相模原キャンパス
青山学院大学図書館報
ISSN 1345−3505
特集 大学新図書館への期待
April 1, 2012 No. 92
「大学新図書館への期待」
21世紀の大学図書館に期待して …… 伊藤 定良 4
「単位」と「図書館」の密接な関係 ……… 野末俊比古 5 図書館をセカンドハウスに ……… 大道 千穂 6 一冊の本との幸福な出会い ……… 日吉 久礎 7 図書館の新しいサービス……… 伏屋 広隆 8 開放的な図書館 ………髙橋 朋一 9 次 特 集
目
巻頭エッセイ
大学新図書館への期待
……… 仙波 憲一 2〜3
特集「大学新図書館への期待」…… 4〜11
学長 仙 波 憲 一
SEMBA Ken-ichi
本学の大学図書館は青山キャンパスの図書 館と相模原キャンパスの万代記念図書館の二 館があります。いずれも大学の規模からす ると、また他大学と比べると、閲覧室等の機 能面で劣る感が否めませんでした。特に青山 キャンパスの図書館にはその点が顕著に表れ ていました。そんな中で、これまで何回か図 書館建設の話が持ち上がっては消えるという ことを繰り返してきました。しかし、昨年新 図書館構想委員会から新図書館棟の基本構想 がでました。また法人側からは着工から竣工 までのタイムスケジュールも出ました。いよ いよ今回は本格的に図書館の新設が実現しま す。
大学は先人が築いた知の集積を継承し、発 展させ、後世に引き継ぐという社会的責務を 負っています。その中心を担うのが図書館で あり、図書館は先人が蓄積した知を集積した 場で知の伝達を行う機関です。社会に対して 知の拠点が大学であれば、図書館は知の中核 であると言えましょう。
新図書館ができるということは、本学に新 たな知の核ができるということであり、そこ から発信される研究教育の促進効果は計り知 れないものがあります。今まさに青山学院大 学が教育課程のキャンパス再配置を行おうと しているときに、誠に時宜をえた新図書館の 創設であると言えましょう。
新図書館として提唱されている学生の学び に視点を捉えた学習図書館、さらに現在の図 書館が一端を担っている体系的に分野別に専 門書を排架する研究図書館の両図書館が揃う ことを考えると、大学の研究教育のコアが揃 い、中核がどっしり腰を据えることになりま す。時代とともに教育研究の方法が変わって いくことは明らかであり、知の技法もおのず と変わってきます。特に学習方法が多様化し、
顕著な広がりを見せています。それにつれて、
学習形態も変わってきています。最近は従来 型の知識獲得型の学習方式から問題解決型の 学習方式に比重が移ってきているので、図書 館に対しても新たな利用ニーズが生じてきて います。その変化に対して、図書館の機能も 変わっていかなくてはなりません。
今回の構想では、『特に学習支援・教育支 援の機能を十二分に発揮するために、知識獲 得型の学習にとどまらず、レポート作成やプ レゼンテーション等を含む課題解決型の学習 にも対応すること』を中心に据えることがう たわれており、教育方法や学習方法の変化か ら生じてくる新しいニーズに応えうるものと なっています。新図書館構想では、『カリキュ ラムの理念・目標を達成するために、学習に 取り組むための資源・環境を提供する』こと を明示し、『学習・教育活動をトータルに展開 できる場―空間だけではなく機能的にも―』
を基本コンセプトにおき、図書館は学生・教 職員が集う、大学における滞在型のパーク、
すなわち『アカデミック・パーク』であると 規定しています。従来型の『静かな図書館』
とは違い、『賑やかな図書館』を提唱していま す。学生は図書館で主体的に自分の学びを追 究し、時には仲間と議論しあい、学習を進化 させる。そんな一連の問題解決型の学習過程 を支援することを狙ったのが新図書館です。
また新図書館の機能については、魅力的な コンセプトが多数見受けられます。中でも、
特徴的なものが 3 つあります。1 つは、留学 生の学習支援や外国語授業の展開等を視野に 入れたグローバル化対応の図書館。次に議論 を行ったり、レポート作成を共同作業で行っ たりというように多様な実践的学習形態に対 応した施設設備等を備えたアカデミックリテ ラシーのセンターとしての図書館。最後に ICT を活用したダイナミックな図書館。これ は例えば、オンデマンド型の学習支援の導入、
