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目 次 序 章... 3 第 一 章 中 小 企 業 の 現 状... 3 第 一 節 中 小 企 業 とは... 4 第 二 節 中 小 企 業 の 現 状 と 課 題... 4 第 二 章 中 小 企 業 支 援 政 策 について... 8 第 一 節 中 小 企 業 金 融

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平成27年度 証券ゼミナール大会

第3テーマ Dブロック

「中小企業における資金調達について」

5 10 15 20 25 30

大阪経済大学 樋口ゼミナール

野田班

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2

目次

序章 ... 3

第一章 中小企業の現状 ... 3

第一節 中小企業とは ... 4

第二節 中小企業の現状と課題 ... 4

5

第二章 中小企業支援政策について ... 8

第一節 中小企業金融円滑化法 ... 8

第二節 日本政策金融公庫 ... 9

第三節 商工組合中央金庫 ... 11

第四節 信用保証協会 ... 11

10

第五節 諸外国の中小企業支援策 ... 14

第一項 米国 ... 14

第二項 ドイツ ... 15

第三章 中小企業の資金調達方法 ... 16

第一節 間接金融 ... 16

15

第一項 リレーションシップバンキング ... 16

第二項 トランザクションバンキング ... 17

第三項 ABL ... 18

第二節 直接金融 ... 19

第一項 株式 ... 20

20

第二項 社債 ... 20

第三項 ベンチャーキャピタル ... 22

第三節 クラウドファンディング ... 24

第一項 寄付型 ... 25

第二項 購入型 ... 25

25

第三項 貸付型 ... 26

第四項 株式型 ... 26

第五項 ファンド型 ... 27

第四節 ノンバンク ... 28

第四章 中小企業の資金調達への提言 ... 29

30

第一節 投資ファンドの活用 ... 29

第二節 投資ファンドの今後の動向 ... 31

終章 ... 33

参考文献 ... 34

35

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3

序 章

現 在 、 中 小 企 業 は 全 事 業 所 数 99.7 % 、 雇 用 者 数 全 体 の 70 %1 を 占 め て お り 、 数 字 だ け 見 て も 日 本 経 済 の 基 盤 や 雇 用 の 大 部 分 を 支 え て い る こ と は 明 白 な 事 実 で あ る 。 す べ て の 中 小 企 業 が 独 自 の シ ス テ ム で 独 自 の 商 品 を 開 発 ・ 販 売 し て い る わ け で は な く 、 多 く は 大 企 業 の 下 請 け で あ り 、 大 企 業 は 中 小 企 業 が あ っ て こ 5 そ 成 り 立 つ も の で そ の 逆 も 当 然 言 え る 。 互 い に 相 互 利 益 の 関 係 も 保 つ こ と で 日 本 経 済 を 支 え て お り 、 ど ち ら か が 傾 く と も う 一 方 に も 影 響 す る 可 能 性 が 高 い 。 日 本 が 経 済 成 長 し て い く た め に は 、 中 小 企 業 の 発 展 が 必 要 不 可 欠 と な っ て く る 。 し か し 、 中 小 企 業 が 発 展 し て い く た め に は 、 資 金 調 達 、 人 材 、 価 格 競 争 な ど 様 々 の 面 で 改 善 し て い く 必 要 が あ る 。 特 に 資 金 調 達 の 面 に お い て は 、 中 小 企 業 10 の 発 展 の 根 底 を 担 う も の で あ る 。 リ ー マ ン シ ョ ッ ク や 東 日 本 大 震 災 、 消 費 税 増 税 な ど の 煽 り を 受 け 、 金 融 機 関 か ら の 資 金 調 達 が 非 常 に 困 難 な も の と な っ て い る 。 今 後 の 中 小 企 業 の 発 展 、 ひ い て は 日 本 経 済 の 発 展 の た め に は 、 資 金 調 達 を 円 滑 に 行 う こ と が 最 優 先 で あ る 。 以 上 現 状 を 踏 ま え た 上 で 、 本 論 文 で は 第 1 章 で 中 小 企 業 の 定 義 を 述 べ 、 資 金 15 繰 り DI や 借 入 金 内 訳 シ ェ ア の デ ー タ を 元 に 中 小 企 業 の 現 状 を 分 析 す る 。 第 二 章 で は こ れ ま で に 行 わ れ て き た 中 小 企 業 政 策 や 公 的 機 関 を 確 認 す る 。 第 三 章 で は 中 小 企 業 の 資 金 調 達 方 法 を 間 接 金 融 ・ 直 接 金 融 ・ ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ ・ ノ ン バ ン ク に 分 類 し 考 察 し た 上 で 、 第 四 章 に て 今 回 の 論 文 に お け る 主 張 部 分 で あ る 投 資 フ ァ ン ド の 活 用 に つ い て 提 案 す る 。 20

第一章

中 小 企 業 の 現 状

本 章 で は 、 中 小 企 業 の 定 義 ・ 意 義 を 述 べ 、 資 金 繰 り 判 断 DI と 借 入 金 内 訳 シ ェ ア を 用 い て 、 大 企 業 と 中 小 企 業 の 比 較 を 行 い 、 中 小 企 業 の 現 状 と 課 題 に つ い て 25 読 み 解 い て い く 。 1 中 小 企 業 庁 中 小 企 業 白 書

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第一節 中小企業とは

本 論 文 で 扱 う 中 小 企 業 の 定 義 の 範 囲 は 、 中 小 企 業 基 本 法 第 2 条 に て 資 本 金 基 準 並 び に 従 業 員 基 準 で 制 定 さ れ て い る も の と す る 。 1999 年 改 定 後 の 中 小 企 業 の 定 義 は ( 図 表 1-1-1 ) の 通 り で あ る 。 原 則 と し て こ れ ら の 条 件 の ど ち ら か を 満 た す こ と が 中 小 企 業 の 範 囲 が 適 用 さ れ る 。 5 ( 図 表 1-1-1 ) 業 種 分 類 中 小 企 業 基 本 法 の 定 義 製 造 業 資 本 金 の 額 又 は 出 資 の 総 額 が 3 億 円 以 下 の 会 社 又 は 常 時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 300 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人 卸 売 業 資 本 金 の 額 又 は 出 資 の 総 額 が 1 億 円 以 下 の 会 社 又 は 常 時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 100 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人 小 売 業 資 本 金 の 額 又 は 出 資 の 総 額 が 5 千 万 円 以 下 の 会 社 又 は 常 時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 50 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人 サ ー ビ ス 業 資 本 金 の 額 又 は 出 資 の 総 額 が 5 千 万 円 以 下 の 会 社 又 は 常 時 使 用 す る 従 業 員 の 数 が 100 人 以 下 の 会 社 及 び 個 人 筆 者 作 成 ( 出 所 : 中 小 企 業 庁 ) ま た 中 小 企 業 基 本 法 は 1999 年 の 改 定 時 に 定 義 だ け で な く 基 本 理 念 も 変 更 さ れ 10 た 。 改 定 前 の 理 念 は 大 企 業 と の 格 差 是 正 で あ っ た の に 対 し 、 改 定 後 は 独 立 し た 中 小 企 業 の 多 様 で 活 力 あ る 成 長 発 展 へ と 大 き く 転 換 し て い っ た 。2

第二節 中小企業の現状と課題

資 金 繰 り 判 断 DI ( 図 表 1-2-1 ) と は 、 企 業 が 資 金 調 達 を 「 楽 」 と 感 じ る か ど 15 う か を 数 値 化 し た 指 標 で あ る 。 数 値 が 上 昇 す る と 資 金 繰 り が し や す く 、 下 降 す る と 資 金 繰 り が 悪 化 し た と み る 。 2008 年 の リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ り 、 数 値 は 著 し く 低 下 し て い る 。 し か し 、 リ 2 中 小 企 業 基 本 法 の 改 正 と 近 年 の 起 業 動 向 熊 澤 喜 章

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5 ー マ ン シ ョ ッ ク を 底 と し て 、 金 融 円 滑 化 法 や ア ベ ノ ミ ク ス の 効 果 に よ り 、 着 実 に 数 値 は 回 復 基 調 で あ る 。 中 小 企 業 の 数 値 は 全 体 的 に み れ ば 、 着 実 に 上 昇 し て い る が 、 大 企 業 ・ 中 堅 企 業 に 比 べ 数 値 は 低 く 、 資 金 繰 り が 困 難 な 状 況 で あ る と い え る 。 5 ( 図 表 1-2-1 ) 筆 者 作 成 ( 出 所 : 日 本 銀 行 時 系 列 統 計 デ ー タ ) そ れ で は 、 な ぜ 中 小 企 業 は 大 企 業 に 比 べ て 資 金 繰 り が 厳 し い の か 。 借 入 金 内 10 訳 シ ェ ア を 比 較 し な が ら 読 み 解 い て い く 。 ( 図 表 1-2-2 ) 大 企 業 は 多 様 な 資 金 調 達 手 段 を 幅 広 く 活 用 し て い る の に 対 し て 、 中 小 企 業 は 借 入 金 ( 間 接 金 融 ) に 多 く 依 存 し て い る 。 そ の 原 因 は 、 株 式 や 社 債 の 発 行 な ど に よ り 市 場 か ら 直 接 資 金 を 調 達 す る 手 段 ( 直 接 金 融 ) が 中 小 企 業 に は 利 用 し に く い こ と に あ る と 考 え ら れ る 。 直 接 金 融 の 場 合 は 不 特 定 多 数 の 投 資 家 が 資 金 提 15 供 者 に な る が 、 投 資 家 は 利 子 や 配 当 、 値 上 が り 益 を 期 待 し て 投 資 す る た め 、 投 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 25 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年

資金繰り判断

DIの推移

大企業 中堅企業 中小企業 (%)

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6 資 家 の 利 益 に つ な が る と 期 待 で き る 企 業 で な け れ ば 、 直 接 金 融 で 資 金 を 調 達 す る こ と が 難 し い と 考 え ら れ る 。 ま た 、 直 接 金 融 で 資 金 を 調 達 す る 場 合 、 株 式 公 開 の た め に 必 要 な 専 門 的 知 識 や 財 務 情 報 を 開 示 す る た め の 資 料 作 成 や 、 こ れ ら を 実 施 す る た め の 人 材 が 必 要 と な る 。 し か し 、 中 小 企 業 で は そ れ に 割 く 資 金 や 労 力 が 不 足 し て お り 、 直 接 金 融 で 資 5 金 を 調 達 で き る の は ご く 一 部 の 企 業 に 限 ら れ る の が 実 情 で あ る 。 ( 図 表 1-2-2 ) 10 15 20 25 ( 出 所 : 商 工 総 合 研 究 所 平 成 24 年 度 調 査 研 究 事 業 報 告 書 中 小 企 業 の 借 入 構 造 よ り 引 用 ) 30

