 示 して み る と, 表1
の ように なる。 表1
4
分割 下位 領 域 (A
,B
,C
,D
領域 )の使 用 量の順 位 (一谷 ら,1988
) 幼稚 園児 小 学 生 (低) 小 学生 仲 ) 小 学 生 塙 ) 中学 生 高校 生 大 学生 30歳 代 4G歳 代 50歳代 60歳代 70歳 代 23 .51 .53 .5131212121 。51 .51 .51 .51 .51 .51 .51 .51 .51 ,5151 .5 男 子 13 .51 .53 ,5243434343 .53 .5343434343 .53 .5 1.53 .52312121212L5L5L5L51 .51 .51 .51 .51 .51 .51 ,51 .5 女 子 1.53 .51434343434343434343434 23 .51 .53 ,512 .51212121 .51 .51 .51 .51 .51.51 .51 .51 .51 ,51 。5L5 全 体 13 .51 .53 .52 .54343434343434343434 (註):各マ ス 目の 中の右上 が A 領 域, 左上 が B 領 域, 左 ドが C 領 域, 右 「がD 領 域の順 位 を 示す。 こ の表で , た と え ば ,幼 稚 園 ・男 子のマ ス 目をみ る と, こ のマ ス 目の 中が さ らに4
個
に分割
されて い るが,右
上 がA
,左
上がB
,左
下がC
,右
下がD
の領 域 を示 して い る。(
他の マ ス 目の 中 につ い て も同様
。)
そ して ,使
用 量(
使 用 面積 )
の多
い 順に順位
で示
して ある。3
.5
と3
.5
とな っ て い るの は, 右上 と右下 との 使用面 積 に 差 が な か っ たの で (3
+4
)÷2
=3
.5
と してあ る。 (1
.5
と1
.5
や ,2
.5
と2
.5
につ い て も同様の操 作で計 算 し て ある。) 表中の 下欄の 「全体 」 をみ て い く と, 幼稚 園児で は
C
領 域(
左下)
の 使 用 量が 多く, 次い でB
領域 (左上) となっ て お り,左 半 分 の使
用が 目立つ 。 小 学校低 学
年で も左 半 分の使 用が 目立つ 。 小 学 校 中 学 年か ら,高 校 生 あた りま で は ,B
領 域(
左上)
の使 用量 が多い こ と が わ か る。 “ 生へ の傍 観 ”(
受動性
の領
域)
を使 用 する分 量が多
い こ とは, 生 活 的に み ても
, 家 庭 など に依 存 する面の多
い こ とか ら十 分 考え ら れる点で は なかろ うか。 それ 以後の 年 齢で は生 涯にわ た っ て, 上 半 分の使 用が多
くなっ て い る。 ま とめてみ ると, 図12
に示 した ものが私た ちの グル ープの 研 究による使用領域 の 年齢 的 変化 で , 図13
はKoch
,K
.に よ る 「置 きテ ス ト 」(
Legetest)
(独 語 版,第
7
版,1976
,P
.34
)で の生命
線(
Lebenslinie)
の 図で ある。 両 者 の 問には,線
の 上へ あが っ て い く傾向
には ちが い が ある もの の, 左下 と右下 の領 域が き わ めて よ く対
応 して い る こ と は注目すべ き点で は ない か と考 えてい る。B
A
C
D
〔図12〕私 どもの結 果 水 準終末
発端
〔図13
〕KQch における 生命線 (Lebensrinie) バ ウ ム テ ス ト 診 断 的 解 釈 の 理 論 と 技 法図
14
はK
。ch,K
.がGrUnwald
に よ る空 間 図式(
Raumschema )
を掲
げて い る もの で ある。Koch
,K
.は彼
の考
えて い る空 間象
徴の考
え方に つ い て, ふ え ん こ の図式
を敷衍
して い る。樹 木 描出 に おい て, 今 まで,画 面の
利
用 の 発 達 的 検 討 をして きた が, 生 涯に わ たっ て み た とき, 特に前 掲の 表1
や, 図12
と図13
とを, この 図14
と 関連 づ け て み る と,注 目すべき
示唆
に富
むこ とがみ られる。 左上(
C
領 域)
は, 発端
, 退行, 早期 段 階 (幼 児期)
へ の 固着 など を示 唆 し, 先 述 の 結 果で幼 稚 園児 に多
い こ と と関連 性 を持つ よ うで ある。 小学 校 低中学年で は左 (B
,C
領域 )を多 く用い ,母, 過去 性な ど と 関連が ふ か い時
期で も ある。 小学校 高
学年
や 中, 高 校 あた りで はB 領
域 が有
意で, 生へ の傍 観 (消 極 性の領 域)
に相 当
し, 思春
期 にあ りつ つ も, な お, 心理 的に, 表 面 一19
一西 月 学 空 気 空 虚 無 光,宇 憧 憬 退 却
報 母 過 去性 内向 (性 ) 端 生 源 発 誕 起 水 精 神 超感覚 性 物 質
1
・意識無 意 識 集合的 無 意 識 火焔 絶頂 (頂点 ) 目的 (目標) 終 末 死 父 未来 外向 (性) 物質 地獄 頽廃 (衰微 ) 悪魔 大 地 (土) 〔図14〕 GrUnwald に よる空 間 図式 (Raumschema )(
Koch
,K
.独語 版 , 第7
版, 1976 , P .35 ) の 行 動 とは 別に内面 的に は, こ の ような 状 態 に あ るこ とも考え られ る。 そ れ 以後
の年齢
で は上 の領域 (A
,B
領域 )の 使 用が多
く, 精神 性, 超 感覚 性 と と もに対 環 境 的に も相 当に意 識的 で, 高 齢 者で は, 目標
,頂点
ない し終 末, 死 な ど を考 える年
ご ろ で ある こ と な ど と も対 応 す るの で ある。Koch
,K
.が示唆
をえ たこ のGrUnwald
の 空 間 図式は, 図14
に掲げ られて い る内容 が 全面的 に支 持 しうる もの で は ない に せ よ, この ように所与 の環境 にお け る被 験 者のあ り方 をか な り示唆 的に投影す
る もの と考
えられ るの である。独 語 版 (
Der
Baunltest
: DerBaumzeichnenversuch
alspsych
。diagnostisches
HilfsmitteL
第7
版 (第3
版の 重 版 ),1976 )
に は, 上掲 の
GrUnwald
に よ る 空 間 図 式 と と もにMax
Pulver
に よる 領域
理論
(
Zonentheorie
)
の ため の 空 間 図式 と して の 十 字 (の 象 徴 )を掲 げて い る(