電子書籍時代の到来と図書館
電子書籍時代の到来と図書館
愛知大学 愛知大学 時実 時実 象一象一 tokizane@aichitokizane@aichi--u.ac.jpu.ac.jp @
@stokizanestokizane
電子書籍とは
2013/6/1 中部図書館情報学会 3 3
電子書籍とは
電子書籍とは
• 電子的に読める本
– はじめから電子的に作成されたもの (born digital) • 冊子体と同じものが電子化されているもの • 冊子体がなく電子のみのもの – 過去に発行された書籍をスキャナでデジタル化 • アナログ → デジタル 2013/6/1 中部図書館情報学会 4 4電子書籍リーダー
電子書籍リーダー
• 電子書籍専用
– Kindle – Sony Reader – Nook – 楽天 Kobo• 汎用
– 携帯電話 (携帯小説) – iPhone / iPad – Android• PC (ブラウザ)
2013/6/1 中部図書館情報学会 5
電子書籍は何が違うか
電子書籍は何が違うか
電子書籍は何が違うか
電子書籍は何が違うか
• どこでも読める
• 本を沢山持ち歩ける
• 新しい見せ方ができる
• 本文が検索できる
• 障害者へのサービス
2013/6/1 中部図書館情報学会 7
電子書籍の作成
電子書籍の作成
2013/6/1 中部図書館情報学会 8 8電子書籍の作成
電子書籍の作成
• ボーン・デジタル
• 冊子のデジタル化
2013/6/1 中部図書館情報学会 9 9
ボーン・デジタル
ボーン・デジタル
• 米国はほとんど
• 日本はこれから
– 著者が Word で入稿しても、すぐ電子書籍ができるわけで はない – 組版・校正後に電子データを取り出す – 電子書籍形式に変換する • 手作業も必要冊子のデジタル化
冊子のデジタル化
• スキャン
– Google Book Search – Internet Archive
– 国立国会図書館
• 近代デジタルライブラリー • 蔵書電子化プロジェクト
2013/6/1 中部図書館情報学会 11 11
自炊
自炊
• 自分の本を裁断し、スキャンして電子化
2013/6/1 中部図書館情報学会 12 12(
(
株
株
)
)
出版デジタル機構
出版デジタル機構
• 会社概要
– 会長 植村 八潮 (元電機大学出版局) – 社長 野副 正行 (ソニー株式会社執行役員常務) – 株主 産業革新機構、インプレスホールディングス、角川書 店、勁草書房、講談社、光文社、集英社、小学館、新潮社、 筑摩書房、版元ドットコム、文藝春秋、平凡社、有斐閣、大 日本印刷、凸版印刷• 経済産業省「コンテンツ緊急電子化事業」
– 直近過去の書籍 100 万点をデジタル化計画2013/6/1 中部図書館情報学会 13
電子書籍の
電子書籍の
流通
流通
電子書籍の種類と流通形態
電子書籍の種類と流通形態
• 学術書籍
– 大学図書館等• 一般書籍
– 消費者向け • PC、モバイル向け • 携帯向け – 公共図書館向け2013/6/1 中部図書館情報学会 15
学術書籍
学術書籍
• 電子ジャーナルに準じた流通形態
– 大学図書館が利用 – 多くは複数同時アクセス – 購読または買取り – HTML, PDF – DRM なし• 流通ルート
– 流通業者 (ベンダー) • ebrary • NetLibrary (EBSCO)– 各学術出版社 (Elsevier, Springer, etc.)