資料の組織化を可能にする IC タグの導入等 ICT 対応を行い、利用者ニーズに対して柔軟 に対応しうる機能を持った図書館です。これ らはコレクションのハイブリッド化とサービ スのハイブリッド化を同時に配備した図書館 ということになります。
どのコンセプトも先端的な学習形態を見据 えた、多機能な図書館が用意されることにな り、大学教育の現状と今後の動向を見据えた 教育環境の整備を進める際の中核になりま す。新図書館は本学の大学教育に対する考え 方とその方向性を具現化するものとなります。
なお、ここで既存の大学図書館についても
期待感を込めて触れておきます。教員や大学 院生さらには卒論執筆等のために、静かな環 境で、専門書や専門雑誌が網羅的にかつ体系 的に排架され、ハイブリッド化に対応したレ ファレンス機能が充実している研究支援組織 体としての研究図書館の整備を期待します。
現在ある研究機能と教育機能を総合した図書 館を、研究支援を中心に据えた機能に特化し たものに進化させていただきたい。そうすれ ば、一層研究環境が整い研究活動が発展し、
大学そのものがさらに活性化されることにな ります。また両図書館の役割分担が明確化さ れ、それぞれの利用者にとって利用価値が高 まるとともに、学生が両図書館の利用を体験 すれば、学習の発展段階や研究の深化段階を 目の当たりにすることができ、生きた教材そ のものになると考えます。これは機能分化し た図書館ができるからこそ初めて可能になり、
様々な形で両館の相乗効果が得られることが 予想されます。教育図書館と研究図書館が両 輪となって、大学の知的生産活動を推進する 強力な牽引役を担うことを期待しています。
大学の研究教育活動に携わるすべての人 が、大学生活の拠点として、知のワンダーラ ンドである図書館を活用している状況を想像 すると、今からワクワク、ドキドキしてきま す。こんな情景が大変待ち遠しく思います。
この図書館が本学の研究教育の発展をもた らし、本学が社会的な責務を果たし、結果と して本学への社会的評価が向上することを切 に期待しています。
(国際政治経済学部教授 理論経済学、
マクロ経済学、ミクロ経済学)
21世紀の大学図書館に期待して
前学長
伊 藤 定 良
ITO Sadayoshi
私が学長時代に目指したのは、「創造の場」「学びの場」「出会いの場」としての「知の共 同体」(大学)の実現だった。多様な人びとと本に出会うことができ、多くのことを学び、
創造する場として、図書館こそ「知の共同体」を象徴する場であろう。21世紀にふさわし い大学を創るためには、こうした図書館の充実が必要不可欠である。このたび、私たちが 要望してきた大学新図書館建設の第一歩が印されたことは、まことに喜ばしい。
小学生の頃の学級文庫から始まって現在に至るまで、図書館は常に私の身近な存在だっ た。とりわけ大学に入ってからは、中央図書館のみならず、研究室図書室や他学部の図書 館は、私の生活の欠かせない一部となった。閲覧室はもとより、1・2階の参考室や3階のロ ビー、キャレル、ゼミ・研究会用の部屋のいずれかに1日1回は顔を出していた。友人たち もほぼ同様の生活をしていたから、誰かに会いたいと思えば、図書館か研究室でまず用は 足りた。
図書館地下には近代ドイツの議会史料などが揃っており、それらを直接手に取って当時 を思い起こしたり、その他の興味深い史料を眺めたりするのは楽しみだった。また、ロビ ーでの語らいから学ぶことも多く、ここは他学部に行った友人たちとの貴重な出会いの場 でもあった。図書館のゼミ室等は自由に使っていたように思うし、研究会や読書会をする 場所には困らなかった。これらの小さな議論と学びの場から、自分の進むべき道への模索 も始まったのである。
青山の大学図書館は、蔵書数やデータベースの整備の点では他大学にも引けを取らない とはいえ、学習環境や施設の面では相当に遅れているように思う。学習・教育機能を整備・
強化した新図書館の建設は、大学関係者の共通した願いであった。2006年にまとめられた 新図書館構想が一度頓挫しているだけに、今回の大学新図書館基本構想の答申を踏まえて、
現在の基本設計の段階からさらなる具体化への道を着実に進めてほしいと思う。新図書館 は、ICT の進化などによる最近の学習環境の変化に対応してさまざまな工夫を凝らしてお り、大学のカリキュラムとの連動をも考慮に入れている。大学新図書館への期待は大きい。
(名誉教授)
「単位」と「図書館」の密接な関係
