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アメリカにおける金融仲介の変貌について

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(1)

アメリカにおける金融仲介の変貌について

一「市場化」と金融システムの脆弱性一

勝    悦 子

目  次       ミューチュアル・ファンドを通じた金融仲介の台 1.はじめに一問題設定一      頭が顕著となっている9。これは80年代入り後の 2.ミューチュアル・ファンドの急増と金融仲介  金融のディレギュレーションの一層の進展のなか

構造の変化      で,経済的合理性を反映して銀行の地位が相対的

(1)ミューチュアル・ファンドの歴史と制度   に低下したことを示すものでもあるが,こうした

(2)ミューチュアル・ファンドと年金基金    動きはアメリカだけにとどまらず,各国共通の動

(3)ミューチュアル・ファンドの運用パターン  きとなっている。すなわち,「市場の分断」と

(4)ミューチュアル・ファンドの国際性     「情報の非対称性」をそもそもの存在基盤として 3.伝統的金融仲介の停滞       きてた銀行が,金融自由化や情報通信技術の一層

(1)銀行衰退論       の進展の過程のなかでその地位が浸食されている。

(2)近年のメガ・マージャーの動向       加えて,国際的に高齢化が進み,年金基金の増大

(3)金融仲介としてのミューチュアル・ファン  など投資の機関化現象(Institutionalization)

ド      が顕著となるなかで,こうした資金の国際的移動 4.国際金融システムとシステミック・リスク   が益々活発化し,金融商品価格の変動(fluctuat

(1)国際的システミック・リスクの増大     ion)が高まる傾向が強まっている。こうした各

(2)金融仲介の変貌とペイメント・システム   国の金融仲介の変化が,国際金融システムに与え 5.むすび一国際的「規則」調和の必要性     る影響も大きくなっている2)。

本稿では,アメリカの金融仲介の変貌を分析す 1.はじめに一問題設定一       ることにより,アメリカからの対外投資資金が国

わが国では「バブル経済」崩壊後,金融機関の  際的資金フローに如何なる影響を与えているかを 不良債権問題が顕在化し,金融システムの脆弱性  検討する。さらには,アングロ・アメリカナイゼー が90年代入り後の景気停滞長期化の主因とも指摘  ション3)ともいうべき事象が国際的に普遍化する

されている。これに対し80年代末にわが国同様金  なかで,国際的なシステミック・リスクへの事前 融システムの脆弱化を経験したアメリカでは,90  的対応は如何にすべきかを検討することとしたい。

年代入り後も極端な景気後退に陥ることなく安定

成長を維持している。       2.ミューチュアル・ファンドの急増と金融仲介 近年アメリカにおいては,伝統的金融仲介のシェ    構造の変化

アが時系列的に低下し,替わってファイナンス・  (1)ミューチュアル・ファンドの歴史と制度 カンパニーなどのノンバンクを通じた金融仲介   近年アメリカではミューチュアル・ファンドへ

(いわゆるパラレル・バンキング・システム)や,  の資金流入が顕著となっている。FRBの資金循

(2)

図表1 家計部門の金融資産残高の推移(10億ドル)

1985       87       89       91       93       95

銀行および貯蓄貸付組合 2,337.0   2,672.2   2,934,9   2,989.2   2,986.6   3,115.2

国債,地方債,社債など 694.0     859。8   1,440.3   1,389.9   1,476.3   1,829.3

株式 1,154.9   1,418.1   1,928.6   2,652.7   3,285,4   4,285.8

ミューチュアル・ファンド 390.9     629.4     807.9     967.4   1,337.0   1,729.1 ミューチュアル・ファンドの全流動資産に占める割合(%) 8.5      11.2      11.8      12.0      14.6      15.6

(資料)FRB, F♂oωoゾF槻4sより作成。

環表(flow of funds)でみると,家計および個  (lnvestment Company Act of 1940)が制定さ 人事業主保有のミューチュアル・ファンド残高は,  れた。これにより,全てのトラスト・ファンドは 1985年末に3,909億ドルであったものが,1995年  同法に基づきSECに登録することが義務付けら には1兆7,291億ドルへと5倍弱に増大した。こ  れ,投資家保護が法制上確立された。さらに,

れに対して銀行預金残高は,85年に2兆3,370億  1933年証券法によって情報のディスクロージャー ドルであったものが95年には3兆1,152億ドルと  が,1934年証券取引所法によってブローカー,ディー ほぼ横這いとなっており,対照的な動きを示して  ラーのSECへの登録が,さらに1940年投資顧問 いる(図表1)。規模からみるとミューチュアル・  法等により投資顧問の登録が義務付けられ,ミュー ファンドは銀行預金の3分の2を占めるにまで急  チュアル・ファンドの法的基盤が整うことになっ 増しており,金融仲介の新たな形態として注目さ  た5)。

れている。設定数でみても,1960年には161であっ   当初ミューチュアル・ファンドはニッチ・マー たものが,1995年には5,761にまで増大しており,  ケットを狙ったものであったが,70年代はじめの 95年だけで404のファンドが新たに設定された。  MMFの誕生に伴って投資家の金利感応度の度合 90年に3,105であったことを考えると,この5年  いが高まったことが,その後のミューチュアル・

