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表 1 米国から日本への LNG 輸出計画 (2014 年 8 月現在 ) 出所 : 米国エネルギー省 DOE ほか情報より作成 LNG 基地フリーポートコーブポイントキャメロン 場所 テキサス州キンタナ アイランド メリーランド州カルバート郡ラスビー ルイジアナ州キャメロンパリシュ 操業者フリーポ

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1/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 作成日: 2014/9/10 調査部: 伊原 賢 公開可

パナマ運河拡張とニカラグア大運河計画

(パナマ運河庁、石油学会、JOGMECワシントン事務所ほか) 太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河は、先月8月15日に開通から100周年を迎えた。大型船舶を通すた めの拡張工事が2015年末に完成すれば、北米産のシェールガスを含む液化天然ガス(LNG)を運ぶ輸 送船も新たに航行できるようになる。日本にとっては、運河利用による通航期間の短縮から輸送費の圧 縮に繋がるメリットが期待される。 一方でパナマ運河は、同じく中米のニカラグアの大運河計画やスエズ運河の増設との競合という新た な課題に直面している。課題を抱える中で、海上貨物の争奪戦が激しくなる節目の年を迎えている。 1. はじめに 2011 年 3 月の東日本大震災以降、火力発電を中心に LNG の輸入量が増加し続けている。LNG 輸入価 格のアジアプレミアムが大きな課題である。この対策として、シェールガス革命により価格が下落した天然 ガスの米国からの輸入に期待が高まっている。既に複数のメキシコ湾岸や東岸の LNG 輸出プロジェクト が米国政府の認可を得ているが(表 1)、日本にとって最短距離にあるパナマ運河を経由する航路は、 LNG 船や液化石油ガス(LPG)船といった大型船舶の航行が物理的に難しい。その完工が 2015 年末とさ れる「パナマ運河の拡張」により大型船の通航が可能となった際には、LNG のみならず米国メキシコ湾や 中南米からの原油や石油製品の流入も期待され、アジアのエネルギー市場にも大きな変化をもたらすこ とになろう。

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2/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 表 1 米国から日本への LNG 輸出計画(2014 年 8 月現在) 出所:米国エネルギー省 DOE ほか情報より作成 LNG 基地 フリーポート コーブポイント キャメロン 場所 テキサス州 キンタナ・アイランド メリーランド州 カルバート郡ラスビー ルイジアナ州 キャメロンパリシュ 操業者 フリーポート社 ドミニオン社 センプラエネジー社 天然ガス液化能力 880 万トン/年 【拡張】440 万トン/年 575 万トン/年 1200 万トン/年 天然ガス液化開始 2018 年(含む拡張) 2017 年 2017 年 輸出期間 20 年 20 年 20 年 非 FTA 向け輸出承認 (DOE) FERC 承認は未定 2013 年 5 月 17 日 【拡張】2013 年 11 月 15 日 2013 年 9 月 11 日 2014 年 2 月 11 日 日本企業の LNG 引き 取り契約 計 1720 万トン/年 大阪ガス 220 万トン/年 中部電力 220 万トン/年 【拡張】東芝 220 万トン/年 住友商事 260 万トン/年 (内 東京ガス 140 万トン/年、 関西電力 80 万トン/年) 三菱商事 400 万トン/年 三井物産 400 万トン/年

FERC:Federal Energy Regulatory Commission(米国連邦エネルギー規制委員会)

2. パナマ運河の拡張

2.1 パナマ運河とは

パナマ共和国のパナマ地峡を掘削して建設された大西洋と太平洋を結ぶ海上交通の要衝であり、全長 77km の運河である(図 1)。通航には 10 時間(日中)、待ち時間を含めると 24 時間程度かかる。運河は 24 時間 365 日無休で運営されており、船籍に関わらず船舶の自由航行が保証されている。

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3/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 出所:パナマ運河庁 図 1 パナマ運河の通航路 運河は 2 本の通航路(閘門水路)からなり、大西洋側からガトゥン、ペドロ・ミゲル、ミラフローレスという 3 つの閘門(こうもん、ロック)が設けられている。閘門とは、入口と出口にゲートが設けられた長さ 304.8m、 幅33.53m の大型のプール(チャンバー)のことであり、ガトゥン湖から流下する水をそこに注ぐことにより船 舶を大西洋あるいは太平洋の海水面から 26m 高いガトゥン湖に持ち上げ、反対側で再び海水面まで降ろ す役割を持つ。チャンバーの数は、ガトゥンが 3 つ、ペドロ・ミゲルが 1 つ、ミラフローレスが 2 つ持つ。ガト ゥン湖はカリブ海に注ぐチャグレス川をせき止めて造られた世界最大級の人工湖であり、チャグレス川の 水を貯める貯水槽の役割を果たしている。 現在通航できる最大の船の大きさは「パナマックス」サイズ(幅 32m、全長 294 m、喫水 12m)と呼ばれ、 航行する船舶の国際基準の一つである。運河は太平洋での勢力圏拡大を狙う米国が、軍艦や商船を大 西洋から振り向けられるように計画し、1904 年着工から 10 年後の 1914 年 8 月に開通した。軍事拠点とし て管理を続けたが、1999 年末にパナマに返還された。運河の利用国として日本は、米国、中国、チリに続 く第 4 位である(米国 1 億 4357 万ロング(英)トン、中国 5272 万ロングトン、チリ 2805 万ロングトン、日本

