乳牛の子宮内膜厚の周期的変化ならびに
性ステロイドホルモンによる調節機序に関する研究
酪農学園大学大学院 獣医学研究科 獣医学専攻博士課程
杉浦智親
生産動物医療学分野 動物生殖学
指導教員 教授 田島誉士
2017年度
目次
凡 例 1
緒 言 3
第 Ⅰ 章 乳 牛 の 子 宮 内 膜 厚 測 定 法 の 確 立 な ら び に 子 宮 内 膜 厚 、 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン お よ び エ ス ト ラ ジ オ ー ル 濃 度 の 変 化 1. 序 文 8
2. 材 料 お よ び 方 法 9
1) 供 試 動 物 9
2) 発 情 誘 起 と 発 情 発 見 11
3) 超 音 波 検 査 11
(1) 機 器 の 設 定 11
(2) 子 宮 内 膜 厚 の 評 価 11
(3) 卵 巣 の 評 価 12
4) 採 血 15
5) 血 中 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン の 測 定 15
(1) プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 測 定 の た め の 試 料 調 整 と 操 作 手 順 16
(2) エ ス ト ラ ジ オ ー ル 測 定 の た め の 試 料 調 整 と 操 作 手 順 17
6) 試 験 プ ロ ト コ ー ル 17
7) 統 計 処 理 21
3. 結 果 25
1) 発 情 周 期 中 の 子 宮 内 膜 厚 変 化 と 標 準 化 25
2) 自 然 発 情 群 に お け る 排 卵 前 後 の 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 お よ び 血 中 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 27
3) 誘 起 発 情 群 に お け る 排 卵 前 後 の 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 お よ び 血 中 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 27
4) 誘 起 発 情 群 に お け る プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン F2α処 置 前 後 の
子 宮 内 膜 厚 変 化 率 お よ び 血 中 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 28 5) 自 然 発 情 群 お よ び 誘 起 発 情 群 に お け る 排 卵 前 後 の 子 宮 内 膜 厚
変 化 率 と 血 中 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 比 較 29
4. 考 察 38
5. 小 括 44
第 Ⅱ 章 乳 牛 の 子 宮 内 膜 厚 に 対 す る プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン お よ び エ ス ト ラ ジ オ ー ル の 作 用 機 序 の 解 明 45
1. 序 文 45
2. 材 料 お よ び 方 法 47
1) 供 試 動 物 47
2) 発 情 誘 起 と 発 情 発 見 48
3) 卵 巣 摘 出 術 49
4) 超 音 波 検 査 に よ る 子 宮 内 膜 厚 お よ び 卵 巣 構 造 物 の 評 価 49
5) 採 血 お よ び 血 中 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン の 測 定 50
6) 子 宮 内 膜 組 織 の 採 取 ( 子 宮 内 膜 バ イ オ プ シ ー ) 50
7) リ ア ル タ イ ム PCR 52
8) 試 験 プ ロ ト コ ー ル 54
(1) 高 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 環 境 下 ( 黄 体 期 ) に お け る エ ス ト ラ ジ オ ー ル 処 置 54
(2) 卵 巣 摘 出 牛 に 対 す る 無 処 置 で の 観 察 55
(3) 卵 巣 摘 出 牛 へ の プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 単 独 処 置 55
(4) 卵 巣 摘 出 牛 へ の プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン お よ び エ ス ト ラ ジ オ ー ル 併 用 処 置 56
(5) 卵 巣 摘 出 牛 へ の エ ス ト ラ ジ オ ー ル 単 独 処 置 56
9) 統 計 処 理 60
3. 結 果 62
1) 高 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 環 境 下 ( 黄 体 期 ) に お け る エ ス ト ラ ジ オ ー ル 処 置 62 (1) 血 中 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 濃 度 の 変 化 62
(2) 血 中 エ ス ト ラ ジ オ ー ル 濃 度 の 変 化 62
(3) 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 63
(4) 子 宮 内 膜 組 織 中 の 受 容 体 お よ び 液 性 因 子 の 発 現 量 63
2) 卵 巣 摘 出 牛 に 対 す る 無 処 置 時 の 血 中 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 濃 度 、 エ ス ト ラ ジ オ ー ル 濃 度 お よ び 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 66
3) 卵 巣 摘 出 牛 へ の プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 単 独 処 置 時 の 血 中 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 濃 度 、 エ ス ト ラ ジ オ ー ル 濃 度 お よ び 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 66
4) 卵 巣 摘 出 牛 へ の プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン お よ び エ ス ト ラ ジ オ ー ル 併 用 処 置 時 の 血 中 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 濃 度 、 エ ス ト ラ ジ オ ー ル 濃 度 お よ び 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 67
5) 卵 巣 摘 出 牛 へ の エ ス ト ラ ジ オ ー ル 単 独 処 置 時 の 血 中 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 濃 度 、 エ ス ト ラ ジ オ ー ル 濃 度 お よ び 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 68
6) プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 単 独 処 置 、 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン お よ び エ ス ト ラ ジ オ ー ル 併 用 処 置 、 エ ス ト ラ ジ オ ー ル 単 独 処 置 時 の 血 中 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 お よ び 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 の 比 較 68
7) 卵 巣 摘 出 牛 の 子 宮 内 膜 組 織 中 の 受 容 体 お よ び 液 性 因 子 発 現 量 79 4. 考 察 81
5. 小 括 91
総 括 92
謝 辞 95
引 用 文 献 96
1
凡例
BW 体 重
cDNA 相 補 的 DNA( デ オ キ シ リ ボ 核 酸 ) CIDR 腟 内 留 置 型 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 徐 放 剤 CMO カ ル ボ キ シ メ チ ル オ キ シ ム
DMSO ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド E 受 容 体 エ ス ト ロ ジ ェ ン 受 容 体 E2 エ ス ト ラ ジ オ ー ル
EB 安 息 香 酸 エ ス ト ラ ジ オ ー ル EDTA エ チ レ ン ジ ア ミ ン 四 酢 酸 EGF 上 皮 成 長 因 子
EIA 酵 素 免 疫 測 定 法 ET 胚 移 植
FGF 線 維 芽 細 胞 増 殖 因 子
HRP ホ ー ス ラ デ ィ ッ シ ュ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ ICSI 顕 微 授 精
IgG 免 疫 グ ロ ブ リ ン G IVF 体 外 受 精
LIF 白 血 病 阻 止 因 子
M-CSF マ ク ロ フ ァ ー ジ コ ロ ニ ー 刺 激 因 子 MMP マ ト リ ッ ク ス メ タ ロ プ ロ テ ア ー ゼ mRNA メ ッ セ ン ジ ャ ーRNA( リ ボ 核 酸 ) P4 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン
P 受 容 体 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 受 容 体
2
PCR ポ リ メ ラ ー ゼ 連 鎖 反 応 PDGF 血 小 板 由 来 増 殖 因 子 PlGF 胎 盤 増 殖 因 子
PGF2α プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン F2α
