無保険車傷害保険について
坪 井 昭 彦
Ⅰは し が き
わが損害保険業界は,自動車の自損事敏の被害者の救済と無保険自動車に・よ って被害を被った被保険者の救済をはか為ため,また,自動車の全損時に・おけ る時価評価をめぐる契約者との紛争を避けるため,本年1月1日より,自動車
(1) (2) (3) 保険のなかに,自損事故保険,無保険皐傷害保険および車両価額協定保険特約
を創設した。
また,従来の家庭用自動貴保険(いわゆるFAP)と業務用自動車保険(い わゆるCAP)を−・本化した自家用自動車保険(いわゆるPAP)を新たに発 売した。そ・してPAPの対象自動車を,従来FAPとCAPの対象車種とされ
(4) ていたものをあわせた7車種とし,家庭用,業務用,個人所有,法人所有を問
わずPAPで付保できることとした。また,PAPのなかK・自損事故保険と無 保険革傷害保険の両者を新設した。
また,在来の−・般の自動車保険(いわゆるBAP)も対人賠償保険について は,FAPやCAPにならい,被害者の直接請求権と1事故における保険金額 の無制限化を導入して,被害者の救済と契約者に対するサL−ゼスの向上をはか
(51 ることに.した。そしてBAPのなかにも自損事故保険を新設した。
(1)自家用自動車保険普通保険約款(以下,PAP約款という)2章自損事故条項を参 照せよ。
(2)PAP約款3章無保険革傷害条項を参照せよ。
(3)PAP約款の特約条項をみよ。
(4)FAPとCAPの対象車種については,拙稿「米国自動車保険約款免茸条項第3 条および第4粂紅ついて」『香川大学経済論叢』欝48巻第3・4号,1975年10月(以 下,拙稿「免責条項第3条および第4条について」と記す),104−5ぺ一一汐をみよ。
(5)これについては,拙稿,同上,注12と123−4ぺ−ジをみよ。
算48巻 欝5・6号
−2β− 538
さらに.,自動草道転者損審賠償責任保険(いわゆるぺ−パ′−ドライバノー保険)
の場合も,PAPやBAPとのバランスから,被害者の直接請求権と1事故保 険金額の無制限制を導入し,自損事故保険を新設した。
以上のはか,従来より,認両保険のもとに.おける−・部保険の場合に比例てん
(¢) 補の適用があったため,損菩発生後に.,てん補額をめぐって契約者と保険会社
の間で紛争が生じていたので,この問題を解消するために.,全損時には保険金 額の全額を支払い,分娩時にほ比例てん補を適用せずに保険金を支払うという 画期的な車両保険制度を「卑両価額協定保険特約」として新たに導入した。
以上述べたように,わが損害保険業界は,今回,各種の自動車保険を大幅紅
改定するこ.とに.よって,被害者の救済と契約者の保護を一層徹底させること に.したのである。
そこで,本稿セは,今回新たに発売されたPAPをとりあげ,その主たる内 容について概観すると同時に,この保険に自動的に付帯される,今回新設の,
無保険.革傷害保険について検討を試みることにしたい。
ⅠI PAPの概要
1.すでに述べたように.,昭和49年3月1日よりFAPが発売され,また咋
(71
年3月1日よりCAPが発売されたが,この両者はほぼ同じ内容のものである にもかかわらず,個人所有の自家用乗用車については,その使用実態が,主と
して家庭用の場合紅はFAPの,また主として栄藤用の場合に.ほCAPの,対 象とされていた。しかし,契約締結時に.家庭用と業務用の判別が困難なものが あり,「主として」という抽象的な判断基準に.よって契約を締結するというこ とほ,保険契約者にとって趨めて不便なことであった。また,CAPの従業員 搭乗者傷害保険の場合にも,医者とか個人商店主の家族が,買物,レジャ・一等
(6)家産笥自助草深喚普通果喚約款(以下,FAP約款という)4章車両条項8条。
自動車保険普通保険約款(以下,BAP約款という)1章車両条項8粂。
(7)FAPおよびCAPに・ついて−は,拙稿「免責条項第3条および欝4条について」
104−6ぺ」−ジをみよ。
無保険皐傷害保険に.ついて ー29−・
539
に.自動車を使用した場合,保険保護を受けることができないという欠点があっ た。
そこで,損害保険業界としては,上記のような不便や欠点を解消させるため に,FAPとCAPとを・一L本化してPAPを創設し,従来の家族搭尭者傷害保 険と従業員搭乗者傷害保険を整理統合して,被保険者の範囲を特定しない搭乗 者傷害保険を自動付帯させるこ.とに.した。
そして,こ.のPAPの対象貴種を,(二1)自家用普通乗用尊,(2)自家用 小型乗用軋(3)自家用軽四輪乗用息(4)自家用小型貨物車,(5)自 家用三輪自動皐,(6)自家用軽四輪貨物車,(て)自家用軽三輪自動・軋 の
7草履とし,家庭用であると業務用であるとを問わず,また,個人所有のもの であると法人所有のものであるとを問わず,付保可能とすることにした。
これに.よって,PAPのなかにほ,FAPとCAPの内容がすべて盛り込ま れることになり,南保険の契約者がPAPの方に移行した場合でも不利匿・なら ないような手当がなされている。
2.このPAPの基本的な担保種目としては,(1)対人賠償保険,(2)
自損事故保険,(3)無保険.車傷害保険,(4)対物賠償保顔,および(5)
搭乗者傷害保険,の5種目があり,このはか任意付帯奥約として,(6)・車両 保険がある。
(1)対人賠償保険は,原則的に偲,CAPの対人賠償保険の担償内容と同
く8) く9)
じものとし,示談交渉サ1−ビ不,被害者の直接請求制度,1事故保険金額の無
(10) 制限制に.ついては従来どおりとし,被保険自動車の所有者および賠償貴任条項
の記名被保険者が個人である場合に.は,「記名被保険者に・よる同僚災害担保特
(11)
約」を自動付帯させることに.よって,CAPの記名被保険者による同僚災害を 担保させるこ.とに.した。
(8)pAP約款2章賠償安住条項5条。
(9)同 6条。
(10)同 3条2項。
(11)pAP約款の特約条項をみよ。
第48琴 第5・6号 540 ーー3℃−
(2)今回新設の自損事故保険においてほ,自動車損害賠償責任保険もしく は自動車損害賠償責任共済(以下,「自賠賓保険等」という)またほ政府の保 障事業のいずれに.よってもてん補されない被保険者の自損事故による損害をて
(12) ん補することとし,保険金額を,死亡の場合には,1名に・つき1,000万円,後
(13)
遺障害の場合に.は,1名につき35万円から1,000万円,単なる傷害の場合にLは
1名につき80万円を限度として,入院は1日当り5,000円,通院は1日当り3,0
(14) 00円とした。また,この保険の免責事項は,搭乗者傷害保険のそれとはば同じ