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4/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2238 万ロングトン【1 ロングトン=1.016 メトリックトン】発地と着地でカウントした量なので合計は実際の通航 貨物量の 2 倍:2013 年パナマ運河庁調べ)。重量ベースで世界の海上輸送貨物の 4%がパナマ運河を経 由している。累計の通航船舶数は 2010 年 9 月に 100 万隻(約90 億ロングトン)を突破した。パナマ運河を 通る海路は 144、発着地は 160 ヶ国、1700 港に上る。通航関連業務に約 1 万人が従事している。 完工が 2015 年末とされる「運河の拡張工事」が終わると、6.2km の北水路により新閘門は、ミラフローレ ス湖を回避してゲイラード水路に連絡される。1.8km の南水路は新閘門と太平洋側の既存の運河入口を つなぐ。いずれの水路も幅 218m となる。航行する水路の幅は直線部分で最低 280m、湾曲部は最低 366m に拡張される(写真 1、写真 2)。 出所:パナマ運河庁 写真 1 ミラフローレス閘門 出所:パナマ運河庁 写真 2 建設中の新しい閘門予想図(左)と現状のミラフローレス閘門(右手奥)

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5/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2.2 通航量 2013 年度(2012 年 10 月 1 日~2013 年 9 月 30 日)の船舶通航量は、船舶純トンベース(船舶の全容積 から貨物・旅客の積載に利用できない部分の容積を減じた値、1 トン=100 立方フィート)で 3 億 2060 万 PC/UMS (The Panama Canal / Universal Measurement System)トンと前年(2012 年度は過去最大3 億3370 万 PC/UMS トン)比 3.9%の減少であった。運河の持続可能な最大通航量は 3 億 4000 万 PC/UMS トンと されているので、現状フル稼働に近い状態で運転されていることになる。 年間通行船舶数は 1 万 3660 隻と前年比 6.08%の減少であった。「パナマックス」サイズの船は 7035 隻 と 2012 年度の 7241 隻から 2.8%減少し、外洋船の 58.4%を占めた。通航料収入は 18 億 4970 万ドル、 通航支援サービス等を含む海事事業収入は 24 億 1130 万ドルであった。一般に上半期(1~6 月)に下半 期よりも通航隻数が多くなる傾向にある。 パナマ国庫への歳入は 9 億 8180 万ドルであった。パナマ経済はパナマ運河通航に係る輸出額(コロ ン・フリーゾーン、いわゆる免税地帯からの再輸出を含む)に相関しており、過去 10 年間の輸出額の伸び が年 10.8%に対して、経済成長率は年 9.2%である。輸出額は 2012 年度ベースで 277.9 億ドルとパナマ の GDP(362.5 億ドル)の 77%に相当する。 貨物の輸送トンベースでは 2 億 1810 万ロング(英)トンで前年比 1.9%増。1 隻あたりの貨物重量の平均 は約 15000 ロングトン。因みにパナマ運河を通過する大型船の約 13%は空荷である。 船種別ではコンテナ船、ドライバルク船(撒積船)、タンカーの順である。1 日に通航可能な船舶数は 40 隻程度であることから、多くが太平洋側、大西洋側で 1 日以上の待機を余儀なくされる(運河拡張後は 55 隻程度に拡大予定)。2013 年度に通峡に要した平均時間 CWT(Canal Waters Time)は待機時間を含め 24.5 時間、うち通峡予約船の CWT は 14.36 時間、予約外の船舶は 31.95 時間を通峡に要した。CWT に は船舶が最初の閘門に入るまでの待ち時間が含まれるため、運河運転効率の指標として使われる。運河 内の通峡時間 ITT(In Transit Time)は 10.78 時間であった。パナマ運河庁は一定数の通航スロットを予約 制としており、オペレーターは通常の通航料に10%の割増料金を支払うことにより通航スロットを予め確保 することができる。予約なしで到着したオペレーターにより、スロット入札が実施されることもある。運河水 域に到着した船舶は、その日に通航スロットを予約している場合はパイロット(水先案内人)が乗り込み、 最初の閘門に向かうが、予約していない場合は投錨して通航の順番を待つことになる。顧客満足度は 98.7%で、2012 年度は 96%であった。 船積み港と仕向地について、運河を経由する航路は、アジア~米国東岸を結ぶ航路が、通航船舶トン 数、輸送トン数ともに第1位で39%のシェアを占める。但し、同じアジア地域でもパナマ運河の利用によっ て航路を短縮し、航海日数、消費燃料を削減できる国は限られる(日本、中国、オーストラリア)。シンガポ

