高等学校
平 成9年 度
教 育 研 究 員 研 究 報 告 書
囹
東 京 都 教 育 委 員 会
主題 生徒に興味 ・関心 をもたせ、数学的な思考力 を高める教材や指 導方法の工夫
主題設定の理 由
高等学校の数学科 の 目標の一つに、 「数学的な見方や考え方のよさを認識 し、それ らを 積極的 に活用する態度を育て る」 ことが あげ られ る。 しか し、中学校か ら高等学校へ進む につれて次第に抽象的な内容が増え、数学が比較的得意 な生徒 と苦手 な生徒 とに分かれ、
数学嫌 いが増えて い く傾 向にあ ると言われて いる。
「教育課程の基準の改善の基本方向につ いて 」(教 育課程審議会:平 成9年11月)で は、 「生徒 の興味 ・関心 、特性等 に応 じて多様 な選択がで きるよ うな数学学 習の系統性 と 生徒選択の多様性の双方に配慮」 し、 「数学的 な見方や考え方を社会生活に生 かす ことが で きる内容 」を取 り入れた科 目構成や内容 につ いて検討 してい くことが示 され ている。
本研究の主題で は、生徒が数学の学習 に主体的 に取 り組む ことがで きるよ うな教材の開 発 と指導方法の工夫 に視点を当て、実践授業を通 して分析 ・考察す る ことに した。
平 成9年 度 教 育 研 究 員(数 学)名 簿
班 研 究 テ ー マ 学 校 名 氏 名
都立大泉高等学校 藤本 淳
日常 的な題材によ る導入 と具体的 都立文京高等学校 吉田 亘
1 都立豊多摩高等学校 田中 茂樹
な作業を通 した等比数列の和の指導 都立忠生高等学校 中村 久 都立久留米西高等学校 原田 能成 都立北野高等学校 黒崎 康弘 課題学習を通 して 自ら学 び自 ら考 都立上野高等学校 大村 勝久
II 都立化学工業高等学校 石崎 規生
え る力を育てる確率の指導 都立東大和南高等学校 中村 直治 都立調布南高等学校 吉田久仁子
コ ン ピ ュ ー タ を 活 用 した 関 数 の 理 都立松原高等学校 長友 信子
解を深 める指導 と教材 の工夫 都立篠崎高等学校 遠藤 康司一
皿 一身近 な事象 か ら指数 につ いて の 関 都立紅葉川高等学校 小林 勝也 数関係 を発見す る活動 を通 して一 都立片倉高等学校 樋川 浩史 都立武蔵野北高等学校 高橋 誠二 担当 教育庁指導部高等学校教育指導課指導主事 星 野 文 男
主題 生徒に興味 ・関心をもたせ、数学的な思考力を高める教材や指導方法の工夫
目 次
1日 常的な題材 による導入 と具体的な作業を通 した等比数列 の和の指導
1.研 究 の ね ら い 2
4.指 導 計 画 5.授 業 記 録 6.分 析 と 考 察 7
研 究 の 内 容 ・方 法 3.教 材 と指 導 方 法 の 工 夫
まとめと今後の課題
II課 題学習 を通 して 自ら学び 自ら考えるカ を育てる確率の指導 1.研 究 の ね らい
2.研 究 の 内 容 ・方 法 3.指 導 方 法 の 工 夫
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察考
4=J2U7ー
授業実践
ア ン ケ ー ト結 果
今後の課題
皿 コンピュータを活用 した関数 の理解を深 める指導 と教材の工夫
身近な事象か ら指数 につ いての関数関係を発見す る活動 を通 して
1.研 究 の ね ら い 2
3
4.指 導 案 5.授 業 実 践 6.分 析 と 考 察 7
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研 究 の 内 容 ・方 法 指導方法 と教材の工夫
まとあ と今後の課題
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1
1日 常的な題材 による導 入 と具 体的な作業 を通 した等比数 列の和の指導
概 要
等 比 数 列 の 和 の 指 導 に お い て 「複 利 計 算 法 に よ る 積 立 預 金 」 を 例 に 導 入 し、 「色 別 タ イ ル 」 を 用 い て 等 比 数 列 の 和 に つ い て の 規 則 性 を 発 見 し、 公 式 を 証 明 す る 手 が か り を つ か み な が ら一 般 化 して い く指 導 を 行 っ た 。 授 業 後 、 生 徒 は 等 比 数 列 の 和 を 求 め る こ と に興 味 ・ 関 心 を も ち な が ら多 様 な 方 法 で 公 式 を 導 き 、 答 を 求 め る 過 程 で 数 学 的 に 考 え る よ うに な っ た 。 今 後 、日常 的 な 場 面 と 関 連 さ せ な が ら 、公 式 を 活 用 す る 機 会 を 増 や す こ と が 課 題 で あ る 。
1.研 究 の ね ら い
新 聞 記 事 の 紹 介 と複 利 計 算 法 に よ る 積 立 預 金 の 計 算 な ど 、 日常 的 な 題 材 を 導 入 と して 扱 う こ と に よ って 、 生 徒 に 等 比 数 列 の 和 を 求 め る こ と に 興 味 ・関 心 を もた せ る よ う に す る 。 次 に 、 色 別 タ イ ル を 用 い て 等 比 数 列 の 和 を 視 覚 的 に 捉 え さ せ 、 生 徒 自 らが タ イ ル を 並 べ 替 え る 作 業 を 通
して 公 式 を 一 般 化 し、 数 学 的 な 思 考 力 を 高 め て い く こ と を 目 指 した(図D。
(1)研 究 の 視 点
授 業 を 通 して 、 次 の 視 点 か ら分 析 ・考 察 を 行 っ た 。
① 生 徒 の 興 味 ・ 関 心 等 に つ い て
② 色 別 タ イ ル の 作 業 の 結 果 に つ い て
③ あ る生 徒 の 色 別 タ イ ル に よ る 解 答 に つ い て
④ 等 比 数 列 の 和 の 公 式 の 理 解 に つ い て (2)今 日的 課 題 と 数 学 的 背 景 と の 関 連
文 部 省 教 育 課 程 実 施 調 査(1995,96)に よ れ ば 、 「自 ら考 え 表 現 す るr新 しい 学 力 観 』 に 立 った 能 力 が 弱 い 傾 向 が あ る 」 と の 指 摘 が あ る 。 「数 学 科 の 指 導 に お い て ス ロ ー ラ ー ナ ー が 発 生 す る要 因 と して は 、 数 学 の 概 念 や 法 則 が 非 具 体 的 で あ る」 と述 べ られ て い る(文献[3])。そ こで 、 生 徒 自 らが 色 別 タ イ ル を 並 べ 替 え る 作 業 に よ り、 等 比 数 列 の 和 を 具 体 的 に把 握 し、 規 則 性 の 発 見 を 通 じて 自 ら考 え 表 現 す る 能 力 の 育 成 を 目 指 す 。 「帰 納 的 な 考 え 方 」