RNA リ ボ 核 酸
TMB テ ト ラ メ チ ル ベ ン ジ ジ ン UHP 尿 素 ・ 過 酸 化 水 素
VEGF 血 管 内 皮 細 胞 成 長 因 子
3
緒言
乳 牛 の 遺 伝 的 能 力 の 改 良 お よ び 飼 養 管 理 方 法 の 大 規 模 化 と 改 善 に よ り 、1 頭 当 た り の 乳 量 増 加 お よ び コ ス ト 低 減 等 の 成 果 を 挙 げ 、酪 農 の 生 産 性 は 飛 躍 的 に 向 上 し て き た 。し か し な が ら 、右 肩 上 が り に 増 加 す る 乳 牛 1 頭 あ た り の 年 間 生 産 乳 量 と は 対 照 的 に 、 乳 牛 の 繁 殖 成 績 は 、1990 年 代 は じ め か ら 世 界 的 に 低 下 の 一 途 を た ど り 、酪 農 業 に お け る 収 益 性 低 下 の 要 因 と な る た め 問 題 と な っ て い る[58]。高 産 乳 牛 で は 、肝 臓 へ の 血 流 量 が 増 加 す る た め プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン(P4)お よ び エ ス ト ラ ジ オ ー ル(E2)の 代 謝 が 亢 進 し 、慢 性 的 な 血 中 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 低 下 状 態 に さ ら さ れ る[64]。 乳 量 増 加 に 対 し 、 発 情 時 の E2 濃 度 、 発 情 持 続 時 間 お よ び 発 情 強 度 が 反 比 例 す る こ と も 報 告 さ れ[46]、 血 中 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 低 下 が 生 殖 能 に 与 え る 負 の 影 響 は 、 最 終 的 に 乳 牛 の 不 受 胎 に つ な が る 。性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 低 下 は 子 宮 環 境 に も 及 び 、着 床 お よ び 受 胎 の 場 で あ り 妊 娠 の 成 立 と 維 持 に 非 常 に 重 要 な 役 割 を 果 た す 子 宮 内 膜 に も 影 響 す る こ と が 推 測 さ れ る 。乳 牛 の 子 宮 内 膜 の 状 態 の 客 観 的 評 価 が 可 能 と な り 、性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン の 子 宮 内 膜 に 対 す る 作 用 が 明 ら か に な る こ と は 、生 産 現 場 に お け る 子 宮 内 膜 評 価 の 一 助 と な り 、さ ら に 牛 の 子 宮 内 膜 と 受 胎 性 の 関 係 解 明 に つ な が り 、乳 牛 の 低 迷 す る 受 胎 性 の 改 善 に 貢 献 で き る も の と 考 え ら れ る 。
人 の 子 宮 内 膜 は そ の 生 理 的 機 能 を 維 持 す る た め に 月 経 周 期 中 で 剥 離 と 増 生 を 繰 り 返 す 。月 経 周 期 毎 に 形 成 さ れ る 子 宮 内 膜 の 厚 さ( 子 宮 内 膜 厚 )は 異 な る た め 、婦 人 科 領 域 で は 体 外 受 精/顕 微 授 精 卵 移 植(IVF/ICSI-ET)の レ シ ピ エ ン ト[38]や 人 工 授 精 の 患 者[83]の 妊 娠 予 測 の 一 つ の 指 標 と し て 子 宮 内 膜 厚 の 測 定 が 普 及 し て い る 。IVF/ICSI-ET に お け る 子 宮 内 膜 厚 と 受 胎 性 に 関 す る 報 告 は 非 常 に 多 く 、子 宮 内 膜 厚 測 定 に よ る 妊 娠 予 測 は 有 用 性 が 高 い こ と が
4
示 さ れ て い る 。 子 宮 内 膜 が 薄 い[1, 15, 16, 19, 24, 33, 59, 61]あ る い は 厚 す ぎ る 場 合[19, 59, 80]に は 受 胎 性 が 低 下 す る の に 対 し 、 子 宮 内 膜 が 適 度 な 厚 さ を 維 持 し て い る 場 合 に は 受 胎 に 有 利 で あ る[3, 7, 15, 25, 33, 52]と い う 診 断 指 針 が 一 般 的 に な っ て い る 。動 物 に お け る 子 宮 内 膜 厚 の 研 究 は 、馬[27]や 牛[6, 45, 56, 75]に つ い て 報 告 が あ る 。 牛 の 子 宮 内 膜 厚 を 測 定 し た 研 究 報 告 は 、分 娩 後 の 子 宮 回 復 の 把 握[6, 45]、子 宮 内 膜 炎 の 評 価[6]、発 情 周 期 中 の 子 宮 あ る い は 子 宮 内 膜 の 形 態 的 変 化 の 生 理 学 的 調 査[56, 75]な ど を 目 的 と し て い る が 、そ の 中 で 子 宮 内 膜 厚 と 受 胎 性 の 関 係 に つ い て 言 及 し て い る 研 究 は 極 め て 少 な い 。生 産 動 物 臨 床 分 野 に お い て 、超 音 波 検 査 が 普 及 す る 昨 今 、牛 で は 子 宮 内 膜 厚 の 測 定 方 法 を は じ め 、評 価 基 準 も 設 定 さ れ て い な い の が 現 状 で あ る 。人 は 単 子 宮 で あ り 、経 膣 プ ロ ー ブ を 用 い た 超 音 波 検 査 が 通 常 で あ る た め 、子 宮 お よ び 子 宮 内 膜 は 常 に 同 じ 方 向 か ら 描 出 さ れ る 。一 方 で 、牛 の 子 宮 は 両 分 子 宮 で あ り 、経 直 腸 プ ロ ー ブ を 用 い た 超 音 波 検 査 が ほ と ん ど で あ る た め 、左 右 子 宮 角 の 測 定 部 位 、プ ロ ー ブ を 当 て る 方 向( 縦 断 面 、横 断 面 )、測 定 範 囲 の 設 定 な ど 統 一 す べ き 条 件 が 多 く 、牛 の 子 宮 内 膜 厚 を 客 観 的 に 評 価 す る た め に は 課 題 が 多 い 。
月 経 周 期 中 で 剥 離 お よ び 増 生 を 繰 り 返 し 、 脱 落 膜 を 形 成 す る 人 の 子 宮 内 膜 と 異 な り 、 脱 落 膜 を 形 成 し な い 牛 の 子 宮 内 膜 は 、 卵 胞 期 に 厚 く な り 、 黄 体 期 に 元 の 厚 さ に 戻 る と い う 変 化 を 繰 り 返 す[56]。 こ の 卵 胞 期 の 変 化 は 病 理 組 織 学 的 に 子 宮 内 膜 が 充 血 し 、 浮 腫 を 起 こ す こ と に よ る も の で あ る と 報 告 さ れ て い る[47]。 未 経 産 牛 の 自 然 発 情 周 期 中 の 子 宮 壁 の 厚 さ の 形 態 学 的 変 化 を 超 音 波 検 査 で 観 察 し た 研 究 に お い て 、 黄 体 退 行 期 に 子 宮 壁 の 厚 さ が 増 加 し 始 め 、 排 卵 後 に 徐 々 に そ の 厚 さ が 減 少 す る こ と が 確 認 さ れ た[56]。
ま た 、 経 産 牛 の 定 時 人 工 授 精 プ ロ グ ラ ム に よ る 誘 起 発 情 に お い て 、 黄 体 退 行 処 置 の た め の プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン (PG)F2α処 置 後24時 間 以 内 に 子 宮 内
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膜 の 厚 さ が 急 速 に 増 加 し た と の 報 告 も あ る[75]。 一 般 的 に 、 牛 の 受 胎 率 は 自 然 発 情 お よ び 誘 起 発 情 に お い て 差 は な い と さ れ る が[11, 13, 76]、PGF2α
を 用 い た 誘 起 発 情 よ り も 自 然 発 情 に お け る 受 胎 率 の 方 が 高 い と い う 報 告 も あ る[78, 86]。 排 卵 同 期 化 プ ロ グ ラ ム 等 に よ る 種 々 の ホ ル モ ン 剤 を 用 い た 誘 起 発 情 に お い て は 、 主 席 卵 胞 の 老 化 や 十 分 な 大 き さ に 成 長 す る 前 の 主 席 卵 胞 の 排 卵 が そ の 後 の 受 精 や 胚 の 成 長 に 影 響 し 、 受 胎 性 の 低 下 に つ な が る と 考 え ら れ て い る[12, 49, 55, 79]。 さ ら に 、PGF2αに よ る 誘 起 発 情 に お い て 子 宮 内 膜 厚 が 急 速 に 増 加 し た こ と は[75]、 自 然 発 情 時 の 本 来 の 子 宮 内 膜 浮 腫 の 発 生 の タ イ ミ ン グ と 異 な り 、 子 宮 内 環 境 が 早 く に 変 化 す る こ と で 、 そ の 後 の 受 胎 性 に 影 響 を 与 え る 要 因 と な る 可 能 性 が 予 測 さ れ る 。 し た が っ て 、 自 然 発 情 お よ び 誘 起 発 情 に お け る 牛 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 を 直 接 比 較 し 、 形 態 学 的 変 化 の 詳 細 を 解 明 す る 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。
子 宮 機 能 調 節 の 中 心 的 役 割 を 果 た す 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン は 、発 情 周 期 に 伴 っ て 厚 さ が 増 減 す る 牛 の 子 宮 内 膜 の 形 態 学 的 変 化 に も 深 く 関 与 す る と 考 え ら れ る[10, 18, 31, 56, 57]。 し か し な が ら 、 子 宮 内 膜 厚 と 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン と の 関 係 に つ い て は 不 明 な 点 が 多 い 。一 般 的 に 、脱 落 膜 を 形 成 す る 霊 長 類 や 齧 歯 類 で は 、 卵 胞 発 育 に つ れ て 増 加 す る E2 に よ っ て 子 宮 内 膜 に 浮 腫 が 生 じ 、子 宮 内 膜 細 胞 が 増 殖 し て 子 宮 内 膜 厚 が 増 加 す る[5, 39, 83]。E2の 作 用 が ど の よ う に し て 細 胞 増 殖 に つ な が る か は 明 ら か に さ れ て い な い が 、血 管 内 皮 細 胞 成 長 因 子 (VEGF)、 上 皮 成 長 因 子 (EGF)、 繊 維 芽 細 胞 増 殖 因 子