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6/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ールやインドでは、パナマ運河はむしろ遠回りになる。このことから、パナマ運河ルートのスエズ運河ル ートとの境界は香港あたりと推定される。 輸送量全体では、太平洋側から大西洋側への輸送が前年比 6.3%減となっているのに対し、逆は 0.9% 増を示している。特に石油・石油製品は大西洋側から太平洋側への輸送は 0.9%増を示しており、石油輸 送における太平洋側への航路のウエイトが高まっている。太平洋向け(西回り)、大西洋向け(東回り)の両 方向において、米国-アジア間の貿易が主要な貨物の流れとなっている(西回りの 70%強、東回りの 60%)。 2.3 タンカーの通航状況 2013 年度(2012 年10 月1 日~2013 年9 月30 日)には、原油と石油製品を併せて両方向の通航で 3885 万ロングトン(79 万 3000 バレル/日)の輸送が行われた。原油は 12 万 1000 バレル/日、石油製品 67 万 2000 バレル/日の内訳であった。 石油製品の大部分は大西洋側から太平洋側に運ばれており、主に軽油、ガソリンである。軽油は米国メ キシコ湾岸からチリやエクアドルに輸送され、ガソリンは同じく米国のメキシコ湾岸からメキシコ、グアテマ ラ、チリ、エクアドルへ輸送されている。LPG は主にトリニダード・トバゴからエルサルバドルに運ばれてい る。 2.4 運河の通航料の値上げ

パナマ運河の通航料は、コンテナ船はコンテナ積載能力 TEU (Twenty-feet Equivalent Unit:20 フィート コンテナーを 1 単位とする貨物量の単位)、それ以外の船舶は船舶の純トン数 PC/UMS に応じた料金体 系である(1TEU=13PC/UMS トン)。

パナマ運河庁(Panama Canal Authority:Autoridad del Canal de Panamá:ACP)は 2006 年4 月に公表した パナマ運河の拡張計画の中で、2035 年まで毎年平均 3.5%の通航料値上げの方針を出した。これは 2007 年以降の 18 年間で通航料が 1.86 倍になることを示している。 日本船主協会の試算によれば、傘下の船舶の通航料金は 2010 年の 2 億 800 万ドルに対して、2025 年 は 3億4800万ドルと1.7倍に、2011年以降の負担増加累計額は 10 億3300 万ドルに上ると見られている。 海運業界は、この大幅な値上げは海運業界のみならず、荷主や消費者に大幅な負担増をもたらすとして、 料金体系の見直しを求めている。今後計画通りに値上げが実施されると、相対的にパナマ運河のコスト競 争力が低下し、スエズ運河経由での海上輸送が促進される可能性もある。

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7/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2.5 拡張工事 パナマ運河は通航量の増大と船舶の大型化という 2 つの課題に直面している。前述したように 2013 年 度の通航量は、運河の処理能力の許容上限 3 億 4000 万 PC/UMS トンに近い水準で、更なる通航需要の 増加に対応できない状況に陥っている。 通航量の 35.9%を占めるコンテナ船を見ると、最大 4500TEU の「パナマックス」サイズを超える積載能 力 1 万 TEU 以上のオーバー・パナマックスと呼ばれる大型船が多数建造されるようになった。このような 国際海上輸送におけるパナマ運河の相対的地位の低下を危惧したパナマ政府は、2006 年 10 月に国民 投票による賛成を受け、2007 年 9 月に運河の拡張工事に着手した(図 2)。 出所:パナマ運河庁 図 2 拡張工事の概略図 総事業費 52 億 5000 万ドルの内訳は、①太平洋側と大西洋側に新たな閘門を一箇所ずつ建設する工 事(27 億 3000 万ドル)、②既存の水路と新閘門をつなぐアクセス水路の新設(8 億 2000 万ドル)、③消費 水量を調節するための再利用水槽(ベーズン)の併設(6億2000万ドル)、④貯水量を増やすためのガトゥ ン湖の水位を 26.7m から 27.1m に引き上げ(2 億 6000 万ドル)、⑤既存の運河水路の拡幅と浚渫による水 深増大(2 億 9000 万ドル)、⑥期間中のインフレ(5 億 3000 万ドル:年率 2%)で、自己資金で賄われてい

