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3.結果と考察

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,201828

ハイパースペクトルカメラ画像を用いた冬小麦の収量とタンパク質の推定

環境資源学専攻 地域環境学講座 生態環境物理学 吉川 慶

1.はじめに

作物の収量や品質を推定することは,それらの安定化や作物管理の容易化といった利点があり,

重要である。葉面積指数(LAI)と葉色値(SPAD)の積(LAI*SPAD)は,単位面積あたりの葉の総 クロロフィル量を指標であり,穀粒の収量やタンパク質含有率(GPC)と関係があるという報告が ある。また,この値を光学指標で近似した研究例もあり,リモートセンシングへの応用が期待され ている。本研究の目的は,ハイパースペクトルカメラを用いて,LAI*SPADに対応する新たな光学指 標を開発し,その光学指標からGPCを最も高精度で推定できる時期を明らかにし,GPCの推定式を 開発することである。

2.方法

1)研究サイト 2016年と2017年に札幌市の北海道農業研究センターの冬小麦圃場で野外実験を

実施した。栽培品種は「ゆめちから」と「きたほなみ」の2種類である。圃場には5 m× 5 mの区 画が20あり,5種類の追肥処理を行った。すなわち,起生期,幼穂形成期,止葉期の3回の追肥時 期のうち,追肥を行う場合を○,行わない場合を×としたとき,それぞれの組み合わせ(○○○),

(○○×),(○×○),(○××),(×××)の処理を各4反復設定した。

2) 実験方法 ①分光反射率の測定 圃場の分光画像を撮影するために,圃場付近の電柱(高さ7

m)に液晶波長可変フィルタ(LCTF)カメラ(ジェネシア製)を設置した。波長範囲は460~780 nm,

中心波長は10 nm間隔,バンド数は33と設定し,2016年4月14日~8月3日と2017年4月11日

~7月27日の毎日10~13時に15分毎に撮影した。

②作物生育データの取得 2016年と2017年の生育期間中に,週1回または隔週1回の頻度で,

それぞれSPADとLAIを測定した。また,収穫(7月下旬)後に各区画の収量とGPCを測定した。

3.結果と考察

LAI*SPADをLCTFカメラ画像から推定するために,LAI*SPADと相関の高い正規化スペクトル指数

(NDSI[i,j] = (Ri - Rj) / (Ri + Rj), Rxはx nmの分光放射輝度)の探索を行った。LCTFカメラ 画像の全33バンドから網羅的に2バンドを選択してNDSIを作成し,LAI*SPADに対して単回帰分析 した結果,年や品種、時期に関わらず NDSI[770,740]の決定係数(r2)が最も大きくなった。

NDSI[780,720]を用いてGPCを推定する際の最適な時期を調べるため,毎日のNDSI[770,740]とGPC の単回帰分析を行い,決定係数の時系列変化を求めた結果,年や品種に関わらず,7月上旬に,GPC に対して高い決定係数となるピークがあることがわかった。「ゆめちから」と「きたほなみ」それ ぞれに対して,消雪日からの3℃有効積算温度が830℃,811℃に達したとき,2016年と2017年の 両年ともに決定係数が最も大きくなり(それぞれr2 = 0.76, r2 = 0.71),GPCの推定式を開発でき た(それぞれGPC = 94.2*NDSI[770,740] + 9.12, GPC = 96.4*NDSI[770,740] + 3.93)。

4.まとめ

本研究では,LCTFカメラ画像から求めたNDSI[770,740]が,小麦のGPCを推定する光学指標とし て有用であることが明らかになった。また,GPCに対して,有効積算温度によって時期が統一され

たNDSI[770,740]を用いた推定式を開発できた。今後,他の年,他の環境でのさらなる研究が必要

ではあるが,リモートセンシングによって小麦のGPCの推定ができる可能性を示すことができた。

参照

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