-
波方基地プロパン貯槽 岩盤貯槽における水封カー テンの構築と気密試験時の地下水挙動評価について
張 傳聖
1*・池谷 貞右
1・下茂 道人
2・大久保 秀一
3・前島 俊雄
31東電設計株式会社土木本部地下環境技術部(〒135-0062 東京都江東区東雲一丁目7-12)
2大成建設株式会社 技術センター(〒245-0051 神奈川県横浜市戸塚区名瀬町344-1)
3(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 石油ガス備蓄部(〒105-0001 東京都港区虎ノ門二丁目10-1)
*E-mail: [email protected]
水封式LPG岩盤貯槽の水封機能を維持するため,掘削時から水封ボーリングにより加圧給水し,貯槽周辺 岩盤を所定の水理場に保持する必要がある.このため,水封トンネルから水平と縦のボーリング孔からな る水封カーテンは,岩盤の卓越割れ目に交差する方向にシステマチックな配置を基本とし,更に掘削段階 毎に水封機能確認試験と3次元地下水解析から,その都度水封機能を分析し,ボーリング孔を追加した.
本論文では,波方基地プロパン貯槽で実施した3次元水理地質モデルの構築プロセスを主体に説明し,
その解析結果と地下水挙動データならびに水封機能確認試験により構築した水封カーテンを説明し,気密 試験時の地下水挙動の実測データと解析値から水封カーテンの仕上がりについての評価を報告する
Key Words : LPG underground storage, gas tightness test, correction pressure, instrumentation ground water
1. はじめに
水封式岩盤貯槽は,岩盤空洞内に貯めた液体および ガス燃料を,空洞に向かう地下水の流れにより貯蔵す る方式である.通常のトンネルや地下空洞と異なり,
貯槽建設では,水密性確保のため,完成時はもちろん 施工中においても貯槽周辺岩盤内の地下水保持が重要 である.このため,岩盤内割れ目に交差するボーリン グ孔を貯槽の上部と側部に配置し,人工的に地下水を 供給する水封ボーリング孔を設置し,地下水挙動を制 御しながら施工をすすめた.
ここでは,波方基地プロパン貯槽で実施した3次元水 理地質モデルの構築プロセスを説明するとともに,そ の解析結果と,地下水挙動データならびに水封機能確 認試験による水封カーテンの構築と気密試験時の地下 水挙動の実測データと解析値などから,水封カーテン の仕上がりの評価について述べる.
2.波方基地の概要
波方基地のLPG 岩盤貯槽は,幅26m,高さ30m,断面積 650m2のたまご型で,2条のプロパン貯槽と1条のブタン
/プロパン兼用貯槽からなる.プロパン貯槽は長さ 485mで.貯槽の設置深度は,貯槽の天端位置でEL-150m,
貯槽底盤でEL-180mであり,貯蔵するLPG の貯蔵圧力と 水封水圧の関係から十分な気密性・液密性が確保でき る深度に設置されている.また,貯槽天端から25m 上 部(EL-125m)の水封トンネルを貯槽を取り囲むように 設置し,水平および鉛直の水封ボーリングから水封水 を供給加圧している.
図-1に波方基地プロパン貯槽部周辺の地質図と間隙 水圧計設置図を示す。
図-1に示すとおり,波方基地は,地表部に風化部・
風化漸移部が約20~60m程度覆い,その下部に花崗岩 質の新鮮岩部からなる.地質構造は,構造を変化させ る割れ目,破砕帯,変質帯などの分離面と節理の卓越 方向と密度などを調査・分析した結果,7つの地質分帯
(Ⅰ-Ⅶ)に区分した.割れ目が最も密に発達してい るⅤ分帯では,N20W系,N60W系の貯槽横断方向が卓越し ている.ⅡとⅣ分帯の割れ目には,Ⅴ分帯の2方向に加 えN70E系の貯槽軸方向に近い割れ目が存在しており,
構造運動により形成されたものと推定される.N70E系 の割れ目の周辺では,一部開口割れ目が分布しており,
この分帯は透水性が高い.Ⅵ分帯は,Ⅳ分帯と同様の 割れ目方向であり,割れ目密度は中程度である.Ⅰ分
第 42 回岩盤力学に関するシンポジウム講演集 公益社団法人土木学会 2014 年1月 講演番号 40
- 225 -
帯は,貯槽軸方向の高角な割れ目が分布しているが割 れ目密度は疎で透水性が比較的低い.