野 末 俊比古
NOZUE Toshihiko
本学では、半期の講義科目に合格すると 2 単位が認定されます。1 単位は 45 時間の学習(学 修)に対して与えられるので、2 単位には 90 時間の学習が必要です。授業時間 1 コマ(90 分)
は 2 時間分と計算されますが、15 週(回)あっても 30 時間にしかなりません。残りの 60 時 間は授業時間以外0 0に学習することになっており、あわせて 90 時間とされているのです。
授業時間以外の学習は、辞書を使って語学の予習をしたり、講義の復習をして試験に備えたり、
といったことに留まりません。レポートなどの課題が出されたら、書籍や論文を読み、インター ネットでデータを集め、パソコンで整理・分析したり、文書を作成したりします。グループで取 り組む場合は、机上に資料を広げて、パソコンのモニタを囲んで、話し合いながらプレゼンの 準備をすることもあるでしょう。もちろん、教員に指示された課題をこなすだけではありません。
自身の興味・関心に応じて、講義で取り上げられたトピックの背景となる理論や歴史を文献で 把握したり、最近の動向や事例を新聞記事のデータベースで確認してみたりすることも期待さ れています。静寂な空間で(あるいはカフェでくつろぎながら)一人で書籍と対話しながら思 索を重ねることや、友人との会話や討論を通して考えを深めることも大切な学びです。
このように、授業時間以外の学習にはさまざまな「資源」が必要です。施設・設備・機器(パ ソコンなど)などはもちろんですが、授業に関連した書籍・雑誌など(電子版を含む)の資料 が過不足なく0 0 0 0 0揃えられていることが特に重要です。加えて、文献の探し方、プレゼンの仕方、
レポートの書き方などを教えてくれたり、相談に乗ってくれたりする「専門家」がいることも 大切です。このように(人的資源を含めた)資源を集約した「学びの拠点」がキャンパスに整 備されることによって、60 時間に上る授業時間以外の学習を充実させることができます。
大学図書館は近年、「学びの拠点」をめざして、学習支援の機能を強化しています。本学に おいても、かかる機能に特化した新図書館を建築する計画が進められています。図書0 0(だけ)
の館
0
ではないので、学習資源や学習支援のセンターと表現するほうがイメージに近いかもしれ ません。自主性のみに委ねた学習0 0ではなく、教育的な意図・目標(カリキュラム)に基づいた 主体性のある学修
0 0
を実現するための「学習図書館」として、時代をリードする日本一の図書館 となるはずです。なお、学習図書館は学生だけのものではありません。教員なども、教材の準 備や学生との交流などに利用します。教育支援も学習図書館の重要な機能なのです。
最後に、学習・教育支援機能(学習図書館)とともに、大学図書館のもうひとつの重要な役 割である研究支援機能(研究図書館)の拡充が不可欠であることに触れておきます。学問(学 術)の府である大学においては、優れた教育は優れた研究によってこそ成り立ちます。研究図 書館を利用するのは教員などだけではありません。学生も、ゼミや卒論のように「自分のテー マ」を探究していくときなどに活用することになります。
(教育人間科学部准教授 図書館情報学、教育情報学)
図書館をセカンドハウスに
大 道 千 穂
OMICHI Chiho
イギリスに留学していた頃の私にとって、図書館はただ本を借りに行く場所ではなかっ た。朝一番に大きな荷物を背負って図書館に入り、机の上にパソコンを広げた。席を離れ る間にパソコンを盗まれるという友人の忠告を受けて、パソコンと座席をチェーンでつな ぎ、ロックをかけたのもよい思い出だ。その後は朝から晩まで、ずっと図書館で過ごした。
本を探し、必要個所をパソコンに打ち込み、疲れれば併設のカフェや簡易レストランで休 息をとり、また仕事に戻った。パソコンの持ち込みが許され、途中で好きな時に手軽に気 分転換ができるという点において、家で勉強をするのと環境はあまり変わらず、それでい て数百倍、数千倍の資料に囲まれた図書館での一日は、とてもぜいたくで有意義な時間で あったのを今でも思い出す。図書館は第二の家、あるいはセカンドハウスのようなものだ った。これは海外留学をしたが故の、特別の思い出だと思ってきた。しかし、違ったよう である。
青山キャンパスに新しい図書館が建つという。それも、これまでの日本の大学図書館の 常識を覆すような、学生がアカデミックな活動を展開するためのあらゆるニーズに応える、