内容のものとした。
(3)無保険者傷害保険に・おいては,無保険自動車の加害行為虹よって,被 保険自動車に搭乗中の者が被った損害をてん補することとし,保険金額は被保
く15) 険自動車の対人賠償保険のそれと同額とした。また,免責事項は,他の自動車
保険の免責事項とはば同じ内容のものとしたはか,とくに・この保険に特有の免 責事項を設けた。
(16) (4)対物賠償保険の場合は,CAPおよびFAPの対物賠償保険の担償内
容と同じものとし,対物事故に・かかわる損害賠償の請求を受けた場合には,保 険会社は,対人事故の場合と同様,被保険者の行なう折衡,示談または調停も
しくは訴訟の手続について協力または援助を行なうこととした。
(5)搭乗者傷害保険においては,被保険者の範囲を特定しない搭乗者の傷 害保険をPAPに自動付帯させ,1事故の保険金額を無制限とし,1名の保険
(17)
金額を対人賠償保険金額の10バ−セント(ただし500万円が限度)とした。こ れ紅ともない従来の搭乗者傷害保険担保特約を廃止した。
(6)以上の五つの基本的な担保種目のはかに,任意付帯契約として,車両
(1寧〉 保険がある。
(12)PAP約款2章自損事故条項5条。
(13)同 6粂。
(14)同 7粂。
(15)この保険の免茸事項については,本稿39−41ぺ・−ジをみよ。
(16)この保険紅ついては,PAP約款1章賠償窯任条項をみよ。
(17)これについては,PAP約款4章搭乗者傷害条項4条ないし8粂をみよ。
(18)こ.の煉陰についてほ,PAP約款5孝養両条項を魂よ。
無保険革傷害保険に.ついて −−βリー・
541
この保険に.は,国産の,自家用普通乗用薄,自家用/卜型乗用車,自家用軽四 輪乗用貴,自家用小型貨物番および自家用軽四輪貨物車,の5車種を対象とす る ① 「■貴両価額協定保険特約付蕃南保険」と,⑧ 「■在来の車両保険」と の2種類がある。
①は,すでに述べたように,契約者の不満を解消するために,今回新設され た保険であって,保険者ほ,全損の場合に・は,初年度登録1年未満の自動車に ついては,事故発生時における新車の市場販売価格相当額(ただし,保険金額
(19) を限度とする)を,また,上記以外の自動車に.ついてほ,協定保険価額を,て
0)
ん補し,分損の場合には,免資金額を控除した修理費の実損てん補するこ ととした。㊤の場合には,従来どおり,時価主義に.よって坂寄をてん補するこ
(21)
ととした。
ⅠⅠⅠ無保険車傷害保険
1.現在,わが国においてほ,自動車損害賠償保障法(以下,「自賠法」とい う)に基づいて実施されている自賠責保険等や政府の保障事業紅よって補償さ
(22)
れる最高金額が,死亡の場合ほ1,500万円,傷害の場合は100万円であるため,
交通事故の被害者のなかには十分な補償を受けることができなt、者がある。
このことは,任意の自動車保険払おける対人賠償保険の被保険者自身が交通 事故の被害者となった場合に,不幸に・も,相手自動車(加害者側)が対人賠償 保険をつけてV、なかったために,被保険者が自賠責保険等でカバーされる額以 上に.は補償を受けることができない場合にも,生じる。そこで,こ.のような場 合に.被害者となった被保険者の損害をてん補するために・,今臥 無保険革傷害 保険が創設され,PAPに自動的紅付帯されることに・なった。
(19)pAP約款車両価額協定保険特約4集および5粂。
(20)同上。
(21)PAP約款5章尊南条項5条。
(22)自賠責保険等の保険金額ほ,昨年7月1日紅引上げられた。こ.れ紅ついては,拙稿
「免茸条項算3粂および算4条について」103ぺ−ジをみよ。また,自賠法13集および
自賠法施行令2条を参鳳せよ。
貸48巻 第5・6号
一・β2− 542
2.この保険は,現在,米国で利用されているInsur・anCe(Or Protection)
against Uninsured MotoristsまたはUninsuredMotoristInsurance(以下,
(23) UMIと略称する)を参考にしたものとおもわれるが,その約款内容および契
約規定は米国のそれとほ異なり,わが国独自の需要を充たすように配慮されて いる。
そこで,以下にこの保険の概要を述、べ,米国のUMIと比較・検討すること 紅したい。
(1)被保険者 この保険における被保険者とは,・保険証券記載の自動車
(勾) (被保険自動革)の正規の乗皐用構造装置のある場所に搭乗中の者である。し
たがって,自動車に搭乗中でない者は,被保険者となることほできない。
これに対し,UMIの被保険者は,① 記名被保険者および同人と同一・家庭 に・居住する親族,⑧ 被保険自動車を占有中の他の一切の者,および ⑨
(23)この保険は,このほか,Uninsured Motorist Coverage,Uninsured Motorist EndorsementまたはFami1y Protection という名称で,保険者によって,引受け
られている。
米国においては,加害者の賠償資力を確保するため,ニューヨ−ク,マナチエ−セ ッツ,ノ−ス・カロライナ■の3州が強制茸任保険法(CompulsoIyInsuranceLaw)
を制定し,他の州は賠償資力法(FinancialResponsibility Law)を制定しでいrる が,自動車の絶対数が多いため,かなりの自動尊が無保険の状態で使用されているよ
うである。そこで,かかる無保険自動車によって人身損害を被・らた被害者を救済する ために,1954年頃から,UMIが実施され,今日に至っている。
なお,UMI紅ついてほ,J.L.Athearn,RitskandZnsurance,New Y9rk,19
69,pp.265→6;C.H.Brainard,Automobile Znsurance,Illinois,1961,pp.360,
419;C・M・Elliottand E・J.Vaughan,Fundamentalsqf RiskandZnsuY・anCe,
New YorkI1972,pp・476−8;M・R・Gr・eene,RiskandZnsuranCe,Chicago,
1962,pp・426−7;S.S.Huebner,K.Black,Jr.,and R.S.Cline,Propert.y and Liabilit.y Znsurance,New York,1968,pp.448−9;G.J.Couch,
CyclopediaofZnsurance Law〔2nded.R.A.Anderson〕,NewYork,1959q1971
(以下,CouchonZnsrとして朝用),§§45:619−657;J・H・MageeandP.L.
