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CAI システムへの人工知能の適用

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Academic year: 2021

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CAI システムへの人工知能の適用

(第1報推論機能を具備したタッチタイプ・トレーニングシステム)

堀 内 征 治   堀 内 泰 輔   鈴 木 宏

1 . は じ め に

従来の CAI( Co mput e rAi de dl ns t r uc t i o n: コソピューク支援教育) システムは,学 習者の能力にそ ぐわずにカ リキ ュラムが進行または停滞 してしま うことが多 く身 受 け られ た・そのほ とんどは,教材 フレームの遷移ノ ミクーソが設計段階で固定 されてしま うことに起 因す る. CA I システムが学習者の能力や反応等を動的に とらえ,それ らに より,システム 自 身が学習者に最 も適 した フレーム箇所‑の遷移を推論 してい くことができれば,従来の CAI の弱点を補 った, より利用 し易いシステムへ と拡張す ることが可能である. さらに,学習者 一人一人の学習状態を履歴 とい う形で蓄積 し, システム始動 と同時にそれを検索 して遷移の 推論に利用すれば,学習者の経験 も考慮に入れたシステムとしてよりいっそ う評価価値が上 がるといえる・ここでの推論には ,AI( Ar t i 丘c i all nt e l l i ge nc e: 人工知能)手法を用いるが, これは時間の経過に伴 う経験の蓄積により信頼性が高 くなると考 えられる. また,その結果 を他の学習者にも適用でき. るとい う ,CA Iならではのシステムに発展 させ ることも可能 とな る・ さらに,学習者にとって最適なデータの提供やその生成 もシステムに委ねることに より, CA Iの真価が発揮 され よう.

本論では,学習状態をダイナ ミックに計測 しつつ,遷移条件を的確に変更 してい くための 推論機能を具備 した シ子テムを提案する. CA Iの対象 としては種 々の教材が考え られ るが, 本研究では来るべ き 「キーボー ド文化」に対応 して,今後必要性が高い とみ られ るタイピ ン

グ技術に着 日して, タッチタイプ式 のタイピング ・トレーニングを選択 した.

2 . システム概要

本 システムは,ユ‑ザのタイピング能力に応 じて, ブライン ドタッチ (キーボー ドを見な いでキーインする方法)のタイピング技術の早期取得を可能にし,それを より確実なものに することを狙 い としている.

タイプの練習は , 1 日 1‑ 2 時間 1 0 日間程度でタイピング技術の基礎がマスターで きると の想定に基づ き,キーを 9 種頬に分類 し 1 日 1 種ずつ重点的に練習す るとい う日と,文を重 点的に練習す る日とで,基準練習 日数を 1 0 日間 と定めた. また , 1 日分の教材は,教材の最 小単位である DPB ( Da i l yPr a c t i c eBl o c k) の複数集合か ら構成 される. 1 日分の教材の

* 昭和61 年 3 月 情報処理学会,第 32 回 ( 昭和61 年前期)全国大会において発表

** 機械工学科助教授

***

横桟工学科助手

原稿受付 昭和61 年 9 月 3 0 日

(2)

写真

1

練 習風宗 の一例

中では,簡単 な DPB に始 まって応用的 な DPB に終 わ るよ うに梢成 されてい るので,初 心 者で も安心 して緋門 で きる.木 システ ムの練 門 風 l l は r J Ji ' 1 . 1に示す.

学門 名は, システ ムが

机 している当故 ユーザの r T ・ ・ ' , V J 脱腔 と,それ までの縦門紙袋の蒋 朗

を もとに捉示 され る DPB か ら,その 日の・ : I L / : 門を糊的す る. ここ

IC

,e l r l 門湖歴 とはそれ まで の秋習結果,つ ま り能ノ J 測' j k的の凝机であ る.

