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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016年2月10日 圃場及び野生で生育するユリにおけるウイルスの検出と茎頂培養によるウイルス除去 技術の検討

生物資源科学専攻 作物生産生物学講座 植物機能開発学 鈴木 雄大

1.緒言

ユリ (Lilium) は世界中で栽培されている経済的に重要な花き園芸作物である.ウイルス の感染による切り花の品質や生産量の低下が問題となっている.また栽培品から野生のユ リにウイルスが広がることで生態系へ影響することも懸念される.ユリの主要なウイルス はLily symptomless virus (LSV),Cucumber mosaic virus (CMV),Lily mottle virus (LMoV) で あるが,近年Plantago asiatica mosaic virus (PlAMV) の感染が新たに報告されている.ウイ ルスを除去するために茎頂培養が用いられているが,茎頂の切り出しに労力がかかるため,

フリー球の利用は限定的である.茎頂を大きく切り出してもウイルスが除去できれば労力 の軽減につながる.本研究では,①栽培されているユリにおけるウイルスの感染を,PlAMV を含めて調査した.②野生のユリにおけるウイルスの感染状況の基礎データを得る目的で,

道東に自生するエゾスカシユリ (L. dauricum) のウイルス感染状況を調査した.③ウイル ス除去技術の検討として,茎頂培養において茎頂を大きく切り出してもウイルスが除去で きるかどうかを調査した.このときウイルスが生産するRNAサイレンシングサプレッサ ーを阻害するアスコルビン酸を培地に添加し,ウイルス除去に対する効果を検討した.

2.材料及び方法

圃場で栽培しているユリ18個体と野生のエゾスカシユリ23個体からLSV,CMV,LMoV,

PlAMVを検出した.アジアティックハイブリッドユリ‘トロント’の茎頂を0.5 または1 mm で切り出し,0 (対照),0.6,6 mMのアスコルビン酸スルフォエステルを含むMS培地に植 え,再分化植物の再生率とウイルスフリー化率を3反復で調査した.ウイルスの検出には 検出感度の高い RT-PCR法を用いた.

3.結果及び考察

①栽培されているユリ18個体のうち17個体がいずれかのウイルスに感染していた.ま たアジアティックハイブリッドユリ‘センターフォールド’よりPlAMVが検出された.

観賞ユリから PlAMVが検出されたのは国内では初めてである.PlAMVはユリにネクロシ スを起こすので対策が必要である.今回検出されたPlAMVは海外の観賞ユリから検出さ

れた PlAMVと塩基配列が99%一致し,日本の食用ユリから検出された塩基配列とは87%

の一致であったことから,道内で食用ユリから感染したのではなく,海外から球根が輸入 されるのに伴って持ち込まれたと示唆された.②野生のエゾスカシユリ 23個体からウイル スは全く検出されなかった.この結果から栽培個体から野生の個体にウイルスが広がるこ とは起こっていないことが示唆された.③茎頂培養で,茎頂の大きさが0.5 mmと1 mmで 再生率とウイルスフリー化率に差はなく,86%以上がウイルスフリーになっていた.再生 率はアスコルビン酸の濃度が6 mMで低下した.アスコルビン酸を添加しなくてもウイル スフリー化率が十分に高かったことから,ウイルスの除去に対するアスコルビン酸の効果 は明らかにできなかった.茎頂を1 mmで切り出しても高率でフリー球が得られるという 今回の結果は,ウイルスフリー球生産の作業軽減につながると期待される.

参照

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