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7 直 接 金 融 を 利 用 し な く と も 、 間 接 金 融 で 資 金 調 達 を 行 え ば 良 い が 、 中 小 企 業 は 間 接 金 融 に お い て も 資 金 調 達 が 困 難 な 状 況 で あ る と 言 え る 。 そ の 課 題 は 大 き く 3 つ あ る と 考 え ら れ る 。 ま ず 1 つ 目 の 課 題 は 「 貸 し 手 に お け る 規 模 の 経 済 が 働 く こ と 」 で あ る 。 銀 行 ( 貸 し 手 ) か ら の 融 資 の 場 合 、 金 額 が 大 き く な れ ば な る ほ ど 、 融 資 の 際 に 必 要 5 な リ ス ク 審 査 費 用 な ど の 単 位 あ た り の 貸 出 コ ス ト は 相 対 的 に 低 下 す る 。 例 え ば 、 貸 し 手 に と っ て 1 億 円 貸 し 出 す の に 必 要 な 審 査 費 用 が 100 万 円 貸 し 出 す の に 必 要 な 審 査 費 用 の 100 倍 は か か ら な い 。 つ ま り 、 融 資 金 額 が 小 さ い ほ ど 、 単 位 あ た り の 貸 出 コ ス ト は 高 く な っ て し ま う た め 、 融 資 金 額 の 小 さ い 中 小 企 業 よ り 、 融 資 金 額 の 大 き い 大 企 業 に 融 資 す る こ と を 優 先 し て し ま う の だ 。 10 2 つ 目 の 課 題 は 「 情 報 の 非 対 称 性 の 問 題 が あ る こ と 」 で あ る 。 情 報 の 非 対 称 性 と は 、 金 融 機 関 と 中 小 企 業 の 間 に お い て 、 中 小 企 業 の み が 情 報 を 有 し て お り 、 金 融 機 関 は 十 分 な 情 報 を 有 し て お ら ず 、 双 方 で 情 報 の 共 有 が で き て い な い 状 態 の こ と で あ る 。 金 融 機 関 は 中 小 企 業 の 情 報 を 十 分 に 把 握 出 来 て お ら ず 、 把 握 す る こ と が 難 し い 状 況 に あ る 。 理 由 と し て は 、 中 小 企 業 は 公 開 し て い る 企 業 情 報 15 量 が 少 な く 、 財 務 デ ー タ を 整 備 し て い な い 企 業 も 存 在 し て い る か ら で あ る 。 そ の た め 金 融 機 関 は 、 情 報 が 不 透 明 で あ る 中 小 企 業 に は 貸 し 出 す リ ス ク が 高 い と 判 断 し て し ま う の だ 。 3 つ 目 の 課 題 は 「 担 保 の 問 題 が あ る こ と 」 で あ る 。 金 融 機 関 は 情 報 の 非 対 称 性 が 強 い 中 小 企 業 に は 、 リ ス ク を 埋 め る た め に 担 保 を 要 求 す る 場 合 が あ る 。 一 20 般 的 に 中 小 企 業 は 金 融 機 関 か ら 融 資 を 受 け る 場 合 、 不 動 産 を 担 保 と し て い る 。 し か し 、 中 小 企 業 に は 担 保 と な る 不 動 産 を 十 分 に 保 有 し て い る 企 業 が 少 な い 。 仮 に 保 有 し て い た と し て も 地 価 が 地 方 圏 を 中 心 に 低 迷 し て い る た め 、 十 分 に 資 金 調 達 が 行 え な い と 考 え ら れ る 。 25 以 上 3 つ の 課 題 を 緩 和 す る こ と が 、 中 小 企 業 の 資 金 調 達 に 必 要 と 言 え る だ ろ う 。 次 の 章 で は 、 そ の 資 金 調 達 を 手 助 け す る 形 に な る 支 援 政 策 、 支 援 機 関 に つ い て 述 べ て い く 。 30

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第二章

中 小 企 業 支 援 政 策 に つ い て

本 章 で は 、 我 が 国 の 中 小 企 業 が 資 金 調 達 を す る 際 に 必 要 な 支 援 政 策 、 支 援 機 関 を 説 明 し て い く 。 主 に 中 小 企 業 円 滑 化 法 、 公 的 金 融 機 関 の 日 本 政 策 金 融 公 庫 ・ 商 工 組 合 中 央 金 庫 と 信 用 保 証 協 会 に つ い て 見 て い く 。 ま た 、 諸 外 国 の 中 小 企 業 支 援 策 に つ い て も 述 べ て い く 。 5

第一節 中小企業金融円滑化法

中 小 企 業 金 融 円 滑 法 と は 、 2009 年 9 月 29 日 に 施 行 さ れ た 「 中 小 企 業 者 等 に 対 す る 金 融 の 円 滑 化 を 図 る た め の 臨 時 措 置 に 関 す る 法 律3 」 で あ る 。 具 体 的 に は 、 中 小 企 業 や 住 宅 ロ ー ン の 債 務 者 が 金 融 機 関 に 返 済 の 条 件 緩 和 の 申 し 入 れ を し た 10 場 合 、 出 来 る 限 り 貸 付 条 件 の 変 更 等 を 行 う よ う に 金 融 機 関 に 努 力 義 務 を 課 す こ と を 定 め た も の で あ る 。 条 件 変 更 な ど を 行 う 際 に 、 経 営 改 善 計 画 な ど が な く て も 最 長 1 年 以 内 に 計 画 な ど を 定 め る 見 込 み が あ れ ば 、 不 良 債 権 に な ら な い 。 そ し て 、 金 融 機 関 の コ ン サ ル テ ィ ン グ 機 能 を 検 証 す る こ と に よ っ て 、 中 小 企 業 へ の 経 営 相 談 や 経 営 指 導 15 等 の コ ン サ ル テ ィ ン グ 機 能 が 十 分 に 発 揮 で き て い る か を 検 証 し て い く 。 こ れ ら の こ と に よ り 、 貸 し 渋 り ・ 貸 し 剥 が し な ど が 頻 発 し な い よ う に 、 中 小 企 業 が 成 長 し て い く チ ャ ン ス を 作 っ て い っ た 。 金 融 庁 の 発 表 に よ る と 、 2013 年 3 月 末 ま で の 申 し 込 み 件 数 は 436 万 9962 件 で 、 金 額 は 119 兆 6000 億 円 に 達 し た 。 認 可 率 は 93.3 % と 高 め の 割 合 を 示 し て い た 。 20 ( 図 表 2-1-1 ) し か し 、 中 小 企 業 金 融 円 滑 法 は 2013 年 3 月 末 で 終 了 し 法 律 と し て の 効 力 を 失 っ た 。 そ の た め 、 金 融 機 関 は 中 小 企 業 か ら の 条 件 変 更 等 に 応 じ る 義 務 が な く な っ た 。 し か し 、 金 融 担 当 大 臣 に よ っ て 「 金 融 機 関 が 貸 し 付 け 条 件 の 変 更 等 や 円 滑 な 資 金 供 給 に 努 め る べ き で あ り 、 金 融 監 査 ・ 監 督 の ス タ ン ス は 金 融 円 滑 化 法 終 了 後 も 何 ら 変 わ る こ と は な い4 」 と 公 表 さ れ た 。 そ れ に 応 じ て 、 25 各 金 融 機 関 は 金 融 の 円 滑 化 へ の 今 後 の 取 り 組 み に つ い て の 指 針 を 掲 げ て い る 。 3 金 融 庁 HP 4 金 融 担 当 大 臣 談 話 平 成 24 年 11 月 1 日

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9 株 式 会 社 三 菱 東 京 U F J 銀 行 で は 、 基 本 指 針5 と し て 「 金 融 円 滑 化 管 理 規 則 」 を 定 め て い る 。 そ し て 、 金 融 円 滑 化 管 理 担 当 取 締 役 を 設 け 、 「 金 融 円 滑 化 推 進 室 」 を 設 置 し て い る 。 こ う し た 金 融 機 関 の 中 小 企 業 に 対 す る 支 援 の 姿 勢 に よ っ て 、 返 済 条 件 等 の 変 更 の 実 行 率 は 高 い 数 字 を 維 持 し て い る 。 5 ( 図 表 2-1-1 ) 10 15 ( 出 所 : 金 融 庁 貸 付 条 件 の 変 更 等 の 状 況 の 推 移 よ り 引 用 ) 20

第二節 日本政策金融公庫

日 本 政 策 金 融 公 庫 と は 、 国 の 政 策 に 基 づ い て 、 個 人 ・ 中 小 企 業 ・ 農 林 水 産 業 者 へ の 融 資 、 海 外 で の 資 源 開 発 促 進 の た め の 金 融 や 国 内 産 業 の 国 際 競 争 力 向 上 な ど 、 社 会 の ニ ー ズ に 対 応 し 様 々 な 手 法 で 一 般 の 金 融 機 関 を 補 完 す る 業 務 を 行 う 公 的 金 融 機 関 で あ る 。6 25 企 業 の 歴 史 と し て は 、 国 民 生 活 金 融 公 庫 、 農 林 漁 業 金 融 公 庫 、 中 小 企 業 金 融 公 庫 を 前 身 と し 、 2008 年 10 月 に 設 立 さ れ た 。 日 本 政 策 金 融 公 庫 は 政 府 が 全 額 出 5 三 菱 東 京 UFJ 銀 行 HP 6 日 本 政 策 金 融 公 庫 HP

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10 資 し て お り 、 透 明 性 や 経 営 効 率 を 高 め る た め に 、 株 式 会 社 の 形 態 で 運 営 さ れ て い る 。 ま た 、 国 民 に 対 す る 説 明 責 任 を 果 た し 、 継 続 的 な 自 己 改 革 に 取 り 組 む 自 律 的 な 組 織 を 目 指 し て い る 。 日 本 政 策 金 融 公 庫 の 資 金 源 は 主 に 政 府 保 証 債 や 財 政 資 金 借 入 金 な ど の 財 投 機 関 や 政 府 か ら の 投 融 資 で あ る 。 こ れ は 非 常 に 安 定 し た 資 金 調 達 を 行 え て い る と 言 え る 。 5 図 表 ( 2-2-1 ) は 日 本 政 策 金 融 公 庫 の 融 資 実 績 を 示 し た も の で あ る 。 金 額 に 着 目 す る と 、 2010 年 度 は 約 28,000 億 円 と 高 い 数 値 の 実 績 を お さ め て い る が 、 こ れ は 前 々 年 度 の リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る 影 響 で あ る と い え る 。 そ の 後 、 2011 年 に 一 度 低 下 し た も の の 、 2012 年 に は 再 び 回 復 し て い る 。 な ぜ な ら 東 日 本 大 震 災 の 発 生 に よ り 、 資 金 需 要 が 高 ま っ た か ら で あ る 。 件 数 に 着 目 す る と 、 2010 年 度 10 以 降 2013 年 度 ま で 減 少 傾 向 に あ っ た が 、 2014 年 度 に は 若 干 の 回 復 が 見 ら れ て い る 。 こ れ ら か ら 、 日 本 政 策 金 融 公 庫 が 中 小 企 業 の 資 金 調 達 に お い て 、 現 在 で も 非 常 に 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る こ と が 読 み 取 る こ と が で き る 。 図 表 ( 2-2-1 ) 15 20 25 筆 者 作 成 ( 出 所 : 日 本 政 策 金 融 公 庫 HP ) 30

