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市街地高層住宅の洗濯物干場の問題

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Academic year: 2021

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市街地高層住宅の洗濯物干場の問題

著者 町田 玲子

雑誌名 京都府立大学学術報告. 理学・生活科学・福祉学

21

ページ 55‑60

発行年 1970‑10‑29

URL http://hdl.handle.net/2297/11026

(2)

-.‐

市街地高層住宅の洗濯物千場の問題

町田玲子

Problemsofdryingspacesatthehighapartmenthouseinthecityarea

REェKoMAcmDA

京都府立大学学術報告 理学・生活科学・福祉学第21号別冊

昭和45年10月発行

(3)

京都府立大学学術報告(理学・生活科学・福祉学)第21号B系列p、31~36(1970年10月)

市街地高層住宅の洗濯物干場の問題

町田玲子

problemsofdryingspacesatthehighapartmenthouseinthecityarea

REェKoMAcHIDA

市街地高層住宅における洗濯物千場の問題が,居住者の日常生活に大きな 影響を及ぼしていると思われるにもかかわらず,居住者の立場からは,ほとん ど検討されていない現状である.そこで,公団賃貸の場合の洗濯物千場の現 状,及び,洗濯物等の乾燥方法の今後の方向について,調査研究を行なった.

その結果,共同設備である屋上の共同物干場は,雨風など自然による被 害,または,人為的な被害をうける心配が常にあり,「便利である」とは,

ほとんど思われていない.日光や風などによる自然乾燥にかわる方法とし て,大型乾燥機の共同利用による方法に対する意識を承ると,「利用したい と思う」と答えたのは,30%足らずであった.しかし,その賛成者層につい てふると,学歴が高くなるにつれて,叉,家族人数が減少するにつれて増加

し,勤めている婦人の占める割合が,最も高いことがわかった.

況,ならびに利用上の問題点を明らかにすると共に,市 街地高層住宅での洗濯物等の乾燥について,今後のあり 方を検討することを目的として,調査を行なったので,

その結果を報告する.

I緒言

共同住宅では,一戸建の住宅の場合とは,また異なる 生活の方法が要求される.最近では,共同住宅も一般化 し,それに適した生活方法も次第に居住者の間で,体得 されていっているかにみえる.

しかし,共同住宅の中でも,市街地にあり,かつ,建 物が高層で,エレベーターが,日常使用されている,い わゆる市街地高層住宅においては,まだ建設され始めて 歴史も浅く,生活上の問題が,種念の点で現われてい

る.

日常の生活には不可欠である洗濯物等の乾燥の問題も その一つである.すなわち,市街地という環境ゆえに,

公害の影響,景観上の問題は無視できず,また高層の共 同住宅という住宅形式上,家事労働にもたらす影響も大 きいといえる.

したがって,日常的であるにもかかわらず,軽視され がちなこれらの問題点を明確にし,居住者の生活への配 慮が,なお薄い住宅供給のされ方を指摘することは,今 後の市街地高層住宅における生活向上のためにも重要な

ことであると思われる.

本研究では,市街地高層住宅の洗濯物千場の利用状

Ⅱ調蚕方法

調査対象者は,市街地高層住宅に居住する主婦とし た.すなわち,大阪市内にある公団賃貸の森の宮住宅

(以下,森の宮とする),.および住吉市街地住宅(以下,

住吉とする)を調査対象住宅地とし,①居住歴,1年以 上,②2寝室住戸に居住,①南向でない住居に居住,を 選定条件として,その適応住戸(森の宮648戸,住吉484 戸)から,各々260戸,240戸,計500戸を無作為抽出し,

その主婦に依頼した.

調査は,アンケート用紙を配布し,2~3日後に回収 する,本人記入のアンケート調査を行なった.

回収率は,各灸,96%,89%で,平均92%である.

調査期間は,1969年11月1日から,2週間である.

m調査結果 (1)調査対象の概要

調査対象住宅地の配置図は,図1に示す通りである.

日本家政学会第34回関西支部研究発表会にて発表

(55)

(4)

B32 町田玲子

図1調査対象地。住宅配置図

住吉市街地住宅

dO60aU10c

、4m

・日|

| ’

:鰯;

築港深江線(40m)

図4夫妻の年令構成

夫妻

調査対象住戸の居住者については,図2~図6に示す 通りである.他の一般団地に比べ,市街地高層住宅で は,収入,職業の点で,特異性がみられる.妻の有職率 は,森の宮約16%,住吉約12%であるが,内職,パー トタイムの職も含めると,さらに高率になると考えられ

る.