(FGF)、血 小 板 由 来 増 殖 因 子(PDGF)な ど の 種 々 の 液 性 因 子 を 介 す る こ と が 示 唆 さ れ て い る[36]。ま た 、子 宮 内 膜 の 細 胞 が 分 化 し 脱 落 膜 を 形 成 し て い く 過 程 で は P4 も 大 き く 関 与 す る[72]。 非 妊 娠 時 の 子 宮 内 膜 の 脱 落 膜 化 は 軽 度 で あ る も の の 、 子 宮 内 膜 細 胞 の 形 態 変 化 に P4は 必 須 で あ る[36]。P4 の 作 用 が ど の よ う に し て 細 胞 変 化 を 誘 導 す る か は 明 ら か で は な い が 、マ ク ロ フ ァ
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ー ジ コ ロ ニ ー 刺 激 因 子(M-CSF)[30, 37]や 白 血 病 阻 止 因 子(LIF)[2, 40]な ど の サ イ ト カ イ ン を 介 す る こ と が 知 ら れ て い る 。さ ら に 、P4は E2と 同 様 に 、 VEGF を 介 し て 血 管 透 過 性 や 血 管 新 生 に 関 与 す る こ と が 報 告 さ れ て い る が [17, 26, 70]、 こ の 作 用 は E2ほ ど 急 速 か つ 強 力 な 作 用 で は な く 、 緩 徐 に 時 間 を か け て 作 用 す る[17, 32]。 一 方 、 牛[21, 28, 56, 75]お よ び 羊[35, 60]の 子 宮 内 膜 厚 や 子 宮 血 流 量 の 変 化 と E2 濃 度 と の 間 に は 相 関 性 が あ る こ と が 報 告 さ れ て い る 。卵 巣 を 摘 出 し た 羊 に お い て 、E2処 置 し た 場 合 は 細 胞 肥 大 に よ っ て 子 宮 重 量 が 増 加 し[35]、子 宮 内 膜 毛 細 血 管 の 発 達 と 血 流 量 増 加 が 認 め ら れ た [60]。 牛 の 子 宮 内 膜 に 対 す る E2 の 作 用 は 直 接 的 に 解 明 さ れ て い る わ け で は な い が 、卵 胞 期 に E2濃 度 が 上 昇 し[21, 28]、子 宮 内 膜 が 浮 腫 状 態 と な る こ と か ら 、霊 長 類 や 齧 歯 類 と 同 様 に 、E2が 子 宮 内 膜 厚 増 加 に 作 用 す る こ と が 推 測 さ れ て い る[56, 75]。 ま た 、P4が 子 宮 内 膜 の 変 化 に 関 与 す る こ と を 示 唆 し た 報 告 も あ る[34, 75]。 し か し 、 脱 落 膜 を 形 成 し な い 牛 に お い て は 、P4が 子 宮 内 膜 細 胞 の 分 化 や 増 殖 に 関 わ る と は 考 え に く く 、P4 の 牛 子 宮 内 膜 に 対 す る 作 用 の 詳 細 は 明 ら か に さ れ て い な い 。
こ の よ う に 、現 時 点 で は 牛 の 子 宮 内 膜 厚 の 測 定 方 法 や 評 価 基 準 は 確 定 さ れ て お ら ず 、将 来 的 に 牛 子 宮 内 膜 厚 と 受 胎 性 と の 関 係 を 解 明 す る た め に も 牛 子 宮 内 膜 厚 の 測 定 方 法 を 確 立 す る こ と は 意 義 深 い 。ま た 、発 情 周 期 に 応 じ て そ の 厚 さ が 変 化 す る 牛 子 宮 内 膜 厚 は 、血 中 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン バ ラ ン ス の 影 響 を 受 け 、子 宮 内 膜 の 反 応 性 や そ の 後 の 受 胎 性 に も 影 響 す る 可 能 性 が あ る 。し た が っ て 、発 情 周 期 中 の 牛 子 宮 内 膜 厚 お よ び 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 の 詳 細 を 評 価 し 、性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン が 子 宮 内 膜 に も た ら す 作 用 お よ び そ の 生 理 的 作 用 機 序 を 解 明 す る こ と は 、乳 牛 の 受 胎 率 改 善 に つ な が る と 考 え ら れ る 。
以 上 の こ と か ら 、本 研 究 で は 第 Ⅰ 章 に お い て 牛 子 宮 内 膜 厚 の 測 定 方 法 を 確
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立 す る た め 、超 音 波 検 査 に よ っ て 発 情 周 期 中 の 子 宮 内 膜 の 形 態 学 的 変 化 を 観 察 し 、さ ら に 、自 然 発 情 お よ び PGF2αを 用 い た 誘 起 発 情 に お け る 子 宮 内 膜 厚 と 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 と の 関 係 を 比 較 検 討 し た 。次 に 、第 Ⅱ 章 に お い て 卵 巣 摘 出 牛 を 作 出 し 、 外 因 性 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 処 置 (P4ま た は E2単 独 、あ る い は 併 用 )に よ り 、牛 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 に 対 す る P4お よ び E2の 作 用 を 検 討 し た 。ま た 、子 宮 内 膜 浮 腫 の 誘 因 に 最 も 密 接 に 関 与 し て い る こ と が 予 測 さ れ る VEGF に 着 目 し 、子 宮 内 膜 の 各 種 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 受 容 体 、 VEGF 受 容 体 、 お よ び VEGF の mRNA 発 現 を 定 量 し 、P4お よ び E2が 子 宮 内 膜 に 対 し て 形 態 的 変 化 を 引 き 起 こ す 生 理 学 的 作 用 機 序 に つ い て 検 討 し た 。
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第 Ⅰ 章 乳牛の子宮内膜厚 測定法の確立ならびに子宮内膜 厚、プロジェステロンおよびエストラジオール濃度の変化
1. 序文
超 音 波 検 査 に よ る 乳 牛 の 子 宮 内 膜 厚 の 形 態 学 的 変 化 を 評 価 し た こ れ ま で の 報 告 に お い て 、子 宮 内 膜 厚 の 測 定 方 法 は 各 々 の 研 究 で 異 な っ て い る 。発 情 周 期 を 通 し て 未 経 産 牛 子 宮 体 の 子 宮 漿 膜 面 か ら 子 宮 内 腔 ま で の 距 離 を 測 定 し た 報 告[56]、定 時 人 工 授 精 前 後 の 経 産 牛 子 宮 角 の 子 宮 内 膜 と 子 宮 筋 層 の 境 界 か ら 子 宮 内 腔 ま で の 距 離 を 測 定 し た 報 告[75]、黄 体 期 の 未 経 産 牛 右 子 宮 角 の 子 宮 内 膜 の 直 径 を 測 定 し た 報 告[34]な ど 、子 宮 内 膜 厚 の 測 定 方 法 が 様 々 で あ り 、共 通 の 評 価 基 準 が 設 定 さ れ て い な い 。超 音 波 検 査 に よ っ て 描 出 さ れ る 正 常 な 子 宮 内 膜 の 形 態 は 、発 情 周 期 に よ っ て 異 な る が 、正 円 形 か ら 楕 円 形 を 呈 し 、子 宮 内 腔 領 域 を 認 め る 場 合 と そ う で な い 場 合 と が あ る 。子 宮 内 腔 領 域 は 発 情 周 期 に よ る 子 宮 内 貯 留 物 や 子 宮 小 丘 の 存 在 に 影 響 を 受 け る た め 、い び つ な 不 整 形 と な り 、常 に 子 宮 内 膜 領 域 の 中 央 に 描 出 さ れ る わ け で は な い 。す な わ ち 、子 宮 内 膜 の 辺 縁 か ら 子 宮 内 腔 ま で の 距 離 を も っ て 子 宮 内 膜 厚 と し た 場 合 に は 、測 定 起 始 点 の 設 定 お よ び 子 宮 内 膜 の 形 状 や 内 腔 の 位 置 関 係 次 第 で 子 宮 内 膜 厚 が 大 き く 変 動 す る こ と に な る 。し た が っ て 、牛 の 子 宮 内 膜 厚 を 正 確 に 測 定 す る た め に は 、発 情 周 期 お よ び 超 音 波 検 査 に お い て 描 出 さ れ る 子 宮 内 腔 領 域 の 有 無 や 位 置 に 影 響 さ れ ず に 測 定 す る 方 法 を 考 慮 す る 必 要 が あ る 。 乳 牛 の 子 宮 内 膜 厚 は 個 体 差 が あ る こ と に 加 え 、産 次 数 を 重 ね る ほ ど 子 宮 内 膜 が 厚 く な る 傾 向 が あ る た め[75]、産 次 数 の 異 な る 個 体 間 で 子 宮 内 膜 厚 を 直 接 比 較 す る こ と は 困 難 で あ る 。ま た 、牛 の 子 宮 内 膜 は 卵 胞 期 に そ の 厚 さ が 増 加 す る こ と か ら 、子 宮 内 膜 厚 の 基 準 を 設 定 し て 子 宮 内 膜 厚 を 標 準 化 し 、発 情
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周 期 内 で 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 の 割 合( 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 )を 評 価 す る 手 法 が 有 用 で あ る と 予 測 さ れ る 。