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8/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 る(融資は、日本の国際協力銀行 8 億ドル、欧州投資銀行 5 億ドル、米州開発銀行 4 億ドル、アンデス開 発銀行 3 億ドル、国際金融公社 3 億ドル)。運河の船舶通航容量は 80%増しの年間 6 億 PC/UMS トンと なる。 運河の太平洋側出口に近いパナマ市ミラフローレス地区は、大型クレーンが立ち並び、ブルドーザー やフォークリフトなどの重機が行き交う運河の拡張工事の現場である(写真 3)。 出所:パナマ運河庁 写真 3 拡張工事の現場 工事が始まったのは 7 年前の 2007 年 9 月である。拡張になれば、最大で幅 49m(現在 32 m)、全長 366m(現在 294m)、喫水 15m(現在 12m)の「ポスト・パナマックス」サイズの船が通れるようになる(新閘門 のサイズは、タグボートによる航行支援と安全マージンのため、幅55m、全長427m、喫水18m である)。現 在より 2.6 倍の積載量のコンテナ船(1 万 3000TEU)も通航可能となり、他の船舶の場合は 17 万 DWT (Dead Weight Tonnage:載貨重量トン)クラスが通行できるようになる(図 3)。

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9/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 出所:パナマ運河庁 図 3 「パナマックス」と「ポスト・パナマックス」サイズの船の比較 タンカーについては、5 万~8 万 DWT の「パナマックス」サイズから、スエズ運河を通航できる最大船型 の「スエズマックス」サイズ(12 万~20 万 DWT)にまで利用が広がろう。但し、拡張後の喫水は 15m とスエ ズマックスの最大喫水 18m に比べ、少ないので、部分載貨の必要もあろう。現在船舶が閘門を通過できる 時間は 1 日当たり 13 時間だが、照明の改善により 16 時間に延びる予定である。 総じて、アジア-南米・北米東岸のコンテナ航路の競争力が強化される。大型コンテナ船の利用により TEU あたりのコストが大幅に低下する。海運業者や荷主にとっては世界物流の効率が高まることになる。 重要なのは、今まで大きすぎて通れなかった LNG 船(標準船、船幅最大 49 m)や LPG 船(VLGC)が通 航できることにある。LNG 輸出国のカタールが保有する大型船 Q-Flex は、船幅が 50m であることから通 航は難しいと見られる。 現在は北米からの貨物航路は、アフリカ南端の喜望峰を回って約 45 日で日本に至るルートを使ってい るが、パナマ運河が通れるとなると約 25 日に短縮できる。LNG のスポット用船料を 1 日 1 隻 10 万ドルと すると 1 回の輸送で約 200 万ドルが節約できる計算になる。船舶燃料の消費量が減れば、CO2 排出量低 減にも繋がる。ほかケープサイズのドライバルク船、クイーンメリーII クラスのクルーズ船の通航も可能とな

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10/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ろう。 今後、北米東岸やメキシコ湾岸から「シェールガス」を含む天然ガスが日本に輸出される場合にも、拡張 後のパナマ運河が使われる見通しで、日本にとってパナマ運河拡張の意義は大きい。 しかし、52.5 億ドルを投じた肝心の拡張工事は遅れ気味である。パナマ運河庁は開通 100 年の今年に 完成予定だったが、建設作業員のストライキなどで工事が遅延した。運河庁によると 2015 年末までに完工 となり、使用開始は 2016 年を予定している。 パナマ運河のライバルとなるのは、米国西海岸/陸海複合一環輸送システムと米国東岸/スエズ運河航 路である。うちエジプトのスエズ運河との海上貨物の争奪戦も激しさを増す。パナマ運河の通航隻数は 13 年度に 13660 隻と 12 年度から 6.1%減少した。スエズ運河(3.6%減)より減少幅が大きい。アジアにて生 産拠点の南下が進んだ影響で、海運会社がスエズ運河を利用した方が、輸送距離が短くなると判断した からと言われる。パナマ運河の利用客がスエズに流れる構図だ。 拡張後、パナマ運河の通航量が増えるかどうかは、「運賃次第」とも言われる。パナマ運河庁が LNG 船 や LPG 船に高めの通航料金を設定する可能性もある。開通から 100 年の歴史を持つパナマ運河だが、 パナマ政府に管理が移ってからは 15 年弱に過ぎない。 2.6 パナマ運河鉄道 パナマ運河に並行して走っているのがバルボアとコロンを結ぶ 47 マイルのパナマ運河鉄道である。パ ナマ運河鉄道は 1998 年以来 50 年間の利権を保有するカンサスシティ・サザン鉄道と Mi-Jack Products が運転しており、パナマ運河と競合している。2009 年約 8,000 万ドルを投じて鉄道の機器とインフラ整備 が行なわれた。パナマ運河庁による通航量予測、競合分析はパナマ鉄道の存在をまったく考慮していな い。しかし、パナマ運河庁はパナマ運河鉄道を競争相手として認識する必要がある。パナマ運河鉄道が 輸送するコンテナ数が増加する分だけパナマ運河の通航量は失われる。パナマ運河鉄道は現在年間 50 万個のコンテナを取り扱う能力を有しているが、年間200 万TEU(20 フィートコンテナーが 200 万個)に取 り扱い能力を拡大する計画である。この目標が達成されれば、200 万TEU は 10,000TEU 級船200 隻分 に相当する。 2.7 船舶建造需要 パナマ運河の拡張は、少なくとも理論的には、将来の海上輸送を取り扱うために必要な船舶数を減ら すことになることに留意するべきである。最終的に、新閘門を通過することのできる最大サイズにコンテナ 船、バルクキャリア、タンカー、その他の種類の船舶が大型化されれば、小型の船舶の積荷を奪うことに