透水試験で比較的透水性の高かったⅣ帯,Ⅴ帯につ いて,ルジオン値のヒストグラムを図-2に示す.いず れも平均ルジオン値は0.1Lu程度であるが,1Luを超える 高透水部がⅣ帯では約10%,Ⅴ帯では約6%含まれてい る.
3.水封カーテンの構築
プロパン貯槽における水封カーテンは,貯槽(貯槽天 端標高EL-150m)上部3本の水封トンネル(水封トンネル 敷標高EL-125m)から,水平・縦方向,それぞれ基本間 隔10mとして平行に削孔した水封ボーリングからなる.
貯槽掘削時は,気密試験時の水封水圧1.1MPaGを下回る 水封水圧0.4~0.95MPaGで,所要の水理場を確保するた め,水封機能を評価する必要があった.
水封カーテン構築と水封機能評価のプロセスを,図-3 に示す.
貯槽掘削中は,水封機能確認試験(アーチ掘削時,貯 槽掘削終了時) ,各掘削段階で,間隙水圧値を基本設計 の解析値(0.1Lu均質モデル)と対比し地下水挙動を監視 することにより,水封機能を評価し,必要に応じて追 加水封対策を実施した.
水封機能確認試験では,1本おきに水封ボーリング を加圧給水停止し,その時の水頭低下量を測定し,基 準値との比較により,水封カーテンの仕上がりを評価 した.試験方法は後述ならびに参考文献1) に示す。
間隙水圧は,図-1に示すとおり,貯槽周辺部,水封上 部・側方部に網羅的配置した計器により監視を行った.
また,調査時と,掘削時の情報を逐次反映した三次 元不均質水理構造モデルを構築し,水封トンネル充水 時や気密試験時の間隙水圧データと,構築したモデル による予測解析結果から,水封機能の評価を行った.
水封機能確認試験方法の概要を以下に示す.
図-4に示すとおり,3次元FEM浸透流解析により,
1本の水封ボーリングを加圧給水停止した場合の事象 を確認した結果は以下のとおりである.
・給水停止孔の水頭低下量は,貯槽と連絡する割れ目 が介在する場合は,均質地山に比べて明らかに大き くなる.
水封トンネル充水による水封機能の確認
気密試験時の貯槽加圧による水封機能の確認 作業・水封トンネル掘削状況(地質,透水性分布[湧水箇所])によ る計画見直し(水封トンネル・縦水封増設)
原設計
作業・水封トンネル掘削
水封ボーリング削孔・水封稼働 貯槽掘削
水封トンネル充水
気密試験
水封機能確認試験による 評価 間隙水圧計実測値に
よる評価
水封機能確認試験結果 間隙水圧計実測値
管理基準値 比較
管理基準値 比較 追加水封対策の実施
対策後の水封機能確認試 験結果 対策後の間隙水圧の
上昇
解析値 解析値
Ⅰ Ⅳ
Ⅶ
Ⅱ Ⅵ
Ⅲ Ⅶ
間隙水圧計
Ⅴ
図-3 水封カーテン構築と水封機能評価のプロセス 図-1 プロパン貯槽地質平面・縦断図と間隙水圧計器配置
Ⅰ
Ⅳ Ⅴ
Ⅵ
Ⅱ
Ⅲ
風化部 風化漸移部
図-2 地質分帯Ⅳ,Ⅴ帯のルジオン値ヒストグラム
0 5 10 15 20 25 30
0.001~0.003 0.003~0.01 0.01~0.03 0.03~0.1 0.1~0.3 0.3~1.0 1.0~3.0 3.0~10 10~30 30~100 100~300 300~
データ区間 ルジオン値
頻度(%)
0 5 10 15 20 25 30
0.001~0.003 0.003~0.01 0.01~0.03 0.03~0.1 0.1~0.3 0.3~1.0 1.0~3.0 3.0~10 10~30 30~100 100~300 300~
データ区間 ルジオン値
頻度(%)
Ⅳ帯 Ⅴ帯
対数平均 0.1Lu N=4523 対数平均 0.08Lu N=1406 対数平均
算術平均 算術平均
対数平均
- 226 -
・図-5 に時間軸を対数とした水封ボーリング加圧給水 停止後の水頭低下曲線を示す.図-5 に示すとおり,
経時的な水頭変動の変化は,一定時間経過後,時間の 対数に比例して直線的に低下する.水頭変動を対数時 間で除した水頭低下勾配|dH/dlog10t|は,貯槽と連絡する 高透水割れ目が介在する場合,均質モデルに比べて大 きくなる.
