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(様式5) 平成31 年度(2019 年度) 教職大学院派遣研修 研究報告書

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(様式5) 平成31 年度(2019 年度) 教職大学院派遣研修 研究報告書

キーワード:グランドデザイン 組織開発 ミドルリーダー 対話 協働

1 研究の背景(目的) ・主題設定の理由等 東京都教育委員会は「都立高校改革推進計画・新 実施計画(第二次) 」において、令和元年度末までに 全ての都立高校でグランドデザインを策定すること とした。各学校においては、自校の特色を発信する とともに、グランドデザインに示される学校のビジ ョンの実現に向けた取組を通した各学校の組織マネ ジメントの強化が期待される。各学校が特色を生か し、自律的な学校経営を推進するためには、校長の リーダーシップのもと、全ての教職員がグランドデ ザインに示されたビジョンを共有することが重要で ある。しかし、都立高校においてはビジョン共有が 進みにくいという現状もある。組織的な学校経営を 行うためには、校長のリーダーシップのもと、主幹 教諭等の中堅教諭(以下、ミドルリーダー)が組織 貢献意欲を高め、組織横断的に連携・協働してビジ ョンの浸透と目標達成に向けた取組の推進役を担う ことが必要である。

東京都教育委員会は、平成 29 年度より「カリキュ ラム・マネジメント推進校」事業を行うなど、グラ ンドデザインに基づく効果的な教育活動の充実を目 指した様々な施策を展開しているが、都立学校にお ける組織的な学校経営のさらなる強化のためには、

取組の成果を全都に向けて発信することが重要であ る。そこで、本研究では、都立学校のグランドデザ イン策定・共有の過程におけるミドルリーダー間の 対話に着目し、その分析の結果から組織的な学校経 営を強化するための要因を明らかにし、広く全都に 発信することを目的とする。

2 研究の内容・研究の方法

3 研究の結果

<先行研究の整理>

(1) 組織開発

研究の目的に沿って、組織開発についての先行 研究を整理した。C.バーナードは組織の3要素と して、 「共通目標」 、 「貢献意欲」 、 「コミュニケーシ ョン」を挙げ、P.センゲは組織が学習しながら成 長するためのディシプリンとして、 「自己マスタリ ー」 、 「メンタルモデル」 、 「チーム学習」 、 「共有ビ ジョン」 、 「システム思考」を挙げている。

(2) 対話・協働

日本では佐古らが、目標達成のためには教職員 の協働性を高める必要性を指摘し、小島、渕上ら はミドルリーダー同士が連携・協働して教職員を エンパワーしながら、学校のビジョンを共有する ことが重要だと述べている。また、中原・中村ら は対話の意義として、 「協調的な課題解決が可能に なる」 、 「組織変革につながる」として、組織にお ける対話と協働の重要性を主張している。

<研究方法の整理>

本研究では、ミドルリーダー間の対話を、SCAT(大 谷、2008)を用いて質的に分析し、協働性の変容を 記述・解釈することとした。また、分散型リーダー シップ実践(スピラーン、2006)の理論を用いて、

研修や会議の様態を動的に記述し、ミドルリーダー 間の対話と協働が組織全体にどのように影響を与え たかを分析することで、組織的な学校経営を促進す る要因を明らかにすることとした。

派遣者番号 31K17 氏 名 天野 大輔

研究主題

―副主題―

都立学校におけるグランドデザインの共有を通した組織開発

-ミドルリーダー間の対話と協働に着目して-

派遣先 東京学芸大学 教職大学院 担当教官 伊東 哲 所属 都立立川国際中等教育学校 所属長 幸田 諭昭

組織開発、対話、協働とは 質的研究方法の整理

F S

F S

F S

図1 スピラーン(2006)の分散型リーダーシップ実践

※三角形はリーダー、フォロワー、状況の3者が相互に影 響を及ぼしていることを表し、その相互作用を実践と捉 え、矢印は実践が時間の経過とともに進むことを表す。

Leadership Practice

Leaders Followers Situation

先行研究の整理 研究方法の整理

実践研究 考察・まとめ

校内研修、ミドルリーダー会等の実践

実践の成果と課題、成果の活用方法

(2)

