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ナノ粒子 γ - フェライト膜の磁気特性とシミュレーション

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ナノ粒子 γ - フェライト膜の磁気特性とシミュレーション

髙(竹内) 千寿・西田 昭彦

(平成 23 年 5 月 31 日受理)

Magnetic Properties and Simulation Studies on γ -Ferrite Nanoparticle Film

Chihiro Taka1) and Akihiko Nishida1)

(ReceivedMay31,2011)

Abstract

Superparamagnetic properties were investigated along with simulation studies on γ-Ferrite nanoparticles enveloped with oleic acid in the form of two-dimensional multilayer Langmuir- Blodgett (LB) film. DC magnetization vs. magnetic field (M-H) curves with parallel H indicated clear hystereses at the lowest temperatures down to 5K where coercive field Hc was about 250Oe (near to the bulk ferromagnetic value). On the other hand, at higher temperatures, Hc decreased gradually and M-H curves became almost reversible above 50K, inferring occurrence of superparamagnetism. Temperature dependent magnetization also indicated discrepancy/

agreement between FC and ZFC measurements below/above 50K, which is consistent with the results for M-H curves. Simulation of the DC magnetization (M-H) curves were performed with a simple model of coexistence of ferromagnetic and paramagnetic particles depending on their nanometer sizes. Simple simulation was able to qualitatively represent diminishing hysteresis along with increasing temperature according to decreasing population ratio of ferromagnetic to paramagnetic particles. Further improvement of the simulation towards quantitative agreement was achieved by employing Langevin function for the superparamagnetic magnetization, explaining nonlinear variation of magnetization against applied magnetic field. The present simulation study revealed that individual nanoparticles behave like “molecular magnet” with huge magnetic moment up to 3000 µB.

1) 福岡大学理学部物理科学科,〒 814-0180福岡市城南区七隈 8-19-1

DepartmentofAppliedPhysics,FacultyofScience,FukuokaUniversity,8-19-1Nanakuma,Jonan-ku,Fukuoka,814-0180, Japan

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バリーシステムに応用するための磁気担体(医用磁性 ビーズ)の素材としても期待されるようになってき [1].ここで磁性体微粒子を用いるメリットとして は,(1)抗原抗体反応を磁気マーカーによる磁化その ものを利用して計測することができる[2],(2)磁石 で磁性微粒子を分離することによって,未反応物質を 除去する洗浄が容易にできる[3],(3)外部磁界を駆 動力にして,輸送したり(ドラッグデリバリー)発熱 させたり(ガンの温熱治療)できる[4],などの点が 期待されている.これらのいずれにおいても,磁性体 微粒子の一つ一つが担う磁気モーメントは大きいほど 望ましい.しかし一方で,凝集を防ぎ,外部磁場によ る種々の操作を履歴(ヒステリシス)なく行うために は,磁気異方性エネルギーや残留磁化は小さい方が望 ましい.このような一見相反する要求は,微粒子をナ ノメートルのサイズにすることによって両立させられ る可能性がある.磁気異方性エネルギーは体積に比例 するので,粒径を小さくすると急激に減少し,環境温 度の熱エネルギーと同程度になると,熱揺らぎによる 乱れが非常に大きくなる.こうなると磁性ナノ粒 子は典型的な強磁性体としての性質を示さなくなり,

残 留 磁 化 や ヒ ス テ リ シ ス の な い 常 磁 性 体 と 同 様 の振舞いを示すようになる.これを「超常磁性」

(superparamagnetism)と言う[5].このような粒子 を工学や医学に応用しようとするとき,「超常磁性」

の基礎物理的な理解は欠かせないものである.本論文 では,磁性微粒子としてγ- フェライト(γ-Fe2O3, Maghemite)をとり上げ,これらを 2 次元的に配列 させた薄膜の磁気特性とそのシミュレーションの研究 を行った.