(文献[2])を 用 い て 、 規 則 性 か ら一 般 化 へ と導 く。
主 魎
新 闘 記 事 か ら の 《一 社 会 問 煙 の 紹 介
璽
昌
璽
》
「複 利 計 算 法 に よ る 積 立 預 金 」 の 例
》
興 味
・
関 心 数 学 的 な 思 考 力
r色 別 タ イ ル 」 に よ る 作 業 一一〉 規 則 性 の 類 推 ぐo
一 般 化
公 式 の 証 明
等 比 数 列 の 和 の 理 解 新 し い 学 力 規'\ 数 学 的 見
マ一テ 圏圏
!\ 考 え方
匿 日的蘇 團[遮 璽 園
〔図1:主 題 や テ ー マ と の 関 連 〕
「数 列 の 一 般 項 や 有 限 個 の 項 の 和 に つ い て 取 り扱 い 、 そ れ らの 理 解 と活 用 を 図 る」(文献[1))た め に 基 本 的 な 内 容 を 重 視 し 、 数 学 的 な 見 方 ・考 え 方 を 育 成 す る た め に 指 導 案 を 作 成 し た 。
2.研 究 の 内 容 ・方 法
(D導 入 時 に複 利 計 算 法 に よ る 積 立 預 金 の 例 を 取 り扱 う こ とが 効 果 的 か 、 色 別 タ イ ル の 作 業 が 等 比 数 列 の 和 の 理 解 の 助 け と な る か 、 こ の 指 導 案 が 公 式 の 理 解 度 を 深 め た か 、 生 徒 の っ
ま づ き の 原 因 は ど こか な ど に つ い て 研 究 す る。
(2)日 常 的 な 生 徒 の 学 習 活 動 を 視 野 に 入 れ 、 実 践 性 を 重 視 して 、 研 究 授 業 のVTR記 録 及 び
一z
\
生 徒 の ワ ー ク シ ー トの 解 答 や ア ン ケ ー トの 結 果 を 分 析 し、 考 察 を 進 め る 。 (3)1人 の 生 徒 の 学 習 の 経 過 を 追 う こ と に よ り 、 思 考 過 程 を 分 析 す る 。
3.教 材 と指 導 方 法 の 工 夫 (1)日 常 的 な 題 材 に よ る 導 入
生 徒 の 興 味 ・関 心 を 高 め る た め 、 等 比 数 列 の 和 を 導 入 す る と き に 、 日常 的 な 題 材 と して 新 聞 記 事 か らの ロ ー ン破 産 な ど 社 会 問 題 を 紹 介 す る 。
「複 利 計 算 法 に よ る積 立 預 金 」 を 例 に 、 生 徒 が 電 卓 で 計 算 した 結 果 を ワ ー ク シ ー トに 記 入 す る 。 こ の 計 算 を 通 して 、 各 回 の 積 立 金 が 等 比 数 列 に な る こ と を 確 認 さ せ る と と も に 、 積 立 合 計 が 等 比 数 列 の 和 に な る こ と を 理 解 さ せ る 。 パ ソ
コ ン(表 計 算 ソ フ ト)を 利 用 して 、 様 々 な 金 利 に っ い て の 積 立 合 計 を 調 べ 、 金 利100%の 場 合 が 公 比2の 等 比 数 列 の 和 に な る こ とを 理 解 さ せ る。
教 科 書 「数 学A」 に お け る 金 利 例 の 取 扱 い に つ い て 、 現 在 発 行 さ れ て い る教 科 書23冊 を 調 査 した と こ ろ 、83%が 複 利 計 算 法 に よ る 積 立 預 金 の 例 を 載 せ て い る。 しか し、 等 比 数 列 の 和 の 単 元 の ま と め や 発 展 と して 扱 わ れ て い る(図3)。 教
Q.・ 年 利596、1年 侮 の複 利 で 鋒 年1万 円 ず つ 積 み 立 て る と き 、9年 後 の 積 立 額 の 合 針 を 求 め よ。
現在 1年 後 2年 後 9年 後
1回 i.0000 1.0500 1.1025 1.5513 .05 ●1万×1
2回 / i.0000 1.0500 1.4775 .05 8i万x1
3回 / / 1.0000 L40?豆 .05 '1万x1
10回 / / / i.aoao 1万
合計 1.0000 2.0500 3.1525 12,578
〔図2:生 徒 に 配 布 し た ワ ー ク シ ー ト(一 部)〕
血利側の廓懸 金利の例の敢り接いとその時期
顯の抱奪鵠艮び罐辱ゆに擬った
〔図3=教 科 書 に お け る 〔図4:等 比 数 列 の 和 金 利 例 の 取 り扱 い 〕 の 指 導 法 〕
師 に 対 す る指 導 法 の 調 査 に お い て も、 金 利 な ど を 例 と して 扱 わ な い 場 合 が42%で 、 扱 っ て い る 教 師 の うち 、92%が 指 導 後 の 応 用 と して 扱 っ て い る こ と が 分 か っ た(図4)。
(2)色 別 タ イ ル の 利 用
等 比 数 列 の 和 の 証 明 法 は 、 公 比 倍 した 総 和 か ら総 和 を 引 く(rS.‑S。)。 この 方 法 は 、等 差 数 列 の 和 の 証 明 法 に比 べ て 技 巧 的 で あ る。 そ こで 、 公 比2の 場 合 で は 、 色 別 タ イ ル を 用 い て 等 比 数 列 の 和 を 視 覚 的 に 捉 え 、 色 別 タ イ ル を 並 べ 替 え る な ど 試 行 錯 誤 を
通 して 規 則 性 を 類 推 す る 。 ま た 、 公 比3の 場 合 で は 、 色 別 タ イ ル を 用 い て 公 比 倍 す る こ と の 理 由 や 引 く こ と の 意 味 を 視 覚 的 に 捉 え させ る 。 生 徒 自 身 に 色 別 タ イ ル を 操 作 さ せ る こ と は 、 等 比 数 列 の 和 の 公 式 を 導 く過 程 を 視 覚 的 に 捉 え 、 一 般 化 した 公 式 の 意 味 に つ い て の 理 解 を 助 け る の に 有 効 で あ る と 考 え る 。
① 公 比2の 場 合
1+2+22+23に つ い て 、 ワ ー ク シ ー ト(図5)に、 色 別 タ イ ル を 並 び替 え た 結 果 を 記 入 さ せ る 。 こ の と き 、 色 別 タ イ ル の 合 計 を 表 現 す る計 算 式 も記 入 さ せ る 。 思 い つ い た 並 べ 方 全 て に つ い て 同 じ作 業 を 繰 り 返 し、 書 き出 した もの に つ い て ど の 式 や 考 え 方 が 適 切 か 、(◎ ○ △
×)で 自 己 評 価 を 記 入 さ せ る 。 次 に 、 色 別 タ イ ル を 増 や し、 第4項
一3一