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第三節 商工組合中央金庫

商 工 組 合 中 央 金 庫 と は 、 一 般 的 に 商 工 中 金 と 略 さ れ 、 中 小 企 業 等 共 同 組 合 や 中 小 規 模 の 事 業 者 を 構 成 員 と す る 団 体 及 び そ の 構 成 員 に 対 す る 金 融 の 円 滑 化 を 目 的 と し て 、 主 に 融 資 業 務 を 営 む 株 式 会 社 で あ る 。7 融 資 の 資 金 は 主 に 、 長 期 運 転 資 金 ・ 短 期 運 転 資 金 ・ 設 備 資 金 に 使 用 さ れ て い 5 る 。 事 業 に 必 要 と さ れ る 資 金 は 長 期 短 期 に 関 わ ら ず 全 て の 資 金 を 取 り 扱 い 、 資 金 調 達 方 法 の 開 発 ・ 提 供 を 積 極 的 に 行 っ て い る 。 ま た 、 金 融 危 機 時 に は 中 小 企 業 に 対 す る 唯 一 法 定 さ れ た 指 定 金 融 機 関 と し て 、 政 府 や 日 本 政 策 金 融 公 庫 か ら の 出 資 と 保 証 で 金 融 危 機 対 応 業 務 を 行 い 、 セ ー フ テ ィ ー ネ ッ ト 機 能 を 果 た し て い る 。 10 近 年 の 例 と し て は 、 東 日 本 大 震 災 時 に 「 東 日 本 大 震 災 復 興 特 別 貸 付 」 や 「 経 営 環 境 変 化 対 応 資 金 」 に よ っ て 対 応 を 行 っ た 。 ( 商 工 中 金 の 危 機 対 応 業 務 の 取 組 実 績 と し て 、 中 小 企 業 向 け 危 機 対 応 業 務 貸 し 出 し が 約 61,000 件 の 約 36,000 億 円 、 中 堅 企 業 向 け 危 機 対 応 業 務 貸 し 出 し が 約 1,700 件 の 約 5000 億 円 で あ る 。8 ) ま た 、 中 小 ・ 中 堅 企 業 向 け 貸 し 出 し 増 減 率 は 民 間 金 融 機 関 よ り 高 い 。 そ し て 15 ABL の 導 入 に 向 け 、 資 金 調 達 の 多 様 化 に 対 応 し た 取 り 組 み を 積 極 的 に 行 っ て い る 。

第四節 信用保証協会

信 用 保 証 協 会 と は 、 中 小 企 業 が 事 業 資 金 を 金 融 機 関 か ら 借 り 入 れ る 際 に 、 債 20 務 を 保 証 す る こ と で 、 担 保 力 や 信 用 力 が 不 足 し て い る 中 小 企 業 者 の 事 業 資 金 を 円 滑 に 運 用 す る こ と 等 を 目 的 と し て 設 立 さ れ た 機 関 で あ る 。 信 用 保 証 協 会 は 各 都 道 府 県 に 1 協 会 設 け ら れ て お り 、 さ ら に 横 浜 、 川 崎 、 名 古 屋 、 岐 阜 の 4 つ の 市 に も そ れ ぞ れ 1 協 会 が 設 け ら れ て い る 。9 保 証 対 象 に な る 中 小 企 業 は 、 協 会 の 事 業 区 域 内 に お い て 、 商 業 、 工 業 、 鉱 業 、 25 運 送 業 、 サ ー ビ ス 業 、 そ の 他 の 事 業 を 行 う 中 小 規 模 の 事 業 者 お よ び そ の 組 合 等 7 商 工 組 合 中 央 金 庫 HP 8 信 用 中 央 金 庫 全 国 信 用 金 庫 概 況 9 信 用 保 証 協 会 HP

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12 が 対 象 に な る 。 事 業 内 容 の 信 用 保 証 制 度 と は 、 中 小 企 業 が 資 金 調 達 を 行 う 際 、 金 融 機 関 か ら 融 資 を 受 け る こ と に 対 し て そ の 債 務 を 信 用 保 証 協 会 が 保 証 す る こ と で 、 中 小 企 業 へ の 資 金 供 給 を 円 滑 化 す る 目 的 と し て 存 在 す る 制 度 で あ る 。 こ の 制 度 は 、 信 用 保 証 協 会 が 中 小 企 業 の 返 済 が 不 能 に な っ た と き に 金 融 機 関 に 対 す る 借 入 債 務 を 保 証 す る 制 度 で あ り 、 信 用 リ ス ク の 高 い 中 小 企 業 に 向 け て の 制 5 度 で あ る 。 大 企 業 に 比 べ て 中 小 企 業 は 情 報 の 非 対 称 性 が 大 き く 、 担 保 力 が 弱 く 、 借 入 金 額 の 小 さ さ か ら く る 審 査 コ ス ト の 割 高 な ど の 特 性 が あ り 、 こ れ ら は 中 小 企 業 が 融 資 を 受 け る 際 に 不 利 に な る 要 因 と な っ て い る 。 そ こ で 、 信 用 保 証 協 会 の 保 証 を つ け る こ と で 金 融 機 関 の 信 用 リ ス ク 負 担 を 軽 減 し 、 中 小 企 業 へ の 資 金 供 給 を 10 ス ム ー ズ に 行 う た め の 信 用 保 証 制 度 で あ り 、 中 小 企 業 基 本 法 で 定 め ら れ た 中 小 企 業 と 事 業 協 同 組 合 が 利 用 可 能 で あ る 。 ま た 、 日 本 の 信 用 保 証 制 度 は 信 用 保 証 協 会 に よ る 保 証 と 、 中 小 企 業 金 融 公 庫 が そ の 保 証 を 保 険 す る 信 用 保 険 制 度 か ら 成 り 立 ち 、 こ れ ら を 合 わ せ て 信 用 補 完 制 度 と 呼 ぶ 。 図 表 ( 2-4-1 ) は 、 信 用 保 証 協 会 の 保 証 実 績 を 示 し た も の で あ る 。 2008 年 に 15 保 証 債 務 残 高 、 保 証 承 諾 額 と も に 急 増 加 し て い る 。 こ れ は 、 同 年 度 に 起 き た リ ー マ ン シ ョ ッ ク に よ る 影 響 で あ る 。 こ の 際 、 信 用 保 証 協 会 は 民 間 金 融 機 関 で 発 生 し た 貸 し 渋 り 対 策 と し て 、 保 証 す る 負 担 割 合 を 80% か ら 100% へ と 変 更10 し 、 金 融 機 関 の リ ス ク を 実 質 ゼ ロ と し た 。 こ の 対 策 の 結 果 、 2008 年 の 代 位 弁 済 件 数 は 前 年 度 と 比 較 し て 、 約 二 割 増 し と な っ た 。 近 年 で は 景 気 の 安 定 化 に よ り 、 保 20 証 債 務 残 高 ・ 代 位 弁 済 ・ 信 用 保 証 承 諾 額 と も に 減 少 傾 向 が 見 ら れ る 。 10 信 用 保 証 制 度 を め ぐ る 現 状 と 課 題 国 立 国 会 図 書 館

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13 ( 図 表 2-4-1 ) 5 10 筆 者 作 成 ( 出 所 : 全 国 信 用 保 証 協 会 連 合 会 信 用 保 証 実 績 の 推 移 ) 15 し か し 、 日 本 は 中 小 企 業 に 対 す る 信 用 保 証 制 度 が 諸 外 国 と 比 較 し て 過 剰 で あ る と さ れ て い る 。 そ こ で 、 図 表 ( 2-4-2 )、 諸 外 国 の 信 用 保 証 制 度 に つ い て の 実 績 や 負 担 割 合 に つ い て の 表 を 見 て い く 。 ま ず 保 証 承 認 実 績 を み る と 、 ア メ リ カ で は 約 1.58 兆 円 で あ る の に 対 し 、 日 本 で は 約 10 倍 の 約 11.6 兆 円 と 差 が 表 れ て い る 。 さ ら に 件 数 を 見 る と 、 ア メ リ カ 約 5 万 件 、 フ ラ ン ス 約 9 万 件 、 イ ギ リ 20 ス ・ ド イ ツ は 1 万 件 に す ら 達 し て い な い が 、 日 本 で は 約 87 万 件 の 実 績 を 所 有 し て い る 。 ま た 、 負 担 割 合 に つ い て も 日 本 で は 最 低 で も 80% を 負 担 し て い る が 、 諸 外 国 で は 全 て そ れ 以 下 の 割 合 の 負 担 で あ る 。 こ れ ら か ら 読 み 取 れ る よ う に 、 日 本 の 地 域 金 融 機 関 な ど は 信 用 保 証 制 度 に 大 き く 依 存 し て い る 。 そ の た め 、 信 用 保 証 協 会 の 負 担 が 増 加 し 、 赤 字 が 続 い て い 25 る と い う 現 状 で あ る 。 さ ら に 、 信 用 保 証 が 増 加 す る こ と で 救 わ れ る 企 業 は 多 い も の の 、 市 場 か ら 退 く べ き で あ る ゾ ン ビ 企 業 の 延 命 の 手 助 け を 行 っ て い る こ と に も な る 。 つ ま り 、 100% 負 担 す る 制 度 に 関 し て 見 直 し を 行 っ て い く 必 要 が あ る と い え る 。 30

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14 ( 図 表 2-4-2 ) 筆 者 作 成 ( 出 所 : 信 用 保 証 制 度 を め ぐ る 現 状 と 課 題 )

第五節 諸外国の中小企業支援策

5 第一項 米 国 米 国 の 中 小 企 業 の 定 義 は 「 従 業 員 が 500 人 未 満 の 企 業 」11 と 定 め ら れ て お り 、 そ の 中 小 企 業 は 企 業 総 数 の 99.9 % と 日 本 ( 99.7 % ) 同 様 に 圧 倒 的 大 多 数 が 中 小 企 業 と な っ て い る 。 中 小 企 業 は 米 国 雇 用 の 大 部 分 を 支 え る 一 方 で 、 国 民 に と っ て 欠 か せ な い 財 や サ ー ビ ス の 提 供 を 行 っ て い る 。 10 米 国 の 中 小 企 業 も 銀 行 か ら の 融 資 が 主 流 と な っ て い る 。 そ の 中 で も ラ イ ン ・ オ ブ ・ ク レ ジ ッ ト ( 短 期 的 運 転 資 金 融 資 )、 タ ー ム ・ ロ ー ン ( 長 期 的 設 備 資 金 融 資 ) が 主 に 行 わ れ て い る 。 長 期 的 な 運 転 資 金 の 融 資 は 、 資 金 使 途 と 与 信 期 間 に 見 合 う 十 分 な 担 保 が と れ な い た め あ ま り 行 わ れ な い 。

