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民 事 判 例 研 究

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Academic year: 2021

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(1)

二六五 民事判例研究

中央大学民事法研究会

津波の被害を受けた冷蔵倉庫に寄託された冷凍魚に関する倉庫業者の寄託契約上の責任

        

年(号、件、決、一部容認、一部棄却LEX/DB文献番号二五五一一三四八

【事実の概要】

本件は、原告二名が、被告の経営する岩手県釜石市に所在する冷蔵倉庫(以下、「本件倉庫」という)に寄託した冷凍魚について、

る。は、る。

は、

1

て、し、2

民事判例研究(宮本) 判例研究

(2)

二六六

め、る(下、)。

は、

が、1

れ、る(下、1

「第二事件」という)

  本件倉庫について

は、り、り、庫、と、

階の二つの冷蔵庫が三号冷蔵庫、四号冷蔵庫とそれぞれ称されていた。

  原告と被告の寄託契約

1

は、頃、で、款(き、2

(以下、「本件寄託契約」という)

1は、き、間、ス、

た。

に、き、間、ス、2

一万七〇〇〇キログラムの冷凍魚を本件倉庫に寄託した。

  被告によるAの倉庫への再寄託

は、降、

庫(下、た。1

時、

ち、ス、1

託していた。

  東日本大震災による被災及び寄託物の返還

日、て、し、

ドアが破壊され、冷蔵庫内には海水が流入し、冷蔵庫内の荷物が崩れ、一部の荷物が海水に浸った。

(3)

二六七民事判例研究(宮本) た、は、い、

1

すべて喪失した。

は、日、日、日、に、

1

じ、2

1

2

し、

1

は、た。し、2

た冷蔵庫内に一か月以上保管されたことにより、一部がその商品価値を失った。

(五)  本件訴え

1

は、日、し、2

えを提起した。

【争点と判旨】

  倉庫業者の義務と責任

  1

は、る。て、

以下の三つが挙げられる。

   

倉庫業者による物品の保管の引受は寄託契約であり、民法六五七条以下の寄託契約に関する規定が適用される。

   

り()、る。た、

庫営業に関する規定も適用される。

(4)

二六八

  倉庫寄託約款

い()。て、は、

め、い()。は、

)1

が、

)2

寄託約款も、標準冷蔵倉庫寄託約款(乙)と同内容のものである。

 2義務と責任

倉庫業者が負う義務と責任として、以下のものがある。

  保管義務

倉庫業者は、受寄物を自己の管理する倉庫に保管する義務を負う。

  注意義務

は、う()。は、は、

が、は、償・ず、る。は、

い。は、

と解されてい

)(

  受寄物返還義務

受寄者は、受寄物の保管をした上で、これを寄託者に返還する義務を負

)(

  損害賠償責任

は、使ば、失・

)(

)。し、は、は、使

(5)

民事判例研究(宮本)二六九 れ、た、意・

)(

款()。に、

可抗力免責条項が置かれている(標準冷蔵倉庫寄託約款(乙)三九条)

 倉庫と保険

受寄物の滅失毀損に関して倉庫業者の責任が問われた裁判例は少ない。その原因の一つとして、滅失毀損の場合、多くのケー

る。り、め、は、

失・い。め、は、

)(

寄託された寄託物については、以下の分類に応じて保険が付される。

に、は、り、る。に、も、

は、款(り、る。

に、款(り、

み倉庫業者が付保する。そうでない場合には、寄託者が自ら付保することになる。

は、災、雷、

)(

め、も、

よる損害は填補されず、寄託者と倉庫業者のいずれがそのリスクを負担するかが問題となる。

  第一事件

 1返還義務の履行期の到搬出申し出の有無

   

は、り、る。で、

期が問題となる。

は「は、り、

(6)

二七〇

返還義務の履行期が到来する。約款においても、寄託者が原則としていつでも返還を請求することができるという点には変更はない。

て、は、に、求(は、

となる。   

裁判所は、遅くとも三月二七日には原告らによる搬出の申し出があったと認定した。これは事実認定の問題である。

 2庫出の一時拒否、出庫の拒絶

   

款(は、る。

絶()、否()、絶(る。

場合、倉庫業者は返還義務を免れる。本件では、二三条、二四条が被告の抗弁として主張されている。

   

え、

ば、し、

ら、

は、る『蔵(

や『て、て、

に対して搬出申出を許可したのが同年四月二六日頃に至ったことを捉えてその寄託物返還義務を遅滞したということはできない」

 不可抗力免責条項

は、て、

(7)

二七一民事判例研究(宮本)