永住意志に関する質問は,とくに設けなかったが,移 動がはげしいことが,居住者や管理者の口から伺えた.

洗濯物千場の設備状況が,両団地で異なっている.す 図2月収入(税込)

%3020100

51才以上41~4536~4046~503】~3526~3025才以下

5万以下 無記入 6~10万 11~15万 16万以上 繕記入

騒RRF目曇鍾窪曇蕊璽W巍鰄曇BT懸目露覇I可……

魎團森の宮 I二コ佐古

露霊一蜜些二二一一 (夫) 図5学歴20lMiiU---80--190 森の宮

図3家族構成 住吉

0 (妻)

森の宮

父又は母+夫婦(+子)

夫婦のみ 夫翻十千 夫婦+子+子 夫鰯+千十千+子

その他 無記入

…囹垂吊囹国露E悪罵露悪窺団窺鰯騒騒蕊z男爾円琿扉琿露靭

住吉

□鱗ト圏:鯛・關蕊}≦蕊…

なわち,屋上物干場は両団地共あるが,さらに各戸の干 し場が,森の宮では,サンルームと称する場所で屋内に あり,住吉では,屋外にあるベランダがそうである.

(56)

(5)

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市街地高層住宅の洗濯物千場の問題 B33

図6夫の職業

204060

屋上物干場の便,不便については,図8に示すように 半数近くが,「不便である」と答えている.

不便な点の主なものは,図9に示すように,「監視が 十分行届かない」ほど自宅から離れていることによる不 便さが最も大きく,また「共同で干す」という点より,

「屋上という場所」に対して,より不便を感じているこ とがわかる.

屋上という場所の使用に関し,住吉では,調査時の頃 から,風紀上,注意令が出されている.つまり,住吉で は,各戸にあるベランダが現状の物干場として,比較的 便利であるため,不便な屋上の利用者が少なく,それが かえって,洗濯物だけでなく,主婦自身に対してまで,

不用心な場所となってしまったわけである.

屋上の共同物干場は,日光と風による乾燥,すなわち 自然乾燥の場であるが,空気汚染による洗濯物への影響 は,その高さゆえに比較的少ないと思われる.しかし,

家事労働上からみると,問題がいろいろある.

①雨風による被害,および人為的な被害の心配があっ て,物干しの出来る洗濯物が制限される.すなわち,

0 80100‘

森の宮 FIR

住吉 pH夕、

イ専門(技術者,教員,医師などを含む)

ロ管理(官公庁及び民間会社の課長以上)

ハ一般事務販売 二個人業主 ホその他 へ無記入 (2)洗濯物千場の利用状況

図7に示すように,サンルーム,またはベランダの利 用が最も多い.屋上の共同物干場は,森の宮で50%に達 せず,住吉で10%足らずである.その他,森の宮では,

「窓の外」と答えている者が比較的多い.この方法は,

窓の外側にはり出しているコンクリート造りの目隠し用 の出張りに,物干用ハンガーをぶらさげて干すもので,

危険等の理由で,公団側からは,何度か禁止令を出して いるが,守られていない現状である.

(3)屋上の共同物干場の問題点

図7洗たく物干場として,どこを利用しているか

の乃易壱 の陽r壱

J6080100 4060g(

雲篝騨霧…!

屋上共同物息|:場

サンルーム(森の7可)

ベランダ(住・IIf)

、可幸ら‐’・ロローー・I②『,■●ゲ0.110-Vリー0700-00■-11‐

風呂場

窓の外

その他(jiiの‐-W)

110。。‐410’100;1‐11Ⅱ16.γl‐l0lIil11IliII□一J⑪。Ⅲ叩咀-11Ⅱ‐0-01川Ⅲ0冊呵刈I刃旧叩仙閥川刈凹洵川矧呵鮒ID』乢刊jh1I・川。Ⅲ0屯0Il9dI90出汁10.