Bickelhaupt,GeneY alZnguranCe,Illinois,1964,pp.470−72;J.H.Magee and O・N・Serbein,PropeY t.yand LiabilitγInSuranCe,Illinois,1967,pp.493
−99;A・L・Mayerson〉Iniroduction to Znsurance,New York〉1962,pp.163
−6;R・Ⅰ・Mehr and E.Cammack,Princibles qf Znsurance,I11inois,1966,
p・459;A・H.・Mowbray and R.H.Blanchard,Znsurance,New York,1955,
pp・261−6;W・H・Rodda,Prober秒and Liabilii・y Znsur anC?,NewJersey,
1966,pp.372−3,を参照せよ。
(餌)pAP3章無保険車傷害条項1条1項。
■−β3−
無保険阜傷害保険について 543
記名被保険乱 同人と同一・家庭に・居住サーる親族,または被保険自動薄を占有中 のその他一切の者,に人身損害が発生したことに.よって,損害賠償額を取得す
(25) る権利を有することになる一切の者,とされ,記名被保険者および同一・家庭に
(26)
居住する親族は自動車を占有中でない場合でもこ.の保険によって担保される。
それゆえ,記名被保険者や同人と同一・家庭に居住する親族は,かれらが自己の 所有する自動車または他人の所有する自動車に搭喪中の場合はもちろん,搭乗
(27)
中でない場合でもUMIに.よって担保されるととに・なる。しかし,その他の者
(:S) ほ被保険自動車に現実性搭乗しているときにのみ担保されるに・過ぎない。
したがって,記名被保険者やその同居の親族に.ついては,UMIは,わが国 の無保険茸傷害保険の場合とは異なり,わが国の場合よりも,広い担保を与え ている,といえる。けだし,わが国の保険の場合は,な把びとであるとを問わ
ず被保険自動皐の正規の乗車用構造装置のある場所に搭乗中の者のみが被保険
(29) 者とされるに過ぎないからである。
つぎに,UMIに.おいて,「被保険者」とされた老の場合を挙げておく。
(a)町角に.立っている時に・無保険自動車によって身体傷害を被った幼児 は,,無保険者担保条項(Uninsured MotoristCoverage)を含んでいるそ・の父
(30) の自動車保険証券にいう「被保険者」である。
(b)記名被保険者の運転する自動車に・同乗中の乗客ほ,記名被保険者によ って使用されている被保険自動車に搭乗中,乗車中または降革中の一切の者を
「被保険者」とすると規定する無保険者担保裏書(Uninsured MotoristIn−
(311
dorsement)に.よって,担保される。
(25)Elliottand Vaughan,OP.cii.,p.477.
(26)J∂よ♂.
(27)Magee and Bickelhaupt,OP.cit.,p.470;Mayerson,Ob.cit.,p.163.
(28)E11iott and Vaughan,OP.cii.,p.477.
(29)PAP約款3茸無保険賽傷害条項1条。
(30)Matwijko v.Walter Zoladz Lumber,Builders Supply&FuelCorp.16App Div2dlO24,230NYS2d77.C由頑な御仁わほ‖ §45:640.
(31)La Marsh v.Maryland Casualty Co.35Misc2d641,231NYS2d121.
Cの〝滋(川【上机い §45:640.
算48巻 第5・6号
−3・ノー 544
(c)ひき逃げ自動車に.よって身体傷害を被った,自動車を所有していな い,歩行者は,その塞が,自動車を所有し,かつ,同一・家庭に.居住する配偶者 を「−被保険者」のなかに.含むと規定する保険証券を所持して.■いる場合には,
(32) 「被保険者」とされる。
(d)あて逃げ自動車によって身体傷害を被った,息子の自動車を運転中の,
(83)
母親は,息子の保険証券上の無保険者担保裏書にノいう「−被保険者」である。
(e)しばらくの間,ハワイで軍務に,従事中の継子(astepson)ほ,UM Iにいう同一・家庭に居住する親族であり,したがって,無保険自動車に同乗中
(84)
に被った身体傷害についててん補を受ける権利がある。
(
無保険自動車となるム
① その自動車に対人賠償保険等が付保されていない場合,㊥その自動車 に.対人賠償保険等が付保されているが,損害のてん補を全く受けることができ ない場合,⑧ その自動車の対人賠償保険等の保険金額または共済金額が,被 保険自動車の保険金額に.達しない場合,④ 相手自動車が明らかでないと認め
(35) られる場合。
以上を簡説するに,被保険者の所有する自動車以外の自動車であって,被保 険自動皐と衝突,接触した柏手自動車に,① 対人賠償保険もしくは対人賠償 共済がつけられていないか,またほその自動車の運転者に・適用されるぺ−パー
ドライバ−・保険もしくは他車運転担保が存在しない場合,⑧ 対人賠償保険等
はついているが,運転者年令条件違反,限定運転者違反などの免責事由に該当 するため,その保険の保険金が支払われない場合,⑧転対人賠償保険はついて いるがその保険金額が被保険自動車の無保険車傷害保険の保険金額より低い場
(32)Bal1ettiv.Motor Vehicle Acci.IndemnificationCorp.16App Div2d814,
228NYS2d768.Cの化ゐ〃〝j切s.§45:640.
(33)Zuckerman v.Motor Vehicle Acci.IndemnificationCorp.13App Div2d 574,212NYS2d179.Cの化ゐ〃紹j切S.§45:640.
(34)Appletonv.MerchantS Mut.Ins.Co.16App Div2d361,228NYS2d442l
Cβ〝Cゐ¢花∫乃g‖ §45:641.