の間に設定数は約2倍に急増した。 ミューチュ  ファンドの位置づけを大きく変えることとなった。

アル・ファンドとはオープン・エンド型投資信託  90年代入り後はミューチュアル・ファンドはさら の総称で,アメリカに誕生したのは1924年のボス  に爆発的な増大をみることになったが、これは,

トンに遡るが,もともとこの種のオープンエンド  1992年にレギュレーションYが改訂され,銀行持 型投資信託会社は19世紀のイギリスやスコットラ  ち株会社は銀行子会社を通じて投資顧問サービス ンドのインベストメント・トラストにその起源を  やブローカー・サービスを行うことができるよう 持つ4)。英国インベストメント・トラストは市民  になり,銀行を窓口としたミューチャル・ファン 戦争後のアメリカ復興資金ファイナンスにおいて  ドの販売が増大したことが大きく影響している。

大きな役割を果たし,これら英国インベストメン  さらに,テレビ,郵便,新聞などを通じて直接購 ト・トラストを通じて,アメリカの農業,鉄道,  入することができ,それらの手数料は徴収されな および産業復興などの資金がファイナンスされた。  いこと(ノーロード投信)も,ミューチュアル・

1929年に株式クラッシュが起きたものの,ミュー  ファンドへの投資を増大させる要因となった。ま チュアル・ファンドは壊滅的な打撃は被らず,そ  た,ミューチュアル・ファンドは運用成績に応じ の後も順調な成長を続けた。      て収益がそのまま保有者にパススルーされ課税の 法的基盤の整備については,1936年の議会令に  対象となるが,その税制は総合課税である。キャ より,SEC(証券取引委員会)が投資会社の調  ピタル・ゲイン(最高税率28%)とインカム・ゲ 査を実施して,これをもとに1940年に投資会社法  イン(総合課税)とに分けられて課税される。銀

(3)

行預金についてはFDICなどの預金保険が付保  投資対象を変換できるプラン(ファミリープラン;

されているが,銀行が販売するミューチュアル・  株式投信,債券投信,MMFなど,同じ系列のファ ファンドについては,元本は保証されていない6)。  ンドであれば無料で変えられるタイプの投信プラ ン)を有するミューチュアル・ファンドは,こう

(2)ミューチュァル・ファンドと年金基金     した年金運用のニーズにまさに合致するものであっ 年金,信託,個人財団,NPO(非営利団体)  た。

まで,様々な機i関投資家がミューチュアル・ファ   1兆ドルを越える個人年金であるIRA(Indi ンドをその運用資産に大きく組み入れているが,  visual Retirement Account)勘定8)においてもミュー そのなかでも近年のミューチュアル・ファンドの  チュアル・ファンドへの運用が近年増大してい 劇的な増大に一・役かったのが,年金基金である。  る。IRAのようなタイプの個人年金勘定は,年

とりわけ,401(k)プランと呼ばれる年金基金プ  間2千ドルまでの積立金の所得控除がなされるな ラン7)は,長期的かつ成長性の高い投資が必要不   ど,1986年税制改革(The Tax Reform Act of 可欠となっており,ミューチュアル・ファンドの   1986)により税制優遇が強化された。こうした 商品性がこれに非常に適していたことが指摘でき  税制面での優遇措置や,転職の際に他社のIRA る。例えば1994年末の401(k)プランに基づく年  を持続して利用できることなどの制度面での有用 金基金残高は5,250億ドルであったが,そのうち  性を主因に,IRAへの資金流入が増大したこと 31%(1,610億ドル)がミューチュアル・ファン  が指摘できる。1981年にIRAの運用規制が緩和 ド運用で占められている。公的教育部門の雇用者  されたが,それが,それ以降の同勘定に占めるミュー で構成される403(b)プランでもミューチュアル・  チュアル・ファンドのシェアを飛躍的に増大させ ファンドへの投資額は近年増大が著しく,94年末  る一因となった。

ではほぼ3分の1を占めるに至っている。確定拠    IRA勘定の運用主体別内訳は図表2の通りで 出型年金の場合,複数の投資対象を持ち,自由に  あるが同表からも明らかなように,同勘定のミュー

図表2 1RAの資産運用構成(億ドル;残高ベース。カッコ内はシェア,%)

1991   1992    1993    1994   1995年

商業銀行 1,344       1,369       1,341       1,361       1,445

(20.4)      (18.3)      (15.5)      (14.5)      (12.4)

貯蓄貸付組合 911         853         766         716         712

(13.9)      (11.4)       (8.8)       (7.6)       (6.1)

生命保険会社        497         556         695         787         940

(7.6)       (7.5)       (8.0)       (8.4)       (8.0)

クレジット・ユニオン 323        325        324         321        332

(4.9)       (4.4)       (3.7)       (3.4)       (2.8)

ミューチュアル・ファンド 1,691       2,110       2,839       3,049       4,108

(25.7)      (28.3)      (32.7)      (32.4)      (35.2)

証券会社(ブローカー) 1,806       2,247       2,710       3,175       4,150

(27.5)      (30.1)      (31.3)      (33.7)      (35.5)

総  計 6,572       7,460       8,675       9,409      11,687

(100.0)  (100.0)  (100.0)  (100.0)  (100.0)

