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水平導水型水撃発生システムの水理特性について

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Academic year: 2021

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(1)

水平導水型水撃発生システムの水理特性について

日大生産工(院) ○平井 泰造

日大生産工

遠藤 茂勝

1.はじめに

ていて、平地でも

30cm

程度の落差をとるこ とが出来れば利用可能で、構造が簡単で低コ ストでの製作が可能、しかも燃料費がゼロと いう性質を持っている。

これまでは、化石燃料や電力を駆動力源と して多く使用してきた。低コストで容易に手 に入れることで、これら燃料を利用し動力を 得ることで、揚水する場合当たり前に利用し

てきた。 水撃現象とは管路において流体が流れてい

る管内の弁を急激に閉鎖すると、管内の流速 が減速し零となるため、管路系の圧力が急激 に上昇する現象のことである。ぶつかったと きに、振動と衝撃波に変換され、あたかも金 槌で管を叩いたときと同じ音が発生すること からウォーターハンマー(水槌)現象とも呼 ばれている。

しかし今や、化石燃料の枯渇や環境汚染な どの問題は深まる一方である。このままでは 今後の持続可能な社会の発展は不可能である ということが認識されるようになった。エコ ノミーの工業文明から、エコロジー重視の文 明へと世の流れが変化してきた。

その一つとして、管路流れでは好ましくな い現象であるとされ対策がとられてきた水撃 現象を、工学的な有効利用の試みがなされて いる。

本実験の目的は、水頭値と弁角度を変える ことによって水撃ポンプがどこまで作動する か実験を行い、その条件化で得られた周期、

圧力、流量はどのように変化していくかをグ ラフ化し検討していく。

この水撃現象の有効利用例の一つに、水撃 ポンプによる揚水利用があげられます。

水撃ポンプには落差のある流水を動力源とし

Fig.1 実験装置概略図 1

−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−

― 65 ― 3-18

(2)

2.実験装置及び方法

表-1 水撃ポンプ稼働状況(L=3.0m) 本実験では水平導水型水撃発生システムの

水理特性を調べるために、導水管の長さと排 水弁角度を変えることで水撃現象が起こるの か検討し、実験において算出した水撃圧、周 期、流量をグラフに表して検討する。

固定条件として圧力タンク容量

1ℓ、排水位

アジャスタ長

30cm、導水管材質を塩化ビニル

とする。変動条件として導水管長を

L=3.0m、

2.0m、1.0m

3

ケース、排水弁角度をθ=50°、

63°、76°、92°の4

ケース、供給水頭は

H=0.5m、

1.0m、1.5m、2.0m、 2.5m、3.0m

6

ケース とし、合計

72

ケースの実験を行った。

3.実験結果と考察

水撃ポンプの導水管長と排水弁角度を変え て水頭値を一定にしたときにポンプを作動さ せてポンプが動いた状態の記録を取った。

(1)水撃ポンプ作動状況

水撃ポンプを動かし水撃が連続して起こっ たか、弁が閉鎖した状態のままか弁が一度開 いたがそのまま水が流れ水撃現象が起こらな い状態かを調べた作動の結果を表-1、2、3 に 示す。表の○、△、×は水撃装置の様子を表 す。

○…水撃現象が連続して起こる

△…排水弁が閉じたまま、水撃現象が起こ らなかった

×…排水弁は開いて、水は流れるが水撃現 象が起こらなかった 表-1 の場合は排水弁角度θ=50°以外の角度 では高い確率で水撃現象が確認できた。排水 弁角度θ=50°、