2.LB 薄膜の作成と磁気測定

本研究では,図 1 に示すように粒径約 10nm のγ- フェライトをオレイン酸で被覆し,チオール単分子膜 で 疎 水 化 処 理 し た シ リ コ ン 基 板 上 に Langmuir- Blodgett(LB)法で形成した 32 層の固相 2 次元膜を

用いた.具体的な成膜作業はスロバキア工科大学で M.Weis らによって行われた[6].即ち,図 2 に示すよ うに,疎水基で覆われたナノ粒子は気液界面に単分子 膜を自発的に形成する(表面圧 10mN/m 以上で固 相).そこで,液中に基板を垂直に上下することに よって単分子膜を次々と写し取ることができる.さら にあらかじめ,基板表面を疎水化処理しておくことに より,均一な単分子膜を形成することができた.形成 された膜を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察 したところ,図 3 に示すように,本試料が大きな凝集 や欠陥もなく,ほぼ均一な単分子膜の層状構造を保持 していることが確かめられた.ここで,作成された薄 膜におけるγ- フェライトの物質量を検討すると,直 径 10nm の 1 つのフェライト粒子の体積は 524nm3 質量は 2.56×10-21kg であり,オレイン酸エンベロー プの厚みを加えた直径 14nm の粒子 1 つが膜面内で占 める面積は 154nm2となる.測定した薄膜の全表面 積は 90.5mm2でそのうちエンベロープに包まれた粒 子の面積占有率は図 3 より約 58%と見積もられるの で,分子膜 1 層あたりの粒子数は 3.41×1011個,32 層 では 1.09×1013個となる.従って,本薄膜に含まれる トータルのγ- フェライトの物質量は 27.9µg と評価 される.バルク強磁性体の飽和磁化の文献値σs=71 emu/g[7]を用いると,我々の試料がバルク強磁性を 示す場合には,1.98×10-3emu の飽和磁化が観測され るはずであることになる.

磁気測定には高機能物質研究所の PPMS 装置を用 い,まず各一定温度における直流磁化-磁場曲線を磁 場を膜面に平行に印加して測定した.次に温度変化を 調べるためにゼロ磁場中で試料を冷却した後,一定の 磁場を印加して温度を上昇させながら直流磁化を測定 した(zerofieldcooling:ZFC 測定).さらに 100K 以上まで昇温した後,同じ一定の磁場を印加した状態 で今度は試料を冷却しながら,再び直流磁化を測定し

図1 γ- フェライト LB 膜の構造

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た(fieldcooling:FC 測定).

3.実験結果と考察

3 - 1.磁気特性

各一定温度における直流磁化-磁場曲線(M-H curve)を磁場を膜面に平行に印加して測定した結果 を図 4 に示す.図に示すように最低温度の 5K では,

明瞭なヒステリシスを示し,保持力 Hcは約 250Oeと バルクの強磁性に近い値を示したが,温度が上昇する と Hcは急激に減少してゼロに近づき,50K 以上では ほとんど可逆的で履歴のない磁化-磁場特性を示し た.これは,この温度付近で磁気異方性エネルギーと 熱エネルギーが同程度となって,「超常磁性」状態に

なったことを示すものと考えられる.図 4 から評価し た保持力 Hcと残留磁化 Mrの温度変化を図 5 に示す.

図の矢印のように Hcと Mrが 0 に外挿される温度か らも状態が転移するブロッキング温度 TBは 50K 前後 と評価された.

ブロッキング現象を模式的に解釈すると図 6 のよう になる.即ち温度TB以上では,右図のように磁気 モーメントは熱的に激しく揺らいでいて,通常の強磁 性を示さないが,TB以下の温度になると,左図のよ うに磁気モーメントの揺らぎがブロックされて各粒子 内での磁気モーメントが凍結され,バルクと同様の強 図2 Langmuir-Blodgett(LB) 法

図3 γ- フェライト LB 膜の SEM 像

図4 磁化-磁場曲線のヒステリシス 疎水基で覆われたナノ粒

子は気液界面に単分子膜 を自発的に形成(表面圧 10mN/mで固相)