(資料)ICI, Mμ加αZ Fμπ4Fαc乱800ん96より作成。

(4)

チュアル・ファンドへの投資運用額は近年増大が  利がほぼゼロという低金利が続き,これを背景に 著しい。1991年には全体の257%のシェアであっ  定期性預金からこれら高イールドの金融商品に資 たものが,95年には352%を占めるにまで至って  金がシフトしたことによる影響が大きい(図表3)。

おり,証券会社などのブローカーがミューチュア  こうした直接的な資金の流入に加え前述したよう ル・ファンド運用を一部行うことを勘案すると,  な年金基金などからの間接的流入を含めると,同 直接,間接双方でのミューチュアル・ファンドの  基金の残高は毎年増大の一途をたどり,95年には シェアは相当高いと推察される。とりわけIRA  前年比221%もの急増を示した。もちろんこの間 勘定のミューチュアル・ファンズ運用は,株式選  株価急騰といった評価額の上昇が流入額を名目価 好の度合いが顕著となっており,株式型ミューチュ  格ベースで押し上げていることは否定できないも アル・ファンド運用は同ファンド運用の576%と  のの,資本市場における同基金の役割は飛躍的に 6割弱を占めている。       増大し,実物経済の安定にも大きく寄与した。

ミューチュアル・ファンドの株式保有残高は95

(3)ミューチュアル・ファンドの運用パターン  年には1兆4千億ドルとなり,株式時価総額の 家計の金融資産に占めるミューチュアル・ファ  125%のシェアを占めるなど,証券市場での同ファ ンドのシェアは近年急拡大しており,前掲図表1  ンドの影響力も増大している。加えて,国債市場 でも明らかなように,家計流動資産に占める同基  においても,全国債残高(6兆ドル)に占める同 金のシェアは85年に85%であったものが,95年  基金のシェアは8%とその資金環流機能は高まっ には156%へと飛躍的に増大している。これは,  ており,社債および外債に占めるシェアは79%,

とりわけ90年代入り後アメリカで中期的に実質金  さらに地方債に至っては258%(いずれも95年末

図表3 米国家計部門の金融資産の内訳(億トル)

iiii鑑}盤塞謹1践謡鹸

;:……盤繍灘雛▲500

■定期・貯蓄預金(当座預金は除

@く)

ヘ国債、地方債、社債なと

絈博ョ

」ミューチュアル・ファント

。年金基金

1990  91  92  93  94  95  96QI Q2

(資料)図表1と同し。

(5)

残高ベース)と高いシェァとなっている。これは  さらにそれが株価を支えるという好循環が示現し 商業銀行が1986年の税制改正を機に,地方債市場  たことによるところが大きい。また,後述するよ から撤退し,マーケットシェアを急激に落とした  うに国際分散投資が早くから進んでいたことも,

のとは対象的な姿を示すものであり,ミューチュ  高イールド実現に大きく貢献した。

アル・ファンド資金はそれを穴埋めする形となっ

たと言える。      (4)ミューチュアル・ファンドの国際1生 ミューチュアル・ファンドには,投資パターン   80年代末から90年代にかけてLDC諸国が民営 の目的に応じて図表4のように様々な種類が存在  化の推進や金融資本市場の整備などの経済構造改 するが,大別すれば,株式型,債券型,短期市場  革を断行したこともあって,いわゆる「エマージ 商品型の3つに分類される。ミューチュアル・ファ  ング・マーケット」と呼称される諸国の潜在成長

ンドの運用成績はおしなべて高く,高イールド志  力を見据えた各国からの証券投資が急増した。そ 向が強いことが指摘できる。80年代前半は,短期   のなかでも同地域の債券や株式への投資を活発化 金利が高水準であったことを背景にマネーマーケッ  させたのがアメリカのミューチュアル・ファンド ト型投資への集中が顕著であったが,95年末残高  であった。投資タイプ別でみたミューチュアル・

ベースのシェアをみると,長期株式および債券型  ファンド残高のうち、国際性ミューチュアル・ファ 投資が全体の4分の3を占めるなど,その運用形  ンドは近年増大傾向を辿っており、インターナショ 態は劇的に変化している(図表5)。これは,成  ナル・ファンドとグローバル・エクイティは95年ま 長型ファンドの運用成績が非常に良好で,それが  での5年間にそれぞれ総資産が8.4倍、6.3倍と急

ミューチュアル・ファンドへの資金流入を促進し,  激な伸びを示した。

図表4 投資目的別ミューチャル・ファンドの取引額(1995年、億ドル)

2

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(資料)図表2と同じ。

(6)

図表5 ミューチュアル・ファンスの形態別推移(億トル)

:::厩灘脇灘灘}蝋灘櫨懲_麟臨懲鞭糖…盟譲鱗灘鋤

囲MMF(非課税)

高lMF(有税)

。債券型 }株式型

㎜難懸1醐鞘雌盟飛遜騨麟麟鷺鍵

07・7172737475767778798・8182838485868788899。919293979 年)