ま た 米 国 に は SBA (Small Business Administration:中 小 企 業 庁 ) と い う 連 邦 政 15 府 の 機 関 が 存 在 し て い る 。 中 小 企 業 が 金 融 機 関 か ら 資 金 の 融 資 を 受 け た い 時 に 、 そ の 企 業 を 保 証 す る こ と で 借 入 れ し や す く な る よ う に し た り 、 万 が 一 、 資 金 の 返 済 が 出 来 な い 場 合 に 代 わ り に 返 済 を 行 う 機 関 で も あ り 、 リ ス ク マ ネ ジ メ ン ト を 含 め て 多 く の 企 業 に 利 用 さ れ て い る 。 さ ら に 米 国 で は 中 小 企 業 や ベ ン チ ャ ー 企 業 が よ り 容 易 に 資 金 調 達 を 行 え る 様 20 に す る た め に 、 2012 年 4 月 5 日 に ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ 法 を 制 定 し た 。12 ク 11 中 小 機 構 米 国 の 中 小 企 業 と 中 小 企 業 支 援 施 策 12 中 小 企 業 ベ ン チ ャ ー 企 業 支 援 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ 法 海 外 立 法 情 報 課 井 樋 三 枝 子

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15 ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ と は 、 Facebook な ど の SNS や 資 金 調 達 サ イ ト を 利 用 し て 、 不 特 定 多 数 の 人 か ら 資 金 調 達 を 募 る も の で あ る 。 近 年 、 未 公 開 株 式 の 資 金 調 達 を 促 進 さ せ る 動 き も 見 ら れ 、 中 小 企 業 の 支 援 が 積 極 的 に 行 わ れ て い る 。 第二項 ド イツ 5 ド イ ツ の 中 小 企 業 の 定 義 は 従 業 員 数 500 人 未 満 , ま た は 売 上 高 1 億 ド イ ツ マ ル ク 以 下13 が 中 小 企 業 と 定 め ら れ て い る 。 ま た 卸 売 業 は 従 業 員 数 200 人 未 満 , 小 売 業 は 100 人 未 満 , サ ー ビ ス 業 で は 50 人 未 満 が 中 小 企 業 と 定 め ら れ て い る 。 ド イ ツ も 米 国 ・ 日 本 と 同 様 で 、 中 小 企 業 は 企 業 総 数 の 多 く の 割 合 を 占 め て お り 、 90 % と な っ て い る 。 10 ド イ ツ の 中 小 企 業 金 融 の 特 徴 と し て は CLO 制 度 の 積 極 的 な 活 用 が 目 立 っ て い る 。 CLO と は 金 融 機 関 等 が 保 有 す る 社 債 や ロ ー ン な ど を 信 託 や 特 定 目 的 会 社 ( SPC ) な ど を 利 用 し て 証 券 化 ・ 流 動 化 す る 仕 組 み 、 ま た は そ の 際 に 発 行 さ れ る 証 券 の こ と を 言 う 。 ド イ ツ で は ド イ ツ 復 興 金 融 公 庫 ( KfW ) が 中 小 企 業 の 公 的 金 融 機 関 と し て の 役 割 を 担 っ て い る 。 15 KfW は PROMISE と い う CLO 制 度 を 設 け て お り 、 ド イ ツ の 金 融 機 関 が 保 有 す る 中 小 企 業 向 け 貸 付 債 権 の 信 用 リ ス ク 部 分 を 市 場 に 移 転 さ せ る こ と で 、 金 融 機 関 の 与 信 余 力 を 生 じ さ せ 中 小 企 業 に 対 す る 貸 出 を 行 わ せ や す く し て い る 。 証 券 化 を 進 め る こ と に よ っ て 、 中 小 企 業 の 間 接 的 な 資 金 調 達 を 促 進 さ せ る 動 き が 期 待 さ れ て い る 。 20 以 上 、 支 援 政 策 ・ 支 援 機 関 の 現 状 を 踏 ま え た 上 で 、 次 の 章 で 中 小 企 業 の 資 金 調 達 方 法 に つ い て 述 べ て い く 。 13 中 小 企 業 庁 ド イ ツ の 中 小 企 業 と 中 小 企 業 政 策

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第三章

中 小 企 業 の 資 金 調 達 方 法

本 章 で は 中 小 企 業 の 主 な 資 金 調 達 を 直 接 金 融 ・ 間 接 金 融 ・ ノ ン バ ン ク ・ ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ に 分 類 し 、 そ れ ぞ れ に つ い て 述 べ て い く 。

第一節 間接金融

5 間 接 金 融 と は 貸 し 手 と 借 り 手 の 間 に 間 接 的 に 資 金 を 貸 し 借 り す る 機 関 が 存 在 し 、 リ ス ク は 金 融 仲 介 機 関 が 負 う 資 金 調 達 方 法 を 指 す 。 第 一 章 で 述 べ た 通 り 、 現 在 ほ と ん ど の 中 小 企 業 が こ の 間 接 金 融 に 依 存 し て い る 。 第一項 リ レー ションシ ップバン キング 10 リ レ ー シ ョ ン シ ッ プ バ ン キ ン グ ( 以 後 リ レ バ ン ) と は 、 貸 し 手 で あ る 金 融 機 関 と 借 り 手 で あ る 企 業 が 長 期 的 に 親 密 な 関 係 を 築 き あ げ て い き 、 金 融 機 関 が 企 業 の 経 営 状 態 を 把 握 す る こ と で 、 適 切 な 金 融 処 置 を 可 能 と す る 地 域 密 着 型 の 銀 行 モ デ ル の こ と を 指 す 。14 こ の リ レ バ ン を 行 う こ と で 、 第 1 章 で 指 摘 し た 中 小 企 業 の 資 金 調 達 を 困 難 な 15 も の に し て い る 「 情 報 の 非 対 称 性 」 の 改 善 が 図 れ る と 考 え ら れ 、 中 小 企 業 へ の 資 金 調 達 を 容 易 に す る た め に 非 常 に 重 要 な 役 割 を 果 た す も の で あ る 。 金 融 庁 は 2003 年 に 「 リ レ ー シ ョ ン バ ン キ ン グ の 機 能 強 化 の ア ク シ ョ ン プ ロ グ ラ ム 」、 2005 年 に は 「 地 域 密 着 型 金 融 の 機 能 強 化 の 推 進 に 関 す る ア ク シ ョ ン プ ロ グ ラ ム 」 を 行 い 、 集 中 改 善 期 間 を 設 け リ レ ー シ ョ ン シ ッ プ バ ン キ ン グ の 強 化 ・ 定 着 を 狙 20 っ た 運 動 も 見 ら れ る 。 し か し 、 こ の リ レ バ ン に も 問 題 点 が 存 在 す る 。 ま ず 考 え ら れ る 課 題 と し て コ ミ ッ ト メ ン ト コ ス ト が 挙 げ ら れ る 。 コ ミ ッ ト メ ン ト コ ス ト と は 金 融 機 関 が 地 域 経 済 や 中 小 企 業 か ら 通 常 よ り も 多 く の 役 割 を こ な す こ と で 発 生 す る 利 益 を 度 外 視 し た コ ス ト で あ る 。 具 体 例 と し て 地 域 の 悪 評 ( レ ピ ュ テ ー シ ョ ナ ル リ ス ク ) 25 を 恐 れ た 問 題 の 先 送 り な ど で あ る 。 こ れ は 地 域 の 評 判 を 気 に す る あ ま り 、 再 生 困 難 で あ る 企 業 と の 関 係 を 続 け た り 、 過 大 な リ ス ク を 負 担 す る 可 能 性 が あ る こ と で あ る 。 14 金 融 庁 HP 地 域 密 着 型 金 融

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17 次 に 金 利 水 準 か ら は 正 当 化 で き な い 信 用 リ ス ク の 負 担 で あ る 。 金 融 機 関 が 貸 出 し を 行 う 際 に 信 用 リ ス ク に 応 じ た 適 正 金 利 よ り も 低 い 金 利 で の 貸 出 し を 行 う こ と を 余 儀 な く さ れ た り 、 経 営 状 態 が 悪 化 し た 企 業 に 対 し て も 従 来 の 金 利 水 準 で 貸 出 を 求 め ら れ た り し 、 リ ス ク が 存 在 す る 。 リ レ バ ン に は こ の 様 に 様 々 な 問 題 が 存 在 し て い る 為 、 金 融 機 関 に と っ て の リ 5 ス ク が 多 く あ る 事 実 は 否 定 で き な い 。 こ れ ら を 改 善 し な け れ ば こ の 動 き は 推 進 さ れ て い か な い と 考 え ら れ る 。 第二項 ト ラン ザクショ ンバンキ ング ト ラ ン ザ ク シ ョ ン バ ン キ ン グ ( 以 後 ト ラ バ ン ) は 先 ほ ど 述 べ た リ レ バ ン と 対 10 照 的 で 、 顧 客 と の 継 続 的 な 取 引 を 行 わ ず 、 財 務 諸 表 等 の 定 量 情 報 に 基 づ き 、 単 発 的 か つ 採 算 性 を 重 視 し て 取 引 を 行 う ビ ジ ネ ス モ デ ル の こ と を 指 す 。 こ の ト ラ バ ン の 具 体 的 な 形 態 は 財 務 諸 表 貸 出 、 ク レ ジ ッ ト ス コ ア リ ン グ の 2 形 態 が あ る 。 ま ず 財 務 諸 表 貸 出 は 融 資 の 可 否 を 決 め る 際 に 、 企 業 の 収 益 や 貸 借 対 照 表 の 質 に よ り 決 定 す る も の で あ る 。 こ の 貸 出 手 法 を 採 用 す る こ と に よ る メ 15 リ ッ ト は 、 成 長 性 の あ る 企 業 や 財 務 に 問 題 の な い 企 業 へ の 融 資 を 行 う こ と が で き る こ と で あ る 。 デ メ リ ッ ト は 、 適 正 な 監 査 に よ り そ の 財 務 諸 表 の 真 正 性 が 担 保 さ れ て い る 企 業 で な け れ ば な ら な い こ と で あ る 。 よ っ て 大 企 業 や 中 小 企 業 で も 業 歴 の 長 い 企 業 に 限 ら れ て く る 為 、 小 規 模 の 事 業 に と っ て 大 き く 不 利 に 働 く こ と が 考 え ら れ る 。 20 次 に ク レ ジ ッ ト ス コ ア リ ン グ と は 、 母 集 団 と な る デ ー タ か ら 統 計 的 に 算 出 し 倒 産 確 率 等 を も っ て 融 資 の 可 否 を 行 う 貸 出 手 法 で あ る 。 こ の 手 法 の メ リ ッ ト と し て は 、 短 期 間 で 融 資 審 査 を 行 え る こ と や 、 貸 出 案 件 毎 の 審 査 で は な く 、 大 数 の 法 則 に 基 づ き リ ス ク 管 理 を 行 え る こ と 、 審 査 の 多 数 が 自 動 で 行 わ れ る こ と や 、 融 資 に 限 度 額 が あ る こ と な ど が 挙 げ ら れ る 。 25 30

