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年金額の特例水準の解消開始
将来の給付減に備えた対策が課題
○ 年金額の特例水準の解消が開始される。2013年10月に1%、2014年4月に1%、2015年4月に0.5%の 給付引き下げが行われ、特例水準2.5%が解消される予定である
○ 特例水準解消後にマクロ経済スライドが実施されれば、将来の年金額は厚生年金世帯で2割減、国 民年金世帯で3割減となり、高齢期の所得や資産の確保が今後の課題となる
○ 高齢期の所得や資産の確保のためには、年金額を増やすために厚生年金の受給者を増加させる施策 や、個人年金の拡充等の高齢期の資産形成を促進させる施策の実施が必要である
1. 2013 年 10 月分から年金額が 1%減額
2012年の年金改革関連法の施行に基づき、2013年10月分から年金額の特例水準の解消が開始される。
年金の支払月は偶数月であり、それぞれの支払月にはその前月までの2カ月分の年金が支払われるため、
特例水準の解消により減額された年金が支給されるのは、2013年10月、11月分が支給される2013年12 月からとなる。
既裁定者(年金受給者)の年金額には、物価の変動に応じて改定される物価スライドの仕組みが導 入されており、前年(1月から12月まで)の消費者物価指数の変動に応じ、翌年4月から自動的に年金 額が改定される。しかし、2000年度から2002年度にかけて、物価が下落したにもかかわらず、特例法 で年金額を据え置いたことなどにより、現在は、年金額の本来の水準(本来水準)よりも高い水準(特 例水準)の年金が支給されている。2013年9月の時点で、特例水準は本来水準を2.5%上回っている。
厚生労働省によると、特例水準による年金給付が続けられたことにより、2000年度から2012年度ま での累計で、本来水準より約8兆円多く年金給付が行われているという。このまま特例水準による年金 給付を続けると、将来の年金受給者となる現役世代の年金水準の確保が難しくなりかねない。そこで、
2012年の年金改革では、年金財政の改善を図るとともに、世代間の公平を図る観点から、段階的に特 例水準の解消が図られることが決定された。
なお、特例水準2.5%の解消は、2013年度から2015年度までの3年間で段階的に実施されることにな っており、それぞれ2013年10月に1.0%、2014年4月に1.0%、2015年4月に0.5%減額される。ただし、
実際の支給額には、物価・賃金の変動が反映されるため、物価・賃金が上昇すれば引き下げ幅は縮小 し、下落すれば引き下げ幅は拡大する(以下、同様)。
政策調査部上席主任研究員 堀江奈保子
03-3591-1308
政 策
2013 年 11 月 26 日みずほインサイト
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2. 特例水準解消後の年金額
以下では、特例水準の段階的な解消による年金額の変化を確認する。なお、特例水準の解消により 実際に引き下げられる額については、法律で定められた計算方法により年金額を計算することに加え、
端数処理等の理由により2013年9月の年金額に所定の減額率を乗じた額と完全に一致するものではな い。
まず、厚生年金世帯について、男女とも男女別平均賃金で40年間厚生年金に加入した場合の年金 額の変化をみると、特例水準解消前(2013年9月)と比較した解消後(2015年4月)の年金額は、男 性単身世帯は4千円、女性単身世帯は3千円減少する。夫婦世帯では、夫が40年間厚生年金に加入し、
妻は40年間専業主婦の世帯で6千円減少、夫婦とも40年間厚生年金に加入した世帯で7千円減少とな る。
一方、国民年金のみの世帯(国民年金第1号被保険者の世帯)については、40年間加入(40年間保険 料納付済期間)で単身世帯が2千円減少、夫婦世帯が3千円減少となる(図表1)。
図表 1 特例水準 2.5%の解消による年金額の変化(月額)
(万円)
2013.9
①
2013.10
(1%減)
②
2014.4
(1%減)
③
2015.4
(0.5%減)
④
年金額の変化
④ - ① 男性 16.5 16.4 16.2 16.1 ▲0.4 単身世帯
女性 12.7 12.5 12.4 12.3 ▲0.3
専業主婦 23.1 22.9 22.6 22.5 ▲0.6 厚生年金世帯
夫婦世帯
共働き 29.2 28.9 28.6 28.5 ▲0.7
単身世帯 6.6 6.5 6.4 6.4 ▲0.2 国民年金世帯
夫婦世帯 13.1 13.0 12.8 12.8 ▲0.3
(注)1.物価・賃金の変動による年金額の変化を見込んでいない。物価・賃金が上昇すれば引き下げ幅は縮 小し、下落すれば引き下げ幅は拡大する。