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11/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 なる。たとえば小型のケープサイズ・バルクキャリアは現在のパナマックス型バルクキャリアよりも50%大き い。他の条件が同じと仮定すると、パナマックス型バルクキャリア3 隻分の積荷を小型のケープサイズ・バ ルクキャリア2 隻で輸送することができる。そのため、拡張後のパナマ運河に最適化された船舶設計を保 有する造船所にとっては市場機会が開かれる一方で、既存の設計に焦点を当てつづける造船所の市場 は侵食されることになる。 3. ニカラグアの大運河計画 パナマに近い中米のニカラグアは 2019 年の完成を目指し、全長約 280km の新運河の建設を中国系企 業に発注した。完成すれば、パナマ運河のライバルとなる。 3.1 ニカラグア運河計画の概要 (出所:JOGMEC ワシントン事務所, 2014.7.22) ●運河の全長、水路幅、水深、通航可能船舶は以下のとおり(図 4)。 全長 水路幅 水深 通航可能船舶 278km(173 マイル) うちニカラグア湖 105km 230m~520m (755~1,706 フィート) 27.6m(90 フィート) 25 万 DWT 【注】パナマ運河の全長 77km 図 4 ニカラグア運河計画とパナマ運河のルート(概念図)

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12/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ●今後のプロジェクト予定は以下のとおり。 2014 年後半 2014 年 12 月 2019 年 2020 年 環境・社会影響調査完了 工事開始(工事期間 5 年間) 完工 操業開始 【注】パナマ運河の工事期間は 10 年間以上要し、1914 年完工。 ●建設予定プロジェクト:①大運河、②石油パイプライン(1 本)、③貨物鉄道、④深水港湾(deepwater ports。カリブ海側・太平洋側 2 地点。スーパータンカー係留可能)、⑤国際空港(Rivas 市)、⑥観光リゾー ト整備(San Lorenzo)、⑦自由貿易区域(数か所)。 ●建設費用・雇用創出は以下のとおり。歴史上人類最大級の建設プロジェクトとなる。 建設費用 直接雇用 間接雇用 400 億ドル(ニカラグア GDP の約 4 倍) 5 万人 20 万人 【注】パナマ運河拡張工事の建設費用は 52 億 5000 万ドル。 ●主要な課題:①中米最大の淡水の水瓶であるニカラグア湖の水質汚濁、②デリケートな熱帯の生態系 の破壊、③先住民族との利害調整、④長期のファイナンス主体。 ●2014年7月7日、ニカラグア国会は、運河ルート(①Punta Gorda川のカリブ海側Bluefields湾の河口と、 ②Brito 川の太平洋側河口を、中米最大の淡水湖Lake Nicaragua を挟んで結ぶ)を可決・承認したところ。 事業主体の香港ニカラグア運河開発投資公司 HK Nicaragua Canal Development Investment Co Ltd (HKND-Group)は、可能性のある 6 ルートに関してフィージビリティー・スタディーを実施した。 3.2 事業主体 ●事業主体の HKND-Group は香港を本拠地とし、ケイマン諸島で企業登記している。 ●2013 年 6 月 13 日、HKND-Group は、ニカラグア政府より、①設計、②開発、③エンジニアリング、④フ ァイナンス、⑤建設、⑥所有、⑦操業、⑧メンテナンス、⑨管理に関する 50 年間リース(期間更新可能)の 利権を付与された。

●HKND-Group の CEO は、携帯電話等の情報通信企業 Xinwei Telecom Enterprise Group を経営する 弁護士の富豪 Wang(王)Jing 氏(41 歳)である。HKND-Group がニカラグア運河計画への参画を表明した 直後、Xinwei がニカラグアにおける情報通信のフルサービス事業に関する利権を獲得。Wang CEO の素