上記に基づき,均質モデルの水頭低下勾配|dH/dlog10t|
を基準値とした.
図-6 に,水封機能試験結果のうち水頭低下勾配
|dH/dlog10t|が比較的大きかったプロパン No2水封北側の
縦水封ボーリングの水頭低下勾配|dH/dlog10t|を示す.
-140 -120 -100 -80 -60 -40 -20 0 20
200 225 250 275 300 325 350 375 400 425 450 475 500 貯槽TD(m)
水頭(水封機能試験) 低下勾配(dh/dlog10t)
追加水封実施前 水頭低下勾配 追加水封実施後 水頭低下勾配 :水頭低下勾配≧12 の水封ボーリング孔
:追加水封ボーリング(アーチ掘削完了後) :追加水封ボーリング(貯槽掘削完了後)
Ⅳ Ⅴ
図-4 貯槽に連結する高透水帯の存在による地下水挙動評価の概念 図-5 給水停止後の水頭低下曲線
基準値:
0.1Lu均質地山相当 の水頭低下勾配 dH/dlog10t:12 貯槽掘削終了時 水封圧.0.7MpaG の場合
1 10 100 1000 0.1
0.01 0.001 0.0001 80 70 60 50 40 30 20
水封ボーリング水頭(m) 水頭変動量(m)
経過時間t (dH/dlog10t) 水頭低下勾配
均質地山 貯槽と連結する高透水割
れ目が介在するモデル
解析条件(貯槽掘削完了時) 境界条件:
水封水圧:0.7MPa 外側境界:不透水 アーチ表面:浸出境界 透水係数:
均質部 k=1×10-6cm/sec 高透水帯 k=1×10-4cm/sec
貯槽と連結する 高透水割れ目
高透水帯が介在する 解析モデル1) 三次元解析モデル
均 質 モ デ ル 、1孔 給 水 停 ゾ ー ン モ デ ル 、 1孔 給 水 停 高 透 水 岩 難 透 水 岩
高 透 水 岩 高 透 水 割 れ
アーチ 水封ボーリング
水封ボーリング
貯槽
ピエゾ水頭(EL.m)
-150 -120 -90 -60 -30 0
高 透 水 層 介 在 モ デ ル 、全 孔 高 透 水 層 介 在 モ デ ル 、1孔 モ
ピエゾ水頭(EL.m)
-150 -120 -90 -60 -30 0
高透水層介在モデル,全孔注水 高透水層介在モデル,1 孔給水停止
均質モデル,1 孔給水停止 水封ボーリング 試験時加圧給水停止
水封ボーリング
高透水割れ目 難透水岩盤
図-6 プロパン No2 縦水封ボーリング 貯槽アーチ掘削完了時水封機能試験実施時の水頭低下勾配
図-7 水封ボーリング最終レイアウト
プロパン No1 水封 TN
プロパン No3 水封 TN プロパン No2 水封 TN
プロパン No1 貯槽 プロパン No2 貯槽
プロパン No3 水封 TN
既定水封ボーリング 追加水封ボーリング (アーチ掘削完了後) 追加水封ボーリング (貯槽掘削完了後)
- 227 -
図-6に示すとおり,貯槽TD300~400m間で,水頭低 下勾配が大きい箇所が存在した.この区間は,地質分 帯Ⅳ,Ⅴが分布する.これらの分帯は,貯槽横断方向の 割れ目が卓越していることが確認されていることから,
割れ目への水封水の供給不足の可能性が考えられる.
当該箇所については,近傍に,割れ目に交差する様 に,削孔方向を設定した追加水封ボーリングを設置す ることとし,貯槽周辺のグラウトによる止水対策と併 せて,水封機能を強化することとした.
最終的な水封ボーリングレイアウトを図-7に示す.
