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カーブ区間における速度感に関する実験的研究

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Academic year: 2022

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(1)4-321. 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月). カーブ区間における速度感に関する実験的研究 首都大学東京. 学生会員. ○津田. 浩輝. 首都大学東京. 正会員. 大口. 敬. 1.研究の目的 交通事故は全事故件数の約 6 割が交差点関連の事故であり、死亡事故は 2/3 程度が単路部で起きている。 その中でも、カーブの事故は死亡事故となるケースが多い。本研究ではカーブにおける運転者の視覚情報に 着目し、曲線半径の変化による運転者の速度感への影響を実験的に検証することを目的とする。 2.既存研究 既存研究. 1)により、曲線半径が小さくなると速度を速く感じる、大きくなると直線と同等の速度に感じる. ことが明らかにされた。しかし、この実験ではビデオ映像を用いているため、使用する映像により道路以外 の条件が異なる点、目的に応じて任意に曲線半径を変化させた実験を行うことができない点が課題として挙 げられる。したがって本研究では、視覚情報(曲線半径)・速度をコントロールできる室内実験装置(ドライ ビング・シミュレータ:以後 DS)を用いる CG 動画像実験を行う。 3.実験方法 3-1 マッチング手法 直線映像(基準映像)と、曲線映像(対象映像:R100・R400・R1000 の左右カーブ)の一対を順番に被験 者に提示し、両者のどちらが速いと感じたか、同じ位かを評価してもらう。ここで基準映像は 60km/h で一 定の走行速度で常に提示されるのに対し、対象映像は 30km/h〜90km/h の間で何度も変化させて、基準映像 と同速度と被験者が感じる対象映像の走行速度(以下、 「等速認知映像速度」と呼ぶ)を求める方法(マッチン グ手法)を採用する。 3-2 実験手法の改良 映像の提示順序を考慮に入れ、一対につき 2 パターンの比較を行う。ここで、直線映像を前、曲線映像を 後に提示する場合をパターン A、逆の場合をパターン B とする。また実験を重ねることによる被験者の学習 効果を防ぎ、提示された映像を毎回独立のものとして回答できるよう R100右カーブ パターンA R400左カーブ パターンB R1000右カーブ パターンA. 実験映像をランダムに提示する(図 1)。 4.実験映像の作成. 図1. 4-1 映像描画性能限界への対応. ランダムに提示. 例. DS は画像解像度の問題により、遠方の物 体を表示する際に映像にちらつきが発生して しまう。ちらつきが被験者の速度感の評価に 混乱を与えないようにするため、DS に霧を 発生させる機能を追加し,図 2 のように霧に より視距を一定範囲に絞ることで遠方のちら. R100. つきによる影響を排除する。本実験では、ド. R400 図2. ライバーの視点(走行車線の中心から 70cm. R1000. 霧発生時の各カーブ. 右側)から見通せる走行車線の中心線までの距離を視距とした。直線道路については、対となる曲線道路と 等しい視距を確保し、これより先の視界に霧を発生させた。 キーワード. 視覚環境. 連絡先. 〒192-0397. 室内映像実験. カーブ. 速度感. 東京都八王子市南大沢 1-1 -641-. 首都大学東京. 大学院工学研究科.

(2) 4-321. 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月). 4-2 カーブ区間定速自動走行の実現 本実験では、作成した CG の道路を定速走行している車両のドライバーから見た映像を被験者に提示する。 これまでの CG 映像提示実験 1)、2)はいずれも直線を対象としていたが、本実験はカーブを一定の速さで 走行する映像を提示する必要がある。このような自動走行にはアクセル開度、ステアリング角度を外部計算 機からの入力に切り替える必要がある。 具体的には、CG の道路を手動で走行. 自動走行. 自動走行. 手動走行. 成し自動走行させる。手動走行データに 基づき、ステアリングを一定量きったス テアリング角度(図 3)で制御する。アクセ ル開度は、速度に対するアクセル開度の 応答特性を考慮して一定時間内に所要の. 35. 5 アクセル開度(%). タの数値を元に車両運動プログラムを作. ステアリング角度(°). した際の走行データを記録し、そのデー. 手動走行. 40. 6. 4 3 2 1. 30 25 20 15 10 5 0. 0 25. 29. 33. 37 41 経過時間(s). 45. 図3. ステアリング角度. 定速走行を実現する必要があるため、あ. 25. 49. 29. 33. 図4. 37 41 経過時間(s). 49. アクセル開度 自動走行. カーブ. 45. 手動走行. 80. る速度を超えた場合はアクセルを緩め、 下回った場合はアクセルを踏むという制 御方法(図 4)で擬似的に定速走行を実現 する(図 5)。ここで速度変動により走行位. 直線. 車両速度(km/h). 70 60 50 40 30 20 10. 置が徐々に変化してしまうため、実験用. 0 0. の自動走行シナリオの実現にはステアリ ング角度とアクセル開度の微調整を行う. 図5. 4. 8 12 16 20 24 28 32 36 40 44 48 経過時間(s). 実験コースと車両速度. 必要がある。本実験には曲線半径 3 種 (R100,R400,R1000)、曲折方向 2 種(左右)、速度 7 種(30〜90km/h)、映像提示順序 2 種(パターン A,B)の計 84 種のシナリオを使用するため、各条件毎に同様の作業を行った。 5.実験結果及び考察 順序に統計的な有意差が無かったため、パターンを区別せずに集計を 行った。半径 100m 右カーブのみ、等速認知映像速度が基準映像(直線) の速度を下回り、カーブの方が直線よりも速度を速く感じているが、 その他のカーブ条件・実験条件では、むしろカーブの方が直線よりも 遅く感じている傾向がある。しかしいずれも統計的に有意差はない。 また若干ではあるが、左カーブの方が右カーブより速度を遅く感じる 傾向がみられる。これは、既存研究. 1). で遮音壁までの距離(側方余裕). が広いほど速度を遅く感じるとされることから、右カーブの側方余裕 が左カーブより少ないために生じた結果と考えられる。本実験は直線. 表1. 実験結果. カーブ条件 被験者数 平均等速認知映像速度(km/h) 61.7 左R100 15名 67.8 左R400 15名 65.0 左R1000 15名 58.3 右R100 15名 66.8 右R400 15名 64.3 右R1000 15名 左カーブ. 等速認知映像速(km/h). 表 1 に実験結果を示す。実験映像をランダムに提示することで提示. 右カーブ. 75.0. 70.0 65.0 60.0 55.0 R100. R400 曲線半径(m). R1000. を基準映像、カーブを対象映像としての比較実験である。今後カーブを基準映像、直線を対象映像とした実 験、直線との比較だけでなく、カーブどうしの比較実験を行うことによって、本実験の妥当性を確認する必 要がある。. 参考文献 1)濁澤雅、上岡高之、片倉正彦、大口敬、鹿田成則:視覚環境が運転者の速度感に 及ぼす影響要因解析、土木計画学研究・講演集、No.28、CD-ROM、2003 年 2)磯田大輔,大口敬:車線幅員と路肩幅員が速度感に与える影響分析、第 60 回土木学 会年次学術講演会概要集、CD-ROM、2005 年 -642-.

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