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13/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 性はあまり知られていないが、中国中央政府と密接な関係があるという説がある。Wang CEO は、2012 年 9 月、首都マナグアでオルテガ大統領と会談したが、ニカラグア訪問はその 1 回だけという説がある。 3.3 ニカラグアの経済・社会情勢 ●ニカラグアの経済成長率は約 5%で、中米ではパナマに次いで第 2 位である。ニカラグア運河建設は社 会・経済革命であり、今後 3 年間で経済成長率が二桁に乗るとされる。 ●ニカラグアは深刻なエネルギー不足に直面しているため、風力と地熱の再生可能エネルギー導入に 注力している。 3.4 評判

●サントス(Juan Manuel Santos)コロンビア大統領は、ニカラグア運河計画を Cuento Chino(Chinese Tale) =大言壮語と評している。

●シンクタンク米州協議会(COA)の Eric Farnsworth 副社長は、中米には既にパナマ運河が操業してお り、建設費用は膨大な額に上り、プロジェクトの完成は全く保証されない、と極めて懐疑的な見方である。 ●筆者は去る5月15日に米州開発銀行アジア事務所が日本記者クラブで開催したセミナー「中米地峡地 帯に第二の運河を-ニカラグアの挑戦-」に参加した。ニカラグア共和国大臣兼大統領府国家政策担当 秘書官ポール・オキスト氏の説明であった。通行船舶のサイズが大きく、夢をいだかせる計画だが、プロ ジェクトの完成に必要な情報に不明点が多く残されているとの印象を持った。 4. スエズ運河の増設 パナマ運河庁によれば、拡張後のパナマ運河の船舶最大許容サイズは全長366m、船幅49mであり、こ れが新たなパナマックス型のコンテナ船となる。このサイズを上回るコンテナ船は発注済みも含めると 60 隻ほどあり、拡張後のパナマ運河を通航できない。また、パナマ運河拡張後の最大許容喫水は 15m なの で、この喫水制限を超えるコンテナ船も 70 隻ほど存在する。 現在、アジア-米国東岸間を輸送されるコンテナのうちスエズ運河を経由するものは約 1%に過ぎない。 エジプト政府は今年 8 月 5 日、スエズ運河の拡張を発表した。既存の運河と並行して新たな運河を 40 億 ドルかけて建設し通航可能な船舶数を増やす計画である。スエズ運河は現在でも船幅 77m、喫水 19m ま での船舶の受け入れが可能である。アジア-米国東岸間航路のスエズ運河とパナマ運河の将来のコスト 比較では、新パナマックス型船(13000TEU)とスエズマックス型船(14000~15000TEU)について比較す

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14/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 るのが適切であろう。船舶最大許容サイズの差とスエズ運河拡張により、スエズ運河ルートの経済性がさ らに向上する可能性があることを想定しなければならないだろう。 パナマ運河庁の計画では、2025年の運河通航量は現在の1.5倍となる5億1000万PC/UMSトンに、通航 料収入は現在の3倍のレベルとなる61億ドルに増加することを見込んでいる。その前提として、毎年平均 3.5%の割合で通航料の値上げを行うとしているが、これは20年間で通航料金が約2倍になる計算となり、 計画通りに値上げが実施された場合には相対的にパナマ運河のコスト競争力が下がってスエズ運河経 由での海上輸送が促進される可能性も有る。 また、同計画では、これまで北米西海岸の港を経由して内陸鉄道で北米東部に輸送されてきた貨物の 一部が、パナマ運河を経由して北米東海岸の港で陸揚げされるルートに切り替わることも見込んでいる。 一方で、パナマ運河と競合する北米西海岸の港においても、港湾インフラへの投資や鉄道サービスの拡 充を行うなど輸送ルートとしての競争力を維持向上させる努力が続けられており、これらの代替輸送ルー トとの競争は今後尚一層激しさを増すものと思われる。 5. アジア石油市場への影響 国際エネルギー機関 IEA によると、アジア・太平洋域の石油需要は 2013 年以降 2018 年にかけて 340 万バレル/日の増加が見込まれている。我が国の石油産業は、国内需要の減少が続くなか、このアジア・ 太平洋域の石油需要の伸びを自らの成長戦略に取り入れていく必要があろう。但し、域内では需要の増 加を上回る精製処理能力の増強が進められており、精製能力が余剰に向かうことから、輸出環境に厳しい 状況は続くだろう。 例えば、最も競合する韓国の製油所は 15 万 DWT のタンカーでの出荷が可能な桟橋を有し、製品輸出 の柔軟性が高い。一方、我が国の製油所の桟橋には、5 万~10 万 DWT のタンカーまでに出荷制限がか かる。米国からは、シェール革命による精製コストの低減を背景に、パナマ運河拡張後は米国からの大型 タンカーによるアジア石油製品市場への参入も予想される。 <参考資料> ・ パナマ運河庁ホームページ http://www.pancanal.com/eng/ 2013 年アニュアルレポート ・ 「パナマ運河拡張によるアジア市場への影響」、森田裕二、石油学会 月刊誌 PETROTECH 第 37 巻第1号 2014 年