(35)PAP約款3章無保険革傷害条項3条。
無保険車傷害保険について −∂∂−
545
合,または,④ あて逃げの場合には,無保険車となる。
これに射し,UMIにいう無保険自動車(uninsured automobile)とは,事 故発生の時に,有効な対人賠償責任保障証書もしくは保険証券(bo戯1yin如y liabilitybondorinsurance)のない自動薄,または対人賠償責任保障証書も
しくは保険証券はあるが,これらの引受会社がそれについてのてん補貴任を否
(36)
記している自動車である。
無保険自動車のなかに.は,ひき逃げ自動審(ahit−and−run autOmObile),盗 難車(stolen automobile)および不正登録車(improperlyregistered auto州
(37)
mobiles)が含まれる。またUMIの自動車(motorvehicle)のなかに,ほ,ト レーラー,セミトレー・ラ−,モーター・サイクルおよび非農業用トラクタL−・が
(38) 含まれる。
なお,米国においては,周知のとおり,ニュ.一言−ク,マサチエ.−セッツ,
ノース・カロティナ・の3州が強制責任保険制度を採用し,残りの47州は賠償資 力法を制定,実施しているが,後者の場合ほ,自動車事故を起こすかまたは道
路交通法に.違反するまでは自動.車の所有者には自動車保険についての付保義務
が課せられていないため,無保険自動車に.よる事故発生の可能性は大きく,被 害者救済の面で問題がある。
それだけ紅,UMIほ;わが国の場合よりも,はるかに.重要な意味をもって いる,といえる。なぜならば,わが国の場合,自動車事故の被害者は,自賠責 保険等や政府の保障事業に.よって,少なくとも1,500万円までは補償を受ける
ことができるが,米国の賠償資力法を制定,実施している州においては,加害 者が無保険者であり,かつ,賠償能力を有していない場合に.は,被害者は,自 分自身がつけた保険(たとえば,生命保険,傷害保険,UMIなど)以外に は,なんら頼るぺき救済方法をもたないからである。
そこで,かかる事情が考慮されたためか,現在では,14の州に‥おいて,UM
(36)Mageeand Serbein,Ob.cit.,pp.493−4.
(37)Magee and Bickelhaupt,Ob.cii.,p.470.
(38)Cの化ゐ(由一h・ゞ.§45:633.
第48巻 第5・6号
ーβ6− 546
(39) Ⅰを自動車損害賠償責任保険証券のなかに包含することが強制されており,ま
た,他の多くの州においても,UMIがFAPのなかの重要な部分に・なってき
(40)
ているとのことである。
(3)担保内容 この保険においては,無保険自動車の加害行為により,
被保険者が死亡またほ後遺障害等級表に.掲げる第1扱から第3級に該皆する後 退障害を被ることによって生じる損害を,保険者はてん補する。ただし,かか
る損害に.ついて−,法律上の損害賠償責任を負担する者(賠償義務者)がある場
(41)
合に.限る。
また,この保険では,被保険者の人身事故による損害のみがてん補されるの であり,対物事故に.よる損害ほ対象外とされる。
UMIの場合は,無保険自動車の加害行為に.より,被保険者が死亡,身体傷 害または疾病を被ることによって受けた損害のうち,被保険者が法律上損害賠
償額として無保険自動車の所有者または運転者から回収することができたはず
(42) の金額を,−・定金額を限度として,保険者はてん補する。
なお,米国のはとんどの州においてほ,UMI株人身損害のみ紅適用される
が,Georgia,NewJerISey,New Mexico,NorthCarolina,Virginaおよび WestVirginiaの諸州に,おいてほ,UMIが財物損害K・対しても適用されてい
(48)
る。ただ,これらの州においては,100ドルから300ドルの範囲で,免責金額の 適用があるため,無保険自動車によって生じた損害額から約定の免資金額が控
(44) 除される。
(4)保険金額および支払限度額 保険金額は被保険自動車の対人賠償保
険の保険金額と同額とする。また支払限度額は,無嘩険自動車の対人賠償保険
(45) 金額を超えた部分とし,上限をこの保険の保険金額までとする。したがって,相
(39)Huebner and Black,OP.cit.,p.449.Couch onlns.§45:619.
(40)Elliott and Vaughan,Ob.′Cii.,p.478.
(41)PAP約款3章無保険車傷害条項1条1項。
(42)Rodda,¢♪.cZf.,p.372.C〃〝Cゐ〃〝∫乃∫り §45:623.
(43)Elliottand Vaughan,Ob.cii.,p.476.
(44)J∂∠d.
(45)PAP約款3章無保険車傷害条項1条1項。
無保険貴傷害保険について −・β7−・
嶺7
手自動車の対人付保金額がこの保険の保険金額よりも高い場合に.は,この保険 の対象とほならない。
UMIに.おける保険金額は,通常,1名につき10,000ドル,1事放につき
(46)
20,000ドルとなっている。
もっとも,この保険金額は被保険者が居住する州によって−異なり,コネッチ カット州でほ.,1名につき20,000ドル,1事故につき20,000ドル,バ−汐ニ ア州では,1名に.つき20,000ドル,1事故につき30,000ドル,ノー・ス・カロラ イナ州でほ,1名に.つき10,000ドル,て1事敵に・つき20,000ドル,となってい る。ただ,ノース・カロライナ・州の場合には,対人賠償責任保険が増額された 場合に.限り,1名につき15,000ドル,1事故に.つき30,000ドルまでの増額が認 められている。このはか,コネッチカット,ニュー・・ノ、ンプレヤー,ミネソタ およびバー・汐ニヤの4州においてほ,1971年1.月より,被保険者が付保した対 人賠償責任保険の保険金額と同額のUMIを付保することが認められることと
(47)
なった。しかし,いずれの州に.おいても;UMIの付保金額には制限があり,
(48)
賠償資力法に.よって定められている限度額以上の付保は認められていない。
各州が付保金額にこのような制限を設けているのほ,つぎの理由による。す なわち,まず算1に,UMIの費用は,過失のある無保険者によって負担され るよりも,むしろ損害発生に対して過失のない者によって負担されているとい うこと。すなわち,ナウ.ス・カロライナとバ−ジニヤの2州のみが,法律に・よ
(49) って,無保険者紅費用の支払いを義務づけている把過ぎず,他の州にはかかる
義務は存在していないということ。第2に,保険者は,自己の顧客たる被保険 者からの保険金請求紅対して自分とほ関係のない無保険者を防禦しなければな らないという奇妙な立場把立たされるということ。この場合,保険者があまりに も防禦に.熱心でありすぎると,被保険者は保険者から遠ざかっていく結果とな
(46)Brainard,OP.cit.,p.219;Elliottand Vaughan,Ob.cit.,p.477・
(47)Elliott and Vaughan,Ob.cirt.,p.47.
(48)Huebner and Black,OP.cit.,pp.448−9.
(49)Mehr and Cammack,Ob.cit.,p.459.