2013/6/1 中部図書館情報学会 16
消費者向け一般書籍
消費者向け一般書籍
• 米国
– ビッグ・プレーヤー • Amazon Kindle • Apple iBook • Google eBooks – ブック・リーダー• Kindle, NOOK, Sony Reader
• 日本
– PC (マンガ、BL など)
– 携帯 (ケータイ小説、マンガ) – モバイルに移行していない
2013/6/1 中部図書館情報学会 17
日本の動向
日本の動向
• モバイル向け電子書店が乱立
• ブック・リーダー
– Sony Reader – 楽天 Kobo (2012/8) – Kindle (2012/11) – BookLive Lideo – 東芝 BookPlace公共図書館向け一般書籍
公共図書館向け一般書籍
• 米国ではすでに普及
• 日本は遅々
2013/6/1 中部図書館情報学会
19
公共図書館訪問調査
公共図書館訪問調査
• 米国
– Oakland Public Library (2010/6/1)
– Boston Public Library (2010/6/7, 2011/6/1) – Chicago Public Library (2011/5/31)
• 日本
– 千代田区立千代田図書館 (2011/4/7) – 堺市立図書館 (2011/3/15) – 萩市立萩図書館 (2011/4/28) – 鎌倉市中央図書館 (2011/4/22) 2013/6/1 中部図書館情報学会 20米国公共図書館の
米国公共図書館の
電子書籍
電子書籍
2013/6/1 中部図書館情報学会 21
米国公共図書館の電子書籍
米国公共図書館の電子書籍
• オーディオ・ブックの実績
– 車の運転中に利用 – カセットテープ → CD → MP3• コンソーシアムでの購読
主なベンダー
主なベンダー
• OverDrive – 400,000 titles
(オーディオ含む)• NetLibrary (EBSCO) – 300,000 titles
(オーディオ含む)• myiLibrary (Ingram Digital) – 175,000 titles
• Safari (O’Reilly) – 9,000 titles
• ebrary (2010/5/24)
• 3M
2013/6/1 中部図書館情報学会 23
図書館の購読
図書館の購読
• 年間購読
– 図書館利用者数に応じた価格• 購入
– パッケージ – 個別タイトル 2013/6/1 中部図書館情報学会 24利用形態
利用形態
• 図書カード番号と PIN でログイン、または自分のアカ
ウントを作成
• その後は自宅でダウンロードできる
• 貸し出し期間
– 図書館が決定、または自分で選択 – 1-3 週間• 同時利用
– 契約形態により異なるが、中心は同時複数利用禁止2013/6/1 中部図書館情報学会
25
図書館向け電子書籍提供出版社
図書館向け電子書籍提供出版社
• 提供出版社
– Hachette Book Group (2012/10 に値上げ) – HarperCollins (26 回に貸出制限)
– Penguin Group (2012/2 に提供中止、3M には提供) – Random House
• 非提供出版社
– MacMillan Publishers Ltd – Simon & Schuster
Amazon Kindle
Amazon Kindle
• Kindle の本が図書館で利用可能 (2011/9/21)
– OverDrive 経由
• Boston Public Library では
2013/6/1 中部図書館情報学会
27
Oakland Public Library
Oakland Public Library
• NetLibrary $14,000 (毎年 400 冊追加含む)
– コンソーシアム購読, 4500 冊• OverDrive $14,000 (書籍は別途購入)
– 個別購読 – 2011/5 現在で 1,271 タイトル (1,978 冊) • 価格は $8.00 - $28.00 – Project Gutenberg のタイトルも無料で含まれる (15,000)• Safari Techbooks 1800 冊
• 電子書籍を入れても冊子の購入はやめられないので、