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15/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 付録(各種報道、参考資料ほか) *******************************************パナマ運河拡張********************************************* パナマ運河の拡張工事及び料金決定の見通しに関する調査(JOGMEC ワシントン事務所, 2013.6.13)。 1.パナマ運河拡張工事の進捗状況 ●大統領選挙に当たる 2014 年の完工を目標に建設工事を進めていた。一部のコンクリート強度が不足していてパナマ運 河庁の基準を満足していない事実が判明したため、建設工事が遅延している。工事自体の完了見込みは 2014 年内として いるが、2015 年第 1 四半期までズレ込む可能性が高い。 ●工事完了後に即座に商業運転が開始できる訳ではなく、試験運転が必須。2015 年第 1 四半期に船舶を使用しない稼 動試験を実施し、4 月~5 月にかけて大西洋側のみ、太平洋側のみと順次、試験運転を実施する。全航路通しでの稼動試 験を実施した後に本格稼動。2015 年 6 月~7 月の第三閘室の開業は蓋然性が高い。 2.新通航料金の決定手続 ●新通航料金の本格的な検討は 2013 年 10 月以降開始され、2014 年 4 月以降、公式的な手続の段階に入る。従って、 public hearing は 2014 年 4 月~5 月の見通しとなる。2014 年 6 月~7 月、第三閘室の商業運転開始の約 1 年前には、パ ナマ運河庁は新通航料金の公式的な提案を公表したい意向である。 ●今回のパナマ運河庁との面談で、LNG 輸送船の料金体系の例として提示された案は以下のとおり。 【Potential Tolls Structure FY 2015】

LNG carriers in (m3 Laden (/100 万 BTU) Ballast (/100 万 BTU) 1st 60,000 $2.62 $2.23 2nd 30,000 $2.21 $1.88 3rd 30,000 $2.12 $1.80 Rest $2.01 $1.71 ●上述の料金に、第三閘室内で LNG 輸送船を牽引するタグボートの利用料金が約 20%加算される。 ●Sabonge 副社長が 9 月上旬に 5 日間程日本に滞在して、9 月 5 日、自動車専用輸送船の関係企業と面談する予定。 パナマ 運河拡張費を巡りトラブル(電気, 2014.1.23)。パナマ運河拡張中断 コスト負担で協議決裂(東京, 2014.2.6 夕)。 パナマ運河、拡張工事中断(朝日、2014.2.8)。パナマ運河 拡張工事が中断 追加負担で対立、遅れも(ガスエネ, 2014.2.10)。 エネルギーそこが知りたい 米産 LNG 輸出の鍵握るパナマ運河(ガスエネ, 2014.2.24)。パナマ運河拡張で大型船 日本 郵船、川崎汽船などが導入 車輸送能力引き上げ 駐日パナマ特命全権大使に聞く 建設速度向上、早期に完成(日経 産業, 2014.2.28)。米国産で中東けん制 パナマ運河拡張講演に注目 LPG 国際セミ きょう、都内で開幕(日刊工, 2014.3.6)。国際:LPG に構造変化の波 シェール革命・パナマ運河拡張 安い米国産、日本に好機(日刊工, 2014.3.31)。 パナマ運河拡張 追加支援 融資総額 最大 900 億円に 政府検討。シェール輸送へ 完成急ぐ(日経, 2014.4.15 夕)。 パナマ大統領にバレラ氏(東京, 2014.5.6)。 コロンビアの石炭輸出先に変化 アジア向け拡大の可能性 輸送費削減 パナマ運河が鍵(電気, 2014.6.19)。エキスパ ートの視点 日本海事センター 企画研究部研究員 松田 琢磨氏:パナマ運河、拡張費 膨張 通航料上昇に懸念 海 上輸送への影響限定的(日経産業, 2014.6.20)。 米連邦海運委員会 Doyle 委員の講演(JOGMEC ワシントン事務所, 2014.6.24)。 6 月 24 日、米国ガス協会(AGA)天然ガス・ラウンドテーブルにおいて、米連邦海運委員会(FMC)William Doyle 委員が 「天然ガス:LNG・NGL・LPG・輸出・輸送・パナマ運河」と題して講演したところ、概要以下のとおり。 LNG 輸出及びパナマ運河 ●今年 4 月、パナマ運河拡張工事の太平洋側の現場を視察したが、パナマ運河拡張工事は 75%以上進捗している。新閘 門 4 門が先週パナマに到着した。Jorge Quijano パナマ運河庁(ACP)長官は、2016 年 1 月に閘門を設置し、稼働可能に なると語っていた。