液中に基板を垂直に上 下することによって単 分子膜を写し取る

基板表面を疎水化処理 することにより、均一 な単分子膜を形成

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磁性ヒステリシスが観測されると考えられる.しかし 一方,図 4 で最大磁化の値は最低温度でも 1.5×10-4 emu と前節で見積った飽和磁化のバルク文献値の 10 分の 1 程度であり,かなり小さい.この理由として は,1kOe の磁場ではまだ飽和に至っていない可能性 や,粒径がナノメートルサイズになることによって,

粒子一つ一つの磁化の絶対値自体もバルクとは異なっ てきている可能性などが考えられる.

そこで超常磁性の性質をさらに詳しく調べるために 温度変化の測定を行った.まずゼロ磁場中で試料を冷 却した後一定の磁場を印加して温度を上昇させながら 直流磁化を 100K 以上まで測定した(ZFC).次に,

同じ一定の磁場を印加した状態で試料を冷却しなが ら,再び直流磁化を測定した(FC).その結果,図 7 に示すように,低温では FC(白丸)と ZFC(黒丸)

の磁化曲線はヒステリシスを示したが,50K 以上では 可逆的で履歴のない磁化-温度曲線を示した(磁化曲 線には基板に用いたシリコンの反磁性が重畳している ため,全体として負の側にシフトしている).印加す る磁場を小さくすると,図 8 のように磁化の減少のた めに相対的なノイズは増えたが,履歴が消える温度

は,50K とほとんど変化しなかった.これは一定温度 における磁化-磁場特性の結果とも一致しており,こ の試料のブロッキング温度 TBがおよそ 50K であるこ とが,複数の測定から確かめられたことを意味する.

さらに,10kOe の磁場で最低温度の 5K では図 7 から 分かるように,強磁性磁化成分の絶対値が 1.6×10-3 emu と,バルク強磁性で期待される飽和磁化の値に 迫っており,図 4 では印加磁場の値が小さくまだ飽和 に至っていなかったことが分かる.このようにして,

本測定の精密さと同時にブロッキング概念に基づく定 量的な議論の有効性が確認できた.

3 - 2.磁化の熱ゆらぎと粒径依存性

以上のことを踏まえてブロッキング現象について,

以下のように考察した.単一粒子の磁化は,解析 1 で 図5 保持力Hcと残留磁化 Mrの温度変化

図6 ブロッキング現象の模式的解釈

図7 磁化の温度変化のヒステリシス(高磁場)

図8 磁化の温度変化のヒステリシス(低磁場)

(5)

与えた緩和時間τ で熱的にゆらぎ,τが測定時間 τmよりも短ければ,超常磁性を示す.ブロッキング 温度 TB以下になると,このゆらぎは凍結されてヒス テリシスをもつ強磁性が復活する.緩和時間τを決 める磁気異方性エネルギーEBは粒子の体積V,従っ て粒子の外径dに依存し,解析 2 の式を用いてブロッ キング温度TB の粒径依存性を計算することができ る.ここで典型的な値として,τm=100s,f0=1012s-1 の値を用いて計算した結果を図 9 に示す.この図から 例えば異方性定数 K=103J/m3で温度が 20K のとき,

粒径d=30nm よりも小さな粒子は超常磁性(SPM)

を,それよりも大きな粒子は強磁性(FM)を示すこ とが予測される(図中点線矢印参照).このように混 在する 2種類の粒子磁性(磁化)の割合は,図 10 の 粒径分布[6]からおよそ 8 割と 2 割の比率であると見 積られる.ただしここで,フェライトの粒径が大きい ほど粒子 1 個の磁化への寄与度が大きいことは考慮し ておらず,もちろんこれはかなり粗い近似である.