DPB の過移は ,TT( Tr a n s f e rTa b l e ) と呼ばれ るタイプ 他 ) Jの過料爪 か らなるフレー ム遷移表を もとに行われ る. この TT と学門‑ L P. ・ のタイプ伐ノ J の比校に よ り, 正1 T l ; 遊軌 反 復練習, スキ ップの 3 つ のいずれかの分岐を吋能 とした.正常遊移 とは,次の DPB へ の遷 移であ り,反復練習 とは システ ムの指示す る DPB に戻 ってや り笹す ことを怒妹す る. また, スキ ップとは反復練習後, その能力値 に よ りカレソ トの DPB に スキ ップす ることであ る・

この分岐 の測定に用 い られ るのが,後述 の正解率 ・ス ピー ド・リズム度 の三要素であ る.

また本 システ ムは, タイプ能力の測定 と同時に,学習者の不得意 キーを推論 し,ユ ーザの 能力に応 じて不得意文字克服に最適 な DPB の練習を促す よ うに設計 されてい る.

本 システムの特徴は,前述 のタイ ピソグ能力を ダイナ ミックに測定 しつつ,推論を行 う点 にあ る. また ,TT の基準値を学習者 の能力に応 じて, 自動的 に設定 してい く点 も画期的で あ ると思われ る. これに よ り,初心者は もちろん上級者 まで幅広 い利用が期待 で きる.

さ らに , BASI C 言語を用 いて開発 したため,すべ てのパ ソコソに適用可能であ ることも 特徴 の 1つにな ってい る.なお本 システムは,次の環境で動作す る.

ノ 、‑ ドウェア PC‑ 9 8 0 1( E/ F/ M/ U/ VF/ VM)

言語 MS・ DOS 上 の N8 8 ‑ 日本語 BASI C ( 8 6 ) (インタープ リタまたは コソパ イ ラ)

3 . ダ イナ ミック計測手法

本 システ ムは,正解率 ・ス ピー ド・リズム度 の 3 つ の要素を測定,比較す ることに よ り, ユ ーザの学習状態 を認識す る.以下,各要素及びその測定法につ いて説 明す る.

( 1 ) 正解率

正解率は, テキス トの全文字数に対す る正 し く打鍵 した文字数 の割合であ り, いかに間違

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CA Iシステムへの人工知能の適用 5 9 わずにテキス ト通 りのタイピングができるかを表す ものである. よって,テキス トの 1 文字

ごとに入力 したキーの採点を行い,それを累積 して,最終的に全文字数で割 ることに より, その DPB の正解率が求 まる.本 システムでは正解率を次式で定義 した.

C‑ I( 0 . 8 5

B

xA

)

×1 0 0 ( %)

C I 正解率

A I 正解皮 (1 :正解 0 :不正解) B . ・ 修正キー使用回数

S I 入力 した文字数 ( 2 ) ス ピー ド ( 平均時間)

正確 さに加え, より実用的なタイピングを行 うためには,いかに早 くタイ ピソグできるか, とい うスピー ドが問題 となる.

スピー ドは,各入力文字間の平均時間に空文字列数 ( 以下 NULL 数 とい う)のカウン ト を利用 してお り, カウン ト数の合計を,入力した全文字数で割 ることに より値が求まる. こ の場合,比較は NULL のカウン トを機種に依存 した一秒当た りの NULL 数で割 り,秒単 位で表示 している.式 は次のように定めた.

jf7‑主君

HJ. ・ 各文字 の平均時間 H J. ・ 各文字を打つ時間

S . ・ 入力 した文字数 ( 3 ) リズム度 ( 標準偏差)

タイピソグ時における能率,およびユーザのタイ ピソグによる疲労をより少な くす ること が,タイピソクにおいて大切な要素 と考え られ る. これを大 きく左右するのが リズム皮であ る.