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16/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれ るデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資 等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負 いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ●2006 年、米国内で約 50 の LNG 輸入ターミナル・プロジェクトが検討されていた。ところが、米国は今では LNG 輸出を 通じた天然ガス供給国として競争できるまでになった。 ●パナマ運河拡張工事が完了すれば、米国からアジアまで LNG を輸送する時間が約 2 週間短縮される。世界の 80%以 上の LNG 輸送船が拡張パナマ運河を通航できる。 NGL 及び LPG ●NGL の生産増が米国の製造業に貢献している。また、NGL は輸出商品となっており、NGL 輸出量は過去最高の 500 万トンを記録している。米国の NGL 輸出量は、2020 年までに 2,000 万トンまで増加し、米国が世界最大の NGL 輸出国に 躍り出ると予想されている。 ●欧州が米国産 NGL に高い関心を有している。米国東部の Marcellus シェール及び Utica シェールで産出されるエタン の価格は、輸送費用を合算したとしても、北海(North Sea)産天然ガスから生産されるエタンより 50%以上安価である。NGL は現在、VLGC(Very Large Gas Carriers)又はエタン輸送船(ethane carriers)で欧州やアジアまで輸送されている。 米国産 LNG 及び環境 ●LNG は船舶燃料(bunkering)として北米で注目を集めている。北米産天然ガスの供給ベースは豊富であり、天然ガスを 船舶燃料として利用することにより、船舶所有者・運航業者が海洋運航の大気汚染を削減する国際基準遵守の一助とな る。 ●国連の国際海事機関(IMO)は、排出制限区域の設定により船舶汚染を規制するため、マルポール(MARPOL)条約付 属書Ⅵを改訂し発展させてきた。 船舶燃料としての LNG ●北米で LNG を船舶燃料として利用拡大させる機動力は 3 点ある。 ●第一は経済性である。LNG の原料となる米国産天然ガスは、海運残渣燃料及び海運精製燃料と比較して 50%以上安価 であり、この相対価格優位性は今後も継続する。 ●第二は SOX・NOX 排出削減である。LNG 利用により、酸性雨の原因となる SOX 排出量を 90%から 99%まで削減できる。 また、スモッグの原因となる NOX 排出量を 90%削減できる。 ●第三は炭素含有量の削減である。LNG 利用により、在来型船舶燃料と比較して、CO2 排出量を 25%削減できる。 主要な課題 ●船舶燃料としてのLNG利用拡大のための主要な課題は、LNGのロジスティクス及びインフラである。同等の距離を航行 する場合、船舶に設置する LNG タンクはディーゼル油タンクより大型となるので、貨物や乗客を収容するスペースが減少 してしまう。 ●米国では現在、LNG 船の建造及び LNG 燃料使用が盛んになってきている。米国東海岸では、Aker Philadelphia 造船 所で、LNG 燃料船 8 隻を建造中であり、米国西海岸では、General Dynamics NASSCO 造船所で、米国船籍の LNG 燃料 船 7 隻の契約が締結された。

●昨 2013 年 12 月、Kinder Morgan が、米国船籍タンカーのビジネス参入を表明した。 LNG 輸出及び LNG 燃料利用

●LNG America 社は、ルイジアナ州の Sabine Pass LNG 輸出プロジェクトを進める Cheniere と共同して、LNG 供給を確保 する。 ●米国沿岸警備隊は、LNG 船舶燃料の操業のガイドライン策定を進めるため、パートナーとなる民間企業を探している。 ●米国産天然ガスの生産拡大とパナマ運河拡張工事は、米国のエネルギー部門及び運輸部門を変貌させる影響があ る。 パナマ運河拡大で、拡大する米国港湾への脅威(NYT, 2014.6.30)。JGE 川崎汽船と用船契約 新パナマ運河通航を視 野に(ガスエネ, 2014.7.7)。北米発シェールガス輸送 運河経由でパナマと対話 国交省(日刊工, 2014.7.10)。米や中南 米、大型船受け入れへ港湾増強 パナマ運河拡張に対応(日経, 2014.9.1 夕)。 ***********************************ニカラグア大運河計画************************************************ 世界新秩序 米中を追う パナマ超す運河 中国資本の野心 米の裏庭 北京の実業家がくさび 中国政府の関与否定。 米・パナマ、実現性疑う声も。ニカラグア、経済効果期待(朝日, 2014.6.23)。ニカラグア運河計画発表、総工費 4 兆円(産 経, 2014.7.9)。 以上

参照

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