予算増となる
2013/6/1 中部図書館情報学会 28Oakland Public Library
Oakland Public Library
貸出実績
貸出実績
2013/6/1 中部図書館情報学会
29
Oakland Public Library
Oakland Public Library
貸出形式
貸出形式
Courtesy of Randy McDevitt-Parks at Oakland Public Library
Boston Public Library
Boston Public Library
• OverDrive 合計 67,600 冊
– BPL コンソーシアム – 購入タイトルは複数アクセス禁止 (貸し出し 2 週間) – 購読タイトルは複数アクセス可 – OPAC に登録• 問題点
– さまざまな形式がある、図書館はすべての形式を用意しな2013/6/1 中部図書館情報学会
31
Boston Public Library (2010
Boston Public Library (2010
-
-
2011)
2011)
2013/6/1 中部図書館情報学会
32
Boston Public Library (2012
2013/6/1 中部図書館情報学会
33
Boston Public Library (2010
Boston Public Library (2010
-
-
2011)
2011)
Boston Public Library (2012
2013/6/1 中部図書館情報学会
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Chicago Public Library (2009
Chicago Public Library (2009
-
-2011)
2011)
2013/6/1 中部図書館情報学会
36
Chicago Public Library
2013/6/1 中部図書館情報学会
37
PewResearchCenter
PewResearchCenter
レポート
レポート
• Libraries, patrons, and e-books
– 2012/6/22
– http://libraries.pewinternet.org/2012/06/22/libraries-patrons-and-e-books/
本は買うのか借りるのか
2013/6/1 中部図書館情報学会 39
図書館利用者と非利用者
図書館利用者と非利用者
2013/6/1 中部図書館情報学会 40リーダー
リーダー
/
/
タブレット所有者と非所有者
タブレット所有者と非所有者
2013/6/1 中部図書館情報学会 41
電子書籍をどこで入手するか
電子書籍をどこで入手するか
最近の動向
最近の動向
• (2013. 5. 2) Hachette が図書館に電子書籍販売開始 • (2013. 3. 28) Penguin Group が新刊書も図書館に提供 • (2013. 2. 13) Penguin Group が図書館電子書籍のネットダウンロードを 禁止、USB 経由• (2012. 9. 28) 米国図書館協会 (American Library Association) 会長 Maureen Sullivan が米国出版者にあてた公開書簡を発表 Simon & Schuster, Macmillan, Penguin が電子書籍を図書館に提供しないことに 抗議
• (2012. 9. 16) Hachette 社の電子書籍が 220% 値上げ 2012/10/1 より • (2012. 2. 10) Penguin Group が OverDrive社との電子書籍提供契約を
2013/6/1 中部図書館情報学会 43
日本の公共図書館の
日本の公共図書館の
電子書籍
電子書籍
2013/6/1 中部図書館情報学会 44日本で利用できるサービス
日本で利用できるサービス
• TRC-DL
• 日本ユニシス LIBEaid
– どちらも WBook をリーダーとして使用• NetLibrary
2013/6/1 中部図書館情報学会 45
WBook
WBook
リーダーの特徴
リーダーの特徴
• 導入事例