この リズム度は,各入力文字間の時間 ( 次の文字を打つまでの時間)の標準偏差を もって あてることと定義 した. よって,標準偏差が小 さいほど リズム度が良い と解釈す る. また, この標準偏差における計測 もス ピー ド計測 と同様 ,NULL 数のカウン トを利用 した.比較, 画面表示についての単位は( 2 ) と同様である.

q‑ 里 芋 一 評

q : リズム度

H J: 各文字 の平均時間 H J: 各文字を打つ時間 S : 入力 した文字数

以上の計測値をユーザの能力 として捉 え,設定 された基準値 と比較することに より, ユー ザのタイピングに関す る学習状態を把捉す る.

4 . フ レーム遷移表

フレーム遷移表である TT は,タイピングの各要素の基準値を持つもので, 状態遷移 を 決定す るための能力判定に用いる. この表の基準値設定にあたっては,そのフレームでの教 材の難易度等を考慮 した変数を もとに,基準値を算出す るためゐ式を経験的に設定 した.

変数 としては次の 4 つを考えた.

(4)

( 1 ) キーボー ドの段に よる変数 ( X l )

この変数はキーボー ド上の Z を含む段 ,A を含む段 ,Q を含む段,数字の段の計 4 つの段 を対象にする.教材の中でい くつの段を使 うかを示す.

( 2 ) 指の数に よる変数 ( x2 )

この変数が対象 とす る指は,左右の親指を除いた 8 本である.教材の中でい くつの指を使 うかを示す.親指を対象外 とす るのは,親指で打つキー,つま りスペースキーは どの教材で も使用 されるためである.

( 3 ) シフ トキーの有無に よる変数 ( X3 )

教材の中でシフ トキーを使 うか どうかによって与える変数で,使 うなら1,使わないな ら 0とす る.

( 4 ) 指使いの難易度による変数 ( X4 )

指使いは,人指 し指や中指は楽であるが,小指や薬指は使いづ らい. こ ういったことを考 慮に入れたのが この変数で,教材により 1 ( 易)か ら 5 ( 難) までで与える.

上記の 4 変数を用いて,正常遷移, スキ ップ,反復の基準値を算出する式を次に示す.

( 1 ) 正常遷移値を与える式

正解率 S, 1 ‑ ( 1 0 0‑(2×Xl +x2 +5×X3+2×X4 ) 〜×F スピー ド HJ, . ‑( 0 .1×Xl +0 . 1×x2+0 . 0 5×X3+0 . 2×X4 )×F'

リズム度 q' 1‑HJr l / 芦

F ,F' は学習者のレベルに よって与 えられる値で表 1 の ような値である.

( 2 ) スキ ップ値を与える式 S, 2 ‑Sr l HJ, 2 ‑0 . 9 ×HJ, 1 q, 2 ‑0 . 9×

0 ,1

( 3 ) 反復値を与える式 Sy 3 ‑0 . 9S, 1 HJ, 3‑ 1 .1×HJ, 1 0, 3 ‑1 .1×

0,1

表 1 学習者のレベル値

5 . 推 論 機 能 に つ い て

タイピング能力を判定するだけでな く,タイピングにおける個人の癖や レベル も考慮す る 必要性がある. ここでは本 システムの最大の特散である, これ らに関す る2 つの推論機能に ついて述べる.

本 システムは,第一にユーザの不得意文字を推論 しそれに対す る処置を行 う機能を もつ.

これはタイピソグ終了後,不得意 と思われる文字を下記の手法に より推論 し表示 した後に, その不得意文字を重点的に練習できる ・ DPB に戻 って反後練習をするものである.カレン ト の DPB は記憶 されているので,反復練習後はそれに戻 って続行する.不得意文字の判別に は 2 種類の方法を使用 している.各文字の平均時間 と全平均時間の比を求める解析方法 と, 各文字当た りの正解率を求める解析方法である.

他の推論機能は,前項に関す る TT に設定 される基準値の決定で あ る. この決定につい

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CA Iシステムへの人工知能の適用 61 ては,各 DPB ごとに学習者データベースに記憶 されているユーザの履歴を検索す ることに より , 3 段階のランクに分けることとした.つま りユーザに無理のない基準値を推論 し設定 がなされる.ユーザが初めての利用で履歴を持 っていない場合は,最低 レベルに設定 された 一 初期値に従 う.本来ならば,正解率, リズム度についても上記のことを行わなければな らな いが,今回は研究の第 1 段階 としてス ピ‑ ドに関す る履歴のみを取 り上げて行 った.