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18 ( 図 表 3-2-1 ) ( 出 所 : 中 小 企 業 庁 HP よ り 引 用 ) よ っ て 、 金 融 機 関 の 効 率 化 ・ コ ス ト が 削 減 さ れ る た め に 従 来 リ レ バ ン な ど 、 5 高 コ ス ト の 為 に 融 資 が 行 わ れ な か っ た 企 業 に 対 し て も 、 融 資 し や す く な っ た 点 が 最 大 の メ リ ッ ト で あ る と 言 え る 。 ( 図 表 3-2-1 ) デ メ リ ッ ト と し て は 、 こ の ク レ ジ ッ ト ス コ ア リ ン グ は 小 口 貸 出 を 基 本 と し て い る 為 限 度 額 が あ る こ と や 、 一 時 的 に 経 営 悪 化 し 倒 産 の 危 機 に 瀕 し た 企 業 な ど へ の 救 済 融 資 は 自 動 で 融 資 判 断 が 行 わ れ る た め 、 融 資 で き な い ケ ー ス が 多 数 起 10 こ る こ と か ら 企 業 を 支 援 す る と い っ た 点 か ら 見 る と う ま く 機 能 し て い な い こ と が あ げ ら れ る 。 第三項 ABL

ABL ( Asset Based Lending ) と は 動 産 ・ 債 権 担 保 融 資 と 同 義 の 意 味 合 い で あ 15

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19 ン グ し 、 資 産 の 一 定 割 合 を 上 限 に 資 金 調 達 を 行 う 手 法 の こ と を 指 す 。15 ABL を 用 い る こ と で 、 貸 し 手 側 は 在 庫 や 売 掛 金 等 の 推 移 や 変 動 を 適 宜 モ ニ タ リ ン グ す る こ と に よ り 借 り 手 の 経 営 状 況 を 適 切 に 把 握 す る こ と が 可 能 と な る 。 従 来 よ り も 借 り 手 の 商 業 ・ 事 業 の 特 性 を よ り 明 確 に 理 解 し 、 そ の 結 果 と し て 事 業 価 値 を 正 確 に 見 極 め 、 不 動 産 担 保 や 個 人 保 証 だ け で は 信 用 補 完 が 十 分 で な い 5 企 業 に 対 し て も 融 資 を 拡 大 で き る チ ャ ン ス が 広 が り 融 資 手 法 の 多 様 化 へ と つ な が る 。 借 り 手 側 の メ リ ッ ト と し て は 、 端 的 に 言 っ て し ま う と 、 不 動 産 の 所 有 が 十 分 で な い 中 小 企 業 な ど に も 貸 出 し が 可 能 で あ り 、 不 動 産 担 保 ・ 個 人 保 証 に 偏 重 し な い 融 資 手 段 の 確 保 が 最 大 の メ リ ッ ト と な る 。 ま た 、 貸 し 手 が 借 り 手 の 事 業 を 10 従 来 よ り 深 く 理 解 で き る よ う に な れ ば 、 借 り 手 は タ イ ム リ ー か つ 過 不 足 の な い 資 金 供 給 と 同 時 に 的 確 な 経 営 ア ド バ イ ス を 受 け る こ と も 可 能 と な り リ レ ー シ ョ ン シ ッ プ の 強 化 に つ な が っ て い く 。 し か し こ の ABL に も デ メ リ ッ ト が 存 在 し 、 在 庫 情 報 や 売 掛 金 は 日 々 更 新 さ れ て い く た め に 、 モ ニ タ リ ン グ を 行 う 際 に こ れ ら の 情 報 が よ り タ イ ム リ ー で 確 実 15 性 の あ る こ と が 必 要 と さ れ る 。 よ っ て 貸 し 手 側 に と っ て 、 こ れ ら の 融 資 審 査 を 行 う こ と は 費 用 面 に お い て も コ ス ト 面 を 見 て も 非 常 に 大 き な 負 担 と な っ て い る と い う 課 題 が あ る 。

第二節 直接金融

20 直 接 金 融 と は 、 資 金 を 必 要 と す る 企 業 が 銀 行 な ど の 第 三 者 を 仲 介 せ ず 、 社 債 ・ 株 式 を 発 行 し 、 必 要 な 資 金 を 証 券 市 場 か ら 直 接 的 に 貸 し 手 か ら 調 達 す る こ と で あ る 。 企 業 の 資 金 調 達 は 銀 行 か ら の 融 資 に 頼 る 間 接 金 融 か ら 、 有 価 証 券 の 発 行 に よ り 資 金 調 達 を 行 う 直 接 金 融 へ と 変 化 し て き て い る 。 な ぜ な ら 、 借 り 手 の 企 業 が 債 務 を 返 さ な い と い う リ ス ク は 、 借 り 手 が 負 う の で は な く 、 貸 し 手 の 25 投 資 家 な ど が 負 う か ら だ 。 ま た 、 直 接 金 融 で 資 金 調 達 を 行 え ば 、 資 本 と し て 扱 う こ と が で き 、 資 本 の 基 盤 を 固 め る こ と が で き か ら だ 。 15 経 済 産 業 省 HP

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20 第一項 株 式 株 式 と は 、 株 式 会 社 が 資 金 を 出 資 し た 人 に 対 し て 発 行 す る 証 券 の こ と で あ る 。 そ の 証 券 に は 、 そ の 株 式 会 社 に 対 し て 出 資 者 が 持 っ て い る 権 利 や 株 主 た る 地 位 を 表 し て い る 。 株 式 の 発 行 は 、 そ の 企 業 が 事 業 を 行 う た め に 必 要 な 資 金 を 調 達 す る た め の 手 5 段 の ひ と つ で あ る 。 株 式 を 発 行 し て 得 た 資 金 は 、 銀 行 借 入 や 社 債 を 発 行 す る 資 金 調 達 と は 異 な り 、 返 済 の 義 務 は な い 。 幅 広 く 資 金 を 調 達 す る に は 証 券 取 引 所 に 上 場 す る こ と が 望 ま し い 。 現 在 、 証 券 取 引 所 は 全 国 に 東 京 証 券 取 引 所 ・ 名 古 屋 証 券 取 引 所 ・ 札 幌 証 券 取 引 所 ・ 福 岡 証 券 取 引 所 が あ る 。 そ れ ぞ れ に は 、 振 興 企 業 向 け の 市 場 が 設 立 さ れ 10 て お り 、 一 部 や 二 部 な ど 市 場 に 比 べ て 上 場 基 準 が 緩 い 。 ま た 、 グ リ ー ン シ ー ト 市 場 と い う の も あ り 、 日 本 証 券 業 協 会 が 非 上 場 会 社 の 株 式 等 を 公 平 ・ 円 滑 に 売 買 す る た め 市 場 と し て 、 1997 年 に 開 設 さ れ た 証 券 市 場 の こ と で あ る 。 し か し 、 証 券 取 引 所 な ど の 市 場 で の 取 引 と 異 な り 、 流 通 性 が 低 い ・ 価 格 の 変 動 が 大 き い ・ 企 業 の 公 開 情 報 を 迅 速 に 入 手 し に く い ・ 予 期 せ ぬ 損 害 を 被 る 可 能 15 性 が 高 い な ど 、 リ ス ク の 高 い 市 場 と 言 え る 。 ま た 、 銘 柄 数 も 2015 年 9 月 時 点 で 24 銘 柄 と 少 な く 、 取 引 の 成 立 も 低 い 。 そ の た め 、 利 用 で き る 企 業 が 使 用 し て い く 市 場 だ と 考 え る 。 第二項 社 債 20 社 債 と は 、 投 資 家 か ら 資 金 を 調 達 す る 際 に 発 行 す る 有 価 証 券 で あ り 、 期 間 中 の 資 金 繰 り に 余 裕 が 生 ま れ や す い 。 そ し て 、 社 債 を 構 成 す る 要 素 は 4 つ に 区 分 さ れ る 。 1 つ 目 が 新 株 予 約 権 の 有 無 、 2 つ 目 が 募 集 方 法 、 3 つ 目 が 発 行 市 場 、 4 つ 目 が 担 保 の 有 無16 で あ る 。 新 株 予 約 権 と は 、 株 式 を あ ら か じ め 定 め た 価 格 に よ っ て 取 得 す る 権 利 の こ と 25 で あ る 。 募 集 方 法 と は 公 募 と 私 募 が あ り 、 多 く の 場 合 、 中 堅 ・ 中 小 企 業 は こ の 私 募 に よ る 社 債 発 行 で あ る 。 今 回 説 明 す る 募 集 方 法 と は 、 金 融 商 品 取 引 法 上 の 区 別 を 指 し て お り 、 こ れ は 後 述 す る 。 発 行 市 場 は 、 大 き く 分 け て 国 内 と 海 外 に 16 経 済 産 業 省 社 債 の 活 用

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21 分 け ら れ る 。 海 外 市 場 で の 社 債 発 行 も 大 企 業 間 で は 盛 ん に 行 わ れ て い る 。 担 保 の 有 無 に つ い て は 、 従 来 で は 無 担 保 社 債 の 発 行 に は 厳 し い 制 限 が 設 け ら れ て い た が 、 近 年 の 規 制 緩 和 に よ っ て 無 担 保 社 債 を 発 行 で き る 企 業 に 対 し て の 法 的 な 制 限 は な く な っ た 。 公 募 と 私 募 の 違 い は 、 公 募 は 広 く 一 般 的 に 投 資 家 を 募 集 し て 証 券 を 発 行 す る 5 こ と で あ り 、 私 募 は 特 定 少 数 の 投 資 家 に 対 し て 証 券 を 発 行 す る こ と で あ る 。 狭 義 に は 、 金 融 商 品 取 引 法 上 の 募 集 に あ た る も の が 公 募 に な り 、 あ た ら な い も の が 私 募 と な る 。 募 集 に あ て は ま ら な い 私 募 の 社 債 は 50 名 未 満 の 投 資 家 に 対 し て 発 行 す る 少 人 数 私 募 債 、 銀 行 な ど の 金 融 機 関 の み に 対 し て 発 行 す る 金 融 機 関 ( 銀 行 ) 引 受 私 募 債 で あ る 。 公 募 債 で は 、 財 務 省 に 書 類 を 提 出 す る 必 要 が あ る 10 が 、 私 募 債 で は 財 務 省 へ 書 類 を 提 出 す る 必 要 は な い 。 私 募 債 で あ れ ば 、 例 え ば 銀 行 引 受 私 募 債 で は 、 銀 行 な ど が 定 め る 一 定 の 条 件 を 満 た す こ と で 発 行 で き る 。 そ の た め 、 中 小 企 業 で は 私 募 債 の 社 債 発 行 が 最 善 と 考 え る 。 15