01書 う雲 く い う たO睾 あ うま く いoた ム そ れ ほ ど で も な い ロ の え の よ く な い
〔図5:色 別 タ イ ル の 解 答 用 紙(一 部)〕
1
ま で の 規 則 が 適 用 で き る か 確 認 さ せ る 。 そ こ で 、 生 徒 の 代 表 に 自 分 の 解 答 を 発 表 さ せ 、 ど の 考 え 方 が 一 般 性 の あ る 考 え 方 か を 検 討 さ せ る 。 そ の 後 、 タ イ ル を 増 や し て1+2+22+23+2'+25・26‑1の 発 見 ま
で 結 び つ け る 。 こ れ を 一 般 化 し て 、1+2+22+23+… 〔図6:ワ ー ク シ ー ト(公比3の場合㈱ と3"‑1の腋)〕
+2"‑1・2°‑1に な る こ と を 類 推 さ せ る 。
雌1三 蓋三諜 灘 唖 囲目3r4コyMVV。目L閣 幽
3の 式 に な る か 発 問 す る 。 生 徒 が 電 卓 を 用 い て 、3s・S・2S,
1爆ll諜嬉 黙i調 騨闘臨羅
を 発 見 した 後 、 色 別 タ イ ル を 用 い て この 関 係 の 〔図 了:色別 タ イ ル に よ る3S。‑S。 の 説 明 〕 正 しい こ と を 、 教 師 が 次 の よ う に 説 明 す る(図7)。
A B AとBの 贋 係
S2薗1十3 s,瞳1+3+ゴ S、 翼1+3+♂+3' S、 置1+3+ず+38+34
3'‑1 83‑‑1
34‑1
●3‑1
・公 比 が3で あ る か ら1,3,32の タ イ ル を3組 用 意 す る 。
・前 述 「2倍 」 を 再 確 認 し 、3‑1・2で あ る か ら 、1組 の 色 別 タ イ ル1,3,32を 取 り 除 く 。
・残 っ た 色 別 タ イ ル は2組 分 と な り 、 「2倍 」 と 関 連 づ け を 図 る 。
・最 後 に2組 の 色 別 タ イ ル を 並 び 替 え る と 、33‑1の 形 に な る こ と を 提 示 す る 。
以 上 の よ う に 「 公 比 倍 し て か ら 引 く 」 と い う こ と を 強 調 す る と と も に 、 こ の 方 法 が 第4項 ま で の 和1+3+32+33に 適 用 で き る こ と を 同 じ 方 法 に よ り 示 す(図7下)。
③ 公 比4の 場 合
(公 比 一1)・3組 の 色 別 タ イ ル は 、4°‑1の 形 と して 並 べ 替 え る こ と が で き る こ と を 生 徒 に 確 認 さ せ る。
④ 色 別 タ イ ル の 作 り方
公 比2と 公 比3の 黒 板 提 示 用 タ イ ル の 作 成 方 法 で あ る が 、 タ イ ル と項 数 と の 対 応 を 明 確 に す る た め に 、 各 公 比 と も項 ご と に 同
じ色(初 項 か ら順 に 、 黒 、 緑 、 黄 、 青 、 赤 、 白)を 用 い 、 公 比 の 大 き さで 裁 断 した 。 ま た 、 教 師 用 と生 徒 用 の 各 項 ご との 色 は 同 じ で あ る 。 教 師 用 の 色 別 タ イ ル は 、 市 販 さ れ
て い る カ ラ ー マ グネ ッ トシ ー ト(30●×10の で あ る 。 公 比2の 場 合 は 第6項 ま で1組 、 公 比3の 場 合 は 第4項 ま で に354‑54・2S4と な る た め 、 最 低2組 必 要 で あ る(図7)。
黒 黒
白(1枚)白(2枚)縁(1教)費 〔11険)黄(1軟}
青(1枚)脅(4枚)脅{1枚)雰 〔1披)雰(1枚}
¥¥̀使 肌 ない
〔図8:カ ラ ー マ グ ネ ッ ト シ ー ト の 裁 断 図(公 比2,3)〕
一4一
4.指 導 計 画
テ ー マ に 基 づ い て 作 成 し た 指 導 案 の 全 体 図 を 示 す(図2)。 等 比 数 列 の 一 般 項 ま で の 学 習 を 終 了 した 生 徒 を 対 象 と し、 等 比 数 列 の 和 を4時 間 で 学 習 す る。
第1時 間 目:日 常 的な題材を用 いた導入 新聞記事 の紹介
「複 利 計 算 法 に よ る積 立 預 金 」 の 練 習(電 卓 使 用)一 他 の 金 利 に よ る 練 習(パ ソ コ ン使 用)
第2時 間 目:色 別 タ イ ル に よ る 具 体 的 な 作 業
「色 別 タ イ ル 」 の 作 業(1+2+22+23 ,1+2+22+23+24)一 一
生徒の解答例の発表
{興 味 ・関 心 を 高 め る と と もに 、等 比 数 列 の 和 の 実 際 を 知 る
一一禦 講 講 響 方法がない。
{艦 鱗 鷺 重甑 鴛 一一艦 臓 犠 驚 規則性を
第3時 間 目:色 別 タ イ ル に よ る 公 式 の 証 明
第4時 間 目:一 般 化 と そ の 応 用 和 の 公 式 の 証 明
ス
練 習 問 題
「複 利 計 算 法 に よ る 積 立 預 金 」 の 例 へ 適 用 … 一一
{鵜 霧 馨 方を学ぶことで・
螺 艦 膝 姦絃iO項 や {篇 菱 宏蒙 害獲 難 与野 {艦 ご籏 謂 堕羅 輿 継 趨 繍 響 で確認し・
{rSゴS。 に よ る 証 明 を 、 視 覚 的 イ メー ジを 持 ち な が ら理 解 す る
。
黎 鎌 騰 鰻 謝 で
一一劇 灘 箋離 嬰驚 とによ
〔図9:指 導 全 体 の 概 略 と 主 な ね ら い 〕
5.授 業 記 録 (1)指 導 案
本 時 の 目 標:公 比2の 等 比 数 列 の 和 を 色 別 タ イ ル に よ り視 覚 的 に 捉 え 、 生 徒 自 らが 並 べ 替 え る こ と に よ り、 和 の 規 則 性 を 発 見 す る。
時閤1指 導 内 容1学 習 活 動1指 導上 の留意点及び評価
導
入
5 分
復習 と本時の学習内 容 の説明
等 比 数 列 の和 と色 別 タイルの関係 の説明
・複 利 計 算 法 の 例 を 踏 ま え 、 和 の 計 算 を す る理 由 を 強 調 す る。
(興 味 ・関 心)
・第 何 項 で あ るか が 分 か る よ う に 色 別 さ れ て い る こ と を 説 明 す る 。
一 板 書 1+2+22+…+210・
一 板 書
1十2十22十23十2'
=]=
=]=
。 日 目 ≡ 至
(黒)(緑)(黄)(赤)(青)
一5一
時間1指 導 内 容i学 習 活 動1指 導上の留意点及び評価
展
開
30 分
プ リン トの配布 色別 タイルの作業 目 標の指示
色別 タイル(黒 〜赤) の配布
個別指導
生徒の解答例の発表
色別 タイル(白)配 布
・補 足 説 明 と して 1+2、1+2+22に つ い て 演 習 す る 。