そ こ で 、本 章 で は 発 情 周 期 を 通 し て 経 産 牛 の 子 宮 内 膜 の 超 音 波 検 査 を 行 い 、 子 宮 内 膜 の 形 態 や 子 宮 内 腔 領 域 を 考 慮 し た 測 定 方 法 を 実 践 し 、個 体 毎 に 厚 さ の 異 な る 子 宮 内 膜 厚 を 客 観 的 に 評 価 す る 測 定 法 を 検 討 し た 。そ れ ら の 手 法 を 利 用 し て 自 然 発 情 お よ び 誘 起 発 情 に お け る 子 宮 内 膜 厚 の 形 態 学 的 変 化 を 観 察 し 、さ ら に 、子 宮 内 膜 厚 の 周 期 的 変 化 、プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン(P4)濃 度 お よ び エ ス ト ラ ジ オ ー ル (E2) 濃 度 の 変 化 を 解 析 し た 。
2. 材料および方法
1)供 試 動 物
本 章 の 研 究 は 酪 農 学 園 大 学 動 物 実 験 指 針 に 基 づ い て 適 正 に 実 施 さ れ た
( 承 認 番 号 :VH25C3) 。 酪 農 学 園 大 学 フ ィ ー ル ド 教 育 セ ン タ ー 酪 農 生 産 ス テ ー シ ョ ン の 分 娩 後38~86日 の ホ ル ス タ イ ン 種 搾 乳 牛15頭 ( 初 産 牛8 頭 、2産 以 上 の 牛7頭 、 表1) を 供 試 し た 。 供 試 牛 は フ リ ー ス ト ー ル で 飼 養 さ れ 、National Research Council(NRC、2001年 ) に 準 拠 し た 栄 養 要 求 量 を 満 た す 完 全 混 合 試 料 (total mixed ration) 給 餌 で あ り 、1日2回 搾 乳 さ れ た 。 い ず れ の 供 試 牛 も 分 娩 後 か ら 試 験 開 始 ま で に ホ ル モ ン 剤 に よ る 治 療 や 発 情 お よ び 排 卵 同 期 化 な ど の ホ ル モ ン 剤 を 使 用 し た 繁 殖 プ ロ グ ラ ム 処 置 を 受 け て い な か っ た 。 試 験 開 始 に あ た り 、 供 試 牛 に 対 し 直 腸 検 査 、 腟 検 査 [82]、 生 殖 器[66]お よ び 卵 巣 構 造 物[67]の 超 音 波 検 査 、 子 宮 内 膜 細 胞 診[65]
な ど の 検 査 を 実 施 し 、 臨 床 的 に 正 常 で 、 生 殖 器 に 異 常 を 認 め な い 牛 を 選 抜 し た 。 な お 、 本 章 の 試 験 中 に 何 ら か の 繁 殖 障 害 を 呈 し た 牛 あ る い は 内 科 疾
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患 に 罹 患 し た 牛 は 供 試 か ら 除 外 し た 。
表 1
第 Ⅰ章 の研 究 の供 試 牛 一 覧 供 試 牛
No. 産 次 数 分 娩 後 日 数*
1 5 73
2 1 61
3 1 68
4 1 40
5 1 39
6 1 36
7 6 80
8 2 40
9 2 35
10 2 35
11 2 36
12 3 86
13 1 52
14 1 43
15 1 37
*分 娩 ~1 回 目 の腟 内 留 置 型 プロジェステロン徐 放 剤 (CIDR)処 置 開 始 までの日 数
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2)発 情 誘 起 と発 情 発 見
す べ て の 供 試 牛 に 腟 内 留 置 型 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン 徐 放 剤(CIDR1900、ゾ エ テ ィ ス ・ ジ ャ パ ン ) を 5~7 日 間 腟 内 に 留 置 し 、CIDR 抜 去 と 同 時 に プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン(PG)F2α( ジ ノ プ ロ ス ト ト ロ メ タ ミ ン 、プ ロ ナ ル ゴ ン F、ゾ エ テ ィ ス ・ ジ ャ パ ン ) を 1 頭 あ た り 25 mg 投 与 す る こ と で 、 発 情 を 誘 起 し た 。 検 査 実 施 時 に は 毎 回 2 名 以 上 で 30 分 間 に わ た っ て 供 試 牛 の 発 情 行 動 を 観 察 し た 。他 牛 の 陰 部 の 臭 い 嗅 ぎ あ る い は 顎 乗 せ 行 動 、乗 駕 行 動 、乗 駕 許 容 な ど の 発 情 行 動 の 確 認 に よ り 発 情 と 判 断 し た 。
3)超 音 波 検 査
(1)機 器 の設 定
超 音 波 検 査 に は 動 物 用 経 直 腸 リ ニ ア 型 プ ロ ー ブ(5~10 MHz、HLV-475M、
本 多 電 子 、 愛 知 ) を 接 続 し た 超 音 波 診 断 装 置 (HS-2100V、 本 多 電 子 ) を 用 い た 。衛 生 面 を 考 慮 し 、I 字 型 の 経 直 腸 プ ロ ー ブ に は ビ ニ ー ル カ バ ー を 施 し 、 個 体 毎 に 取 り 換 え な が ら 経 直 腸 で の 卵 巣 お よ び 子 宮 角 横 断 面 像 を 観 察 し た 。 超 音 波 診 断 装 置 は 常 に 周 波 数 7.5 MHz、 深 度 3 ㎝ 、 超 音 波 出 力 60% 、 ゲ イ ン 86 dB に 設 定 し た 。
(2)子 宮 内 膜 厚 の評 価
子 宮 の 超 音 波 検 査 は 、直 腸 内 で プ ロ ー ブ を 子 宮 の 長 軸 に 対 し て 垂 直 に 保 持 し 、子 宮 体 背 側 面 か ら 左 右 そ れ ぞ れ の 子 宮 角 に 向 け て 子 宮 横 断 面 像 を 描 出 し た 。そ の 際 、強 引 な 直 腸 壁 の 操 作 や 子 宮 へ の 過 度 な 刺 激 は 子 宮 収 縮 に よ る 子 宮 形 態 の 変 化 を 誘 引 し て し ま う た め 、極 力 ゆ っ く り 丁 寧 に 検 査 す る よ う 細 心 の 注 意 を 払 っ た 。超 音 波 検 査 部 位 は 左 右 子 宮 角 の 角 間 間 膜 付 着 部 ( 図 1)と し[68]、横 断 面 静 止 画 像 を 取 り 込 み 保 存 し た 。検 査 中 は 超 音 波 動 画 も デ ジ タ ル レ コ ー ダ ー(VR570、東 芝 テ リ ー 、東 京 )を 用 い て 同 時 に 録 画 し 、取 り 込
12
み 保 存 し た 超 音 波 静 止 画 像 が 十 分 で は な い と 判 断 さ れ た 場 合 に 利 用 し た 。描 出 さ れ た 子 宮 角 横 断 面 の う ち 、子 宮 筋 層 の 内 側 の 低 エ コ ー 領 域 と し て 描 出 さ れ る 血 管 層 の 内 側 領 域 を 子 宮 内 膜 と し た[18]( 図 2a)。 子 宮 内 膜 の 厚 さ は Image J(Rasband, W. S., ImageJ, U. S. National Institute of Health, Bethesda, USA, http://imagej.nih.gov/ij/, 1997-2016) を 用 い て 測 定 し た 。 子 宮 内 膜 の 形 態 は 円 形 か ら 楕 円 形 を 呈 す こ と が 多 い た め 、子 宮 内 膜 領 域 の 長 径 お よ び 短 径 の 平 均 値 を 直 径 と し て 算 出 し た( 図 2b)。子 宮 内 腔 領 域 が あ っ た 場 合 、子 宮 内 腔 領 域 の 長 径 お よ び 短 径 の 平 均 値 を 同 様 に 算 出 し 、子 宮 内 膜 領 域 の 直 径 か ら 減 じ た ( 図 2c)。 こ の 測 定 方 法 に よ っ て 左 右 そ れ ぞ れ 子 宮 内 膜 厚 を 測 定 し 、左 右 子 宮 内 膜 厚 の 平 均 値 を そ の 個 体 の 子 宮 内 膜 厚 と し た 。子 宮 内 膜 厚 直 径 の 算 出 法 は 下 式 の 通 り で あ る 。
子 宮 内 膜 厚 直 径
= {(右 子 宮 内 膜 長 径 + 短 径)/2 + (左 子 宮 内 膜 長 径 + 短 径)/2}/2
(3)卵 巣 の評 価
卵 巣 構 造 物 で あ る 黄 体 お よ び 最 も 大 き な 卵 胞 に つ い て も 超 音 波 検 査 を 実 施 し 、 そ の 直 径 を 測 定 し た 。 こ れ ら の 卵 巣 構 造 物 の 直 径 は 子 宮 内 膜 と 同 様 、 そ の 長 径 と 短 径 の 平 均 値 を 算 出 す る こ と に よ っ て 求 め た 。排 卵 の タ イ ミ ン グ は 、超 音 波 検 査 で 初 め て 排 卵 が 確 認 さ れ た 検 査 時 と し た 。ま た 、す べ て の 供 試 牛 に お い て 最 後 の 発 情 行 動 が 観 察 さ れ て か ら 48 時 間 以 内 に 排 卵 し た こ と が 確 認 さ れ た 。
図1. 超音波検査部位模式図
左右子宮角の角間間膜付着部で子宮角横断面像を描出。
子宮角
子宮頸
角間間膜
測定部位
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(a)
血管層 子宮内膜領域
筋層 外膜
(b)
(b) 子宮内膜厚直径 = (子宮内膜長径 + 短径)/2
(c) 子宮内膜厚直径 = (子宮内膜長径 + 短径)/2 – (内腔長径+ 短径)/2 子宮内膜領域 子宮内腔領域
図2. 子宮角横断面模式図 (a)
、
楕円形(b) および 内腔を有する(c)子宮 内膜超音波画像子宮内膜領域は血管層の内側とした (a)。子宮内膜超音波画像(b)および (c)は供試牛No. 11(表1)の左子宮角で、(b)は黄体期(排卵後9日目)の子 宮内膜の典型例、(c)は卵胞期(排卵2日前)の子宮内膜典型例を示した。子 宮内膜厚の算出式を以下に示す。
(c)
14
15
4)採 血