長期滞在型の知のテーマパークともいうべき図書館が建つ予定だということだ。それでは 学生のあらゆるニーズには、一体どのようなものがあるのだろうか。学生たちに聞いてみた。
一番多かったのは、「飲食ができる場所がほしい」という意見であった。次に「個別ブース がほしい」「グループ学習室を増やしてほしい」「パソコンの台数を増やしてほしい」、そし て「図書館の開館時間を延ばしてほしい」という意見がほぼ同数で続いた。図書館の24時 間開館を望む声もあった。興味深い意見としては、卒業生はもちろんのこと、一般社会人 にも開放し、学生が社会人と交流できるような会議室を作ってほしいといった要望も聞か れた。100名ほどの学生にアンケートに協力していただき、一番驚いたのは、もっと図書館 を利用したいという気持ちの強さであった。学生はより使いやすく、居心地のよい図書館 を待ち望んでいるのだ。そして大学が意図しているアカデミックパークとしての図書館は、
まさしく彼らの望むかたちであることがわかった。新図書館が建つ日が待ち遠しい。
(経営学部准教授 英文学)
一冊の本との幸福な出会い
日 吉 久 礎
HIYOSHI Hisamoto
「近年の情報技術の目覚ましい発展が新しい時代を切り拓いている。」このようなフレー ズがここ数年繰り返し使われ続けている。今後もますます使われ続けることだろう。一つ の小さなアイデアが、情報技術と結びついて、大きなインパクトを社会に与えている。検 索技術しかり、ブログしかり、最近のつぶやきブームしかりである。情報発信の敷居が下 がり、情報が日々生産され、消費されている。知の大量生産・大量消費の時代がやってきた。
この波は、出版業界にも直撃しているようだ。時代は少しずつ紙を離れ、電子書籍へと 向かいつつあり、本学の図書館も、電子ジャーナル、電子書籍を積極的に購入している。
研究者として、日々多大な恩恵に浴している。
今後、本というものはどのように変化していくのだろうか。電子化が進むにつれ、イン ターネット上のさまざまなコンテンツとの境界が曖昧になっていきそうだ。知の大量生産・
大量消費はますます加速するに違いない。そのときどきの流行が、創られ、忘れられ、創られ、
また忘れられ…。その中で時代を超え、人類の偉大な財産となるものも産まれるのだろう。
大学新図書館は、折しもこのような時代の幕開けに誕生することになる。大学の図書館 と言えば、人類の叡智の貯蔵庫であり、知の形態がどのようなものになるにせよ、適応し ていく必要があろう。また、適応していくに違いない。
しかし、ただ貯蔵してあるだけではもったいない。一冊の本が、人生を変えることがある。
たくさんの本の中から、人生を変える一冊の本に出会う。真に幸福なことだと思う。私も 図書館で幸福な出会いを経験した。情報技術が進歩していく中、多くの未来ある学生に幸 福な出会いをもたらしてくれるよう、図書館のますますの発展を願っている。(末筆ながら、
AGULI 90号の狐氏に関する記事を読み、感銘を受けました。氏のご冥福をお祈り申し上 げます。)
(理工学部准教授 オペレーションズリサーチ)
図書館の新しいサービス
伏 屋 広 隆
FUSHIYA Hirotaka
学生時代に比べて格段に図書館にいる時間が減ってしまった。勿論、学生時代のように好きな 本を読み、研究していればよいわけはなく、仕事をしているのだから当然と言えば当然なのだが、
理由はそれだけではないと思う。
学生時代において、私にとっての図書館は、主に論文や書籍を探す場所であり、そしてそれを 吟味熟読する場所であった。毎日講義の間や放課後に図書館に行き、自分が理解したい論文に必 要な知識が載っていそうなものを片端から覗いて見る。“ よさそうなもの ” が見つかるとそれを机 で吟味する。これぞと思うものが見つかるまでそれを繰り返し、見つかったらそれを理解するま で熟読したものであった。当時は “ よさそうなもの ” を見つける手段は、参考文献とその分野に 詳しい人のコメントが主であった。
現在では購読契約がされている電子ジャーナルに関しては、自由に必要な論文をダウンロード し、USB や他の媒体に保存することができる。その範囲も増えており、最近の研究結果について はほとんどのものでそれが可能になってきている。私の学生時代に比べたら飛躍的に便利になっ たものである。