(資料)図表2と同じ。

ミューチュアル・ファンドは海外への投資だけ  投資家の対外株式投資および対外債券投資の内訳 でなく,現地での投資信託会社設立も進め,同地   を示したものであるが,全世界向け投資額は93年 域での資金吸収にもつとめており,世界全体のミュー   に株式が前年比318倍,債券が同210倍と急増し チュアル・ファンドの資産残高は90年からの5年  ている。94年にアメリカの金利引き上げに伴うエ 間で2兆3,550億ドルから5兆3,340億ドルへと約25  マージング・マーケソトの株価下落により対外証 倍に拡大した。同じ期間に,20力国にある投資信  券投資総額は一時的に低下したものの,その後は 託会社の資産は122%の高い伸びを示している  再び順調に拡大している(図表6,7)。とりわ

(年率173%)。エマージング・マーケノトだけ  けラテンアメリカ向け株式投資は引き続き巨額と でなく,欧州への進出も積極化しており,とりわ  なっており,またアジア向け投資も巨額になって けEU金融統合の一環として, UCITS(Undertak  いる姿がみてとれる(前掲図表6)。

lngs for collectlve Investment m Transferabl

eSecurltles,ディスクロージャー,規制,監督な  3.伝統的金融仲介の停滞 どの面でミューチュアル・ファンドの統一市場を   (1)銀行衰退論

創設する指令)が89年10月にEUディレクティブ   このように近年家計金融資産に占めるミューチュ として施行されてからはEUへの進出も加速する  アル・ファンド残高が急増しており,ファイナン など,ミューチュアル・ファンドの国際1生は一層  ス・カンパニーなどノンバンク経由の金融仲介も 高まっている。 ミューチュアル・ファンドや年  増大するなかで,銀行の地盤沈下が著しい。例え 金基金が国際分散投資を強めるなか,米国資金の  ば,アメリカの資金循環表(flow of funds)に 対外証券投資額は急増し,今や80年代後半のジャ  よれば,商業銀行の資産シェア(S&Lを除くべー パン・マネーに匹敵する規模に膨張している。図  ス)は,1950年には52%と全体の半分以上を占め 表6は,米国証券業協会(SIA)公表の米国人  ていたのに対し,80年には37%,90年には32%と

(7)

図表6 米国人投資家の対外投資

米国人投資家による外国債券購入状況(億ドル)

90   91   92   93   94  95年

欧州 43.2     198.8     209.6     548.3  ▲  65.3     263.8

カナダ 67.9      80,0      69.8      94.8      49.1      80,4

ラテンアメリカ 68,4  ▲  34.5  ▲  31。9  ▲  35.1     180.3      50.6

アジア 20.1  ▲  80.3  ▲  26.6  ▲  21ユ      17.3      73.2

うち日本 24.3  ▲  19.7  ▲   5.0  ▲  29.3      27.4      23.0

その他 ▲   3.8  ▲   5.6  ▲  30.1      20.8      21.2       0.3

全世界 221.1     158.4     190.8     607.5     202.7     468.3

米国人投資家による外国株式購入状況(億ドル)

90   91   92   93   94  95年

欧州 34.2     181.8     179.1     315.3     132.5     220.0

カナダ 1.0  ▲   3.9  ▲   3,3      51,1      24.1  ▲   2.0

ラテンアメリカ 19.4      24.6      50.1     123.0      43.2      17.8

アジア 17.9     150.7      88.8     170.6     217.3     267.8 6.1     137。9     44.4      62.2     147.2     198.2

その他 19.5  ▲   4.1       8,0      18.2      23.6      10.0

全世界 92.1     349.1     322.6     678.2     470.7     512。5

(資料)SIA,For♂gπ.4c劾1妙より作成。

図表7 米国から海外への資金流出状況(単位;億ドル)

89   90   91   92   93   94  95年 96年1Q   2Q

株式 172       74      307      342       634       481      507 898   689

Credit market資金 102       239       148       237       704   ▲  153       695 438   349 うち社債 49       214       150       168       829       122       483 479   114 直接投資 319       249       304       401       782       545      955 928   919 その他 399       37     ▲113       165       336       35       235 310   ▲54 合 計 992      900      377     1,103     2,327     1,442     2,887 3,315  1,928

(資料)FRB,FぬωoゾFμπd8各号より作成

(注)四半期の数値は年率換算ベース。

漸次低下している。これに対し,ファイナンス・  する。こうしたなかでアメリカでは近年「銀行衰 カンパニーを含むノンバンクやミューチュアル・  退論」が盛んに論議されている。

ファンドのシェアの急増が著しい。すなわちこれ   もっとも「銀行衰退論」で議論されている数値 は,市場の分断や規制により保護されていた銀行  はバランスシート上のみの数値であり,銀行業務 が,金融自由化,規制緩和のなかで,そのアドバ  が近年オフバランス化していることを考えあわせ ンテージが中長期的に浸食されてきたことを意味  ると,単に銀行の仲介機能が多様化しただけだと

(8)

とらえることもできる。しかしながら,金融技術  金保険を支払うことの見返りとして,巨額の資金 の進展,家計部門の金利選考の高まり,および高  を動かすことができた。しかしながら,近年預金 齢化の進展を背景に,伝統的金融仲介が急速にそ  保険料率は増大する傾向にあり,これは銀行の資 のシェアを低下させていることは,とりわけアメ  金コストが増大することを意味し,他の金融機関 リカで顕著である。      に対する銀行の競争力は低下することとなった。