超 音 波 検 査 と 同 時 に 、約 20 ml の 採 血 を 実 施 し た 。頸 静 脈 よ り 採 血 す る 場 合 に は 18 G 針 を 装 着 し た 20 ml シ リ ン ジ を 使 用 し 、 正 中 尾 静 脈 よ り 採 血 す る 場 合 に は 採 血 針 を 装 着 し た 採 血 ホ ル ダ ー を 用 い た 。 血 液 は 処 理 す る ま で EDTA 加 真 空 採 血 管(VenojectⅡEDTA、テ ル モ 、東 京 )で 冷 蔵 保 存 し 、3000 rpm で 15 分 間 遠 心 分 離 後 、 そ の 血 漿 を ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 測 定 ま で-30℃
で 凍 結 保 存 し た 。
5)血 中 性 ステロイドホルモンの測 定
血 漿 中 の P4お よ び E2濃 度 の 測 定 は Yanagawa ら [88]の 競 合 型 2 抗 体 酵 素 免 疫 測 定 法(EIA)を 応 用 し た 。P4測 定 の 一 次 抗 体 に ウ サ ギ 抗 プ ロ ジ ェ ス テ ロ ン-3-(O-carboxy-methyl) oxime (CMO) 血 清 (KZ-HS-P13、Cosmo Bio、 東 京 )、E2 測 定 の 一 次 抗 体 に ウ サ ギ 抗 エ ス ト ラ ジ オ ー ル-17β-6-CMO 血 清(FKA-204、Cosmo Bio)を 用 い た 。測 定 用 緩 衝 液 は 145 mM NaCl( 塩 化 ナ ト リ ウ ム 、関 東 化 学 、大 阪 )、40 mM Na2HPO4( リ ン 酸 二 水 素 ナ ト リ ウ ム 、 関 東 化 学 ) を pH 7.2 に 調 整 し た 溶 液 と し (Ca お よ び Mg 不 含 )、 使 用 直 前 に 0.1% 牛 血 清 ア ル ブ ミ ン(A7030、SIGMA-ALDRICH、St. Louis、MO、
USA) を 添 加 し 、 測 定 に 用 い た 。 洗 浄 液 は 0.05% ツ ィ ー ン 80(Tween80、
関 東 化 学 )を 使 用 し た 。基 質 溶 液 は C16H20N2(TMB; 3,3’5,5’-テ ト ラ メ チ ル ベ ン ジ ジ ン 、 東 京 化 成 工 業 、 東 京 ) を 主 成 分 と す る 溶 液 、 す な わ ち 5 mM C6H8O7・H2O( ク エ ン 酸 水 和 物 、ナ カ ラ イ テ ス ク 、京 都 )、50 mM Na2HPO4、 500 mM CH4N2O・H2O2(UHP; 過 酸 化 水 素 尿 素 、SIGMA-ALDRICH)、1 mM TMB、2%C2H6OS(DMSO; ジ メ チ ル ス ル ホ キ シ ド 、関 東 化 学 )を 調 整 し て 用 い た 。P4お よ び E2の 測 定 に は 96 ウ ェ ル マ イ ク ロ プ レ ー ト(Costar 3590、
CORNING、Corning、NY、USA)に ヤ ギ 抗 IgG 血 清(111-005-003、Jackson
16
Immuno Research Laboratories、West Grove、PA、USA)を 2 µg/ml に 調 整 し て 各 ウ ェ ル に コ ー テ ィ ン グ し 、測 定 用 緩 衝 液 で ブ ロ ッ キ ン グ し た も の を 用 い た 。 い ず れ の サ ン プ ル も 3 ウ ェ ル ず つ 使 用 し て 評 価 し た 。
(1)P4濃 度 測 定 のための試 料 調 整 と操 作 手 順
P4は ジ エ チ ル エ ー テ ル を 用 い て 2 回 抽 出 し た 。200 µl の 血 漿 を 16 × 100 mm の ガ ラ ス 試 験 管 に 分 注 し 、ジ エ チ ル エ ー テ ル 2 ml を 加 え て 15 分 間 振 盪 し た の ち 5 分 間 静 置 し た 。 こ れ を ビ ー ズ 状 ド ラ イ ア イ ス (-79℃ ) で 冷 却 し た ア セ ト ン に 浸 し て 血 漿 層 を 凍 結 さ せ 、液 状 エ ー テ ル 層 を 別 の 新 し い ガ ラ ス 試 験 管 に 移 し た 。 こ の ガ ラ ス 試 験 管 を 43℃ の ウ ォ ー タ ー バ ス で 加 温 し て 乾 固 し た 。凍 結 血 漿 層 が 残 っ た ガ ラ ス 試 験 管 を 室 温 に 戻 し て 融 解 し 、再 度 ジ エ チ ル エ ー テ ル 2 ml を 加 え て 同 様 の 操 作 を 行 っ た 。2 回 目 の 抽 出 操 作 の ジ エ チ ル エ ー テ ル 加 血 漿 ガ ラ ス 試 験 管 の 液 状 エ ー テ ル 層 は 1 回 目 の 抽 出 で 乾 固 し 終 え た ガ ラ ス 試 験 管 に 移 し た の ち に 同 様 に 乾 固 し た 。ガ ラ ス 試 験 管 内 壁 に 付 着 し た 抽 出 物 を 試 験 管 底 に 落 と す た め 、1 ml の ジ エ チ ル エ ー テ ル を 試 験 管 内 壁 全 面 に 沿 わ せ る よ う に 加 え 、 再 度 43℃ ウ ォ ー タ ー バ ス で 加 温 し て 乾 固 し た 。 こ の ガ ラ ス 試 験 管 に 200 µl の 測 定 用 緩 衝 液 を 加 え て 抽 出 物 を 溶 解 し 、EIA に 供 し た 。ヤ ギ 抗 ウ サ ギ IgG コ ー テ ィ ン グ プ レ ー ト を 洗 浄 液 で 2 回 洗 浄 し た 後 、 血 漿 サ ン プ ル 抽 出 液 お よ び P4 標 準 品 (P-0130、SIGMA- ALDRICH) を 測 定 用 緩 衝 液 で 2 倍 階 段 希 釈 し た 希 釈 液 を 20 µl ず つ ウ ェ ル 内 に 添 加 し た 。 一 次 抗 体 と し て ウ サ ギ 抗 P4 血 清 を 測 定 用 緩 衝 液 で 160,000 倍 希 釈 し 、 各 ウ ェ ル に 100 µl ず つ 加 え た 。 さ ら に 、 測 定 用 緩 衝 液 で 80,000 倍 希 釈 し た ホ ー ス ラ デ ィ ッ シ ュ ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ (HRP) 標 識-P4を 競 合 抗 体 と し て 100 µl ず つ 加 え 、遮 光 4℃ で 16~18 時 間 反 応 さ せ た 。 そ の 後 、ウ ェ ル 内 の 反 応 液 を 捨 て 、洗 浄 液 で 4 回 洗 浄 し た 後 各 ウ ェ ル に 基 質 溶 液 150 µl ず つ を 添 加 し 、37℃40 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 こ れ に 反 応 停 止 液 (2M-
17
H2SO4; 硫 酸 、 関 東 化 学 ) を 50 µl ず つ 加 え て 5 分 間 静 置 し た 。 各 ウ ェ ル の 反 応 溶 液 の 吸 光 度 は マ イ ク ロ プ レ ー ト リ ー ダ ー (Model 550、BIO-RAD Laboratories、 東 京 ) を 用 い て 波 長 450 nm で 測 定 し た 。 測 定 内 お よ び 測 定 間 変 動 は そ れ ぞ れ 5.4% 、8.1% で あ っ た 。
(2)E2濃 度 測 定 のための試 料 調 整 と操 作 手 順
E2は 、2 ml の 血 漿 に ジ エ チ ル エ ー テ ル 6 ml を 加 え て 、P4と 同 様 の 操 作 で 抽 出 し た 後 、永 田 ら[50]の 方 法 に 準 じ 、ア セ ト ニ ト リ ル-ヘ キ サ ン 分 配 法 を 応 用 し た 脱 脂 操 作 を 行 っ た 。 抽 出 乾 固 済 ガ ラ ス 試 験 管 に ア セ ト ニ ト リ ル 0.5 ml お よ び ヘ キ サ ン 1 ml を 添 加 し 、3 分 間 振 盪 し た 後 さ ら に ヘ キ サ ン 1 ml を 加 え 、 ヘ キ サ ン 層 を 吸 引 除 去 し た 。 ヘ キ サ ン 1 ml を 加 え て 振 盪 、 吸 引 除 去 す る 操 作 を さ ら に 2 回 反 復 し 、 最 後 に も う 一 度 ヘ キ サ ン 1 ml を 加 え 、 振 盪 せ ず に 吸 引 除 去 し た 。ガ ラ ス 試 験 管 内 に 残 さ れ た ア セ ト ニ ト リ ル 層 は 遠 心 エ バ ポ レ ー タ ー を 用 い て 乾 固 し た 。 こ の ガ ラ ス 試 験 管 に 分 注 血 漿 の 20 倍 濃 縮 と な る よ う 100 µl の 測 定 用 緩 衝 液 を 加 え て 抽 出 物 を 溶 解 し 、EIA に 供 し た 。こ れ 以 降 の 操 作 は P4濃 度 測 定 操 作 と 同 様 に 行 っ た 。た だ し 、試 薬 は E2
標 準 品(E-1132、SIGMA-ALDRICH)、320,000 倍 希 釈 し た 一 次 抗 体 の ウ サ ギ 抗 E2血 清 、80,000 倍 希 釈 し た HRP 標 識-E2を 使 用 し た 。測 定 内 お よ び 測 定 間 変 動 は そ れ ぞ れ 5.0% 、14.6% で あ っ た 。
6)試 験 プロトコール
供 試 牛 (n = 15)へ の ホ ル モ ン 処 置 、 超 音 波 検 査 、 採 血 ス ケ ジ ュ ー ル を 図 3 に 示 し た 。15 頭 す べ て の 供 試 牛 の 卵 巣 構 造 物 と し て 、機 能 性 黄 体(20 mm 以 上 ) お よ び 主 席 卵 胞 に 成 長 す る こ と が 予 測 さ れ た 10 mm 以 上 の 大 き な 卵 胞 の 存 在 を 超 音 波 検 査 に よ っ て 確 認 し た の ち 、本 章 の 材 料 と 方 法 2)で 示 し た 発 情 誘 起 方 法 に 従 っ て CIDRお よ び PGF2αを 組 み 合 わ せ た 処 置 を 行 い 、1
18
回 目 の 発 情 を 誘 起 し た 。そ の 後 、No. 1~9(n = 9、図 3 上 段 、表 2)の 供 試 牛 は 2 回 目 の 発 情 を 自 然 発 情 で 供 し た 。 こ の No. 1~9 の 供 試 牛 よ り 得 ら れ た 自 然 発 情 9 周 期 分 を 自 然 発 情 群 (n = 9) と し た 。No. 10~15(n = 6、 図 3 下 段 、 表 2) の 供 試 牛 に つ い て は 1 回 目 の 発 情 と 同 様 の 発 情 誘 起 方 法 で 2 回 目 の 発 情 を 再 度 誘 起 し た 。1 回 目(No. 1~15、n = 15)お よ び 2 回 目(No.