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22 第三項 ベ ンチ ャーキャ ピタル ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル と は 、 高 い 成 長 性 が 見 込 め る 未 上 場 企 業 に 対 し て 、 成 長 に 必 要 な 資 金 を 株 式 投 資 と い う 形 で 提 供 す る も の で あ る 。 ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル に よ る 投 資 は 、 金 融 機 関 や 事 業 会 社 な ど の か ら の 出 資 を 受 け て 組 成 し た 投 資 事 業 組 合 を 通 し て 行 わ れ る 。 ( 図 表 3-3-1 ) 5 ( 図 表 3-3-1 ) 10 15 ( 出 所 : 経 済 産 業 省 ベ ン チ ャ ー 企 業 の 創 出 ・ 成 長 に 関 す る 研 究 会 よ り 引 用 ) 20 株 式 投 資 の 種 類 は 、 上 場 株 式 投 資 と 未 上 場 株 式 投 資 に 区 別 さ れ る 。 上 場 株 式 は 証 券 取 引 所 で 売 買 さ れ 、 上 場 企 業 は 、 一 般 的 に 財 務 情 報 や 経 営 方 針 な ど の 企 業 情 報 が 開 示 さ れ て お り 、 投 資 判 断 の た め の 情 報 収 集 は 比 較 的 楽 で あ る 。 し か し 、 未 上 場 企 業 の 株 式 は 証 券 取 引 所 で 売 買 す る こ と は で き ず 、 当 事 者 間 で の 売 買 と な り 、 未 上 場 企 業 は 企 業 情 報 の 公 開 義 務 が な い た め 、 直 接 経 営 者 か ら 情 報 25 を 集 め 、 投 資 判 断 を 行 う 必 要 が あ る 。

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23 ( 図 表 3-3-2 ) ( 出 所 : 2014 年 度 ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル 等 投 資 動 向 調 査 結 果 年 間 投 融 資 額 の 推 移 よ り 引 用 ) 日 本 の ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル 等 に よ る ベ ン チ ャ ー 企 業 へ の 2014 年 度 の 投 資 金 5 額 は 1.171 億 円 、 投 資 件 数 は 969 件 数 で あ る 。 2013 年 度 と 比 較 す る と 、 投 資 金 額 は 約 35.6 % 減 少 し 、 投 資 件 数 は 3.1 % 減 少 し て い る 。 ( 図 表 3-3-2 ) し か し 、 内 訳 を み る と 国 内 向 け 投 資 金 額 は 前 年 度 718 億 円 、 今 年 度 は 740 億 円 と 約 3.1 % 増 加 し て い る 。 ( 図 表 3-3-3 ) 増 加 し て い る 理 由 と し て は 、 ベ ン チ ャ ー 投 資 の 成 熟 化 や 年 金 や 保 険 を 中 心 と し た 機 関 投 資 家 の 参 入 が 加 速 し て い 10 る こ と が 考 え ら れ る 。

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24 ( 図 表 3-3-3 ) ( 出 所 : 2014 年 度 ベ ン チ ャ ー キ ャ ピ タ ル 等 投 資 動 向 調 査 結 果 国 内 外 の 投 資 額 と 投 資 件 数 の 推 移 よ り 引 用 )

第三節 クラウドファンディング

5 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ と は イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 、 不 特 定 多 数 の 人 か ら 小 口 の 資 金 を 募 る 資 金 調 達 方 法 で あ る 。 出 資 者 は ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ 運 営 サ イ ト で 提 供 さ れ て い る そ れ ぞ れ の プ ロ ジ ェ ク ト や サ ー ビ ス か ら 、 自 分 が 共 感 し た も の に 出 資 を 行 い 、 見 返 り と し て 、 現 金 配 当 や サ ー ビ ス や 商 品 を 受 け 取 る こ と が で き る 。 10 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ は 大 き く 5 つ に 分 け る こ と が で き る 。 金 銭 的 な 見 返 り を 要 求 し な い 「 寄 付 型 」 「 購 入 型 」、 金 銭 的 な 見 返 り を 要 求 す る 「 貸 付 型 」 「 株 式 型 」 「 フ ァ ン ド 型 」 に 分 け ら れ る 。 こ れ ら は そ れ ぞ れ 異 な っ た 特 徴 を 持 っ て い る 。 そ れ ぞ れ の メ リ ッ ト や デ メ リ ッ ト 、 特 徴 な ど に つ い て こ れ か ら 見 て い く 。 15

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25 第一項 寄 付型 寄 付 型 は イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 集 め た 寄 付 金 を 、 ボ ラ ン テ ィ ア や 災 害 復 興 、 発 展 途 上 国 へ の 支 援 等 の た め に 利 用 す る も の で あ る 。 日 本 で は 、 こ の 寄 付 金 を 集 め る と い う 仕 組 み は 2011 年 3 月 11 日 に 発 生 し た 東 日 本 大 震 災 の 直 後 か ら 急 速 に 広 ま っ た 。 5 出 資 者 が ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ で 寄 付 す る メ リ ッ ト は 、 多 数 の 案 件 を 比 較 検 討 す る こ と が で き 、 自 分 の 意 向 に 沿 っ た も の に 寄 付 を す る こ と が で き る こ と で あ る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 そ も そ も 寄 付 行 為 な の で 、 デ メ リ ッ ト に な る も の が な い が 、 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ の 運 営 会 社 が 詐 欺 的 に 資 金 を 募 っ て い る 場 合 や 、 不 正 流 用 を し て い る と い う リ ス ク も あ る 。 10 調 達 者 の メ リ ッ ト は 、 イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ る こ と で 、 世 界 中 の 不 特 定 多 数 の 人 か ら 資 金 を 調 達 す る こ と が で き る こ と で あ る 。 ま た 、 寄 付 型 な の で 資 金 を 返 済 す る 必 要 が 無 い 。 第二項 購 入型 15 購 入 型 は プ ロ ジ ェ ク ト や イ ベ ン ト 等 に 資 金 を 利 用 す る た め に 調 達 す る も の で 、 出 資 者 は 、 金 額 に 応 じ た 商 品 や サ ー ビ ス を 得 る こ と が で き る 。 共 感 や 支 持 が 購 入 型 の 核 と な っ て い る 。 出 資 者 は 出 資 金 と 商 品 や サ ー ビ ス の バ ラ ン ス を 重 視 し な い 場 合 が あ る 。 出 資 者 が 出 資 し た こ と に よ る 充 足 感 が 対 価 の 一 部 と 構 成 さ れ て い る こ と も あ る 。 現 在 の 日 本 の ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ の 主 流 と な っ て い る 。 20 出 資 者 の メ リ ッ ト は 、 新 し い 商 品 や サ ー ビ ス を 通 常 よ り い ち 早 く 手 に 入 れ る こ と が で き る 。 ま た 、 自 分 が 共 感 し て い る プ ロ ジ ェ ク ト や イ ベ ン ト 等 に い ち 早 く 参 加 し て い る と い う 一 体 感 を 持 つ こ と が で き る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 商 品 や サ ー ビ ス が 完 成 さ れ な か っ た り 、 期 待 通 り の タ イ ミ ン グ に 受 け 取 る こ と が で き な い こ と な ど が 挙 げ ら れ る 。 25 調 達 者 の メ リ ッ ト は 、 資 金 を 返 済 す る 必 要 が な く 、 最 初 か ら 販 売 先 を 確 保 し た 上 で 商 品 開 発 や サ ー ビ ス の 開 発 を 行 う こ と が で き る 。 ま た 、 商 品 や サ ー ビ ス を 販 売 す る 前 の 宣 伝 活 動 と な る こ と な ど も 挙 げ ら れ る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 商 品 や サ ー ビ ス の ア イ デ ア の 流 出 や 、 資 金 が 十 分 に 確 保 す る こ と が で き ず 、 プ ロ ジ ェ ク ト や イ ベ ン ト 等 を 行 う こ と が で き な い 場 合 が あ る 。 30

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26 第三項 貸 付型 貸 付 型 は 出 資 者 か ら 小 口 の 資 金 を 集 め て 、 企 業 や 個 人 に 貸 付 け を 行 う も の で あ る 。 日 本 の 現 在 の 制 度 で は 、 出 資 者 が 個 別 の 事 業 者 に 貸 付 け る こ と が で き な い 。 個 人 の 特 性 や 事 業 内 容 が 出 資 者 に は 見 え ず 、 仲 介 す る ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ 営 業 者 の 審 査 能 力 が 重 要 に な っ て く る 。 世 界 で の ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ 5 の 割 合 が 最 も 多 い の は こ の 貸 付 型 で あ る 。 出 資 者 の メ リ ッ ト は 、 国 債 や 預 金 等 よ り も 利 回 り が 高 い 運 用 が 期 待 で き る と こ ろ で あ る 。 ま た 、 貸 付 型 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ の 分 配 金 は 貸 付 に 対 す る 金 利 な の で 、 借 り 手 の 企 業 が 、 業 績 悪 化 し た と し て も 決 ま っ た 額 が 支 払 わ れ る 点 も メ リ ッ ト 言 え る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 個 別 の 調 達 者 の 情 報 が 把 握 で き な い 10 点 や 、 海 外 案 件 の 場 合 、 為 替 リ ス ク や 高 額 の 為 替 手 数 料 が 発 生 す る 可 能 性 が あ る 点 な ど が 挙 げ ら れ る 。 調 達 者 の メ リ ッ ト は 、 何 よ り も こ れ ま で 融 資 を 受 け ら れ な か っ た 場 合 で も 資 金 を 調 達 で き る 可 能 性 が あ る と い う 点 だ 。 ま た 、 自 分 の 信 用 に 合 っ た 利 息 で 資 金 調 達 が で き る 点 も メ リ ッ ト と 言 え る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 返 済 で き な く な 15 っ た 場 合 、 第 三 者 に 債 権 を 売 却 さ れ る こ と が あ る 点 が 挙 げ ら れ る 。 第四項 株 式型 株 式 型 は 非 上 場 企 業 の 株 式 に 対 し て 出 資 者 を 募 る 仕 組 み で あ る 。 出 資 者 は 事 業 の 業 績 に 応 じ た 配 当 を 受 け 取 れ る 。 一 旦 出 資 を し て し ま う と 、 期 日 と い う も 20 の が 存 在 し な い の で 、 今 後 整 備 さ れ る 非 上 場 株 式 の 流 通 の 仕 組 み 等 に よ っ て は 資 金 の 回 収 は 必 ず し も 容 易 で な く な る 可 能 性 も あ る 。 一 方 で 、 出 資 者 は 出 資 先 企 業 の 上 場 、 M&A 等 に よ り 莫 大 な 利 益 を 上 げ る こ と が で き る 可 能 性 が あ る 。 出 資 者 の メ リ ッ ト は 、 従 来 投 資 が 困 難 で あ っ た 小 額 で 非 上 場 株 式 へ の 投 資 が 容 易 に な る 点 、 ま た 利 益 や 売 上 高 に 応 じ た 配 当 を 受 け 取 る こ と が で き 、 莫 大 な 25 利 益 を 得 る こ と も で き る 点 で あ る 。 他 に は 、 株 主 と し て 会 社 の 運 営 に 対 し 発 言 権 が あ る 点 な ど が 挙 げ ら れ る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 非 上 場 株 式 で あ る た め 、 流 動 性 が 低 い 。 そ し て 、 返 済 期 日 も な い た め 換 金 が 難 し い 点 な ど が 挙 げ ら れ る 。 調 達 者 の メ リ ッ ト は 、 資 本 金 形 式 で の 資 金 調 達 な の で 、 基 本 的 に 返 還 す る 必 要 が な い 。 な の で 、 自 己 資 本 の 充 実 を 図 れ る 点 な ど も メ リ ッ ト に 挙 げ ら れ る 。 30