第48巻 算5・6号
−∂∂− 548
(50) り,保険者が防禦に熱心でない場合に.ほ,後述のように,不正な保険金請求に・対
(51) しても支払をしなければならないという危険をおかすこ.とに・なるということ。
それゆえ,UMIによって無保険自動車の被保険者の救済を徹底させようと
すれぼするはど,その結果は理想とははど遠いものとなって−しまうことになる
ため,保険者としては,UMIの付保金額に制限を設けざるをえないのであ
(52)
る。
(5)保険金請求権着 こ.の保険に.おける保険金請求権者はつぎの者とす る。① 被保険者(死亡の場合はそ・の相続人),⑧ 被保険者の父母,配偶者,
(53)
子。こ.の保険紅おいてほ,被保険者の父母,配偶者,子が被る猟書も親書の−
部とするため,⑧ に掲げた者を保険金請求権者のなかに加えた。
したがって,上記のいずれの者でも,保険者に・対し,保険金の請求をなすこ とができる。
これに対し,UMIの場合は,とくに保険金請求権者に・関する規定を設けて いない。しかし,被保険者として約款に.規定されている者を保険金請求権者と 考えて差支えないものとおもう。け・だし,無保険自動車に.よる人身事故の発生 に.関して保険金を請求することのできる者は,人身傷睾を被った承人と,その
本人の死亡または傷害について損害賠償の請求をなすことができる一切の者と
(54) 考えられるが,これらの者は,いずれも,前述の被保険者の概念に.含まれる者
ばかりであるからである。
(6)損害の額 保険会社が保険金を支払うぺき損害の額は,被保険者ま たはその父母,配偶者もしくは子が被った損客について,賠償義務者が法律上
(55) 負担.すべきものと認められる損害賠償責任の額に.よって定められる。
したがって,この額は,被保険者にも過失がある場合に.は,被保険者が被る
(50)本稿43−4ぺ−ジをみよ。
(51)H厄ebner and Black,¢♪.df.,p.亜9.
(52)∫∂査d.
(53)PAP約款3章無保険革傷害条項11条。
(54)本稿32−3ぺ−・ジをみよ。
(55)PAP約款3章無保険革傷害条項8条。
無保険貴腐害保険紅ついて −39−
朗.9
総扱害額から,被保険者の過失割合紅相当する額を減額したものとなる。
UMIの場合も,無保険自動車に.よる事故に.関連して−保険者が支払うべき損 害の額ほ,その事故に.より身体傷害が生じたために,無保険自動車の運転者
(theoperator)が法律上損害賠償額とし{:(asdamages)支払うペきすべて
(56)
の金額(a11sums)とする,と規定して−いるから,わが国の無保険車傷害保 険の場合と同様,被保険者側にも過失がある場合にほ,過失相殺が行なわれ,
被保険者が被る総損害額から過失割合に相当する額を減額した金額が挽害賠償 額として,支払われることになるであろう。
けだし,被保険者例の過失割合に.相当する金額は,上記の無保険自動車の運 転者が法律上損害賠償額として支払わなけれほならない金額には該当しないと 考えるのが適当であるからである。
また,これについてほ,UMIが,賠償責任を負うべき者(Whoisliable)
または鋭害の額(the amountofdamages)について,被保険者と保険者との 間で合意が得られない場合に.ほ.,問題ほ仲裁に.よって解決されるぺきものと
(57)
する,との規定を設けているが,これほ,明らかに・,保険者が,被保険者側に 過失があった場合などに.は,両者の間で,保険者の支払うぺき損害の額をめぐ
って,紛争の生じるお・それのあることを予想していることのあらわれである,
と考え.るこ.とができるからである。
(7)免費 この保険における免費事由はおよそつぎのようなものである。
(D 異常危険として免貴されるもの(a)戦争,外国の武力行使,革命∴
政権奪取,内乱,武装反乱その他こ.れらに.類似の事変または暴動,(b)地震,
噴火,台風,こう水,高潮または津波,(C)核燃料物質もしくほ核燃料物質 に.よって汚染された物の放射性,爆発性その他有害な特性の作用またはこれら の特性軋起因する事故,(d)(c)に規定した以外の放射線照射または放射能汚 染,(e)上記(a)より(d)の事由に.随伴して生じた事故またはこれらにとも
(56)Cの打力(昭。h.s..§45:645。
(57)Greene,OP.cit.,p.427.
第48巻 籍5・6号
一・Jクー 550
(58)
なう秩序の混乱軋基づいて生じた事故。
これらの事由は,いずれも異常危険として免責されたものであって,PAP の対人・対物賠償責任保険,自損事故保険,搭乗者傷害保険および任意付帯の 車両保険のすぺて一に.共通のものである。
④ 搭乗者傷害型の免責(i)(a)被保険者の故意,(b)無免許運転,酒酔い 運転,(c)無断使用運転,(d)被保険者の闘争行為,自殺行為または犯罪行
(59)
為。(ii)損害が保険金を受取るづき者の故意によって生じたとき。
これらほ,いずれも,被廃険者またほ保険金を受取るぺき者の意識的行為に かかわるものであるので,免責とした。
(60) なお,この保険に・は,舞4条に.個別適用条項が設けられて:いるので,被保険
白勤番を運転していた者が上記の行為に出た結果として被った損害は,免責と なるが,同乗者が被る損害については,免責とほならない。
⑧ 対人賠償型の免責(i)つぎに掲げるいずれかの者が賠償義務者であると きは保険者は免責とされる。(a)被保険者の父母,配偶者または子,(b)被保 険者の使用者(ただし被保険者がそ・の使用者の業務に.従事しているとき紅かぎ
る),(C)被保険者の使用者の業務に無保険自動車を使用している他の使用人
(61) (ただし業務に従事しているときにかぎる)。(ii)被保険者の父母,配偶者ま
たは子の運転する無保険自動車に.よって被保険者の生命または身体が害された
(62) 場合は保険者ほ免茸とされる。(iii)自動車修理業,駐番場業,給油業,
車業,自動婁販売業,陸送業等自動車を取扱うことを業としている者が被保険
(68)
自動車を業務として受託している場合ほ保険者は免責とされる。
(i)の場合は,対人賠償保険の場合と同様,親族間の事放,労災対象事故を 免責としたものである。したがって,これらの者以外に.賠償義務者があるとき
(58)pAP約款3牽無保険貴腐害舜項5条。
(59)同 6粂。
(60)同 4粂(個別適用)この無保険革傷害条項の規定は,それぞれの被保険者ごとに 個別紅適用します。
(61)PAP約款3牽無保険車傷害条項7粂1項。
(62)同 7粂2項。
(63)同 7灸4項。
無保険革傷害保険について ー4ヱ−
551
ほ,保険者有責である。
(ii)の場合,共同不法行為で,2台の無保険自動車のうちの1台の運転者 が,被保険者の父母,配偶者,子,またほ被保険者の使用者(ただし業務に従 事中のみ)もしくほ被保険者の同僚(ただし業務に従事中のみ)以外の看であ るときは,保険者は免責とはならない?