2.厚生年金世帯は男女とも平均賃金で 40 年加入、専業主婦世帯は妻が 40 年専業主婦の世帯。国民年 金世帯は 40 年加入し、全期間が保険料納付済期間の場合。
3.特例水準の解消により、実際に引き下げとなる額については、法律で定められた計算方法により年 金額を計算することに加え、端数処理等の理由により 2013 年 9 月の年金額に所定の減額率を乗じ た額と完全に一致するものではない。
(資料)社会保障審議会年金数理部会「平成 21 年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証」
(2011 年 3 月)よりみずほ総合研究所作成
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3. マクロ経済スライドの実施による将来の年金額
以下では、特例水準の解消後に、マクロ経済スライドが実施された際の年金額の変化を確認する。
2004年の年金改正では、長期的な給付と負担の均衡を図る仕組みとしてマクロ経済スライドが導入 された。マクロ経済スライドとは、年金額の改定の際に、現役世代の減少(現役世代全体でみた保険 料負担能力の低下)と平均余命の伸び(受給者全体でみた給付費の増大)を勘案した一定率を反映さ せて、年金水準を抑制する仕組みである1。
マクロ経済スライドは、デフレ経済下では発動しない仕組みとなっていること等から、2004年の導 入以降、これまで一度も実施されていない。マクロ経済スライドによる年金額の改定は、特例水準の 解消後に実施することとされており、予定通りに特例水準が解消されれば、2016年度以降の年金額の 改定からマクロ経済スライドの実施が可能になる2。
マクロ経済スライドによる年金額の調整の終了時期は、その後の財政検証において、年金財政の均 衡を保つことができると見込まれるようになった時点とされている。前回2009年の財政検証では、調 整終了時期は厚生年金が2019年度、基礎年金が2038年度となる見通しであることから、以下では、図 表1の特例水準の解消による年金額の変化をみた世帯について、特例水準解消前の2013年9月の年金額 と、スライド調整終了後の2038年度の年金額を比較する。なお、2038年度の年金額は、2009年の男女 別平均の手取り賃金に2038年度時点の所得代替率を乗じて算出しているため、2009年の財政検証結果 で示された額とは異なる3。
世帯別の特例水準解消前(2013年9月)とスライド調整終了後(2038年度)の年金額を比較すると、
厚生年金世帯では約2割減少、国民年金世帯では約3割減少となる見通しである(図表2)。
図表 2 特例水準解消前とスライド調整終了後の年金額の比較(月額)
(万円)
年金額の変化 特定水準解消前
( 2013.9)
①
スライド調整終了後
( 2038年 度 )
⑤ ⑤-① 変化率
(%)
男性 16. 5 12. 9 ▲ 3.6 ▲ 22 単身世帯
女性 12. 7 9.8 ▲ 2.9 ▲ 23 専業主婦 23. 1 17. 6 ▲ 5.5 ▲ 24 厚生年金世帯
夫婦世帯
共働き 29. 2 22. 6 ▲ 6.6 ▲ 22 単身世帯 6.6 4.7 ▲ 1.9 ▲ 28 国民年金世帯
夫婦世帯 13. 1 9.4 ▲ 3.7 ▲ 28
(注)①は図表 1 の①と同じ。⑤2038 年度は、2009 年の手取り賃金に 2038 年度時点の所得代替率を乗じた額。
(資料)社会保障審議会年金数理部会「平成 21 年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証」(2011 年 3 月)
よりみずほ総合研究所作成
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4. 年金額と高齢者世帯の支出額の比較
次に、年金額と高齢者世帯の支出額を比較する。年金額は、特例水準解消前の2013年9月時点(図表 3 ①)とスライド調整終了後の2038年度時点(図表3 ⑤)とし、高齢者世帯の支出額は総務省「家計 調査」(2012年)から65歳以上の無職世帯の支出額(図表3 ⑥)とする。なお、高齢者世帯の支出額 は、消費支出と非消費支出(税・社会保険料等)の合計とする4。
まず、厚生年金世帯については、特例水準解消前の2013年9月時点では、男性単身世帯と共働き世帯 で支出額を上回る年金額となっているが、女性単身世帯や専業主婦世帯では支出額の80%台の年金額 となっている(図表3 ⑦)。スライド調整終了後の2038年度時点では、前述の通り、年金額が約2割引 き下げられる見通しであることから、いずれの世帯も支出額を下回り、男性単身世帯と共働き世帯で 80%台、女性単身世帯と専業主婦世帯では60%台の年金額となる(図表3 ⑧)。