殿記入

図8-2屋上の物干場の便・不便について

0% [] dogC 0%

●OCC●CoCo●●ooC●●●

CoOooooooooOOoo・●

●・●●●oOoo●●●●OoOc OCo●●ooOCOooo●oOo

森の宮 住吉

便利である 便利だが不便な点もある 鬮不… 鰯ゎ…|鱸|…

(57)

(6)

B34 町田玲子

屋上の共同物干場の不便な点

森の宮

0204060

図9

4060

一鮎|蕊iIiiwt…

噸〈灘:

図11ベランダ又はサンルームを物干場 として使用する場合の不便な点 高価なもの,婦人用下請等は干せない.

②洗濯物運搬の労働負担が大きい.

自宅のドアの戸締まり,屋上への出入口と物干場の 柵内への出入口の鍵の開閉という余分の動作が伴うの で,より負担が大きくなる.

③設備が不十分である.

とくに,布団類の乾燥に対する配慮が全くない.ま た小さい子供をもつ主婦は,当然子供を連れてくる が,乳母車に対する配慮が全くない.

(4)各戸の物干場の問題

サンルーム,またはペランダは,物干し専用の場とし て設置されているわけではないが,実際には,主に干し 場として利用されている.(図10)

図10ペランダヌはサンルームの使い方

大きな物を干しにくい 狭い

窓がふさがって.うっとうしい 獄観上よくない 十分日光にあてられない かわきにくい

現叛では物干場専用として便え強し

その他 無記入

園亟璽雪褒璽唾垂蕊壁琵室u=

物は干しにくく,又,動作もやりにくい.とくに,サ ンルームの場合,それが著しい.

②居室に与える影響が大きい.

すなわち,暗くなり,風通しが悪くなる.見晴らし も悪くなる.

③サンルームの場合,日光が十分あたらず,風通しも 悪い.健康的な干し方がのぞめない.

(5)洗濯物等の乾燥の今後の方向

図12において,イ・ロ・ハは,共同利用の方法であり,

二は,戸別に処理する方法である.また,イは,機械に よる人工的な乾燥方法をとり,ロ・ハは,自然乾燥の方

法をとるものである.

イと関連させて,さらに「共同乾燥機があれば,利用 したいと思うか」という質問を設けたところ,約3分の 2までが,「利用したくない」と答えており,(図13),

その主な理由として,「共同で使うのがわずらわしい」

80 100 %

|P

法たく物の干し場 布団鼠の干し湯 植木鉢などで,花魎に 物風代りに 子供のあそび場 机を置いて勉強の場に その他(休息の場など)

無記入

窒苧

しかし,その機能があいまいな為,図11に示す通り,

問題がいろいろある.

①他機能と兼ねざるを得ず,狭い.

巾半間,長さ1間~1間半の広さであるが,大きな

(58)

(7)

市街地高層住宅の洗濯物千場の問題B35 図12屋上の共同物干場の今後の方向図13共同乾燥機が当団地にあれば利用したい

と思うか

M]

2040608010096

クイロハ 森の宮

住吉

□翻鬮し鰭,,薑荊鬮し…国儀魔ハ

Ⅳ考察

現状では,共同施設としての屋上物干場が不便である ため,各戸処理が主になっている.しかし,現在の住宅 事情を考えると,とくに,市街地高層住宅の場合,サン ルーム,またはペラソダは,本来の居住性を向上させる 利用のしかたを行ない,洗濯物等の乾燥は,主に,合理 的な共同化方法によって処理することがのぞましい.

自然乾燥の方法をとる屋上洗濯物千場の場合,現在で は,単に場所を提供しているにすぎず,利用者の立場 は,ほとんど無視されているといえる.

乾燥機等を使用する人工的な乾燥の方法が,共同住宅 が古くからある欧米でとられているが,日本では,まだ

イ自然乾燥にたよらずに性能のよい大型乾燥機を,共同設備と して設けるなど機械乾燥の方向をとるべきである.

ロ日光などで,自然に乾燥させる方法でよいが,現I1号の場所,

利用方法などを改良すべきである.

ハ現ルトのままでよい.

二共同で利弔Iするのではなく,各戸で処理する方向をとるべき である.たとえ家の中がますま冒す狭くなっても,経済的負担 がふえても,それは仕方がない.

示無記入

が,大半を占めている.