(iii)の場合は,対人賠償保険の場合と同様,この保険の対象を,上記のよ うな業種の者にまで広げる趣旨ではないと考えられるので,保険者免責とした ものである。
④ この保険紅特有の型の免責 被保険者の損害が被保険自動車紅ついて 適用される対人賠償保険等によっててん補される場合に.ほ保険者は免貴とされ
(64)
る。
被保険自動貴が無保険自動番と衝突または接触した瞭に.,被保険自動皐側の 運転者にも過失があった場合に.は,被保険自動車に同乗していた者は,無保険 自動車側に対してだけでなく,被保険自動車の運転者に対しても損害賠償を請 求することができる。このような場合紅.,被保険自動尊の対人賠償保険から同 乗者に対して保険金が支払われると,その同乗者の損害はてん禰されるこ.とに なるので,この保険では保険金を支払わないことにしたのである。
以上述べてきたように.,この保険の免責事由は四つに大別されるが,①から⑧ までに.列挙された事由は,いずれも,従来の自動車保険のいずれかに掲げられて いたものであり,この保険紅特有の免責事由ほ④に掲げられたもののみとなる。
つぎは,UMIが適用されない,したがって保険者に∴てん補責任が生じな い,場合に.ついて考察したい。
① 被保険者が,少なくとも廿賠償資力法によって要求されている最低の資任 限度額(the minimum)imitsofliability)紅等しい金額の対人賠償責任保険を
(65) 付している自動車に.よって,人身損害を被った場合。
こ.の場合,被保険者は,加害自動車の対人賠償責任保険によって補償を受け
(64)同 7粂3項。
(65)ElIiott and Vaug】ユan,〃♪.√〟.,p.477.
−・42一− 第48巻 算5・6号 552
ることができるので,UMIは適用されないことに.なる。
⑧ 被保険者が,法によって認められている自家保険者の所有または運転す
(66) る自動車に・よって人身損害を被った場合。
この場合,被害者は,その自動車に.保険がつけられているのと同様に,・その 自家保険者から損害の賠償を受けることができるからである。
⑧ 被保険者が米国およぴカナダ政府の所有する自動単に.よって人身損害を
(67)
被った場合。こ.の場合,そ・の自動車が無保険車である場合でもこの保険は適用 されない。
UMIがかかる自動車に適用されない理由ほ二つある。籍1は,被害者が連 邦不法行為請求権法(theFederalTort ClaimsAct)に.基づき連邦政府に して損害賠償の訴を提起する宇・とができるということ,また,そ・の他の政府機
関に対しては,その他のしかるべき法的手続に.より損害賠償の請求をなすと.と
(¢8) ができるというこ.とである。算2は,被保険者は,そ・の損害紅対して−「法律上
の権利を有している(1egal1yentitled)」場合に.のみUMIに基づきてん補を 受けることができるというこ.と,すなわら,事放の相手側が被害者に.対して
「儀律上の義務を負わされている(1egallyobligated)」とみなされる場合に のみ,てん補を受けることができるというこ.とである。したがって,過失法
(negligenCelaw)上の義務に.ついて国家が免責を主張しうるとする考え方 からすれば,州政府またほ連邦政府がその行為に.対して法律上の義務を負わさ
(69) れるものとみなされることほできない,ということになるからである。
④ 被保険者が,記名被保険者または同人と同一・家庭軋居住する一朝の者の 所有する無保険自動車によって人身損害を被った場合。この場合,だれがその
(70) 無保険自動.車を運転していたかは問わない。
UMIがかかる自動車紅対して遺風されない理由は,かかる自動車ほ,すべ
(66)′∂昆.
(67)Brainard,Ob.cii.,p.211.
(68)′∂Jd.
(69)∫∂id.
(70)Zbid.,pp.212−3;E11iottand Vaughan,OP.cit.,p.477.
無保険薄傷害保険について −4β−
553
て,対人賠償責任紅ついて付保されるものと期待されているからである。もし もとの免責規定が存在してV・、ないならば,上記の自動車が付保されていない場 合,記名被保険者の所有する自動車のうちのl台の保険証券に・含まれるUMI から他の自動車のための対人賠償責任保険を引き出すこ.とが可儲となり,記名 被保険者や同一・家庭に層任する一切の者は,それ把.よって∴:不当な保護を受け ることに.なるからである。
上記のことを明らかにさせるめに.例を挙げておこう。
記名被保者が,その息子または息子から自動車を借りただれか他の者(この 場合,運転者がだれであ・るかは問わない)のいずれかによって身体傷害を被っ た。息子はその自己所有の自動車について対人賠償貴任保険を付しておらず,
したがって無保険者であった。この場合,記名被保険者は,自己のUMIに基 づき自己の傷害についててん補を受けるととはできない。けだし,かれ軋対す るてん補が認められることになれば,そのことほ,かれの息子の自動尊に.対人
(71)
賠償責任保険をつけてやったのと同じ効果を与えることになるからである。
そして−,UMIは.,かかる対人賠償責任についてまでも保護を与えるため紅 創設されたものではない,とするのが保険者の考え方であるからである。
⑥ 被保険者または・竿■の代表者(hisrepresentative)が保険者の書面にIよる
(72) 同意を得ずに加害者と事件を解決した場合。
無保険自動認に関連して人身損害が発生した場合,保険者は無保険自動車側 に賠償責任がある場合にのみて−ん補茸任を負担することを約しているので,被 保険者は無保険自動皐側に.賠償責任があると主張し,保険者はこれに.反対し て,両者の間で,UMI上のてん補責任をめぐって紛争の生じるおそれがあ る。かかる場合紅,被保険者が,相手無保険者紅対し,「あなたが貴任を認めた としても,あなたほ何も失うことに.はならい。」との間違った情報を与えること によって,実際よりもはるかに高額の賠償額で事件を解決するように説得し,
相手側もこ.れに.向志することに.なれば,保険者ほ不測の損害を被ることに.な
(71)軌ainaI・d,ク♪.cわ.,p.212.
(72)E11iottand Vaughan,OP.cit.,p.477;Greene.0?.cii.,p.427.