一方、国民年金世帯の支出額に対する年金額の割合は、特例水準解消前が40%台(図表3 ⑦)、ス ライド調整終了後は30%台となる(図表3 ⑧)。
図表 3 年金額と 65 歳以上無職世帯の支出額の比較(月額)
年金額 年金額/支出額
特例水準 解消前
(2013.9)
①
(万円)
スライド 調整終了後
(2038年度)
⑤
(万円)
65歳以上 無職世帯 の支出額
⑥
(万円)
⑦
(①/⑥)
(%)
⑧
(⑤/⑥)
(%)
男性 16.5 12.9 108 84 単身世帯
女性 12.7 9.8
15.3
83 64
専業主婦 23.1 17.6 87 66 厚生年金世帯
夫婦世帯
共働き 29.2 22.6
26.6
110 85
単身世帯 6.6 4.7 15.3 43 31 国民年金世帯
夫婦世帯 13.1 9.4 26.6 49 35
(注)①、⑤は図表 2 の①、⑤と同じ。65 歳以上無職世帯の支出額は、消費支出と非消費支出の合計。
(資料)社会保障審議会年金数理部会「平成 21 年財政検証・財政再計算に基づく公的年金制度の財政検証」(2011 年 3 月)、総務省「家計調査」(2012 年)よりみずほ総合研究所作成
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5. 高齢期の所得や資産の確保が課題
少子高齢化が進行するなか、世代間扶養である賦課方式の公的年金制度を維持するには、給付水準 の抑制はやむを得ない。また、実施が見送られてきたマクロ経済スライドについても、調整を早期に 開始することは、将来の年金の受給者となる現役世代の年金水準を確保することにつながるため、特 例水準の解消後は速やかに実施することが必要である。
スライド調整終了後の年金額については、前述の通り、厚生年金世帯で約2割、国民年金世帯で約3 割の給付水準の引き下げとなるため、今後は高齢期の所得や資産の確保が課題になる。そのための有 力な手段としては、厚生年金を受給する世帯を増加させることや、私的年金の拡充等により高齢期に 備えた資産形成を促進させる施策を実施することが挙げられる。
(1) 厚生年金の受給者を増加させるための施策の実施
厚生年金の受給がない世帯は、年金額が基礎年金のみであるばかりではなく、基礎年金のスライド 調整期間が長いため、将来の減額率も大きい。そこで、厚生年金の受給者を増加させることで、将来 の年金給付水準が低下する影響を緩和させることが必要である。
特に、国民年金第1号被保険者については、厚生年金の適用を受けない働き方をしている被用者が増 加しており、この層に厚生年金の適用を拡大することが優先課題となる5。なお、2016年10月には、短 時間労働者への厚生年金の適用拡大が実施される。現行制度では週所定労働時間がおおむね30時間以 上であれば厚生年金の適用対象となるが、改正後は、週所定労働時間が20時間以上で月額賃金が8.8 万円など、一定の条件を満たす短時間労働者についても厚生年金の適用対象となる6。しかし、厚生労 働省によると、改正により新たに厚生年金に加入する労働者は約25万人にとどまる見通しであり、更 なる拡大が今後の年金改革の検討課題の一つとされている。厚生年金の適用拡大が実現すれば、より 多くの短時間労働者等が厚生年金を受給することが可能になり、高齢期の所得確保につながることが 期待できる。
一方、厚生年金の夫婦世帯については、図表2、3で確認した通り、共働き世帯であればスライド調 整修了後でも年金額は月額22.6万円となる見通しである。現在の専業主婦世帯の年金額23.1万円をや や下回るものの、共働き世帯であれば高齢期の支出額の約85%に相当する額を公的年金で賄うことが できる。夫が非農林業雇用者の夫婦世帯では、中長期的に共働き世帯が増加しており(図表4)、2012 年時点では57%を占める。ただし、夫婦の年金加入状況をみると、夫が国民年金第2号被保険者(厚生 年金、共済年金に加入)の妻が第2号被保険者である世帯は33%にとどまっており、妻が第3号被保険 者(将来の年金は基礎年金のみ)の世帯が64%を占める(図表5)。妻が第3号被保険者の世帯で妻が有 職である世帯は26%となっており、共働き世帯であっても必ずしも妻が厚生年金に加入しているわけ ではない。今後、仕事と育児・介護の両立支援策の拡充による共働き世帯の増加を目指すとともに、
前述の厚生年金の適用拡大が実現すれば、夫婦ともに厚生年金を受給する世帯を増加させることが可 能になる。
6
(2) 私的年金の拡充による高齢期に備えた資産形成の促進
私的年金の拡充による資産形成の促進としては、まず企業年金が考えられる。