10~15、n = 6)の 誘 起 発 情 を 合 わ せ る と 計 21 周 期 分 の 誘 起 発 情 デ ー タ で あ っ た が 、 そ の う ち 1 回 目 (No. 7~11、n = 5) お よ び 2 回 目 (No. 10~15、
n = 6)の 計 11 周 期 分 の 誘 起 発 情 デ ー タ を 誘 起 発 情 群 と し て 使 用 し た( 表 2、
白 抜 き )。の べ 21 周 期 分 の 誘 起 発 情 の う ち 、残 り の 10 周 期 分 の デ ー タ(No.
1~6、No. 12~15、表 2、網 掛 け )は PGF2α投 与 前 段 階 の 超 音 波 検 査 を 十 分 に 行 え て い な か っ た た め 、 誘 起 発 情 群 か ら 除 外 し た 。
自 然 発 情 群( 図 3 上 段:No. 1~9 の 発 情 2 回 目 )の 9 頭 の 超 音 波 検 査 は 、 1 回 目 の 排 卵 後 3 日 目 か ら 黄 体 退 行 開 始(15~18 日 目 )ま で 48 時 間 間 隔 で 実 施 し た の ち 、6 時 間 間 隔 の 検 査 に 切 り 替 え 、次 の 排 卵 後 24 時 間(1 日 )目 ま で 継 続 し た 。 そ の 後 、2、3、5、7 日 目 に 検 査 を 1 日 1 回 実 施 し た 。 誘 起 発 情 ( 図 3 上 段 :No. 1~9 の 発 情 1 回 目 、 下 段 :No. 10~15 の 発 情 1 お よ び 2 回 目 ) に お い て は 、PGF2αを 投 与 す る 48~24 時 間 前 に 6 時 間 間 隔 の 超 音 波 検 査 を 開 始 し 、 排 卵 (0 日 ) 後 24 時 間 (1 日 ) 目 ま で 継 続 し た 。 そ の 後 、2、3、5、7 日 目 に 検 査 を 1 日 1 回 実 施 し た 。2 回 目 の 発 情 誘 起 は 7 日 目 に CIDR を 留 置 し 、本 章 の 材 料 と 方 法 2)に 示 し た 発 情 誘 起 方 法 で 実 施 し た 。 そ の 後 、14 日 目 に PGF2α投 与 す る 48~24 時 間 前 に 6 時 間 間 隔 の 超 音 波 検 査 を 開 始 し 、1 回 目 の 誘 起 発 情 と 同 様 に 検 査 を 実 施 し た 。
発情
2
0 1 3 15-18
PGF2α
7 3 2 1 0 5-7日間
超音波検査 および採血
6時間間隔* 48時間間隔 6時間間隔 48時間間隔
CIDR
処置開始日
図3.ホルモン処置および検査スケジュール
15頭の供試牛(表1)に腟内留置型プロジェステロン徐放剤(CIDR)とプロスタグランジ ン(PG)F2αを組み合わせた処置によって1回目の発情を誘起した。いずれの牛も、
CIDR処置時には機能性黄体と主席卵胞と予測される大卵胞の存在を超音波検査で 確認した。図は排卵日を0日とした。供試牛の概要は表 1を参照。
9頭(No.1~9、上段)は引き続き黄体期も検査を継続し、自然発情で2回目の発情時も 検査した。
6頭(No. 10~15、下段)は排卵後7日目よりCIDRとPGF2αによる同様の発情誘起方 法で2回目の発情を誘起して検査を行った。
*6時間間隔の超音波検査はPGF2α処置の48~24時間前より開始した。
14 PGF2α
7 48時間間隔
3 0 1 2 3 7
48時間間隔 CIDR
7日間
6時間間隔*
発情
2 0 1 PGF2α
5-7日間
超音波検査 および採血
6時間間隔*
CIDR
処置開始日
供試牛No. 1~9: (1回目)誘起発情、(2回目)自然発情
供試牛No. 10~15: (1回目)誘起発情、(2回目)誘起発情
排卵後日数
19
20
表2
15頭の供試牛における合計30周期分の発情データの内訳 供試牛
No. 1回目の発情周期 2回目の発情周期 1 誘起発情 自然発情 2 誘起発情 自然発情 3 誘起発情 自然発情 4 誘起発情 自然発情 5 誘起発情 自然発情 6 誘起発情 自然発情 7 誘起発情 自然発情 8 誘起発情 自然発情 9 誘起発情 自然発情 10 誘起発情 誘起発情 11 誘起発情 誘起発情 12 誘起発情 誘起発情 13 誘起発情 誘起発情 14 誘起発情 誘起発情 15 誘起発情 誘起発情
:網掛けの誘起発情データは誘起発情群から除外
15 頭の供試牛に腟内留置型プロジェステロン徐放剤(CIDR)とプロスタグランジン
(PG)F2αを組み合わせた処置によって発情を誘起した(図3)。
15頭中9頭(No. 1~9)の供試牛は自然発情で2回目の発情時も検査し、9周期分 の自然発情データを自然発情群とした。
残りの6頭(No. 10~15)は再度2回目の発情を誘起した。1回目の誘起発情のうち 5周期分(No. 7~11)と2回目の誘起発情の6周期分(No. 10~15)を合わせて11 周期分の誘起発情を誘起発情群とした。10周期分の誘起発情データ(No. 1~6、No.
12~15、網掛け)はPGF2α投与前段階の超音波検査を十分に行えていなかったため、
誘起発情群から除外した。
21
7)統 計 処 理
そ れ ぞ れ の 測 定 値 は 平 均 値 ± 標 準 誤 差 で 示 し た 。子 宮 内 膜 厚 の 標 準 化 に 適 し た 基 準 日 を 設 定 す る た め 、No. 1~9( 表 3) の 9 頭 の 供 試 牛 の 卵 胞 期 か ら 黄 体 期 間 の 子 宮 内 膜 厚 の デ ー タ を 用 い 、 一 元 配 置 分 散 分 析 を 行 っ た 後 Tukey-Kramer 多 重 比 較 検 定 に よ り 比 較 し た 。子 宮 内 膜 厚 標 準 化 基 準 日 は 子 宮 内 膜 厚 が 薄 く 、誤 差 範 囲 の 小 さ い 黄 体 期 の 1 日 と し 、排 卵 後 5~17 日 目 を そ れ ぞ れ 基 準 日 と し た 場 合 で 解 析 を 行 っ た 。 本 章 で は 13 日 目 を 標 準 化 基 準 日 に 設 定 し 、す べ て の 子 宮 内 膜 厚 測 定 値 を 基 準 日 の 測 定 値 に 対 す る 変 化 率 に よ っ て 標 準 化 し た 。 ま た 、 す べ て の 供 試 牛 の 左 右 子 宮 角 よ り 得 ら れ た 13 日 目 の 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 に つ い て 、Student’s t-test を 用 い て 左 右 間 の 比 較 を 行 っ た 。 自 然 発 情 お よ び 誘 起 発 情 に お け る 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 、P4濃 度 、 E2濃 度 よ び 性 ス テ ロ イ ド ホ ル モ ン 濃 度 比(E/P 比 )は 二 元 配 置 分 散 分 析 重 複 測 定 を 行 っ た 後 、必 要 に 応 じ て post hoc test と し て Student’s t-test を 用 い て 同 一 検 査 日 の 2 群 間 の 比 較 検 定 を 行 っ た 。同 一 群 内 に お け る 異 な る 検 査 日 の 2 群 間 比 較 に は Tukey-Kramer 多 重 比 較 検 定 を 用 い 、 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 お よ び ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 を 解 析 し た 。 そ の 解 析 結 果 模 式 図 を 図 4 に 示 し た 。子 宮 内 膜 厚 変 化 率 ま た は E2濃 度 の 変 化 は 符 号 a を 基 底 と し 、異 符 号 ab に 変 化 す る ポ イ ン ト を 増 加( 上 昇 )開 始 と し た( 図 4a)。ま た 、符 号 a お よ び 異 符 号 ab を 付 さ れ た 値 は 同 等 で あ り 、ab を 基 底 レ ベ ル と し た 。子 宮 内 膜 厚 変 化 率 ま た は E2濃 度 が 最 高 値 に 達 し た ポ イ ン ト ( 符 号 e、 図 4a) を ピ ー ク と し 、 ピ ー ク と 同 等 で あ っ た 値 ( 異 符 号 de、 図 4a) を ピ ー ク レ ベ ル と し た 。 ピ ー ク か ら ピ ー ク レ ベ ル に 変 化 し た ポ イ ン ト を 減 少 ( 低 下 ) 開 始 と し 、 再 び 異 符 号 abを 付 さ れ た 値 を 基 底 レ ベ ル と し た 。P4濃 度 の 変 化 に お い て は 、 試 験 開 始 後 よ り 符 号 e( 図 4b) か ら 異 符 号 de に 変 化 し た ポ イ ン ト を 低 下 開 始 ( 図 4b) と し た 。 い ず れ の 検 定 結 果 も P < 0.05 を も っ て 有 意 差 あ り と 判
22
定 し た 。こ れ ら の 解 析 に は 、統 計 解 析 ソ フ ト(Statcel 第 3 版 、OMS 出 版 、 埼 玉 ) を 使 用 し た 。
表 3
子 宮 内 膜 厚 標 準 化 基 準 日 の検 討 に使 用 した供 試 牛 一 覧 供 試 牛
No.