その理由としては以下の4点が指摘できる   もっとも,資産ベースで銀行のシェアが低下し

(Kaufman G.K.(1993)pp.144−152)。第一に,金  ても,必ずしも銀行業が衰退産業であるとはいえ 融通信技術が急速に発達したことである。もとも  ないとの指摘も多い(Kaufman and Mote(1994),

と銀行は,借り手の情報という面で他の貸し手よ  Boyd and Gertler(1994))。オフバランス取引な りもアドバンテージを有していた。すなわち,銀   ど新規ビジネスの提供によって銀行の競争力が維 行は融資,預金,金融アドバイス,資産管理など  持されているとの見方もできるからである。

の面で様々なリレーションシップを顧客との間に

持ち,情報の蓄積が進んでいた。しかしながら,  (2)メガ・マージャーの台頭

金融技術の発展により,信用ファイルなどの「情   このように,アメリカにおいては伝統的金融仲 報」がより低コストで入手できるようになった。  介のシェア低下が顕著となっているが,これは,

これは,最近のCP形態での資金調達が爆発的に  その主体である米銀を取り巻く基本的環境が大き 増大していることとも大きく関連している。通信   く変わってきたことを示すもので,銀行業界はよ 技術革命の進展はブランチ・バンキングのコスト  り戦略的なリストラに迫られているのが実情であ を高め,また証券化を一層促進させる要因ともなっ  る。こうしたなかで最近目立っているのが大型合 ている。       併(メガ・マージャー)の動きである。例えば,

第二に,金融規制の影響である。元来銀行は決  95年8月のチェイスとケミカルの合併(資産規模 済預金を有していることから金融当局の規制によ  で全米1位の銀行の誕生),これと前後したファー

り厳格に保護されてきた。しかし,70年代以降の  スト・ユニオンとファースト・フィデルティの合 金融ディレギュレーションの過程のなかで,レギュ  併,ファースト・シカゴとNBDバンコープの合 レーションQなど金利規制の撤廃や,業務規制が  併,また,バンカメリカによるコンティネンタル・

緩和されたことにより,他の業態との競争が激化  バンク・オブ・シカゴの買収などの,スーパーリー し,銀行の収益力は全般的に低下した。自己資本  ジョナル同志の合併などである。こうした合併の 比率規制や法定必要準備制度,あるいは州際業務  ニューウェイブは,以下の二つのタイプに大別で 規制に従う必要のないファイナンス・カンパニー  きる。

などのノンバンクは,銀行に比べそうしたコスト   第一は,リーテイル(小口金融)業務基盤の拡 がないため,競争上有利となり,それらの台頭が  充である。リーテイル部門は投資銀行業務に比べ 顕著となって銀行のポジションが浸食された。   より労働集約的であり,規模の経済を享受し易い 第三は,銀行の信用力が急速に低下したことで  部門である。すなわちマーケット・シェアの拡大 ある。従来銀行は高い信用格付けを誇っていたが   により利益率を向上させることができ,豊富な資 近年の金融自由化のもとでの競争激化のなかで,  金をテコとして,新しい情報通信技術の活用によ C&1ローンよりも不動産投資といった,より信   り決済業務の高度化を実現できる。すなわち,リー 用リスクの高い融資に傾斜し,これが,全般的に  テイル業務が新たな経営戦略として位置付けられ 銀行のレーティングを低下させ,資金調達コスト  てきているのである。近年目立っているスーパー を増大させることとなった。      リージョナル(バンクワン,ネーションズバンク,

第四は,預金保険制度である。従来銀行は,預  バンカメなど)を軸とした合併・吸収もまさにご

(9)

のタイプのものであり,地域のリーテイル・ミド  ている(Johnson(1993))。

ル・マーケットへの食い込み,あるいは金融商品

の開発力の強化や事務処理部門の整理統合による  (3)金融仲介としてのミューチュアル・ファン オペレーション・コストの削減による生産性の向     ド

上などが目的となっている。       それでは,金融仲介としては上述の伝統的銀行 第二は,投資銀行業務における「規模の経済」  部門とミューチュアル・ファンドとは如何なる相 の追求,業務の高付加価値化である。例えば,ト  違があるのか。

レーディング,M&Aなどの業務については,合   銀行もミューチュアル・ファンドも同じ「金融 併により単位当たりコストを削減することができ  仲介機関」(Financial Intermediaries)の範疇に る。また,外為ディーリングやOTCデリバティ  属し,双方ともそれぞれのチャネルを通じ資金余 ブ取引においては,取引高が多ければ多いほど,  剰の部門から資金不足の経済主体へ資金を流すと リスクをスクエアできるなどリスク管理の面でメ  いう意味で資金仲介機能を果たしている点では共 リットがあると同時に,有利な条件でマーケット  通している。銀行はローンという形で,あるいは メイクすることができる。このためには自己資本  政府証券などのデット証券に投資する形で資金を の強化が必要となるが,それを通じてより多角的  仲介する。一方ミューチュアル・ファンドはロー で資産効率の高い業務が可能となる。       ンという形態はとらないものの債券や株式への投 こうした大型合併を促進しているのは,規制緩  資といった形で資金仲介を行う。これらは,発行 和の一層の進展である。アメリカの金融制度につ  市場や,流通市場双方において流動性供給といっ いては,1927年のマクファデン法により州際業務  た機能を持つ。