・消 し ゴ ム を 使 わ ず 、考 え た 順 に 自 由 に 記 入 さ せ る 。(興 味 ・関 心)
・計 算 式 を 書 け な い 場 合 は 考 え 方 を 質 問 し、 指 導 す る 。(表 現 ・処 理)
・予 想 さ れ る生 徒 の 解 答 に 対 す る指 導 方 法 を 準 備 す る 。(知 識 ・理 解)
・共 通 性 は ど こか 、S6 に 適 用 で き る もの は ど れ か を 説 明 す る 。 (数 学 的 見 方 ・考 え 方)
・全 員 に 再 確 認 さ せ て か ら作 業 に 取 り組 む 。 一 板 書
並 べ 方 を 工 夫 しな が ら、 規 則 を 見 つ け 、 和 を 簡 単 な 式 で 表 そ う 作 業 ①1+2+22+23
色 別 タ イ ル を 並 べ た 状 態 を 、 輪 郭 の み を 記 入
す る 。
(図5参照) 0 0 n X
計 算 式1自 己評価
作 業 ②1+2+22+23+24 (作 業 ① と 同 じ)
作 業 ③1+2+22+23+24+25 (作 業 ① と ほ ぼ 同 じ) ま
と め 10 分
計 算 式 に よ る ま と め
S。=2°‑1の 類 推
次 回 の 予 告
・2'‑1の 形 に な って い る こ とを 強 調 す る 。 (数 学 的 見 方 ・考 え 方)
・類 推 の 段 階 で あ る こ と を 強 調 す る。
一 板 書
1十2+22十23=16‑1=2"‑1 1十2十22十23十2"=32‑1=25‑1 1十2+22+23+24十25=64‑1=26‑1
一 板 書
1+2+22+…+210・2"‑1
1+2+22+…+2° 一コ・2°‑1
〔表2:指 導 案(第2時 間 目=色 別 タ イ ル に よ る 具 体 的 な 作 業)〕
(2)研 究 授 業
指 導 案(表1)に 従 い 、 都 立 高 等 学 校 定 時 制 普 通 科 第2学 年(22名 、 「数 学A」2単 位)の 生 徒 を 対 象 に 研 究 授 業 を 実 施 した 。 以 下 は そ の 様 子 や 生 徒 の 解 答 例 、 参 観 者 か らの 意 見 で あ る 。
① 導 入 部 分
前 時 に 学 ん だ 複 利 計 算 法 に よ る積 立 預 金 に つ い て 復 習 し、 そ の 合 計 額 が 等 比 数 列 の 和 に な る こ とを 確 認 さ せ た 。 本 時 の テ ー マ 「並 べ 方 を 工 夫 しな が ら、 規 則 を 見 つ け 、 和 を 簡 単 な 式 で 表 そ う」 を 示 し、 初 項1公 比2の 等 比 数 列 の 第11項 ま で の 和 を 板 書 した 。 そ して 、 具 体 的 に 第3 項 ま で 提 示 用 色 別 タ イ ル を 並 べ 替 え る こ と に よ り 、 和 を 求 め る と い う操 作 を 説 明 した 。
② 生 徒 の 取 組 み
具 体 的 な タ イ ル を 並 べ る と い う操 作 で あ っ た た め 、 生 徒 は 真 剣 に 取 り組 ん で い た(剛0)。 作 業 の 目的 が は っ き り理 解 で き な い 生 徒 に は 、 個 別 指 導 を 行 い 並 べ 方 を 例 示 した 。 そ の 後 、 内 容 を 理 解 す る と、 積 極 的 に 作 業 に 取 り組 む 様 子 が 見 られ た 。 ほ ぼ20分 間 で 第4項 ま で の 和 と 第5項 ま で の 和 に つ い て 作 業 を 終 了 した 。
紺
穐 ・
鉱
、
翼 轟
〔図10=色 別 タ イ ル の 作 業 〕
一6一
③ 作 業 の 方 法
生 徒 が 作 業 した 結 果 は 、 予 め 方 眼 紙 の み を 印 刷 した プ リ ン ト(図5)に 、 解 答 数 を 制 限 せ ず 、 消 し ゴ ム を 使 わ ず に 記 入 さ せ た 。
④ 生 徒 の 解 答
考 え 方 の 異 な っ た3人 の 生 徒 に 黒 板 で 解 答 を 発 表 させ (図1D、そ の 考 え 方 を 説 明 さ せ た 。2種 類 の 考 え 方 の 特 徴 を 説 明 し 、 第6項 ま で の 和 に 適 用 で き る 内 容 は ど れ か 考 え さ せ 、 さ らに 白 タ イ ル を 配 布 して 作 業 させ た 。
⑤ 研 究 授 業 の 評 価
終 了 後 、 研 究 授 業 ア ン ケ ー トを 実 施 した(図12)。
意 見 の 中 に 、 「作 業 内 容 の 指 示 に お い て 、r並 べ 方 を 工 夫 す る 』 と い う言 葉 が 生 徒 に 理 解 しや す い か 。 別 の 表 現 で 表 せ な い か 」 と い っ た もの が あ っ た 。 ま た 、rr余 分 な タ イ ル を1枚 加 え 、 長 方 形 を 作 り な さ い 』 と い う発 問 で は ど うか 」 と い う指 摘 もあ っ た 。 「作 業 を 始 め る に 当 た りr失 敗 して も い い 』 と い う発 問 は 、 生 徒 の 積 極 的 な 取 組 み を 促 進 す る 」 と い う意 見 もあ っ た 。
①事葭麓明の噂聞
②生融 》俸霞噂聞
③生覆の麺澱縛閥
S.瞠1+2+2'十2' S・ 量1+2+2'+2'+2'
『axa‐i
‑
7×2十1
[二
8xt‑1
6x8‑t
m:と めの剛 町
〔図11:生 徒 の 解 答 〕
● 良し 口 側9● 命亀あり 日 憂轍 ●ゆべ9食
〔図12:研 究 授 業 ア ン ケ ー ト〕
6.分 析 と考 察
(1)生 徒 の 興 味 ・関 心 等 に つ い て
図13は 、 第4時 間 目の 授 業 終 了 後 に 行 っ た ア ン ケ ー トの 結 果 で あ る 。 新 聞 記 事 か ら の 社 会 問 題 に つ い て は 、 興 味 ・関 心 が 他 の 項 目 に 比 べ て 低 い こ とが 分 か る。 生 徒 は 具 体 的 作 業 に 対 して 関 心 が 高 い 結 果 を 示 して い る 。 ま た 、 導 入 時 に 複 利 計 算 法 の 積 立 預 金 の 例 を 示 し、 電 卓 や パ ソ コ ンを 用 い た 計 算 を 行 っ た こ と は 、84%の 生 徒 が 面 白 か っ た と答 え て い る。 最 も 関 心 を 示 して い る色 別 タ イ
ル の 作 業 は 、73%の 生 徒 が 等 比 数 列 の 和 を 視 覚 的 に 捉 え る こ とが 〔図13:生 徒 の 興 味 ・関 心 〕 で き た と答 え て い る。 これ は 高 等 学 校 に お い て も 、 色 別 タ イ ル が