各年金法により定められた企業年金制度は、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金企業 型があり、2013年3月末現在で合計1,661万人が加入している。厚生年金の被保険者数は3,472万人であ り、単純に計算すれば被保険者の約半数が企業年金に加入していることになるが、1人が2つ以上の制 度に加入している例もあるため、実際の加入割合は更に低い。また、厚生年金基金は、2014年4月以降 の新設は認められないうえ、既存の厚生年金基金についても、他の企業年金制度への移行を促進しつ
図表 4 専業主婦世帯数と共働き世帯数の推移
500 600 700 800 900 1000 1100 1200
80 85 90 95 00 05 10 12 (年)
(万世帯)
専業主婦世帯 共働き世帯
岩手、宮城、福島県を除く
岩手、宮城、福島県を除く
(注)1.専業主婦世帯は、夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。
2.共働き世帯は、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。
3.「労働力調査特別調査」と「労働力調査(詳細集計)」とでは、調査方法、調査月などが違う。
(資料)総務省「労働力調査特別調査(2 月調査)」(1980 年~2001 年)、「労働力調査(詳細集計)(年平 均)」(2002 年~2012 年)よりみずほ総合研究所作成
図表 5 夫が国民年金第 2 号被保険者の妻の年金加入状況
33.4 2.5
(26.1) (38.0)
0 20 40 60 80 100(%)
国民年金第1号 第2号 第3号(有職) 第3号(無職)
64.1
(注)国民年金第2号被保険者は、国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、
共済の加入者。妻が年金に加入していない世帯は除く。
(資料)厚生労働省「国民生活基礎調査」(2010年)よりみずほ総合研究所作成
7
つ、特例的な解散制度の導入等が行われるため、今後の基金数は大幅な減少が見込まれる。このため、
厚生年金基金から他の制度への移行が進まなければ、企業年金の加入者は更に減少する可能性がある。
厚生年金基金は、中小企業による総合型基金7が全体の約85%を占めており、特に中小企業について他 の企業年金への移行を円滑に進めるとともに、より導入しやすい制度を普及させることが課題となる。
一方、個人で加入する年金法上の制度としては、確定拠出年金個人型と国民年金基金がある。確定 拠出年金個人型は、①厚生年金に加入していない企業の従業員や自営業者等(国民年金第1号被保険者)
と、②厚生年金に加入している企業年金のない企業の従業員等(国民年金第2号被保険者)が加入でき
図表 6 私的年金の概要と加入者数(2013 年 3 月末現在)
制 度 名
( 実 施 時 期 ) 概 要 加入者数
厚生年金基金
(1966年10月実施)
・企業が厚生年金基金(公法人)を設立し、厚生年金の一部を国に代 わって支給するとともに、企業が独自の上乗せ給付を行う
・2014年4月以降の新設は認められず、既存基金は他制度への移行や 解散が促進される
・加入した期間や給付水準等に基づいてあらかじめ定められた算定 方式により給付額が決定される確定給付型
426万人
確定給付企業年金
(2002年4月実施)
・代行部分がなく、企業が独自の給付のみを行う
・確定給付型 796万人
企 業 年 金
確定拠出年金 企業型
(2001年10月実施)
・掛金が個人ごとに管理され、拠出した掛金とその運用収益との合計 額を基に給付額が決定される制度。運用は個人の指図による
・拠出限度額があり、他の企業年金がない場合は月額5.1万円、ある 場合は月額2.55万円
・掛金は企業拠出に加え、規約により従業員の上乗せ拠出(マッチン グ拠出)も可能
439万人
確定拠出年金 個人型
(2002年1月実施)
・掛金が個人ごとに管理され、拠出した掛金とその運用収益との合 計額を基に給付額が決定される制度。運用は個人の指図による
・国民年金第1号被保険者と他の企業年金に加入していない同第2号 被保険者が任意で加入する
・拠出限度額は、国民年金第1号被保険者は国民年金基金等の掛金と 合わせて月額6.8万円、同第2号被保険者は月額2.3万円
・拠出は本人拠出のみ
16万人 個
人 年 金
国民年金基金
(1991年5月実施)
・国民年金第1号被保険者が任意で加入する
・都道府県別の地域型と職種別の職能型がある
・拠出限度額は、確定拠出年金等の掛金と合わせて月額6.8万円
・掛金により将来の年金額が確定
49万人
(注)1.国民年金基金は、制度そのものは1969年に導入されたが、1989年の改正により自営業者等の老後生活に対する多 なニーズに応じるための整備が行われ、1991年より現在の制度が実施された。
2.その他、年金法に基づかない企業独自の企業年金や、民間の保険会社等が取り扱う個人年金等がある。