が禁止されていたが,94年にはインターステート   銀行はバランスシート上の資産に「貸出」,「負 バンキングを解禁するニーグル=ニール法(97年  債」に預金をもち,その間の期間のミスマッチな までに実施)が成立し,さらにアンチトラスト法   ど信用リスクに常に晒される。これに対し投資信 緩和の動きなどによりメガ・バンクの素地ができ  託は,受益証書(負債)と資産が常に1対1で対 つつある。また,近い将来「グラス・スティーガ  応する。このため投資信託会社は信用リスクを被 ル法」の撤廃が見込まれており,米銀を巡る競争   らず,原理的には取り付けといった問題は発生し 環境は大きく変貌しようとしている。こうしたな  ない。投資家がリスクを担うという点では,ミュー かで,銀行,インベストメント・バンク,保険会  チュアル・ファンドなどの投資信託は直接投資形 社の業務のボーダーはますます曖昧なものとなり  態9)の金融仲介と共通している。

つつある。      前節で分析したように、近年アメリカでは間接 もっとも,アメリカの銀行数は94年末時点で  金融のシェアが低下し,変わってミューチュアル・

9,900行と,ここ数年その数は激減しているとは  ファンドの増大のなかで,直接金融形態のシェア いうものの他国に比べれば圧倒的に多く,近年  が高まっている。ミューチュアル・ファンドが急

「エクセス・キャパシティ」(Johnson(1993))  増していることは,最近のニューヨーク市場の株 が取り沙汰されている。とりわけ中小銀行のシェ  高にも大きな影響を及ぼしているが,直接金融形 アが高いのが特徴であったが,最近の動きで顕著  態の場合,リスクが直接投資家に転嫁されること なことは,MBHC(複数銀行持株会社)への集  となり,市況の急変があった場合は,国際的なマ 中度合いが高まっていることであり,米銀の競争  クロ経済に及ぼす影響は大きいものとなろう。カ 力強化の観点から,従来の「分権化」志向が弱まっ  ウフマンはこうした金融仲介の変質が国際的に新 てきたことが窺える。こうしたなかで,中小企業  たな流動性(new financial excesses)を生み出 金融がなされにくくなっているとの批判もでてき  している点を警告している(Kaufman, H(1994)

(10)

pp.5−6)。       魅力が増大した。しかしながら,1994年末に起き ただ,伝統的金融仲介のシェアが低下している  たいわゆる「テキーラ・ショック」(メキシコ危 ことは,銀行の地盤沈下を示すものではなく,金  機)はこれら諸国の金融市場の脆弱性を露呈し,

融サービスの変質を示すものであることには留意  95年1月には香港,シンガポール,インドネシア,

する必要があろう。すなわち,銀行の基本機能と  マレイシア,フィリピンの株価が急落するなど,

されてきた資金仲介機能(流動性の高い短期負債  国際的な資金の動きが金融市況に大きな影響を与 を受入れ,それを流動性の低い中期貸出に変換す  える傾向が強まっている。

るという機能)は変化していないものの,多くの   さらに前述したように,各国銀行の競争環境が 金融商品サービスの登場により,高度なリスク情  激化するなかで,国際的に活動する大手銀行は0 報を処理していくという新たな業務が銀行の中核  TCデリバティブ取引を膨張させており,市況の 業務となってきている。グリーンスパンFRB議  急変があった場合には,国際的なシステミック・

長によれば,銀行は将来的には「金融マネジメン  リスクを惹起させる懸念も高まっている。例えば,

ト・アドバイス・コミュニケーション会社」に進  1994年の神戸大震災に端を発した日本株の下落の 化していくとも言われている。すなわち,近年の  なかで,ベアリング証券が巨額損失を計上し,破 情報通信革命の一段の進展のなかで, 「銀行」  綻に追い込まれたのは記憶に新しい。また,ドイ が広く金融サービスを行う機関に変質してきてい   ツのメタルゲシャフトや,アメリカ,オレンジ郡 ることを示すものである。こうした動きは金融の  のデリバティブ取引に伴う巨額損失などの不安定 グローバリゼーションのなかでアメリカだけでな  要因も露見されている。

く,日本,欧州にも広がろうとしている1°)。     すなわちこれは,金融の「国際化」,「機関化」

が一段と進行している現在,システミック・リス 4.国際金融システムとシステミック・リスク   クへの事前的備えが一国レベルではなく,国際レ

(1)国際的システミック・リスクの増大     ベルで必要となっていることを意味する。同時に 以上みたように,各国の金融仲介の姿が大きく  これは,「規制の国際化」(規制のアービトラージ 変わっていることに加え,先進諸国においては,  (裁定))が急速に進んでいることを示すもので 高齢化を背景に年金基金残高が急増していること  もある。「規制の国際化」は,①競争条件の中立 が共通した動きとなっており,これら機関投資家  化と,②国際的システムの安定,といった二つの の膨大な資金が国際金融システムにも大きな影響  側面を持つが,一国の規制を他の主要システムの を与えるようになってきている。欧州においても,  それから完全に独立させて適用することは不可能 EU金融統合が進む過程で,財政赤字削減の必要  である(Benik and Llewellyn(1996)pp.199−200)。