それに対応して私の図書館の使い方も変わった。ひたすらパソコンの前で論文の検索をし、有 益である可能性のある論文を片端からダウンロードする。ダウンロードしたものは研究室や自宅 でゆっくり読むようになった。当然図書館に滞在する時間は短くなり、紙媒体のジャーナルを手 にすることはほとんどなくなってしまった。
学部生の場合は書籍の利用が主で私とは違うだろうが、書籍についてもこれからどんどん電子 化が進んでいく以上、遅かれ早かれ滞在時間は少なくなっていくであろう。一方で学生に聞いて みると、図書館の利用方法は講義の合間に勉強道具を持って行って静かに自習するという、自習 するスペースとしての使われ方が多かった。
パソコンを使った論文や書籍の検索、ダウンロードは図書館でなくても可能であろうし、自習 するスペースも当然図書館でなくてもよい。現在の図書館の利用のされ方の一部は図書館という 場所に行かなくてもよいサービスになりつつあり、その流れはどんどん進んでいくと思われる。
大学新図書館に期待することは従来の図書館の役割に執着せずに、新しいサービスの提供をし ていくことである。静かに勉強するスペースだけでなく、共通の興味を持った人が集まって討論 や知識の交換をするディスカッションルームのようなものを提供してもよいかもしれない。また、
最近の学生はパソコンの強力な検索機能のせいで目的以外の論文や書籍との出会いが減ってし まっている気がする。それを補う意味でも、幅広い知識を持った人が良い論文や書籍を紹介する 時間、場所があってもよいかもしれない。大学新図書館が時代の流れにのってどのようになって いくかが楽しみである。
(社会情報学部准教授 数理ファイナンス)
開放的な図書館
髙 橋 朋 一
TAKAHASHI Tomokazu
原稿の依頼が来た時に今まで図書館をどのように利用してきたかをちょっと考えてみた。
学部の時は友人らと集まりレポートを書いていた。大学院の時は専門書や論文を探しに行 きそれらを図書館で読んだり、研究室で読んだりしていた。助手、研究所の頃はというと 大学院の時と同じような使い方をしていたと思う。最近はというと電子ジャーナルやデー タベースからデータを収集するのが主な使い方になっており、図書館に足を運ぶ機会がめ っきり減ってしまったように思われる。それはインターネットの普及によりどこにいても 図書館のサービスを受けることができるようになったことが、足を遠ざける要因になって いると思われる。とは言うものの私はこのサービスを利用せずには研究ができない環境に なっているのは事実である。これは多くの先生方に当てはまると思われるが、学生はどう なっているのだろうか。そこで、図書館がどういう雰囲気なのか気になって青山キャンパ スの図書館に行ってみた。その風景は今まで私が思い描いていた図書館のままであった。
そこで、ゼミの学生に図書館を利用しているかどうか聞いてみたところ、利用をしたこと があるというのが大方であった。学生と話をしていて気になったことが「利用をしたこと がある」という過去形の言い方をする学生が多かった点である。色々と話していると相模 原キャンパスにいた時はよく図書館を利用していたが青山キャンパスに来てからはほとん ど利用していないという意見が多かったのである。ではなぜ利用しなくなったのかを聞い てみたところ「古い」、「暗い」という意見が多かった。確かに相模原キャンパスの図書館 は新しく、開放的な雰囲気があり、それらが図書館を利用したいと思わせているのであろう。
そこで、新図書館に期待する点としては学生が利用したくなるような開放的な雰囲気の図 書館となってもらいたい。そうすることで図書館から足が遠のいてしまった多くの学生が 利用するようになると思われる。また、2013年より文系学部の青山キャンパス移転に伴っ て学生の数がおそらく今の倍になるのでより多くの学生が利用できる十分なスペースがあ るといいと思われる。
(経済学部教授 GIS、システム工学)
こころが欲する本に出会える場に
水 上 貴 央
MIZUKAMI Takahisa
私が所属する法務研究科は、司法試験の合格が具体的目標として存在しているだけに、
図書館の印象は、自習をするところ、試験勉強をするところという印象が強い学生が多い と思います。そもそも、自習室としては法務研究科棟に個人別キャレルが整備されていま すし、法律図書は専用図書室がありますから、新図書館を利用しようと考えている学生は、