しかし,イの態度をとる者についてみると,少数では あるが,家族人数,妻の学歴,妻の職業の有無と多少関 連がある点,注目される.(図14~図16)

図14家族人数と屋上物干場の方向

DC●●●OoOoO DOOoOoo●◆●

、●OoOoo●●●

D●●OoOo●●●

2人

Oooooo●oo oOoooo●●●

●●●oooO●・

●ooOOoOoo

鑿篝篝篝

3人

P ̄ ̄ ̄ママ ̄▽

●Coo●OoOoo●

●●ooOOO●●●o DO●●●●OoooO O●O●oOooooo

護憲蕊篝

4人

ooCoO●◆●●●●●●●●

●oOooo●oOoooo●C O●●00●●●ooOooo●

●oooooo・●●●●●●●

霧篝篝雲雲霧霊

5人

60 80 020406080100%020 40

図15主婦の学歴と屋上物干場の方向

0森の宮100%0

100%

-‐II--1-lIIIIII1ILIi0I■ⅡBIIIⅡTI1IlLIr‐-11011-11-4■トー■PIトロ,r--d0‐‐11101ⅡⅡP0・IⅡI1l9dJⅡ4010日△■■067ⅡJ1ⅡI9qりI-00rI0Ⅱ■■0口IJGh■ⅡⅡ-0Ⅱ-0●‐lI0lJh‐II0LⅡ0■-’1Il9LPlII1III-0Iサーリー‐f‐I‐

住吉 00%

DOo・oooq DOooO・●●

●●●●●・o0

DoCoooo0 L了,愈聯繊塞一

高専・新旧大.短大卒

DOC●●OO PoO●Ooo DOoCo●o

Doo●・・● 1篝i篝i蕊'vwi鱗蝋

日中・新制高卒

、●・OOoCq D●oooOod DoooOOoq D●・CoCo。

DOO・●●CO●

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小・高小・新制中卒

60 80

40 100%0

20 20 40 60 80 100%

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霞。關~薑‐画

(59)

(8)

町田玲子 B36

主婦の職業の有無と屋上物干場の方向

100%0 住吉

図16

森の宮 100%

0

シイロハ ■■■■■■■■■■ 睦蝿醐鯆

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■ロ■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■ ■■■

ロ■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■|

■■■■■■■■■■■■■■■■■I

■■■■■■■■■■■Ⅱ

100%.020406080100%

6080

[二コ職なし

02040

K麺職あり

実例が少なく,それに対する意識も低いことが,調査結

果で明らかとなった.

しかし,機械乾燥の賛成者層に妻の有職率が最も高い 点,叉,学歴が高くなればなるほど,家族人数が減少す ればするほど,賛成者が増加している傾向がある点,お よび調査時に,この方法を以前経験した主婦数人から,

この方法の便利さを強調する声が聞かれた点等を考え合 わせると,共同利用による機械乾燥方法は,今後,発展 する可能性が考えられる.

V結語

市街地高屈住宅における洗濯物千場は,現状では,居 住者にとって多くの問題点がある.すなわち,屋上の共 同物干場は,①洗湘物類に対しても,物干しを行う人に 対しても安全な場所ではない.②洗狐物運搬等に伴う労 力負担が大きい.①設備が不十分で利用しにくい・等が あげられる.また,各戸の物干場であるサンルーム,ま たはペランダは,①狭い①居住者をうっとうしくさせ

る③サンルームの場合,日あたり,風通しが悪く,乾 きにくい.等が,主にあげられる.

このような多くの問題点があげられるにもかかわら ず,その対策に対しては,現状を一部改良する方向を望 む声が高く,機械乾燥による方法に対しては,かなり消 極的である.しかし,共同住宅,とくに市街地高層住宅 の増加,家族構成員の減少化,主婦の意識の向上,仕事 をもつ主婦の増加等の社会現象の今後の方向を考える と,洗濯物等の乾燥は,合理的な方法,たとえば,機械 乾燥の方法等による共同化を推し進めていくべきである

と思われる.

蝋辞

本調査を計画,実施するにあたり,始終御懇篤なる御 指導を賜わりました奈良女子大学教授,扇田信先生,並 びに助教授,足達富士夫先生,そして,共に調査を行い ました奈良女子大学卒業生の蔵田啓子さん,中迫小杉さ んに深く感謝いたします.(1970年7月31日受理)

SCLREP・KYOTOPREF・UNIV.(NAT・SCI.,LIV、SCI.&WELF・SCI.),No.21,Ser.B,p、31~36(OCT、1970)

(60)

参照

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