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27 デ メ リ ッ ト と し て は 、 小 口 株 主 が 増 え る こ と で 、 管 理 コ ス ト や 事 業 運 営 上 の リ ス ク な ど 発 生 す る 点 が 挙 げ ら れ る 。 第五項 フ ァン ド型 フ ァ ン ド 型 は そ れ ぞ れ の プ ロ ジ ェ ク ト に 対 し て 、 調 達 者 に 設 立 さ れ た 匿 名 組 5 合 に 出 資 す る 仕 組 み で あ る 。 配 当 と は 別 に 、 サ ー ビ ス や 商 品 を 提 供 す る 場 合 も 多 く 、 購 入 型 の 要 素 も 一 部 入 っ て い る と 言 え る 。 出 資 者 の メ リ ッ ト は 、 そ れ ぞ れ の プ ロ ジ ェ ク ト を 自 分 で 吟 味 し な が ら 投 資 が 行 え る 点 や 、 事 業 の 進 行 具 合 に し た が っ て 配 当 を 受 け 取 る こ と が で き る た め 、 事 業 と の 一 体 感 が 得 ら れ る 点 等 が 挙 げ ら れ る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 調 達 者 の 10 倒 産 や 事 業 の 不 調 に よ る 元 本 割 れ の リ ス ク が 存 在 す る 点 や 、 事 業 の 運 営 方 法 に 関 与 す る こ と が で き な い 点 等 が 挙 げ ら れ る 。 調 達 者 の メ リ ッ ト は 、 事 業 単 位 の 資 金 調 達 で あ り 、 成 果 に 合 っ た 出 資 金 の 配 当 を 行 う 仕 組 み で あ る た め 、 事 業 リ ス ク を 分 散 す る こ と が で き る 点 で あ る 。 デ メ リ ッ ト と し て は 、 期 日 ま で に 十 分 な 資 金 を 調 達 す る こ と が で き ず 、 事 業 を 行 15 う こ と が で き な い 場 合 や 、 事 業 の ア イ デ ア の 流 出 リ ス ク が あ る 点 等 が 挙 げ ら れ る 。 以 上 5 つ の 型 に つ い て 説 明 し て き た 。 そ れ ぞ れ の 型 に メ リ ッ ト ・ デ メ リ ッ ト は あ る が 、 全 体 と し て 見 れ ば 、 メ リ ッ ト と し て 、 事 業 の 必 要 性 が わ か る ・ 景 気 20 の 影 響 を 受 け に く い 点 等 が あ り 、 デ メ リ ッ ト と し て は 、 ア イ デ ア 流 出 の リ ス ク ・ 十 分 に 資 金 が 調 達 で き な い ・ 認 知 度 が 低 い 点 等 が 挙 げ ら れ る 。 こ れ か ら 、 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ に 関 す る 周 辺 環 境 が 整 い 、 業 界 が 発 展 し て い け ば 、 投 資 に 対 す る 意 識 が 変 化 し 、 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ 市 場 の 拡 大 が 見 込 め る だ ろ う 。 今 後 、 ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ は 中 小 企 業 に と っ て 有 効 な 資 25 金 調 達 手 段 に な り 得 る だ ろ う 。

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第四節 ノンバンク

ノ ン バ ン ク と は 金 融 機 関 の 一 部 を 総 称 し 、 融 資 の み で 、 預 金 す る こ と が で き な い 金 融 機 関 で あ る 。 簡 潔 に 言 う と 、 お 金 を 借 り る こ と は で き る が 預 け る こ と は で き な い 機 関 で あ る 。 そ の た め 、 資 金 源 は 銀 行 や 金 融 市 場 と な り 、 消 費 者 金 融 な ど が ノ ン バ ン ク に 当 た る 。 ノ ン バ ン ク の メ リ ッ ト と し て 、 銀 行 に 比 べ て 融 5 資 を 受 け や す い こ と や 、 手 続 き 簡 素 で あ る た め 、 素 早 く 融 資 を 受 け る こ と が で き る と い う 点 が あ る 。 つ ま り 、 銀 行 に あ ま り 信 用 さ れ て い な い が 早 急 に 資 金 が 必 要 で あ る と い う 場 合 に 使 用 が 可 能 で あ る 。 反 面 、 融 資 を 受 け や す い た め 、 返 済 能 力 の 有 無 が 軽 視 さ れ が ち で あ る と い う デ メ リ ッ ト も 存 在 す る 。 つ ま り 、 銀 行 と 比 較 す れ ば 必 然 的 に 高 金 利 に な る と い 10 う こ と で あ る 。 そ も そ も 金 利 は 、 利 息 制 限 法 と 出 資 法 と い う 2 つ の 法 律 に よ っ て 定 め ら れ て い た 。 利 息 制 限 法 で は 年 間 10 万 円 未 満 の 金 利 は 上 限 20 % 、 出 資 法 で は 年 29.2 万 円 と 開 き が あ り 、 利 息 制 限 法 は こ れ を 破 っ て も 罰 則 が な い 。 こ の 2 つ の 金 利 の 間 を グ レ ー ゾ ー ン 金 利 と い い 、 ノ ン バ ン ク の 多 く は こ の 隙 間 を 利 用 し て い た の で あ る 。 し か し 2006 年 6 月 、 改 正 賃 金 業 法 が 施 行 さ れ 、 金 利 は 年 15 間 15 % ~ 20 % に 統 一 、 そ し て そ れ を 上 回 る 金 利 で 融 資 を 受 け て い た 債 務 者 は 、 過 払 い 金 を 請 求 で き る よ う に な っ た 。 ま た 、 融 資 で き る 額 も 債 務 者 の 年 収 の 3 分 の 1 と 総 量 規 制 が 導 入 さ れ た 。 こ の 法 改 正 に 伴 う 過 払 い 金 請 求 の 対 応 の た め 、 ノ ン バ ン ク は 大 打 撃 を 受 け 、 2010 年 に 大 手 の 武 富 士 が 破 綻 す る な ど 業 界 の 淘 汰 ・ 再 編 が 進 ん だ 。 過 払 い 金 問 題 以 降 、 ノ ン バ ン ク の 迅 速 な 融 資 の ノ ウ ハ ウ に 20 以 前 か ら 目 を つ け て い た メ ガ バ ン ク に よ る 買 収 な ど 、 業 界 再 編 は 一 気 に 加 速 し 、 現 在 ノ ン バ ン ク の 多 く は メ ガ バ ン ク を 中 心 に 銀 行 の 傘 下 と な っ て い る 。 デ メ リ ッ ト で 述 べ た よ う に 、 ノ ン バ ン ク で 資 金 調 達 を 行 う に は リ ス ク が 高 く 、 主 な 資 金 調 達 手 段 に は な り 得 な い と 考 え ら れ る 。 25 以 上 、 中 小 企 業 の 様 々 な 資 金 調 達 方 法 に つ い て 述 べ て き た 。 し か し 、 中 小 企 業 の 現 状 で は 、 銀 行 融 資 に 大 き く 依 存 し て い る が 、 第 一 章 で 挙 げ た 3 つ の 課 題 に よ っ て 資 金 調 達 を 難 し く し て い る 。 そ れ を 緩 和 さ せ る 方 法 と し て 投 資 フ ァ ン ド の 活 用 を 次 の 章 で 述 べ る 。 30

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第四章

中 小 企 業 の 資 金 調 達 へ の 提 言

こ こ ま で 、 中 小 企 業 の 現 状 や 支 援 政 策 ・ 機 関 、 資 金 調 達 方 法 に つ い て 述 べ て き た 。 特 に 、 中 小 企 業 金 融 に お い て 重 要 視 さ れ る 銀 行 融 資 は 、 中 小 企 業 に と っ て は 厳 し い も の で あ る 。 な ぜ な ら 、 中 小 企 業 の 実 態 を 金 融 機 関 が 把 握 し き れ て い な い か ら で あ る 。 投 資 フ ァ ン ド な ら ば 、 出 資 ・ 業 務 執 行 を 行 う 投 資 会 社 が 中 5 小 企 業 の 経 営 支 援 を 行 う た め 、 実 態 を 把 握 し て い る 状 態 で フ ァ ン ド が 中 小 企 業 に 投 資 を 行 う こ と が で き る の だ 。 そ し て 、 こ れ か ら 投 資 フ ァ ン ド に つ い て 述 べ て い き 、 ど の よ う に 活 用 す べ き か を 提 言 す る 。

