審 査 論 文 要 旨(日本文)
論文提出者氏名: 伊藤芳紀 審査論文
題 名:Evaluation of Acute Intestinal Toxicity in Relation to the Volume of Irradiated Small
Bowel in Patients Treated with Concurrent Weekly Gemcitabine and Radiotherapy for Locally Advanced Pancreatic Cancer
(局所進行膵癌に対するゲムシタビン併用放射線療法の急性期の腸管毒性と小腸の
照射容積との関連性の検討)
著 者:Yoshinori Ito, Takuji Okusaka, Yoshikazu Kagami, Hideki Ueno, Masafumi Ikeda,
Minako Sumi, Atsushi Imai, Naoko Fujimoto, Hiroshi Ikeda
掲載誌:Anticancer Research 26:3755-3760 (2006)
(審査論文要旨:日本語論文の場合
1,000
字以内・英語論文の場合500 words
)【背景と目的】局所進行膵癌に対するゲムシタビン併用放射線療法では重篤な急性期腸管毒 性の割合が高いと報告されている。これまでの研究で直腸癌に対する化学放射線療法では急 性期の腸管毒性と小腸の照射体積との有意な相関が示されている。本研究ではゲムシタビン 併用放射線療法を施行した膵臓癌症例について、急性期の腸管毒性と小腸の照射容積および その他の因子との関連性について検討した。
【対象および方法】局所進行膵癌に対するゲムシタビン併用放射線療法の第
II
相臨床試験に 登録された症例を対象とした。全例CT
治療計画を施行し、臨床標的体積(clinical target volume:CTV)には原発巣と転移リンパ節、領域リンパ節を含み、計画標的体積(planning target volume:
PTV)は CTV+5-10mm
とした。放射線治療は総線量50.4 Gy/28
回、4門照射、ゲムシタビンは放射線治療期間中に
250mg/m
2を週1
回投与した。肝臓上縁から腎臓下縁のレベルまで各治 療計画CT
横断面で小腸、大腸を囲み、小腸、大腸、PTVについてDose-volume histogram
解 析を施行した。急性期の腸管毒性は嘔気、嘔吐、食思不振、下痢、全身倦怠感を含む小腸に 関連した有害事象と定義し、急性期の腸管毒性と各因子についての関連を評価した。【結果】2001年
7
月から2002
年7
月までに登録された42
例を解析した。40例が放射線治療 を完遂したが、2
例で中止した(30.6 Gy、45.0 Gy)
。小腸の照射容積、PTV
容積の中央値は各々251±123 cc、 555±199 cc
であった。また、小腸の平均線量は1485±637 cGy
であった。Grade
3, Grade 4
の急性期の腸管毒性は12
例(29%)、14例(33%)に認めた。急性期の腸管毒性と小腸の照射容積や平均線量に相関はなかったが(P>0.5)、PTV 容積に有意に相関を認めた
(P=0.021)。また、急性期の腸管毒性の程度と
PTV
容積に有意な相関を認めた(P=0.015)。 その他の因子について相関は認めなかった。【結論・考察】小腸の照射容積は急性期の腸管毒性に直接的に影響しておらず、PTV 容積に 相関を認めた。局所進行膵癌に対し、ゲムシタビン併用放射線療法の際、予防照射を省いて 治療体積を減じることで、急性期の腸管毒性を軽減できる可能性があると考えられた。
東 京 医 科 大 学