4.水理構造モデルの構築
水封式岩盤貯槽では,建設から操業に至るまで,適 切な水封機能を維持することが重要である.そのため,
現状再現並びに将来予測に基づく合理的な地下水制御 対策を実現すべく,各施工段階の地下挙動を高い精度 でもって説明可能な水理構造モデルを構築した.モデ ル設定は,ブタン/プロパン兼用貯槽と同様,地盤透水 性の不均質性を考慮した2), 3).
図-8にモデル形状を示す.図-8に示すとおり,貯槽 周辺部を包括する領域を地球統計学的手法により不均 質透水分布を設定した.設定の際には,観測孔,計測 孔,水封Bor,グラウト孔(最終次数孔)等の各透水試験 データを入力値として用いた.図-9にプロパン貯槽の 周辺部の透水分布設定例を示す.図-9に示すとおり,
設定した透水分布は,貯槽周辺部のグラウト施工範囲 にグラウトの改良効果が反映されていることが表され ている.
構築したモデルを用い,各水理条件で予測解析を実 施した.
図-10に,水封トンネル充水・昇圧前後の間隙水圧コ ンタ図を,図-11に,水封昇圧時におけるNo.2プロパン 貯槽計測計器の間隙水圧の予測解析値と実測値,図-12 に,プロパン貯槽湧水量の解析値と実測値を示す.
図-10~12に示すとおり,水封トンネル充水・昇圧に より間隙水圧が回復し,湧水量が増加する等から,適 切な水封機能が構築されたことを示すものと考える.
また,解析予測と実測に基づく地下水挙動は整合し ており,構築した水理構造モデルは概ね現状を再現で きたものと判断される。
0 10 20 30 40 50 60 70
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4
水封水圧 (m)
湧水量 (m3/hr)
-140 -120 -100 -80 -60 -40 -20
0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 水封水圧(MPa)
全水頭(m)
-0.1 0.005 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.075 0.1 0.2 0.5 0.75 1 2 5 10
Lu値
図-9 透水試験データと透水分布 (プロパン貯槽:計測断面C)
推定透水分布
No2
Ⅳ No.2貯槽 P2C3
P2C2 P2C1 P1C4
0~0.01Lu 0.01~0.03Lu 0.03~0.1Lu 0.1~0.3Lu 0.3~1Lu 1Lu~
F-7
F-2 F-5
F-6
妻部 A B C D E
D C B A
F
妻部 A B F C D E
A B C D
DE AB
AB BC CD
DE AB
CD BC AB
A妻 A妻 E妻 E妻
E妻 E妻
E妻 E妻
A妻
A妻 A妻
A妻
C断面
図-8 解析モデルの形状
地球統計学的手法入力データ
・水封 Bor 透水試験結果
・観測孔透水試験結果
・計測孔透水試験結果
・グラウト孔透水試験結果
図-12 水封昇圧時の湧水量(プロパン貯槽 2 本合計) 実測値と解析値の比較
-75-75
pp1
pp0
pp1
pp2 pp2
pp3
pp4
pp1 pp1
pp2
No.21 No.30 No.12
No.20
No.19 No.23
-155
-15
pp1
pp0
pp1
pp2 pp2
pp3
pp4
pp1 pp1
pp2
No.21 No.30 No.12
No.20
No.23 No.19
水封トンネル充水・昇圧前(水封水圧 P 貯槽 0.5MPa,B/P 貯槽 0.7MPa 時)
水封トンネル充水・昇圧後(水封水圧 1.1MPa 時) 図-10 水封トンネル充水・昇圧前後の解析結果
間隙水圧(ピエゾ水頭)横断面コンタ図(AB 断面)
P2AB-1 P2AB-2 P1AB-3
P2AB-1 P2AB-2 P1AB-3
図-11 水封昇圧時の間隙水圧計実測値と解析値の比較
-140 -120 -100 -80 -60 -40 -20
0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 水封水圧(MPa)
全水頭(m)
P2AB-1
P2AB-2
-140 -120 -100 -80 -60 -40 -20
0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 水封水圧(MPa)
全水頭(m)
P1AB-3
湧水量実測値
〃 解析値 地球統計学的手法を用い
た透水分布の設定領域
間隙水圧実測値 〃 解析値
- 228 -
5. 気密試験時の地下水挙動評価 (1)貯槽加圧時の水封効能評価
図-13に,気密試験時の間隙水圧ピエゾ水頭横断面図
(計測断面 AB)を示す.図-14 に,貯槽頂部計測計器(設
置標高 EL-135m)の貯槽加圧時の間隙水圧経時変化を,
図-15に,湧水量の経時変化を示す.
