歴史的土木資産の保全手法 一震災復興橋梁 にお ける標準的仕様 の実態 A S山dyonPr es e Ⅳa t i onMe t hodf わrHe r i t ageofCi vi lEngi nee r l ng
藤津 加奈子
1*、窪 田 陽
一 2、深堀 清隆
3、川辺 了
‑ 4、大友 正晴
5、惣慶 裕幸
6Ka na koFu j i s a wa, Yo ui c hiKu bo t a, Ki yo t a kaFu ka ho r i , Ryo ui t iKa wa be, Ma s a ha r u Ot o mo , Hi r o yu kiSo uke i
l・2,3
埼玉大学 工学部建設工学科
De pa r t me ntofCi vi l&Envi r o nme nt a lEngi ne e r i ng, Fa c ul t yofEngi ne e r i ng,Sa i t a maUni ve r s i t y
4
埼玉大学 大学院理 工学研 究科 Gr a d ua t eSc hoolofSa i t a maUni ve r s i t y
5
,
6国際航業株式会社 Ko kus a iKogyoCo . , L
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.1.研究 の背景
大正 1 2 年の関東大震災の後、東京市では国 ( 復興局)と東京市が中心 となって大規模 な復興事業が行 われ た。その中で も橋梁については 8 年 間で 425 橋 を架設す るとい う近代 まれ に見 る大規模 な計画が行 われた。
これ らの橋梁は当時最先端の海外橋梁技術 を利用 してい る点、大規模 な都市計画の一部 を成 してい る点、ま た 8 年 間で 425 橋 を架設 している点、 といった重要な側面 を持 った橋梁群である。 こ ういった事か ら、震災 復興橋梁は当時の技術や意思決定の考 え方 を将来 に伝 える貴重 な情報源 であると考 え られ る。
その為 に震災復興橋梁 についてはこれ まで多 くの研 究が行 われてきた。その対象 は地理条件や景観 を考慮 した都市のシンボル的な大橋梁が多い。大橋梁か らは、当時の最先端の技術や都市計画の意図を読み取 る事 ができる。一方で、震災復興橋梁の大部分 を占める中小橋梁 については都市の復 旧を第一に求 めた為 に特異 な技術や装飾が見当た らず、 これまであま り研 究の対象 となっていない。 しか し、 このよ うな中小橋梁 につ いて も大橋梁同様 に、当時の設計技術水準 ・多 くの橋梁 を架設す る際の都市計画の考 え方 な ど学ぶべ き点が 多 く存在す ると考 え られ る。従 って本研究ではこれ らの橋梁 を対象 として橋梁技術や意匠の実態 を調査 した。
その結果 、 これ ら中小橋梁 においては現代 の標準設計の よ うに、設計 ・施工の効率化 を意図 した もの とみ ら れ るデザイ ン上の統一がな されていることがわかってきた。本研究ではこの点に焦点 を絞 り、それ を標 準的 仕様 と名づ け、 さらにその仕様 には どの よ うな種類 があ り、それぞれの橋梁の各部位 は どの よ うにデザイ ン
されてい るか、その実態 を分析す ることに した。
*〒33 8 ‑857 0 埼玉県浦和市下大久保 255 TEL: 0 48‑85 8‑95 49F AX: 048‑85 8‑737 4
2. 図面調査 の実施 と分析 2. 1 調査概要
本研究では以下に示す 3 つの作業 を実施 した。
1. 竣工当時の図面収集 2. 設計図面の比較検討 3. 橋梁技術 の利用実態 ・現況
第 1段階 として竣工当時の図面の収集 を行 った。図面は橋梁の情報の中で も構造や フォル ムを直接把握す る事の出来 る重要な資料である。第 2 段階は 1 で集 めた図面 を、フォル ム ・材料 ・設計者 ・配置計画な どの 観点で分類 した。観点で橋梁 を比較す る事で、当時の意図的な事実や意思 を把握す る為である。第
3段階は、
第 2 段階で分類 した結果 を踏 まえて中小橋梁 に用い られ た技術 の実態 を把握 し、同時にそれ らの現況 を調査 した。
2. 2 竣工当時の図面収集