63°では、すべて排水弁が閉鎖

したまま水撃現象が起こらなかった状態であ る。そして、排水弁角度θ=76°、

92°において

は、排水弁が開放したまま水撃現象が起こら なかった状態である。

同様に表-2、表-3 の水撃ポンプ稼働状況は、

L=2.0m

では

L=3.0m

の状況と近い結果が求め

られた。しかし

L=1.0m

の場合は、すべて水 撃現象が起こらなかった。これは流速が早す ぎるため弁が閉じたままになってしまったた めである。弁角度が小さくなるほど、弁の可

50 63 76 92

0.5 ○ ○ × ×

1.0 △ ○ ○ ×

1.5 △ ○ ○ ○

2.0 △ ○ ○ ○

2.5 △ △ ○ ○

3.0 △ △ ○ ○

排水弁傾斜角度(°)

供 給 水 頭

(

m

)

導水管長L=3.0m

表-2 水撃ポンプ稼働状況(L=2.0m)

表-3 水撃ポンプ稼働状況(L=1.0m)

動範囲は狭くなってしまう。そのため、排水 弁角度が小さくなると、多少の供給水頭であ っても、閉鎖したままの状態となる。そこで、

50 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

排水弁傾

供 給 水 頭

(

)

m

導水管長L=2

63 76 92

△ ○ × ×

△ ○ ○ ×

△ △ ○ ○

△ △ ○ ○

△ △ △ ○

△ △ △ ○

斜角度(°)

.0m

50 63 76 92

0.5 △ △ × ×

1.0 △ △ △ △

1.5 △ △ △ △

2.0 △ △ △ △

2.5 △ △ △ △

3.0 △ △ △ △

導水管長L=1.0m

排水弁傾斜角度(°)

供 給 水 頭

(

)

m

2

― 66 ―

(3)

導水管長

L=3.0m

L=2.0m

における圧力

P、

流量

Q、開放時間TO

について検討した。

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

0.0 1.0 2.0 3.0

供給水頭

H(m)

弁開放領域

排水弁開放時間

To(sec)

弁閉鎖領域

(2) 供給水頭とポンプ作動周期  ・弁角度θ=92°

 ・弁角度θ=76°

 ・弁角度θ=63°

 ・弁角度θ=50°

水頭差による実験結果から、どのような傾 向が見られるのか確認するためにグラフを作 成した。各パラメーターはそれぞれの弁角度 を示したものである。

まず図-1、図-2 は供給水頭と弁の開放時間 のグラフである。縦軸に弁の開放時間

TO

を 示し、横に供給水頭

H

を示した。周期は弁が 開放する時間を10回分取ったものの平均値 である。こちらを見てみると、水頭差があが るにつれて、弁の開放時間が短くなることが 確認できる。弁角度θ=63°の場合は急激に解 放時間が短くなっている。しかし、角度θ=76°、

92°の場合ではややゆるやかに解放時間が短

くなっていくことが確認できる。水頭差と弁 の開放時間は、水撃圧力が関係していると予 測される。水撃圧力

P

が大きくなると、流速 も比例し大きくなる。従って、弁を閉める力 が大きいため、早く弁が閉まり、開放時間が 短くなると考えられる。つまり、1 開放時間 あたりに排水される流量が少なくなる。図-1 と図-2 のグラフを比較すると図

-1

のグラフで はデータにかなりばらつきがある。

図-1

L=3.0m

の供給水頭と周期

0 400 800 1200

0.0 1.0

供給水頭

H (m)2.0 3.0

水撃圧 力

P (kPa)

弁開放領域

弁閉鎖領域  ・弁角度θ=92°

 ・弁角度θ=76°

 ・弁角度θ=63°

 ・弁角度θ=50°

0.0 0.5 1.0 1.5

0.0 1.0

供給水頭

H(m)2.0 3.0

排水弁開放時間

To(sec) 弁開放領域

弁閉鎖領域

 ・弁角度θ=92°

 ・弁角度θ=76°

 ・弁角度θ=63°

(3) 供給水頭と水撃圧力

次に、図-3、図-4 は供給水頭と水撃圧力の グラフである。横軸に供給水頭

H

を示し、縦 軸に水撃圧力

P

を示した。このグラフを見る と、水頭差

H、弁角度が上がるにつれて水撃

圧力

P

が上がっていることが確認できる。こ の結果から水頭差

H

が上がることで、流速が 加速していき、水撃圧力が上がることで流速 と水撃圧力は比例することが確認できる。導 水管長が

3.0m

の状態では圧力の上がり方に ぶれがあるが

2.0m

ではきれいな比例のグラ フになっている。

図-2

L=2.0m

の供給水頭と周期

(4)

