アカデメイア
ある側面から見た科学研究費を得るための努力
薬学研究科長 山 口 政 俊
私立大学は国立大学より科研費の採択率が低 く、国立大学有利であると聞く。その真偽は不 明であるが、審査員の立場から科研費申請のた めの研究計画調書を見て、国立大学の調書内容 は、私立大学のそれよりかなり質が高いと言わ ざるを得ない。この質の差は研究内容より、プ レゼンテーションによるところが大きいように 思われる。私立大学の中でも、福岡大学は大学 の規模の割に採択率は低い。これを向上するた めには、どうすれば良いのか?無論、教員各自 が研究の質を高めることは当然である。少し泥 臭い話になるが、調書を審査する立場から見た 場合、以下の点も重要であろうと思い、本稿に 著した。筆者の独断と偏見が含まれているため、
否定的な意見も有ると予想されるが、審査経験 のある数人の知人の意見も同様であったので、
何らかの参考にはなると思う。審査において求 められることは、公平・公正な審査である。評 定基準には、研究課題の!学術的重要性・妥当 性、"研究計画・方法の妥当性、#独創性・革 新性、$波及効果・普遍性、%研究遂行能力・
研究環境の適切性、などの評定要素が有り、要 素毎に採点(4〜1)し、その上で総合評点(5
〜1)を下す。
筆者はこれまで2度(4年間)審査員(物理 系薬学、第一段審査)になった。科研費の審査 は日本学術振興会から計画調書が送付された後、
数週間程度で審査・判定する必要がある。12月 の多忙な中、調書(100件程度)を慎重に審査 するので、かなりの時間を要す。筆者の場合、
先ずざっと目を通し、上、中、下の3段階に区
別(判定)する。この初段階では、調書から受 けたインパクトの程度で判定する。このインパ クトは詳細な研究内容より、プレゼンテーショ ンが判断基準になる。その上で、個々の研究内 容について先の要素!〜%を熟慮し、総合評価 する。
そのように、審査員に対し、いかにして初め に良好なインパクトを与えるかが重要である。
先ず、研究課題にインパクトが欲しい。あまり にも使い古された単純なタイトルはインパクト に乏しい。造語であっても研究内容を適切に表 現できる語句であれば、強いインパクトを感じ る。
研究目的、研究計画・方法は、紙面が充分に 埋まる(余白が多過ぎない)程度に記す方が良 い。これは科研費に対する熱意の現れと感じる。
研究内容は簡単な図を交えて説明する。審査員 が内容を把握しやすくなる。図も華美にならな い程度にカラフルに仕上げた方が良い。研究の 核心内容を審査員にアピールしたい説明部分に ついては目立つように、ゴチや色を変えるなど の工夫をする。場合によっては、この部分を箇 条書きにする。この他にも種々調書作成にあ たっては、個々が工夫している。国立大学では このノウハウが伝統的に引き継がれている。
そこで提案がある。福岡大学において、過去 において多くの科研費が採択された方に依頼し て、その先生の調書を参考にして、プレゼンテー ションの方法に関する講習会を企画するのも良 いのかもしれない。
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