<実践研究>

(1) 概要

表1のように、所属校において、グランドデザ イン共有のための校内研修を令和元年6月から翌 年1月までに4回開催した。また、グランドデザ インの策定と校内研修の企画・運営のため、グラ ンドデザイン・プロジェクトチーム(以下、PT)

を立ち上げるとともに、研修や会議を振り返るチ ームとしてミドルリーダー会(以下、ML 会)を結 成した。PT 会議や ML 会は校内研修の前後に開催 され、研修内容や改善策の検討が継続的に行われ た。本研究では、ML 会の対話を分析し、協働性の 変容について記述した。

表1 グランドデザイン共有の実践過程

(2) 実践記録

ミドルリーダー間の協働性の変容を記述するた めに、6月、9月、12 月の ML 会の対話を SCAT に よって分析を行った。

6月の ML 会では、Aが推進役となり、この会が 率直な意見交換の場であることを確認した後、最 初の校内研修を振り返った。メンバー間で研修の 課題を共有することができたが、その解決策につ いては個人や組織に対する意識の違いから目標の 共有までには至らなかった。

9月に行われた3回目の ML 会では校内研修の 直後にその場で開かれた。 これは ML 会という状況 がメンバーの主体性を促した結果と言える。ここ では、研修が思うように進まない困難さや組織全体 への働きかけ方などを共有することができ、対話 の深まりと協働性の高まりを見ることができた。

12 月の対話の様子をスピラーンの理論に当て はめると、図2のようになる。ML 会という場の働 きかけにより推進役のAは新たな研修案の提示を 試みた(①) 。そこではフォロワーである他のメン バーとの活発な対話が行われ、全く新しい視点が 生まれた(②) 。

メンバー間の協働により ML 会という状況は新た な創造の場として再定 義された(③) 。

4 研究の考察

(1) ミドルリーダー間の対話と協働

実践記録の分析から、継続的な対話により、ミ ドルリーダー間の相互理解、チーム効力感、創造 性などが高まることが分かった。これらは協働性 の形成要素とも共通することから、対話によって 協働性が高まったと解釈できる。また、実践後の インタビューにおいて校長が「ミドルリーダーの 当事者意識が高まった」と評価するなど、組織貢 献意欲も醸成されたと考えられる。

(2) 分散型リーダーシップ実践

図3は、実践の全体像を、分散型リーダーシッ プ実践理論に基づき作成したものである。中央の 矢印は、実践全体が進むべき方向を表している。

本研究では、ML 会、PT 会議、校内研修を繰り返す ことで各実践が相互に影響を与え、時間の経過と ともに教員全体のビジョン共有が進んだと解釈し た。 教員全体の意識の変容は9月と 11 月に行った 教員アンケートにも表れており、考察の根拠とした。

(3) まとめ

本研究を通して、ミドルリーダー間の対話を促 進し、協働性や組織貢献意欲を高めることが組織 的な学校経営を強化する要因となることが確認 できた。また、分散型リーダーシップ実践をフレ ームワークとして、学校全体における実践の相互 作用を分析し、戦略的に実践に取り組むことは、

組織的で効果的な学校経営を進める上で有効で あると言える。

5 今後の展望

本研究の成果である「ミドルリーダー間の対話の 場の創出」 や 「学校経営を分析するフレームワーク」

を、教育管理職や指導主事の立場から各学校の状況 に合わせて活用し、継続的に発信することで、都立 学校全体に組織的な学校経営強化の方策を示していく。

状況 6 月 7 月 9 月 11 月 12 月 1 月 校内

研修

GD 共有 ルーブ

リック 検討

行事の見 直し

生徒アン ケート作 成 GDPT 研修案

検討

PT 再編 研修振 り返り

研修案、今 後の方針

研修案 検討 ML 会 研修振

り返り

1学期振 り返り

研修振 り返り

研修振り 返り

研修案 検討

研修の 振り返り

A B、C、

D、E ML 会

図2 リーダーシップ実践の構造

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