4.磁化のシミュレーション

4 - 1.強磁性-常磁性共存モデル

そこで本研究では,粒径に応じて強磁性状態と常磁

性状態(の粒子)が共存したモデルを仮定した磁化曲 線のシミュレーションを行い,実験的に観測された磁 気特性の説明を試みた.磁化の計算に用いた式は解析 3 に示すように,強磁性の技術磁化過程は(H-Hc01/2 に,超常磁性の磁化は H に,それぞれ比例するとい う極めてシンプルなもので,それらの粒子磁性(磁 化)が割合α:βの比率で加算されるモデルを仮定し た.ただしここで Hc0=250Oe は温度に依存しない強 磁性固有の保持力である.即ち,温度が上昇して強磁 性を示す粒子数が減少したとしても,強磁性を残示し ている粒子一つ一つの固有の保持力はバルク強磁性と ほぼ同じで一定値のままであるという仮定である.こ こで,温度 5K,10K,20K,40K での強磁性磁化と常磁 性磁化の割合としてはそれぞれα:β=0.8:0.2,0.5:

図9 ブロッキング温度の粒径依存性

図 10 超常磁性粒子(SPM)と強磁性粒子(FM)の 共存

(6)

一致を改善するには,超常磁性状態の磁化曲線の非線 形性をより適切にシミュレーションに反映させる方法 を検討する必要がある.また図 13 に示すように,低 温でも常磁性成分が残っているように見え,この由来 の解明も課題である.

4 - 2.磁化シミュレーションの改善

そこで次に,常磁性磁化の磁場依存性における非線 形性の効果を取り入れるために,ランジュヴァン関数 を用いることによってシミュレーションの改善を目指 した.改良 1,2 に示すように,磁場中で磁気モーメ

TableⅠ 保持力 Hcと残留磁化Mrの実験値とシミュレーションの比較

  Experiment Simulation

T[K] Hc[Oe] Mr[emu] F–Pratio Hc[Oe] Mr[emu]

5 244 5.50E–05 0.8–0.2 237 5.64E–05 10 138 4.50E–05 0.5–0.5 203 3.54E–05 20 63 2.50E–05 0.2–0.8 100 1.40E–05 40 15 1.65E–05 0.1–0.9 53 0.72E–05

図 11 磁化のシミュレーション 図 12 実測磁化曲線(細線で連なった点)とシミュ レーション(太線)の比較

(7)

ントが感じるゼーマンエネルギーとボルツマン分布に 基づく議論から,常磁性磁気モーメントによる磁化の 磁場依存性はランジュバン関数L(a)で与えられ,

磁場が相対的に強くなると常磁性状態であっても,磁 化は磁場に比例しなくなり,最終的にはすべての磁気 モーメントが磁場の方向に揃って,磁化は飽和する

(改良 3 参照).これが非線形性の起源である.

そこで前節 4-1. と同じ強磁性対常磁性の比率(α:

β)を用いて例えば 20K での磁化曲線をランジュヴァ ン関数を用いてシミュレートしたところ,図 14 に示 すように,ヒステリシスが減少する中・高温でも磁化 の非線形性を明瞭に再現させることができた.このよ うな改善によって得られた各温度でのシミュレーショ ン結果を図 15 にまとめた.実験結果との比較におい ても図 16 に示すように,前節に比べて実験結果を的

確にシミュレートすることができた.加えて図 13 で 問題になった低温常磁性の由来についてもランジュ ヴァン関数の高磁場依存性に起因することが明らかに なった.さらに定量的な保持力 Hcや残留磁化 Mr 値についても TableⅡに示すように,よりよく説明 することに成功した.

