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昭和63年3月18日学位規則第5条第1項該当

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氏名・(本籍)

学位の種頬 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

大  橋  正  尚(静岡県)

工  学  博  士

工博甲第  36  号 昭和63年3月18日 学位規則第5条第1項該当

電子科学研究科 電子応用工学専攻

高圧気体環境における音響機器の特性に関する研究

−コンデンサマイクロホンについて−

(委員長)

教 授 宇 野 正 美

教 授 鈴 木 久 喜  教 授 畑 中 義 式 助教授 塩 川 祥 子

論 文 内 容 の 要 旨

地表の3分の1を占める海洋には,未だ利用されていない莫大な資源,すなわち種々の生物資源や 鉱物資源が眠っている。これらの資源を開発し有効に利用することは,宇苗開発とならぶ人頬永年の 夢であり,今後の人類の発展のためには必要不可欠であると考えられている。海洋開発のために必要 となる技術的な問題は数多く残されており,現在も精力的な研究開発が進められている。これら解決 されていない問題の1つに良好な通信の確保がある。海洋開発においては海中における作業能率を向 上させるために,作業空間を水圧とほぼ同じになるまでヘリウムによって加圧する飽和潜水が行われ る。そこでは人間や音響機器が数十気圧に及ぶ高圧とヘリウムを主成分とする環境気体に曝され,人 間の発する音声は著しく歪んでしまい(所謂ヘリウム音声)音響機器の特性にも変化が生じる。この ため円滑な通信が阻害され,時には生命に危険が及ぶことさえある。

本論文では,音声通信システムの要素の一つとして標準的な音響電気変換器であるコンデンサマイ クロホンを取り上げ,環境圧力が特性に及ぼす影響とその原因について論じている。最初に,今回新 たに本学電子科研に設置された小型の高圧チャンバを用いで純粋窒素により48気圧まで加圧し,口径 1/2と1/4インチの音場型と音圧型のマイクロホンの特性を静電加振法により測定した。その結 果,高圧におけるマイクロホンの特性は通常とは極めて異なり,以下に述べるようなマイクロホンの 種類によらない3つの共通な特徴が表われることが明らかとなった。第1に,周波数の中城の感度は

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(2)

圧力の増加にともなって減少するが,位相はほとんど変化せずゼロのままに保たれる。第2に,低域 の感度は圧力が変化してもあまり変らず,周波数の増加にともなって中域の感度へ漸近する。しかし,

位相には進みの極大が生ずる。第3に,高域の特性は非常に複雑で感度特性には複数のピークが生 じ,それらの周波数は圧力の増加にともなって減少する。また,位相は全体として進みが次第に大き くなるが,感度特性のピークに対応して複雑に変化する。以上が共通に見られる特徴であるが一 これ らの他に,1/2インチと1/4インチのマイクロホンの特性を比較すると,1/4インチのほうが 1/2インチよりも感度が平坦な周波数帯域が広く,高域の特性変化が単純であることも明らかになっ た。次に,これらの共通した特徴の原因について検討したところ,先の2つについては定性的な説明 がつき一前者は背気室内の気体のスチフネスが圧力の増加にともなって大きくなるためであり,後者 は静圧等価管の影響によるものであることがわかったが,第3の高域の特性については,従来考えら れていたようなマイクロホン膜の固有振動だけでは説明できない。そこで1/2インチマイクロホン の特性と背極の構造を検討したところ,両者はかなり影響していることが兄いだされた。これを確認 するために本研究では,光計測技術を応用したコンデンサマイクロホンの膜振動の測定技術を開発し た。すなわち,周波数安定化横ゼーマンレーザを光源とするヘテロダイン干渉計を構成し,マイクロ ホンをレーザースポットに対して僅かずつ移動させることにより,膜全体の振動振幅と位相を測定す ることに成功した。この測定技術を用いて,まず空気1気圧における1/2インチマイクロホンの膜 振動を測定し,周波数が高い場合には背極の構造に起因した振動が生ずることを確認した。次に,高 圧における測定ができるように測定装置を改良して,1/2インチ昔場型と昔圧型の2種類のマイク

ロホンについて膜振動を測定した。この測定により,高圧における高域での膜の振動は膜自身の固有 振動と背極の構造に関係する振動とが複合した非常に複雑な振動であることが明らかになり,このた

めに高域の感度特性に複数のピークが生ずることが明確になった。また,音場型と昔圧型の違いによ る膜振動の様式の相異も明瞭に区別でき,背極に開けられた孔が少なく直径が小さなほうが膜振動が 複雑で高域の周波数特性が乱れやすいことも示された。

以上の測定により,コンデンサマイクロホンの特性に及ぼす環境圧力の影響とその原因が明らかに なり,今後高圧において良好な特性をもつコンデンサマイクロホンを開発するための指針が与えられ た。これにより,海洋開発における通信システムの性能改善がなされるものと期待される。

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