図-14に示すとおり,貯槽頂部計器は,貯槽加圧と連 動して上昇した.この中で最も水頭が低かった P2AB-1 は,貯槽加圧前ピエゾ水頭EL-54mから最高圧時ピエゾ水
頭EL-31m迄約23m上昇した.
図-15 に示すとおり,実測湧水量は,貯槽加圧前 43.6m3/hr,貯槽最高圧到達時18.4m3/hrで,約25 m3/hr減 少した.
非定常挙動を示す計器P3D-1について,図-16 に気密 試験時の間隙水圧ピエゾ水頭横断面図,図-17 に貯槽加 圧時の間隙水圧経時変化を示す.
図-16に示すとおり,P3D-1は開始から4日程度水頭 が殆ど上昇しない等,大きな時間遅れを伴う挙動を示 した.この様に大きな時間遅れを示す計器については,
最高加圧時までの挙動を,非定常解析等により,逐次
確認しながら,慎重に加圧を進めることとし,貯槽内 圧水頭を下回らないように留意した.具体的には,貯 槽を加圧を進めた.そこで,貯槽内圧昇圧を一時止め 静定期間,内圧280kPaG時4日,内圧700kPaG時7日計 11日を設け加圧時の水頭差を確保することとした.そ の結果,最小水頭差11mを確保することができた.
(2)気密試験時の貯槽気密性による評価
図-18に,貯槽壁面から15m位置での間隙水圧水頭解 析予測値ならびに実測値と貯槽壁面水頭との水頭差分 布図を示す.気密試験後,実測値に基づき貯槽の気密 性について確認を行った結果,水頭差は最小で約9m,
動水勾配で0.6=9/15m(>0.5)が確保されていることを確認 した.
このことから,十分な気密性を有しており,構築した 水封カーテンが貯槽に対して,有効に水封機能効果が 作用しているものと判断される.
また,計測箇所の約 7割が,解析値と実測値の差は 2m以下であったことから,解析により概ね実測を再現 できたものと判断される.
図-13 気密試験時解析結果 間隙水圧ピエゾ水頭コンタ図 横断面図(計測断面 AB)
ピエゾ水頭 EL.m
図-16 気密試験時解析結果 間隙水圧ピエゾ水頭コンタ図 横断面図(計測断面 D)
P2AB-1
-150 -140 -130 -120 -110 -100 -90 -80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10
10/15 10/17 10/19 10/21 10/23 10/25 10/27 10/29 10/31 11/2 11/4 11/6 11/8 11/10 11/12 11/14 11/16 11/18 11/20 11/22 11/24 11/26 11/28 11/30
ピエゾ水頭(EL.m)
日付 700kPaG
280kPaG
985kPaG
貯槽内圧
(貯槽天端ピエゾ水頭表示) 水封水圧 EL-15m
動水勾配 (貯槽内圧+7.5m)
17m 加圧開始
10/15 14:55
加圧停止
11/17 16:12 気密試験
11/26~11/29
貯槽天端標高 EL-150m
図-14 貯槽加圧時間隙水圧経時変化(貯槽頂部 EL-135m 設置計器)
ピエゾ水頭 EL.m
-180 -170 -160 -150 -140 -130 -120 -110 -100 -90 -80 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0
10/15 10/17 10/19 10/21 10/23 10/25 10/27 10/29 10/31 11/2 11/4 11/6 11/8 11/10 11/12 11/14 11/16 11/18 11/20 11/22 11/24 11/26 11/28 11/30
ピエゾ水頭(EL.m)
日付 P3D-1
11m 水封水圧 EL-15m
700kPaG
280kPaG
985kPaG
貯槽内圧
(貯槽天端ピエゾ水頭表示) 動水勾配
(貯槽内圧+7.5m) P3D-1 解析値(非定常解)
22m 加圧開始
10/15 14:55 加圧停止
11/17 16:12
気密試験 11/26~11/29
図-17 非定常挙動を示す計器 3D-1 の間隙水圧経時変化(3D-1)
0 300 600 900 1200
0 10 20 30 40 50 60 70 80
10/15 10/17 10/19 10/21 10/23 10/25 10/27 10/29 10/31 11/2 11/4 11/6 11/8 11/10 11/12 11/14 11/16 11/18 11/20 11/22 11/24 11/26 11/28 11/30 貯槽内圧(kPaG)
湧水量(m3/hr) 貯槽湧水量
貯槽内圧 700kPaG
280kPaG
985kPaG
43.6m3/hr
18.4m3/hr 18.4m3/hr 貯槽湧水量 解析値
気密試験 11/26~11/29 10/1514:55加圧開始
加圧停止 11/17 16:12
図-15 貯槽加圧時湧水量経時グラフ
P3D-1
- 229 -
図-18 プロパン貯槽 気密試験時(貯槽内圧 981kPaG)の実測水頭差コンター(貯槽壁面から 15m位置展開図)
解析値と実測値の差 6m~
4m~6m 2m~4m 0m~2m
6. まとめ
波方基地プロパン貯槽は,水封式岩盤貯槽であり,
貯槽の建設から操業に至るまで所定の水理場を保持す ることが重要である.このため,貯槽の上部・側部に ボーリング孔を設置して人工的に地下水を供給する水 封カーテンの構築や,地質の不均質性に起因した貯槽 周りの高透水箇所を均質で低透水な場に改良するグラ ウト工といった対策を行い,地下水挙動を制御しなが らの施工を進めてきた.