ここで重要なことは改良 3 の図から分かるように,

ヒステリシスが減少する中・高温でも磁化の非線形性 が明瞭に発現されるためには,ランジュヴァン関数 L(a)の引数a=µH/kBTが 1 よりも大きくなければな らないことである.具体的には図 15 内の表に示され 図 13 磁化のヒステリシスと低温常磁性

図 14 ランジュヴァン関数を用いたシミュレーション

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たようなµの実効値を用いることによってはじめて 磁化の非線形性を再現させることができた.ここで µBはボーア磁子であり,通常の原子磁石では個々の 磁気モーメントの大きさは数µBの程度であるのに対 して,実験結果をフィットさせるには非常に大きな値

が必要であった.このようなことから個々の微粒子は 最大で 3000µBもの巨大な磁気モーメントをもつ“分 子磁石”として振舞っていることが示唆された.即ち 今回のシミュレーションの研究からは正に,磁性体を ナノメートルサイズにすることによって巨大磁気モー メントを有する“分子磁石”が実現できたことが明ら かにされた.

5.まとめ

粒径約 10nm のγ- フェライトをオレイン酸で被覆 し,チオール単分子膜で疎水化処理したシリコン基板 上に Langmuir-Blodgett(LB)法で形成した 32 層の 固相 2 次元膜を用いて,γ- フェライトナノ粒子の磁 気特性を調べ,磁化曲線のシミュレーションを行っ て,超常磁性の振舞いを研究した.

まず,各一定温度における直流磁化-磁場曲線を磁 場を膜面に平行に印加して測定したところ,最低温度 の 5K では,明瞭なヒステリシスを示し,保持力 Hc は約 250Oe とバルクの強磁性に近い値を示したが,

温度が上昇すると Hcは急激に減少してゼロに近づき,

50K 以上ではほとんど可逆的で履歴のない磁化-磁場 図 16 改良シミュレーション(太線)と実験結果(細

線)の比較

図 15 各温度でのシミュレーション結果のまとめ

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特性(超常磁性)を示した.

次に,一定磁場中における磁化の温度変化につい て,ZFC 測定と FC 測定を行って比較した.その結 果,低温では FC と ZFC の磁化曲線はヒステリシス を示したが,50K 以上では可逆的で履歴のない磁化-

温度曲線を示した.印加する磁場を小さくすると,相 対的なノイズは増えたが,履歴が消える温度はほとん ど変化しなかった.これは一定温度における磁化-磁 場特性の結果と一致しており,この試料のいわゆるブ ロッキング温度 TBがおよそ 50K であることが,複数 の測定から明らかになった.

飽和磁化についても,10kOe の磁場で最低温度で は磁化の絶対値が 1.6×10-3emu と,バルク強磁性で 期待される飽和磁化の値に迫っており,本測定とブ ロッキング解析の適切さが確かめられた.

シミュレーションについては,粒径に応じて強磁性 状態と常磁性状態が共存するモデルを仮定した磁化曲 線のシミュレーションを行った.その結果,最低温度 で最も顕著であったヒステリシスが温度の上昇ととも に常磁性的に変化する様子を定性的に再現することが でき,強磁性状態の固有保持力 Hc0は変化しなくても,

強磁性・常磁性の粒子数比が変化することによって,

見かけの保持力 Hcが減少するという簡潔なモデルの 定性的妥当性が示された.しかし,シミュレーション における保持力 Hcの定量的な値は,高温になるにつ れて実験値とのずれが生じ,残留磁化 Mrにも同様の 相違が見られた.

そこで,超常磁性状態の磁化曲線の非線形性の効果 を取り入れたランジュヴァン関数を用いることによっ てシミュレーションの改善を行った.その結果高温側 でも顕著に見られた磁化の非線形性を的確にシミュ レートすることができ,定量的な Hcや Mrの値も,

かなりよく説明することに成功した.これらのシミュ レーション研究の結果,個々のフェライトナノ粒子は

最大で 3000µBもの巨大な磁気モーメントを呈する

“分子磁石”として振舞っていることが明らかにされ た.

謝  辞

ここに報告した結果の一部は,Dr.MartinWeisお よびProf.RudolfDurny(ともに SlovakUniversity ofTechnology)との共同研究の成果であり,記して 感謝する.また本研究は文部科学省ハイテクリサーチ センタープログラム(福岡大学高機能物質研究所)及 び福岡大学領域別研究チームの補助金を受けて行われ た.

文  献

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参照

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