算48巻 算5・6号
−4孝一 554
る。そこ/で,保険者は,事件の解決に.当っては,保険者の書面による同意を得 ること,また,被保険者と保険者との間で,賠償責任を負うぺき者または損害 の額について合意が得られない場合に.は.,問題は,米国仲裁協会の規則(the rules of the American Arbitration Association)に.したがい,仲裁に.よって
(7弓) 解決されるべきこ.と,をUMIの約款上に.明定した。しかし,経験の示すとこ
ろによれば,被保険者と保険者との間に.おける紛争は極めて少なく,たいした
(74) 困難もなく解決されているようである。
⑥ 被保険者が,労働者災害補償保険に.よっててん補を受けるとができる場 合。ただし,こ.の場合,労災保険から支払おれる金額を限度とサーる。
したがって−,UMIより支払われる金額が労災保険より支払われる金額より も大きい場合にほ,被保険者は,前者から後者を控除した差額をUMIの保険
(7の 暑から回収することができる。
それゆえ,たとえば,被保険者がかれの使用者によって仕事を命じられ,自 動車を運転中に.無保険自動車によって身体傷害を被った場合,被保険者は,労 災保険からも給付を受けることができるし,かれ自身のUMIからも保険金を 回収するこ.とができるが,この場合,。労災保険の給付金をUMIの保険金から 控除することが必要であり,UMIからは両者の差額を回収しうるに.過ぎな い。けだし,労災保険とUMIの両者から損害のて−ん補金を受け取ることがで きるとすれば,被保険者は二重の利得を受けるこ.とに.なり,利得禁止の原則に
(76)
反することに.なるからである。
しかし,被保険者が使用者の業務把・従事中でなかった場合に.は.,被保険者 は,UMIから,保険金額を限度として,損害額を回収することができる。
⑦ 損害が無保険自動車の事故に.よって直接に生じた(flow蝕・Om)もので ない場合。
UMIの場合も,近因の原則が適用される。したがって,無保険自動貴の事
(73)Greene,Ob.cii.,p.427.
(74)∫∂よ♂.
(75)Athearn,Ob.cit.,p.266.
(76)BI・ainaI・d,¢♪.dヂ.,p.219.
無保険尊傷害保険紅ついて −−45−・
555
(77)
扱が損害の直接の原因(adirect cause)であるこ.とが要求される。そして,
この直接の原因のなかには,被保険者と無保険自動車との物理的な接触が含ま れる。ゆえに,たとえば,盗難車を運転していた,確認不能の,運転者によっ て,停車中の自動車が追突され,同車が歩行者に衝突して身体傷害を与えた1
(78)
事件に.おいて,裁判所は,その歩行者と盗難車との間にはなんらの接触もなか
(79)
ったのであるから,歩行者はUMIに.よっては担保されない,と判決した。ま た同様に.,盲目の婦人が自動車に.よって:ひき倒され、地面に横たわっている時 に,あて逃げ自動車が初めの自動車に.衝突したため,同番が再度その婦人に衝
(80)
突して傷害を与えた事件に.おいて,裁判所は,あて逃げ自動皐とその婦人との 間に.は接触がなかったのであるから,UMI紅よってほ担保されない,と判
(81)
決した。
⑧ 無保険者の暴行(an assault and battery)に.よって損害が生じた場 合。
この場合の損害は対人賠償責任保険証券の意味紅該当する事故(an acci−
dent)に.よって生じたものとは,いえず,したがって,UMIのもとでは担保さ
(82) れない。
これを判例に致するに,あるしつと深い求婚者が,運転中の無保険自動車を 故意に他の自動車に激突させ,同車を道路から電柱に突き当て,再度自尊を同
(83) 革に激突させた事件に.おいて,裁判所は,かかる無保険者が犯した敬意の暴行に
よる損害に/ついてほ,自動車事故救済基金(Motor Vehicle AccidentIndem−
(77)C〃〝Cゐ〃乃∫紹ざ.§45:626.
(78)Bellaviav.Motor Vehicle Acci.Indemnification Corp.28Misc2d420,211 NYS2d356.C∂〝Cゐ〃邦∫〝.ざ.§45:626.
(79)∫∂昆.
(80)Re Portman,s Petition,33Misc2d385,225NYS2d560.Couch onIns
§45:626.
(飢)J∂才d.
(82)McCarthy v.Motor VehicleAcci.IndemnificationCorp.16App Div2d
35,224NYS2d909,affd12NY2d922,238NYS2dlOl,188NE2d405.Couth
〃乃∫乃ざ.§45:646.
(83)4pplication Motor Vehicle Acci.IndemnificationCorp.32Misc2d946,
228NYS2d508.Cの化ゐ(朋.わ柑..§45:646.
算48巻 第5・6号 556 ー46−
(84) (耶)
inification Corporation)に.てん補責任は生じない,と判決した。
◎ 列車,電車および住居または事務所として使用されるトレ㌧−・ラー・ホー ム(trai1er・−homes)に・よって損害が発生した場合。
この場合,UMIは適用されない。けだし,列軋電車は完全に自動車保険 の対象外とされている乗り物であり,また,住居等として使用されるトレー・ラ ー・ホ−・ムはl−・般の損害庶償貴任保険(generalliabilityinsurance)で付保
(86)
されるぺき乗り物であるからである。また,消防自動車,パトカー,自動コン バイン,農業専用トラクタL−,串よび農業用機械軋ついてもUMIほ適用され
(87)
ない。
⑲ 米国およびカナダ以外の国で損害が発生した場合。
対人賠償責任保険証券は,それが,被保険自動尊が米国およぴカナダ把・ある 間に.生じた事故に対してのみ適用され,両国以外の国に・ある間に生じた事故に 対して:は適用されない,旨規定しているが,UMIの場合も同様であり,被保 険者がイタリアで無保険自動車に搭乗中に・被った傷害に対しては適用されな
(88) い,と判決された。
(8)保険金請求権者の義務 この保険で,被保険者またはその父母,配 偶者もしくは子が損害を被ったときは,保険金請求権者は賠償義務者に対して 遅滞なく書面紅よって損害賠償の請求をなし,かつ,必要な事項を書面に・よっ
(89)
て保険者に.通知しなければならないこととされている。
保険金請求権者紅このような義務が課せられているのは,保険金の請求に・当 って,保険者は,賠償義務者があること,相手自動車が無保険自動車であるこ
(鋸)同基金は,無保険自動車,ひき逃げ自動車等に・よる事故の場合の被害者を救済する ために州法に.よって設立されたものであって,資金の調達は,同基金が自動車保険会 社のすぺてから徴収するという方法に.よって行なわれる。被害者紅対する救済の手続 は被害者自身の保険会社が行なう七.とになっている。
(85)Cの紹彪(昭一わざり §45:646.
(86)Brainard,0?.cii・,p・211・
(87)Cの相克(川【∫玖.§45:633.
(88)AmericanCasualtyCo.v.Foster,31Misc2d818,219NYS2d815・Couch
〃兜∫〝,S.§45:64ナ.