– 千代田区立千代田図書館 (2007. 11) – 堺市立図書館 (2011. 1) (TRC-DL) – 萩市立萩図書館 (2011. 3)• WBook リーダー (Windows)
– DRM 管理 • コンテンツの暗号化 • 閲覧認証キーの受け渡し • 著作物利用の各種制限 (コピー、印刷)• コンテンツ種類
– XML, Flash, PDF, 動画WBook
WBook
リーダーの特徴
リーダーの特徴
• 書籍購入モデル
• 自宅から図書館にアクセスして、ダウンロード
• 貸し出しモデル
– 同時利用は 1 名 / 1 ライセンス• 自館で電子化した資料も登載可
– 青空文庫や自館コンテンツも認証必要2013/6/1 中部図書館情報学会 47
日本ユニシス
日本ユニシス
LIBEaid
LIBEaid
• WBook を利用
• 鎌倉市図書館で実証実験
– 総務省「新ICT利活用サービス創出支援事業」採択事業• クラウド式
– 初期費用 30 万円 – 月額 5 万円 – コンテンツ作成ツールも提供 2013/6/1 中部図書館情報学会 48千代田区立千代田図書館
千代田区立千代田図書館
• 千代田 Web 図書館
– 2007. 5 千代田図書館リニューアル・オープン (指定管理者 制度を利用) – 2007. 11 千代田 Web 図書館サービス開始• 新谷迪子館長を訪問 (2011/3/11)
2013/6/1 中部図書館情報学会 49
千代田
千代田
Web
Web
図書館
図書館
6,7)
6,7)
• 導入理由
– 24 時間 365 日サービス利用が可能 – 従来公共図書館として提供が難しかった学習参考書や問 題集などが、利用可能、将来的には貴重書・行政資料・地 域資料等も – 収蔵スペース狭総の解消 – 利用による汚破損がない、蔵書の紛失や延滞(返却遅れ) がない、 – 貸出・返却に人手が不要 – 高齢者・視覚障がい者などへの配慮(画面上で文字を拡 大・縮小可能、音声読み上げ可能) – 神保町に至近の地にあり、出版社と連携可能千代田
千代田
Web
Web
図書館
図書館
• コンテンツ
– 4,750 タイトル – 小説: 青空文庫 (530)、グーテンベルグ (110) – 実用書・参考書・問題集 • インプレス (370) 、情報センター出版局 (273) 、東京リーガルマイ ンド (108)、アルク (180)、PHP研究所 (44)、研究社 (25)、ダイヤモ ンド (25) – 科学 • 朝倉書店 (121)、東京電機大学出版局 (25)2013/6/1 中部図書館情報学会 51
千代田
千代田
Web
Web
図書館
図書館
• 利用状況
– 安定している• 利用者からは人気作家のものなどの希望があるが、
品揃えされていない
• 旧千代田図書館の地図などの電子化提供の計画も
ある
2013/6/1 中部図書館情報学会 52堺市立図書館
堺市立図書館
• 中央図書館佐久間氏他を訪問 (2011/3/15)
• 導入の経緯
– 「これからの図書館サービスの方向性に関する意見書」. 堺 市立図書館協議会. 2008/8 • 「ICT (情報通信技術) を活用した図書館情報システムの導入」を提 言 – 業務システムの更新の時期にあたっていた – 業者から電子書籍を OPAC に組み込む提案があった (NEC-GPRIME / TRC-DL) – 2011/1/8 より提供2013/6/1 中部図書館情報学会 53
堺市立図書館
堺市立図書館
• システム
– NEC-GPRIME/TRC-DL (iNEO) – 図書館システムとの連携に特徴 – 図書館利用カードの ID/password でアクセスできる• コンテンツ
– 1137 (ライセンス数 2500) / 160 万円で購入 (蔵書扱い) – 小説: 青空文庫 (495)、グーテンベルグ (403) – ビジネスマンを意識 (簿記・パソコン・英語テキストなど) • インプレス (70)、東京リーガルマインド (39)、アルク (24)、YBM時 事 (15)、法研 (19)堺市立図書館
堺市立図書館
• 利用状況
– オープン時は利用が多かったが、今は落ち着いている – ビューア (WBook) のインストールがうまくいかないという問 い合わせが多い• 課題
– モバイルで利用できると良い (今は Windows のみ) – 電子書籍は「蔵書」にあたるのか2013/6/1 中部図書館情報学会 55