教 材 と して 効 果 的 で あ る こ と を 示 して い る と と も に 、 数 学 的 な 見 方 ・考 え 方 を 育 成 す る こ と が で き る と考 え られ る。
(2)色 別 タ イ ル の 作 業 の 結 果 に つ い て
和 の 項 数 ご と に生 徒 が 考 え た す べ て の 解 答 を 長 方 形 か ら1つ 少 な い と考 え た も の(‑1型)、 長 方 形 に 1っ 加 え た と考 え た もの(+1型)、 長 方 形 に並 べ た も の(矩 形)と そ の 他 に 分 類 し、 そ の 解 答 数 を ま と め た もの が 図14で あ る。 図15か ら分 か る よ うに 項 数 が 増 え る に 従 い 解 答 数 は 減 少 して い る。
一7一
一1型
̲J‑…
一十 一 ÷
‑1『 …1‑ 一
+1型
﹁
1し11
ー
計 算 式4×4‑12×7十1
矩 形
5×3
〔図14:解 答 の パ タ ー ン〕
}
第4項 ま で の 和 で は 、2個 以 上 解 答 した もの が 全 タ イル の 作 業 結 果(延 べ数) 体 の83%で あ る。 これ は 、 い ろ い ろ な 並 べ 方 の 工 夫 生徒数20名
を試みて作業 に集中 してい る結果 と判断で きる・ 綴 繍 謬1
「そ の 他 」 が 最 多(62%)で あ る 。 こ れ は 、 こ の 時 点 第6項迄の和
。t20鳶 so
で は 発 問 の 内 容 を 十 分 に理 解 して い な い 生 徒 が い る(%)
と 考 え ら れ る 。1■ 一理瞭 ・姻 椰Dそ の他1
第5項 ま で の 和S5で は 、 解 答 数 が 半 数 以 下 に 減 っ 〔図15:色 別 タ イ ル の 解 答 分 布 〕 て い る 反 面 ・+1型 が 増 加 して い る 。 個 数 の 減 少 は 時 授 業 の感 想
間 不 足 に よ る もの と考 え られ る が 、+1型 の 増 加 に っ 第2時間目(研究授業) い て は 、S5・31を30+1と 考 え て い る生 徒 が 多 い こ と 楽しさ
時聞 は足 りた
が 後 日 の 調 査 よ り 判 明 し た 。 分か幅 さ
第6項 ま で の 和 で は 、‑1型 の 解 答 が75%あ る 。 こ020(%)6080100
れ は 、 第6項 ま で の 和 の 作 業 を 行 う 前 に 考 え 方 を 黒 nい ロし峨
板 で 検 討 し 、2°‑1を 意 識 し て タ イ ル を 並 べ た 結 果 と 〔図16:色 別 タ イ ル の 生 徒 の 感 想 〕 考 え ら れ る 。
以 上 の 結 果 か ら 、 色 別 タ イ ル に よ る作 業 が 、 生 徒 の 自 ら考 え る 姿 勢 を 促 す と考 え られ る 。 (3)あ る生 徒 の 色 別 タ イ ル の 解 答 に つ い て
生 徒Rの 解 答(表2)やVTR記 録 、 面 接 か ら、 色 別 タ イ ル に よ る作 業 が 、 ど の よ うな 数 学 的 な 思 考 を 促 す か に つ い て 分 析 を 行 っ た 。
(1回 目 の 解 答)初 め に 長 方 形 を 考 え て い る 。1+2+2Z↓23=3x5で あ る の で 、 こ の 型 以 外 の 長 方 形 は あ り 得 な い が 、 こ れ と同 じ型 の 解 答 を し た 生 徒 は25%い た 。Rは 形 が 安 定 して い る
と い う こ と で 、 「長 方 形 に 並 べ た 、 と言 って い る 。
(2回 目の 解 答)3x4の 長 方 形 に3を 加 え た もの と して 考 え て い るが 、 や や 自然 で な い と考 え て ○ に した と の こ と で あ っ た 。
(3回 目 の 解 答)解 答 に 至 る ま で3分 間 の 間 隔 が あ る 。 こ れ は2回 目 と同 じ並 べ 方 で は あ る が 、 正 方 形 を 中 心 に した 考 え 方 に 変 え た もの で あ る。 数 え 方 の 視 点 を 変 え る の に 時 聞 が か か っ た もの と 判 断 で き る 。 正 方 形 が4×4と 表 せ る こ と か ら、 自 己 評 価 は◎ に な っ て い る。
(4,5回 目 の 解 答)3×4型 、4×4型 を 考 え 尽 く し た の で 、Rは2x8型 に 考 え を 進 め て い る。4回 目 は2回 目 に 考 え た 方 法 と 同 じ く長 方 形 の 和 と の 見 方 で 式 を 作 成 し、5回 目 は
3回 目 と同 じ く 長 方 形 か ら1つ 不 足 した とす る考 え 方 を して い る。
解 答順 序 1回 目 の 解 答 2回 目 の 解 答 3回 目 の 解 答 4回 目 の 解 答 5回 目 の 解 答
時 間 〜40秒 〜3分5◎ 秒 〜4分20秒 〜4分50秒 〜5分4()秒
生 徒Rの 色 別 タ イ ル の 並 べ 方
"
.』「
1‑F 國 C
‑
三
逝 主
工
計算式・配 諦 ・・5ゆ 3x4+3(C 4z4‑1ゆ 2x7+11C 2×8‑1
〔表3:生 徒Rの 色 別 タ イ1Lの 解 答(時 間 順)〕
̲g̲
こ の よ う に 、 「飛 び 出 て い る 所 に 目が い くJた あ 、 まず 、 「長 方 形 の 和 」 と考 え る 傾 向 が あ り、 差 の 考 え 方 は 、 「規 則 性 の あ る 簡 単 な 式 」 を 求 め る た め に 、 試 行 錯 誤 の 中 か ら生 ま れ て い る 。 タ イ ル が 柔 軟 に 考 え る姿 勢 を 養 い 、 数 学 的 な 見 方 ・考 え 方 を 促 す 教 材 に な っ て い る と考 え
られ る。
(4)等 比 数 列 の 和 の 公 式 の 理 解 に つ い て
この 指 導 案 に 基 づ い て 授 業 を 行 っ た ク ラ ス と 、 タ イ ル を 用 い ず に授 業 を 行 っ た ク ラ ス を 対 象 に 、 第4時 間 目の 授 業 を 実 施 後 、 具 体 的 な 等 比 数 列 の 問 題 に っ い て 比 較 調 査 を 行 っ た 。 公 式 を 用 い る 練 習 の 時 間 が 不 足 して い た た め 正 解 率 は2ク ラ ス と も低 か っ た が 、 等 比 数 列 の 基 本 事 項 に 関 す る理 解 に は あ ま り差 は み ら れ な か っ た 。 しか し、 等 比 数 列 の 和 を 具 体 的 に 求 め る 問 題 に っ い て は 、 タ イ ル を 用 い な い ク ラ ス は 公 式 暗 記 型 の 解 答 の み だ っ た の に 比 べ 、 タ イ ル を 用 い た ク ラ ス に は 、 公 式 の 証 明 法 に 従 っ て 解 答 を 試 み た 生 徒 が い た 。 タ イ ル に よ る 操 作 が 規 則 性 の 発 見 を 促 し、 公 式 を 導 い て い くた め の 論 理 的 な 思 考 を 促 す こ と に な り、 生 徒 の 数 学 的 な 考 え 方 に 影 響 を 与 え た と考 え られ る。