6 . 実 行 例

まず , 5 人の被験者に よる実行例を表 2 に示す. この表は各被験者の遷移状態を示 した も のである.ユーザ A は正解率, ユ‑ザ B はスピー ド,ユーザ C は リズム度でそれぞれ劣 って いるため,以前に学習 した DPB をや りなおす.一方,ユーザ D の各計測値は両基準値の間 であるためその DPB を もう一度, さらに,ユーザ E は全要素で基準値を上回 っているので, 次の DPB を練習す ることになる.

・ :表 3 は ,DPB での反復時の例である。 ここでは,ユーザ A は正解率で劣 るのでさらにや り 直 し,ユーザ B は次の DPB ‑,そ してユーザ C はスキ ップ倍を越 えているので元 の DPB へ戻 る状態を示 している.

表 2 計測値と基準値の例 ( 正常遷移)

正解率( % ) lスピード ( ms )l1 )ズム度 (ms )

表 3 計測値と基準値の例 ( 反復時)

正解率( %) r スt = ' ‑ド ( m s ) l リズム度 ( m s )

薫 I 元 潜 好、r る件 u件 l l 9 9 8 8 1 55 0 J 60

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7 . 考察および課題

本 システムは,最終的には授業の中に取 り入れ,情報処理教育のための前提条件 とい うべ き学生のタイピング能力の向上に役立てたいが,現時点では,全 くの初心者への対応が難 し い ことや,不得意文字に対す る教材があま り適当でない,な どの問題が見受け られた.

このような結果に鑑み,今後次のよ うな点に重 きをおいて改良 していきたい.

( 1 ) 本 システムで用いた教材は,文献( 1 ) での教材そのものを使 っているが,蓄積 された被験 者データの解析に よる教材の再編成を行い,本 システムに合った合理的なものを作 ってい

く.

( 2 ) 不得意文字練習における教材は,英単語の綴 りデータベースを作成 した上で,自動決定 方式の教材作成を行 う.

( 3 ) 基準値のダイナ ミックな書 き換えを AI 手法を用いて行 う.

( 4 ) 今後, 日本語 ワープロ等で必要になると思われる, ローマ字入力や新 J I S カナ入力の ト レーニソクにも対応できるように,教材選択方式にす る.

8 . 結 び

本論では,学習者の学習状態をダイナ ミックに推論す るとい う人工知能的手法 を 従 来 の CA Iに適用す ることに着 目し,その第 1 段階 として最 も基本的な学習形態であろ うタ ッチタ イプ トレーニングシステムについて述べた.本 システムは,肝心の推論楼能に乏 しいもので あるが,予想通 りの習得速度を得ることができた.最終的には 「タッチタイプのエキスパー トシステム」にまで発展 させ,来 るべ き 「キーボー ド文化」に少 しで も役立てたいと考える.

また,一般の小中高校向けの CA Iにもこ の 手法は十分に適用可能であると思われ るので, 順次着手 して行 きたい.

最後に,本論はその一部を本校槙枕工学科昭和 6 0 年度卒業研究のテーマとして与えた もの で,情報研究室のメソ/ , '‑,河原和彦 ( 現セイコーエプ ソン) ,長張暫二 ( 現長野 日本無線) , 御子柴徹 ( 現オ リンパス)の各君に感謝の意を表 したい.

参 ・考 文 献

( 1 ) 清田 :英文タイプ独習教本,旺文社 (1 9 80 )

( 2 ) 涌井 : Bas i cによる高速ソートプT ]グラミング,誠文堂新光社 (1 985 )

( 3 ) 二之官 ・竹迫 :パソコンファイル変換法,森北出版 (1 985 )

参照

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