当時の橋梁技術 を把握す る為 に竣工時の図面 を収集 した。以下に示す 2 箇 所 に保存 され ていた計 21 8 橋の橋梁 についての図面収集 を行 った。 この 21 8 橋 の架設団体の内訳 は、復興局の ものが 7 7橋、東京市の ものが 1 41 橋であ る( 図 1 ) 。
・ 都庁建設局道路管理部保全課橋梁保全係
・ 都庁総務局公文書館
震災復興橋梁 425 橋 の うち半数程度の図面 しか収集 が出来なかった理 由は、
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戦争 で焼 けた事管理者 が変 わ る内に保 管場所 が分 か らな くなって しまった
復興局 東京市為である。 『図面有り口図面無し
図 1 図面の有無 2. 3 設計図面の比較検討
収集 した図面 を詳細部分 ・構造 を含 めた視点で分類 を行 った。その結果、東京市 ・復興局 ともにある一定 の仕様 を利用 してい る事が分かった。 これ らはフォル ムだけでな くその製図方法や寸法の記載情報 に至 るま で同一の仕様 を取 ってお り、本研究ではその同一の仕様 を標準的仕様 と呼ぶ事 とした。 この仕様 は橋梁の詳 細部分 と全体 において存在 してお り、それぞれ の仕様 を以下のよ うな定義 とす る。
部分 における標準的仕様
部分 ごとに見 られた統一的なデザイ ンの中で寸法や製図方法まで等 しい設計。実際に標準的使用 を見出せ た部分 は、高欄 、親柱 、橋燈、橋側電燈の 4箇所 である。
全体 にお ける標準的仕様
全体のフォル ムに見 られ る統一的なデザイ ンの中で構造形式や製 図方法まで等 しい設計
2. 4 高欄 にお ける標準的仕様
高欄 について 2タイプの標準的仕様 の存在 が確認 された。
1 つ 目は木 の角材 で構成 されたタイプである ( 図 2) 。 これ は、笠木 ・通貫 ・東木 について 2 種類 の寸法が
存在 し、橋長 の長 さによって使 い分 けていた事が分かった。
2 つ 目は中路型 プ レー トガーダーの主桁 が高欄 の役 目を果た してい るタイプである( 図 3) 。どち らも東京市 が架設 した橋梁で見つか り 、 1 つ 目のタイプは 64 橋、2 つ 目は 1 2 橋存在 した。
図 2 高欄 の標準的仕様 Ⅰ 図 3 高欄 の標準的仕様 Ⅲ 2. 5 親柱 にお ける標準的仕様
親柱 では木の角材の 1 タイプが存在 した ( 図 4) 。これ は先に述べた高欄 の木 の角材 で出来た標準的仕様 に付属 して利用 されてお り、親柱 において も高欄 同 様 に 2 種類 の寸法 ( 7 寸 、8 寸)を橋長 にあわせ て使 い分 け られていた事が分か
った。 これ は、東京市が架設 した橋梁の中で 64 橋存在 した。
2. 6 橋燈 にお ける標準的仕様
橋燈では 1タイプの標準的仕様が存在 した ( 図 5) 。 この仕様 は道路 と一体感 を出す時に利用 された。この仕様 は東京市 ・復興局の双方 において計 4 8 橋の橋 梁で利用 された。
図 4 親柱 の標準的仕様
2. 7 橋側電燈 にお ける標準的仕様
橋側電燈では 2 種類 の標準的仕様 が存在 した ( 図 6・7) 。橋側電燈は復興局のみ で利用 された。復興局のみで標準的仕様が利用 された理 由 として、復興局架設 の橋 梁では橋側電燈があま り重視 されていなかった事が考 え られ る。復興局が架設す る 橋梁は主要河川 に架設 され大規模 な ものがほ とん どであ り、それ らはその構造全体 が図 とな り背景 となるために特 に橋側電燈で個性 を出す必要がなかった為 と考 え
られ る。
図 5 橋 燈 の標 準
2. 8 全体 にお ける標 準的仕様
全体 にお ける標準的仕様 は
、 2つのタイプの存在 を確認 した ( 図
8・9)。 2つのタイプは木桁 ・プ レー トガ ーダーの構造 を持 った ものである。震災復興橋梁の中で木桁 ・プ レー トガー ダーは図 1 0 に示す よ うに非常に 多 く架設 された橋梁である。 どち らも東京市架設 の橋梁であ り 、 Ⅰは 6 4橋、 Ⅱは 1 2 橋 の橋梁の存在 が確認 された ( 図 11 ) 。 これ らは構造が同 じ統一的デザイ ンであると同時に、製図者 が違 うに も関わ らず大変似 た 形式での製 図が行 われ ている。