(89)PAP約款3章無保険車傷害条項11粂。
無保険皐傷害保険たっいて ー47−
557
(90)
と等を確認することが必要であり,さらには,代位求償に.・そ・なえることが必要 であるからである。
したがって,保険金請求権者は,6茸の一・般条項に規定されている事故発生 時の義務のはか,この保険牢固有の義務を課せられるこ・とに・なる。
この保険に.固有の義務とはつぎのものである。
(91)
① 事故通知義務 賠償義務者の住所,氏名または名称の通知。
⑧ 塩害賠償請求の義務 賠償義務者紅対して「祝事賠償を請求する旨」を
(92) 遅滞なく書面によ一って通知すること。この場合の,賠償義務者への通知.の,手
続は,内容証明郵便等に.より行ない,対人賠償保険の有無とその内容を文書匿 より回答するよう要.求する。
⑧ 賠償義務者に対する請求の内容等を書面によって保険会社へ通知するこ との義務 保険金請求権者は,①および⑧の義務を履行した後,つぎの事項を 書面に.よって保険者に.通知しなければならない。(a)賠償義務者がつけている 対人賠償保険の有無とその内容,(b)賠償義務者に対して行なった損害賠償請 求の内容,(c)賠償義務者,賠償義務者の対人賠償保険等または賠償義務者以 外の第三者からすでに取得した損害賠償金または損害賠償額があるときは,そ
(98)
の額。
保険者は,保険金請求権者が正当な理由なくして上記の諸義務を怠った場合
(94) にjま,保険金を支払わない。
被保険者には上記のような種々の義務が課せられているが,その主たる理由 は,被保険者が,事故の発生について,詳しい事情を知りうる立場にあるこ と,また,保険者は事故発生に.ついて重要な利害関係を有している紅もかかわ らず,事故発生を知り得ない立場に.あること,に.ある。
こ.れに対し,UMIの場合ほ,保険金の請求に.当って,被保険者がなさなけ
(90)代位については,本稿48−50ぺ−ジをみよ。
(91)PAP約款3章無保険車傷害条項11粂1項。
(92)同上。
(93)同上。
(94)同11粂2項。
558
欝48巻 籍5.・6号
−4β−
(95)
れほならない義務が,普通条項(Conditions)のなかに,明定きれているo それによれば,被保険者またはその代理人ほ,事故の発生紅際レ,遅滞なく 保険者またはその代行者に対して書面によって通知をなすこと,また,その書 面にほ,被保険者であるこ.とを確認するに足る事項,および事故発生の時刻,
場所および状況に.関して被保険者が知りうる限りの事実,並び紅被害者および 証人の住所および氏名を記載すること,を要求されている。
また,被保険者が保険者紅対してかかる通知をなした場合には,保険者は,
被保険者に対し,身体傷害に・ついて法律上の損害賠償責任があると主張ざれて いる一切の者または周体から損害賠償額を回収する自己の権利を保全するため の,必要かつ達切な処置をなすよう,要求することができるものとされている。
さらに.,被保険者またほ保険金の請求をなす他の者は,遅滞なく,損害を立 証する書類を保険者に.提出することが必要であり,そ・の書類につい一て軋,これ を誓約の形式で提出しなければならないこととされて/いる。そして:,その書類 にほ,傷害の性質および程度,治療,および保険金決定の際に考慮されるべき
(96)
他の事項の詳細を記載するよう要求されている。
以上の義務のはか,負傷者ほ,保険者が要求した時は,そのつど,保険者の 指定すノる医師の身体検査を受けることが必要であり,これに関する医療記録の 写しまたは医療報告書を入手する権限は保険者に付与されることとなる。
このはか,いくつかの義務が存在するが,それらはわが国のPAPの場合の 義務とはぼ同じものであるので,ここ.では触れないこととする。
(9)代位求償 保険者は,この保険に基づいて保険金を支払ったのちは,
保険金請求権者が賠償義務者に対して有している権利を支払保険金の限度内で
(97) 代位取得する。そして,保険者は,後日,賠償義務者に・対して求償を行なう。
PAP3章13条は,「保険金請求権者が他人紅損害賠償の請求をすることが できる場合鞋ついては,一・般条項第20条(代位)第1項の規定を適用します0」
(95)FAPのConditionsについては,Brainard,OP.cit・,ppO296−346,をみよ0
(96)J∂i♂.,p.310.
(97)PAP約款3章無保険者傷害条項13条および6章一腰条項20粂1項をみよ。
無保険薄儀菩保険について ー・49−
559
と規定している。
また,一腰条項20条1項ほ,商法662粂に基づき保険者代鱒について規定し たものであって,被保険者が他人に.損害賠償の請求をすることができる場合に は,保険者は,支払保険金の限度内で,かつ,被保険者の権利を害さない範囲 内で,被保険者がその他人紅対して有している権利を取得することができる,
と規定している。
かかる規定が設けられた理由は,被保険者の二重の利得を防止するこ.と,お よび,舞三者の被保険者に.対する損害賠償債務の免除を防止する,ことにある。
まず,前者の場合は,被保険者が,保険者笹・対する保険金請求権に基づき保 険者から損害てこん補金の支払を受け,さら紅,加害第三者に対する損害賠償請 求権に.基づきその加害者から損害賠償金を取得するこ.とができるとすれば,、被 保険者ほこ垂の利得を受けることになり,利得禁止の原則に反すること把.なる
ので,かかる不当な利得が行なわれることのないようにしたのである。
後者の場合は,被保険者が,保険者より損害のてん補を受けることができる ことから,第三者の損害賠償責任を免除することが考えられるため、被保険者 が保険者より損害のてん補を受けた場合紅は,第三者に・対する損害賠償請求権 を保険者に移転せしめることによって,算三者の損害賠償責任が免除されるこ とのないようにしたので奉る。
(98) そして,この代位に関する規定ほ,前述の六つの保険のうち,自祝事故保険
と搭乗者傷害保鱒を除いた,他甲保険に適用されることになっている0 それゆえ,前2老の保険の場合に.は,被保険者は同保険の保険金と算三者か らの扱害賠償金を重複して受取ることができる。
UMIも,わが無保険車傷害保険の場合と同様,保険考が被倖険者に保険金 を支払った場合には,その支払保険金の限度内で,被保険者が無保険運転者に
〈99)
対して有している権利を代位取得する,と規定して.いる。この瘍合,保険者
(98)こ.れら虹ついては,本稿29ぺ一汐をみよ。
(99)GreeIle,0♪・Cit・,p・427;Mayerson,OPo cit・,p・163;MowT)ray and Blan−
CbaI・d,〃♪,C云f.,p.263.
算48巻 算5・6号
ー50−− 560
は,無保険運転者に対して求償を行なうことに.なる。
そして,被保険者は,無保険運転者に対して有する損害賠償請求権の棒金の ため,書類の作成,提出その他の必要な行為をなすこと,また,損害発生後
(100)