貯槽掘削時には,地下水関連データの分析や施工段 階の情報を逐次反映して構築した3次元水理構造モデル との比較による地下水挙動の評価を行うともに,施工 段階毎に水封機能確認試験を実施し,水封カーテンの 仕上がりを確認・評価した.
また,これらの検討に基づく情報化施工の一環とし て,必要に応じてポストグラウト工や追加の水封ボー リング孔設置などの対策工を適宜実施した.
結果,貯槽の完成検査に位置づけられる気密試験時 には,水封カーテンが有効に機能し,プロパン貯槽の 十分に高い気密性が確認された.なお,プロパン貯槽 の貯槽周辺計器では,貯槽変動時に,貯槽内圧の変化 に対し,間隙水圧が応答に時間を要する計器が存在し
た.これらの計器については,非定常解析結果と比較 する等,逐次挙動を確認すると伴に,一定期間貯槽内圧 の加圧を中断し,間隙水圧の上昇を確認して加圧を再 開させることにより,貯槽との水頭差を確保した.
調査・計測・解析の高度化に基づく情報化施工や水 封機能確認試験などにより,地下水挙動を制御しなが らの施工が合理的に実現できたものと判断される.
参考文献
1) 下茂道人,真下秀明,前島俊雄,山本浩志,青木謙治:
水封ボーリングを用いたLPG貯蔵空洞周辺の水封機能確認 方法,第37回岩盤力学に関するシンポジウム, PP.55-60,2007.
2) 前島俊雄,山本浩志,宇野晴彦,池谷貞右,青木謙治:
3次元不均質モデルによるLPG岩盤貯槽掘削時の地下水挙 動評価,第38回岩盤力学に関するシンポジウム, PP.202- 207,2009.
3) 池谷貞右,張傳聖,鈴木 健一郎,宮崎 裕光,大久保 秀一,前 島 俊雄:波方基地 ブタン/プロパン兼用貯槽 岩盤貯槽 における水封カーテンの構築と気密試験時の地下水挙動評 価について,第42回岩盤力学に関するシンポジウム講演論 文集2013.
ESTABLISHMENT OF WATER CURTAIN SYSTEM ON THE NAMIKATA LPG STORAGE CAVERN AND EVALUATION ON HYDRAULIC BEHAVIORS DURING
CAVERN AIR-TIGHTNESS TEST
Chuan-Sheng CHANG, Sadau IKEYA, Michito SHIMO,Shuichi OKUBO and Toshio MAEJIMA
For the hydraulic containment LPG storage cavern, the hydraulic containment ability is maintained by water injection from the water curtain boreholes to provide stable hydraulic condition surrounding LPG storage cavern from cavern excavation throughout the operation phase. In order to deriving higher efficacy of the water curtain boreholes, the authors have determined the layout of water curtain boreholes with consideration on the primary orientation of fractures. In this study, the authors have established a 3- dimensional hydrogeological model for evaluating the efficiency of water curtain boreholes in Namikata site and achieved to estimate the hydraulic behaviors in the cavern air-tightness test.
- 230 -