標 準 化 基 準 日 の設 定 1 回 目 の発 情 周 期
1 +
2 +
3 +
4 +
5 +
6 +
7 +
8 +
9 +
10 -
11 -
12 -
13 -
14 -
15 -
+:解 析 に使 用 した発 情 周 期 -:解 析 に使 用 しなかった発 情 周 期
9 頭 の 供 試 牛 (No. 1~9) の 1 回 目 の 発 情 周 期 ( 卵 胞 期 ~ 黄 体 期 ) を 子 宮 内 膜 厚 測 定 値 の 標 準 化 基 準 日 の 設 定 に 用 い た ( 図 5) 。
No. 10~15 の 供 試 牛 は 黄 体 期 ( 排 卵 後 9~17 日 目 ) に は 検 査 し て お ら ず ( 図 3) 、 子 宮 内 膜 厚 デ ー タ が な い た め 解 析 か ら 除 外 し た 。
a a a ab b
cd de
e
de cd
b ab
a a a
基底レベル 増加(上昇)開始
ピーク ピークレベル
ピークレベル 減少(低下)開始
基底 基底レベル 基底
排卵
①
③
④ ⑤ ⑥
⑦
(a)
図4a. 多重比較検定による子宮内膜厚変化率およびエストラジオール
(E2)濃度変化の解析結果模式図
図中の①~⑦は以下の評価項目の所要時間を表す。
① 増加(上昇)開始から排卵まで
②プロスタグランジン(PG)F2α投与から増加(上昇)開始まで
③ピークレベル到達から排卵まで
④増加(上昇)開始からピークレベル到達まで
⑤ピークレベル到達から減少(低下)開始まで(ピークレベル持続時間)
⑥減少(低下)開始から基底レベル到達まで
⑦排卵から基底レベル到達まで
(PGF2α処置)
②
23
a a a ab
e
de cd
b
ab a a
低下開始
基底 基底レベル
排卵
② ①
(b)
(PGF2α処置)
③
④
図4b. 多重比較検定によるプロジェステロン(P4)濃度変化の解析結 果模式図
図中の①~④は以下の評価項目の所要時間を表す。
① 低下開始から排卵まで
②PGF2α投与から低下開始まで
③基底レベル到達から排卵まで
④低下開始から基底レベル到達まで
24
25
3. 結果
1)発 情 周 期 中 の子 宮 内 膜 厚 変 化 と標 準 化
1 回 目 の 誘 起 発 情 後 の 周 期 を 観 察 し た 供 試 牛 (No. 1~9、n = 9、 表 3) の 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 を 図 5 に 示 し た 。 排 卵 前 60~6 時 間 の 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 は 23.4 ± 0.3 mm( 範 囲 16.9~29.6 mm、 図 5a) で あ り 、 排 卵 後 5~
17 日 は 17.2 ± 0.2 mm( 範 囲 13.4~22.8 mm、 図 5a) で あ っ た 。 排 卵 前 60~6 時 間 の 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 は 排 卵 後 5~17 日 の 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 と の 間 の す べ て の 組 み 合 わ せ に お い て 、有 意 に 厚 か っ た(P < 0.05)。黄 体 期 ( 排 卵 後 5、7、9、11、13、15 お よ び 17) の 1 日 の 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 を 子 宮 内 膜 厚 標 準 化 の 基 準 に 設 定 し た と こ ろ 、黄 体 期 の い ず れ の 日 の 実 測 値 を 基 準 と し て も 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 で 示 し た 発 情 周 期 中 の 子 宮 内 膜 厚 の 変 化 は 同 様 で あ っ た 。し た が っ て 、本 章 で は 、自 然 発 情 群 お よ び 誘 起 発 情 群 の 両 群 に お い て 観 察 デ ー タ が 揃 っ て い る 黄 体 期 の 1 日 ( 排 卵 後 5、7 お よ び 13 日 目 )で 、子 宮 内 膜 厚 が 最 も 薄 か っ た 排 卵 後 13 日 目(16.8 ± 0.5 mm、
範 囲 13.4~18.7 mm、n = 9、図 5a)の 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 を 基 準 値(1.0)
に 設 定 し 、す べ て の 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 を 基 準 値 に 対 す る 変 化 率 に 換 算 す る こ と で 標 準 化 し た( 図 5b)。な お 、本 章 の 研 究 に 供 し た 牛 の 左 右 子 宮 角 か ら 得 ら れ た 子 宮 内 膜 厚 直 径 実 測 値 を 左 右 間 で 比 較 し た が 、有 意 な 差 は 認 め ら れ な か っ た (P = 0.92)。
図5. 実測値で示した子宮内膜厚変化(a)および 標準化した子宮内膜厚変化(b)
9頭の供試牛(No. 1~9、表1)の1回目の誘起発情から黄体期の子宮内膜厚直
径測定値(a)を排卵後13日目の測定値( )を基準(1.0)としてすべての測定値を 変化率(b)で示した(平均 ± 標準誤差)。排卵前60~6時間の子宮内膜厚は排卵 後5~17日の子宮内膜厚との間のすべての組み合わせにおいて有意に厚かった
(P < 0.05)。図は排卵日を0日とした。
0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8
-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 16
18 20 22 24 26
-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
(a)
(b)
1.0
子宮内膜直径(mm)子宮内膜厚変化率
排卵後日数
卵胞期 黄体期
26
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2)自 然 発 情 群 における排 卵 前 後 の子 宮 内 膜 厚 変 化 率 および血 中 性 ス テロイドホルモン濃 度 の変 化
自 然 発 情 群 に お け る 排 卵 前 後 の 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 お よ び ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 を 図 6 に 、 そ れ ぞ れ の 所 要 時 間 を 表 4 に 示 し た 。
自 然 発 情 群 で は 、排 卵 前 114 時 間 か ら 子 宮 内 膜 厚 が 増 加 し 始 め 、排 卵 前 96 時 間 で ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し た 。子 宮 内 膜 厚 は 102 時 間 ピ ー ク レ ベ ル を 持 続 し た 後 、排 卵 前 6 時 間 よ り 減 少 し 始 め た 。6 時 間 間 隔 の 超 音 波 検 査 を 行 っ た 排 卵 後 24 時 間 ま で に 自 然 発 情 群 の 子 宮 内 膜 厚 は 基 底 レ ベ ル に 戻 ら な か っ た 。 子 宮 内 膜 厚 の 増 加 開 始 以 前 に 、P4 濃 度 の 低 下 開 始 ( 排 卵 前 138 時 間 ) お よ び E2濃 度 の 上 昇 開 始( 排 卵 前 132 時 間 )が 認 め ら れ た 。P4濃 度 は 排 卵 前 66 時 間 に 基 底 レ ベ ル に 到 達 し た 。E2濃 度 は 排 卵 前 54 時 間 で ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し 、24 時 間 ピ ー ク レ ベ ル を 持 続 し た 後 、 排 卵 前 30 時 間 よ り 低 下 し 始 め 、 排 卵 後 6 時 間 ま で に 基 底 レ ベ ル に 到 達 し た 。自 然 発 情 群 に お け る 変 化 は 、P4
濃 度 の 低 下 開 始 ( 排 卵 前 138 時 間 )、 次 い で 子 宮 内 膜 厚 が 増 加 開 始 ( 排 卵 前 114 時 間 )、 と い う 順 序 で 起 き た 。 ま た 、P4濃 度 の 低 下 開 始 ( 排 卵 前 138 時 間 ) か ら 、 子 宮 内 膜 厚 の ピ ー ク レ ベ ル 到 達 ( 排 卵 前 96 時 間 ) ま で の 所 要 時 間 は 42 時 間 で あ っ た 。
3)誘 起 発 情 群 における排 卵 前 後 の子 宮 内 膜 厚 変 化 率 および血 中 性 ス テロイドホルモン濃 度 の変 化
誘 起 発 情 群 に お け る 排 卵 前 後 の 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 お よ び ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 を 図 7 に 、そ れ ぞ れ の 所 要 時 間 を 表 5 に 示 し た 。排 卵 前 後 で 示 し た 誘 起 発 情 群 の 場 合 、 子 宮 内 膜 厚 お よ び P4濃 度 は 排 卵 前 144 時 間 に そ れ ぞ れ 増 加 お よ び 低 下 し 始 め 、E2 濃 度 は 排 卵 前 102 時 間 に 増 加 し 始 め た 。 子 宮 内 膜 厚 は 排 卵 前 66 時 間 で ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し 、 ピ ー ク レ ベ ル を 54 時 間 持 続 し