(資料)厚生労働省、国民年金基金連合会資料等によりみずほ総合研究所作成
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る。それぞれ毎月の掛金の拠出限度額が定められており、①は6.8万円(国民年金基金等の限度額と枠 を共有)、②は2.3万円である。加入者数は、2013年3月末現在で①が5万人、②が11万人である。
また、国民年金基金は、国民年金第1号被保険者が加入できる制度であり、2013年3月末現在で加入 者数は49万人である。2013年3月末現在の国民年金第1号被保険者数は1,864万人であることからみると、
加入率は低水準である。
今後の公的年金の給付引き下げに伴い、自助努力による高齢期の資産形成が益々重要となるなかで、
既存の個人年金をさらに普及させることは、今後の課題の一つである。例えば、現在の確定拠出年金 個人型については、拠出限度額の引き上げや加入対象者の拡大等により、より使い勝手のいい制度に 改正することで更なる普及が期待できる。なお、確定拠出年金企業型についても拠出限度額の引き上 げ等の改正が行われれば、一層の普及につながる可能性がある。
確定拠出年金とは別に、米国のIRA(Individual Retirement Account、個人退職勘定)を参考に、
日本でも同様の制度を導入すべきであるとの意見もある。IRAは、企業年金のある企業の従業員も含め た全労働者が対象で、掛金の拠出限度額は2013年時点で年5,500ドル(50歳以上は同6,500ドル)また は稼動所得の低い額とされている。IRAには、従来型のIRAとRoth IRAがあるが、拠出限度額は両者の 合算となる。両者の相違点は課税時点であり、従来型のIRAは、拠出時非課税、積立時非課税、給付時 課税、Roth IRAは、拠出時課税、運用時非課税、給付時非課税である。
昨年以降の年金改革の議論では、確定拠出年金個人型の拡充や日本版IRAの創設等により、個人が自 助努力で高齢期に備えた資産形成をしやすい環境を整えることについての検討が進んでいない。公的 年金の給付水準の引き下げがやむを得ないなか、個人年金の拡充は早急に検討すべき課題といえよう。
1 年金額は通常の場合、賃金や物価の伸びに応じて改定される。ただし、少なくとも 5 年に 1 度実施される財政検証の 際に、おおむね 100 年間の財政均衡期間にわたり年金財政の均衡を保つことができないと見込まれる場合は、マクロ経 済スライドにより年金額の調整を開始することとされている。調整期間中は、賃金や物価の伸びに応じた年金額の改定 率から「スライド調整率」(公的年金全体の被保険者の減少率+平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%))を差し 引いて、年金額を改定する。
2 マクロ経済スライドの仕組みは、賃金や物価がある程度上昇する場合にはそのまま適用されるが、賃金や物価の伸び が小さく、適用すると名目額が下がってしまう場合には、調整は年金額の伸びがゼロになるまでにとどめられる。また、
賃金や物価の伸びがマイナスの場合には、調整は行われず、賃金や物価の下落分以上の年金額の引き下げは実施されな い。このため、特例水準解消後も賃金や物価の動向により、マクロ経済スライドが実施されない可能性もある。この点 については、改正が検討されている。
3 2009年の財政検証結果では、2038年度時点における名目額と、その名目額を物価で現在価値に割り戻した額が示さ れているため、本稿で示した金額より大きい。
4 年金額①は2013年9月時点、年金額⑤は2009年の賃金に2038年度の所得代替率を乗じた2009年価格、⑥高齢者 世帯の支出額は2012年調査によるものであり、年金額、高齢期の支出額ともに、おおむね現在価格に近い水準である。
5 国民年金第1号被保険者となる自営業者等は定年がなく、高齢期においても稼動所得が期待できる。
6 新たな適用基準は、①週所定労働時間20時間以上、②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)、③勤務期間1 年以上、④学生は適用除外、⑤従業員501人以上の企業(現行の適用基準で適用となる被保険者の数で算定)、とさ れている。なお、改正後3年以内に検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講じることが法律に明記された。
7 厚生年金基金は、一つの企業が単独で設立する単独型、企業グループなどで設立する連合型、同業種の業界団体等を 中心に中小企業が設立する総合型の3つがある。
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