ひょっとしたら少数かもしれません。
しかし、私は、特に法務研究科の標準コース1年次には、ぜひとも、図書館を単なる自習 室としてではなく、法的思考の前提となる幅広い知識を深め、思考の幅を広げるための場 として、積極的に使ってほしいと思っています。
新図書館は法律書に限らない豊富な蔵書、そしてそれが整然と目の前に並んでいる開架 書架など、その場にいるだけで、インスピレーションを広げてくれるに違いありません。
私自身がロースクール生のころ、図書館で、鴻上尚史氏の『「空気」と「世間」』(講談社)
という本を読みました。我々が、論理や正義とは無関係の、本当は誰かの感情に過ぎない かもしれない “ その場の空気 ” に従わされているのではないかという著者の主張を反芻し ながら、ひとり憲法問題に思いをはせるのは、大変有意義な時間でした。
ときに多数決や民主主義と対決し、少数者の人権を擁護することが法曹の役割である以 上「空気や世間という透明な圧力とどう付き合うか」という問題に、法曹になる以上は必 ず直面します。そして、こうした思考は、必ずしも憲法の教科書で深まるものではなく、
図書館で見つけ、何気なく読み始めた本の中に、重要なヒントが眠っています。
これは多分、無意識に、書架を眺めて手に取る本は、自分の潜在意識が吸収したがって いる知識に関するものであるからではないかと思います。阿部謹也氏の『近代化と世間』(朝 日新聞社)なども、ロースクール時代に読んでおいて本当に良かったと思える本でした。
その意味で、新図書館が、すでに読むことを決めた本を借りる場や自習の場としてだけ でなく「なんとなく本を眺める場」や「思考の幅を広げる出会いを提供する場」として、
多くの方々に愛されることを心からお祈りしています。
(法務研究科助教 法務実務)
情報利用者の声を代表する図書館へ
小 倉 昇
OGURA Noboru
私がまだ若かったころは、図書館とは書庫に大量の蔵書を保管し、それらを利用者に閲 覧させるところだというイメージを持っていた。1990年代初めに米国のイリノイ大学に留 学した時に、大学図書館を利用してびっくりした。そういう古典的な図書館のイメージが 叩き潰されたからだ。当時の日本ではまだ専門家しか知らなかったインターネットの端末 が図書館の一画にずらっと並び、学生でも利用できた。インターネット端末からは大学図 書館だけでなく、州内の図書館の蔵書を検索することができた。
現在は日本の大学図書館も情報化が進み、紙に印刷されたものだけでなく、データベー ス上の数値データやネット上の画像データなども図書館で検索ができるのは当たり前のよ うになっている。数年先に開設される本学の新図書館も情報機能が一層充実されたインテ リジェントライブラリーになることが期待され、それは利用者にとって非常に歓迎すべき ことであると思う。
この新しい情報環境を思い描きながら、私が心の中で大学図書館に期待していることが ある。ネットワークから新しい情報を探すときに相談に行く場所である。学会などで気に なった情報をネットで探すこともときどきあり、講義の中で画像や動画を見せたいと思う ときもある。今までは情報科学研究センターなどに相談に行っていたのだが、私のような 文系出身で年もとっている者には敷居が高い。中には親切な職員もいて、システムの使い 方を一生懸命に説明してくれることもあるが、情報の中身や利用目的に関わることには興 味が持てないのだろう、アクセスポイントの入り口までしか付き合ってくれなかったよう に思う。
大学の教育や研究に使う情報は、非常に多様性はあるけれども一般の人が使う情報とは かなり違う。こんな情報を使いたいと思う時に、情報利用者の目的に合わせていろいろな コンテンツの可能性を探してくれるという機能は、やはり図書館でなければ期待できない だろう。つまり、ネットワーク上の情報コンテンツの案内人が新しい図書館にはいてほし いと、期待を膨らませているのである。
(会計プロフェッション研究科教授 管理会計)
編 集 後 記 編 集 後 記
私が愛読している経営学者ピーター・ドラッカーは、企業経営のみならず人生そのものをいかに営むか、ということに 意を注いだ人であったが、図書館利用に関しても興味深いエピソードを残している。彼はクラスで学んだ以上に、図書 館にこもり、自らのテーマを追求し、次々と参考文献を紐解くことによって、莫大な学習を達成したのである。(佐川和茂)