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た 後 、排 卵 前 12 時 間 よ り 減 少 し 始 め 、排 卵 後 48 時 間 ま で に 基 底 レ ベ ル に 戻 っ た 。P4濃 度 は 排 卵 前 78 時 間 に 基 底 レ ベ ル に 到 達 し た 。E2濃 度 は 排 卵 前 48 時 間 で ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し 、18 時 間 ピ ー ク レ ベ ル を 維 持 し た 後 、 排 卵 前 30 時 間 よ り 低 下 し 始 め 、 排 卵 前 6 時 間 ま で に 基 底 レ ベ ル に 到 達 し た 。 排 卵 前 後 で 示 し た 誘 起 発 情 群 に お け る 変 化 で は 、P4 濃 度 の 低 下 開 始 時 ( 排 卵 前 144 時 間 ) に 子 宮 内 膜 厚 が 増 加 開 始 し た ( 排 卵 前 144 時 間 )。 ま た 、P4濃 度 が 基 底 レ ベ ル に 到 達 し た ( 排 卵 前 78 時 間 ) 後 に 子 宮 内 膜 厚 が ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し た ( 排 卵 前 66 時 間 )。
4)誘 起 発 情 群 における PGF
2α処 置 前 後 の子 宮 内 膜 厚 変 化 率 および血 中 性 ステロイドホルモン濃 度 の変 化
誘 起 発 情 群 に お け る PGF2α処 置 前 後 の 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 お よ び ホ ル モ ン 濃 度 の 変 化 を 図 8 に 、そ れ ぞ れ の 所 要 時 間 を 表 6 に 示 し た 。PGF2α処 置 前 後 で 示 し た 誘 起 発 情 群 の 子 宮 内 膜 厚 、P4お よ び E2濃 度 は い ず れ も PGF2α処 置 後 直 ち に( 処 置 後 6 時 間 )そ れ ぞ れ 増 加 、低 下 お よ び 上 昇 し 始 め た 。子 宮 内 膜 厚 は 増 加 し 始 め て か ら 18 時 間 後 、 す な わ ち PGF2α処 置 後 24 時 間 で ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し た 。そ の 後 、102 時 間 ピ ー ク レ ベ ル を 維 持 し 、PGF2α処 置 後 126 時 間 よ り 減 少 し 始 め た が 、 処 置 後 168 時 間 ま で に 基 底 レ ベ ル に 戻 ら な か っ た 。P4 濃 度 は 低 下 し 始 め て か ら 12 時 間 後 、 す な わ ち PGF2α処 置 後 18 時 間 で 基 底 レ ベ ル に 到 達 し た 。E2 濃 度 は 上 昇 開 始 と 同 時 に 、 す な わ ち PGF2α処 置 後 6 時 間 で ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し 、84 時 間 ピ ー ク レ ベ ル を 維 持 し た 後 、 処 置 後 90 時 間 よ り 低 下 し 始 め た が 、 処 置 後 168 時 間 ま で に 基 底 レ ベ ル に 到 達 し な か っ た 。PGF2α処 置 前 後 で 示 し た 誘 起 発 情 群 に お け る 変 化 で は 、P4濃 度 の 低 下 開 始 時(PGF2α処 置 後 6 時 間 )に 子 宮 内 膜 厚 が 増 加 開 始 し た(PGF2α処 置 後 6 時 間 )。ま た 、P4濃 度 が 基 底 レ ベ ル に 到 達 し た(PGF2α
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処 置 後 18 時 間 )後 に 子 宮 内 膜 厚 が ピ ー ク レ ベ ル に 到 達 し(PGF2α処 置 後 24 時 間 )、P4濃 度 の 低 下 開 始(PGF2α処 置 後 6 時 間 )か ら 子 宮 内 膜 厚 の ピ ー ク レ ベ ル 到 達 (PGF2α処 置 後 24 時 間 ) ま で の 所 要 時 間 は 18 時 間 で あ っ た 。
5)自 然 発 情 群 および誘 起 発 情 群 における子 宮 内 膜 厚 変 化 率 と血 中 性 ステロイドホルモン濃 度 変 化 の比 較
自 然 発 情 群 お よ び 誘 起 発 情 群 に お い て 、6 時 間 間 隔 で 行 っ た 超 音 波 検 査 に よ り 得 ら れ た 子 宮 内 膜 厚 変 化 率 を 排 卵 前 156 時 間 か ら 排 卵 後 24 時 間 の 期 間 で 2 群 間 比 較 し た ( 図 9)。 誘 起 発 情 群 の 子 宮 内 膜 厚 は 排 卵 前 60、54、36、
30、18お よ び12 時 間 に お い て 自 然 発 情 群 よ り も 有 意 に 厚 か っ た(P < 0.05)。
子 宮 内 膜 厚 変 化 率 の 最 高 値 は 自 然 発 情 群 で 1.38、 誘 起 発 情 群 で 1.61 で あ っ た ( 表 7)。P4濃 度 、E2濃 度 、E/P 比 は 、 自 然 発 情 群 お よ び 誘 起 発 情 群 と も 同 様 の 推 移 を 示 し 、2 群 間 で 差 は 認 め ら れ な か っ た 。
図6. 自然発情における排卵前後の子宮内膜厚変化率、プロジェステロン(P4) およびエストラジオール(E2)濃度の変化
排卵を0時間としたときの自然発情群( 、n = 9)のグラフを示した(平均 ± 標準誤差)。子宮内膜厚は排卵後13日目の測定値に対する変化率で示した。
0 24 48 -24
-48 -72 -96 -120 -144
排卵後時間 E2濃度(pg/ml)P4濃度(ng/ml)E/P比子宮内膜厚変化率
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
0 20 40 60 80
0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8
30
31
表4
自然発情群における排卵前後の子宮内膜厚変化率およびホルモン濃度の変化の所 要時間
評価項目 自然発情
子宮内膜厚 P4 E2 増加(上昇)または減少(低下)開始から排卵まで 114 1 138 1 132
PGF2α投与から増加(上昇)または減少(低下)開
始まで - - -
ピークレベルまたは基底レベル到達から排卵まで 96 66 54
増加(上昇)または減少(低下)開始からピークレ
ベルまたは基底レベル到達まで 18 72 78
ピークレベル到達から減少(低下)開始まで
(= ピークレベル持続期間) 102 - 24
減少(低下)開始から基底レベル到達まで 42 - 36
排卵から基底レベル到達まで 48 - 6
自然発情群における排卵を0時間とした場合の子宮内膜厚変化率、プロジェステロン
(P4)およびエストラジオール(E2)濃度の変化(図 6)を解析し、上記評価項目の所要 時間を示した。同一群内のデータ比較には Tukey- Kramer 多重比較検定を用いた が、その解析結果の解釈については図4を参照。
P4濃度の低下開始(排卵前138時間)から子宮内膜厚のピークレベル到達(排卵前 96時間)までの所要時間は42時間であった。
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
0 20 40 60 80
0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8
0 24 48 -24
-48 -72 -96 -120 -144
排卵後時間
図7. 誘起発情における排卵前後の子宮内膜厚変化率、プロジェステロン(P4)
およびエストラジオール(E2)濃度の変化‐排卵基準
排卵を0時間とした場合の誘起発情群( 、n = 11)のグラフを示した(平均 ± 標準誤差)。子宮内膜厚は排卵後13日目の測定値に対する変化率で示した。
E2濃度(pg/ml)P4濃度(ng/ml)E/P比子宮内膜厚変化率
32
33
表5
誘起発情群における排卵前後の子宮内膜厚変化率およびホルモン濃度の変化の所 要時間
評価項目 誘起発情(排卵前後)
子宮内膜厚 P4 E2
増加(上昇)または減少(低下)開始から排卵まで 144 144 102
PGF2α投与から増加(上昇)または減少(低下)開
始まで* - - -
ピークレベルまたは基底レベル到達から排卵まで 66 78 48
増加(上昇)または減少(低下)開始からピークレ
ベルまたは基底レベル到達まで 78 66 54 ピークレベル到達から減少(低下)開始まで
(= ピークレベル持続期間) 54 - 18
減少(低下)開始から基底レベル到達まで 60 - 18
排卵から基底レベル到達まで 48 - -6
*排卵時間を基準(0時間)とするとプロスタグランジン(PG)F2α処置時間は揃わなくな るため、値算出は不能であった。
誘起発情群おける排卵を 0 時間とした場合の子宮内膜厚変化率、プロジェステロン
(P4)およびエストラジオール(E2)濃度の変化(図 7)を解析し、上記評価項目の所要 時間を示した。同一群内のデータ比較には Tukey- Kramer 多重比較検定を用いた が、その解析結果の解釈については図4を参照。