萩市立萩図書館
萩市立萩図書館
• 江山規子副館長を訪問 (2011/4/28) • 2011/3/21 新館開館にあわせて導入 – (財) 図書館振興財団「図書館運営助成事業 (平 22)」の「明治維新史 関連書籍のデータベース化及びデジタル化事業」(8,950,000 円) を活 用、大日本印刷が構築 • 約 1000 冊 – 「住民生活に光をそそぐ交付金」を活用して購入 • 萩図書館デジタルアーカイブも合わせて公開 – 明倫館蔵書、松下村塾の本、明治初期の英学教科書など – 職員が自分で電子化 – 自館コンテンツもアクセス制限されたことに不満 • TOEIC など教育コンテンツに反響 2013/6/1 中部図書館情報学会 56萩市立萩図書館
萩市立萩図書館
• 江山規子. 全国図書館大会島根大会要綱. 2012/10/26. p. 34-36.• 平成 23 (2011) 年度利用者
– 利用登録者 226 人 • 男性 6 割 (50-70 代多数、女性 (30-50 代多数) – 実利用者 181 人 – 貸出点数 1751 回 – そう閲覧回数 5052 回• 今後はデジタル・アーカイブの充実に軸足
2013/6/1 中部図書館情報学会 57
鎌倉市中央図書館
鎌倉市中央図書館
• 古谷修図書館長を訪問 (2011/4/22)
• 電子書籍モニター体験 (2010. 12. 20 – 2011. 1. 31)
– 総務省「新ICT利活用サービス創出支援事業」採択事業 「図書館デジタルコンテンツ流通促進プロジェクト」 – 日本ユニシス LIBEaid を使用 – モニター 1255 人 (50 歳以上が 42%) – 館内 (3 台) および市内喫茶店等 (5 軒) にも端末設置 – 鎌倉市観光案内や 3D 図鑑、英語テキストなどが評判• 自館のデジタル・コンテンツを電子化
– 狭衣物語写本など• 当面導入予定なし
鎌倉市中央図書館
鎌倉市中央図書館
2013/6/1 中部図書館情報学会 59
NetLibrary
NetLibrary
• 紀伊國屋が代理店
• 和書 2500 点
– 東京電機大学出版局 523 – 実教出版 229 – 朝倉書店 175 – 未來社 151 – 紀伊國屋書店 145 – 吉川弘文館 138 – 玉川大学出版部 118• 大学図書館を中心に利用
• 公立図書館も 2 館導入
2013/6/1 中部図書館情報学会 60NetLibrary
NetLibrary
• OPAC とのリンク可 (目録データ提供)
• 同一タイトル同時利用はできない
• 一部タイトルダウンロード可 (洋書の場合?)
• 印刷制限 (紀伊國屋 60 page/hr)
2013/6/1 中部図書館情報学会 61
その他の動き
その他の動き
• 武雄市MY図書館
• 三重県立図書館
• 兵庫県洲本市図書館
• 静岡県立中央図書館
• 札幌市立中央図書館
• 東京都立中央図書館
• 有田川町立図書館
その他の動き
その他の動き
(1)
(1)
• iPad でいつでも利用できる図書館、佐賀県武雄市が
実証実験 (2011/4/13
http://bit.ly/hpb0i7
)
– 市が著作権を有する図書や著作権保護期間が終了した著 作物 – 慶応義塾大学との共同プロジェクトとして実施し、武雄市 MY図書館名誉館長に中村伊知哉慶応義塾大学大学院教 授が、名誉副館長に菊池尚人慶応義塾大学大学院准教授 が就任2013/6/1 中部図書館情報学会 63
図書館独自で電子書籍構築
図書館独自で電子書籍構築
• 慶應義塾大学
– 電子学術書利用実験プロジェクト• 秋田県立図書館
– 作家・小松左京直筆未公開資料• 田原市図書館 – 愛知大学
– お散歩e本 2013/6/1 中部図書館情報学会 64国立国会図書館電子化資料の配信
国立国会図書館電子化資料の配信
• 「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会
議」平成23年9月1日決定
– 国会図書館からの送信サービスについてはデジタル化資 料の利活用方法の一環として、一定の条件下により実施す ること – 電子書籍市場に対してその形成、発展を阻害しないことや、 著作者、出版者の利益を不当に害さないことに留意をして 行うこと – 送信サービスの将来のあるべき姿を十分に見据えた上で、 関係者の合意を踏まえ、可能な範囲から早急にサービスを 実施するなど戦略的な取組が重要であること2013/6/1 中部図書館情報学会 65