供給水頭と流量

次に、図-5、図-6 は供給水頭と流量のグラ フである。縦軸に

1

開放時間当たりの排水流 量

Q

を示し、横軸に水頭差

H

を示した。この

図-3

L=3.0m

の供給水頭と水撃圧力

グラフを見ると、供給水頭

H

が上がるにつれ

3

― 67 ―

(4)

1

開放時間当たり排水流量

Q

は下がってい ることが確認できる。それぞれの角度の

1

開 放時間当たりの排水流量

Q

は供給水頭

H

と比 例的に下がっていることも確認できる。また、

弁角度が上がるにつれて

1

開放時間当たりの 排水流量

Q

は上がっていることも確認できる。

この結果から、水頭差が小さいときの流量が 多いのは流速が低いため、弁の開放時間が長 くなり、排水するための時間を多く得られる ためであると考えられる。図-5、図-6 のグラ フではどちらのグラフも比較的データにばら つきがなく取ることが出来た。

4

0.0 1.0 2.0 3.0

0.0 1.0 2.0 3.0

供給水頭

H (m)

流量

Q

(ℓ

/s・回

弁角度θ=63°

弁角度θ=76°

角度θ=92°

弁角度θ=50°

開放領域

弁閉鎖領域  ・弁角度θ=92°

 ・弁角度θ=76°

 ・弁角度θ=63°

 ・弁角度θ=50°

0 400 800 1200

0.0 1.0

供給水頭

H (m)2.0 3.0

水撃圧力

P (kPa)

 ・弁角度θ=92°

 ・弁角度θ=76°

 ・弁角度θ=63°

弁開放領域

弁閉鎖領域

図-1~6 のグラフにある

2

本の直線または 曲線に挟まれた領域は弁閉鎖領域は、排水弁 が閉鎖したまま、水撃現象が起こらない状態、

弁開放領域は、排水弁が開放したまま、水撃

現象が起こらない状態の領域を示している。

このグラフを見ることで実験をしていない排 水弁角度と供給水頭の場合での水撃現象が起 こる範囲を予測することができる。

図-4

L=2.0m

の供給水頭と水撃圧力

4.まとめ

本実験の結果をまとめると以下のように要 約される。

1)導水管長による排水弁角度と供給水頭の

違いによって水撃現象が起こる範囲がわ かった

2)流速の大きさにより水撃現象が起こらな

い状態に違いがある 図-5

L=3.0m

の供給水頭と流量

3)L=3.0m

L=2.0m

では

2.0m

のデータが

取り易く実験に適していると言える

0.0 1.0 2.0 3.0

0.0 1.0

供給水頭 H (m)

2.0 3.0

流量

Q

(ℓ

/s・回

弁開放領域

弁閉鎖領域  ・弁角度θ=92°

 ・弁角度θ=76°

 ・弁角度θ=63°

4)グラフを作ることによって水撃現象が起

こる排水弁角度や供給水頭を予測するこ とが出来る

5)導水管長や供給水頭を上げれば数値が大

きくなるわけではなく、それぞれに最適 な条件がある

参考文献

1)鏡 研一・出井 努・牛山 泉:自然の

力で水を上げる水撃ポンプ製作ガイドブ ック,パワー社,1999.

2)横山 重吉:現代理工学大系 水撃入門,

日新出版,1979. 図-6

L=2.0m

の供給水頭と流量

― 68 ―

参照

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