復旧工事の経緯

2011 年  ( 月 11 日

津波の発生。海岸から約 (00 メートルの距離に所在する本件倉庫の周辺地 域において、約 9 ないし 10 メートルの高さに達し、本件倉庫の 1 階の相当 部分が浸水。被告の使用人は,本件倉庫に隣接する事務所において被災し、

その後の津波を本件倉庫の庇に避難するなどして乗り切った。

   12 日 浸水した水が完全に引いていない状態。

   1( 日以降

徐々に水が引いて汚泥が乾いていったものの、津波により国道以外の部分 は大きく浸食されていたほか、本件倉庫周辺には津波により堆積した汚泥 のほか漂流物や瓦礫、複数台のトラックやフォークリフト等が散乱してい る状態。

   2( 日

大型重機であるタイヤローダーが到着したことから、道路から本件倉庫周 辺までの汚泥や瓦礫、漂流物や自動車、フォークリフトを除去する作業に 着手。

   29 日頃

国道から本件倉庫の正面付近までの汚泥、漂流物、自動車、フォークリフ トを本件倉庫の裏側に寄せるなどする作業が終了し、国道から本件倉庫付 近までの通路が確保され、自動車等によって本件倉庫近辺まで出入りでき るようになった。

本件倉庫の 1 階内は、津波により堆積した汚泥や漂流物、破壊された本件 倉庫内の設備や備品等が散乱、残存している状態であり、本件倉庫内にお いて多量の荷物の搬出をするためには、更に本件倉庫内の小型重機により 堆積物や漂流物等の除去作業が必要であった。

 ( 月 1 日頃

本件倉庫 2 階にある冷蔵庫の冷凍機能を仮復旧させるため、電源等の復旧 作業を開始。

本件倉庫 1 階の冷蔵庫の冷凍機能については、電気部分が海水に浸かった ため仮復旧作業すら行うことができなかった。

 ( 月 ( 日 小型重機が到着。

    ( 日以降 小型重機等を使用して本件倉庫内の堆積物や漂流物等の撤去作業を開始。

   11 日 非常用発電機の通電ができる状態に復旧。

   20 日 倉庫内の小型重機による撤去工事等が終了。

   22 日 倉庫のエレベーターの仮復旧工事が終了。

   2( 日

本件倉庫の 2 階冷蔵庫の冷凍機能の仮復旧工事やエレベーターの復旧工事 が終了し、本件倉庫 1 階の荷揚げ場付近の整理が終了したことから、本件 倉庫 2 階の冷蔵庫内に保管された荷物を搬出することが可能になり、本件 倉庫の冷蔵庫の本格的な復旧工事を開始するためには本件倉庫内の荷物を いったん搬出する必要があったことから、本件倉庫に寄託している荷主を 集め、説明会を開催。

被告は、本件倉庫 2 階に寄託された荷物について、搬出を許可する旨の説 明をした。

説明会の終了後、原告からの搬出申出を受け、被告は、本件倉庫 1 階の冷 蔵庫内に保管された冷凍魚について搬出を許可した。

   2( 日以降 X1、X2は、本件倉庫内に保管されていた冷凍魚を搬出9)

(8)

二七二

主張していた。

裁判所は庫出の一時拒否、一部の出庫の拒絶に関する被告の抗弁を認めたので、免責約款の適用の可否については判断していない。

 まとめ

に、は、否、め、

却した。  第二事件

 1再寄託の可否(

 1)承諾の有無

   

民法六五八条一項は、「受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用し、又は第三者にこれを保管させることができない」

し、

)((

款(も、

止されることに変わりはない。そこで、第一に、再寄託に関して原告

の承諾があったか否かが問題となる。1

  

裁判所は、原告

の承諾があったとは認められないとした。これは事実認定の問題である。1

 2再寄託の可否(

 2)やむを得ない事由

   

は、は、は、で、

し、る。で、に、が「

を得ない事由があるとき」に該当するか否かが問題となる。

   

(9)

二七三民事判例研究(宮本) は、た。

ろ、は、

か、り、

あるか否かといった点も考慮して判断するのが相当と解される。

で、か、

」、た、

し、も、1

て、ず、と、

が困難な状態であったと認めることはできない」として、「やむを得ない事由があるとき」にあたると認めることはできないとした。

 不可抗力免責条項の適用の可否

   

は、款(る。で、

に関して不可抗力免責条項の適用の可否が問題となる。

   

拠(

1)ば、は、や『

ろ、は、

ず、つ、1

いものと認められるから、同免責約款が適用されると解することはできない。

て、

が、り、1

違反が被告の重過失によることも明らかである。

と、て、

1

参照