まとめ
まとめ
2012
2012
著作権法改正
著作権法改正
• 国立国会図書館の電子化資料が図書館等に配信可
能となった (2013/1 施行)
– 送信対象機関:「図書館等」 →現行の図書館間貸出と同様の登録手続きを想定 – 送信対象資料:「絶版等資料」 →事前に送信対象資料リストを公表 – 提供方法2013/6/1 中部図書館情報学会 67
「公共図書館における電子図書館推進
「公共図書館における電子図書館推進
のための留意点」
のための留意点」
•
日本電子出版協会 (JEPA) (2012/10/18)
•
概要
1. 検討対象の図書館 – 公共、大学、学校など 2. 検討対象の電子出版物 – CD-ROM, ローカル、自前で電子化 3. 著作権 4. データ保存 – 配信業者から入手、自前で電子化 5. 館内閲覧 – 冊子体と同じ程度のプリントアウトは許される – デジタルコピーは制限される 2013/6/1 中部図書館情報学会 68「公共図書館における電子図書館推進
「公共図書館における電子図書館推進
のための留意点」
のための留意点」
•
概要 (つづき)
6. 館外閲覧 – ネット配信については詳細な取り決めが必要 – パッケージや読書端末についても同様 – デジタルコピーは禁止 – プリントアウトは禁止 (司書の管理下にない) 7. 同時閲覧者数 – 1 人/1 冊なら冊子体と同等 – サイトライセンスは公共図書館では利用者数が多いので注意が 必要 8. 他館からの利用 – 原則できない2013/6/1 中部図書館情報学会 69
「公共図書館における電子図書館推進
「公共図書館における電子図書館推進
のための留意点」
のための留意点」
•
概要 (つづき)
9. 図書館への販売価格 – 個人価格とは異なる – 固定価格または従量料金制 – 貸出回数制限も検討 10. 契約期限 – 契約期限がある 11. ユーザからの利用料の徴収 – ありえない (図書館の否定)考察
考察
(1)
(1)
• 図書館における電子書籍利用のための課題
– コンテンツ • 図書館向けコンテンツが足りない • みんなが読みたいのは小説 • XML/EPUB は立ち上がるのに時間がかかる • ただし PDF コンテンツは多数ある – 技術・デバイス • 貸し出しモデル (DRM) に対応する必要2013/6/1 中部図書館情報学会 71
考察
考察
(2)
(2)
• 図書館における電子書籍利用のための課題
– 出版社と流通業者 • 図書館に流すことに対する警戒心? • 貸し出しモデルの理解 • 実は図書館は電子書籍が立ち上がるための起爆剤? – 新刊書を図書館に – 2 冊目は電子書籍で – OPAC • OPAC に入っていないと見つからない • 流通業者が MARC データを提供する必要 2013/6/1 中部図書館情報学会 72考察
考察
(3)
(3)
• 電子書籍の今後の問題点
– 電子書籍は蔵書なのか • ライセンスであるから蔵書とはいえない • 大学図書館の電子ジャーナルと同じ関係 – 出版社・ベンダーのコントロールが強い • HarperCollins 社の例 • いずれセーフティネットが必要となる – アーカイブ – 書協などとの協定 – 閲覧情報管理 • どんな情報を集め、誰が管理するのか基準が必要2013/6/1 中部図書館情報学会 73
考察
考察
(4)
(4)
• 大規模電子化の成果利用
– Google Book• New York Public Library では OPAC から検索可 • 今のところ日本の書籍が少ない
– Internet Archive
• Boston Public Library などでは積極的に利用
– 国立国会図書館 • 「絶版本を公共図書館にデータ配信」 – 朝日 2011/4/27 朝刊
考察
考察
(5)
(5)
• 公共図書館はどうすべきか
– まだ時期ではない – ある程度の量のコンテンツがないと利用者が振り向かない • 出版デジタル機構? – 図書館界全体で出版社と話し合いが必要 – 自館コンテンツの公開には公共サーバを利用すべき • Internet Archive (書籍、動画)2013/6/1 中部図書館情報学会 75