7.ま と め と 今 後 の 課 題
等 比 数 列 の 和 の 指 導 に お い て 、 色 別 タ イ ル の 利 用 と 日 常 的 な 題 材 とを 関 連 さ せ て 指 導 した 結 果 、 次 の よ う な こ と が 分 か っ た 。
① 色 別 タ イ ル の 利 用 は 、 等 比 数 列 の 和 を 具 体 的 に 視 覚 化 し、 生 徒 が 等 比 数 列 の 和 を 定 式 化 す る た め 主 体 的 な 取 扱 い を 促 し,規 則 性 を 発 見 さ せ る の に 助 け と な っ た 。
② 規 則 性 が 発 見 で き た 生 徒 は 、 そ の 後 の 学 習 に お い て も積 極 的 な 姿 勢 が 見 られ 、 発 見 を し た 経 験 や 操 作 的 な 学 習 が 、 学 習 活 動 の 動 機 づ け に 効 果 的 で あ る こ とが 分 か っ た 。
③ 導 入 時 に 等 比 数 列 の 和 の 日常 的 な 題 材 を 取 り扱 う こ と は 、 学 習 の 動 機 づ け と い う観 点 か ら有 効 で あ っ た(図13)。
今 後 の 課 題 と して 、 色 別 タ イ ル の 作 業 の 時 間 配 分 を 生 徒 の 実 態 に ど う 合 わ せ る か 、 生 徒 の 自 由 な 発 想 を 引 き 出 す た め の 発 問 の 工 夫 、 多 くの 生 徒 が 積 極 的 に 取 り組 む た あ の 討 論 の 工 夫 が あ げ られ る 。
〔参 考 文 献 〕
[1]文 部 省,高 等 学 校 学 習 指 導 要 領 解 説 数 学 編 ・理 数 編,ぎ ょ うせ い(1990)
[2]都 立 教 育 研 究 所 数 学 研 究 室,高 等 学 校 数 学 に お け る 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 を 育 て る指 導 の 在 り方 に 関 す る研 究(1996),pp.6〜9
[3]古 藤 怜,数 学 科 に お け る学 習 指 導,共 立 出 版(1982),pp.60〜62 [4]松 原 元 一,数 学 的 見 方 考 え 方,国 土 社(1990)
[5]坂 元 昴,子 ど もを 生 か す 授 業 の し くみ,ぎ ょ うせ い(1988)
一9一
II課 題学習を通 して自ら学 び自ら考 える力 を育 てる確率の指導
概 要
生 徒 一 人 一 人 が 日常 生 活 の 中 か ら確 率 に 関 す る 課 題 を 見 っ け 出 し、 本 や 資 料 を 調 べ た り 教 師 の 支 援 を 受 け た り して 、 生 徒 自 らが 課 題 を 解 決 して い く指 導 を 行 っ た 。 ま た 、 生 徒 が 解 決 し た こ と に つ い て 、 生 徒 相 互 に 発 表 した り協 議 した り す る こ とに よ って 、 生 徒 相 互 に 数 学 的 に 考 え 合 う よ うな 指 導 方 法 の 工 夫 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 生 徒 は 日常 生 活 の 中 に あ る 確 率 に つ い て 興 味 ・関 心 を もつ よ う に な り、 生 徒 自 らが 数 学 的 に 考 え て 課 題 を 解 決 し よ う
と す る よ う に な っ た 。
1.研 究 の ね ら い
日 々 の 数 学 の 授 業 に お い て は 、 教 師 が 例 題 を 解 説 し、 生 徒 は 教 師 に よ っ て 与 え られ た 問 題 を 解 く と い う場 面 が 多 く見 られ る 。 そ の 結 果 、 生 徒 は 数 学 に 取 り組 む 姿 勢 が 受 け 身 と な り、 高 等 学 校 に お け る数 学 嫌 い の 増 加 や 理 系 離 れ の 一 因 と な って い る と考 え られ る 。 まず 、 生 徒 に 数 学
の 内 容 に 対 して 興 味 ・関 心 を もた せ 、 主 体 的 に 学 習 に 取 り組 ま せ る こ と が 重 要 で あ る 。 そ こ で 、 日常 生 活 とか か わ りの 深 い 「確 率 」 を 題 材 に 、 生 徒 一 人 一 人 が 課 題 を 見 つ け 出 し、 自 ら課 題 を 解 決 して い くよ う な課 題 学 習 を 行 い 、 生 徒 相 互 に 数 学 的 な 思 考 を 高 あ 合 う指 導 方 法 に 関 す る 研
究 を 行 う。 本 研 究 は 、 以 下 の よ うな ね ら い とす る 。
(1)日 常 生 活 の 中 か ら確 率 に 関 す る課 題 を 生 徒 自 ら発 見 さ せ 、 課 題 意 識 を 高 め る よ う に す る 。 (2)課 題 解 決 に 当 た って 既 習 事 項 と 関 連 さ せ な が ら、 生 徒 一 人 一 人 の 方 法 で 解 決 さ せ る。
(3)教 師 の 支 援 や 生 徒 相 互 の 話 合 い を 学 習 に 位 置 付 け 、 数 学 的 な 思 考 を 促 す 。
2.研 究 の 内 容 ・方 法 (1)教 材 の 研 究
生 徒 の 課 題 学 習 の 成 果 か ら、 生 徒 自 らの 力 で 解 決 で き る よ う な 日常 生 活 の 中 に あ る 確 率 の 教 材 に つ い て 考 察 す る。
(2)授 業 展 開 の 研 究
実 践 授 業 を 通 して 、 生 徒 一 人 一 人 が 解 決 した 内 容 を 発 表 し、 相 互 に 話 し合 う こ と で 数 学 的 な 思 考 を 高 め る よ うな 指 導 方 法 に つ い て 考 察 す る 。
(3)ワ ー ク シ ー トの 作 成 と 活 用 学 習 活 動 の 各 段 階 で 数 学 的 な 思 考 を 促 す よ う な ワ ー ク シ ー トの 作 成 と活 用 方 法 に つ い て 検 討 す る 。
