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不揮発性メモリを使ったデータ永続化システム NV-HTM の評価

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令和元年度 学士学位論文梗概 高知工科大学 情報学群

不揮発性メモリを使ったデータ永続化システム NV-HTM の評価

1200283 飯干 寛幸 【 プログラミング言語研究室 】

1 はじめに

電源が失われても内容を保持するメモリとして不揮 発性メモリが注目されている.不揮発性メモリを使った システムでは,不揮発性メモリに書き出されたときデー タが永続化される.不揮発性メモリへのアクセスは揮 発性なキャッシュを介して行われるため,キャッシュ上 に残っているデータは計算機の電源喪失とともに失わ れる.さらに,キャッシュが書き戻されるタイミングは ユーザ側から把握できない.そのため,不揮発性メモリ 上にあるデータの一貫性を保つためには,適切にキャッ シュを書き戻す命令を使って書き込み内容を永続化する 必要がある.

不揮発性メモリを使った,データの一貫性を保ちつつ 永続化されたデータ構造を作る方法が研究されている.

その中には二つのアプローチがある.一つ目は,データ の永続化機能をもつトランザクショナルメモリを開発 し,それを使って汎用のデータ構造を永続化する方法で ある.トランザクショナルメモリは,スレッド間で同期 が必要なメモリ操作をトランザクションとしてまとめて 実行するための仕組みである.二つ目は,個々のデータ 構造を不揮発性メモリに特化させて永続化する方法で ある.本研究では,一つ目の方法に基づいたトランザク ショナルメモリの一つであるNV-HTM[1]のパフォーマ ンス評価を行う.そのために,二つ目の方法に基づいて 永続化したB+-木であるFPTree[2]とNV-HTMを使い 永続化したB+-木(以下,B+-TreeN Hと表記)を比較 する.比較実験にあたって,一般的なB+-木とFPTree に加えて,不揮発性メモリの領域を管理するためのメ モリアロケータを実装した.さらに,公開されている

NV-HTMのコードは性能評価用のDRAMを用いた不

揮発性メモリのエミュレータを使うものだったため,不 揮発性メモリの実機を使うよう修正した.

2 NV-HTM

NV-HTMは,データの永続化機能をもつトランザク

ショナルメモリの一つである.NV-HTMは,NVM上 の永続化されたユーザデータのコピーをDRAM上に作 る.ユーザプロセスは永続化されたデータにアクセスす るとき,トランザクションを開始し,その中でDRAM 上のコピーにアクセスする.トランザクション内で書き 込んだ内容は,同時に不揮発性メモリ上にログとして記 録する.不揮発性メモリ上のログは,ユーザプロセスと 並行に動作するCheckpointプロセスと呼ばれるプロセ スが,不揮発性メモリ上のユーザデータに反映させる.

反映し終わったログはCheckpointプロセスによって削 除される.

1 2 4 8 16

0 10 20 30

() B+-TreeNH

FPTree

1 スケール性能測定実験(挿入操作)

3 実験と考察

B+-TreeN HとFPTreeの実行時間とスケール性能を 比較するために,スレッド数を変化させたときの実行時 間を測った.実験を行なった環境を示す.

CPU Intel Xeon Gold 6240 (2.60GHz,18コア,キャッ シュラインサイズ64B)

不揮発性メモリ Intel Optane DC Persistent Memory OS Ubuntu 18.04.3 LTS

Cコンパイラ GCC version 7.4.0

図1は250万回の挿入操作を行ったときの結果である.

B+-TreeN H はFPTreeに比べて遅く,4スレッドまで しかスケールしなかった.

そこでさらに,NV-HTMのボトルネックを調べるため に,B+-TreeN Hにおいてユーザプロセスが本来の処理 以外に消費した時間を原因別に測定した.その結果,ト ランザクションがアボートされることによる消費時間は,

スレッド数が少ないとき消費された時間の半分近くを占 めており,ログが満杯になったことによるCheckpoint プロセスのログ削除を待つ時間はスレッド数によらず残 りの消費時間のほとんどを占めていた.このことから,

NV-HTMが遅くなった原因として,トランザクション

のアボートが大量に発生していること,Checkpointプ ロセスによるログ処理が遅いことがわかった.

4 おわりに

本研究では,データ永続化システムNV-HTMの評価 を行った.その結果,B+-TreeN HはFPTreeに比べて 遅く,4スレッドまでしかスケールしなかった.そこで

さらにNV-HTMが遅い原因を調べた結果,ログの処理

速度が遅いこととトランザクションのアボートが主な原 因であることがわかった.

参考文献

[1] C. Daniel et al. Hardware Transactional Memory Meets Memory Persistency. In Proc. IPDPS’18, pp. 368–377, 2018.

[2] I. Oukid et al. FPTree: A Hybrid SCM-DRAM Persistent and Concurrent B-Tree for Storage Class Memory. InProc. SIGMOD’16, pp. 371–386, 2016.

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