第一節 投資ファンドの活用

10 フ ァ ン ド と は 、 複 数 の 投 資 家 の 出 資 に よ っ て 構 成 さ れ る 資 金 の 集 ま り を 活 用 し 、 投 資 会 社 が 企 業 な ど へ 投 資 を 行 う こ と で あ る 。 中 小 企 業 基 盤 設 備 機 構 ( 以 後 中 小 機 構 ) で は 、 出 資 者 メ ン バ ー の 一 人 と し て 、 ベ ン チ ャ ー 企 業 や 中 小 企 業 へ の 資 金 提 供 や 支 援 を 目 的 と す る 投 資 フ ァ ン ド に 資 金 を 提 供 し て い る 。 こ の こ と に よ り 、 創 業 間 も な い ベ ン チ ャ ー 企 業 や 新 事 業 展 開 を 目 指 す 中 小 企 業 な ど の 15 資 金 調 達 の チ ャ ン ス を 増 や し て い る 。 中 小 機 構 で の フ ァ ン ド 出 資 の 定 義 は 、 「 中 小 企 業 に 対 す る 投 資 事 業 を 行 う 民 間 機 関 等 と と も に 投 資 フ ァ ン ド ( 投 資 事 業 有 限 責 任 組 合 ) を 組 成 し 、 中 小 企 業 の 資 金 調 達 の 円 滑 化 と 踏 み 込 ん だ 経 営 支 援 ( ハ ン ズ オ ン 支 援 ) を 通 じ て 、 ベ ン チ ャ ー 企 業 や 既 存 中 小 企 業 の 新 事 業 展 開 の 促 進 ま た は 中 小 企 業 の 再 生 等 を 支 援 20 17 」 す る と さ れ て い る 。 ( 図 表 4-1-1 ) 17 中 小 企 業 基 盤 整 備 機 構 「 フ ァ ン ド 出 資 」 引 用

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30 ( 図 表 4-1-1 ) ( 出 所 : 中 小 企 業 基 盤 整 備 機 構 フ ァ ン ド 出 資 よ り 引 用 ) 第 一 章 第 二 節 の 7 ペ ー ジ に 中 小 企 業 が 資 金 調 達 を す る 際 の 3 つ の 課 題 を 挙 げ た 。 投 資 フ ァ ン ド を 活 用 す る こ と で 、 こ の 3 つ の 課 題 を 緩 和 さ せ る こ と が で き 5 る 。 今 か ら 、 そ れ ぞ れ に つ い て 述 べ て い く 。 1 つ 目 の 課 題 は 「 貸 し 手 に お け る 規 模 の 経 済 が 動 く こ と 」 で あ る 。 フ ァ ン ド で は 出 資 と 投 資 の 関 係 で あ り 、 投 資 フ ァ ン ド が 審 査 な ど の 規 模 の 経 済 の コ ス ト を 負 う の で 出 資 者 が こ の コ ス ト を 負 う 必 要 が な い 。 投 資 フ ァ ン ド が 間 に 入 っ て 投 資 を 行 う た め 出 資 者 の 規 模 の 経 済 が 働 き に く い 。 10 2 つ 目 の 課 題 は 「 情 報 の 非 対 称 性 の 問 題 が あ る こ と 」 で あ る 。 金 融 機 関 と 中 小 企 業 の 双 方 の 情 報 共 有 が 不 十 分 で 起 こ る 問 題 だ が 、 投 資 会 社 が 中 小 企 業 に 対 し て 経 営 支 援 を 行 い 、 ま た 投 資 フ ァ ン ド が 投 資 を す る 中 小 企 業 の 審 査 も 行 う 。 ( 図 表 4-1-1 ) そ の た め 、 金 融 機 関 が そ の 中 小 企 業 に 対 し て 十 分 な 情 報 把 握 が 出 来 て い な く て も 、 代 わ り に 投 資 会 社 が 中 小 企 業 の 経 営 状 況 を 十 分 に 把 握 し な 15 が ら 審 査 を 行 う の で 、 こ の 課 題 は 発 生 し に く い と 考 え る 。 3 つ 目 の 課 題 は 「 担 保 の 問 題 が あ る こ と 」 で あ る 。 フ ァ ン ド で は 、 投 資 フ ァ

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31 ン ド が 取 得 し た 株 式 を 将 来 的 に 売 却 す る こ と で 、 資 金 を 回 収 す る 。 ま た 、 フ ァ ン ド 出 資 な ら ば 出 資 者 の 全 員 に リ ス ク が 分 散 し て い る た め 、 金 融 機 関 だ け が リ ス ク を 負 わ な い 。 そ の た め 、 中 小 企 業 か ら 担 保 を 求 め ず に 投 資 を 行 え る 。 こ の こ と か ら 、 担 保 の 問 題 は 緩 和 さ れ て い る と 考 え る 。 こ の 3 点 か ら 、 中 小 企 業 に と っ て 投 資 フ ァ ン ド の 活 用 は 、 銀 行 融 資 に よ る 資 5 金 調 達 よ り も 有 効 な 資 金 調 達 方 法 で あ る と 考 え る 。

第二節 投資ファンドの今後の動向

2015 年 9 月 29 日 の 日 本 経 済 新 聞 朝 刊 で 、 「 ゆ う ち ょ 銀 行 は 地 方 の 経 済 活 性 化 な ど を 目 的 に 地 銀 な ど と 共 同 で 投 資 フ ァ ン ド を 設 立 す る 」 と 報 じ ら れ た 。 こ れ 10 ま で は 、 ゆ う ち ょ 銀 行 は 投 資 フ ァ ン ド へ の 出 資 を 禁 じ ら れ て い た が 、 ゆ う ち ょ 銀 行 は 新 規 業 務 へ の 進 出 の 妥 当 性 を 判 断 す る 第 三 者 機 関 の 郵 政 民 営 化 委 員 会 に 対 し 「 地 方 創 生 ・ 地 域 活 性 化 の た め の フ ァ ン ド へ の 出 資 」 の 解 禁 を 求 め て い た 。 こ の 意 向 を 受 け 金 融 庁 は 前 向 き な 姿 勢 を 示 し 、 解 禁 す る 方 針 で あ る 。 来 年 に も 実 現 す る 見 通 し だ 。 15 基 金 の 資 金 は 、 主 に 中 小 企 業 が 事 業 拡 大 に 役 立 て る と の こ と だ 。 ゆ う ち ょ 銀 行 の 200 兆 円 超 の 運 用 資 金 を リ ス ク の あ る 投 資 対 象 に 本 格 的 に 振 り 向 け る 第 一 歩 と な る 。 こ れ は 中 小 企 業 の 資 金 調 達 に と っ て 朗 報 で あ る と 言 え る 。 ま た 、 地 域 外 か ら も 含 め た 新 た な 資 金 を 呼 び こ む 誘 い 水 と も な る 。 仕 組 み は ( 図 4-2-1 ) の よ う で あ る 。 ゆ う ち ょ 銀 行 と 地 銀 な ど が 共 同 で 出 資 20 を し 、 企 業 再 生 の 専 門 家 な ど に 運 営 を 委 託 し 、 中 小 企 業 に 出 資 ・ 融 資 を 行 う こ と が 可 能 と な る 。

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32 ( 図 表 4-2-1 ) ( 出 所 : 日 本 経 済 新 聞 朝 刊 2015 年 9 月 29 日 ) ゆ う ち ょ 銀 行 が 運 用 す る 総 資 産 の 0.1 % だ け で も 、 約 2000 億 円 を 超 え る 。 こ の 莫 大 な 資 金 が あ れ ば 、 今 ま で 他 の フ ァ ン ド が 避 け て い た リ ス ク の あ る 企 業 に 5 も 、 出 資 ・ 融 資 を 行 う こ と が で き る の だ 。 私 達 は 、 こ の 投 資 フ ァ ン ド が 一 般 化 す れ ば 、 中 小 企 業 が 積 極 的 に 活 用 す る こ と で 資 金 調 達 を 円 滑 に す る こ と が 可 能 と な る と 考 え る 。

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終 章

日 本 に お い て 、 中 小 企 業 は 雇 用 ・ 産 業 の 根 幹 を 担 っ て お り 、 日 本 経 済 の 基 盤 を 支 え て い る 。 し か し 、 中 小 企 業 に は 解 決 す べ き 課 題 が 多 く 存 在 す る 。 本 論 文 で は 解 決 す べ き 課 題 を 3 つ に 絞 っ た 。 規 模 の 経 済 性 ・ 情 報 の 非 対 称 性 ・ 担 保 の 問 題 を 可 能 な 限 り 低 減 さ せ る 方 法 と し て 、 第 四 章 で 投 資 フ ァ ン ド の 5 活 用 に つ い て 、 ま た 今 後 の 動 向 と し て 、 ゆ う ち ょ 銀 行 の 投 資 フ ァ ン ド へ の 出 資 が 可 能 に な っ た こ と に つ い て 述 べ て き た 。 ゆ う ち ょ 銀 行 の 巨 額 の 運 用 資 金 か ら し て 、 こ の 一 部 で も 地 方 に 回 れ ば 地 域 経 済 活 性 化 は か な り 期 待 で き る と 考 え ら れ る 。 中 小 企 業 は こ の 投 資 フ ァ ン ド を 積 極 的 に 活 用 す る こ と が 資 金 調 達 を 円 滑 に す る 方 法 の 一 種 で あ る と 言 え る 。 し か し 、 こ の 方 法 だ け で は 資 金 調 達 を 完 全 10 に 行 う こ と は で き な い 。 こ う し た 資 金 に も 支 え ら れ な が ら 、 銀 行 か ら の 融 資 や 社 債 ・ ク ラ ウ ド フ ァ ン デ ィ ン グ な ど そ れ ぞ れ の 段 階 に あ っ た 方 法 を 行 う こ と が ベ タ ー だ と 考 え る 。 し か し 、 ゆ う ち ょ 銀 行 の 出 資 は 、 投 資 フ ァ ン ド の 投 資 審 査 に 一 層 の 厳 格 さ を 求 め る こ と に な る 。 専 門 家 と い え ど も 審 査 に 時 間 が か か る な ど 新 た に 様 々 な 問 15 題 が 出 て く る だ ろ う 。 少 子 高 齢 化 と 地 方 疲 弊 の も と 、 地 方 の 金 融 機 関 と 中 小 企 業 は 新 し い 関 係 を 求 め ら れ て い る 。 従 来 の 貸 し 付 け で は 金 融 機 関 は そ の リ ス ク を 負 う こ と が で き ず 、 よ り 広 い 観 点 と 機 関 の 参 加 の も と リ ス ク を 分 散 す る こ と に よ っ て 、 地 方 の 企 業 や 中 小 企 業 に リ ス ク 資 金 を 提 供 す る こ と が 可 能 に な る の で は な い だ ろ う か 。 そ 20 の 一 つ の 在 り 方 が こ の 論 文 で 検 討 し た 「 投 資 フ ァ ン ド 」 に よ る 資 金 供 給 形 態 で あ る と 考 え る 。 本 論 文 で 中 小 企 業 金 融 の 新 た な 可 能 性 を 見 い 出 せ た と 考 え る 。 こ れ が 少 し で も 中 小 企 業 の 発 展 に 寄 与 す る こ と を 願 う 。 25

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