(4)課 題 学 習 の 方 法 に つ い て の 研 究
指 導方法 の 工夫 生徒 の学 習活動
生徒 の身 の まわ▼ が
主 なね らい と 評 価 の観点
授業 展 開の
工夫 ↓ ←一
確 率 に関す る
関心 ・意欲 態度
解 決方 法の
工夫 ↓ 一 一
i・ ボー ・作司
数 学的 な 考え 方 知 識 ・理解
團
W
グルー プ別 学 習 ←
[全 体学習]←
表現 ・処理 数学 的な 考え 方 知識 ・理解
授 業 後 に ア ン ケ ー ト調 査 を 行 い 、 生 徒 の 興 味 ・関 心 や 数 学 的 な 思 考 の よ う す を 考 察 す る 。
一10一
10脈
3.指 導 方 法 の 工 夫
(1)課 題 学 習 に つ い て の 工 夫
高 等 学 校 の 段 階 に お い て も 、 生 徒 一 人 一 人 の 能 力 や 適 性 、 興 味 ・関 心 な ど に 応 じて 、 日常 生 活 の 中 か ら数 学 に 関 す る 課 題 を 見 つ け 出 させ る こ とが 可 能 で あ る 。 ま た 、 課 題 を 解 決 して い く 過 程 で 学 ぶ こ と の 楽 し さ を 知 り 、 課 題 を 解 決 した と きの 成 就 感 や 満 足 感 を 味 わ わ せ る こ とが で
き る 。 本 研 究 で は 、 数 学 的 な 思 考 を 高 め る た め に 、 生 徒 一 人 一 人 が 日常 生 活 の 中 か ら 自 ら課 題 を 見 つ け 出 し、 ワ ー ク シ ー トを 用 い て 解 決 して い く よ うな 授 業 実 践 を 行 う。
(2)課 題 設 定 か ら レポ ー ト作 成 ま で の 指 導 方 法 の 工 夫
生 徒 が 見 つ け 出 した 課 題 に つ い て 、 解 決 の 見 通 しを 教 師 が 確 認 した 上 で 取 り組 ま せ る 。 課 題 解 決 の 見 通 しを 立 て させ る た め に 、 課 題 の 内 容 や 解 決 の 方 法 に っ い て の 疑 問 点 を ワ ー ク シ ー ト に 記 入 さ せ る 。 ま た 、 教 師 が 生 徒 一 人 一 人 に助 言 を しな が ら レポ ー トを 作 成 さ せ る 。
(3)生 徒 の 発 表 方 法 に つ い て の 工 夫
課 題 学 習 の 成 果 に つ い て 、 グ ル ー プ 別 に 発 表 す る 方 法(グ ル ー プ 別 学 習)と 生 徒 全 体 の 場 で 発 表 す る 方 法(全 体 学 習)の2つ が あ る。 グ ル ー プ 別 学 習 で は 、 課 題 の 内 容 に よ っ て 確 率 の 基 本 法 則 、 独 立 試 行 、 期 待 値 の3つ の 分 野 に 分 類 し、 生 徒 の 作 成 した レ ポ ー トを も と に 、 グル ー プ 内 で 相 互 に 発 表 と協 議 を さ せ る 。 ま た 、 全 体 学 習 で は 、 生 徒 の 作 成 した レポ ー トの 中 か ら、
確 率 に 関 す る発 展 的 な 課 題 を 含 ん だ もの を 取 り上 げ て 発 表 さ せ る 。 これ らの 学 習 を 通 して 、 生 徒 に 成 就 感 や 達 成 感 を 味 わ わ せ 、 課 題 を 発 展 させ な が ら数 学 的 な 思 考 を 高 め る こ と が で き る 。
4.授 業 実 践 (1)指 導 計 画
単 元 名:「 確 率 」 対 象:全 日制 普 通 科1学 年40名
学 習 項 目 学 習 内 容i時 間・鯛
確率 と基本的な法則 確率の意味や基本的な法則について理解する。 8(時 間)
独立 な試行 と確率 具 体 例 を 通 して 、 独 立 な 試 行 に お け る 確 率 を 理 解 す る。 6 期待値 とその活用 具体的な事象 に即 し、簡単な場合 の期待値を理解す る。 6 課題設定 日 常 生 活 の 中 か ら確 率 に 関 す る課 題 を 見 出 し、 解 決 す る
見 通 しを 立 て る 。
1
レ ポー ト作 成 自 ら見 出 した 確 率 に 関 す る課 題 に つ い て レポ ー トを 作 成 す る 。
夏季休 業中 グ ル ー プ 別 学 習 生 徒 が 設 定 し た課 題 別 の グ ル ー プ で 発 表 、 討 議 を す る 2
全体学習 代 表 者 の 発 表 を も と に 、 ま と め を 行 う。 1
(2)評 価 の 観 点
(関 心 ・意 欲 ・態 度)日 常 生 活 の 中 か ら確 率 に 関 す る 課 題 を 見 出 そ う とす る 。
(知 識 ・理 解)課 題 を 解 決 す る た め に 、 確 率 に 関 係 す る 既 習 事 項 と 関 連 づ け て 考 え る 。 (表 現 ・処 理)確 率 に 関 す る 課 題 の 内 容 を 数 学 的 に 表 現 し、 論 理 的 に ま と め て 発 表 す る。
(数 学 的 な 考 え 方)確 率 に 関 す る課 題 を 解 決 す る過 程 で 数 学 的 な 思 考 を 高 め 、 数 学 的 な 見 方 や 考 え 方 の よ さ を 知 る 。
一11一
(3)授 業 実 践
① 課 題 設 定
ね らい:生 徒 一 人 一 人 が 日常 生 活 の 中 か ら確 率 に 関 す る課 題 を 見 出 して 、 解 決 へ の 見 通 しを 持 つ 。 指導上の留意点(0)
指 導 内 容 学 習 活 動
および評価の観 点(●) 導 生徒が日常生活の中か ら確率に関する 具体的 な事例や資料を参 考にす る。 ○ 事前 に課題となるよ うな題材を
入 課 題を見出す ように、具体的な事例 を紹 探 す。
介 す る。 ●内容に興 味関 心を持 つ。
(関 心 ・意 欲 ・態 度)
展 生徒r人 一人が確率に関する課題を見 生徒「人「人が、 日常生活 の中 だ興 味を もった
開 出 す。 確 率に関す る課題を ワークシー トに記入す る。
生徒 「人「人が見出 した課題をワークシー トに
記 入す ることで、解映の見 通 しを立 てる。 ●確率に関する課題を積極的に見
Sl:ト ラ ンプ の 役 の 出 る確 率 出 そ う とす る。(臨 ・・鰍 ・蜘 S2:日 本 シ リー ズ で優 勝 す る確 率
S3:宝 くじの期待値を求める ● 身近 なことが らを数学を用 いて 表現をする。(表 現 ・処 霞D
塞確 率に関する課題 について 日常生活 の中か ら確率 に関する課題を見出す こ とがで きる。
C
ーII..1︑ギ
1融 頒 艦 免 慧とミ騨 鱒 撒 鼎 騨 ④㎜ ⑤臨
2.研 究 テ ーマ を書い て下 さい.