図 8 全体にお ける標準的仕様 Ⅰ
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 6 4 2 0 8 6 4 2 .1 1 .1 1 1
図 9 全体にお ける標準的仕様 Ⅲ
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l 舛 17図 1 0 震災復興橋梁の構造形式
復興局 東京市
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露標準的仕様Ⅱ
田標準的仕様Ⅰ
図 1 1 全体 における標準的仕様
2. 9 標準的仕様 の組み合わせ に関す る分析
2. で明 らか となった標準的仕様 が どの よ うな組み合 わせで利用 されていたのかを調査 しその利用実態 を 分析 した。
まず、部分 にお ける標準的仕様 同士が どの よ うな組み合 わせで用い られていたのかを把握 した。全ての橋 梁の中か ら部分 における標準的仕様 が利用 された ものを抜 き出 し、その組み合わせ を調べ る と表 1 の通 りと なった。表か らは高欄 Ⅰと親柱 Ⅰについては常に同時利用 されてお り東京市のみで利用 された事が分かる。
橋燈 については他 の標準的仕様 と組み合わせて用い られ る と同時に、独立 して も利用 されていた事が分かる。
橋側電燈 は復興局のみで利用 されてお り橋燈 と同時に利用 されていた事 も分か る。表全体か ら、主に橋燈 を 他 の標準的仕様 と組み合わせ て利用す る事で橋梁が多様性 を持 っていた事が分かる。
標準的仕様 が利用 された橋梁は 1 07 橋 に及んだが、現存す るものは 1 2 橋 と大変少 な くなってい る。
表 1 部分 にお ける標準的仕様 の組み合 わせ
架 設 団体 橋 梁 数 現 存 撤 去 架 け替 え
高欄 Ⅰ+親 柱 Ⅰ 東 京 市 45 0 44 1
高 欄 Ⅰ+親 柱 Ⅰ+橋 燈 東 京 市 19 0 17 2
高 欄 Ⅱ 東 京 市 4 0 3 1
高 欄 Ⅱ+ + 橋 燈 東 京 市 8 2 6 0
+橋 燈 復 興 居 2 2 0 0
+橋 燈 東 京 市 ・ 17 4 13 0
+橋 燈 +橋 側 電燈 Ⅰ 復 興 局 2 0 1 1
+橋 側 電燈 Ⅰ 復 興 局 5 2 1 2
+橋 側 電燈 Ⅱ 復 興 局 5 2 0 3
次 に、全体 にお ける標準的仕様 と部分 にお ける標準的仕様 が どの よ うな組み合 わせ で利用 されていたのか を分析 した。表 2 がそれ を示 した ものであ り、標準的仕様 Ⅰ・ Ⅱどち らのタイプ も色々な部分 にお ける標準 的仕様 との組み合 わ されて利用 されていた事が分か る。
標準的仕様 Ⅰが どのよ うな組み合 わせ で利用 されていたのかを見 る と、高欄 ・親柱 を標準的仕様 を利用 し 橋燈 ・橋側電燈 を用いない ものが大半であった。木桁 を作 る際にはこの形が最 もコス トもかけない基本的な 標準的仕様 だ と考 え られ る。次 に多 く架設 された組み合 わせ は上記 の基本的な標準的仕様 に橋燈 を組み合わ せたタイプであ り 1 7 橋であ り、次いで橋側電燈が設置 した ものが 2 橋 となってい る。橋燈や橋側電燈 は架設 の際に橋梁 ごとの設置の吟味が行 われた と考 え られ る。 コス トがかか るにもかかわ らず橋燈や橋側電燈 の設 置が行 われた橋梁 は、全体 における標準的仕様 が利用 された橋梁の中で も何 らかの重要性 を持つ橋 であった と考 える事が出来 る。表全体か らは、木桁 とい う標準的仕様 Ⅰが他 の部分 に色 々な設計 を用い る事で多様性 を持 っていた事 を読み取 る事が出来 る。
標準的仕様 Ⅱについて も Ⅰと同 じよ うに色々な設計 を組み合わせ る事で多様性 を持 っていた事 を読み取 る 事が出来 る。
全体 における標準的仕様 を利用 した橋梁の総数 は 76 橋 に及ぶが、現存 しているものは 2 橋 と大変少な くな
ってい る。
表 2 全体 にお ける標準的仕様 の組み合わせ
組 み 合 わ せ 橋 梁 敬 現 存 撤 去 架 け 替 え
高