性から,各国とも公的年金を圧縮し,公的年金か   国際的な金融取引は,近年スピードを増し,取 ら民間年金基金へのシフトが起きており,高齢化  引量も急膨張し,また複雑さも増しており,市場 の進行のなかで国際的に金融の「機関化」の動き  間あるいは銀行間の相互依存の度合いは従来に比 が加速している。       べ急速に高まっている。こうした環境変化のもと こうした「機関化」の動きに加え,ラ米やアジ  では,一つの市場の急変あるいは一機関の破綻が ア諸国においては80年代後半以降の経済構造改革   瞬時に国際的に波及する可能性が高まっているこ 措置が効を奏し,各国ともマクロ経済ファンダメ  とが指摘でき,「潜在的」なシステミック・リス ンタルズが好転したこと,さらに,90年代初頭に  クの懸念は従来にも増して高まっていると言えよ 先進諸国が期を同じくして景気後退局面に突入し  う。もっとも,一金融機関の破綻がシステム全体 金利低下が顕著となったことから,いわゆる「エ  に影響を与えることについては,中央銀行の流動 マージング・マーケット」の株式や債券の相対的  性供給により事後的に回避することができるとの

(11)

見解もあり(Benston(1995)),ベアリングスや  BISの自己資本比率規制やEUの自己資本比率 BCCIの破綻の時にもこうしたシステミック・  規制指令(CAD;Capital Adequacy Directive)

リスクの危機は実際には起きなかった。とはいえ  は,こうした危機への事前的備えであり,マーケッ こうしたリスクは一旦現実化すれば取り返しのつ   ト・リスクを対象としたBIS第二次自己資本比 かないものであり,事前的対応が益々重要になっ  率規制や10SCO(the International Organi ていることは論をまたない。さらに,中央銀行の  sation of Securities Commissions)の場での規 厳格な監督下にある銀行以外の金融機関,すなわ  制の調和も,こうした流れに添うものとなってい ちミューチュアル・ファンドやファイナンス・カ  る。しかしながら,規制の調和については,各国 ンパニーを媒介とする信用創造が急増しているこ  とも国内の投資家保護を優先させ,国際的視野に とも,システミック・リスクの懸念が増大してい  はそれほどの配慮をしない傾向があるなど,その ることの素地となっている。      実行については非常に難しいのが現状である。加 えて,銀行と証券の区分けが益々曖昧になってき

(2)金融仲介の変貌とペイメント・システム   ているなかで,銀行と証券の問での規制の調和も 金融業務が多様化するなかで国際的リスクが増  なされていないのが実状である。また,区分けが 大していることは,すなわち,国際的ペイメント・  曖昧になってきてはいるものの,未だその機能に システムを如何に守るかということに帰結する。  は大きな違いがあり,国ごとの制度上の差異もあっ 実物経済の決済取引よりも遥かに巨額の金融取引  て,調和はさらに難しいものとなっている。

決済については,決済性預金残高の数百倍もの資

金取引が行われているとも言われており(例えば,  5.むすび一国際的「規制」の調和の必要性一 アメリカでは決済性預金残高は全ドル金融取引の   以上アメリカにおける金融仲介の変貌と国際金 0.5%に過ぎない),金融構造は公的決済システム  融システムにおける新たな不安定要因について概 を基盤とする逆ピラミッド型の様相になっている  観してきたが,わが国においても,金融仲介の変 ことがしばしば指摘される。ミューチュアル・ファ  貌は現実のものになりつつある。日本銀行の資金 ンドを媒介とする金融取引の爆発的増大も結局は  循環勘定によれば,高齢化の一層の進展のなかで,

こうしたペイメント・システムで最終的に決済さ  生命保険や年金基金への資金流入が顕著となって れている訳であり,ペイメント・システムを如何  おり,銀行の定期預金などへの資金流入が細って に安定化させるかが各国通貨当局の最大の関心事   いるなど,金融の「機関化現象」が顕著となって となっている(Eisenbeis(1995)p.330)。      いる。さらに,第二次橋本政権のもとでの金融ビッ

さらに,近年の通信情技術の急速な発達は,金  グ・バンといった壮大なビジョンのもとで,伝統 融取引のスピードを飛躍的に高め,また取引自体  的な金融仲介の姿もまさに大きく変貌しようとし を複雑化させると同時に取引コストを低減させて  ている11)。同構想では,一段の市場化の推進や,

いるが,逆に金融取引の量的規模を爆発的に増大   会計基準、開示基準などの国際的スタンダードへ させる要因ともなっている。また,グローバリゼー  のさや寄せなどに加え,預金取扱い金融機関以外 ションを背景とした企業金融やホールセール金融  への決済業務サービス提供機能の解禁と,登録制 業務の国際的な普遍化とリテール部門のナショナ  のもとでの資産・運用サービス業の導入などがう ル化の二極分化の動きがみられていることも(B  たわれている。また、幅広い金融サービスが金融 enik,and Llewellyn(1995)p.394),国際的なペイ  持株会社のもとでできることとなり,わが国にお

