(1)論文審査の結果の要旨
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(2) 解であることから、内在性システインプロテアーゼに焦点を絞った。 第 3 章では、マダイ筋肉中のシステインプロテアーゼの検索を行った。すなわち、マ ダイ筋肉粗抽出液の Z-Phe-Arg-MCA(カテプシン B、L および S の基質)および Z-Arg-Arg-MCA(カテプシン B の基質)水解活性に及ぼす E-64(システインプロテアー ゼインヒビター)並びに CA-074(カテプシン B に特異的なインヒビター)の影響を調 べた。その結果、Z-Phe-Arg-MCA 水解活性は E-64 により 68.7%、CA-074 により 60.5% が阻害され、Z-Arg-Arg-MCA 水解活性は E-64 により 81.8%、CA-074 により 74.6%が阻 害されたことから、マダイ筋肉中のシステインプロテアーゼは主にカテプシン B である ことが判明した。また、本酵素の最適 pH および最適温度は、Z-Phe-Arg-MCA に対して 5.5 および 50ºC であり、Z-Arg-Arg-MCA に対して 6.0 および 40ºC であったが、中性域お よび低温度帯でも酵素活性を保持していた。なお、マダイ筋肉からのカテプシン B の精 製を試みたものの単離精製には至らなかった。そこで赤身魚で筋肉 pH が低く鮮度低下 の早いマサバに注目するとともに、白血球由来カテプシン群の魚肉軟化への関与を考慮 して、脾臓より中性域で働くシステインプロテアーゼの精製および性状解析を行った。 第 4 章では、マサバ脾臓より中性域で働くシステインプロテアーゼを精製し、その性 状解析を行った。精製酵素の SDS-PAGE(還元条件下)では、35 kDa および 27 kDa のタ ンパク質バンドが得られ、各々の N 末端アミノ酸配列分析から、他生物種由来カテプシ ン B の一本鎖構造の N 末端、および二本鎖構造の重鎖の N 末端に相当する配列と高い 相同性が認められた。本酵素は基質特異性並びに各種プロテアーゼインヒビターの影響 より、既知のカテプシン B と類似の性状を示した。一方で、その最適 pH は Z-Phe-Arg-MCA および Z-Arg-Arg-MCA に対してそれぞれ 7.0 および 7.7 と中性域であった。したがって 本酵素は、酸性域で働く既知のカテプシン B とは異なる、中性域で働く新しいタイプの カテプシン B 様酵素であることが判明した。加えて、本酵素は中性域において比較的短 時間でミオシン重鎖およびアクチンを水解することがわかった。 以上の結果より、脾臓中の白血球に存在する本酵素が、血液を介して筋肉へ移行し、 魚肉軟化現象に関与する可能性を示唆した。 第 5 章では、上記結果を総括するとともに、総合的な考察を行った。 以上のように、本論文では魚類に中性域で働くカテプシン B 様酵素が存在し、死後早 期の魚肉軟化に深く関与することを明らかにした。学位審査委員会は、これらの知見が 水圏生化学の分野において極めて有益な成果であるとともに、水産科学の分野の進歩発 展に貢献するところが大であると評価し、博士(水産学)の学位に値するものとして合格 と判定した。.
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