青山学院スクール・モットー 地の塩、世の光 The Salt of the Earth、The Light of the World
万代記念図書館 相模原キャンパス
資料の探し方クイックガイド
●所要時間:40 分 ●各回先着 15 名(要事前申込)
●受付:図書館 1F レファレンスカウンター
皆さんにも実際にPCを触っていただく、実習形式のガイド です。必要な資料の探し方から、検索エンジンでは探しき れない情報の探し方まで案内します。
大学図書館サービス案内
●所要時間:30 分 ●各回先着 8 名(要事前申込)
●受付:図書館 1F レファレンスカウンター
図書館スタッフと一緒に実際に図書館施設を歩いて、資料 の入手方法から、学生生活に役立つ図書館利用方法までを 体験していただきます。
セ ット 受 講 で よ り お 得!! 組 み 合 わ せ 自 由 ♪ セ ット 受 講 で よ り お 得!! 組 み 合 わ せ 自 由 ♪ セ ット 受 講 で よ り お 得!! 組 み 合 わ せ 自 由 ♪ セ ット 受 講 で よ り お 得!! 組 み 合 わ せ 自 由 ♪
5 日(木) クイック 館内案内 クイック 館内案内 クイック 館内案内 6 日(金) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 7 日(土) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 9 日(月) クイック 館内案内 クイック 館内案内 クイック 館内案内 10 日(火) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 11 日(水) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 5 日(木) クイック 館内案内 クイック 館内案内 クイック 館内案内 6 日(金) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 7 日(土) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 9 日(月) クイック 館内案内 クイック 館内案内 クイック 館内案内 10 日(火) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 11 日(水) クイック 館内案内 クイック 館内案内 --- --- 19:00 〜 19:30 4 月
4 月 14:50 〜
15:30
15:40 〜 16:10
16:30 〜 17:10
17:20 〜 17:50
18:10 〜 18:50
※ は一例
12:30 〜 13:30
18:00 〜 19:00 7日
(土)
14 日
(土)
A. 法情報の 探し方コース
B. 国マネ・会プロ・
経済・経営コース
B. 国マネ・会プロ・
経済・経営コース
A. 法情報の 探し方コース
図書館内を歩きながら、本の貸出・返却などの基本的な利用方法や、簡単な本の探し方を説明します。
レポートや試験の直前に慌てる前に、高校までとは違う大学図書館の利用方法をマスターしてください。
●所要時間:50 分
●集合場所:B 棟 1 階 図書館内中央吹き抜け下
● 各回先着 100 名まで
★上記日程で参加できなかった方は、予約制で受け付けます★
4 月 9 日(月)〜20 日(金) ※土日除く
11:00〜11:50 13:30〜14:20 15:00〜15:50 前日までに1階メインカウンターへお申し込みください。
3 日(火)
3 日(火) 日 文日 文
10:00〜 11:00〜 13:00〜 14:00〜 15:40〜
4 日(水) 英米文 4 日(水)
5 日(木)
5 日(木)
6 日(金)
6 日(金)
全学部
全学部 法法
心 理
心 理 経 済経 済 比較芸術・総文 電気・経シス 比較芸術・総文 電気・経シス 教育・現デ 化生・情テク 教育・現デ 化生・情テク フ 文
フ 文 国政経国政経 社会情報社会情報 史 学
史 学 全学部全学部 経営経営※※ 4 月
4 月
図書館利用 オリエンテーション
※6 日(金)の経営学部のみ 15:00 〜 15:50
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