メント・システムの摺り合わせや規制の調和を難  いても,市場の効率性が高まると同時に,金融サー しくする要因となっている。      ビスの高度化が現実のものとなろうとしている。

88年に公表された信用リスクを主に対象とする   このように,各国とも市場のダイナミズムが増

(12)

大する一方で,金融取引の肥大化に加え,国際化,  5)SECは投資信託の検査を行うが,このほかNA 集中化は一段と進むものとみられ,こうした環境   SD(The National Association of Securities De 変化のもとでは,各国金融業務の法制面の平準化  alers;自主規制団体)による検査も行われている。

に加え,会計基準,ディスクロージャー規準,ネッ  6)もっとも,FRBおよびOCC(通貨監督局)は,

ティング・スキームの整備など,国際的なシステ   投信を販売する銀行に対し,①投信がFDIC(連 ミック・リスクへの事前的な備えが今後ますます   邦預金保険機構)の保険対象でないこと,②価格変 重要となっていくことが予想されよう。さらには,   動リスクがあり元本が保証されていないこと,③銀 決済システムの国際的統一化は必須の事項であり,   行預金ではなく,銀行によって保証された商品では 決済システムの整備が益々重要となってきている。   ないと,警告している(伊豆(1996))。

例えば,アジア地域が金融取引面でも先進国との   7)401(k)プランは,一般企業あるいは個人事業に従 関係を近年急速に深めている現状,アジアの決済   事する雇用者に適用される確定拠出型年金。雇用者 システムの整備や,先進国の決済システムとの統   が一部資金を拠出する。内国歳入法401(a)条項(一 合なども,今後の課題として検討していく必要が   般の税制適格要件)に加えて、401(k)条項により従 あろう。各国の決済システムの「即時グロス決済   業員拠出金の課税繰り延べが可能となったプラン。

(RTGS:Real Time Gross Settlement)への移   税制上の優遇措置がある。企業にとっては年金給付 行も検討していく必要があろう。         に伴う責任負担を軽減でき、また個人にとっても自

国際的な規制の調和を図るためには,国際シス   助努力による年金蓄積が可能となる点、転職の際に テムの安定化と,競争条件の平準化という二つの   も継続できる点などのメリットがある。こうしたメ 命題に焦点を当てるべきであるのは当然のことな   リットを背景に、確定拠出型企業年金のなかでも401 がら,それらを同時に達成するためには,例えば   (k)プランの急増が著しい。

銀行と証券会社の業務形態の違いに応じ,利害の   8)74年にERISA(従業員退職所得保障法)により 衝突もあり得る。この意味で,国際的な規制の調   導入された証券会社や銀行などの個人単位での退職 和を図る国際機関の設立も一考に値すると思われ   勘定。原則、企業年金への非加入者が年間2,000ドル る。       まで課税繰延で拠出できる。投資収益にも課税繰延

が適用される。

1) パラレルバンキング・システムについては,  9) もっとも,金融ディレギュレーションや国際化が D arista(1993)に詳しい。       進んだ現在では,直接金融と間接金融の区分け自体 2)例えば,1994年に大規模な資金移動が欧州域内で    が意味をなさないとの指摘もある(池尾(1995))。

おこり,長期金利が乱高下したことなどが指摘でき   いわゆる古典的定義を示したガーレイ=ショウによ る。94年の欧州の長期金利の変動については,Borio   れば,最終的貸し手が本源的証券(手形,借用証書,

and McCauley(1994)に詳しい。      社債,株式など)を受け取るような金融仲介の方法 3)Kaufman(1994)によれば,①市場および制度上   を「直接金融」,本源的証券は金融仲介機関が保有し,

の規制緩和が進展していること,②セキュリタイゼー   最終的貸し手は間接証券(預金証書や保険証書など)

ションの一層の進展,③デリバティブ取引の増大な   を受け取るような金融仲介を「間接金融」として区 ど金融技術革新が進んでいること,④各資産市場を   別した。

またがった「ハイオク」的ポートフォリオ・マネー   10)例えば,第二次橋本政権下で法案提出が予想され ジャーが台頭していることなど,国際的に「金融の   る日本版ビッグバンなど。一方欧州においても,ド アメリカナイゼーション」が進展していると指摘し   イツでのアルフィナンツ(金融の総合化)の動きや,

.  ている(pp.8−9)。      イギリスのビッグバン,フランスのプティバンやバ 4)Investment Company Institute(1996).,p.25    ンカシュランスの動きなどにより,金融仲介構造が

(13)

変化してきている。      Government Accounting Office(1995), M碗μαZ F 11)わが国では税制上の影響を主因として,伝統的金   槻48」配pαc孟oηBα漉Dεpos εsαπd Crθ4髭

融部門への預金の偏りが大きかったし,また,出資   .A槻吻わ読妙.

法などにもみられる如く「銀行優位」の体制が長ら   Investment Company Institute(1996), M碗醐Z く続いてきた。前述の金融制度改革法によれば,金    Fμη4FαcオBoo々1996.

融機関は幅広い「資産運用管理サービス」を行うこ   Ito,Tadatoshi and Folkerts−Landau,David(1996),

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