ど ん な と こ ろ を 工 夫 し た り 努 力 し ま し た か?
c一 響 見 て 欲 し い と こ ろ}
齢i6・ く 、 ち 魔P長 ヒ つ じ
一し去ち 彪ぺら.、づ、了ど、eレ バら 。彰あ
課 題 学 習 後.レ ポ ー ト の 中 で 自 分 に と っ て 、 初 め て 鞘 見 、 感 心 、 感 動 、 気 づ い た 点 両雑 の鋤 液御 り些鋼 ろ 裾 画溺 詮=轡 ・磁 ・擁 蹴 ゐ,
3.本 職 を通して這虞したい目楓を具体的に書いて下さい。(Mイ ントを綴って書く1 多srパ の、守 舷 λ^箏 扮 南 ヒ し・う 蜘
どAな 伽 襯 理^勢 后 の 伽 二お ム ℃A厚 佃 級 理 ゆ3些 何 穿 ま 頃 τ
<ろ ト、公 武 ・ヒ セっh7よ ろ ヒ{r̲̀,'
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G乃 ビ じ1蕉郷'馳≧か わ'杉 ち 群.杉 づLも 衆 し,。
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二 の 課 蟹 研 究 壱 遣 して 碗 串 に っ い て 一 書 卿 象 。闘 心 を ひ か れ た 内 馴 ま何 で すか?・
5.鍔 文眠を全馴 駐、て下さい,{頻 繁に便った順 、復禦に趣萬したい本taoをっける。
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〔課 題 設 定 の ワ ー ク シ ー ト〕
‑iz一
② 課 題 の 内 容 例
生 徒 が 見 つ け 出 した 課 題 の 内 容 に つ い て 、 そ の 一 部 を 記 す 。 (a)確 率 の 基本 法 則 の 分 野
・サ イ コ ロの 目の 出方 を1000回 振 って 出 る回 数 を グ ラ フ化す る。
・合格 可能 性 か ら、大学 に何校合格す るかを考え る。
・同 じ誕生 日が い る人 の 確 率 は40人 の ク ラ スで:・%に な る こ とを確 認 し、 実 際 に 自分 の クラ ス にっ い て 調 べ る。 人数 を 変 え る と確 率 は どの よ うに変 わ るか を 考 え る。
・最 初 に く じを 引 く場 合 と2番 目 に く じを 引 く場 合 で は、 当 た り く じを 引 く確 率 は同 じで あ る。
3番 目、4番 目… … に く じを 引 く場 合 は ど うな るだ ろ うか 、確 率 の 樹 形 図 で 考 え る。
・両親 の 血 液 型 か ら生 まれ る子 供 の 血 液 型 を確 率 的 に と らえ る。
・降 水 確 率 の 意 味 と実 測 統 計 を調 べ る。 (b)独 立 試 行 の 確 率 の 分 野
・サ ッカー の ペ ナ ル テ ィー キ ック をA ,B2人 で3回 行 い、 成 功 す る回 数 が 同 じと な る確 率 を求 め る。 また 、 回 数nを 大 き く して い った と きA、Bそ れぞ れが 勝 っ 確 率 を 求 め る。
・三 角 形 の 形 に釘 を 打 た れ た 台 に玉 が ど の よ うな割 合 で 落 ち るか 実 験 す る。
・10問を で た らめ に ○ 、 × した と き正 解 に な る確 率 を求 め る。 問 題 数 を 大 き くす る と ど う変 わ るか 考 え る。
(c)期 待 値 の 分 野
・今 年 の サ マ ー ジ ャ ンボ 宝 く じの 期 待 金 額 につ いて 調 べ る。
・電 車 や バ スの 平 均 待 ち時 間 を確 率 で 考 え る。
・3割 バ ッター が1試 合4回 打 順 が 回 った と き、安打を打つ可能性を探 る。5回 の場合 、打率 を変え たと きど うな るか も考 え る。 プ ロ野 球 選 手 に 当 て は め て調 べ る。
③ グ ル ー プ 別 学 習
グ ル ー プ 別 学 習 で は一 人 一 人 が 課 題 に つ い て の 発 表 を 行 っ た 後 、 共 通 の 課 題 を 設 定 して 協 議 を 行 っ た 。 こ こで は3つ の グ ル ー プ に っ い て そ の 内 容 を 記 す 。
〔(ア)ト ラ ン プ の 確 率 に っ い て の グ ル ー プ 〕
導 入
展 開
まとめ
指 導内容 確率の基本法則の確認
生 徒 が取 り組 ん だ 課題 につ いて そ れ ぞ れ 発 表 させ る。
グ ル ー プ ご と に 課 題 を 設 定 し協 議 させ る。
確 率 の 求 め 方 と利 用 に つ い て
学習活動
n(A)P(A)
̲ n(U)
A∩B=φ の と き 、P(AUB)=P(A》+P(B) S1:ポ ー カ ー の 確 率 に つ い て 。
52枚 の カ ー ドか ら5枚 を 選 ん だ と き に 、 ワ ン ベ ア の 出 る 確 率 は 、
C,・.C:・,zC,・(.C,)'1096240
̲=0.42 6YC62598960
他 の 役 に つ い て も 発 表 す る 。
S2:ブ ラ ッ ク ジ ャ ッ ク の 確 率 に つ い て 。 S3:ト ラ ン プ 占 い の 確 率 に つ い て 。
ポ ー カ ー の 確 率 に つ い て 、 ジ ョ ー カ ー を 入 れ た 53枚 の カ ー ドで 考 え て 見 よ 。
S1:ワ ン ペ ア の 出 る確 率 を 求 め る 。 ジ ョ ー カ ー を 含 む ワ ンペ ア の 出 る 確 率 は 、
C.・(.C,)'183040 6」C62869685
ジ ョ ー カ ー を 含 ま な い ワ ン ペ ア の 出 る確 率 は 13C1・.C:・12C3・(.C,)31098240
6]C6
こ れ ら は 互 い に 排 反 だ か ら、
18304010982901281280
2869685
一}一̲=0 .45
286968528696852869685
従 っ て 、 ジ ョ ー カ ー を 入 れ た ほ う が 確 率 が 大 き く な る 。
S2:ヅ ー ペ ア の 確 率 に つ い て 。
S3:カ ー ド を 交 換 す る と き の 考 え 方 に つ い て 。 (ワ ンペ アの 確 率)〉(ヅ ー ペ ア の 確率)の よ うに 、 身 近 な ゲー ム につ い て確 率 を求 め て 判断 す る こ と が で きる。
矯 躍 踏点81
● トラ ンプ に関 す る確 率 を求 め る こ とが で き る。(知 識 ・理 解)
(表 現 ・処 理)
● 他 人 の 発 表 か ら 日常 生 活 の 中の 確 率 に関 す る課 題 を見 出 す 。
(数学 的 な 考 え方)
● 発 表 を通 して確 率 の 求 め 方 に関 す る理 解 を高 め る。(知 識 ・理 解)
○ ポー カー の ル ール につ い て確 認 す る。 ジ ョー カ ーは 任 意 の カ ー ド と して利 用 で きる。
● 課 題 に輿 味 を 持 って 意 欲 的 に取 り組 む。(関 心 ・意 欲 ・態度)
● 日常 生活 の 中で 、確 率 を用 い て 判 断 しよ う とす る。(
数 学 的 な考 え 方)
一13一